JP4052204B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置において用いられ、記録媒体上に担持された未定着トナー像を加熱溶融し、記録媒体に定着させる定着装置に関する。
一般に、粉状のトナーを用いる画像形成装置においてトナー像を定着する工程は、トナー像を記録媒体上に静電的に転写した後、定着装置によってトナー像を記録媒体上に溶融圧着する方法が広く採用されている。この定着装置は、例えば、円筒状芯金の内部にハロゲンランプ等の発熱体を有する加熱ロールと、この加熱ロールに押圧される加圧ロールとで構成されており、加熱ロールと加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持した記録媒体を挟み込んで加熱加圧し、トナー像を記録媒体に融着させて定着画像を形成する。
しかし、ハロゲンランプ等の発熱体を用いる場合、発熱体に電力を投入後、発熱体の輻射熱又は接触熱が加熱ロールの芯金や各層に伝達して、加熱ロールの表面が所定の温度に加熱されるのに時間を要する。このため、装置が起動する時や待機状態から復帰する時、加熱ロールのウォーミングアップに時間を要するとともに消費電力が大きくなってしまう。また、加熱ロールは加圧ロールの押圧力に対して剛性を維持するようにある程度の厚みを有する芯金からなるため、熱容量を低減することが難しく、これによりウォーミングアップ時間が長くなってしまう。さらに、ハロゲンランプは通常ガラス管を有しているため、ハロゲンランプ自身の熱容量も大きく、ハロゲンランプ自身を加熱するまでにも時間がかかってしまう。
このような事情から、加熱ロール等の定着部材を加熱する手段として、定着部材に導電性層を設け、電磁誘導加熱によって該導電性層を発熱させるものが知られている。
電磁誘導加熱は、変動磁界を発生する励磁コイルを導電性層に対向配置し、導電性層を貫通する磁束を発生させることにより、導電性層に渦電流が生じ発熱するものである。電磁誘導加熱によれば、極めて短い時間で導電性層を発熱させることができ、定着部材を直接加熱することができる。このため、加熱源としてハロゲンランプ等の発熱体を用いる場合に比べ、装置のウォーミングアップ時間を短縮することができる。又、励磁コイルは導電性層と対向するように定着部材の内側又は外側のいずれに配置することも可能であり、定着装置の構成に応じて任意の位置に配置することができる。
一方、定着部材は加熱ロールの他、無端状の定着ベルトが一般に用いられており、該無端状ベルトには複数の支持ロールによって張架されたタイプと、内部に押圧部材を有し無張架の状態で周回駆動されるタイプとがある。定着ベルトは薄肉の耐熱性樹脂等を基層とし、加熱ロールに比べ熱容量が小さいため、加熱ロールより短時間でウォーミングアップを行なうことができる。さらに、無張架タイプの定着ベルトは、他の部材との接触する面積を小さくすることができ、他の部材への熱移動が低減される。このため、一層効率の良いウォーミングアップを行なうことができる。
上記のような定着装置において、未定着トナー像を担持した記録媒体が定着部材と加圧部材との圧接部であるニップ部に送り込まれ、加熱押圧された後排出されるときに、記録媒体が定着部材から剥離しにくくなるという問題点がある。特に、厚みの薄い記録媒体や、高湿度下で放置され通常より含水量の多い記録媒体を用いたとき、記録媒体の進行方向の先端から数ミリの部分に多量のトナーが担持されて、加熱され溶融したトナーと定着部材との間に大きな付着力が生じるとき等に、ニップ部を通過した記録媒体が定着部材から剥離しにくくなってしまう。さらに、カラー画像を形成する場合には、記録媒体上に複数色のトナーが多量に担持されているため定着部材に付着し易い。
一方、上記定着ベルトは、定着動作時には加熱されて柔軟になっているため、押圧部材の形状に沿って滑らかに周回移動している。ところが、定着動作が終了して定着装置への電力供給がオフになると、定着ベルトは熱容量が小さいためにすぐに温度が低下して硬化し、ニップ部内において押圧部材と加圧ロールとの間で圧接された状態のまま硬化する。したがって、定着ベルトに押圧部材の形状に沿った痕、いわゆるニップ痕が残ってしまう。そして、再び定着動作が開始された時、定着ベルトは温度が上昇するまでニップ痕が残った状態で、すなわち略円形の断面形状より凹凸がある状態で周回駆動される。特に、記録媒体が定着ベルトから剥離し易いように、ニップ部出口付近で定着ベルトを大きな曲率で曲げ回すようにした場合には、ニップ痕による凹凸の発生が顕著となる。
また、無張架タイプの定着ベルトは、記録媒体と接触する領域は他の部材と接触しないようにして、熱の損失を低減できる点に利点があり、両端部のみで定着ベルトに接触するガイド部材が用いられ、幅方向における中央部では自身の剛性によって形状が維持される。このような装置では、定着ベルトが加圧ロールの回転に従動してニップ部に引き込まれると、該定着ベルトの中央部がニップ部の下流側に張り出し、周回駆動時にニップ部出口付近において定着ベルトが周面と直角の方向に振れ易い。
一般に電磁誘導加熱装置は、定着ベルトの外周面又は内周面と対向するように配置され、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、ニップ部と定着ベルトを挟んで反対側の位置、すなわちニップ部から上下流側へほぼ等距離となる位置に配置される。そして、電磁誘導加熱装置が定着ベルトの外周面に沿って配置されている場合には、定着ベルトがニップ部の下流側に張り出している部分で電磁誘導加熱装置と接触するおそれがある。特に、ニップ痕による凹凸があると、定着ベルトは電磁誘導加熱装置と接触し易い。電磁誘導加熱装置との接触によって定着ベルトの表面が傷付くと、この傷が実際の定着画像上に転移し、画像傷として見えてしまう。
また、定着ベルトの幅方向における中央部がニップ部の下流側に大きく張り出して電磁誘導加熱装置と接近するため、中央部の発熱量が両端部に比べて多くなり、定着ベルトの幅方向に温度ムラが生じて、両端部において定着不良となるおそれがある。そして、両端部で必要な定着性を得ようとすると、中央部の温度を必要以上に上げなくてはならず、ウォームアップが長くなったり、必要以上の電力を投入しなければならない。
さらに、定着ベルトが周面と直角の方向に振れて電磁誘導加熱装置との距離が変化することによって、該定着ベルトの周方向における発熱量が異なったり、ニップ痕が生じている部分が電磁誘導加熱装置に最も接近して発熱量が多くなり、定着ベルトの周方向に温度ムラが生じてしまう。
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体上に担持された未定着トナー像を無端状の定着ベルトに当接させて、電磁誘導加熱装置によって加熱溶融し、記録媒体に定着させる定着装置において、記録媒体を定着ベルトから良好に剥離すること、及び、定着ベルトと電磁誘導加熱装置との接触を防いで良好な定着画像を得ることである。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 周方向に無張架状態で周回が可能に支持された無端状の定着ベルトと、 前記定着ベルトの外周面が押圧され、回転駆動されることによって前記定着ベルトを周回駆動する加圧ロールと、 前記定着ベルトの内周面に当接され、該定着ベルトを前記加圧ロールに押しつける押圧部材と、 前記定着ベルトの外周面と間隙をおいて対向するように配置され、前記定着ベルトが有する金属層に渦電流を誘導して発熱させる電磁誘導加熱装置と、を有し、 前記押圧部材は、前記定着ベルトの内周面に接触する弾性体と、この弾性体を背面側で支持する基部とを有するものであり、 該弾性体は、前記押圧部材の圧接によって、前記定着ベルトの周回方向の上流側より下流側へ大きく突き出すように変形し、 前記定着ベルトは前記弾性体が上流側及び下流側に突き出した部分の先端に沿って案内されて、下流側の曲率が上流側より大きくなっており、 前記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、前記定着ベルトの加圧ロールとの圧接部分から上下流側へほぼ等距離となる位置より下流側で、該定着ベルトに対向するように支持されていることを特徴とする定着装置を提供する。
また、請求項2に係る発明は、 請求項1に記載の定着装置において、前記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、前記弾性体が押圧された位置の下流側で大きな曲率で曲げ回される位置から、前記定着ベルトの周回方向における上下流側へほぼ等距離となる位置で該定着ベルトに対向するように配置されているものとする。
上記押圧部材の弾性体は、定着ベルトの内周面に押圧され、周回方向の下流側へ突き出すように変形する。このため、定着ベルトは弾性体によって内面から下流側に向かって押圧され、弾性体が突き出した部分に沿って大きな曲率で案内される。一方、記録媒体はそれ自身の剛性により、ニップ出口における加圧ロールの接線方向へ排出される。これにより、定着ベルトは記録媒体から離れる方向に移動し、該定着ベルトから記録媒体が良好に剥離される。また、この定着ベルトは、押圧部材以外の部材とはほとんど接触せずに周回移動するため、他の部材に熱を奪われることが少なく、効率良く所定の温度まで加熱される。


上記定着ベルトは、弾性体が突き出した部分に沿って大きな曲率で湾曲した状態で回転駆動されるが、定着動作が終了して電磁誘導加熱装置への電力投入をオフにすると温度が低下して硬化し、該定着ベルトの一部にニップ部に沿った形状が残留する。そして、定着動作が再開されたとき、定着ベルトは温度が上昇して軟化するまで、ニップ痕の凸状となった部分が定着ベルトの周方向に張り出した状態で回転駆動される。また、この定着ベルトは自身の剛性によって形状が維持されているため、加圧ロールの回転に従動して圧接部分に引き込まれ、該圧接部分の下流側へ張り出した形状で回転駆動される。
上記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、定着ベルトの加圧ロールとの圧接部分から上下流側へほぼ等距離となる位置より下流側で、該定着ベルトに対向するように支持されており、ニップ部の下流側では、定着ベルトが他の部材と対向しない領域が広く設けられている。このため、定着ベルトが圧接部分の下流側に大きく張り出して周回移動しても、定着ベルトと電磁誘導加熱装置とが接触するのが防止される。そして、電磁誘導加熱装置との接触によって定着ベルトの表面が傷付くのを防いで、良好な定着画像を得ることができる。また、定着ベルトの幅方向における中央部がニップ部の下流側に大きく張り出したり、ニップ部の出口付近において定着ベルトが周面と直角方向に大きく振れても、定着ベルトの幅方向又は周方向の一部が電磁誘導加熱装置に接近して、過剰に加熱されるのを防止することができる。そして、幅方向又は周方向にほぼ均一に加熱することができる。
また、定着ベルトが弾性体によって大きな曲率で曲げ回される位置は、弾性体によって外側へ大きく突き出されており、この曲げ回される位置から上下流側へほぼ等距離となる位置において定着ベルトの周方向の張り出しが最も小さくなる。さらに、周面の回転時の振れも最も小さくなる。上記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、この位置で定着ベルトに対向するように配置されているため、定着ベルトと電磁誘導加熱装置とが接触するのを防止することができ、さらに、これらの間隔が大きく変動するのを防止することができる。
以上説明したように、本願発明によれば、押圧部材の弾性層は、定着ベルトの内面に押圧されたときに、定着ベルトの周回移動方向における下流側へ突き出すように変形し、定着ベルトは記録媒体に圧接される領域の下流側で大きな曲率となる。このため、記録媒体は定着ベルトと加圧ロールとの圧接部から排出されるとき、自身の剛性によって定着ベルトから離れる方向に排出され、定着ベルトから良好に剥離される。
また、電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、定着ベルトの加圧ロールとの圧接部分から上下流側へほぼ等距離となる位置より下流側で、該定着ベルトに対向するように支持されている。このため、定着ベルトが圧接部分の下流側に大きく張り出して周回移動しても、定着ベルトと電磁誘導加熱装置とが接触するのが防止される。そして、電磁誘導加熱装置との接触によって定着ベルトの表面が傷付くのを防いで、良好な定着画像を得ることができる。さらに、幅方向においても、周方向においても、温度ムラが減るため、光沢のムラが無い良好な画質を得ることができる。
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1及び図2は、本願に係る発明の一実施形態である定着装置の概略断面図及び概略正面図である。なお、図2において、一部の部材は断面で示している。
この定着装置は、無端状の周面を有する定着ベルト1と、この定着ベルト1の外周面に当接される加圧ロール2と、定着ベルト1の背面側に当接され、定着ベルト1を加圧ロール2に押圧する押圧パッド3と、該押圧パッドを支持するパッド支持部材4と、押圧パッド3と定着ベルト1との間に設けられており、摺動性が良く、耐摩耗性が高い摺動シート9と、定着ベルト1の外周面に沿って設けられ、該定着ベルト1を加熱する電磁誘導加熱装置5と、定着ベルト1の両側縁部の内周面に当接されているガイド部材6a、6bと、加圧ロール2と押圧パッド3との圧接部の下流側で、加圧ロール2の周面に当接されている金属ロール7と、この圧接部の出口近傍に設けられている剥離補助部材8と、で構成されている。
次に、上記定着装置が有する構成の詳細について説明する。
この定着ベルト1は、周方向(図中、矢印方向)への周回移動が可能かつ、幅方向の両端部と定着ニップ部以外では基本的には他の部材と接触することがないように、無張架で支持された薄肉の導電性層を有する無端状の柔軟なベルトから構成されている。上記定着ベルト1は、図3に示すように、その内側から、耐熱性の高いシート状部材からなる基層1aと、当該基層1aの上に積層された導電性層1bと、トナー像の定着性・画質を向上させる弾性層1cと、最も上層となる表面離型層1dとから構成されている。
上記基層1aは、例えば、厚さ10〜150μm、更に好ましくは厚さ50〜100μmの耐熱性の高いシートであることが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い合成樹脂からなるものが挙げられる。
上記導電性層1bは、電磁誘導加熱装置5によって生じる磁界の電磁誘導作用により、誘導発熱する層であり、鉄・コバルト・ニッケル・銅・アルミニウム・クロム等の金属層を1〜80μm程度の厚みで形成したものが用いられ、電磁誘導で十分な発熱が得られるような固有抵抗値となるように材質が選択される。
上記弾性層1cについては、ニップ部で記録紙上の未定着トナー像を覆ってトナー像を一様に加熱するためのものであり、例えば、ゴム硬度10〜30°(JIS K 6301、JIS A又はJIS K 6253、デュロメータタイプAスプリング式)程度のシリコーンゴムを100〜600μmの厚さで用いることができる。
上記表面離型層1dは、記録紙上に転写された未定着トナー像と、直接接する層であるため、離型性の良い材料を使用する必要がある。この表面離型層1dを構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン共重合体、またはこれらの複合層等が挙げられる。上記表面離型層1dは、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、10〜50μmの厚さでベルトの最上層に設けたものである。この表面離型層1dの厚さは、薄すぎると、耐磨耗性の面で耐久性が悪く、定着ベルト1の寿命が短くなってしまい、逆に、厚すぎると、ベルトの熱容量が大きくなり、ウォームアップが長くなってしまう。
なお、この実施の形態では定着ベルトは4層構造となっているが、接着層や各層の保護層などを設けた5層、6層などのベルトであっても良いし、弾性層を削除した3層のベルトであっても良い。
本実施例では、上記定着ベルト1は、無拘束状態で内径約30mmの円形断面となるものであり、基層1aは幅方向に座屈等が生じない程度の剛性を有するように80μmのポリイミドが用いられている。また、導電性層1bは、定着ベルト1の曲率が大きい場合でも永久変形やクラックが生じないように薄層であることが望ましく、基層上に蒸着又はメッキ等の手段によって10μmの銅が形成されている。導電性層上にはゴム硬度15°(JIS K 6301、JIS A又はJIS K 6253、デュロメータタイプAスプリング式)、厚さ300μmのシリコーンゴムと、さらにその上に厚さ30μmのPFAが積層されている。
上記加圧ロール2は、金属製の円筒状芯金2aを芯材とし、該芯金2aの表面にスポンジやゴムなどの弾性層2bと、さらに表面に表面離型層2cとを備えており、該加圧ロール2と押圧パッド3とで定着ベルト1を挟持した状態に保持して定着ニップを形成し、当該定着ニップを未定着トナー像が転写された記録紙を通過させることにより、熱及び圧力で未定着トナー像を記録紙上に定着して、定着画像を形成するようになっている。
本実施例では、加圧ロール2は、直径φ18mmの中実の円筒状芯金2aの表面に、弾性層2bとして、厚さ5mmのシリコーンスポンジ層が形成され、さらにその外側に、最上層である表面離型層2cとして厚さ50μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)を被覆した、外径φ23mmの加圧ロール2が使用されている。この加圧ロール2は、20kgfの荷重で定着ベルト1を介して押圧パッド3に圧接されており、駆動モータ(図示しない)によって回転駆動され、これにともなって定着ベルト1が従動回転する。
上記押圧パッド3は、図4に示すように、台座3a上に弾性部材3bを備え、定着ベルト1を加圧ロール2に押し付けるものであり、弾性部材3bと加圧ロール2との間にニップ部が形成される。弾性部材3bは、ニップ部の上流側から下流側にかけて厚さが増大しており、弾性部材3bの摺動シート9を介して定着ベルト1と当接される面11が、加圧ロール2とほぼ同じ曲率を有する形状に湾曲している。この弾性部材3bが定着ベルト1の内面に押圧されると、弾性部材3bの厚さが増大している下流部12が下流側に膨らみだすように変形し、さらに、定着ベルト1の周回移動にともなって、定着ベルト1の移動方向の下流側へ摩擦力が作用して突き出すように変形する。
本実施例では、上記押圧パッド3は、SUS、鉄等の金属又は耐熱性を有する樹脂等からなる台座3a上に、弾性部材3bとしてゴム硬度20°(JIS K 6301、JIS A又はJIS K 6253、デュロメータタイプAスプリング式)のシリコーンゴムが積層されている。このシリコーンゴムは周方向の水平長さが8.5mm、上流側の厚みが2.5mm、下流側の厚みが5mmであり、曲率半径が14mmとなっている。
上記摺動シート9は、摺動性が良く、耐摩耗性に優れ、かつ熱に強い材料である必要があり、例えば、テフロン樹脂を含浸させたガラス繊維シート(中興化成工業:FGF400−4等)、オイルを保持しやすいゴアテックス(登録商標)のシートなどが用いられている。さらに定着ベルト1の内面には、潤滑オイル、潤滑グリース等の離型材を塗布してもよい。これにより、定着ベルト1は加圧ロール2に従動して加圧ロール2とほぼ同じ速度で周回し、加圧ロール2の駆動負荷を低減することができる。
本実施例では、摺動シート9としてテフロン樹脂を含侵させたガラス繊維シート(FGF400)を使用し、潤滑剤としてベルトの基層であるポリイミドとの濡れ性が優れているアミン変性シリコーンオイル 300cs を使用している。
上記パッド支持部材4は、図5に示すように、定着ベルト1の幅方向に軸線を有する棒状部材であり、この棒状部材の両端部4aは切り欠かれて中央部付近より断面が小さくなっており、ガイド部材6が嵌め合わされる。この棒状部材の加圧ロール2と対向する部分には切り欠きが形成されており、この切り欠きに摺動シート9を挟み込むとともに押圧パッド3を嵌め合わせ、定着ベルト1を介して加圧ロール2から押圧パッド3に作用する圧接力を、この棒状部材によって負担する。パッド支持部材4の材料としては、たわみを一定量以下に抑えるためにある程度の剛性を有するとともに、電磁誘導加熱装置5による磁束の影響によって加熱されないものが望ましく、ガラス入りPPS(ポリフェニレンサルファイド)、フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等の耐熱性の樹脂や耐熱ガラスを用いることができる。また、電磁誘導加熱装置5による大きな発熱が生じないことが確認できれば、アルミニウム等の非磁性金属からなるものを配置して用いることもでき、本実施例では1辺が12mmのアルミニウムを使用している。
上記ガイド部材6は耐熱性樹脂からなり、図5に示すように、エッジガイド部21と、内面ガイド部22と、支持部23とを備えるものである。エッジガイド部21及び内面ガイド部22の中央部付近には、パッド支持部材4の両端部4aとほぼ同じ形状の切り欠き部24が設けられており、この切り欠き部24をパッド支持部材4の両端部4aに嵌め合わせる。そして、内面ガイド部22の端面22aがパッド支持部材4の断面が拡大している位置の垂直面に当接される。
なお、パッド支持部材4を軸方向に長くして、エッジガイド部21及び内面ガイド部22に貫通する切り欠き部24を設け、パッド支持部材4の両端部4aを切り欠き部24に貫通させ、この貫通された部分を支持部としてもよい。
内面ガイド部22は、ほぼ円筒曲面を有する部材であり、周方向の一部が切り欠かれ、この部分に押圧パッド3が配置される。内面ガイド部22の曲面は、定着ベルト1の内周面の両側縁付近に当接され、定着ベルト1は内面ガイド部22の外周面及び押圧パッド3の表面に沿った形状に拘束される。そして、定着ベルト1の両側縁付近は無張力状態もしくは所定の張力が導入された状態で内面ガイド部22の曲面上を摺動する。これにともない、定着ベルト1の幅方向における中央部は、図1又は図2に示すように、押圧パッド3以外には内面に当接されるものがなくても自身の剛性によってほぼ一定の形状を維持し、パッド支持部材4から離れた位置に保持される。
エッジガイド部21は、内面ガイド部22より径が拡大されて張り出しており、パッド支持部材4の両端部4aに嵌め合わされると、エッジガイド部21は定着ベルト1の両縁部に近接又は当接される。これにより、定着ベルト1は、エッジガイド部21によって幅方向の動きが規制されるため、安定した状態で周回駆動される。
上記電磁誘導加熱装置5は、励磁回路5dによって交流電流が印加される励磁コイル5aと、当該励磁コイル5aを支持するコイル支持部材5bと、コイルとベルト表面との絶縁を保ち、かつコイルの形状を保持するためのコイルカバー5cと、で主要部が構成されている。
この電磁誘導加熱装置5は、電磁誘導加熱装置5の周方向における中心部が、パッド支持部材4、ニップ部及び加圧ロール2の中心を結ぶ軸線A−A上の位置、すなわちニップ部から上下流側へほぼ等距離となる位置より下流側の軸線B−B上の位置となるように、定着ベルト1の外周面と所定の間隔をおいて配置されている。また、軸線B−B上の位置は、定着ベルト1が弾性部材3bによって大きな曲率で曲げ回される位置から、上下流側へほぼ等距離となる位置となっている。そして、コイル支持部材5b及びコイルカバー5cが定着ベルト1の外周面に沿って約180°の領域を覆い、励磁コイル5aが約160°の領域を覆っている。
上記励磁コイル5aは、本実施例では、互いに絶縁された直径0.3mmの銅線材を25本束ねたリッツ線が用いられており、図6に示すように、連続したリッツ線が定着ベルト1の幅方向に平行に配置され、平行部分の両端部で折り返して巻き回されている。そして、コイル支持部材5bとコイルカバー5cとで挟み込むことにより保持された状態で、当該定着ベルト1に対して所定の間隔が得られるように設置されている。
上記コイル支持部材5bは、耐熱性のある非磁性・絶縁材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ガラス入りポリエチレンテレフタレート、ガラス入りポリフェニレンサルファイド、ガラス入りポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂が用いられる。本実施例では、ガラス入りポリフェニレンサルファイドが用いられている。
上記コイルカバー5cは、励磁コイル5aの定着ベルト1側の面の絶縁状態を保ち、かつ励磁コイルの形状を維持するために、励磁コイル5aと定着ベルト1との間に配置されている。材料はコイル支持部材5bと同様で良いが、コイル支持部材よりも加熱部材である定着ベルト1に近いため、より耐熱性が要求され、また電磁誘導加熱装置とベルト表面との距離を所定の距離以下にするためには、より薄い肉厚で、かつ熱が加わった時でも反りなどの変形が発生し難く、コイルの形状を保ちやすい材料であることが好ましい。 本実施例では、ガラス入りポリフェニレンサルファイドを使用し、コイルカバーの板厚は1mmとしている。
なお、この電磁誘導加熱装置5では、磁束を強めるために、コイルの中央部分にフェライトなどの強磁性体からなる芯材を設けても良いし、耐熱性を有する樹脂等をボビンとして、それにコイルを巻き付けた状態で使用しても良い。
上記励磁回路5dは、この定着装置を用いる画像形成装置の本体に設けられており、この励磁回路5dから励磁コイル5aに交流電流が供給されると、励磁コイル5aの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施例では、交流電流の周波数が30kHzに設定されている。そして、この磁束が定着ベルト1の導電性層1bを横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように導電性層中に渦電流が発生し、導電性層1bの表皮抵抗に比例した電力(W=I2R)でジュール熱が発生する。これにより、定着ベルト1が所定の温度まで加熱される。
この電磁誘導加熱装置5では、電磁誘導によって適切な発熱量を得るためには、励磁コイル5aと定着ベルト1の表面との距離を2.5mm以下にする必要がある。この距離が3mm以上になると、定着ベルト1への磁気的な影響が弱くなり、所定の有効電力を得るためには、コイルを流れる電流が増えて、コイルが自己発熱したり、電源のスイッチング素子に流れる電流が定格電流値を超えて素子が発熱して、電力効率が落ちてしまう。また、そのような状態のまま連続で装置を使用すると、電源のスイッチング素子の破損にもつながる。
本実施例では、厚さ1mmのコイルカバー5cが設けられているため、コイルカバー5cと定着ベルト1の表面との距離は1.5mm以下とする。
上記金属ロール7は、熱伝導性の良好なアルミニウムやステンレス等の金属やヒートパイプからなり、加圧ロール2の回転駆動にともなって従動回転するようになっている。本実施例では、アルミニウムからなる直径10mmの中実のロールが用いられている。また、金属ロール7の表面にトナー等が付着しにくいように、該金属ロール7の表面にPFA等の離型層を設けてもよい。定着装置に連続して幅方向の寸法が小さい用紙の通紙を行うと、定着ベルトの非通紙領域の温度が上昇してしまう。それにより加圧ロール2の非通紙領域の温度が上昇するため、この金属ロール7を加圧ロール2の周面に接触させ、加圧ロール2との間で熱交換することによって、加圧ロール2の軸方向に大きな温度差が生じるのを防ぎ、定着ベルトの非通紙領域の温度上昇を防止する。
上記剥離補助部材8は、ステンレス等の薄い板状部材からなり、先端部がニップ部の出口で定着ベルト1と近接対向するように配置されており、先端部と定着ベルト1との間隔が1mm以下になるように設定されている。この剥離補助部材8は、ニップ部を通過して定着ベルト1から剥離した記録紙の先端をすくい取り、記録紙が再び定着ベルト1に巻き付くのを防ぐものである。
次に、上記定着装置の動作について説明する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーによるトナー像Tが画像信号に基づいて形成され、図示しない転写装置により記録紙Pに転写される。これらのトナーは、熱可塑性樹脂性のバインダに着色顔料を含有させることによって構成されている。
一方、トナー像を形成する動作が開始されるのとほぼ同時に、加圧ロール2の駆動モータ(図示しない)及び電磁誘導加熱装置5に電力が供給される。そして、加圧ロール2が回転すると、これに従動して定着ベルト1が回転を開始し、電磁誘導加熱装置5と対向する加熱領域を通過する際に、トナー像Tを加熱溶融するのに適当な温度まで加熱される。このとき、定着ベルト1は、両側縁付近は内面ガイド部22に接触して摺動するが、中央部は定着ニップを形成する押圧パッド3が当接される部分以外では、他の部材に接触することなく周回移動している。したがって、他の部材に熱を奪われることが少なく、効率の良い加熱が行われる。
定着ベルト1が所定の温度まで加熱されると、未定着トナー像を担持した記録紙が、定着ベルト1と加圧ロール2とが接するニップ部に送り込まれる。ニップ部内では、定着ベルト1は加圧ロール2の周面に沿って湾曲しており、記録紙は定着ベルトに密接して搬送され、トナー像は定着ベルト1によって加熱溶融されると同時に、加圧ロール2と押圧パッド3との圧接力によって記録紙Pに圧着される。
一方、ニップ部出口付近では、押圧パッド3が有する弾性部材3bの下流部12が、定着ベルトの移動方向の下流側へ突き出すように変形している。また、定着ベルト1の中央部は、押圧パッド3以外の部材には拘束されず、張力が作用しない状態で周回している。このため、定着ベルト1は、弾性部材3bが下流側に突き出した部分に拘束され、加圧ロール2の周面に沿って移動する。そして、突き出した部分の先端からは、定着ベルト1自身の剛性とガイド部材6による拘束の影響を受けて大きな曲率で曲げ回される。
これに対し、定着ベルト1と加圧ロール2との間で搬送される記録紙は、弾性部材3bが下流側に突き出した部分で加圧ロール2の周面に沿って移動し、弾性部材3bが突き出した部分の先端より下流側では、記録紙自身の剛性によって加圧ロール2のほぼ接線方向へ進行しようとする。したがって、大きく曲げ回される定着ベルト1は記録紙から引き離される。また、記録紙の先端が定着ベルト1から剥離されると、該記録紙は剥離補助部材8に接触し、この剥離補助部材8に案内されて確実に定着ベルト1から引き離される。
定着動作が終了すると、電磁誘導加熱装置5への電力供給がオフになり、定着ベルト1の周回が停止し、熱容量の小さい定着ベルト1は急激に温度が低下して硬化する。これにより、ニップ部出口付近において弾性部材3bの先端から大きな曲率で曲げ回される形状、及びニップ部内では該ニップ部に沿った形状が定着ベルトに残留し、いわゆるニップ痕が生じる。そして、再び定着動作が開始されたとき、定着ベルト1が温度上昇して軟化するまでは、該定着ベルト1はニップ痕が生じた部分が周面と直角方向に張り出した状態で回転駆動される。また、定着ベルト1の幅方向における中央部は、押圧パッド3以外には内面に当接されるものがなく、張力があまり作用していないため、該定着ベルト1は加圧ロール2の回転に従動してニップ部に引き込まれて、図7に示すように、中央部がニップ部の下流側に張り出す。特に、ニップ痕が生じている部分が大きく張り出す。
この定着装置では、電磁誘導加熱装置5は、該電磁誘導加熱装置5の周方向における中心部が、ニップ部から上下流側へほぼ等距離となる軸線A−A上の位置より下流側の軸線B−B上の位置となるように配置されており、ニップ部内の中心位置を0°としたとき、コイルカバー5cの上流側の端部は90°より下流側に配置されている。このため、定着ベルト1がニップ部の下流側に張り出して周回移動してもコイルカバー5cに接触するのを防止することができる。そして、この接触によって定着ベルト1の表面が傷付くのを防いで、良好な定着画像を得ることができる。また、定着ベルトの幅方向における中央部がニップ部の下流側に大きく張り出したり、ニップ部の出口付近において定着ベルト1が周面と直角方向に大きく振れても、定着ベルト1の幅方向又は周方向の一部が励磁コイル5aに接近して、過剰に加熱されるのを防止することができる。そして、幅方向又は周方向にほぼ均一に加熱することができ、光沢ムラのない良好な定着画像を得ることができる。さらに、ニップ部の出口付近において剥離補助部材8と励磁コイル5aとが接近し、剥離補助部材8が加熱されてしまうのを防止できる。
また、電磁誘導加熱装置5の周方向における中心部の位置Bは、定着ベルト1の弾性部材3bによって大きな曲率で曲げ回される位置から、上下流側へほぼ等距離となる位置となっている。このため、定着ベルト1と電磁誘導加熱装置5とが対向する位置において、定着ベルトの周面と直角方向の振れが小さいため、これらの間隔が大きく変動するのを防止することができる。
なお、本実施例では、加圧ロール2のプロセススピードは140mm/sであり、定着ベルト1は該加圧ロール2に従動して周速140mm/sで周回移動する。そして、ニップ部入り口の温度が、装置立ち上げ時に180℃、通常定着時に170℃となるように制御されており、1分間にA4用紙30枚の良好なカラー定着画像を形成することができる。この装置では、起動時に定着ベルトのウォーミングアップに要する時間は、1200Wの電力投入時に約10秒であり、非常に短い待ち時間で装置が使用可能な状態となる。このため、使用する時だけ電力を供給すればよく、スタンバイモードやローパワーモードを必要とせず、消費電力を低減することができる。
ここで、上記定着装置において、定着ベルト1の静止時の形状、すなわち自身の剛性によって維持される形状を基準として、定着ベルト1が周回移動したときの周面と直角方向への変位量を、該定着ベルトの周方向の所定の位置毎にレーザー変位計を用いて測定した結果を表1に示す。測定位置は、ニップ部内の中心位置を0°とし、定着ベルトの回転方向をプラスの角度として表すものとする。また、幅方向で最も変位が大きい中央部についてのみの測定とし、定着ベルトの周回駆動時において、上記基準から最も振れた量を最大変位量とする。通常、最大変位が生じるのは、定着ベルトの周回駆動開始時のニップ痕が残っている時であり、このニップ痕が定着ベルトの温度上昇につれて小さくなるのと共に、変位量も徐々に減少する。また、加熱されてニップ痕が解消したときの、定着ベルトの幅方向の各位置における変位量の平均値を平均変位量とし、定着ベルトの幅方向の中央部における変位量の最大値と最小値との差を定常時振れ幅とする。
Figure 0004052204
定着ベルト1はニップ部出口付近において最も大きく周面と直角方向に張り出し、表1によれば、90°の位置では最大変位量が2.5mm、平均変位量が1.4mmとなっている。本実施例の電磁誘導加熱装置5と被加熱体である10μmの銅層を有する定着ベルト1との組み合わせでは、コイルカバー5cと定着ベルト1の表面との距離は1.5mm以下にする必要があるため、定着ベルト1にニップ痕が残っている場合には、従来例のように、電磁誘導加熱装置が図1に示すA−A上の位置にあると、該定着ベルト1とコイルカバー5cとが接触してしまう。一方、105°の位置では最大変位量が1.3mmであり、さらに120°の位置では1mmであり、振れ幅や組立て公差を考慮しても定着ベルト1とコイルカバー5cとが接触するのを避けることができる。
本実施例における電磁誘導加熱装置5は、図1中に示す軸線A−A上の位置より下流側の軸線B−B上を中心として、コイル支持部材5b及びコイルカバー5cが定着ベルト1の外周面に沿って約180°の領域を覆い、励磁コイル5aが約160°の領域を覆うように配置されている。そして、この軸線B−B上の位置を軸線A−A上の位置より15°以上下流側に設定することによって、コイルカバー5cの上流側の端部がニップ中心より105°以上下流側に配置され、定着ベルト1とコイルカバー5cとの接触を防止することができる。
一方、ニップ部入口付近では平均変位量が小さく、定着ベルトは安定した形状を維持しているのに対して、ニップ部出口付近では定着ベルトの幅方向における中央部の変位量と両端部の変位量とに差がある。このため、従来のように、ニップ部出口付近で定着ベルトと対向するように励磁コイルが配置されている場合、定着ベルトの中央部と励磁コイルとが接近して発熱量が多くなり、幅方向に温度ムラが生じてしまう。本実施例では、中央部が両端部に対して約0.4mm張り出しており、従来の電磁誘導加熱装置の配置では、図8に示すように、中央部の温度が両端部より10℃高くなってしまう。
また、ニップ部入口付近では定常時振れ幅が0.1mmであるのに対し、ニップ部出口付近では0.2mmとなっている。このため、従来の電磁誘導加熱装置の配置では、ニップ部出口付近において定着ベルトの変位量によって発熱量が異なり、1周回(約90mm)で周方向に10℃の温度ムラが生じてしまう。結果として、光沢度の高い用紙に乗ったベタ画像では、目視によって光沢のムラが判別できてしまう。
そこで、平均変位量及び定常時振れ幅の比較的小さい105°より下流側に電磁誘導加熱装置を配置したところ、図8に示すように、中央部の温度と両端部の温度との差が約2度となった。そして、加熱効率が良好となって、ウォームアップタイムを10%(1秒)程短縮することができた。また、周方向の温度差も5℃となり、目視で光沢ムラが判別できない程度に良好な定着画像を得ることができた。
また、剥離補助部材8と励磁コイル5aとの距離が離れたので、剥離補助部材8を加熱することが無くなり、投入した電力を定着ベルトの加熱のみに使用することができ、非常に加熱効率の良い定着装置とすることが出来た。
ここで、電磁誘導加熱装置5の周方向の中心部の位置を、ニップ部の反対側つまりニップ中心より上下流側に等距離となる軸線A−A上の位置より45°以上、例えば50°下流側に設定すると、記録紙がニップ部に入る進入路が狭くなり、A3サイズの記録紙を定着する際に、記録紙の後端部分がニップ部に入る前に、電磁誘導加熱装置5に接触してしまい、記録紙上の未定着トナー画像が乱れて画像欠陥となるという問題が生じてしまう。よって、電磁誘導加熱装置5の周方向の中心部の位置は、軸線A−A上の位置から15°〜45°の範囲で下流側の位置に設定するのが好ましい。
本発明では、コイルカバーの厚さを1mmとし、コイルカバーとベルト表面との距離を1.5mmとしたが、強度、熱による変形などに問題が無ければ、コイルカバーの厚さを薄くすることも当然可能であり、薄くすることで距離が広がり、ベルトとコイルとが接触する危険が減るし、逆に薄くした分、電磁誘導加熱装置とベルト表面との距離を近づけて、磁気的結合を強めても良い。また、ベルトの変位が最大となり最も接触の危険が大きいニップ出口側において、コイルカバーを部分的に削り、クリアランスを広げても良い。
本願に係る発明の一実施形態である定着装置の概略断面図である。 本願に係る発明の一実施形態である定着装置の概略正面図である。 図1に示す定着装置で用いられる定着ベルトを示す拡大断面図である。 図1に示す定着装置で用いられる押圧パッドを示す概略形状図である。 図1に示す定着装置で用いられるパッド支持部材及びガイド部材を示す概略 斜視図である。 電磁誘導加熱装置が有する励磁コイルの配置を示す図である。 周回駆動される定着ベルトの形状を示す平面図である。 本実施例の定着ベルトの幅方向の温度を示す図である。
符号の説明
1:定着ベルト、 2:加圧ロール、 3:押圧パッド、 4:パッド支持部材、 5:電磁誘導加熱装置、 6:ガイド部材、 7:金属ロール、 8:剥離補助部材、 9:摺動シート、 3a:台座、 3b:弾性部材、 5a:励磁コイル、 5b:コイル支持部材、 5c:コイルカバー、 5d:励磁回路

Claims (2)

  1. 周方向に無張架状態で周回が可能に支持された無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの外周面が押圧され、回転駆動されることによって前記定着ベルトを周回駆動する加圧ロールと、
    前記定着ベルトの内周面に当接され、該定着ベルトを前記加圧ロールに押しつける押圧部材と、
    前記定着ベルトの外周面と間隙をおいて対向するように配置され、前記定着ベルトが有する金属層に渦電流を誘導して発熱させる電磁誘導加熱装置と、を有し、
    前記押圧部材は、前記定着ベルトの内周面に接触する弾性体と、この弾性体を背面側で支持する基部とを有するものであり、
    該弾性体は、前記押圧部材の圧接によって、前記定着ベルトの周回方向の上流側より下流側へ大きく突き出すように変形し、
    前記定着ベルトは前記弾性体が上流側及び下流側に突き出した部分の先端に沿って案内されて、下流側の曲率が上流側より大きくなっており、
    前記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、前記定着ベルトの加圧ロールとの圧接部分から上下流側へほぼ等距離となる位置より下流側で、該定着ベルトに対向するように支持されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記電磁誘導加熱装置は、該電磁誘導加熱装置の周方向における中心部が、前記弾性体が押圧された位置の下流側で大きな曲率で曲げ回される位置から、前記定着ベルトの周回方向における上下流側へほぼ等距離となる位置で該定着ベルトに対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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