JP4048781B2 - D級増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ信号をパルス信号に変換して電力増幅するD級増幅器(デジタルアンプ)に関し、特に電源の投入時または遮断時等に発生するいわゆるポップノイズを抑制するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、音楽信号などのアナログ信号をパルス信号に変換して電力増幅するD級増幅器が知られている。このD級増幅器によれば、アナログ信号に応じたパルス幅を有するパルス信号が出力され、このパルス信号がローパスフィルタを通過することにより、電力増幅されたアナログ信号が得られる。D級増幅器は、シリコンチップ上に形成できるため、小型かつ安価に実現することができ、低消費電力が要求される携帯端末やパソコンなどに多用されている。
【0003】
図9に、D級増幅器を用いたオーディオ装置の構成例を示す。同図において、信号源SIGは、アナログ量の音楽信号の発生源であり、直流成分をカットするための入力コンデンサCINを介してD級増幅器DAの入力端子TINに接続される。D級増幅器DAは、出力段側に現れる信号を入力段側に負帰還させることにより自走するように構成されたいわゆる自走式PWM増幅器であり、自走により得られる発振信号成分をキャリア信号とし、このキャリア信号を音楽信号に基づきパルス幅変調してパルス信号を出力する。
【0004】
D級増幅器DAの出力段には、CMOS構成された一対のパワーMOSトランジスタが設けられ、これらパワーMOSトランジスタにより出力端子TOUTを介してパルス信号を外部に出力する。出力端子TOUTは、インダクタLoおよびコンデンサCoからなるローパスフィルタとリレーRLYとを介してスピーカSPKの一方の入力端子に接続され、このスピーカSPKの他方の入力端子は接地される。
【0005】
このように構成されたオーディオ装置によれば、D級増幅器DAが信号源SIGからアナログ量の音楽信号を入力し、この音楽信号をパルス幅に反映させてデジタル量のパルス信号に変換される。D級増幅器DAから出力されたパルス信号は、インダクタLoおよびコンデンサCoからなるローパスフィルタによりキャリア周波数成分が除去される。これによりパルス信号から音楽信号が抽出され、リレーRLYを介してスピーカSPKに供給される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、増幅器の電源投入時や電源遮断時等にいわゆるポップノイズが発生することが知られており、このポップノイズは、増幅器の入力部から出力部までの間に存在する各種の回路の動作状態が不安定となることに起因している。すなわち、D級増幅器の入力部から出力部に至る信号の伝達経路には遅延が存在するため、この伝達経路上の各回路の動作が安定するまでに時間を要する。この動作が不安定な状態では信号状態も不安定となり、この状態での信号がスピーカを駆動してポップノイズを発生させる。このポップノイズは、何の対策も講じられないと、大きなノイズとして現れ、スピーカを破壊することもある。
【0007】
そこで、一般には、上述のポップノイズの発生を抑えるため、図9に示すように、D級増幅器DAの出力端子TOUTとスピーカSPKの入力端子との間にリレーRLYを設けている。このリレーRLYをD級増幅器DAの内部動作が安定するまで開放状態に制御し、スピーカSPKに対する音楽信号の供給経路を遮断することにより、一時的にミュート状態に制御してポップノイズの発生を抑制している。
【0008】
しかしながら、上述のポップノイズの発生を抑制するための従来技術によれば、リレーRLYを用いてポップノイズの発生を確実に抑えるためには、D級増幅器DAの内部動作が安定するまでリレーRLYを長時間にわたって開放状態に維持し、ミュート状態を解除するまでに十分な待ち時間を要するという問題がある。特に、単一電源仕様の場合、周波数特性を改善するためには入力用のコンデンサCINの値を大きく設定する必要があり、このコンデンサCINの値を大きくすると、信号伝達経路上の遅延成分がますます増加し、ミュート状態を解除するまでの待ち時間をさらに延ばさなければならない。
また、D級増幅器自体は小型かつ安価に実現できるにもかかわらず、ミュート状態に制御するためのリレーRLYが大型かつ高価であるため、D型増幅器のメリットが滅却され、オーディオ装置が大型化すると共に高価になるという問題もある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ミュート状態を解除するまでの待ち時間を有効に短縮することができ、リレーなどの大型で高価な部品を用いることなく、ポップノイズの発生を有効に抑えることができるD級増幅器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は以下の構成を有する。
即ち、請求項1に記載された発明に係るD級増幅器は、電源投入の際に一時的にミュート状態となるように構成されたD級増幅器において、外部から第1の信号を反転入力端子に入力すると共に基準電圧を非反転入力端子に入力し、前記基準電圧を振幅の中心とする第2の信号を出力する反転帰還型のオペアンプ(例えばオペアンプOPAに相当する構成要素)と、前記第2の信号をパルスの幅に反映させて前記第2の信号をパルス信号に変調する変調回路(例えば変調回路MODに相当する構成要素)と、前記変調回路により変調されたパルス信号を外部に出力する駆動回路(例えば駆動回路DRVに相当する構成要素)と、前記電源投入に応答して、前記基準電圧が現れるべきノードの電圧を該基準電圧とは異なる所定電圧に一時的に設定し、前記ノードの電圧を前記所定電圧から前記基準電圧に変化させる電圧設定回路(例えば電圧設定回路VSETに相当する構成要素)と、前記ノードの電圧が前記基準電圧に変化する過程において前記ノードの電圧と前記第2の信号の電圧とが略等しくなったときに前記ミュート状態を解除するミュート状態制御回路(例えばミュート状態制御回路MCTLに相当する構成要素)と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明の構成によれば、電圧設定回路により、基準電圧が現れるべきノードの電圧(即ち非反転入力端子の電圧)が所定電圧に設定される過程において、オペアンプの特性上、反転入力端子と非反転入力端子との間が仮想的に短絡された状態を維持するようにしてオペアンプが動作するため、非反転入力端子の電圧に追従してオペアンプの出力信号である第2の信号の電圧が変化する。
【0012】
続いて、上記ノードの電圧が所定電圧に到達したあと、基準電圧に向けて変化を開始し、オペアンプの反転入力端子と非反転入力端子との間の電位差がゼロを維持するように第2の信号の電圧も変化を開始する。この第2の信号の電圧が変化する過程において、上記ノードの電圧と第2の信号の電圧とがクロスし、これらの電圧が略等しくなる場合が起こる。ミュート状態解除回路は、上記ノードの電圧と第2の信号の電圧とが略等しくなったときにミュート状態を解除する。
【0013】
このとき、オペアンプの出力電圧である第2の信号の電圧は、その振幅の中心となる基準電圧が現れる上記ノードの電圧に略等しい状態となるから、見かけ上、無信号状態となる。このため、後段側に接続された変調回路および駆動回路も無信号状態となり、スピーカの一対の入力端子に供給される電圧が等しくなる結果、スピーカが駆動されない状態となる。従って、上記ノードの電圧と第2の信号の電圧とが略等しくなったときにミュート状態を解除しても、ポップノイズは発生しない。
【0014】
また、上記ノードの電圧と第2の信号がクロスした後、第2の信号は、減衰振動しながら上記ノードの電圧と第1の信号の電圧と応じて決定される電圧に向けて安定するように変化する。この過程において第2の信号の振動周期は可聴範囲にはなく、従ってこの過程でもポップノイズは事実上発生しない。
よって、この発明の構成によれば、スピーカを駆動しない無信号状態に各部の回路動作を早期に安定させるので、ミュート状態を解除するまでの待ち時間を有効に短縮することが可能になる。
【0015】
請求項2に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項1に記載されたD級増幅器において、前記電圧設定回路が、前記電源と前記ノードとの間に電流経路が接続されたスイッチ回路(例えばスイッチ104および抵抗105からなるスイッチ回路に相当する構成要素)と、前記基準電圧が現れるべきノードの電圧と前記所定電圧とを比較し、前記ノードの電圧が前記所定電圧に到達したことを検出するためのノード電圧検出用のコンパレータ(例えばコンパレータ107に相当する構成要素)と、前記コンパレータの出力信号をセット端子に入力すると共に前記電源投入に応答して発生される所定の信号をリセット端子に入力し、リセット状態にあるときに前記スイッチ回路を閉状態に制御すると共にセット状態にあるときに前記スイッチ回路を開状態に制御するスイッチ制御用のセット・リセット型フリップフロップ(例えばセット・リセット型のフリップフロップ108に相当する構成要素)と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明の構成によれば、スイッチ回路は電源の投入を受けて閉じる。スイッチ回路が閉じると、基準電圧が現れるべきノードが充電され、その電圧が所定の電圧に向けて変化する。そして、上記ノードの電圧が所定電圧を超えるとコンパレータの出力が反転し、上記ノードの電圧が所定電圧に到達したことが検出される。この検出結果を受けて、セット・リセット型のフリップフロップがセット状態に遷移してスイッチ回路を閉じる結果、上記所定のノードの電圧が基準電圧に向けて変化を開始する。従って、この構成によれば、電源投入に応答して、上記ノードの電圧を所定電圧に一時的に設定し、上記ノードの電圧を所定電圧から基準電圧に変化させることが可能になる。
【0017】
請求項3に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項2に記載されたD級増幅器において、前記ミュート状態制御回路が、前記基準電圧が現れるべきノードの電圧と前記第2の信号の電圧とを比較し、前記第2の信号の電圧が前記ノードの電圧に略等しくなったことを検出するための信号電圧検出用のコンパレータ(例えばコンパレータ200に相当する構成要素)と、前記信号電圧検出用のコンパレータの出力信号をセット端子に入力すると共に前記スイッチ制御用のセット・リセット型フリップフロップの出力信号をリセット端子に入力し、リセット状態にあるときに前記駆動回路を非活性状態に制御すると共にセット状態にあるときに前記駆動回路を活性状態に制御する駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップ(例えばセット・リセット型のフリップフロップ201に相当する構成要素)と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明の構成によれば、第2の信号と上記ノードの電圧との大小関係に応じてコンパレータの出力信号が反転し、第2の信号の電圧が上記ノードの電圧に略等しくなったことが検出される。この検出結果を受けて、セット・リセット型のフリップフロップがセット状態となり駆動回路を活性状態に制御する。これによりミュート状態が解除される。従って、この構成によれば、上記ノードの電圧と第2の信号の電圧が略等しくなったときに、ミュート状態を解除することが可能になる。
【0019】
請求項4に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項3に記載されたD級増幅器において、前記駆動回路が、出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタ(例えばPMOSトランジスタ405に相当する構成要素)と、前記出力端子をロウレベルに駆動するためのNMOSトランジスタ(例えばNMOSトランジスタ406に相当する構成要素)と、駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがリセット状態にある場合に前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記NMOSトランジスタをオン状態とし、前記駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがセット状態にある場合に前記変調回路の出力信号に応答して前記PMOSトランジスタと前記NMOSトランジスタとを相補的にオン状態またはオフ状態とするゲート制御回路(例えば論理和ゲート回路400,401からなるゲート回路に相当する構成要素)と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この発明の構成によれば、駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがリセット状態の場合、NMOSトランジスタがオン状態となり、一対の出力端子を共にロウレベルに駆動する。これにより、スピーカの一対の入力端子に同相の信号が供給され、一対の出力端子間にはスピーカを駆動するための電流が発生し得ない状態となる。従って、リレーを用いることなくミュート状態を実現することが可能になる。また、駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがセット状態に遷移し、ミュート状態が解除されると、変調回路の出力信号に応答してPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとが相補的に導通し、パルス信号が出力される。
【0021】
請求項5に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項3に記載されたD級増幅器において、前記電源の電圧変動(例えば電圧低下)を検出する検出回路をさらに備え、前記駆動回路が、出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタ(例えばPMOSトランジスタ405に相当する構成要素)と、前記出力端子をロウレベルに駆動するための第1のNMOSトランジスタ(例えばNMOSトランジスタ406に相当する構成要素)と、前記第1のNMOSトランジスタと並列接続され、前記出力端子をロウレベルに維持し得る限度において前記第1のNMOSトランジスタよりも電流駆動能力が小さく設定された第2のNMOSトランジスタ(例えばNMOSトランジスタ407に相当する構成要素)と、前記駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがセット状態にあり且つ前記検出回路が電圧の変動を検出していない場合に前記変調回路の出力信号に応答して前記PMOSトランジスタと前記NMOSトランジスタとを相補的に導通状態を制御し、駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがリセット状態に変化した場合または前記検出回路により電圧の変動が検出された場合に前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記第1のNMOSトランジスタを一時的にオン状態とした後に前記第2のNMOSトランジスタを固定的にオン状態に制御するゲート制御回路(例えば論理和ゲート回路400,401、論理積ゲート回路402、遅延回路403、インバータ404からなるゲート回路に相当する構成要素)と、を備えて構成されたことを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項1ないし5の何れか1項に記載されたD級増幅器において、前記反転帰還型のオペアンプの反転入力端子と出力端子との間に、前記電圧設定回路の出力信号に基づき開閉するスイッチを設けたことを特徴とする。
請求項7に記載された発明に係るD級増幅器は、請求項5に記載されたD級増幅器において、前記検出回路の出力信号から高域成分を除去するローパスフィルタをさらに備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載された発明に係るD級増幅器は、外部から第1の信号を反転入力端子に入力すると共に基準電圧を非反転入力端子に入力し、前記基準電圧を振幅の中心とする第2の信号を出力する反転帰還型のオペアンプと、前記第2の信号をパルスの幅に反映させて前記第2の信号をパルス信号に変調する変調回路と、前記変調回路により変調されたパルス信号を入力し、一対の出力端子を介して前記パルス信号の相補信号を外部に出力すると共に、ミュート時には強制的に前記一対の出力端子を共にロウレベルまたはハイレベルに駆動するBTL型の駆動回路と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
この発明の構成によれば、ミュート時には一対の出力端子を共にロウレベルまたはハイレベルに駆動し、スピーカの一対の入力端子に同相の信号を供給する。従って、一対の出力端子間にはスピーカを駆動するための電流が発生し得ず、リレーを用いることなくミュート状態を実現することが可能になる。しかも、例えば製品テストの一種であるショート試験の際に、一対の出力端子がショートされたとしても、これによるショート電流(大電流)が発生しない。
【0025】
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載されたD級増幅器において、前記駆動回路が、前記一対の出力端子のそれぞれに対し、前記出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタと、前記出力端子をロウレベルに駆動するための第1のNMOSトランジスタと、前記第1のNMOSトランジスタと並列接続され、前記出力端子をロウレベルに維持し得る限度において前記第1のNMOSトランジスタよりも電流駆動能力が小さく設定された第2のNMOSトランジスタと、ミュート状態に設定するための所定の信号を受けて前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記第1のNMOSトランジスタを一時的にオン状態とした後に前記第2のNMOSトランジスタを固定的にオン状態に制御するゲート制御回路と、を備えて構成されたことを特徴とする。
【0026】
この発明の構成によれば、第1のNMOSトランジスタが一時的にオン状態となることにより、出力端子を早急にロウレベルに駆動する。そして、その後、第2のNMOSトランジスタがオン状態となって、ロウレベルを維持する。従って、ミュート状態において出力端子に外部から電圧が印加されたとしても、電流駆動能力が小さな第2のNMOSトランジスタのみがオン状態にあり、負荷を駆動するために電流駆動能力が確保されたPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタはオフ状態にあるから、これらのトランジスタを介して過大な電流が流れることはなく、この種の電流に起因したトラブルの発生を防止することが可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1に、この実施の形態1に係るD級増幅器DAMPの構成および適用例を示す。同図において、信号源SIGは、接地電位(0V)を振幅の中心とする音楽信号(アナログ信号)の発生源である。この実施の形態1では、音楽信号をアナログ量の信号とするが、ディジタル量であってもよい。入力コンデンサCINは、信号源SIGが発生する音楽信号から直流成分を除去するためのものである。入力コンデンサCINにより直流成分が除去された信号は、音楽信号VIN(第1の信号)としてD級増幅器DAMPの入力端子TIに与えられる。
【0028】
D級増幅器DAMPは、音楽信号VINをパルスの幅に反映させてパルス信号に変換することにより音楽信号VINを電力増幅するものであり、いわゆる自走式PWM増幅器として構成されている。また、このD級増幅器DAMPは、BTL形式で負荷を駆動するように構成されており、一対の出力端子TA,TBを備えている。さらに、このD級増幅器DAMPには電源VCCと接地GNDが供給され、単一電源(VCC)で動作するように構成されている。このD級増幅器DAMPの詳細な構成については後述する。
【0029】
D級増幅器DAMPの一方の出力端子TAは、インダクタLAおよびコンデンサCAからなるローパスフィルタを介してスピーカSPKの一方の入力端子に接続され、他方の出力端子TBは、インダクタLBおよびコンデンサCBからなるローパスフィルタを介してスピーカSPKの他方の入力端子に接続される。これらローパスフィルタの定数は、出力端子TA,TBを介してD級増幅器DAMPから出力されるパルス信号からキャリア周波数成分を除去し、かつ音楽信号成分のみを通過させるように設定される。
【0030】
ここで、上述のD級増幅器DAMPの構成を説明する。
抵抗RA1,RA2およびオペアンプOPAは、反転増幅器を構成し、D級増幅器DAMPの入力段として機能する。抵抗RA1は、オペアンプOPAの入力抵抗であり、その一端はオペアンプOPAの反転入力部に接続され、その他端は入力端子TIに接続される。抵抗RA2は、オペアンプOPAの帰還抵抗であり、オペアンプOPAの反転入力部と出力部との間に接続される。オペアンプOPAの非反転入力部には、基準電圧VREFが与えられる。この基準電圧VREFは、後述する電圧設定回路VSETで発生され、外部端子TRを介して外付けされたコンデンサCREFで安定化されてオペアンプOPAに供給される。
【0031】
この実施の形態1では、抵抗RA1と抵抗RA2とをほぼ等しく設定し(即ち、RA1=RA2)、オペアンプOPAを主体として構成された反転増幅器の増幅度を「1」とする。従って、この反転増幅器は、接地電位を振幅の中心とする音楽信号VIN(第1の信号)を、基準信号VREFを振幅の中心とする信号INA(第2の信号)に変換するレベルシフタとして機能する。ただし、信号VINに対して信号INAの位相は反転したものとなる。
【0032】
上述のオペアンプOPAの出力部には、抵抗RB1,RB2およびオペアンプOPBからなる反転増幅器の入力部が接続される。抵抗RB1は、オペアンプOPBの入力抵抗であり、上述のオペアンプOPAの出力部とオペアンプOPBの反転入力部の間に接続される。抵抗RB2は、オペアンプOPBの帰還抵抗であり、オペアンプOPBの反転入力部と出力部との間に接続される。オペアンプOPBの非反転入力部には上述の基準電圧VREFが共通に与えられる。
【0033】
ここでも抵抗RB1と抵抗RB2はほぼ等しいものとし(即ち、RB1=RB2)、オペアンプOPBを主体として構成された反転増幅器の増幅度を「1」とする。従って、音楽信号VINは、基準電圧VREFを振幅の中心として互いに逆位相の関係にあるアナログ量の信号INAおよび信号INBに変換され、これら信号INA,INBは変調回路MODに与えられる。
【0034】
変調回路MODは、出力信号を負帰還させて自走(発振)することによりアナログ量の信号INA,INBを1つのパルス信号に変換するものであり、このパルス信号の幅に信号INA,INBの振幅成分を反映させる。駆動回路DVRは、変調回路MODにより変調されたパルス信号をBTL形式で外部に出力するもので、互いに逆位相の関係にある一対のパルス信号を出力端子TA,TBに出力する。これら変調回路MODおよび駆動回路DVRの構成については後述する。
【0035】
電圧設定回路VSETは、上述の基準電圧VREFを発生すると共に、この基準電圧VREFを一時的に所定電圧に設定するものである。ミュート状態制御回路MCTLは、 基準電圧VREFが現れるべきノードQの電圧が、基準電圧VREFに変化する過程において信号INAの電圧と略等しくなったときにミュート状態を解除するものである。
【0036】
図2に電圧設定回路VSETの構成を示す。
同図において、抵抗100,101,102,103は、電源VCCと接地GNDとの間にこの順に直列接続され、抵抗101と抵抗102との間のノードPにVCC/2の電圧が現れるように各抵抗の値が設定されている。また、電源VCCと外部端子TRとの間には、スイッチ104と抵抗105を直列接続してなるスイッチ回路(符号なし)が接続され、抵抗105と外部端子TRとの間のノードQと、上述のノードPとの間には抵抗106が接続される。ここで、スイッチ104が閉じた状態では、抵抗100と抵抗101との間のノードRよりもノードQの電圧が高くなり、スイッチ104が開いた状態では、これらのノードの電圧の大小関係が逆転するように、抵抗105および抵抗106の値が設定される。
【0037】
上述のノードQとノードRとには、それぞれノード電圧検出用のコンパレータ107の非反転入力部と反転入力部とが接続される。このコンパレータ107の出力部は、セット・リセット型のフリップフロップ108のセット入力部に接続され、そのリセット入力部にはいわゆるパワーオンリセット信号PORが与えられる。このパワーオンリセット信号PORは、電源投入時にD級増幅器内部で発生されるパルス信号であって、回路の各部を初期化するために電源の立ち上がりを検出して生成されるものである。フリップフロップ108の出力信号は、制御信号SEQとしてスイッチ104の制御端子に与えられ、このスイッチ104を導通制御する。また、制御信号SEQは、後述するミュート状態制御回路MCTLに供給され、その動作の制御に使用される。
【0038】
図3に、ミュート状態制御回路MCTLの構成を示す。
同図において、抵抗RA1,RA2、オペアンプOPA、コンデンサCREFは、上述の図1に示すものである。ミュート状態制御回路MCTLは、コンパレータ200、セット・リセット型のフリップフロップ201、論理和ゲート回路202、およびスイッチ203から構成される。ここで、コンパレータ200の非反転入力部は、基準電圧VREFが現れるノードQ、即ちオペアンプOPAの非反転入力部と、外部端子TRとに接続され、反転入力部は、オペアンプOPAの出力部に接続される。
【0039】
フリップフロップ201のセット入力部にはコンパレータ200の出力部が接続され、リセット入力部には上述の制御信号SEQが与えられる。このフリップフロップ201の出力部は負論理出力となっており、論理和ゲート回路202の入力部に接続される。この論理和ゲート回路202には、フリップフロップ201の出力信号の他、ミュート状態を制御するためのミュート制御信号MUTEが外部より入力される。
【0040】
図3では、論理和ゲート回路202に信号MUT2も入力されているが、この信号は後述する実施の形態2で使用する信号であり、この実施の形態1では使用しない。従って、この実施の形態では、信号MUT2はロウレベルに固定されているものとする。
論理和ゲート回路202の出力信号は、ミュート状態を制御するための制御信号MUTとして駆動回路DRVに与えられる。スイッチ203は、帰還用の抵抗RA2と並列に、オペアンプOPAの出力部と反転入力部との間に接続され、上述の信号SEQに基づき導通制御される。
【0041】
図4に、変調回路MODおよび駆動回路DRVの構成を示す。
変調回路MODは、差分積分回路30と、コンパレータ31と、抵抗RINA,RINB,RNFA,RNFBから構成される。ここで、差動積分回路30は、入力段をなすオペアンプOPA,OPBからのアナログ信号INA,INB及びPWM増幅器出力の帰還信号が入力される反転入力端子IN-および非反転入力端子IN+からなる一対の差動入力端子と、2つの積分信号を出力する非反転出力端子OUT+および反転出力端子OUT-からなる一対の差動出力端子とを備えた同相帰還型のオペアンプ300と、オペアンプ300の反転入力端子IN-と非反転出力端子OUT+との間に接続される積分用コンデンサ301と、オペアンプ300の非反転入力端子IN+と反転出力端子OUT-との間に接続される積分用コンデンサ302とを有している。オペアンプ300は、非反転出力端子OUT+および反転出力端子OUT-から、常に基準電圧VREFを基準とする差動出力信号のみを出力するように構成されている。
【0042】
また、コンパレータ31は、抵抗311,312,313,314と、オペアンプ310とからなり、オペアンプ310の非反転入力端子は抵抗312を介して差動積分回路30におけるオペアンプ300の非反転出力端子OUT+に接続され、オペアンプ310の反転入力端子は抵抗314を介して差動積分回路30におけるオペアンプ300の反転出力端子OUT-に接続されている。
さらに、オペアンプ310の非反転入力端子は抵抗311を介して後述する駆動回路DRVの一方の出力端に接続され、かつオペアンプ310の反転入力端子は抵抗313を介して駆動回路DRVの他方の出力端に接続され、2つの差動入力端子に正帰還がかけられ、ヒステリシス特性を有するコンパレータ31を構成している。
【0043】
駆動回路DRVは、インバータ32,33と、出力バッファ回路40,41とからなる。上述の変調回路MODの出力信号はインバータ32の入力部に与えられ、このインバータ32の出力信号は出力バッファ回路40に与えられると共にインバータ33で反転されて出力バッファ回路41に与えられる。即ち、変調回路MODから出力されるパルス信号と逆位相のパルス信号が出力バッファ回路40に与えられ、同位相のパルス信号が出力バッファ回路41に与えられる。
【0044】
出力バッファ回路40は、論理和ゲート回路400,401、論理積ゲート回路402、遅延回路403、インバータ404、PMOSトランジスタ405、NMOSトランジスタ406,407から構成される。ここで、PMOSトランジスタ405およびNMOSトランジスタ406の各電流駆動能力は、出力端子に接続された負荷を十分に駆動し得るように設定され、NMOSトランジスタ407の電流駆動能力は、出力端子TAをロウレベルに維持し得る限度において小さく設定されている。ここで、NMOSトランジスタ407のオン抵抗値は、例えば、NMOSトランジスタ406のオン抵抗値よりも1桁ないし2桁ほど大きな値に設定され、望ましくはNMOSトランジスタ406のオン抵抗値の30〜70倍程度の値に設定される。
【0045】
論理和ゲート回路400,401の入力部にはインバータ32の出力信号と上述の制御信号MUTが共通に与えられ、論理和ゲート回路400の出力部はPMOSトランジスタ405のゲートに接続される。論理積ゲート回路402の一方の入力部には論理和ゲート回路401の出力部が接続され、他方の入力部には、上述の制御信号MUTが遅延回路403およびインバータ404を介して与えられる。
【0046】
NMOSトランジスタ406のゲートには論理積ゲート回路402の出力部が接続され、NMOSトランジスタ407のゲートには遅延回路403の出力部が接続される。PMOSトランジスタ405のソースは電源VCCに接続され、そのドレインはNMOSトランジスタ406,407のドレインに接続される。これらNMOSトランジスタ406,407のソースは共に接地される。MOSトランジスタ405のドレインとNMOSトランジスタ406,407のドレインとの接続点は出力端子TAに接続される。
【0047】
上述の論理和ゲート回路400,401、論理積ゲート回路402、遅延回路403、インバータ404は、PMOSトランジスタ405、NMOSトランジスタ406,407を導通制御するためのゲート回路を構成する。
出力バッファ回路41は、上述の出力バッファ回路40と同様に構成される。ただし、入力部には変調回路MODが出力するパルス信号と同位相のパルス信号がインバータ33から入力され、出力部は出力端子TBに接続される。
【0048】
出力バッファ回路40の出力端は、第1の帰還回路としての帰還用抵抗RNFAを介して差動積分回路30におけるオペアンプ300の反転入力端子IN-に接続され、出力バッファ回路41の出力端は第2の帰還回路としての帰還用抵抗RNFBを介して差動積分回路30におけるオペアンプ300の非反転入力端子IN+に接続されている。また、オペアンプ300の反転入力端子IN-は入力抵抗RINAを介して図1に示すオペアンプOPAの出力部に接続され、オペアンプ300の非反転入力端子IN+は入力抵抗RINBを介して同図に示すオペアンプOPBの出力部に接続される。
【0049】
(動作の説明)
以下、この実施の形態1の動作について、一般的な増幅動作を説明した後、本発明の特徴である電源の投入時におけるミュート制御動作を説明する。
A.増幅動作
図1に示す構成において、信号源SIGより入力コンデンサCINを介して音楽信号VINがD級増幅器DAMPの入力端子TIに与えられると、抵抗RA1,RA2およびオペアンプOPAからなる反転増幅器は、接地電圧(0V)を振幅の中心とする音楽信号VINを基準電圧VREF分だけシフトさせ、基準電圧VREFを振幅の中心とする信号INAを生成し、これを変調回路MODに与える。この信号INAは、抵抗RB1,RB2およびオペアンプOPBからなる反転増幅器により反転され、信号INBとして変調回路MODに与えられる。
【0050】
続いて、図4に示す構成において、信号INA,INBが入力抵抗RINA,RINBを介してオペアンプ300の反転入力端子IN-、非反転入力端子IN+に入力されるとともに、オペアンプ300の反転入力端子IN-、非反転入力端子IN+にはそれぞれ、帰還用抵抗RNFA,RNFBを介して出力バッファ回路40,41の出力信号の一部が負帰還される。
【0051】
差動積分回路30では、信号INAと帰還用抵抗RNFAを介して負帰還される出力バッファ回路40の出力信号(スイッチング信号)との差分と、信号INBと帰還用抵抗RNFBを介して負帰還される出力バッファ回路41の出力信号(スイッチング信号)との差分との差を等価的に積分し、互いに極性の異なる2つの積分信号をコンパレータ310に出力する。コンパレータ310では、オペアンプ300より入力された2つの積分信号を比較し、信号INA,INBに応じたパルス幅を有する2値のPWM信号に変換する。
【0052】
コンパレータ310から出力されるPWM信号は駆動回路DRVを構成するインバータ32に入力される。インバータ32は、PWM信号を反転させて出力バッファ回路40に与える。出力バッファ回路40は、PWM信号の反転信号に基づき動作してパルス信号V3aを出力端子TAに出力する。また、PWM信号はインバータ32,33を介して出力バッファ回路41に入力され、出力バッファ回路41は、PWM信号の同相信号に基づき動作してパルス信号V3bを出力端子TBに出力する。これと同時に、出力バッファ回路40、41の出力信号V3a,V3bは、帰還用抵抗RNFA,RNFBを介して差動積分回路30を構成するオペアンプ300の反転入力端子IN-、非反転入力端子IN+に、それぞれ負帰還され、これにより自走状態となる。
【0053】
図5に、自走状態にある場合のオペアンプ300の出力に現れる信号V1aと、コンパレータ310の入力部に現れる信号V2aと、駆動回路DRVの出力信号V3aの各波形を示す。なお、信号V1b、信号V2b、信号V3bについては記載されていないが、信号V1a、信号V2a、信号V3aに対して逆位相の信号波形になる。同図に示すように、オペアンプ300の出力信号V1aは三角波状の電圧波形となり、パルス信号V3aのパルス幅は信号V1aの位相に応じたものとなる。
【0054】
ここで、信号VINが入力されない状態、即ち信号VINが0Vに固定された状態では、図5(a)に示すように、パルス信号V3aのデューティは50%となる。これに対し、信号VINが入力された状態では、図5(b)に示すように、信号VINの振幅に応じて信号V1aの位相が変化し、信号V3aのデューティが変化する。即ちパルス信号V3aのパルス幅が音楽信号VINの振幅に応じて変調される。同様に、音楽信号VINにより変調された信号V3bを得る。
【0055】
出力バッファ回路40の出力信号V3aは、インダクタンスLA、コンデンサCAからなるローパスフィルタを介して、スピーカSPKの一方の入力端子に出力され、出力バッファ回路41の出力信号V3bは、インダクタンスLB、コンデンサCBからなるローパスフィルタを介して、スピーカSPKの他方の入力端子に出力される。このとき、自走によるキャリア周波数成分がローパスフィルタにより除去されて音楽信号成分のみがBTL形式でスピーカSPKに供給される。以上で、電力増幅動作を説明した。
【0056】
B.ミュート制御動作(電源投入時)
図6に示す波形図を参照して、電源VCCの投入時におけるミュート制御動作を説明する。電源VCCが投入される前の初期状態では、図2において、電源VCCの電圧は接地電圧に概ね等しい状態にあり、スイッチ104は開いた状態にある。この初期状態から図6に示す時刻t0において電源VCCが投入されると、増幅器内部の図示しない所定回路により電源VCCの投入が検出され、パワーオンリセット信号PORが発生される。このパワーオンリセット信号PORを受けて、図2に示すフリップフロップ108がリセット状態となり、信号SEQがロウレベルとなる。そして、ロウレベルの信号SEQを受けて、図3に示すフリップフロップ201がリセット状態となり、同図に示すミュート状態制御回路MCTLから信号MUTとしてハイレベルが出力される。
【0057】
ハイレベルとなった信号MUTを受けて、図4に示す出力バッファ回路40では、論理和ゲート回路400が出力信号S400としてハイレベルをPMOSトランジスタ405のゲートに出力し、PMOSトランジスタ405をオフ状態とする。また、同じく信号MUTを入力する論理和ゲート回路401はハイレベルを論理積ゲート回路402の一方の入力部に出力する。この論理積ゲート回路402の他方の入力部には、遅延回路403およびインバータ404を介して信号MUTの反転信号が与えられ、論理積ゲート回路402が出力信号S402としてロウレベルを出力する。
【0058】
ここで、NMOSトランジスタ406は、信号MUTがハイレベルになってから遅延回路403の遅延時間に相当する一定時間が経過するまでオン状態となり、その後にオフ状態に移行する。これにより、出力端子TAをロウレベルに駆動する。また、NMOSトランジスタ406がオフ状態になるタイミングに合わせて、遅延回路403の出力信号をゲートで受けるNMOSトランジスタ407がオン状態になり、出力端子TAをロウレベルに維持する。出力バッファ回路41も同様に動作し、ハイレベルの信号MUTを受けて出力端子TBをロウレベルに駆動して維持する。このように、電源が投入された直後には、出力端子TA,TBが共にロウレベルに駆動され、ミュート状態となる。
【0059】
上述の動作と並行して、図2において、フリップフロップ108がリセット状態になると、スイッチ104が閉じられ、これによりスイッチ104および抵抗105を介してコンデンサCREFが充電され、ノードQの電圧が徐々に上昇する。このとき、電源VCCの上昇に伴ってノードPの電圧も上昇するが、コンデンサCREFが接続されたノードQよりも、ノードPの電圧の上昇速度が速いため、ノードPの電圧がノードQの電圧よりも高い状態に維持される。この状態では、コンパレータ107の出力はロウレベルとなり、フリップフロップ108はリセット状態となる。
【0060】
このようにノードQの電圧が上昇すると、図3において、オペアンプOPAの反転入力部と非反転入力部とが略ゼロ(仮想短絡)となるように信号INAの電圧が応答する結果、図6に示すようにノードQの電圧と共に信号INAが上昇する。即ち、いま制御信号SEQによりスイッチ203は閉じた状態にあるので、オペアンプOPAの反転入力部と出力部とが同電位とされ、従ってオペアンプOPAの出力信号である信号INAは、反転入力部と仮想短絡された非反転入力部に与えられるノードQの電圧と共に上昇する。これにより、電源投入時に、基準電圧VREFを与えるノードQの電圧と、入力信号である音楽信号VINとの関係を一定に保ち、これらの関係が不安定になることに起因するポップノイズの発生が抑制された信号状態となる。
【0061】
そして、図2においてノードQの電圧がノードPの電圧(図6に示す所定電圧に相当する電圧)を越えると、コンパレータ107がハイレベルを出力し、これをセット入力部で受けるフリップフロップ108がセット状態になり、信号SEQとしてハイレベルを出力する。これを受けてスイッチ104が開き、コンデンサCREFの充電が停止する。この結果、図6に示す時刻t1において、ノードPの電圧が、抵抗100,101,102,103によって分圧して得られる基準電圧VREFに向かって安定するように降下を開始し、これによりノードQの電圧も基準電圧VREFに向かって安定するように降下を開始する。
【0062】
また、信号SEQがハイレベルになると、図3において、スイッチ203が開いた状態になり、帰還用の抵抗RA2が顕在化するため、オペアンプOPAの非反転入力部と反転入力部とが等電位(仮想短絡状態)を維持するように信号INAが応答する。この結果、信号INAの電圧が瞬時的に上昇し、その後、降下を開始する。この降下の過程において、図6に示す時刻t2においてノードQの電圧と信号INAとがクロスし、これらが略同電圧となる場合が起こる。この場合、見かけ上、信号INAが、その振幅の中心となるべき基準電圧が現れるノードQの電圧に等しくなるから、オペアンプOPAはいわば無信号状態となる。従って、この信号INAを入力する後段側の回路も無信号状態となり、この状態では、スピーカSPKが駆動されることはない。
【0063】
そして、信号INAの電圧がノードQの電圧をクロスして、信号INAの電圧がノードQの電圧よりも低くなると、コンパレータ200がハイレベルを出力し、これをセット入力部で受けるフリップフロップ201がセット状態に移行する。これにより論理和ゲート回路202から出力される信号MUTがロウレベルになり、これを受けて図4に示す駆動回路DRVが活性状態になり、ミュート状態が解除される。この後、信号INAは減衰振動しながら、ノードQの電圧に漸近し、最終的には基準電圧VREFに安定する。ここで、信号INAの振動周期は可聴範囲にないので、仮に信号INAの減衰振動に伴ってスピーカSPKを駆動する信号成分が発生したとしても、ポップノイズとしては顕在化しない。
以上説明したように、電源投入時には早期に回路状態を無信号状態に安定化させることが可能となり、ミュートを解除する時期を早めることが可能になる。
なお、この実施の形態1では、コンパレータ200を用いてノードQの電圧と信号INAとを比較するものとしている都合上、信号INAがノードQの電圧よりも低くなった場合にミュート状態を解除するものとしているが、このことは、事実上、信号INAとノードQの電圧とが等しくなったことを検出してミュートを解除することを意味している。もちろん、コンパレータ200に代えて、信号INAとノードQの電圧とが等しくなったことを直接的に検出する手段を用いてもよい。
【0064】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2を説明する。
上述の実施の形態1では、電源投入時に発生するポップノイズを抑制するものとしたが、この実施の形態2では、さらに電源遮断時や電源電圧が急激に変化した際に発生するポップノイズを抑制する。
この実施の形態2に係るD級増幅器は、上述の実施の形態1の構成において、図1および図2に示す電圧設定回路VSETに代え、図7に示す電圧設定回路VSET2を備える。図7において、図2に示す要素と共通する要素には同一符号を付す。
【0065】
ここで、電圧設定回路VSET2は、上述の実施の形態1に係る電圧設定回路VSETの構成に加え、コンパレータ500,501、論理和ゲート回路502、ローパスフィルタ503をさらに備える。コンパレータ500の非反転入力部は抵抗102と抵抗103との接続点であるノードSに接続され、その反転入力部はノードQに接続される。コンパレータ501の非反転入力部には基準電圧VREF2が印加され、その反転入力部はノードPに接続される。基準電圧VREF2は、電源電圧が低下したことを判定するための基準を与えるもので、例えばバンドギャップ型の基準電圧発生回路を用いて生成される。ここで、抵抗100,101,102,103,106、キャパシタCREF、およびコンパレータ107,500,501は、電源Vccの電圧変動を検出するための検出回路を構成する。
【0066】
コンパレータ107,500,501の出力部は、論理和ゲート回路502の入力部に接続され、この論理和ゲート回路502の出力部はローパスフィルタ503の入力部に接続される。ローパスフィルタ503の出力部に現れる信号は、ミュート状態を制御するための信号MUT2とされ、上述の実施の形態1に係る信号MUTに代えて図4に示す出力バッファ回路40,41に供給される。
【0067】
以下、この実施の形態2の動作を説明する。
この実施の形態2では、コンパレータ107,500,501により電源状態を検出し、電源VCCの電圧が急激に変化した場合や一定レベル以下に低下した場合に駆動回路DRVをミュート状態に制御する。即ち、コンパレータ107は、上述の実施の形態1において説明したように、電源投入時にノードQの電圧が所定電圧に到達したことを検出するものであると共に、電源電圧の急激な降下を検出するものとして機能する。また、コンパレータ500は、電源電圧の急激な上昇を検出するものとして機能する。さらに、コンパレータ501は、電源電圧が一定レベル(基準電圧VREF2)以下にあることを検出するものとして機能する。以下、順に説明する。
【0068】
まず、電源VCCが規定の電源電圧(5V)にある場合、ノードQの電圧がノードRの電圧よりも低くなり、コンパレータ107がロウレベルを出力する。また、ノードQの電圧はノードSの電圧よりも高くなり、コンパレータ500がロウレベルを出力する。さらに、ノードPの電圧が基準電圧VREF2よりも高くなり、コンパレータ501がロウレベルを出力する。即ち、電源VCCが規定の電圧にある場合、コンパレータ107,500,501の何れもロウレベルを出力する。
【0069】
この状態から電源VCCの電圧が急激に低下した場合、電源VCCの低下に伴ってノードP,Rの電圧も低下するが、ノードQにはコンデンサCREFが接続されているため、ノードRの電圧がノードQの電圧よりも速く低下してノードQの電圧よりも低くなる状態が発生する。このため、ノードQおよびノードRに非反転入力部および反転入力部がそれぞれ接続されたコンパレータ107の出力信号がハイレベルとなり、信号MUT2がハイレベルとなる。
【0070】
また、電源VCCが規定の電圧から急激に上昇した場合には、ノードQの電圧とノードSの電圧が上昇するが、ノードQにはコンデンサCREFが接続されているため、この時定数によりノードQの電圧の上昇が緩慢になり、ノードSの電圧がノードQの電圧よりも速く上昇してノードQの電圧よりも高くなる状態が発生する。このため、ノードQおよびノードSに反転入力部および非反転入力部がそれぞれ接続されたコンパレータ500の出力信号がハイレベルとなり、信号MUT2がハイレベルとなる。
【0071】
さらに、電源VCCの電圧が緩やかに低下した場合、コンデンサCREFによる時定数が顕在化しないため、ノードQとノードR,Sとの電圧の大小関係が、電源VCCが規定電圧にあるときと同様の関係に維持される。従って、上述のコンパレータ107,500によっては電源VCCの変化を検出できない。そこで、この場合には、コンパレータ501がノードPと基準電圧VREF2とを比較し、ノードPの電圧が基準電圧VREF2を下回った場合にハイレベルを出力する。従って、信号MUT2がハイレベルとなり、駆動回路DRVがミュート状態に制御される。
【0072】
このように、電源VCCが急激に変化した場合や一定レベル以下に低下した場合には、コンパレータ107,500,501がハイレベルを出力する結果、信号MUT2がハイレベルとなる。そして、ハイレベルの信号MUT2を受けて図4に示す駆動回路DRVをなす出力バッファ回路40,41が出力端子TA,TBにそれぞれロウレベルを出力し、ミュート状態となる。
【0073】
ここで、電源VCCの電圧変化が一時的であり、コンパレータ107,500,501の出力信号がハイレベルに変化しても短時間でロウレベルに回復する場合にはポップノイズはそもそも発生しない。そこでこのような場合には、図7においてローパスフィルタ503により論理和ゲート回路502の出力信号の通過が阻止され、信号MUT2がロウレベルに維持される。従って、必要以上に駆動回路をミュート状態に制御することがなくなり、回路動作が安定化する。このように、ローパスフィルタ503を設けることにより、不要な制御動作が抑制され、電源VCCが一定時間以上にわたって変化している状態にある場合や、電源VCCが一定電圧(基準電圧VREF2)以下に低下した状態が一定時間以上にわたって続いている場合にのみミュート状態の制御が行われる。
【0074】
次に、図8を参照して、ハイレベルの信号MUT2を受けた場合の出力バッファ回路40,41のミュート動作を説明する。なお、説明の便宜上、駆動回路DRVを構成するインバータ32の出力信号はロウレベルに固定されているものとする。
先ず、信号MUT2(信号MUTに相当する信号)がロウレベルにある場合、論理和ゲート回路400の出力信号S400がロウレベル、論理積ゲート回路402の出力信号S402がロウレベル、遅延回路403の出力信号S403がロウレベルにある。従って、この場合、PMOSトランジスタ405がオン状態、NMOSトランジスタ406がオフ状態、NMOSトランジスタ407がオフ状態にあり、PMOSトランジスタ405により出力端子TAがハイレベルに駆動されている状態にある。
【0075】
この状態から信号MUT2がハイレベルに遷移すると、これを受けて論理和ゲート回路400の出力信号S400がハイレベルになり、PMOSトランジスタ405がオフ状態となる。また、ハイレベルの信号MUT2を受けて論理和ゲート回路401の出力信号がハイレベルになる。このとき、遅延回路403の出力信号S403はその遅延時間分だけロウレベルを維持するため、これを入力するインバータ404の出力信号は、遅延回路403の遅延時間分だけハイレベルを維持する。従って、論理積ゲート回路402の出力信号S402は、論理和ゲート回路401の出力信号がハイレベルになると、これに応答してハイレベルとなり、NMOSトランジスタ406がオン状態となって信号Va3がロウレベルになる。
【0076】
そして、遅延回路403の出力信号S403がハイレベルになると、これに応答してインバータ404の出力信号がロウレベルとなり、論理積ゲート回路402の出力信号S402はロウレベルとなってNMOSトランジスタ406がオフ状態となる。また、NMOSトランジスタ406がオフ状態になるタイミングで、ハイレベルの信号S403を受けてNMOSトランジスタ407がオン状態となる。従って、信号MUT2がロウレベルからハイレベルに遷移した場合、PMOSトランジスタ405がオフ状態に固定されると共に、NMOSトランジスタ406が一時的にオン状態となり、ロウレベルの信号V3aが出力端子TAに出力される。その後NMOSトランジスタ407がオン状態となり、信号V3aをロウレベルに維持する。出力バッファ回路41も同様に動作して、ロウレベルの信号V3bが出力端子TBに出力される。
【0077】
このように、図4に示す駆動回路DRVをなす出力バッファ回路40,41は、ハイレベルの信号MUT2を受けて出力端子TA,TBにロウレベルを出力する。このため、図1において、出力端子TA,TBに接続されるインダクタLA,LBの一端側が強制的に接地電圧(0V)に固定され、スピーカSPK側の一対の入力端子間の電位差が0Vに固定される。また、電源の遮断時に電源電圧が変化し、基準電圧VREFと入力信号のバランスがくずれた場合、ポップノイズが発生するよりも早く駆動回路DRVが非活性化され、ミュート状態となる。したがって、スピーカSPKは、電源が遮断されると即座に駆動され得ない状態に制御され、ポップノイズなどの異音を発生させることなくミュート状態となる。
【0078】
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上述の実施の形態では、単一電源(5V)で動作するものとし、基準電圧VREFを電源VCCの2分の1に設定したが、これに限定されることなく、接地電圧を中点電圧としする正電源と負電源との2系統の電源供給を受けて動作するように構成した場合にも本発明を適用することが可能である。この場合、基準電圧VREFを接地電圧(0V)に設定すればよい。
【0079】
また、上述の実施の形態では、ノードQの電圧と信号INAとがクロスしたとき、即ちノードQの電圧と信号INAの電圧とが略等しくなったときにミュート状態を解除するものとしたが、必要に応じて、ノードQの電圧と信号INAとがクロスした後にミュート状態を解除するものとしてもよい。
さらに、NMOSトランジスタ407を備え、NMOSトランジスタ406を一時的にオン状態に駆動した後、NMOSトランジスタ407により出力端子をロウレベルに維持するものとしたが、必要に応じてNMOSトランジスタ407を省き、単にPMOSトランジスタ405とNMOSトランジスタ406を相補的に導通制御するものとしてもよい。この場合、図4において、論理和ゲート回路401の出力部を直接的にNMOSトランジスタ406のゲートに接続すればよい。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、第1の信号を反転入力端子に入力すると共に基準電圧を非反転入力端子に入力して第2の信号を出力する反転帰還型のオペアンプと、前記第2の信号をパルス信号に変調する変調回路と、前記変調されたパルス信号を外部に出力する駆動回路と、電源投入に応答して、前記基準電圧が現れるべきノードの電圧を所定電圧に一時的に設定する電圧設定回路と、前記ノードの電圧が前記第2の信号の電圧と略等しくなったときにミュート状態を解除するミュート状態制御回路とを備えたので、ミュート状態を解除するまでの待ち時間を有効に短縮することができ、リレーなどの大型で高価な部品を用いることなく、ポップノイズの発生を有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るD級増幅器の構成および適用例を説明するための構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係るミュート状態制御回路の構成を示す回路図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係る変調回路と駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係るD級増幅器の増幅動作を説明するための波形図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係るD級増幅器のミュート制御動作(電源投入時)を説明するための波形図である。
【図7】 この発明の実施の形態2に係る電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【図8】 この発明の実施の形態2に係るD級増幅器のミュート制御動作(電源遮断時)を説明するための波形図である。
【図9】 従来技術に係るD級増幅器の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
SIG:信号源、CIN:コンデンサ、DAMP:D級増幅器、RA1,RA2,RB1,RB2:抵抗、OPA,OPB:オペアンプ、MOD:変調回路、DRV:駆動回路、VSET、VSET2:電圧設定回路、MCTL:ミュート状態制御回路、CREF:コンデンサ、TI:入力端子、TA,TB:出力端子、LA,LB:インダクタ、CA,CB:コンデンサ、SPK:スピーカ、30:差動積分回路、31:コンパレータ、32,33:インバータ、104:スイッチ、100〜105:抵抗、107:コンパレータ、108:セット・リセット型のフリップフロップ、200:コンパレータ、201:セット・リセット型のフリップフロップ、202:論理積ゲート回路、203:スイッチ、400,401:論理和ゲート回路、402:論理積ゲート回路、403:遅延回路、404:インバータ、405:PMOSトランジスタ、406,407:NMOSトランジスタ、500,501:コンパレータ、502:セット・リセット型のフリップフロップ、503:ローパスフィルタ。
Claims (9)
- 電源投入の際に一時的にミュート状態となるように構成されたD級増幅器において、
外部から第1の信号を反転入力端子に入力すると共に基準電圧を非反転入力端子に入力し、前記基準電圧を振幅の中心とする第2の信号を出力する反転帰還型のオペアンプと、
前記第2の信号をパルスの幅に反映させて前記第2の信号をパルス信号に変調する変調回路と、
前記変調回路により変調されたパルス信号を外部に出力する駆動回路と、
前記電源投入に応答して、前記基準電圧が現れるべきノードの電圧を該基準電圧とは異なる所定電圧に一時的に設定し、前記ノードの電圧を前記所定電圧から前記基準電圧に変化させる電圧設定回路と、
前記ノードの電圧が前記基準電圧に変化する過程において前記ノードの電圧と前記第2の信号の電圧とが略等しくなったときに前記ミュート状態を解除するミュート状態制御回路と、
を備えたことを特徴とするD級増幅器。 - 前記電圧設定回路が、
前記電源と前記ノードとの間に電流経路が接続されたスイッチ回路と、
前記基準電圧が現れるべきノードの電圧と前記所定電圧とを比較し、前記ノードの電圧が前記所定電圧に到達したことを検出するためのノード電圧検出用のコンパレータと、
前記コンパレータの出力信号をセット端子に入力すると共に前記電源投入に応答して発生される所定の信号をリセット端子に入力し、リセット状態にあるときに前記スイッチ回路を閉状態に制御すると共にセット状態にあるときに前記スイッチ回路を開状態に制御するスイッチ制御用のセット・リセット型フリップフロップと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載されたD級増幅器。 - 前記ミュート状態制御回路が、
前記基準電圧が現れるべきノードの電圧と前記第2の信号の電圧とを比較し、前記第2の信号の電圧が前記ノードの電圧に略等しくなったことを検出するための信号電圧検出用のコンパレータと、
前記信号電圧検出用のコンパレータの出力信号をセット端子に入力すると共に前記スイッチ制御用のセット・リセット型フリップフロップの出力信号をリセット端子に入力し、リセット状態にあるときに前記駆動回路を非活性状態に制御すると共にセット状態にあるときに前記駆動回路を活性状態に制御する駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載されたD級増幅器。 - 前記駆動回路が、
出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタと、
前記出力端子をロウレベルに駆動するためのNMOSトランジスタと、
駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがリセット状態にある場合に前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記NMOSトランジスタをオン状態とし、前記駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがセット状態にある場合に前記変調回路の出力信号に応答して前記PMOSトランジスタと前記NMOSトランジスタとを相補的にオン状態またはオフ状態とするゲート制御回路と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載されたD級増幅器。 - 前記電源の電圧変動を検出する検出回路をさらに備え、
前記駆動回路が、
出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタと、
前記出力端子をロウレベルに駆動するための第1のNMOSトランジスタと、
前記第1のNMOSトランジスタと並列接続され、前記出力端子をロウレベルに維持し得る限度において前記第1のNMOSトランジスタよりも電流駆動能力が小さく設定された第2のNMOSトランジスタと、
前記駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがセット状態にあり且つ前記検出回路が電圧の変動を検出していない場合に前記変調回路の出力信号に応答して前記PMOSトランジスタと前記NMOSトランジスタとを相補的に導通状態を制御し、駆動回路制御用のセット・リセット型フリップフロップがリセット状態に変化した場合または前記検出回路により電圧の変動が検出された場合に前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記第1のNMOSトランジスタを一時的にオン状態とした後に前記第2のNMOSトランジスタを固定的にオン状態に制御するゲート制御回路と、
を備えて構成されたことを特徴とする請求項3に記載されたD級増幅器。 - 前記反転帰還型のオペアンプの反転入力端子と出力端子との間に、前記電圧設定回路の出力信号に基づき開閉するスイッチを設けたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載されたD級増幅器。
- 前記検出回路の出力信号から高域成分を除去するローパスフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載されたD級増幅器。
- 外部から第1の信号を反転入力端子に入力すると共に基準電圧を非反転入力端子に入力し、前記基準電圧を振幅の中心とする第2の信号を出力する反転帰還型のオペアンプと、
前記第2の信号をパルスの幅に反映させて前記第2の信号をパルス信号に変調する変調回路と、
前記変調回路により変調されたパルス信号を入力し、一対の出力端子を介して前記パルス信号の相補信号を外部に出力すると共に、ミュート時には強制的に前記一対の出力端子を共にロウレベルまたはハイレベルに駆動するBTL型の駆動回路と、
を備えたことを特徴とするD級増幅器。 - 前記駆動回路が、前記一対の出力端子のそれぞれに対し、
前記出力端子をハイレベルに駆動するためのPMOSトランジスタと、
前記出力端子をロウレベルに駆動するための第1のNMOSトランジスタと、
前記第1のNMOSトランジスタと並列接続され、前記出力端子をロウレベルに維持し得る限度において前記第1のNMOSトランジスタよりも電流駆動能力が小さく設定された第2のNMOSトランジスタと、
ミュート状態に設定するための所定の信号を受けて前記PMOSトランジスタを固定的にオフ状態とすると共に前記第1のNMOSトランジスタを一時的にオン状態とした後に前記第2のNMOSトランジスタを固定的にオン状態に制御するゲート制御回路と、
を備えて構成されたことを特徴とする請求項8に記載されたD級増幅器。
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