JP4043376B2 - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、炭素数が4〜7のイソモノオレフィンと、パラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムとエポキシ化天然ゴムを所定比率で混合することで空気透過性が大幅に低減されたゴム組成物とそれをインナーライナー部分に用いた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤは、タイヤ内部に空気を入れることで荷重を支えたり、乗り心地性能などの各種特性を発現したりすることができる。そのためにも、タイヤ内の空気圧を保持することは非常に重要である。
【0003】
そのため、空気入りタイヤの内面には、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような空気透過性の低いゴムからなるインナーライナー層が設けられている。
【0004】
一方、燃費の低減は自動車における大きな技術課題の一つであり、この一環として、空気入りタイヤの軽量化に対する要求も益々強いものになっている。
【0005】
これらの要求を満たすために、空気透過性がさらに低減されたインナーライナー用ゴム組成物の開発が急務である。このようなゴム組成物ができれば、インナーライナー層を薄肉化することができ、タイヤの軽量化を図ることができる。
【0006】
近年、空気入りタイヤのインナーライナー層として、ブチルゴムなどの空気透過性の低いゴムに代えて種々の材料を用いる技術が提案されている。たとえば、タイヤの内面に、空気透過性のさらに低いポリ塩化ビニリデン、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの合成樹脂の溶液または分散液を塗布することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この技術は、空気入りタイヤ内部のゴム層と合成樹脂層と間の接着性に問題があり、またインナーライナー層が耐湿性に劣るという欠点がある。
【0007】
また、タイヤ内面をハロゲン化処理し、その上にメトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリウレタンとポリ塩化ビニリデンの混合物、ポリウレタンとポリフッ化ビニリデンの混合物のポリマー皮膜を形成することが提案されている(特許文献2参照)。さらに、メトキシメチル化ナイロンの薄膜をインナーライナー層とする空気入りタイヤが提案されている。この技術では、グリーンタイヤ内面または加硫後のタイヤ内面にメトキシメチル化ナイロンの溶液またはエマルジョンを散布または塗布する(特許文献3参照)。しかしながら、これらの技術も、薄膜が耐水性に劣るという欠点に加え、膜厚の均一性を保持することが困難であるという欠点を有している。
【0008】
さらに、ポリ塩化ビニリデンフィルムまたはエチレンビニルアルコール共重合体フィルムからなる空気透過性の低い層と、ポリオレフィン系フィルム、脂肪族ポリアミドフィルムまたはポリウレタンフィルムからなる接着層を有した多層フィルムを、タイヤの空気透過防止層として使用している例がある(特許文献4参照)。しかしながら、この系では空気透過防止層が柔軟性に欠け、タイヤ走行時の材料伸縮にフィルムが追従できず、亀裂を発生することがあった。
【0009】
さらに、タイヤインナーライナー用ゴム組成物として、炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムに、カーボンブラック、可塑剤および加硫剤を含む組成物をタイヤのインナーライナー層に使用することが提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、かかるインナーライナー層では空気透過性が充分に低くなく、さらなるタイヤの軽量化は適当でない。
【0010】
さらに、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂およびイミド系樹脂とエラストマーを混合または動的架橋させたゴム組成物を、タイヤのインナーライナー層に用いることが提案されている(特許文献6〜10参照)。しかしながら、これらのゴム組成物は、タイヤ成型、加硫などの加工時に他のゴム材料の伸縮に追従するのが非常に困難であったり、走行時に亀裂が発生することがあった。
【0011】
【特許文献1】
特公昭47−31761号公報
【特許文献2】
特開平5−330397号公報
【特許文献3】
特開平5−318618号公報
【特許文献4】
特開平6−40207号公報
【特許文献5】
特開平5−508435号公報
【特許文献6】
特開平8−259741号公報
【特許文献7】
特開平11−199713号公報
【特許文献8】
特開2000−63572号公報
【特許文献9】
特開2000−159936号公報
【特許文献10】
特開2000−160024号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のとおり、空気透過性の低い組成物をインナーライナー層に用いる種々の提案がなされているが、いまだ実用化されるには至っていない。したがって、本発明の目的は、従来用いられているインナーライナー用ゴム組成物の空気透過性を大幅に低減でき、接着性の良好なゴム組成物、および空気保持性を損なうことなく、軽量化が図れる空気入りタイヤを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴム60〜95重量%と、エポキシ化率が40%以上のエポキシ化天然ゴム5〜40重量%とを含むゴム成分100重量部に対して、カーボンブラックを20〜100重量部、および微分散させたナトリウム−ベントナイトを3〜20重量部含むゴム組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、前記ゴム組成物からなるインナーライナー層を有する空気入りタイヤに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、特定のゴム成分に特定の充填剤を配合したものである。
【0017】
前記ゴム成分は、エポキシ化率が40%以上のエポキシ化天然ゴム(ENR)を含む。エポキシ化率は、50%以上であることが好ましい。エポキシ化率が40%未満では空気透過性を低くする効果が小さくなる。ここでいうエポキシ化率とは、エポキシ化される前の全二重結合部分の割合に対する、天然ゴム、主鎖の二重結合部分を酸素で環化した部分の割合のことで、たとえばNMR測定データから、5.10ppm付近の天然ゴム由来メチンプロトンの面積強度Aと、2.7ppm付近のエポキシ基由来プロトンの面積強度Bを求め、下記式
エポキシ化率(%)= B/(A+B)×100
より求める方法がある。
【0018】
さらに、前記ゴム成分は、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)および炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムからなる群から選ばれたブチル系ゴムを、1種類または2種類以上含む。
【0019】
これらのなかでも、下層との接着性を考慮すると、ハロゲン化ブチルゴムまたは炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムが好ましく、とくに炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムが好ましい。なお、ハロゲン化ブチルゴムまたは炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムを用いる場合、ハロゲン含有率は0.1〜5重量%であることが好ましい。ハロゲン含有率が0.1重量%未満では加硫度が低すぎて強度が低下する傾向があり、5重量%を超えると加硫度が高くなり、硬くなる傾向がある。
【0020】
前記ゴム成分の比率は、前記エポキシ化天然ゴムが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。エポキシ化天然ゴムが5重量%未満では、前記エポキシ化天然ゴムを配合することによる隣接ゴムとの接着性の改善効果が小さく、また空気透過性が充分に低減されない。一方、エポキシ化天然ゴムが40重量%より多いと、エポキシ化天然ゴムがマトリックス相となり、それによって系全体の透湿性が悪くなる。すなわちブチルゴムに比べ空気透過性は同等以上であるが、透湿性は悪くなる。
【0021】
ブチル系ゴムは60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。ブチル系ゴムが60重量%未満では、空気透過性と透湿性が悪くなり、95重量%を超えると配合ゴムとの接着性が悪くなる。
【0022】
前記技術により、系内の主たるポリマーがブチル系ゴムである場合、ブチル系ゴムがマトリックス相となり、島相のENRの効果が認められる。すなわち、本発明のゴム組成物は、ゴム成分においてENRが島相にあり、前記ブチル系ゴムがマトリックス相にあることにより、ブチルゴムの有する優れた空気、水分の透過性を維持しながら、ENR相の接着性および隣接配合ゴムの接着性が改善されるという優れた効果を発現するものである。
【0023】
本発明のゴム組成物は、その他のゴム成分として、通常の天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブタジエンゴムを含むことができる。
【0024】
前記充填剤は、カーボンブラック、シリカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルクおよびマイカからなる群より選ばれた少なくとも1種類である。なかでも、補強性の点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、とくに制限されないが、たとえば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEFなどを用いることができる。
【0025】
前記充填剤は、前記ゴム成分100重量部に対して20〜100重量部、好ましくは30〜90重量部、より好ましくは40〜80重量部配合される。前記充填剤の配合量が20重量部未満では補強性が低くなり、100重量部を超えると加工性が悪くなる。
【0026】
なお、本発明のゴム組成物は、前記充填剤のほかにも、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを併用することもできる。
【0027】
本発明のゴム組成物には、空気透過性をさらに低減できることから、nM・xSiOy・zH2O(ここでnは1〜5の整数を表し、MはAl、Mg、Ti、Caから選ばれる少なくとも1つの金属、それらの金属酸化物、金属水酸化物または炭酸塩を表し、xは0〜10の整数を表し、yは2〜5の整数を表し、zは0〜10の整数を表す)で表わされるシリカなどの無機層状化合物を配合することが好ましく、なかでも層状ケイ酸塩を配合することがさらに好ましい。本発明に用いられる無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している無機層状化合物のことであり、平均粒子径が5μm以下、平均アスペクト比が50〜5000であるものであれば、とくに限定されない。ここでいう平均粒子径とは、無機層状化合物の長径の平均値のことであり、平均アスペクト比とは無機層状化合物の長径に対する厚さの比の平均値のことである。前記無機層状化合物は、平均粒子径が5μmよりも大きいと、タイヤ製造時における加工性が低下する傾向がある。さらに、前記無機層状化合物は平均粒子径が0.1〜5μmの範囲であることがより好ましい。前記無機層状化合物は、平均アスペクト比が50未満では空気透過性を低くする効果が充分でなく、5000よりも大きいものは技術的に得難く、経済的にも高価なものとなる。空気透過性を低減させる点から、前記無機層状化合物は平均アスペクト比が200〜3000の範囲であることがより好ましい。無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化物、粘土系鉱物などがあげられる。大きな平均アスペクト比を有する無機層状化合物は、溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物が好ましく用いられる。かかる無機層状化合物としては、たとえば膨潤性を有する粘土系鉱物があげられる。粘度系鉱物は、シリカの四面体層の上部にアルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした八面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの四面体層がアルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした八面体相を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプに分類される。前者としては、カオリナイト族、アンチゴライト族があげられる。後者としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族などがあげられる。具体的な粘土系鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフェライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリッリクマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などがあげられる。
【0028】
前記層状ケイ酸塩を含むものとしては、ナトリウム−ベントナイトが、工業的なコストや分散性が優れている点で好ましい。
【0029】
本発明のゴム組成物では、前記層状ケイ酸塩は前記ゴム成分中に微分散していることが好ましい。層状ケイ酸塩が前記ゴム成分中に微分散していることによって、空気透過性がさらに低減される。
【0030】
層状ケイ酸塩が微分散されているとは、層状ケイ酸塩における層状のフィラーが剥離していることである。具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察や、層状ケイ酸塩を含むゴム組成物にX線回折を試みたときに、2θが6〜8°において、強度のピークが消滅していることである。
【0031】
かかる微分散を達成するためには、層状ケイ酸塩の層間の交換性陽イオンをマトリックスに合わせて交換することにより実現することができる。具体的には、交換性陽イオンをナトリウムイオンにしたり、有機の陽イオン、たとえば第4級アンモニウム塩でイオン交換(親有機化処理)したりする方法などがあげられる。
【0032】
本発明のゴム組成物において、層状ケイ酸塩を微分散させる方法は、通常のBR型バンバリーミキサー、ロールやニ軸押出し機などで機械的に混練りすることにより微分散させる方法、配合オイルに予め微分散させておく方法や、ゴムを溶液状態にしたうえで、前記溶液に予め微分散させる方法などを用いてもよい。
【0033】
前記層状ケイ酸塩は、前記ゴム成分100重量部に対して、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは3〜10重量部配合される。層状ケイ酸塩が3重量部未満では空気透過性の改善効果が小さくなる傾向があり、20重量部を超えると加工性が悪くなる傾向がある。
【0034】
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分、充填剤および層状ケイ酸塩のほかにも、その他の配合剤として、タイヤ用ゴム配合に用いられる一般的なもの、たとえば、薬品オイルなどの可塑剤、粘着付与剤、硫黄、亜鉛華などの架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤などを含むことができる。
【0035】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、充填剤、層状ケイ酸塩および必要に応じてそのほかの配合剤を、通常の加工装置、たとえば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りすることにより得られる。
【0036】
このようにして得られる本発明のゴム組成物は、空気透過性が低く、たとえば1〜20×10-11cc・cm/cm2・sec・cmHgの空気透過係数を有する。
【0037】
本発明の空気入りタイヤは、前記ゴム組成物をインナーライナー層に用いて通常の方法により製造することができる。なお、インナーライナー層の厚さは0.5〜2mmとすることが好ましい。インナーライナー層の厚さが0.5mm未満では空気保持性が悪くなる傾向があり、2mmを超えるとタイヤ重量が重くなり、転がり抵抗が悪化する傾向がある。
【0038】
【実施例】
以下に実施例に基いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0039】
実施例1および比較例1〜5
以下に、実施例および比較例において評価用ゴムに用いた材料をまとめて示す。また、評価用ゴムの配合内容を表1に示す。
天然ゴム:テックビーハング製のRSS#3
Br−IIR:エクソン化学製のエクソンブロモブチル2255(臭素含有率2.0重量%)
ENR:ガスリー製のENR−50(エポキシ化率50%)
ENR:ガスリー製のENR−25(エポキシ化率25%)
GPF:東海カーボン(株)製のシーストV
層状ケイ酸塩:クニミネ工業(株)製のクニピアF(ナトリウム−ベントナイト)(平均粒子径0.1〜2μm、平均アスペクト比320、層間の交換性陽イオンの大部分がナトリウムであるもの)
オイル:昭和シェル石油(株)製のマシン油22
レジン:エッソ(株)製のESCOREZ 1102
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示す配合処方にしたがい、硫黄、亜鉛華および加硫促進剤以外のゴム材料をBR型バンバリーミキサーで混練りして、マスターバッチを作製した。そののち、8インチロールにてマスターバッチと硫黄、亜鉛華、加硫促進剤を混練りし、ゴム組成物を得た。これらの配合物を170℃で15分間プレス加硫して加硫物を得、これらについて以下に示す各特性の試験を行なった。
【0042】
(空気透過性の測定)
JIS K7126「プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法(A法)」に準じた。試験気体を空気(チッ素:酸素=8:2)、試験温度を25℃とし、厚さ0.5mmの加硫ゴムシートを用いて空気透過量を測定し、空気透過係数(単位:×10-11cc・cm/cm2・sec・cmHg)を算出した。測定には、東洋精機製作所(株)製の恒温式ガス透過率測定装置M−Clを用いた。空気透過係数が低いほど、空気透過性が低く優れている。
【0043】
(接着試験)
以下に接着試験で使用した接着用ゴムの材料をまとめて示す。また、接着用ゴムの配合内容を表2に示す。
天然ゴム:テックビーハング製のRSS#3
HAF:三菱化学(株)製のダイヤブラックH
レジン:エッソ(株)製のESCOREZ 1102
オイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
【0044】
【表2】
【0045】
表2に示す接着用配合を所定の方法により混練りし、厚さ2mmシートを得た。このゴムシートと厚さ2mmの評価用ゴムシートとを張り合わせし、170℃で15分間プレス加硫をし、接着試験用サンプルを得た。このサンプルを幅25mmに切断し、接着用ゴムと評価ゴムとの界面での剥離力(単位:kgf/25mm)を測定した。測定は、JIS K6250法に準じて、インテスコ製のインテスコ引張試験機を用いて行った。
【0046】
空気透過性測定および接着試験の結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3から、ENRが所定の比率で配合された比較例4では、比較例1と比べて空気透過係数が小さいことがわかる。同様に、比較例5では、比較例2と比べて接着力に優れることがわかる。また、エポキシ化率が40%以上のENRおよびナトリウム−ベントナイトが配合された実施例1では、比較例3と比べて空気透過係数が小さく、かつ接着力に優れることがわかる。
【0049】
(タイヤでの評価)
各種ゴム組成物をインナーライナー層に用いて195/65R14タイヤを作製し、初期内圧200kPa、無負荷条件にて室温25℃で3ヵ月間放置して、測定間隔4日毎に圧力を測定した。測定圧力Pt、初期圧力P0および経過日数tとして、関数:
Pt/P0=exp(−αt)
に回帰してα値を求めた。得られたαを用い、t=30を下式に代入し、
β={1−exp(−αt)}×100
β値を求めた。このβ値を1ヵ月あたりのタイヤ内圧低下率(%/月)とした。
【0050】
1ヵ月あたりのタイヤ内圧低下率の結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、エポキシ化天然ゴムとブチル系ゴム(ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴム)を所定比率ブレンドすることにより、空気透過性を大幅に低減でき、タイヤ成型時や走行時におけるタイヤ伸縮に対しても接着性に優れたゴム組成物が得られる。
【0053】
したがって、前記ゴム組成物を空気入りタイヤのインナーライナー層に用いることにより、前記インナーライナー層を薄くしてもタイヤ内の空気圧を保持することができ、タイヤの軽量化が図れる。
【0054】
また、前記ゴム組成物はカーカスゴムとの接着性に優れているために、前記ゴム組成物からなるインナーライナー層を有する本発明の空気入りタイヤは、耐久性を維持したまま、空気圧の保持特性を損なうことなく、インナーライナーの厚さを薄くできる。すなわちタイヤの軽量化が図れるという効果を有する。
Claims (2)
- ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種類のブチル系ゴム60〜95重量%と、エポキシ化率が40%以上のエポキシ化天然ゴム5〜40重量%含むゴム成分100重量部に対して、カーボンブラックを20〜100重量部、および微分散させたナトリウム−ベントナイトを3〜20重量部含むゴム組成物。
- 請求項1記載のゴム組成物からなるインナーライナー層を有する空気入りタイヤ。
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