JP4041342B2 - 円筒状金属コイルの熱処理方法 - Google Patents

円筒状金属コイルの熱処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷延鋼板や電磁鋼板などの鋼板やアルミ板等コイル状に巻いた円筒状金属コイルを操業容易で品質良く熱処理できる円筒状金属コイルの熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、円筒状金属コイルをそのままの形で加熱する方法は、バッチ炉に入れガス加熱やパネルヒーターで加熱する方法がほとんどである。バッチ加熱は、雰囲気が制御でき、高温で焼鈍できることなどから、連続焼鈍装置では加熱できない特殊な材質のものや、品質が厳しいものなどに適用されている。しかし、円筒状金属コイルのバッチ焼鈍は、基本的には金属の塊を外部から加熱することになるため、加熱時間が非常に長くなるとともに、温度偏差が大きくつきやすいため長時間にわたって均熱化する必要があるほか、加熱効率が極めて低い等の問題があり、コイル内の温度分布を制御することが極めて難しい状態であった。これらの問題を解決するため通電加熱を採用する事が提唱されている。たとえば、特開平6−10067号公報にはコイルの両端から通電することが、また特開平5−171259号公報には拡縮機構を有する内外電極により直接通電することが記載されている。また、電気を使って加熱する方法としては、特開昭61−19097号公報にコイル内に鉄心を通し、誘導加熱する方法が提唱されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通電加熱する方法では、特開平6−10067号公報の場合、コイルと電極の接触面が均一に当たりにくいため局部的に発熱し、コイルに損傷を与えるという問題がある。また、特開平6−10067号公報及び特開平5−171259号公報では、両者とも塊状の物体であるため抵抗が小さく、極めて大きな電流を流さないと発熱できなく、時間をかけないと加熱しにくいという問題、大電流通電に関わる設備上の問題がある。また、特開昭61−19097号公報では、誘導加熱が効果的に行われるのは、周波数に応じた浸透深さまでの部分のみで、それ以外の部分は、伝熱により熱が伝わるため温度分布を制御することが難しいという問題がある。
【0004】
そこで、本発明者は、特開平2001−192728公報等で円筒状金属コイルを効率よく均一に急速加熱できる方法を提案した。この方法は、加熱効率良く加熱できるが、大量の円筒状金属コイルを処理する場合には、既設の炉を用いる場合の方が生産性を落とさずに効率よく熱処理できる部分もあり、設備投資を極力小さくし効果的な熱処理を行うためには、両者を効果的に結びつける方法が必要であり、本発明はその実現のための効果的な解決方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は下記の通りである。
属帯板を板間が絶縁するように巻いて円筒状にしたコイルの内側を貫通する鉄心と、該鉄心と一次コイルを巻いた鉄心とを円筒状金属コイルの外で連結してトランスを構成するとともに、円筒状金属コイルの最外周部の金属帯板と内側最内周部の金属帯板とを導電部材で短絡し二次閉回路を構成し、且つ、円筒状金属コイルの内周面及び外周面、並びに、側面を断熱材で囲み、一次コイルに通電することにより円筒状金属コイルを加熱する機能を有する加熱装置を用い、容器自体が二次閉回路とならないように構成する部材で電気的に絶縁された容器に円筒状金属コイルを入れ通電加熱した後、該容器に加熱した円筒状金属コイルをいれたまま外部加熱方式により、さらに容器ごと外部加熱装置により加熱処理あるいは均熱処理の少なくとも一方の処理を行い、更にその際、雰囲気制御可能な容器により雰囲気ガスで容器内を所望の雰囲気に制御を行うことを特徴とする円筒状金属コイルの熱処理方法
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明による円筒状金属コイルの熱処理装置を説明する模式図である。そして、図2はその側断面を示す図である。
帯状の金属を巻いた円筒状金属コイル1の内側の空間部分には、良磁性体、たとえば電磁鋼板等でつくられた鉄心2が貫通し、鉄心2と鉄心3でトランスを形成する。鉄心2は、鉄心3から分離できるように形成する。鉄心3には、一次電源8に接続されたコイル4を巻きトランスの一次回路とする。
【0007】
一方、円筒状金属コイル1は、例えばマグネシアやアルミナなどを含む絶縁性塗料を塗ったり、絶縁抵抗を有するスケールなどで帯状金属板の表面に高抵抗の皮膜を形成するか、あるいはコイル状に巻くときに帯状金属板の間に例えばアルミナなどのシート状の絶縁体を入れて一緒に巻くことにより、板間の絶縁性を保つことができる。
【0008】
例えば、熱延された鋼板などのように、表面に厚いスケール層ができそれが絶縁性を有する程の抵抗層になる場合や、電磁鋼板製造時などのように表層に絶縁皮膜を付与する場合のように、あらかじめ円筒状金属コイル層間の抵抗が高い場合には、円筒状金属コイルに流れる電流は、コイル層間を伝わらず、円筒状金属コイルの長手方向(巻き取り方向)に流れ、円筒状金属コイル1自体が多数巻きの2次コイルを形成する。この円筒状金属コイル1の両端、すなわちコイル1の外側と内側部分を導電部材5で接続した電極6と電極7で短絡する事により2次回路を形成する。こうすることにより、一次電源8から一次電圧を加えると、一次コイル4の巻き数に応じた2次電圧が直接円筒状金属コイル1の中に誘起される。誘起された2次電圧により2次電流が円筒状金属コイル内を流れ、円筒状金属コイル自体がジュール加熱される。
【0009】
通常のガスの燃焼を利用した外部加熱や、電熱ヒーターを用いた外部加熱では、雰囲気ガス及び炉壁を加熱して高温にし、被加熱物を放射伝熱及び対流伝熱で加熱するため、耐火断熱構造の炉が用いられ、外表面が高温になり内部の温度が低くなりやすいが、本発明の通電加熱では、被加熱物である円筒状金属コイル自体が発熱し、被加熱物は全体がほぼ同じ温度になる。この加熱方法では、円筒状金属コイル内の電流は板幅方向でほぼ均一に流れるため、ほぼ均一な発熱をする。従って、円筒状金属コイル外表面を断熱すれば円筒状金属コイルのどの部分をとってもほぼ同じ加熱温度となり、熱処理で最も重要な加熱温度が円筒状金属コイル全体でほぼ同じにできることから、加熱品質は良好となる。また、内部からの発熱であるため投入電力により加熱速度を自在に制御することが可能であり、外部加熱方式では不可能な急速、均一加熱も可能となる。
【0010】
しかし、円筒状金属コイル1を室温から熱処理温度まで全て電気加熱すると、多大な電気代がかかること、設備容量が大きくなり設備費が増大することなどから、電気のみで円筒状金属コイル1を熱処理する場合には、コスト面で不利になる場合が多い。そのため、例えば製鉄所などのようにコークス炉や高炉、転炉などからの副生ガスが電気よりも安価に利用できる環境下では、できるだけこの安価な副生ガスを利用することを指向することが多い。この場合、これらの副生ガスを燃料とする既設のバッチ炉や回転炉床式の熱処理炉を有効に利用する方法が課題となる。
【0011】
そのため、本発明では円筒状金属コイル1を電気で熱処理する場合の現実的な解決方法を考えた。まず、本発明の円筒状金属コイル1の電気加熱方法は、短時間に加熱でき、しかも温度を均一にできるという、ガス燃焼などによる外部加熱方式では実現不可能な特性を有することからこの特性を活かし、最高品質の熱処理を経済的にかつ生産性を落とさずに行う方法について考えた。
【0012】
本発明の円筒状金属コイル1の電気加熱方法では、原理的に短時間に均一に加熱はできるものの、均熱処理やその後の冷却処理を考えると、円筒状金属コイル1が1つの熱処理装置を加熱から冷却まで占有するため、冷却が完了するまで他の材料を処理することができなくなり生産性が低下する。そのため、生産性を上げるためには、複数機の熱処理装置を持たなければならず、コスト増大が避けられない。特に、均熱処理中に円筒状金属コイル1の巻いている層表面で冶金反応をさせる様な場合では数日を要する場合もあり、冷却にも長時間を要する場合もある。そのため、現在は生産性を上げるために回転炉床式の焼鈍炉などを使い熱処理が行われている。
【0013】
しかし、従来の焼鈍炉は、前述したとおり円筒状金属コイルを加熱する場合、外部からの加熱になるため、加熱過程では、外周部、内周部、端面が熱く、コイル中央部付近の温度が低くなる温度分布となってしまう。そのため、温度をできるだけ均一化するために一定温度で長時間をかけて温度分布を解消する必要があり、生産性を阻害するとともに、加熱過程で生じた温度偏差により品質劣化を招いたりもしていた。しかし、温度分布が均一になった後は、雰囲気ガスの温度と円筒状金属コイルの温度を近づけておけば、お互いの熱の授受が小さくなるため一定時間一定の温度に保つのは容易である。
【0014】
したがって、加熱過程を本発明による温度偏差の小さくなる電気加熱を用い、その後の均熱処理を従来の外部加熱方式の熱処理装置を使うことで、生産性を落とさず、経済的な熱処理が可能となる。この場合、均熱処理とは、円筒状金属コイル内の温度偏差を小さくするための処理の場合もあり、また、等温で一定時間保つ処理も指し、場合によっては両方の処理を含めたものを指す。
【0015】
以上の様に、本発明では、温度偏差がつきやすく長時間要する加熱過程を、先に述べた電気加熱方式を用いることにより円筒状金属コイルをほぼ均一に加熱し、長時間を要する均熱処理を従来の熱処理炉を用いることにより加熱時間の短縮を図るとともに、均熱処理に要する時間を大幅に短縮することが可能となり、全体加熱から均熱までに要する時間が短縮できるとともに、長時間を要する均熱処理、冷却処理を既設の従来炉を用いて行うことにより、生産性を損なうことなく熱処理が可能となる。
【0016】
本加熱方式では、電気加熱した後、外部加熱の炉へ加熱された円筒状金属コイルを渡す方法が問題になるが、この加熱された円筒状金属コイルの受け渡し方法として、熱処理する円筒状金属コイルを容器に入れたまま、前述した本発明による電気加熱の後、容器から取り出さず容器に入れたまま外部加熱装置の炉に入れる事により、円筒状金属コイルを容器から出すという実際のハンドリング上では極めて煩雑な作業を省略することが可能となる。
【0017】
しかしながら、必要な温度まで全てを電気で加熱すると、ガス加熱に比べ加熱コストがかかることから、許容されるコイル内の温度偏差が比較的大きくても良い場合には、均熱処理温度まで円筒状金属コイル1を電気で加熱する必要はなく、途中まで電気で加熱し、その後を外部加熱の炉で加熱すれば経済的に有利な加熱ができる。この場合、本発明の電気加熱方法によれば加熱中の円筒状金属コイル1の温度偏差は小さく、外部加熱装置によりさらに全体を加熱しても、昇温させる温度が室温から加熱する場合に比べ少なくて済むことから、温度偏差は小さくて済む。
したがって、本熱処理方法では上述の電気加熱方法の後、さらに外部加熱装置により加熱処理をしても良いし、外部加熱装置によりそのまま均熱処理を行っても良い。あるいは、上述の電気加熱方法の後さらに外部加熱装置により加熱処理と均熱処理を続けて行ってもよい。
【0018】
本発明では、電気加熱する時から容器を用いるが、この容器は、通常、高温度で強度を持たせるために金属を用いるが、本加熱の原理上鉄心内にある金属には電圧が誘起されるため、閉回路をつくると変圧器の2次回路を形成し(1巻き:以降1ターンと呼ぶ)容器が加熱されてしまう。
そのため、容器が加熱されないように1ターン回路を形成しないように電気的な絶縁が必要になる。図3は、円筒状金属コイル1を雰囲気調整可能な容器に入れ、可動鉄心2と固定鉄心3からなるトランスに装着された部分の状態を表す断面模式図である。
【0019】
円筒状金属コイル1は、内周を金属の筒11とその内側を断熱材10で囲み、外周を金属の筒13とその内側を断熱材10で囲むとともに、金属15と断熱材14からなる底面、金属17と断熱材16からなる上蓋からなる容器に入れ、短絡線5で円筒状金属コイル1の内周金属帯板と外周金属帯板を短絡する。容器は、例えば外筒と内筒を上蓋とは絶縁材19で絶縁をし、底面とは絶縁材18で絶縁をする。
上蓋の金属17は、図4の様に絶縁材20で絶縁をし、底面も上蓋同様に絶縁をする。また、外筒及び内筒の金属は、例えば図5の様に金属13の途中に絶縁材21を入れ絶縁ボルト22〜27で止めれば良い。
【0020】
絶縁材としては、温度が高くなければベークライト等の樹脂を用いれば良いし、温度が高ければ絶縁性のセラミックスや耐火物などを用いれば良い。容器に使われる材料は、磁性材を使うと鉄心からの漏れ磁束が通りやすくなること、誘導加熱されやすくなることなどから、SUS304などの非磁性体の材料を用いるのが望ましい。可能であれば、耐火物やセラミックスなどを用いても良い。
【0021】
また、金属の熱処理では、雰囲気も品質を左右する重要な因子である。そのため、本発明では円筒状金属コイルを雰囲気制御できる容器に入れて上記加熱を行う。1ターン回路を形成しないようにした容器は、雰囲気制御をするために、図3の様に雰囲気ガスを吸気口28から取り入れ、排気口29から排出する。
【0022】
雰囲気制御は、目的に応じて各種ガスを用いれば良く、例えば鋼板であれば鋼中の炭素の濃度を調整したり、酸化を防止したり、金属表面に被膜を形成したりするのに重要な役割を果たす。そのために、雰囲気ガスは、熱処理の通常加熱、均熱、冷却各工程で厳密に管理される。したがって、円筒状金属コイル1は熱処理中は、できるだけ雰囲気を必要とするガス成分以外にすることは避けられなければならない。
【0023】
そのため、本発明では雰囲気を制御できる容器に円筒状金属コイルを入れて前述の電気加熱を行った後、さらに加熱された円筒状金属コイルを容器に入れたまま外部加熱装置へ搬送することにより、雰囲気ガスを乱すことなく、また、加熱された円筒状金属コイルの温度低下を抑制しながらの搬送が可能となる。
また、熱処理中は、直接円筒状金属コイルに接触することが無いことから、円筒状金属コイルに損傷を与えることもなく、品質を劣化させる事がない。
【0024】
本発明の容器では、断熱厚みが重要になる。すなわち、断熱材の厚みを厚くして加熱する円筒状金属コイルからの放散熱を抑制すれば、円筒状金属コイルの温度は均一になろうとする。したがって、冶金的に温度偏差の許容量が小さい材料の場合には、容器の断熱厚みを厚くしたり、熱伝導率の小さな断熱材を用いるなどして熱放散を防げば良いし、あるいは外部加熱装置での加熱を効果的に行うため、あるいは冷却を早く行いたい時などには断熱材の厚みを薄くしたり、熱伝導率の大きい材料を使うなどして容器外との熱の授受を積極的に行えるように構成すればよい。
また、冶金的な必要性から加熱、均熱処理を行った後、例えば外部加熱装置の炉から一旦炉外へ容器毎取り出し、容器ごと円筒状金属コイルを冷却し、再度本発明の電気加熱方法で加熱しても良いし、均熱処理を行っても良い。
【0025】
以上説明した様に、本発明は従来外部加熱を行っている円筒状金属コイルでは不可能であった、均一な加熱を短時間に、生産性を落とすことなく、品質の良い熱処理を実現できる優れた方法である。
【0026】
【実施例】
本熱処理方式の有効性を確認するため、実験を行った。
実験には、一辺が100mmの正方形断面の電磁鋼積層鉄心を用いた。この鉄心は、コの字型とI型からできており、コの字の方に一次コイルとして直径10mmの水冷銅パイプを10ターン巻いた。一方、2次側となる円筒状金属コイルは、内径を520mmとし、表面にMgOを塗布した200mm幅の厚み0.35mmの鋼板を30回巻いたものを用いた。円筒状金属コイルを巻くときには、円筒状金属コイル中央と円筒状金属コイル外周部に熱電対を幅方向に溶着し、板幅方向温度分布並びに円筒状金属コイル厚み方向温度分布が測定できる様にした。この円筒状金属コイルの内側と外側の鋼板端部は、厚さ1mm幅100mmの冷延鋼板を溶接して短絡し2次回路を形成した。
【0027】
一次電源は、周波数500〜5KHz、電圧400V、容量100KWの高周波電源を用いた。円筒状金属コイルを入れる容器は、外径800mm、内径300mm、高さ600mmのSUS304製で、上から200mmの位置で上下に分離し、上下各々周方向に1箇所幅10mmでキャスタブルを施工し、セラミックス製の絶縁ボルトでフランジを閉じる構造のものを用いた。上下の容器は、フランジで固定される構造で、フランジ面各々をキャスタブルで凹と凸の形状とするとともに、アルミナのヤーンで合わせ面をシールする構造とした。
【0028】
実験は、円筒状金属コイルの内面、外面に100mm、底面、上面に180mmのセラミックスファイバー(熱伝導率1W/mK)でくるみ断熱を行い10分で800℃まで本発明による電気加熱方法で加熱し、その後800℃の電気炉に容器ごと入れて均熱処理(雰囲気温度を800℃一定温度に保つ処理:以下同様)を2時間行った本発明による実施例1、円筒状金属コイルの内面、外面に40mm、底面、上面に180mmのセラミックスファイバー(熱伝導率1W/mK)で断熱を行い10分で600℃まで本発明による電気加熱方法で加熱し、その後800℃の電気炉に容器ごと入れて加熱・均熱処理を2時間行った本発明による実施例2、最初から800℃の電気炉で円筒状金属コイルを入れ加熱・均熱処理を2時間10分行ない従来の外部加熱を模擬した比較例1、実施例1と同様に800℃まで10分で本発明による電気加熱方法で加熱し、その後容器から一旦加熱した円筒状金属コイルを取り出し、800℃の電気炉で均熱処理を行った比較例2について、円筒状金属コイル内の600℃加熱までの最大温度偏差(同一測定時刻における最高温度-最低温度)と、均熱処理終了時の円筒状金属コイル内の最大温度偏差を比較した。雰囲気は、容器内、電気炉内ともに窒素雰囲気とし酸素濃度10ppm以下で実施した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004041342
【0030】
その結果、加熱処理を全て本発明の電気加熱で行い、その後の処理を外部加熱による方法にした場合(実施例1)には、温度偏差、表面酸化とも良好で、外部加熱処理に至るまでのハンドリング時間も短時間で済んだ。また、600℃までを本発明の電気加熱を行い、その後加熱した円筒状金属コイルを容器ごと800℃の電気炉に入れた場合(実施例2)にも、温度偏差は小さく、また表面酸化もなくハンドリングも短時間で済んだ。
【0031】
一方、最初から800℃の電気炉に入れた場合(比較例1)は、加熱中の温度偏差が60℃と大きく、均熱処理を行っても15℃の温度偏差がついたままであった。また、800℃まで本発明による加熱方法で加熱を行い、一度容器から取り出し、800℃の電気炉で均熱処理をした場合(比較例2)では、加熱終了時には温度偏差が1℃であったが、容器を開け断熱材から取り出した時点で冷却と酸化が始まり、電気炉に入れる際には温度偏差が50℃にも達し、均熱処理を行った後でも12℃の温度偏差がついたままであり、表面はスケールが発生し一部は剥離した状態であった。また、円筒状金属コイルの一部には、容器から取り出す際に円筒状金属コイルを掴んだ部分が一部変形していた。さらに、加熱していた容器から別の容器に移すという作業が、高温の物体を扱うため容易ではなく、作業性の面でも効率が悪かった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の熱処理方法を用いれば、円筒状金属コイルのバッチ加熱の本質的な問題である外表面からの輻射加熱によって生じる加熱温度分布の発生や、加熱時間がかかりすぎて生産性が著しく落ちる、加熱効率が極めて低いという問題を解決する。すなわち、電流により円筒状金属コイルの内部から加熱を行うため、加熱時間を自在に制御でき、しかも温度分布、加熱効率が極めて良いため、加熱品質が良く歩留まり落ちを少なくでき、省エネにも大きく寄与する。
【0033】
しかも、経済的な温度までを電気加熱で行い、その後の不足の加熱、均熱、冶金反応を別の生産性の良い回転炉床式焼鈍装置等の従来炉を使うことができるため、熱処理コストを下げることができ、設備容量の増大化を防げ、必要最小限の装置数とすることができ、設備投資を最低にすることができる。さらに、加熱中の温度分布を最小にでき、しかも雰囲気を制御したまま外部加熱の炉へ移すことが可能なため、品質を損なうことが無く、ハンドリングも容易になり、生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、円筒状金属コイルの熱処理方法の加熱原理を説明する模式図である。
【図2】本発明による、図1に示す円筒状金属コイルの熱処理方法の側断面模式図である。
【図3】本発明による、円筒状金属コイルの熱処理方法の容器の構造を説明する模式図である。
【図4】本発明による、図2に示す円筒状金属コイルの容器の上部、下部の絶縁を説明する模式図である。
【図5】本発明による、図2に示す円筒状金属コイルの容器の内筒、外筒の絶縁を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 円筒状金属コイル 2 鉄心
3 鉄心 4 一次コイル
5 導電部材 6 電極
7 電極 8 一次電源
9 コイル設置ベース 10 断熱材
11 容器金属 12 断熱材
13 容器金属 14 断熱材
15 容器金属 16 断熱材
17 容器金属 18 絶縁材
19 絶縁材 20 絶縁材
21 絶縁材 22 絶縁ボルト
23 絶縁ボルト 24 絶縁ボルト
25 絶縁ボルト 26 絶縁ボルト
27 絶縁ボルト 28 ガス吸入口
29 ガス排出口

Claims (1)

  1. 金属帯板を板間が絶縁するように巻いて円筒状にしたコイルの内側を貫通する鉄心と、該鉄心と一次コイルを巻いた鉄心とを円筒状金属コイルの外で連結してトランスを構成するとともに、円筒状金属コイルの最外周部の金属帯板と内側最内周部の金属帯板とを導電部材で短絡し二次閉回路を構成し、且つ、円筒状金属コイルの内周面及び外周面、並びに、側面を断熱材で囲み、一次コイルに通電することにより円筒状金属コイルを加熱する機能を有する加熱装置を用い、容器自体が二次閉回路とならないように構成する部材で電気的に絶縁された容器に円筒状金属コイルを入れ通電加熱した後、該容器に加熱した円筒状金属コイルをいれたまま外部加熱方式により、さらに容器ごと外部加熱装置により加熱処理あるいは均熱処理の少なくとも一方の処理処理を行い、更にその際、雰囲気制御可能な容器により雰囲気ガスで容器内を所望の雰囲気に制御を行うことを特徴とする円筒状金属コイルの熱処理方法。
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