JP4037334B2 - 実像式双眼拡大鏡、その調整方法、及び実像式双眼拡大鏡用プリズム - Google Patents

実像式双眼拡大鏡、その調整方法、及び実像式双眼拡大鏡用プリズム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、手元で精密作業をする際に着用して対象物を拡大して観察する実像式双眼拡大鏡、その調整方法、およびこれに用いられる実像式双眼拡大鏡用プリズムに関する。
【0002】
【従来の技術】
双眼拡大鏡としては、従来、例えば特許文献1に記載される技術が知られている。この文献に記載された双眼拡大鏡は、物体側から順に正のパワーを持つ対物レンズと、負のパワーを持つ接眼レンズとから成る拡大光学系を右眼用、左眼用として一対設けると共に、眼の回旋中心と対象物点とを結ぶ直線に対して対物レンズ、接眼レンズの光学中心を外側に位置させることにより、眼の調節と輻輳とのバランスをとるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−199083号公報 図1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された双眼拡大鏡は、眼から対象物までの右眼用、左眼用の各光学系の光路がおよそ一直線となっているため、作業者が手元で細かな作業を行う場合、頭部を下方に30〜60°傾けることになり、長時間の作業では疲労が大きいという問題がある。
【0005】
作業者の疲労を軽減するためには、双眼拡大鏡の左右の光学系の光軸を途中で30〜60°折り曲げて偏向させればよい。しかしながら、特許文献1に記載された双眼拡大鏡の左右の光学系の光軸をこのように偏向させた場合、輻輳を調整する際に光学系を傾けると、左右像が逆向きに倒れ(回転し)、輻輳を合わせても左右像が融合しないという問題が生じる。
【0006】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、左右の光学系の光軸を偏向させて作業者の負担を軽減しつつ、輻輳を合わせた際に左右像も融合させることができる双眼拡大鏡、特にその中でも実像式の双眼拡大鏡、その調整方法、及びこの実像式双眼拡大鏡に利用されるプリズムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる実像式双眼拡大鏡は、正のパワーを有する対物レンズと正のパワーを有する接眼レンズとを備えて物体を拡大して観察するための拡大光学系と、対物レンズと接眼レンズとの間に配置されて拡大光学系の光路を一方側に偏向すると共に像を正立させる反射型の偏向手段とから構成される拡大鏡が左眼用、右眼用として一対配置される構成において、偏向手段が、対物レンズを介して入射する光束を反射させる第1、第2、第3、第4反射面を備え、第1、第4反射面(あるいはその延長面)の交線を法線とする仮想平面に対して第2、第3反射面(あるいはその延長面)の交線が角度ψ[°](ψ≠0)で交差し、第一眼位で物体距離無限遠のときに想定される左右の視軸に一致する軸をそれぞれXL、XRとし、左右の拡大鏡の偏向手段の位置でXL及びXR軸と垂直に交差する軸をZとし、XL及びZ軸に垂直な軸をYLとし、XR及びZ軸に垂直な軸をYRとし、X、XRを回転軸とする回転をγ回転、Y、Yを回転軸とする回転をβ回転としたとき、対物レンズの光軸が互いに平行となる状態を基準としたγ回転の角度をγ[°]、β回転の角度をβ[°]、拡大光学系の視度をξ [ ]とするとき、以下の条件(1)及び (2)を満たすことを特徴とする。
―0.5°<2ψ―{ε(γ)+ε(β)}<0.5°…(1)
0.9 ×|ξ|− 0.3 <| 31.3 × tan β|< 1.3 ×|ξ|+1… (2)
但し、
ε(γ)=γ−[cos-1{1−sin2(90―θ)×(1−cosγ)}]
ε(β)=[cos-1{1−sin2θ×(1−cosβ)}]
θ:拡大鏡の光軸の偏向角[°]である。
【0008】
なお、第一眼位とは、眼の高さにあるまっすぐ前方の物体を注視しているときの頭部に対する眼の相対位置をいう(日本工業規格T7330/5.31)。物体距離が無限遠であれば両視軸は平行となるため、軸XL、XRは、それぞれ左右の眼の回線中心を通り、装用者からまっすぐ前方に水平に伸びる互いに平行な軸である。
【0009】
上記の構成によれば、β回転により光学系の光軸と物体から眼までを結ぶ軸(視軸)とを一致させ、γ回転により輻輳を調整し、これらの調整により発生した像の倒れを角度ψを適宜設定することにより補正できる。なお、γ回転により発生した像の倒れをβ回転により補正することもできるが、β回転を像倒れの補正に利用すると、光軸と視軸とがずれるため、物体を見るときに光学系のレンズ軸外部分を利用することになる。したがって、光学系の性能が軸上部分を利用する場合よりも劣るという問題がある。そこで、本発明では、偏向手段の第1、第4反射面の交線を法線とする仮想平面に対して第2、第3反射面の交線が角度ψ[°](ψ≠0)で交差するようにし、主としてこれにより像の倒れを補正している。したがって、β回転を光軸と視軸とを一致させるために利用することができる。これにより、光学系の軸上部分を利用して物体を観察することができ、像性能を低下させることなく、かつ、像の倒れを防ぎつつ、輻輳を調整することが可能となる。
【0010】
また、条件式 (2) を満たすことにより、快適な両眼視を実現することができる。
【0011】
偏向手段の第1〜第4反射面の位置関係は、例えば一体のプリズムのように互いに最初から固定(角度ψも固定)されていてもよいが、第1、第4反射面が一体に構成された第1ブロックと、第2、第3反射面が一体に構成された第2ブロックとから構成し、角度ψを任意に設定して第1ブロックと第2ブロックとを接合してもよい。角度ψを調整可能とすれば、物体距離が大きく異なる場合や、対物・接眼レンズを変えて倍率が変化した場合、あるいは眼幅の異なる複数の使用者が利用する場合にも、角度ψの異なる複数の偏向手段を用意しなくともよい。
【0012】
偏向手段の各反射面は、ミラーで構成してもよいし、プリズムの内面反射を利用して構成してもよい。プリズムを利用する場合には、第2、第3反射面をダハ面として構成することができる。
【0013】
また、本発明に係る実像式双眼拡大鏡の調整方法は、上記の実像式双眼拡大鏡に含まれる各拡大鏡を、第1、第4反射面の交線を法線とする仮想平面に対する第2、第3反射面の交線の角度をψ[°]、対物レンズの光軸が互いに平行となる状態を基準としたγ回転の角度をγ[°]、β回転の角度をβ[°]として、以下の条件(1)を満たすよう調整することを特徴とする。
―0.5°<2ψ―{ε(γ)+ε(β)}<0.5°…(1)
また、望ましくは以下の条件(1)'を満足することが好ましい
―0.33°<2ψ―{ε(γ)+ε(β)}<0.33°…(1)'
この条件(1)'の限界値±0.33は、JIS 規格におけるプリズム双眼鏡の像倒れ左右差許容量40′を左右で等分した値である。
【0014】
さらに、本発明に係る実像式双眼拡大鏡用プリズムは、入射する光束を内面反射させる第1、第2、第3、第4反射面を備える一体型のプリズムであり、第1、第4反射面の交線を法線とする仮想平面に対して第2、第3反射面の交線が角度ψ[°](ψ≠0)で交差するよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる実像式双眼拡大鏡の実施形態を説明する。図1は第1の実施形態にかかる実像式双眼拡大鏡の正面図、図2は実像式双眼拡大鏡の上面図、図3は実像式双眼拡大鏡を構成する一方の拡大鏡の構成の詳細を示す側面図である。
【0016】
図1及び図2に示されるように、第1の実施形態の実像式双眼拡大鏡10は、眼鏡1のレンズ1a,1bにそれぞれ固定された右眼用の拡大鏡10aと、左眼用の拡大鏡10bとから構成される。図中のAxRは、右眼用の拡大鏡10aの光軸であり、AxLは左眼用の拡大鏡10bの光軸である。各拡大鏡は、物体を拡大して観察するための実像式の拡大光学系と、この拡大光学系の光路を一方側に偏向すると共に像を正立させる反射型の偏向手段とから構成される。
【0017】
例えば、右眼用の拡大鏡10aは、図3に示すように、物体側に配置された正のパワーを持つ対物レンズ11aと、対物レンズ11aを介して入射する光を4回内面反射させて像の上下左右を反転させる偏向手段としてのダハプリズム12aと、このプリズム12aにより偏向された光を眼ERに導く正のパワーを持つ接眼レンズ13aとから構成されている。対物レンズ11aと接眼レンズ13aとから構成されるケプラー型望遠鏡が拡大光学系を構成している。なお、ダハプリズム12aによる偏向角θは、対物レンズ11aの光軸と接眼レンズ13aの光軸とのなす角度であり、図3の例ではθ=45°に設定されている。
【0018】
眼鏡レンズ1aには、拡大鏡10aの光路に沿って図3に示すように貫通孔2aが形成されている。拡大鏡10aを構成する対物レンズ11a、ダハプリズム12a、接眼レンズ13aは、図示せぬ支持部材により眼鏡レンズ1aに装着されている。左眼用の拡大鏡10bも、右眼用と同様に構成され、眼鏡レンズ1bに装着されている。
【0019】
次に、図4及び図5に基づいてダハプリズム12aの形状を説明する。図4は、双眼鏡に多用されるペシャンダハプリズムを構成する従来のダハプリズム20を示し、図5は、第1の実施形態のダハプリズム12aを示す。
【0020】
これらのダハプリズム20,12aは、対物レンズ11aを介して入射する光束を反射させる第1反射面S1、第2反射面S2、第3反射面S3、第4反射面S4を備える。第2反射面S2と第3反射面S3とは直交しており、ダハ面を構成している。第4反射面S4を透過した光束は、第1反射面S1で反射され、第2反射面S2と第3反射面S3とから構成されるダハ面で反射され、第4反射面S4で反射されて第1反射面S1を透過して射出する。
【0021】
ここで、第1反射面S1と第4反射面S4との交線L14を法線とし、この交線L14の中点M14を通る仮想平面FSを想定すると、図4のダハプリズム20においては、第2反射面S2と第3反射面S3との交線L23が仮想平面FSに含まれている。これに対して、図5のダハプリズム12aにおいては、第2反射面S2と第3反射面S3との交線L23が仮想平面FSと角度ψ[°](ψ≠0)で交差している。
【0022】
このように角度ψを設定することにより、ダハプリズム12aに、光学系の光軸を偏向する作用と、像を180°回転させる作用と、輻輳調整時に像の倒れを補正する作用とを持たせることができる。なお、偏向角θは、ダハプリズムの第1反射面S1と第4反射面S4とのなす角度を適宜設定することにより、約30°〜60°の範囲で任意の角度に設定すればよい。
【0023】
次に、上記のように構成された実像式双眼拡大鏡10における輻輳の調整方法について説明する。最初に、図6に基づいて調整軸の定義について説明する。
第一眼位で物体距離無限遠のときに想定される左右の視軸に一致する軸をそれぞれ軸XL、XRとする。軸XLは左眼ELの回旋中心CLを通り、軸XRは右眼ERの回旋中心CRを通り軸XLと平行である。左右の拡大鏡のダハプリズムの位置でXL及びXR軸と垂直に交差する軸をZとし、XL及びZ軸に垂直な軸をYL、XR及びZ軸に垂直な軸をYRとする。また、軸XL、XRを回転軸とする拡大鏡10a,10bの回転をγ回転、軸YL、YRを回転軸とする拡大鏡10a,10bの回転をβ回転とする。γ回転については、眼に正対して時計回りを正、反時計回りを負、β回転については、上側から見て時計回りを正、反時計回りを負とする。
【0024】
第1の実施形態の実像式双眼拡大鏡10は、物体距離に応じて左眼用、右眼用の拡大鏡10a,10bを互いに逆方向に±β°だけβ回転させて光軸と視軸とを一致させ、互いに逆方向に±γ°だけγ回転させて輻輳を調整し、前記の交線L23の仮想平面FSに対する角度ψを適宜設定することにより、像の倒れを補正する。図1中の矢印はγ回転、図2中の矢印はβ回転による調整を示している。
【0025】
像の倒れは、β回転によってもγ回転によっても発生する。物体距離が無限遠の状態(輻輳角0°で像の倒れがない状態)を基準として、γ回転による像の倒れ量ε(γ)と、β回転による像の倒れ量ε(β)とは、それぞれ以下の式により求められる。
ε(γ)=γ−[cos-1{1−sin2(90−θ)×(1−cosγ)}] …(1-1)
ε(β)=[cos-1{1−sin2θ×(1−cosβ)}] …(1-2)
【0026】
図7は、γ回転又はβ回転のどちか一方で輻輳を調整した後に生じる像の倒れ量ε(γ)、ε(β)が偏向角θによってどのように変化するかを示すグラフである。γ、βは輻輳調整に必要な回転角度を示す。ここでは、物体距離WD=500mm、眼幅P=64mm、拡大鏡の倍率(角倍率)m=2.5を前提とする。図7のグラフに示されるように、γ回転調整ではθ>15°、β回転調整ではθ>5°において倒れ量ε(γ)、ε(β)値が0.5°以上となっている。ε(γ)、ε(β)の値は片眼側のみの値であるため、他方の拡大鏡が反対方向に調整されると相対差は2倍となる。すなわち、この値が0.5°以上となると、相対差は1°を越え、左右像の融合が困難になるか、融合できたとしても眼に負担がかかり、大きな疲労を伴うこととなる。
【0027】
そこで、第1の実施形態では、ダハプリズム12aの交線L23と仮想平面FSとの角度ψを適宜設定することにより、像の倒れを補正している。γ回転、β回転による像の倒れを良好に補正するためには、以下の条件(1)を満たす必要がある。
―0.5°<2ψ―{ε(γ)+ε(β)}<0.5°…(1)
【0028】
左眼用、右眼用の拡大鏡のγ回転の角度を±γ°、β回転の角度を±β°としたときに、2ψ−{ε(γ)+ε(β)}=0の関係を満たせば、像の倒れを完全に補正することができる。ただし、組み付け誤差等で多少のずれが生じること、眼の適用力により、像の倒れが必ずしも完全に補正されていなくとも実質上問題ないことに鑑みて、±0.5°の範囲が設定されている。
【0029】
この条件式(1)を満たすことにより、像の相対的な倒れを1°以下に抑えて左右像を融合させることができる。これに対して、条件式(1)を満たさない場合には、左右像を融合させることが困難となる。
【0030】
なお、ψ=0°の場合にも、γ回転による像の倒れとβ回転による像の倒れとを相殺することはできる。ただし、γ回転による像の倒れを補正するためにβ回転を利用すると、光学系の光軸と視軸とを一致させることができなくなる。これに対して、上記のように角度ψの設定により像の倒れを補正すれば、β回転を像の倒れを補正するために利用する必要がなく、光学系の光軸と視軸とを一致させた状態で、像の倒れを補正することができる。
【0031】
一方、快適な両眼視を実現するためには、拡大光学系の視度をξ[D]として、β回転の角度β[°]が以下の条件(2)を満たす必要がある。
0.9×|ξ|−0.3<|31.3×tanβ|<1.3×|ξ|+1…(2)
【0032】
両眼視を可能にするためには、眼の調節と輻輳とのバランスが所定の範囲内に存在する必要がある。これを図8に基づいて説明する。図8は、『眼鏡光学ハンドブック』(金原出版)の66ページに掲載された図2-16を参考に作成した調節と輻輳との関係を示すグラフである。調節と輻輳とのバランスが図8のグラフの相対調節輻輳曲線(太い実線)で示される木の葉形の領域Eに含まれる場合に両眼視が可能であり、中でもハッチングで示される中央1/3の領域(爽快領域)Fに含まれる場合には、快適な両眼視が可能である。爽快領域Fの調節の範囲は、強い疲労を伴わない5D以下である。条件(2)を満たすことにより、調節と輻輳とのバランスが、およそこの爽快領域Fに含まれ、快適な両眼視が可能となる。
【0033】
なお、光学系の視度ξ(≒目の調節)は正視の人を基準として定義されている。矯正が必要な人については、矯正視力を基準(ゼロ)として光学系の視度を定義する。また、眼幅を平均値である64mmとして式を構成している。
【0034】
次に、眼幅の調整について説明する。眼幅は人によって異なるため、双眼拡大鏡の利用時には、利用者の眼幅に合わせた調整が必要となる。この眼幅の調整には、β回転より像倒れの少ないγ回転を利用するのがよい。具体的には、まず平均眼幅(64mm)で像倒れがない状態にβ、γ、ψを設定する。次に眼幅の個人差(通常±6mmの範囲)に合わせてγ回転の調整をする。γ回転による物体面上の輻輳調整量Zγは、以下の式(3)で表される。
Zγ=WD×sinθ×tanγ …(3)
【0035】
γ回転による眼幅調整の結果発生する像倒れの最大量は、式(3)にZγ(=6mm)、物体距離WD、偏向角θを代入してγを求め、(1-1)式に代入することにより求められる。図9は、偏向角θが30°、45°、60°のそれぞれの場合に、6mmの眼幅調整に対して発生する像の倒れを物体距離WDの関数として示すグラフである。このグラフから、偏向角θが大きいほど、そして、物体距離WDが小さいほど像倒れが大きいことがわかる。
【0036】
眼幅調整前に平均眼幅(例えば64mm)に対して像倒れがない状態に設定されていれば、γ回転による眼幅調整により発生する像の倒れは、θ=60°ならWD=500mm程度以上、θ=45°ならWD=250mm程度以上、θ=30°ならWD=200mm程度以上であれば0.3°以下となり、左右像を融合させる際の妨げとはならない。
【0037】
第1の実施形態のように、角度ψが固定されたダハプリズム12aを利用する場合、双眼拡大鏡が使用される利用状況(物体距離WD、眼幅P、倍率m、偏向角θ)を想定し、γ回転、β回転により発生する像の倒れε(γ)、ε(β)を相殺できるように角度ψを決定する。実際の製造現場では、複数の利用状況を想定して角度ψが異なる複数種類のダハプリズムを用意しておき、用途に応じて使い分ければよい。組立時には、上記の利用状況と装用者の個人データとに基づいて調整角度β、γを求め、これらの調整角度により生じる像倒れを補正できる角度ψを持つダハプリズムを選択して左右の拡大鏡を構成する。そして、左右の拡大鏡を眼鏡レンズに取り付けた状態でγ回転、β回転を調整し、調整後に各拡大鏡を眼鏡レンズに固定する。固定後、装用者自身での調整は想定していない。このようにして、実施形態の実像式双眼拡大鏡は、利用状況と個人データとに基づいて最適な視野が得られるように一品ずつ製造される。
【0038】
図10は、偏向手段の他の例である組み合わせプリズム30を示す斜視図である。図10に示す組み合わせプリズム30は、対物レンズを介して入射する光束を反射させる第1反射面S1、第2反射面S2、第3反射面S3、第4反射面S4を備える点で図5に示すダハプリズム12aと同様である。ただし、組み合わせプリズム30は、第1、第4反射面S1,S4が一体に構成された第1ブロック31と、第2、第3反射面S2,S3が一体に構成された第2ブロック32との2つのプリズムブロックから構成され、第1ブロック31に対して第2ブロック32を回転軸L1回りに回転させることにより、角度ψを任意に設定することができる。回転軸L1は、光学系の光軸とダハ稜線(第2、第3反射面S2,S3の交線)とが交わる点Dを通り第2ブロック32の底面(第1ブロック31に対向する面)に対して垂直な軸である。角度ψを使用状況や個人データに応じて設定した後、第1ブロック31と第2ブロック32とを接着等により接合し、左右の拡大鏡に組み込む。なお、回転軸L1が交点Dを通るため、角度ψを調整しても光学系の光軸がずれることがない。
【0039】
図10に示す組み合わせプリズム30を偏向手段として用いることにより、視軸と光学系の光軸とをβ回転により一致させ、輻輳をγ回転により調整した後、これらの回転により生じる像の倒れを角度ψの調整により補正することができる。このため、図5に示す角度ψが固定されたプリズムを用いる場合のように複数のプリズムを使用状況に応じて用意する必要がなく、一種類の組み合わせプリズム30を用意するのみで様々な使用状況に対応することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。第2の実施形態の実像式双眼拡大鏡は、偏向手段の構成が第1の実施形態と異なるが、概略構成は図1、図2に示した第1の実施形態と同様である。図11は、第2の実施形態にかかる実像式双眼拡大鏡の一方の拡大鏡の光学系を示す説明図であり、図12は、図11の光学系に利用されている偏向手段である偏向ミラー群の斜視図である。
【0041】
図11に示す拡大鏡10cは、物体側に配置された正のパワーを持つ対物レンズ11cと、対物レンズ11cを介して入射する光を4回反射させて像の上下左右を反転させる偏向手段としてのミラー群12cと、このミラー群12cにより偏向された光を眼ERに導く正のパワーを持つ接眼レンズ13cとから構成されている。なお、ミラー群12cによる偏向角θは、θ=45°に設定されている。
【0042】
ミラー群12cは、対物レンズ11cを介して入射する光束を順に反射させる第1反射面である第1ミラーM1、第2反射面である第2ミラーM2、第3反射面である第3ミラーM3、第4反射面である第4ミラーM4を備える。第2ミラーM2と第3ミラーM3とは直交している。入射した光束は、第1ミラーM1、第2ミラーM2、第3ミラーM3、第4ミラーM4で順に反射されて接眼レンズ13cに入射する。
【0043】
第2の実施形態でも、第1ミラーM1と第4ミラーM4とを延長した際の交線L14を法線とする平面を想定すると、第2ミラーM2と第3ミラーM3とを延長した際の交線L23がこの平面に対して角度ψ[°](ψ≠0)で交差するよう各ミラーが配置されている。このように角度ψを設定することにより、ミラー群12cに光軸を偏向する作用と、像を180°回転させる作用と、輻輳調整時に像の倒れを補正する作用とを持たせることができる。
【0044】
第2の実施形態の双眼拡大鏡の調整方法は、第1の実施形態で説明したのと同様であり、β回転により光学系の光軸と視軸とを一致させ、γ回転により輻輳を調整し、その際に発生する像の倒れを角度ψの設定により補正する。また、第1,第4ミラーに対して第2,第3ミラーを回転させることにより、角度ψを任意に調整することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、各拡大鏡を互いに逆方向にβ回転させて光学系の光軸と視軸とを一致させ、γ回転させて輻輳を調整したときに、これらの回転により生じた像の倒れを偏向手段の角度ψの設定により補正することができるため、双眼拡大鏡の光路が途中で偏向される場合にも、像の倒れを抑えて左右像を融合させつつ、輻輳を適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態にかかる実像式双眼拡大鏡を示す正面図である。
【図2】 図1に示す実像式双眼拡大鏡の上面図である。
【図3】 図1に示す実像式双眼拡大鏡を構成する一方の拡大鏡の側面図である。
【図4】 従来のダハプリズムを示す斜視図である。
【図5】 図3に示す拡大鏡に含まれるダハプリズムの形状を示す斜視図である。
【図6】 本発明の実像式双眼拡大鏡における調整軸の定義を示す斜視図である。
【図7】 偏向角と輻輳調整と像の倒れとの関係を示すグラフである。
【図8】 調節と輻輳との関係を示すグラフである。
【図9】 眼幅調整に対して発生する像の倒れを物体距離の関数として示すグラフである。
【図10】 第1の実施形態のダハプリズムの変形例を示す斜視図である。
【図11】 本発明の第2の実施形態にかかる実像式双眼拡大鏡を構成する一方の拡大鏡の側面図である。
【図12】 図11に示す拡大鏡に含まれるミラー群の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1a,1b 眼鏡レンズ
10 双眼拡大鏡
10a,10b 拡大鏡
11a 対物レンズ
12a ダハプリズム
13a 接眼レンズ
ER 右眼
EL 左眼

Claims (6)

  1. 正のパワーを有する対物レンズと正のパワーを有する接眼レンズとを備えて物体を拡大して観察するための拡大光学系と、前記対物レンズと接眼レンズとの間に配置されて前記拡大光学系の光路を一方側に偏向すると共に像を正立させる反射型の偏向手段とから構成される拡大鏡が左眼用、右眼用として一対配置して構成される実像式双眼拡大鏡において、
    前記偏向手段は、前記対物レンズを介して入射する光束を反射させる第1、第2、第3、第4反射面を備え、前記第1、第4反射面の交線を法線とする仮想平面に対して前記第2、第3反射面の交線が角度ψ[°](ψ≠0)で交差し、第一眼位で物体距離無限遠のときに想定される左右の視軸に一致する軸をそれぞれXL、XRとし、前記左右の拡大鏡の偏向手段の位置で前記XL及びXR軸と垂直に交差する軸をZとし、XL及びZ軸に垂直な軸をYLとし、XR及びZ軸に垂直な軸をYRとし、前記X、XRを回転軸とする回転をγ回転、前記Y、Yを回転軸とする回転をβ回転とし、前記対物レンズの光軸が互いに平行となる状態を基準としたγ回転の角度をγ[°]、β回転の角度をβ[°]、前記拡大光学系の視度をξ [ ]とするとき、以下の条件(1)及び (2)を満たすことを特徴とする実像式双眼拡大鏡。
    ―0.5°<2ψ―{ε(γ)+ε(β)}<0.5°…(1)
    0.9 ×|ξ|− 0.3 <| 31.3 × tan β|< 1.3 ×|ξ|+1… (2)
    但し、
    ε(γ)=γ−[cos-1{1−sin2(90―θ)×(1−cosγ)}]
    ε(β)=[cos-1{1−sin2θ×(1−cosβ)}]
    θ:拡大鏡の光軸の偏向角[°]である。
  2. 前記偏向手段は、前記第1、第4反射面が一体に構成された第1ブロックと、前記第2、第3反射面が一体に構成された第2ブロックとから構成され、前記角度ψを任意に設定して前記第1ブロックと前記第2ブロックとが接合されていることを特徴とする請求項1に記載の実像式双眼拡大鏡。
  3. 前記偏向手段の各反射面は、ミラーで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の実像式双眼拡大鏡。
  4. 前記偏向手段の各反射面は、プリズムの内面反射を利用して構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の実像式双眼拡大鏡。
  5. 前記第2、3反射面がダハ面を構成することを特徴とする請求項4に記載の実像式双眼拡大鏡。
  6. 正のパワーを有する対物レンズと正のパワーを有する接眼レンズとを備えて物体を拡大して観察するための拡大光学系と、前記対物レンズと接眼レンズとの間に配置されて前記拡大光学系の光路を一方側に偏向すると共に像を正立させる反射型の偏向手段とから構成される拡大鏡が左眼用、右眼用として一対配置して構成される実像式双眼拡大鏡の調整方法において、
    前記偏向手段は、前記対物レンズを介して入射する光束を反射させる第1、第2、第3、第4反射面を備え、前記第1、第4反射面の交線を法線とする仮想平面に対する前記第2、第3反射面の交線の角度をψ [ ° ] とし、第一眼位で物体距離無限遠のときに想定される左右の視軸に一致する軸をそれぞれX L 、X R とし、前記左右の拡大鏡の偏向手段の位置で前記X L 及びX R 軸と垂直に交差する軸をZとし、X L 及びZ軸に垂直な軸をY L とし、X R 及びZ軸に垂直な軸をY R とし、前記X 、X R を回転軸とする回転をγ回転、前記Y 、Y を回転軸とする回転をβ回転とし、前記対物レンズの光軸が互いに平行となる状態を基準としたγ回転の角度をγ [ ° ] 、β回転の角度をβ [ ° ] 、前記拡大光学系の視度をξ [ ] とするとき、以下の条件 (1) 及び (2) を満たすよう調整することを特徴とする実像式双眼拡大鏡の調整方法。
    0.5 °< 2 ψ― { ε ( γ )+ ε ( β )} 0.5 °… (1)
    0.9 ×|ξ|− 0.3 <| 31.3 × tan β|< 1.3 ×|ξ|+1… (2)
    但し、
    ε ( γ ) =γ− [cos -1 {1 sin 2 (90 ―θ ) × ( 1− cos γ )}]
    ε ( β ) [cos -1 {1 sin 2 θ× ( 1− cos β )}]
    θ:拡大鏡の光軸の偏向角 [ ° ] である。
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