JP4033286B2 - 高屈折率誘電体膜とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野で多く使用される光学素子に適した、光学多層膜干渉フィルタを構成する高屈折率誘電体膜とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘電体膜を光学的に応用する分野として、単層膜で用いる反射防止膜や赤外線反射膜、さらに略十層程度の多層膜で設計される特定波長を選択的に反射あるいは透過させる反射防止膜、増反射膜又は半透過膜などがある。
【0003】
近年、光通信分野の産業の拡大・発展に伴って、特定波長のみを厳密に選択できる光学フィルタが求められるようになってきた。例えば波長多重方式の光通信用のモジュールとして必須部品である分波・合波器に用いられる光学フィルタは狭帯域フィルタやエッジフィルタであり、これらを実現する誘電体多層膜は一般に数十から百層を超える層数の多層膜で構成され、その分光特性は各層の屈折率(n)と膜厚とをパラメータとして光学設計される。
【0004】
上記光学多層膜は相対的に高屈折率を有する透明薄膜と相対的に低屈折率を有する透明薄膜とを交互に積層して作製される。交互に積層される二種の材料の屈折率差を大きくするほど所望の光学特性を少ない層数で実現できるので、光学多層膜を設計する際に有利である。
【0005】
一般に前記光学多層膜の高屈折率の範囲として1.9〜2.5、低屈折率範囲として1.3〜1.6が従来から例示されている。高屈折率透明材料には、酸化チタン(n≒2.4:nは屈折率)、硫化亜鉛(n≒2.3)、酸化ジルコニウム(n≒2.2)、酸化ニオブ(n≒2.2)、酸化タンタル(n≒2.1)、酸化セリウム(n≒2.2)、酸化ハフニウム(n≒2.2)、酸化ネオジウム(n≒2.1)、酸化タングステン(n≒2.0)、酸化錫(n≒2.0)、錫ドープ酸化インジウム(n≒1.9)、酸化イットリウム(n≒1.9)などが知られている。また低屈折率透明材料には酸化珪素(n≒1.46)、フッ化マグネシウム(n≒1.38)などが知られている。
屈折率は波長依存性を有し、上記屈折率は近赤外波長域における値である。
【0006】
これらの透明材料を用いる光学多層膜は、真空蒸着法やスパッタリング法など真空成膜法によって基板上に形成される。薄膜形成方法はその用途、必要な特性、生産性など目的に応じて適宜選択される。
広範囲の面積に均一な厚みで成膜する場合、比較的低温で成膜する場合、基板との密着性を上げる場合には、いずれもスパッタリング法が有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
高屈折率誘電体材料としては、上記の例示した化合物の中で屈折率が高く、価格的にも入手しやすい酸化チタンが広く用いられている。しかしながら、酸化チタンの薄膜には一般に次のような問題があることが知られている。
【0008】
(1)薄膜形成条件(例えば、蒸着法における真空度、酸素分圧など)の変動が得られる酸化チタンの屈折率を変化させやすく、光学多層膜の特性の再現性が得られにくい。なぜなら、TiOxの酸化度xが変動して、必ずしも化学量論的に安定なTiO2にはならないからである。この結果、設計した光学特性を有する光学多層膜が得られないことがある。
【0009】
(2)スパッタリング法で誘電体膜を形成するときの成膜速度が著しく遅い。導電性が小さいターゲット材料に対して近年では高周波(RF)スパッタリング方式が汎用技術として用いられるようになり、成膜速度が改善されたが、依然として工業的には不利な状況である。
【0010】
(3)大気中で保管している間に酸化チタン薄膜の光学特性、特に屈折率が経時的に変化する。このため、高屈折率材料として酸化チタンを用いた光学フィルタでは、選択的に透過・反射させるべき波長が所定位置からシフトするという問題が生じる。
【0011】
(4)膜応力が略1GPa(圧縮)と比較的大きい。これに対して低屈折率材料として広く使用されている酸化珪素の膜応力は約0.2GPa(圧縮)であり、この差により膜にクラックを生じたり、多層膜界面で膜が剥離する問題がある。
【0012】
前記(1)の問題点は、真空層に導入する雰囲気ガスの制御装置の改善や、操業条件の改善や、原料の選択など、設備・操業の設計で解決が図られている。しかし、固有の設備や方法の改善にとどまっており、上述した問題点を解決できる技術にはなっているとはいえない。
【0013】
また、前記(2)の問題点については、例えば、特開平7−233469号公報にはTiOxの酸化物焼結体ターゲットに導電性を持たせるというDCスパッタリング方式で成膜速度を改善できることが開示されている。また、成膜速度を上げるために他の酸化物を添加することも示されている。さらに特開平8−283935号公報には化学量論組成より酸化度の小さいターゲットを使用し、導入する酸素ガスを最小にすることで成膜速度を改善できることが開示されている。
【0014】
しかし、これらの技術は成膜速度にのみ関するものである。また、酸化物または亜酸化物ターゲットを使用するので、ターゲットの組成と得られる酸化物薄膜の組成とを一致させることが難しいという別の問題を含んでいる。
【0015】
(3)と(4)の問題点に対しては、未だに十分な効果を奏する解決手段は見あたらない。
【0016】
このような従来技術のレベルにおいて、現実には屈折率の高い酸化チタンに替えて、屈折率が酸化チタンよりやや低い酸化ニオブや酸化タンタルを光学多層膜の高屈折率材料として用いることも多く行われている。この場合、屈折率が酸化チタンより小さいことにより、必要な光学特性を得るための光学設計が困難になる。
【0017】
波長多重方式の光通信用のモジュールとして必須部品である分波・合波器などに用いられる光学フィルタのように、極めて厳密に特定された波長範囲においてのみ所望の特性を発揮することが求められる光学素子にあって、上記のような問題が解決されていないことは産業上極めて重大な問題である。
【0018】
本発明の課題は、光学多層膜の構成材料として安定的に使用しうる、すなわち経時的に光学特性の変化を生じることがなく、かつ膜応力の小さい前記高屈折率誘電体膜を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の高屈折率誘電体膜は酸化チタン(TiOx:1≦x≦2)に他の金属酸化物(MOw:Mは金属、1≦w)を添加して得られる柱状構造を持たない非晶質材料からなることを特徴とする。
【0020】
酸化チタンは薄膜であっても結晶構造をとりやすい材料であり、酸化チタンの薄膜の構造を調査・研究した報告書などに記載されているように、その結晶は柱状に成長した柱状構造(図4(a))をとりやすく、その結晶粒界には水分子やガス分子が吸・脱着する空間が存在する。
【0021】
本発明者らは酸化チタンの柱状の結晶構造に着目し、前述した酸化チタン薄膜の経時的な光学特性の変化が主として結晶粒界に吸・脱着する水分子やガス分子に基因するものであると推定し、他の金属酸化物を添加することによって酸化チタンの結晶成長を阻害し、得られた薄膜を非晶質とすることにより経時的な光学特性の変化が少ない酸化チタンを得ることに成功した。
【0022】
すなわち、本発明の高屈折率誘電体膜は非晶質であるから結晶粒界を持たないので、結晶粒界に水分子やガス分子が吸・脱着することがなく、その結果、水分子やガス分子に基因する経時的な光学特性の変化を抑えることができる。
【0023】
なお、非晶質の薄膜であっても、ポーラスな柱状構造(図4(b))、完全な非晶質(図4(c))又は非晶質微粒子の集合構造(図4(d))の三態様をとることがある。上述の理由により本発明の非晶質薄膜は、完全な非晶質または非晶質微粒子の集合構造とすることが好ましい。
【0024】
本発明の高屈折率誘電体膜は非晶質であるから、薄膜表面は平滑なものが得られる。すなわち、基板上に高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層したとき、その界面は平滑となるので、界面における光の散乱が生じにくくなり、光学フィルタに入射した光の散乱損失を小さくすることができる。特に百層にもおよぶ多層膜の場合にはこの効果がとりわけ顕著になる。ここで、前述のように、高屈折率とは約1.9〜2.5の範囲の屈折率をいい、低屈折率とは約1.3〜1.6の範囲の屈折率をいうこととする。
【0025】
また、本発明の高屈折率誘電体膜はチタンと他の金属成分の総量に対する他の金属成分の比率(M/(Ti+M))が30原子%以上であることを特徴とする。
【0026】
前記他の金属成分の比率が30原子%未満の場合、主成分の酸化チタンの柱状結晶構造が形成され、本発明の特徴である非晶質構造が得られない。他の金属成分の組成比が増大するとともに、酸化チタンの結晶成長を阻害しようとする他の金属成分の作用が増加し、前記比率を30原子%以上にすると酸化チタンと他の金属酸化物の混合物からなる誘電体膜を非晶質とすることができる。
【0027】
前記誘電体膜を非晶質とするためには、他の金属成分の組成比は30原子%以上であればよく、上限は特に定めない。他の金属成分の組成比が30原子%以上であっても、高屈折率誘電体膜の厚さが光学多層膜に用いられる場合のように高々略320nm以下の場合にはその金属酸化物自体が結晶成長することはなく、また酸化チタンの結晶成長を促進することはなく、本発明の特徴である非晶質構造が維持される。
【0028】
ただし、他の金属成分の組成比が30原子%を超えて増加するとともに屈折率が順次低下し、酸化チタンの屈折率(略2.4)から、他の金属酸化物自体の屈折率値まで低下する。
【0029】
高屈折率材料として、酸化チタンより小さい屈折率となったとしても、光学多層膜の設計が可能な範囲の屈折率となるように、他の金属成分の組成比を30原子%以上の範囲で適宜選択すればよい。
【0030】
誘電体多層膜の高屈折率材料の屈折率としては、2.25以上であることが望ましいので、この屈折率を維持するためには、例えば他の金属成分がニオブの場合にはその組成比を80原子%以下とし、他の金属成分がタンタルの場合にはその組成比を60原子%以下とすればよい。
【0031】
本発明の高屈折率誘電体膜に用いられる前記他の金属酸化物としては酸化ニオブ(NbOy:1≦y≦5/2)、または酸化タンタル(TaOy:1≦y≦5/2)等である。
【0032】
酸化ニオブや酸化タンタルは、前述のとおり、光学多層膜を構成する高屈折率材料として単独でも用いられる材料である。また、薄膜の状態であっても結晶構造をとりやすい酸化チタンに混合すると、酸化チタンの結晶成長を阻害する働きを有する。さらに、酸化ニオブや酸化タンタルは薄膜状態では、それ自体では結晶化しにくく、酸化チタンへの配合比を自由に選択できる。
【0033】
すなわち、本発明の柱状構造をもたない非晶質材料である高屈折率誘電体膜を得るための前記他の金属酸化物としては、高屈折率であること、酸化チタンの結晶成長を阻害する働きをもつこと、及びその材料自体が薄膜結晶になりにくいことが求められる。
【0034】
このような金属酸化物としては、前記酸化ニオブ、酸化タンタルの他に、酸化ネオジウム(NdOi:1≦i≦5/2)、酸化セリウム(CeOj:1≦j≦2)、酸化ジルコニウム(ZrOk:1≦k≦2)、酸化ハフニウム(HfOm:1≦m≦2)などが挙げられる。
【0035】
上記の種々の金属酸化物は化学量論組成(例えば、酸化ニオブの場合、Nb2O5)である方が、作製された光学素子特性の再現性が保証されやすいので好ましいが、必ずしも化学量論組成である必要はない。
【0036】
本発明の高屈折率誘電体膜の膜応力は0.30GPa以下であることが望ましい。
前記膜応力は結晶格子中の所定のサイトに本来配置されるべき原子が欠損したり(例えば、酸化物の場合、酸素欠陥の存在)、逆にあるべき原子以外の原子が格子中に割り込んで(例えば、スパッタリングガスのアルゴンの存在)、結晶格子が異方性をもって歪むことによって発生する。
【0037】
本発明の高屈折率誘電体膜の製造方法により圧縮応力は異なるが、酸化チタン薄膜では約1GPaの圧縮応力を生じる。光学多層膜の低屈折率材料として多く使われる酸化珪素膜やフッ化マグネシウム膜の圧縮応力は約0.2GPaである。
【0038】
酸化チタンと酸化珪素の薄膜を交互に積層すれば、膜応力の差によって酸化珪素薄膜には引っ張り力が作用し、酸化珪素膜にクラックが発生したり、さらには膜の界面で剥離が生じることがある。実際に光学素子として使用するときの信頼性を損なう要因になっている。
【0039】
本発明の高屈折率誘電体膜は非晶質となるように作製されるので、上述した結晶格子の歪みが存在せず、また、非晶質薄膜中に原子の欠損や余剰があってもその影響は局部的なものにとどまるので、膜応力を極めて小さくすることができる。そして、その膜応力が0.3GPa以下であれば、光学多層膜の高屈折率誘電体膜として、例えば酸化珪素からなる低屈折率誘電体膜と積層しても、薄膜のクラックや薄膜界面での剥離を生じることがない。
【0040】
本発明の高屈折率誘電体膜の膜応力は0.3GPa(圧縮)以下であれば十分であり、下限については考慮する必要はないが、好ましくは0.1〜0GPa(圧縮)である。
【0041】
多く使われる低屈折率材料は一般的には圧縮応力を有するので、光学多層膜全体としての応力を緩和させるために、高屈折率材料に0〜0.3GPa程度の引っ張り膜応力を発生させても差し支えない。
【0042】
本発明の高屈折率誘電体膜は、一対のカソードに交互に極性を変えるような交流電圧を印加し、酸素を反応ガスとして用いる反応性(リアクティブ)中性化スパッタリング方式で作製できる。
【0043】
前記スパッタリング方式は、特に非導電性の薄膜を長時間にわたって特性の変動を引き起こすことなく形成できる特徴を有するので、厳密に設計どおりの光学特性を有する高屈折率誘電体膜を形成することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1は本発明の高屈折率誘電体膜を形成するために有利に用いられるスパッタリング装置の模式図である。
真空チャンバー1内に一対のカソード2、2’が隣接して並列配設され、それぞれのカソード2、2’には同じ組成からなるターゲット3、3’がそれぞれ取り付けられている。
【0045】
一対のカソード2、2’には互いに極性が交互に変わるように交流電源5から交流電圧が印加される。すなわち、一方のカソード2にプラス電圧が印加されているとき、他方のカソード2’にはマイナス電圧が印加され、逆に前記一方のカソード2にマイナス電圧が印加されているとき、前記他方のカソード2’にはプラス電圧が印加される。ここでは、「カソード」は、訳語の「陰極」の意味ではなく「ターゲットへの電力供給部」の意味で用いる。
【0046】
また、真空チャンバー1内にターゲット3、3’に対向する位置に高屈折率誘電体膜をその表面に形成させる基板6(本実施例ではガラス板を用いた)を配置した。
【0047】
本発明において、TiOxとNbOyとからなる高屈折率誘電体膜を作製するとき、ターゲット3、3’としてチタン(Ti)とニオブ(Nb)とを所定の配合比とした合金またはこれらの金属の混合物を用いる。プロセスガスとしてアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いる。前記プロセスガスはガス導入口8から導入し、排気口9から排出する。
【0048】
すなわち、本発明の高屈折率誘電体膜を形成するために、交流電圧で生起させたプラズマで金属ターゲット3、3’をスパッタし、プロセスガスのうち酸素と反応させながら、いわゆる反応性中性化スパッタリング方式で、基板6上にTiOxとNbOyとが混合された混合誘電体膜を基板6の表面に形成する。
【0049】
本発明においては、反応性スパッタリング方式のうち、プロセスガス全量(Ar+O2)に対してO2の比率を高くしたリアクティブモードと呼ばれるガス分圧を選択するのが好ましい。リアクティブモードでの成膜は、形成する薄膜が酸化物であるからリアクティブモードとした方が酸化物薄膜の組成が化学量論組成になりやすく、その結果、酸化物薄膜の光学特性が再現性よく得られるからである。
【0050】
また、O2の比率の高いリアクティブモードで形成された酸化物薄膜は、ターゲットの金属組成と薄膜中の金属組成がほとんど完全に一致することが、発明者の実験で確かめられている。
【0051】
例えば、Nbの比率(Nb/(Ti+Nb))が30.0原子%、及び40.0原子%のTiとNbからなる合金ターゲット3、3’を用いた場合、得られた酸化物薄膜中のNbの比率はそれぞれ、29.5原子%と39.8原子%であった。光学多層膜を作製する技術において、薄膜の組成が光学特性に直接影響することを考えれば、薄膜の組成を制御して目標組成とすることができることは大きなメリットである。また、このことは、ターゲット3、3’の成分が必要十分な酸素と反応して化学量論組成に近い酸化物薄膜が得られていることを示している。
【0052】
さらに、リアクティブモードでは成膜速度が比較的遅いという不利な点があるが、成膜速度が安定する特徴があるので、個々の薄膜の膜厚を精密に制御しながら、多数の薄膜を積層していく光学多層膜の作製には有利である。
【0053】
さらにまた、O2の比率の高いリアクティブモードで形成された酸化物薄膜はその内部に酸素欠陥が少なくなるので、光通信で用いられる、例えば1550nmの波長のレーザー光の吸収が小さくなり、その結果、光信号の透過損失が低減できるという効果を奏する。
【0054】
反応性スパッタリング方式のうち、プロセスガス全量(Ar+O2)に対してO2の比率を低くしたいわゆるメタルモードでは成膜速度が比較的速いが、得られる酸化物薄膜の酸化度が安定化しにくく、その結果、酸化物薄膜の光学特性の再現性が損なわれやすい。その他、光学多層膜を作製することにおいて、上述したリアクティブモードを用いることの効果をメタルモードで得ることは難しい。
【0055】
金属ターゲット3、3’を用いた酸素との反応性スパッタリングに対して、形成される被膜と同じ組成の酸化物焼結体をターゲット3、3’とするスパッタリング方式も一般的な手段であるが、この手段によって得られる酸化物薄膜は、その組成がターゲット3、3’の組成と必ずしも一致しないことが多く、薄膜の光学特性を設計どおりに発現させることは困難である。
【0056】
次に本発明の高屈折率薄膜を形成するための中性化スパッタリングについて説明する。
金属ターゲット3、3’を用いてプロセスガスに酸素を含まない場合、すなわち金属被膜を形成する場合はターゲット3、3’が導電性を有するのでDC(直流)スパッタリングを行ってもプラズマからの電荷がターゲット3、3’に帯電することはない。本発明においては金属ターゲット3、3’を用いてO2との反応性スパッタリングを行うので、金属ターゲット3、3’の表面の、特に非エロージョン部が酸化されて非導電性になるので、DCスパッタリングを行うとプラズマからの電荷がターゲット3、3’に帯電し、絶縁破壊によるアーキングが発生する。
【0057】
中性化スパッタリングにおいては、隣接して配設された一対のカソード2、2’に互いに極性が交互に変わるように交流電圧を印加して、それぞれのカソード2又は2’が交互にカソード(陰極)とアノード(陽極)との役割を果たすことで、ターゲット3、3’表面は常に一定の状態が保たれ、安定な放電状態が維持される。すなわち、ターゲット3、3’の非エロージョン部に堆積する酸化物(非導電性物質)に帯電する電荷が、交流(AC)のサイクル毎に中性化されるのでDCスパッタリングで発生するようなアーキングが起こらない。
【0058】
その結果、長時間にわたって多層膜を積層する間、形成される酸化物薄膜の組成を一定に保つことができるので、屈折率と膜厚が精密に制御された高屈折率誘電体膜を得ることができる。
【0059】
印加する交流電圧の周期は100Hz以上であることが好ましく、1kHz以上であることがさらに好ましい。100Hz未満の場合には交流サイクルごとの電荷の中和が遅れ、十分な除電ができない。
【0060】
交流電圧の周期は1MHz以下であることが好ましく、100kHz以下であることがさらに好ましい。1MHzを超えると、ターゲット3、3’からプラズマへのイオンの移動が極性の変化に追随せず、十分なスパッタリングを行わせることができず、成膜速度がきわめて小さくなる。
中性化スパッタリングを行う場合のターゲット材料は金属などの導電性であっても、酸化物などの非導電性であってもよい。
【0061】
基板6上に誘電体多層膜を形成する場合には、高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜を交互に積層するので、真空装置内には、図1には図示していない別の一対のターゲットと、別のプロセスガス導入口と、基板6の搬送装置が配設される。
【0062】
先ず、所定のスパッタリング条件(プロセスガス種、圧力、および電力など)で、一対のターゲット3、3’を用いて上記した反応性中性化スパッタリングにより、基板6上に高屈折率薄膜を形成する。
【0063】
次いで、基板6を別の一対のターゲット(図示せず)に対向させる位置に搬送し、真空チャンバー1内を別の所定のスパッタリング条件に設定し、別の一対のターゲットを用いて反応性中性化スパッタリングにより、低屈折率薄膜を形成する。
【0064】
この過程を、光学多層膜の設計にしたがって所定の積層数だけくり返して、誘電体多層膜を形成する。
基板6上に最初に形成される薄膜が、低屈折率誘電体膜であっても差し支えない。
【0065】
(実施例1)
高屈折率誘電体材料(以下、H)としてTiOxとNbOyとの混合誘電体を用い、低屈折率誘電体材料(以下、L)としてSiOzを用いて、これらを交互に積層させたエッジフィルタを作製し、得られたエッジフィルタに高温・高湿に対する耐候試験を実施して、試験前後の光学特性の変化(波長シフト量)を評価した。
【0066】
TiOx−NbOy混合誘電体中のNbOyの組成比と、得られたエッジフィルタの耐候性との関係を得るために、5種類のエッジフィルタを作製した。
【0067】
Hを形成するための一対のターゲット3、3’はTi−Nb合金を用い、Lを形成するための別の一対のターゲット(図示せず)はSi金属とした。
【0068】
Ti−Nb合金ターゲット3、3’は5種類準備し、合金中のNbの組成比は原子%で表して、0%、10%、20%、30%、40%とした。
【0069】
5種類のHを形成するための5種類のターゲットに対して、Lを形成するためのターゲットはSi金属の1種類のみである。
【0070】
プロセスガスはアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスとした。その量は、 Hを形成するときは Ar:25cm3/分、O2:40cm3/分
Lを形成するときは Ar:15cm3/分、O2:50cm3/分
とした。
スパッタリング電力は、Hを形成するときは7kW、Lを形成するときは8kWとした。
【0071】
スパッタリング時の圧力は、
Hを形成するときは 1.20Pa(9mTorr)
Lを形成するときは 0.93Pa(7mTorr)
一対のターゲットに印加される交流の周波数は40kHzとした。
【0072】
直径30mm、厚さ1mmの光学ガラス(BK7)をアルカリ性洗剤を用いて超音波洗浄機で洗浄し、直ちに前記した中性化反応性スパッタリング装置である真空チャンバー1内に装着した。
HとLの各層の膜厚制御は、真空チャンバー1に取り付けた基板6の透過率を膜形成中においても直接測定することができる、直視型光学モニタにより所望の(設計どおりの)膜厚となるように行った。
【0073】
上記のスパッタリング条件を用い、前記したHとLを交互に積層する手順に従って、BK7からなる基板6上に61層からなる誘電体多層膜を積層し、エッジフィルタを作製した。
【0074】
本実施例では、誘電体多層膜の膜構成(設計値)を次のようにした。
ガラス基板/1.012L/0.883H/0.823L/0.944H/1.076L/1.112H/0.713L/(1.0H/1.0L)23/1.0H/0.728L/1.113H/1.081L/0.910H/0.763L/0.745H/0.700L
HまたはLの前の数値は、それぞれの層の基本厚さに対する倍率である。基本長さは、(波長(λ)/4)/屈折率、(λ=1300nm)である。
【0075】
また、前記(1.0H/1.0L)23は基本厚さのHとLを一組として、この組を23組積層したことを意味する。
前記(1.0H/1.0L)23の層の前後の数層は、透過帯域のリップル(さざ波状のスペクトル)を抑えるために施した層である。
以上の手順により、高屈折率薄膜中のNbの組成が互いに異なる5種類のエッジフィルタを得た。
【0076】
次いで、これらの5種類のエッジフィルタに、プレッシャ・クッカ・テスト(PCT)による、高温・高湿に対する耐候試験を実施して、試験前後の光学特性の変化(波長シフト量)を評価した。
PCTは、種々の材料、部品の高温・高湿に対する耐候性を促進評価する方法で、実時間を短縮促進させて試験を行う一般的な方法である。本実施例ではその試験条件を、150℃−90%RH−150kPa(1.5気圧:絶対圧力)−10時間とした。
【0077】
5種類のエッジフィルタについて、PCT前後の波長シフト(△λ)を図2に示した。透過率スペクトルはLED光源を使用した光スペクトルアナライザで測定した。
【0078】
【表1】
図2および表1から、5種類のエッジフィルタのうち、高屈折率薄膜中のNb組成比が30原子%を超えると、PCT前後の波長シフトが0.2以下となった。
【0079】
このことは、後述する図5においてNb組成比が30原子%を超えると、薄膜の構造が結晶から、非晶質に変化したことと対応する。
すなわち、TiOx中のNbOyの比率が増すとともに薄膜の構造が変化し、その結果、耐候性に優れた多層膜が得られることが確かめられた。
【0080】
また、Nbの原子比が40%である高屈折率誘電体膜であっても、その屈折率はNbOy100%(単一組成)の屈折率約2.20より大きい。すなわち、酸化チタンの水分などに対する耐候性の問題を解決し、なお高屈折誘電体膜としての特性を維持していることが示された。
【0081】
(実施例2)
高屈折率誘電体材料(以下、H)としてTiOxとTaOyとの混合誘電体を用い、低屈折率誘電体材料(以下、L)としてSiOzを用いて、これらを交互に積層させたエッジフィルタを作製し、得られたエッジフィルタに高温・高湿に対する耐候試験を実施して、試験前後の光学特性の変化(波長シフト量)を評価した。
【0082】
TiOx−TaOy混合誘電体中のTaOyの組成比と、得られたエッジフィルタの耐候性との関係を得るために、5種類のエッジフィルタを作製した。
【0083】
すなわち、実施例1において使用したTi−Nb合金ターゲットに替えて、Ti−Ta合金ターゲットを使用したこと以外は、実施例1と同様の手順で5種類のエッジフィルタを作製し、それぞれの資料についてPCT前後の波長シフトを測定した。
【0084】
ただし、本実施例の誘電体多層膜の膜構成(設計値)は次のとおりとした。
ガラス基板/0.930L/0.879H/0.835L/0.944H/1.088L/1.111H/0.703L/(1.0H/1.0L)23/1.0H/0.709L/1.123H/1.093L/0.946H/0.758L/0.689H/0.651L
結果を図3と表2に示す。
【0085】
【表2】
図3および表2から、5種類のエッジフィルタのうち、高屈折率薄膜中のTa組成比が30原子%を超えると、PCT前後の波長シフトが0.2以下となった。
【0086】
このことは、後述する図6においてTa組成比が30原子%を超えると、薄膜の構造が結晶から、非晶質に変化したことと対応する。
【0087】
すなわち、TiOx中のTaOyの比率が増すとともに薄膜の構造が変化し、その結果、耐候性に優れた多層膜が得られることが確かめられた。
【0088】
光学フィルタに用いられる誘電体多層膜を構成する高屈折率材料として、TiOxにTaOyが含有された薄膜は、TiOxが有する耐候性の問題を解決でき、さらに高屈折率を維持できるものであることが確認できた。
【0089】
(実施例3)
酸化チタンと他の金属酸化物との混合物からなる高屈折率誘電体膜中の他の金属成分の組成比率と、▲1▼誘電体膜の結晶性、▲2▼誘電体膜の屈折率、および▲3▼誘電体膜の膜応力、との関係を調べるために、他の金属成分の組成が互いに異なる6種類の試料を作製した。
【0090】
他の金属酸化物は、酸化ニオブと酸化タンタルとした。
【0091】
高屈折率誘電体膜中の金属成分全体に対するニオブの組成比(原子%)が、0%、10%、20%、30%、40%、80%の6種になるように、Ti−Nb合金ターゲット中のNbの組成比(原子%)を0%、10%、20%、30%、40%、80%とした6種の合金ターゲットを準備した。Ti−Ta合金ターゲットについても同様にTi−Ta合金ターゲット中のTaの組成比(原子%)を0%、10%、20%、30%、40%、80%とした6種の合金ターゲットを準備した。
【0092】
NbおよびTaの組成比(原子%)が0%、10%、20%、30%、40%のターゲットは実施例1および実施例2で用いたものと同じものである。
【0093】
Nbの組成比(原子%)が0%のTi−Nb合金からなる一対のターゲット3、
3’をカソード2、2’に装着し、厚さ1.5mm×直径30mmの石英ガラス2枚と厚さ0.25mm×直径30mmの石英ガラス1枚とを基板6として真空チャンバー1内に並べて装着した。
その後、実施例1において高屈折率誘電体膜を基板6上に形成したのと同じ条件で反応性中性化スパッタリングにより、厚さ250nmのTiO2からなる単層の高屈折率誘電体膜が形成された3枚の試料を得た。
【0094】
ついで、上記ターゲットをNbの組成比(原子%)が10%のTi−Nb合金からなる一対のターゲット3、3’に換えて上記と同様の手順で石英ガラス基板6上に酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる厚さ250nmの単層の高屈折率誘電体膜が形成された3枚の試料を得た。この手順を繰り返して、酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる互いに組成の異なる高屈折率誘電体膜が形成された6種の試料をそれぞれ3枚づつ作製した。
【0095】
得られた6種×3枚の試料をA、B、Cの三群に分けた。すなわち基板の厚さが1.5mmの互いに組成の異なる6種の試料をA群、基板の厚さが1.5mmの互いに組成の異なる別の6種の試料をB群、基板の厚さが0.25mmの互いに組成の異なる6種の試料をC群とした。
【0096】
上記と同様にして、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる互いに組成の異なる厚さ250nmの単層の高屈折率誘電体膜が石英ガラス基板6上に形成された6種の試料をそれぞれ3枚づつ作製した。
得られた6種×3枚の試料を酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる高屈折率誘電体膜の試料と同じようにA、B、Cの三群に分けた。
図5および図6に、それぞれ酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜および酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜のX線回折チャートを示す。
【0097】
X線回折を測定した試料は、上記した手順で作製した単層の高屈折率誘電体膜を用いた。すなわち、前記A群に分類された、酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる互いに組成が異なる6種の試料と、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる互いに組成が異なる6種の試料を用いた。
図5および図6には測定された回折チャートのうち、ニオブおよびタンタルの組成比(原子%)が0%、20%、30%、40%の場合を載せた。
【0098】
誘電体膜に酸化ニオブまたは酸化タンタルが含まれない場合には酸化チタンの結晶を特徴づける回折角度に大きな強度のピークがあるが、酸化ニオブまたは酸化タンタルの組成比が増大するとともに酸化チタンに基因するピークがわずかに小さくなり、金属ニオブまたは金属タンタルの原子比が30原子%以上では、このピークが急に認められなくなり、他の結晶の存在を示すピークも現れなくなる。すなわちこの領域では酸化チタンと酸化ニオブまたは酸化タンタルとの混合物からなる誘電体膜は実質的に非晶質構造に変化したことが示されている。
これらの結晶性の有無はX線回折測定器(リガク社製「RAD−rC」)で評価した。
【0099】
図7(a)および図7(b)は、それぞれ酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜および酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜の屈折率と、酸化ニオブまたは酸化タンタルの組成比率との関係を示したものである。
屈折率を測定した試料は、上記した手順で作製した単層の高屈折率誘電体膜を用いた。すなわち、前記B群に分類された試料を用いた。
【0100】
横軸は、酸化チタンに添加する他の金属酸化物の比率を金属成分のみの原子量比(M/(Ti+M))を%で表示した。屈折率は、酸化チタンと酸化ニオブまたは酸化タンタルとの混合物からなる誘電体膜になった状態で測定した値である。屈折率の測定波長は1550nmとした。
【0101】
酸化チタンに添加される酸化ニオブの量を0から増大させると、金属ニオブの原子量比が30%までは混合誘電体膜の屈折率は酸化チタンの屈折率である約2.4から比較的小さい変化率で低下する。金属ニオブの原子量比が30%を超えると混合誘電体膜の屈折率はその変化率が大きくなり、ほぼ直線的に低下し、最終的に酸化ニオブの屈折率である約2.2となる。
【0102】
酸化チタンに酸化タンタルを添加した場合も酸化ニオブの場合と同様に添加量の増大とともに混合誘電体膜の屈折率は低下し、その低下する割合は金属タンタルの原子量比が約30%で変化し、最終的に酸化タンタルの屈折率である約2.1となる。
【0103】
これらの現象は、高屈折率誘電体膜を非晶質にするために結晶性の高い酸化チタンに酸化ニオブまたは酸化タンタルを添加しても、金属ニオブまたは金属タンタルの原子量比が30%程度までは得られた混合誘電体膜は依然として光学多層膜として実用に供することができる程度の高屈折率を有するものとすることができることを示している。
【0104】
混合誘電体膜の組成はシーケンシャル型プラズマ発光分析装置(島津製作所製「ICPS−8000」)で測定した。
混合誘電体膜の屈折率は分光エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製「WVASE32」)で測定した。
【0105】
図8(a)および図8(b)は、それぞれ酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜および酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜の膜応力と、酸化ニオブまたは酸化タンタルの組成比率との関係を示したものである。
【0106】
屈折率を測定した試料は、上記した手順で作製した単層の高屈折率誘電体膜を用いた。すなわち、前記C群に分類された基板の厚さが0.25mmの試料を用いた。
【0107】
横軸は、酸化チタンに添加する他の金属酸化物の比率を金属成分のみの原子量比(M/(Ti+M))を%で表示した。膜応力は、酸化チタンと他の金属酸化物の混合物からなる誘電体膜になった状態で測定した値である。
【0108】
酸化チタンのみの薄膜の膜応力は約1GPaである。酸化ニオブの添加量を増し、金属ニオブの原子量比が約20%を超えると急激に誘電体膜の膜応力が減少し、金属ニオブの原子量比が約30%以上では酸化チタンのみの膜応力の1/10程度に減少する。
酸化チタンに酸化タンタルを添加した場合も、酸化ニオブの場合と同様の傾向を示す。
【0109】
これらの現象は、酸化チタンに酸化ニオブや酸化タンタルを添加することによって、二種の酸化物が混合した誘電体膜を非晶質化させることと対応していることを示している。
膜応力は石英ガラス基板に誘電体膜を形成し、膜応力によって生じる反り量をニュートンリング法で計測する方法で測定した。
【0110】
本発明の上記実施の形態にかかる高屈折率誘電体膜を用いた光学多層膜フィルタは、光学素子の表面上に直接形成することができるので、部品数を減らし、組立の手間を減らし、必要な空間を減らすので、光通信システムの設計において有利である。
【0111】
光学多層膜フィルタは誘電体膜を積層して形成されるので、基体となる光学素子の表面は平面であることが有利である。
前記光線が通過する面が平面である光学素子としては、半径方向に屈折率分布を有する円柱型マイクロレンズや光導波路などが例示できる。
【0112】
図9に、円柱型マイクロレンズをコリメータとして用い、光が通過するコリメータの端面に光学多層膜フィルタを形成した実施形態を示す。図9(a)には円柱型マイクロレンズ(コリメータ)の端面に光学多層膜フィルタを形成した光学系を示し、図9(b)には従来例であるコリメータと光学多層膜フィルタ素子が別に配置された光学系を示す。
【0113】
上記した中性化反応性スパッタリング装置内に、前記マイクロレンズを基板として装着し、その端面に光学多層膜フィルタを形成すれば、一度に大量の光学フィルタ付きマイクロレンズを作製することが可能になる。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、経時的に光学特性の変化を生じることがなく、かつ膜応力の小さい高屈折率誘電体膜を得ることができるので、この材料を用いて光学多層膜フィルタを作製すれば、長期間にわたって高い信頼性を有する光学素子とすることができる。このような光学素子は、波長多重方式の光通信用のモジュールとして用いたとき、特に大きな効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高屈折率誘電体膜を形成するために有利に用いられるスパッタリング装置の模式図である。
【図2】 酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜の5種類のエッジフィルタについてのPCT前後の波長シフト(△λ)を示す。
【図3】 酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜の5種類のエッジフィルタについてのPCT前後の波長シフト(△λ)を示す。
【図4】 酸化チタンの結晶性柱状構造(図4(a))、非晶質のポーラスな柱状構造(図4(b))、完全な非晶質(図4(c))、非晶質微粒子の集合構造(図4(d))である。
【図5】 酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜のX線回折チャートを示す。
【図6】 酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜のX線回折チャートを示す。
【図7】 酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜の屈折率と酸化ニオブの組成比率との関係(図7(a))と酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜の屈折率と酸化タンタルの組成比率との関係(図7(b))を示す。
【図8】 酸化チタンと酸化ニオブの混合物からなる誘電体膜の膜応力と酸化ニオブの組成比率との関係(図8(a))、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる誘電体膜の膜応力と酸化タンタルの組成比率との関係(図8(b))を示す。
【図9】 図9(a)は円柱型マイクロレンズ(コリメータ)の端面に本発明の光学多層膜のフィルタを形成した光学系を示し、図9(b)には従来例であるコリメータと光学多層膜フィルタ素子が別に配置された光学系を示す。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2、2’ カソード
3、3’ ターゲット 5 交流電源
6 基板 8 ガス導入口
9 排気口
Claims (8)
- 透明基板上に、相対的に屈折率が高い高屈折率誘電体膜と相対的に屈折率が低い低屈折率誘電体膜とを交互に積層した誘電体多層膜を構成する高屈折率誘電体膜であって、
酸化チタン(TiOx:1≦x≦2)に他の金属酸化物(MOw:Mは金属、1≦w)を添加して得られる柱状構造を持たない非晶質材料からなることを特徴とする高屈折率誘電体膜。 - 金属成分の総量に対する他の金属成分の比率(M/(Ti+M))が30原子%以上であることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率誘電体膜。
- 前記他の金属酸化物が酸化ニオブ(NbOy:1≦y≦5/2)、酸化タンタル(TaOy:1≦y≦5/2)、酸化ネオジウム(NdOi:1≦i≦5/2)、酸化セリウム(CeOj:1≦j≦2)、酸化ジルコニウム(ZrOk:1≦k≦2)又は酸化ハフニウム(HfOm:1≦m≦2)からなる群から選択される酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率誘電体膜。
- 前記高屈折率誘電体膜の膜応力が0.30GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率誘電体膜。
- 減圧した雰囲気を調製できる真空チャンバー内にマグネトロンスパッタリング用の一対のカソードと該一対のカソード上に配置したターゲットと該一対のターゲットに対向する位置に成膜対象の基板を配置して前記一対のカソードの極性を交互に変えるように交流電圧を印加しながら酸素を反応ガスとして用いて反応性中性化スパッタリング方式で被膜を前記基板表面に形成させる高屈折率誘電体膜の製造方法において、
チタン(Ti)と他の金属(M)の合金またはチタン(Ti)と前記他の金属(M)の混合物からなる一対のカソードを互いに近接位置に並列配置し、第一の所定濃度の酸素含有ガスをプロセスガスとして用いて前記一対のカソードの極性を交互に変えるように交流電圧を印加して基板表面に酸化チタン(TiOx:1≦x≦2)と他の金属酸化物(MOw:Mは金属、1≦w)からなる柱状結晶を持たない非晶質材料である高屈折率誘電体膜を形成させることを特徴とする高屈折率誘電体膜の製造方法。 - 前記他の金属酸化物が酸化ニオブ(NbOy:1≦y≦5/2)、酸化タンタル(TaOy:1≦y≦5/2)、酸化ネオジウム(NdOi:1≦i≦5/2)、酸化セリウム(CeOj:1≦j≦2)、酸化ジルコニウム(ZrOk:1≦k≦2)又は酸化ハフニウム(HfOm:1≦m≦2)からなる群から選択される酸化物であることを特徴とする請求項5に記載の高屈折率誘電体膜の製造方法。
- 減圧した雰囲気を調製できる真空チャンバー内にマグネトロンスパッタリング用の一対のカソードと該一対のカソード上に配置したターゲットと該一対のターゲットに対向する位置に成膜対象の基板を配置して前記一対のカソードの極性を交互に変えるように交流電圧を印加しながら酸素を反応ガスとして用いて反応性中性化スパッタリング方式で被膜を前記基板表面に形成させる高屈折率誘電体膜の製造方法において、
チタン(Ti)と他の金属(M)の合金またはチタン(Ti)と前記他の金属(M)の混合物からなる第一の一対のカソードを互いに近接位置に並列配置し、第一の所定濃度の酸素含有ガスをプロセスガスとして用いて前記第一の一対のカソードに交流電圧を印加して基板表面に酸化チタン(TiOx:1≦x≦2)と他の金属酸化物(MOw:Mは金属、1≦w)からなる柱状結晶を持たない非晶質材料である相対的に高屈折率の誘電体膜を形成させる工程と、
前記第一の一対のターゲットとは別に、珪素(Si)金属からなる第二の一対のターゲットを互いに近接位置に並列配置し、該第二の一対のターゲットに対向する位置に前記高屈折率誘電体膜が形成された基板表面を移動させて第二の所定濃度の酸素含有ガスをプロセスガスとして用いて交流電圧を印加して前記高屈折率誘電体膜が形成された基板表面に相対的に低屈折率の誘電体膜を形成させる工程、
からなる二つの工程を前記順序又は逆の順序で所定回数繰り返して基板表面に光学多層膜を製造することを特徴とする高屈折率誘電体膜の製造方法 - 前記他の金属酸化物が酸化ニオブ(NbOy:1≦y≦5/2)、酸化タンタル(TaOy:1≦y≦5/2)、酸化ネオジウム(NdOi:1≦i≦5/2)、酸化セリウム(CeOj:1≦j≦2)、酸化ジルコニウム(ZrOk:1≦k≦2)又は酸化ハフニウム(HfOm:1≦m≦2)からなる群から選択される酸化物であることを特徴とする請求項7に記載の高屈折率誘電体膜。
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