JP4031213B2 - 皮膜形成剤及び皮膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタンなどの金属の表面を被覆するのに有用な皮膜、より詳細には金属材の塑性加工(引抜き、伸線、圧造、鍛造など)に先立って金属材に潤滑性を持たせ、塑性加工後には金属加工品に耐食性を持たせるのに有用な皮膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属材(例えば、線材、棒材など)を塑性加工(例えば、引抜き、伸線、圧造、鍛造など)する際には、前記塑性加工に先立って金属材の表面に皮膜を形成することによって、被加工材と工具との焼付きを防止したり、潤滑剤の工具への導入性(キャリア性)を向上させたりしている。前記皮膜を形成する方法としては、化学反応によって皮膜を生成させる化成処理方法、物理的に皮膜を付着させる物理的方法などが知られている。化成処理方法では皮膜剤としてリン酸塩、蓚酸塩などが用いられ、物理的方法では皮膜剤として石灰石鹸、硼砂、塩素系樹脂などが用いられている。
【0003】
前記化成処理用の皮膜剤のうちリン酸塩(リン酸亜鉛など)を用いる場合、潤滑性(加工性)や加工後の耐食性に優れているものの、液管理に手間を要する。また被処理材との化学反応によって大量のスラッジが発生し、その処理に労力と費用とを要する。
【0004】
また蓚酸塩を用いる場合も液管理に手間を要する上に、皮膜処理後の保管中に錆が発生し易い。また蓚酸塩は劇物であるため、その取り扱いに注意を要する。
【0005】
さらには、これら化成処理においては皮膜処理後に水洗を要するため、重金属イオン、リン酸イオンなどを含む廃水が発生し、その処理にも労力と費用とを要する。
【0006】
一方、物理的方法用の皮膜剤のうち、石灰石鹸、硼砂などは液の管理が簡便であるものの、皮膜の潤滑性や耐食性が十分ではない。さらには、石灰石鹸では皮膜が剥離しやすいため、粉塵が発生しやすく、作業環境の悪化や鍛造時の潤滑性の劣化を招く虞がある。また硼砂では、石灰石鹸に比べて材料との密着性に優れており粉塵の発生は少ないものの、廃水の硼素規制の面からその使用が制限されつつある。
【0007】
また塩素系樹脂は、環境上または取り扱い上の問題がある溶剤(トリクロロエチレン、メチレンクロライドなど)を使用する必要がある。
【0008】
すなわち従来の皮膜剤は、潤滑性及び耐食性の点でリン酸塩(リン酸亜鉛など)が優れているものの、廃水処理の点で問題がある。リン酸塩と同等の潤滑性及び耐食性を有する環境に優しい皮膜剤の開発が強く望まれている。
【0009】
リン酸塩に代わる皮膜形成剤として、硫酸塩が注目されている。硫酸塩皮膜は、引抜き、伸線などの塑性加工時に使用される補助潤滑剤(ステアリン酸塩など)をダイス等の工具内に持ち込むキャリアとして優れており、潤滑性に優れている。例えば、特開平10−36876号公報には、アルカリ金属硫酸塩及びアルカリ金属ホウ酸塩を必須成分とし、さらに脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ土類金属塩、固体潤滑剤及び水溶性熱可塑性樹脂を含む潤滑剤組成物が開示されている。しかし、前記潤滑剤組成物は、アルカリ金属ホウ酸塩を必須成分として含有しており、廃水規制の対象となる。
【0010】
なお特開2000−309793号公報には、水溶性無機塩、脂肪酸の金属塩、及びワックスを含有する金属材料組成加工用水系潤滑剤が開示されている。前記水溶性無機塩としては、ケイ酸カリウムが例示されているものの、具体的に使用されているのは、タングステン酸ソーダ、モリブデン酸ソーダ、四ホウ酸カリウム、硫酸カリウムなどである。また前記脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸塩が開示されているに過ぎない。しかもワックスは、水ディスパージョンや水エマルジョンの形態で他成分と混合して使用される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、潤滑性及び耐食性に優れ、廃水処理が容易である皮膜形成剤、皮膜、前記皮膜を形成した金属材及び金属加工品、並びに前記金属加工品の製造方法を提供する点にある。
【0012】
本発明の他の目的は、液管理が容易である皮膜形成剤、皮膜、前記皮膜を形成した金属材及び金属加工品、並びに前記金属加工品の製造方法を提供する点にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究する過程で、皮膜形成剤として珪酸塩に着目した。珪酸塩は、前記硫酸塩に比べて耐食性(防錆性)に優れているものの、前記硫酸塩に比べて補助潤滑剤のキャリア性が低く、潤滑性に劣るためこれまであまり着目されなかった成分である。この珪酸塩のキャリア性を高め、さらには耐食性も高めてリン酸亜鉛並の潤滑性及び耐食性を発現すべく鋭意研究したところ、ポリカルボン酸塩、水親和性ポリマー、水親和性有機ラメラ構造体、モリブデン酸塩、タングステン酸塩などを用いると、廃水規制上の問題がないだけでなく、珪酸塩皮膜との相性がよいことを突き止めた。そして前記各補助成分(ポリカルボン酸塩、水親和性ポリマー、水親和性有機ラメラ構造体、モリブデン酸塩、タングステン酸塩など)の割合について鋭意検討したところ、珪酸塩と補助成分とを特定の割合で配合すると、リン酸塩(ボンデライトなど)に匹敵する程度にまで潤滑性及び耐食性を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明に係る皮膜形成剤及び皮膜は、珪酸塩(A)と、ポリカルボン酸塩(B)と、水親和性ポリマー及び/又は水親和性有機ラメラ構造体(C)と、モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩(D)とを、質量比B/A=0.02〜0.6、質量比C/A=0.05〜0.6、質量比D/A=0.05〜0.6で含有している点に要旨を有するものである。前記皮膜形成剤及び皮膜は、さらに硫酸塩(E)を含有していてもよく、この硫酸塩(E)と前記珪酸塩(A)との質量比(E/A)は0.01〜0.7程度である。
【0015】
本発明の組成加工用金属材は、前記皮膜が表面に形成されている。皮膜の付着量は、例えば、3〜50g/m2である。前記金属材は、線材、棒材、ブランク材などの形態であるのが好ましく、鋼材であるのが好ましい。
【0016】
本発明の金属加工品は、金属材を塑性加工した金属加工品であって、前記皮膜が表面に形成されている。
【0017】
前記金属加工品は、塑性加工用金属材と、前記皮膜形成剤及び水系溶剤の混合物(皮膜形成剤の濃度:例えば、5〜70質量%程度)とを接触させ、金属材の表面に皮膜を形成した後、塑性加工することによって製造できる。皮膜形成剤と水系溶剤との混合物は、例えば、温度60℃以上、沸点以下で塗布する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膜形成剤は、珪酸塩(A)を主成分(すなわち、質量基準で最も多い成分)として含有しており、珪酸塩(A)ベースの皮膜を形成するものである。珪酸塩皮膜は、比較的軟質であるため、金属材の塑性加工時の変形に追随しやすく、塑性加工用工具と金属材との間の焼付きを抑制できる。しかも、硫酸塩に比べればキャリア性及び潤滑性が劣るものの、他の非リン酸塩皮膜(石灰石鹸、硼砂などの皮膜)に比べればキャリア性及び潤滑性に優れている。
【0019】
前記珪酸塩としては、式xMI 2O・ySiO2(式中、x、yは自然数を示し、MIはアルカリ金属を示す)で表される塩(オルト珪酸塩、ソロ珪酸塩、イノ珪酸塩、フィロ珪酸塩など)の他、珪酸を構成する水素原子の一部又は全部がアルカリ成分に置き換わったものが使用できる。
【0020】
前記珪酸には、オルト珪酸(H4SiO4)の他、メタ珪酸(H2SiO3)、メタ二珪酸(H2Si2O5)、メタ三珪酸(H4Si3O8)、メタ四珪酸(H6Si4O11)なども含まれる。
【0021】
前記アルカリ成分としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)などが挙げられる。好ましいアルカリ成分は、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどである。
【0022】
珪酸塩(A)は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0023】
好ましい珪酸塩(A)には、珪酸アルカリ金属塩(珪酸カリウム、珪酸ナトリウムなど)、メタケイ酸アルカリ金属塩(メタケイ酸ナトリウムなど)、珪酸アルカリ土類金属塩(珪酸カルシウムなど)、水ガラス[例えば、式Na2O・nSiO2(式中、nは2〜4の整数を示す)で表される化合物など]などが含まれる。
【0024】
そして本発明の皮膜形成剤は、珪酸塩皮膜の潤滑性及び耐食性を高めるため、ポリカルボン酸塩(B)、水親和性ポリマー及び/又は水親和性有機ラメラ構造体(C)、モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩(D)を含有している。
【0025】
ポリカルボン酸塩(B)
ポリカルボン酸塩(B)は、珪酸塩皮膜を安定して(又は均一に)形成するのに有用である。前記珪酸塩(A)に対するポリカルボン酸塩(B)の量(B/A)は、例えば、0.02(質量基準)以上、好ましくは0.03(質量基準)以上、さらに好ましくは0.05(質量基準)以上である。ポリカルボン酸塩(B)の量が少なすぎると、皮膜の生成が不均一になり、金属材と塑性加工用工具との焼付きが発生し易くなる。また耐食性も低下する。一方ポリカルボン酸塩(B)の量の上限は珪酸塩皮膜を形成できる限り特に限定されず、質量比B/Aは、例えば、0.6以下である。なおポリカルボン酸塩(B)の量が多すぎると、皮膜の除去性が低下する。そのため加工後に皮膜を除去する必要性が生じた場合(例えば、メッキ処理を施す場合)に、脱膜が困難になる。脱膜を行う場合、ポリカルボン酸塩(B)の上限は、例えば、0.5以下、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。
【0026】
ポリカルボン酸塩(B)としては、カルボン酸基を有する重合性モノマーの重合体とアルカリ成分との塩が使用できる。
【0027】
前記カルボン酸基を有する重合性モノマーとしては、モノカルボン酸モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸など)、ジカルボン酸モノマー(マレイン酸、フマル酸など)などが挙げられる。好ましい重合性モノマーは、モノカルボン酸モノマー、特にアクリル酸、メタクリル酸である。
【0028】
重合体としては、前記モノマーの単独重合体、例えば、モノカルボン酸モノマーの単独重合体[ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸など(以下、ポリ(メタ)アクリル酸と総称する場合がある)]が含まれる。
【0029】
アルカリ成分としては、珪酸塩(A)を構成するアルカリ成分と同様の成分(アルカリ金属、アルカリ土類金属)の他、アンモニア、アミン類などの窒素含有塩基が使用できる。好ましいアルカリ成分は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)である。
【0030】
ポリカルボン酸塩(B)は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0031】
好ましいポリカルボン酸塩としては、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)が挙げられる。
【0032】
水親和性ポリマー及び/又は水親和性有機ラメラ構造体(C)
水親和性ポリマー及び水親和性有機ラメラ構造体は、いずれも水(好ましくは熱水、例えば、温度60℃以上の熱水)に対する親和性を有する有機物であり、低分子化合物(モノマー、低分子塩基、低分子酸など)が結合(σ結合、イオン結合、水素結合など)して実質的に高分子状態となったものである。以下、水親和性ポリマー及び水親和性有機ラメラ構造体を総称して、水親和性高分子量化合物(C)と称する場合がある。水親和性高分子量化合物(C)を用いると、皮膜の潤滑性をさらに高めることができる。
【0033】
前記珪酸塩(A)に対する水親和性高分子量化合物(C)の量(C/A)は、例えば、0.05(質量基準)以上、好ましくは0.07(質量基準)以上、さらに好ましくは0.1(質量基準)以上である。水親和性高分子量化合物(C)の量が少なすぎると、皮膜の摩擦係数が高くなり、潤滑性が不十分になる。一方、水親和性高分子量化合物(C)の量が多すぎると、皮膜が生成しにくくなり、皮膜の密着性が低下する場合がある。そのため珪酸塩(A)に対する水親和性高分子量化合物(C)の量(C/A)は、例えば、0.6以下、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.45以下である。
【0034】
水親和性ポリマーとしては、親水性基(ヒドロキシル基;アセトキシル基などのアシルオキシル基;アミド基;ニトリル基;アミノ基;エーテル基など)を有するポリマー、例えば、前記親水性基を有する重合性モノマーの単独又は共重合体が挙げられる。
【0035】
好ましい親水性ポリマーには、酢酸ビニルの単独重合体(ポリ酢酸ビニル)又は共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ビニルピロリドンの単独重合体(ポリビニルピロリドン)又は共重合体、ビニルエーテルの単独重合体(ポリビニルエーテル)又は共重合体、アリルアルコールの単独重合体(ポリアリルアルコールなど)又は共重合体(脂肪酸変性スチレン−アリルアルコール共重合体など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)などが含まれる。
【0036】
水親和性有機ラメラ構造体は、芳香族性有機酸と芳香族性有機塩基との塩(又は付加物)であり、酸と塩基とから構成されているため水親和性に優れている。前記芳香族性有機酸は、芳香族環に1つ又は複数の酸基が結合した化合物である。また前記芳香族性有機塩基は、芳香族環に1つ又は複数の塩基が結合した化合物である。このような芳香族性有機酸と芳香族性有機塩基とで塩(又は付加物)を形成すると、複数の芳香族性有機酸と芳香族性有機塩基とが平面方向に水素結合して層を形成する。そして各層が重なりあって、全体としてラメラ構造を形成する。ラメラ構造体はへき開性を有しており、潤滑性に優れている。
【0037】
前記芳香族性有機酸を構成する芳香族環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環などが挙げられ、酸基としてはカルボン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。芳香族環に結合する酸基の数は、好ましくは複数個(例えば、2〜3個、特に3個)である。好ましい芳香族性有機酸としては、ベンゼンジオール(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノンなど)、ベンゼントリオール、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ウラシル、アザウラシル、バルビツル酸、ジアルル酸、シアヌル酸などが例示できる。
【0038】
前記芳香族性有機塩基を構成する芳香族環としては、前記芳香族性有機酸と同様の芳香族環が挙げられ、塩基としてはアミノ基があげられる。芳香族環に結合する塩基の数は、好ましくは複数個(例えば、2〜3個、特に3個)である。好ましい芳香族性塩基には、ベンゼンジアミン、ベンゼントリアミン、グアナミン、メラミンなどが含まれる。
【0039】
前記芳香族性有機酸及び芳香族性有機塩基は、芳香族環に酸基と塩基との両方が結合していてもよい。このような化合物としては、シトシン、アンメリン、アンメリド、イソウラミル、グアニジン類(マロニルグアニジン、タルトロルグアニジン、メソキサリルグアニジン)などが含まれる。
【0040】
好ましい水親和性有機ラメラ構造体には、トリアジン環を有する有機酸と、トリアジン環を有する有機塩基との塩(又は付加物)が含まれる。
【0041】
水親和性高分子量化合物(C)は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0042】
モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩(D)
モリブデン酸塩及びタングステン酸塩は、いずれも廃水規制の対象とならない環境に優しい塩であり、かつ皮膜の耐食性を向上させるのに有用である。以下、モリブデン酸塩及びタングステン酸塩を総称して、耐食剤(D)と称する場合がある。
【0043】
前記珪酸塩(A)に対する耐食剤(D)の量(D/A)は、例えば、0.05(質量基準)以上、好ましくは0.1(質量基準)以上、さらに好ましくは0.15(質量基準)以上である。耐食剤(D)の量が少なすぎると、皮膜の耐食性が低下し、錆が発生しやすくなる。一方耐食剤(D)の量が多すぎると、皮膜が生成しにくくなり、皮膜の密着性が低下する。そのため珪酸塩(A)に対する耐食剤(D)の量(D/A)は、例えば、0.6以下、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.45以下である。
【0044】
耐食剤(D)(モリブデン酸塩、タングステン酸塩)としては、モリブデン酸やタングステン酸とアルカリ成分[例えば、前記珪酸塩(A)を構成するアルカリ成分と同様の成分]との塩が使用できる。なお耐食剤(D)は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0045】
好ましい耐食剤(D)には、モリブデン酸のアルカリ金属塩(モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウムなど)、モリブデン酸のアルカリ土類金属塩(モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウムなど)、タングステン酸のアルカリ金属塩(タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウムなど)、タングステン酸のアルカリ土類金属塩(タングステン酸マグネシウム、タングステン酸カルシウムなど)が含まれる。特に好ましい耐食剤は、アルカリ金属塩(モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウムなど)である。
【0046】
本発明の皮膜形成剤は、実質的に前記必須成分[珪酸塩(A)、ポリカルボン酸塩(B)、水親和性高分子量化合物(C)、耐食剤(D)]のみで構成してもよいが、必要に応じて、硫酸塩(E)、固体潤滑剤(F)、及びその他の成分(G)などを含有してもよい。
【0047】
硫酸塩(E)
硫酸塩(E)を加えると、キャリア性及び皮膜強度を高めることができ、金属材と加工用工具との焼付きをさらに低減できる。硫酸塩(E)は、変形度の高い塑性加工を行う金属材に皮膜を形成する場合に特に有用である。珪酸塩(A)に対する硫酸塩(E)の量(E/A)は、例えば、0.01(質量基準)以上、好ましくは0.03(質量基準)以上、さらに好ましくは0.05(質量基準)以上である。なお硫酸塩(E)の量が多すぎると、皮膜が硬くなりすぎて金属材や工具に疵をつけやすくなる。そのため珪酸塩(A)に対する硫酸塩(E)の量(E/A)は、例えば、0.7以下、好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以下である。
【0048】
硫酸塩としては、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩などが使用できる。硫酸塩は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0049】
好ましい硫酸塩は、アルカリ金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)である。
【0050】
固体潤滑剤(F)
固体潤滑剤(F)を用いると、皮膜の潤滑性をさらに高めることができる。固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、黒鉛、窒化硼素、雲母、フッ化黒鉛、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0051】
その他の成分(G)
本発明の皮膜形成剤には、その他の成分として、皮膜形成剤として慣用されている種々の成分が含まれていてもよい。これら成分は、本発明の作用・効果に影響を与えない範囲で使用できる。またその他の成分には、不純物も含まれる。
【0052】
皮膜形成剤は、前記有効成分[珪酸塩(A)、ポリカルボン酸塩(B)、水親和性高分子量化合物(C)、耐食剤(D)などの必須成分;硫酸塩(E)、固体潤滑剤(F)、その他の成分(G)などの補助成分など]を含有している限り特に限定されず、有効成分のみで構成してもよく、有効成分と水系溶剤(特に、水)との混合物であってもよい。後述するように皮膜形成剤は水系溶剤と混合して金属材に塗布するため、予め水系溶剤との混合物としておくと簡便である。
【0053】
本発明の皮膜形成剤は、水系溶剤との混合物とした上で、その必須成分[特に水親和性高分子量化合物(C)]が水系溶剤に見掛け上(又は実質的に)溶解するように調製する。その後、前記調製液と金属材とを接触させることによって、金属材の表面に皮膜を形成する。なお見掛け上(又は実質的に)溶解するとは、必須成分と水系溶剤との混合物が激しく濁ることがなく、僅かに濁っている(好ましくはクリアーになっている)状態のことをいう。必須成分が見掛け上(又は実質的に)溶解するようにすることによって、皮膜の潤滑性を高めることができる。前記皮膜形成剤は、実質的に金属材とは化学反応しておらず、金属材表面に物理的に付着している。
【0054】
以下、皮膜形成剤として有効成分のみで構成された皮膜形成剤を例にとって前記皮膜形成方法をより詳細に説明する。皮膜形成剤として有効成分と水系溶剤とで構成された皮膜形成剤を用いる場合には、水系溶剤の使用量を適宜調節して、同様に皮膜を形成できる。
【0055】
水系溶剤としては、水の他、水と水溶性溶剤との混合物が含まれる。前記水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル類が例示できる。好ましい水系溶剤は、水である。
【0056】
皮膜形成剤の必須成分を水系溶剤に見掛け上(又は実質的に)溶解させるため、皮膜形成剤と水系溶剤との混合物を加熱することが多い。前記混合物の温度は、例えば、60℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。なお前記混合物の温度は、通常、沸点以下であるが、混合物の温度が高すぎると、水の蒸発が顕著となり作業環境が悪化する。そのため混合物の温度は、97℃以下、好ましくは95℃以下であることが多い。
【0057】
皮膜形成剤の濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。皮膜形成剤の濃度が薄すぎると、皮膜の生成が不均一になる場合がある。皮膜形成剤の濃度の上限は、皮膜形成剤が水系溶剤に見掛け上(又は実質的に)溶解可能である限り特に限定されないが、例えば、70質量%以下(好ましくは60質量%以下)である。なお皮膜形成剤の濃度が濃すぎると、皮膜の密着性が低下する場合がある。皮膜の密着性の低下を防止する場合、皮膜形成剤の濃度は、例えば、50質量%以下、好ましくは45質量%以下である。
【0058】
皮膜形成剤及び水系溶剤の混合液(調製液)と金属材とを接触させる方法としては、特に限定されず、慣用の種々の方法が利用できる。例えば、前記混合液(調製液)に金属材を浸漬する方法、金属材に前記混合液(調製液)を塗布(スプレーによる塗布など)する方法などが挙げられる。
【0059】
前記混合液(調製液)と金属材とを接触させた後は、必要に応じて乾燥してもよい。
【0060】
皮膜形成剤の付着量(すなわち形成された皮膜の量)は、例えば、3g/m2(有効成分基準)以上、好ましくは4g/m2(有効成分基準)以上、さらに好ましくは5g/m2(有効成分基準)以上である。皮膜の付着量が少なすぎると、金属材と塑性加工用工具との間に焼付きが発生しやすくなる。皮膜形成剤の付着量の上限は特に限定されず、例えば、50g/m2以下であってもよいが、皮膜形成剤の付着量が多すぎると、塑性加工時に皮膜が剥離し易くなる。すなわち前記金属材を鍛造加工する場合には、鍛造潤滑油を使用することが多いものの、皮膜の剥離量が多くなると前記鍛造潤滑油が劣化しやすくなる。皮膜の剥離量を少なくする場合、皮膜形成剤の付着量は、例えば、35g/m2以下、好ましくは30g/m2以下である。
【0061】
なお前記金属材の形態は、塑性加工するための金属材である限り特に限定されず、例えば、線材又は棒材、前記線材又は棒材を切断した切断材(ブランク材)、鋼板などの種々の金属材が使用できる。好ましい金属材は、線材、棒材、ブランク材などである。線材又は棒材としては、例えば、ボルト、ナット、ばね、PC(prestressed concrete)鋼、スチールコード、ビードワイヤーなどを製造するための線材又は棒材が挙げられる。ブランク材としては、前方又は後方押出部品を製造するためのブランク材が挙げられる。
【0062】
また金属材の成分も特に限定されず、鋼材(鉄鋼、ステンレス鋼)、アルミ、チタン、銅などの種々の金属材が使用できる。好ましい金属材は、鋼材である。
【0063】
本発明では上述したように、金属材と、皮膜形成剤及び水の混合物(調製液)とを接触させることによって金属材の表面に皮膜を形成すればよく、この皮膜形成工程の前工程、及び後工程(塑性加工工程)は特に限定されないが、前工程では金属材表面を清浄化処理(清浄化工程)することが多い。清浄化処理としては、脱スケール処理、脱脂処理などが挙げられる。前記脱スケールでは慣用の方法が使用でき、例えば、機械的脱スケール法(ショットブラストなどのブラスト法、ベンディングなど)、化学的脱スケール法(酸洗など)が使用できる。好ましい脱スケール法は、機械的脱スケール法である。機械的脱スケール法によれば、バッチ処理ではなくインライン処理によって脱スケールできるため、物理的に短時間で皮膜を形成する本発明に適している。
【0064】
塑性加工では、金属材の用途に応じて、引抜又は伸線加工、圧造又は鍛造加工、圧延加工などの種々の塑性加工を行うことができる。なお金属材の用途によっては、複数の塑性加工を行う場合がある。例えば、ボルト、ナットなどを製造する場合には、引抜加工した後、圧造を行う。前方又は後方押出部品を製造する場合には、線材又は棒材を引抜加工し、切断した後で、鍛造する。スチールコード、ビードワイヤーなどを製造する場合には、一次伸線、二次伸線などのように複数の段階に分けて伸線加工を行う。複数の塑性加工を行う場合、少なくとも一つの塑性加工の前に前記皮膜形成剤で金属材を処理すればよく、全ての塑性加工の前に前記皮膜形成剤で金属材を処理してもよい。
【0065】
塑性加工を施す場合、必要に応じて補助潤滑剤を併用してもよい。本発明の皮膜はキャリア性に優れているため、補助潤滑剤を併用すると潤滑性を著しく高めることができる。
【0066】
補助潤滑剤としては、脂肪酸塩(脂肪酸とアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩など)、脂肪酸エステル、天然ワックスなどが挙げられる。前記脂肪酸塩及び脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、例えば、炭素数12〜26程度の脂肪酸であってもよい。
【0067】
上記のようにして皮膜形成剤が付着した金属材を塑性加工することによって、種々の金属加工品(ボルト、ナット、ばね、PC鋼、スチールコード、ビードワイヤー、前方又は後方押出部品、圧延鋼板など)を製造できる。この金属加工品には、金属材に付着させた皮膜の一部又は全部が付着しており、金属加工品の耐食性を高めている。
【0068】
金属加工品表面の皮膜の付着量は、前記金属材表面の皮膜付着量と同程度であってもよいが、通常、金属材表面の付着量よりも小さく、例えば、2g/m2以上(好ましくは3g/m2以上、さらに好ましくは4g/m2以上)、40g/m2以下(好ましくは30g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以下)である。
【0069】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0070】
皮膜処理材1〜17
珪酸塩(A)としての珪酸カリウム、ポリカルボン酸塩(B)としてのポリアクリル酸ナトリウム、水親和性高分子量化合物(C)としてのメラミンシアヌレート、耐食剤(D)としてのモリブデン酸ナトリウム、及び硫酸塩(E)としての硫酸ナトリウムを表1に示す割合で含む皮膜形成剤を、表1に示す濃度となるように水と混合し、皮膜処理液を得た。
【0071】
SCM435の球状化焼鈍材(線材直径φ=8mm、重量1トン)を酸洗してスケールを除去した後、水洗し、中和処理した(試験材1)。この試験材1を、温度90℃に加温した前記皮膜処理液に5分間浸漬し、乾燥することによって表面に皮膜が形成された皮膜処理材1〜17を製造した。
【0072】
皮膜処理材18〜20
皮膜処理液を、下記の濃度及び温度のリン酸亜鉛液、石灰石鹸液、又はボラックス(硼砂)液に代えて、下記に示す時間浸漬する以外は、皮膜処理材1〜17と同様に処理することによって皮膜処理剤18〜20を製造した。
【0073】
リン酸亜鉛液:濃度75g/L、温度80℃、時間7分
石灰石鹸液:濃度200g/L、温度65℃、時間5分
ボラックス液:濃度250g/L、温度85℃、時間5分
皮膜処理材1〜20の潤滑性、及び耐食性を下記の方法に従って評価した。
【0074】
[潤滑性]
補助潤滑剤(ステアリン酸カルシウム)を用いながら前記皮膜処理材1〜20を直径φ=7mmに引抜加工した後、減面率20%で前方押出試験を行い、押出荷重を測定した。
【0075】
また補助潤滑剤を用いることなく、前記直径φ=7mmの引抜材を直径φ=4.5mmまで4パスで(φ=6.2mmまで伸線する第1パス、φ=5.5mmまで伸線する第2パス、φ=4.9mmまで伸線する第3パス、φ=4.5mmまで伸線する第4パス)伸線加工し、加工後の表面状態(表面肌)を観察した。
【0076】
[耐食性]
前記皮膜処理材1〜20を温度40℃、湿度80%の恒温恒湿槽内で2週間放置した後、材料の表面に発生した錆の面積率を測定した。
【0077】
表1に結果を示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1より明らかなように皮膜処理材1〜10は、従来の石灰石鹸(皮膜処理材19)やボラックス(皮膜処理材20)に比べて押出荷重が小さく、表面肌が良好で焼付がなく、潤滑性に優れており、さらには錆の発生がなく耐食性に優れている。また前記皮膜処理材1〜10は、廃水規制の対象となるような成分(亜鉛など)を含有していないにも拘わらず、従来の皮膜剤の中で潤滑性や耐食性が優れているリン酸亜鉛(皮膜処理材18)に比べて、同等程度の潤滑性及び耐食性を有している。特に硫酸塩(E)を含む皮膜処理材8〜10は、リン酸亜鉛(皮膜処理材18)に比べて、潤滑性(押出荷重)が優れている。さらに皮膜処理材1〜10は、リンを含有していないため、リン酸亜鉛に比べて耐遅れ破壊性も向上する。
【0080】
なおポリカルボン酸塩(B)、水親和性高分子量化合物(C)、耐食剤(D)などが多すぎたり少なすぎたりする皮膜処理材11〜16では、押出荷重が高い場合、焼付が発生する場合、錆が発生する場合などがあり、潤滑性や耐食性が劣る。また硫酸塩(E)が多すぎる皮膜処理材17では、押出荷重が小さく、焼付が発生せず、錆も発生しないものの、引抜材においてピット状の疵が多く認められ、表面品質が良好ではない。
【0081】
皮膜処理材21〜28
珪酸塩(A)としての珪酸ナトリウム、ポリカルボン酸塩(B)としてのポリアクリル酸カリウム、水親和性高分子量化合物(C)としての酢酸ビニル共重合体、及び耐食剤(D)としてのタングステン酸ナトリウムを以下の割合で含む皮膜形成剤を、表2に示す濃度となるように水と混合し、皮膜処理液を得た。
【0082】
B/A=0.1(質量比)
C/A=0.2(質量比)
D/A=0.18(質量比)
S45C(線材直径φ=10.5mm)をショットブラストによってスケーを除去した鋼材(試験材2)を、表2に示す温度に加温した前記皮膜処理液に5分間浸漬し、乾燥することによって表面に皮膜が形成された皮膜処理材21〜28を製造した。
【0083】
皮膜処理材21〜28の潤滑性を下記の方法に従って評価し、耐食性を前記皮膜処理材1〜20と同様にして評価した。
【0084】
[潤滑性]
補助潤滑剤を用いることなく、皮膜処理材21〜28を引抜加工して直径φ=9mmの引抜材を得た後、圧造してM10アップセットボルトを製造した。皮膜処理材と引抜材について皮膜形成剤の付着量を測定すると共に、引抜材とボルト頭部の表面状態(表面肌)を観察した。
【0085】
結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2より明らかなように、引抜加工して引抜材を製造する場合、皮膜処理材21〜27は潤滑性(表面状態)及び耐食性に優れている。前記皮膜処理材21〜27のうち好ましいのは、皮膜処理材25〜27を除いた皮膜処理材21〜24である。皮膜処理材25では引抜加工時の皮膜の剥離量が多く、鍛造時の潤滑油を劣化させ易く、皮膜処理材26では皮膜処理液の温度が高くて水の蒸発量が多く、水の補給による濃度調整が煩雑になると共に作業環境が悪化しやすく、皮膜処理材27では引抜加工後にさらに圧造する場合には焼付が発生するのに対して、皮膜処理材21〜24では、引抜加工時の皮膜の剥離量が少なく、水の蒸発量も少なく、さらには引抜加工後にさらに圧造する場合でも高い潤滑性を維持できる。
【0088】
なお皮膜処理材28は、皮膜形成剤の濃度が薄く皮膜付着量が少ないため、
耐食性及び潤滑性のいずれも不十分である。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、珪酸塩(A)をベースとした皮膜を形成し、かつ前記珪酸塩皮膜の耐食性及び潤滑性を向上するためにポリカルボン酸塩(B)、水親和性高分子量化合物(C)、及び耐食剤(D)を特定の割合で混ぜているため、廃水処理が容易であるにも拘わらず、耐食性や潤滑性に優れた皮膜を形成することができる。
【0090】
また本発明によれば、金属材や金属加工品の表面に物理的に皮膜を形成するため、煩雑な液管理を必要とせず、簡便である。
【0091】
さらに本発明によれば、皮膜形成剤が実質的にリンを含有していないため、侵リンを防止でき、皮膜処理した金属材又は金属加工品の耐遅れ破壊性を高めることができる。
Claims (12)
- 珪酸のアルカリ金属塩(A)と、
ポリ(メタ)アクリル酸塩(B)と、
酢酸ビニル重合体及び/又はメラミンシアヌレート(C)と、
モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩(D)とを含有し、
前記珪酸アルカリ金属塩(A)が質量基準で最も多い成分であって、
前記各成分の質量比が以下の通りである皮膜形成剤。
B/A=0.02〜0.6
C/A=0.05〜0.6
D/A=0.05〜0.6 - さらに硫酸塩(E)を含有し、この硫酸塩(E)と前記珪酸のアルカリ金属塩(A)との質量比(E/A)が0.01〜0.7である請求項1記載の皮膜形成剤。
- 珪酸のアルカリ金属塩(A)と、
ポリ(メタ)アクリル酸塩(B)と、
酢酸ビニル重合体及び/又はメラミンシアヌレート(C)と、
モリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩(D)とを以下の割合で含み、
かつ前記珪酸アルカリ金属塩(A)が質量基準で最も多い成分である皮膜。
B/A=0.02〜0.6
C/A=0.05〜0.6
D/A=0.05〜0.6 - さらに硫酸塩(E)を含有し、この硫酸塩(E)と前記珪酸のアルカリ金属塩(A)との質量比(E/A)が0.01〜0.7である請求項3記載の皮膜。
- 請求項3又は4に記載の皮膜が表面に形成されている塑性加工用金属材。
- 皮膜の付着量が3〜50g/m2である請求項5記載の塑性加工用金属材。
- 線材、棒材、又はブランク材である請求項5又は6に記載の塑性加工用金属材。
- 鋼材である請求項5〜7のいずれかに記載の塑性加工用金属材。
- 金属材を塑性加工した金属加工品であって、請求項3又は4に記載の皮膜が表面に形成されている金属加工品。
- 塑性加工用金属材と、請求項1又は2に記載の皮膜形成剤及び水系溶剤の混合物とを接触させ、金属材の表面に皮膜を形成した後、前記金属材を塑性加工する金属加工品の製造方法。
- 前記混合物中の皮膜形成剤の濃度を5〜70質量%とする請求項10記載の製造方法。
- 皮膜形成剤と水系溶剤との混合物を温度60℃以上、沸点以下で塗布する請求項10又は11に記載の製造方法。
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