JP4029443B2 - 焼却炉煙道吹込剤および排ガス処理法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、都市ごみなどの焼却設備の排ガス処理設備から排出される酸性ガス、ダイオキシン類等有害有機物および重金属類等を含有する排ガス処理に使用される焼却炉煙道吹込剤とその処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ダイオキシン類による環境汚染が問題視されている。これは、他の汚染物質と比較して、ダイオキシン類の毒性がきわめて高いためである。例えば、最も毒性が強いと言われる2、3、7、8−ダイオキシンのモルモットでのLD50は2μg/kgである。更に、ダイオキシン類は非常に強い急性毒性を有しているとともに、強力な発癌性物質や催奇形性物質でもあることが確認されている。例えば、 2、3、7、8−ダイオキシンの場合には、0.01〜0.07μg/kg/dayという微量で発癌性を示すという報告がある。また、1〜10μg/kgの2、3、7、8−ダイオキシンを妊娠中のラットの母胎に投与することにより、奇形を生ずることが確認されており、他に類を見ない強い催奇形性物質であることが判明している。
【0003】
ダイオキシン類の発生源としては、都市ゴミ焼却施設、製鋼所や金属製錬産業等の工業プロセス、自動車の排ガス、紙パルプ産業における塩素漂白過程、農薬類などの化学工業製品の製造工程等があげられるが、日本では都市ゴミ焼却場から発生するものが最も多いとされている。日本は、国土が狭いうえゴミ発生量が非常に多いため、ほとんどの一般ゴミが焼却処分した後埋め立てられている。このため、日本では世界的にダイオキシンの発生量が多い。
【0004】
日本では約4800万トン(1988年)の一般廃棄物と約3.1億トン(1985年)の産業廃棄物が排出されている。西暦2000年には、一般廃棄物は約8000万トンに、産業廃棄物は約6億トンに達すると予測されている。そのうち一般廃棄物の約7割が焼却処理され約3割が直接処分されている。また、産業廃棄物は約4割が再生利用され、約3割が焼却などによって減容化されて処分され、約3割が直接最終処分場で廃棄されている。これら廃棄物の焼却処理の際には多量のダイオキシン類が発生することが明らかとなっており、今後、これらの排出規制が大幅に強化される方向にある。
【0005】
都市ゴミ処理場の場合、ゴミの中にはプラスチック、残飯、木材等の様々な有機物や塩化物が含まれている。これらのごみを焼却すると、有機物の一部は完全に二酸化炭素まで分解されず、未燃有機物が排ガス処理設備へと排出され、ダイオキシン類の前駆体となる。一方、塩化物中の塩素は塩素や塩化水素等のガス状成分となり、前記前駆体と複雑な反応経路を経て反応してダイオキシン類が生成すると言われている。また、排ガス処理設備に吹きあげられた飛灰中に含有される塩化銅などの金属塩が触媒となり、ダイオキシン類の生成を更に促進していると言われている。一般には、未燃有機物が焼却炉内で前駆体に変化し、ボイラーや集じん機等の低温領域内でダイオキシン類が合成されると考えられている。
【0006】
ダイオキシン類対策についての研究は、始まったばかりであり、未だ技術確立には到っていないが、現在考えられている焼却施設における対策は、以下の5つに分類される。すなわち、A.ゴミ中の原因物質の除去、B.燃焼条件での生成抑制、C.熱回収・冷却過程での生成抑制、D.排ガス処理過程での生成抑制と除去、E.飛灰の無害化である。このうち、近年、排ガス処理過程での生成抑制と除去(D)について盛んに検討されている。排ガス処理過程での対策として重要なのは、集じん機の温度を低下させることであり、ダイオキシン類発生防止ガイドラインでは、集じん機の温度を既設炉では250〜280℃に、新設炉では200℃以下にすることが示されている。しかし、既設の焼却炉で多く用いられてきた電気集じん機は温度を余り下げることができない上、コロナ放電でダイオキシン類が生成することが判明しているため、ほとんどの新設炉ではバグフィルタ方式の集じん機が取り付けられている。最近の技術としては、排ガス処理過程に酸化剤や酸化触媒を導入してダイオキシン類を酸化させたり、さらに、 H2S、NH3、トリエタノールアミンなどのフライアッシュの触媒活性を抑制する薬剤を排ガス処理過程で吹き込むことも検討されている。
【0007】
また、ダイオキシン類問題と共に重金属問題が大きな環境問題となっている。ゴミの中に含まれるカラー印刷された紙やセロファン類からカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、水銀(Hg)、砒素(As)、銅(Cu)など、プラスチック類からカドミウム、鉛、亜鉛(Zn)、クロム、水銀、砒素などが含まれており、これらを焼却することによって重金属が濃縮された灰が得られる。焼却場では、この灰をゴミの燃えがらからなる主灰とバグフィルターなどで回収される飛灰に分けて回収することが多い。この主灰、飛灰ともに重金属を含んでいるが、飛灰では特に重金属が溶出し易くなっている。
【0008】
すなわち、焼却場では焼却時に発生する塩酸ガスを捕捉するために、排気経路途中で消石灰や生石灰が吹き込まれる。これらは塩酸ガスと結合して塩化カルシウムとなり、排ガス中の塩酸ガス濃度が低減される。ところが、未反応の消石灰や生石灰が飛灰中に残存するために、飛灰はpH12以上の高アルカリ性となる。しかるに、飛灰中に高濃度で含まれている鉛は、高アルカリ性では鉛酸塩として水溶性となる性質があるために、このまま飛灰を廃棄すると鉛が溶出することになる。そこで、このような有害金属の溶出を防ぐ目的で、焼却場では、例えば飛灰にセメントを混合し、水を加えて混練した後、養生固化して廃棄したり、主灰と混ぜて埋め立てたりしている。しかしながら、セメントはアルカリ性であることから、大量に加えると鉛の溶出は抑制されず、依然二次公害が発生する恐れがあり、用途上制限がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような都市ごみ焼却設備等で発生する酸性ガスやダイオキシン類を除去し、回収した飛灰からの重金属の溶出を一つの薬剤で簡便に防止できる方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、消石灰、無機酸化物を含んでなる多孔性物質、飽和水溶液のpHが11.5以下の酸性ガス中和剤および活性炭もしくは活性コークスを目的に合わせて配合することにより得られる焼却炉煙道吹込剤を提供する。さらに、この処理剤を焼却炉煙道に吹き込み、酸性ガスやダイオキシン類を排ガスから除去するとともに回収された煤塵を水練りすることにより、煤塵からの重金属を安定化させる方法を提供する。
【0011】
本発明で使用される消石灰は、特に制限はなく、排気ガス中に含まれる塩酸ガス等の酸性ガスを吸収し中和するために、従来から使われるものが使用できる。本発明で使用される消石灰は、通常粉体状であるが、酸性ガスを効果的に除去するためには、表面積が大きい方が望ましい。具体的には、BET法で測定した比表面積が10m2/g以上の消石灰が望ましく、30m2/g以上であることがより望ましい。この様な比表面積を有する消石灰としては、生石灰に水を添加して消化して得られる消石灰が上げられる。具体的には、排ガス処理に通常使用されるJIS特号消石灰(比表面積15m2/g程度)好ましく使用されるが、コスト的に低価格であるJIS1号消石灰を使用してもよい。消化反応時にアルコールやアミン類を添加するなどの処理を施して比表面積を増大させた消石灰(奥多摩工業製“タマカルク”、上田石灰製“ユーエスライム”、吉田石灰製“カルミュー”、秩父石灰製“Aロック”、菱光石灰製“ヒシカール”等)を使用すると、更に効果的である。
【0012】
本発明の重金属の安定化メカニズムは、無機酸化物を含んでなる多孔性物質が重金属を吸着安定化する事による。鉛、カドミウム、水銀等の低沸点金属は焼却炉中から蒸発し排ガスとともに排出される。蒸発した重金属の多くは排ガス中の飛灰を電気集じん機やバグフィルターで回収する際に飛灰表面に凝縮したり吸着されて捕集される。しかしながら、飛灰に吸着し、捕集されたこれらの重金属は、飛灰が水にさらされるとイオン化して水中に溶解するため、このままでは2次公害が発生する問題がある。
【0013】
本発明の処理剤のダイオキシン類の除去メカニズムついて説明する。前述のように、焼却設備でのダイオキシン類の発生は未燃有機物と塩素ガスもしくは塩酸ガスと反応し生成する有機塩素化物である。これらのダイオキシン類は非常に疎水性の強い物質であり、炭素や活性炭等の疎水性の物質に吸着されることが知られている。本発明で使用される無機酸化物を含んでなる多孔性物質はダイオキシン類の吸着性能は活性炭には劣るが、活性炭と比較して低価格であり、多量に使用することが出来るので、単独で、または活性炭と併用することにより、ダイオキシン類の排出濃度をより低減することができる。
【0014】
本発明の無機酸化物を含んでなる多孔性物質は活性炭以外の珪酸・珪酸アルミ・珪酸マグネシウムのような親水性の物質である。また、ダイオキシン類や重金属を吸着する能力は無機酸化物を含んでなる多孔性物質の比表面積に依存し、比表面積が大きいほどダイオキシン類や重金属の吸着能力は向上する。通常、比表面積が50m2/g以上である無機酸化物を含んでなる多孔性物質が効果的にダイオキシン類や重金属を吸着するために使用されるが、本発明では比表面積が100m2/g以上のものが好ましく使用される。ただし、比表面積が余り大きすぎると、平均細孔径が小さくなりすぎてしまい、水練りした場合に細孔内が水分子で埋まってしまうため、重金属類が内部まで拡散できなくなる。したがって、無機酸化物を含んでなる多孔性物質の比表面積には最適な上限があり、800m2/g以下であることが望ましい。
【0015】
本発明で用いる無機酸化物を含んでなる多孔性物質は、合成物でも天然物でもどちらでも良い。合成物質としては、合成珪酸、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸マグネシウム、合成水酸化アルミニウム、合成ゼオライトなどがある。天然物質としては活性白土、酸性白土、アロフェン、ベントナイト、珪藻土、天然ゼオライト、活性白土等があり、これらの物質を酸処理することにより、アルミニウム、マグネシウムなどの不純物を除去し、比表面積を更に高めた物質などが好ましく用いられる。
【0016】
本発明で使用する無機酸化物を含んでなる多孔性物質は、増量することにより、重金属が十分吸着されるので多量に配合することが望ましい。しかしながら、消石灰の割合が少なすぎると酸性ガス除去効率は低下して望ましくないので、本発明の無機酸化物を含んでなる多孔性物質の配合量は、消石灰100重量部に対して10重量部以上200重量部以下であることが望ましく、20重量部以上100重量部以下であることが更に望ましい。
【0017】
本発明によれば、炭素系の吸着剤を用いてダイオキシン類のような有害有機物が吸着除去される。本発明で用いる炭素系の吸着剤としては活性炭および活性コークスが用いられる。特に活性炭が吸着能力が高く望ましい。活性炭は、原料の起源により、石炭系、ヤシ殻系、木質系などに分類される。また、活性炭の賦活方法には、水蒸気賦活と薬剤賦活がある。本発明で用いる活性炭は、原料・賦活方法ともに何れの種類のものを用いても良い。ただし、一般に石炭系のものが発火温度が高く、煙道に吹き込む場合に、安全性が確保されるので、石炭系のものが望ましい。活性コークスは、コークスを原料とした炭素系の吸着剤であり、活性炭と違い、賦活をしないか弱めの賦活をしたものである。一般に活性コークスは、活性炭と比較すると吸着能力に劣るものであるが、安価であり、経済性を考慮すると活性炭と同様に使用することが可能である。活性炭や活性コークス等の炭素系吸着剤の粒度に関しては、本発明の薬剤を煙道に吹き込むことや他の粉体との混合性を考慮すると、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。また、ダイオキシン類のような分子量の大きな物質を吸着するためには、細孔容積が大きな活性炭や活性コークスのような炭素系吸着剤の方が好ましい。特に、細孔径が10nm以上の領域にある細孔がダイオキシン類の吸着に有効な細孔である。図2に活性炭の細孔容積の分布をBET法で測定した例をしめす。一般に細孔容積分布には幾つかのピークが見られる。したがって、本発明によれば、細孔容積の細孔径分布を測定した場合の10nm以上の領域での単位細孔径当りの細孔容積の最大値が0.01cc/g以上であることが望ましい。例えば、 HYPERLINK "D:\テキスト公報\特開平11-033343\000005.gif" \t "djgrp" 図2No.2〜4に示す様な活性炭や活性コークス等の炭素系吸着剤を使用することが望ましい。
【0018】
本発明の活性炭の配合量について説明する。本発明で使用する活性炭を増量することによりダイオキシン類等の有機物系の汚染物質を除去する能力は増大する。しかし、混入量が多すぎると粉塵爆発の原因にもなる可能性がある。また、過剰に配合すると薬剤全体の吹き込み量が増大するため、コスト的にも不利となる。したがって、活性炭の配合量は、消石灰100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であることが望ましい。
【0019】
本発明で言う比表面積および細孔容積について以下説明する。本発明で言う比表面積は窒素置換方式のBET法で測定した値である。BET法は活性炭、触媒、触媒単体、ゼオライトなどの多孔性物質の比表面積を測定する方法として、一般的に使用される方法である。この方法では、物質表面に窒素などの気体分子を吸着させた後、サンプルを昇温して吸着した気体分子の脱離量から比表面積が測定される。吸着させる気体分子の種類は窒素・アルゴン等が使われる。
【0020】
BET法では、サンプルの前処理によって測定値が左右されるので、本発明では、オーブン中で200℃で3時間以上乾燥させたサンプルを使用する。このようにして、サンプルを十分乾燥させれば細孔中の水分等の吸着分子が離脱し、正確な表面積や細孔容積を測定することができる。また本発明では窒素ガスを用いる置換法での測定値である。気体分子は、吸着した細孔径の大きさにより、脱離温度や離脱圧力が異なる。したがって、BET法では測定系内の温度や圧力等を徐々に変化させることにより、各細孔領域に相当する比表面積および細孔容積の分布を測定することが出来る。このような比表面積および細孔容積の細孔径分布のデータは、ダイオキシン類のような大きな分子量の物質を吸着性能を判定する上で、重要な情報である。
【0021】
本発明の酸性ガス中和剤について説明する。通常の場合、焼却炉では酸性ガスを中和するために多量の粉体状の消石灰を煙道に吹き込んでいる。しかしながら、消石灰の飽和溶液はpH12以上の高いアルカリ性であるため、 未反応の消石灰が煤塵中に残存していると、煤塵を水に分散した場合に、pH12以上のアルカリ性になる。この様な高アルカリ領域では、鉛等の両性金属類が溶解するため、煤塵からの鉛溶出量が増大する。したがって、重金属の溶出を防止するためには、煤塵のpHを消石灰のpHより低下させることが望ましい。そこで本発明では、飽和溶液のpHが11.5以下の粉体の酸性ガス中和剤を混入することにより、煤塵のpHを低下させる。この様な酸性ガス中和剤を添加することにより、消石灰の吹込量を減らすことが出来、煤塵のpHを低下させることが可能となる。この様な、酸性ガス中和剤としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが望ましい。さらに、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの比表面積は、大きいほど酸性ガスとの反応性が高いため、BET法で測定した比表面積が15m2/g以上であることが望ましく、30m2/g以上であることが更に望ましい。
【0022】
本発明の酸性ガス中和剤の配合量について説明する。本発明で使用する酸性ガス中和剤を増量することにより、煤塵のpHは低下しやすくなるので中和の観点からは、酸性ガス中和剤を多量に配合することが望ましい。しかしながら、消石灰量が少なすぎると酸性ガス除去効率は低下する恐れがある。また、重金属類を吸着安定化させる無機吸着剤が不足すると、重金属の安定化をpH調節のみに依存することになり、重金属安定化能力が不安定になる。即ち、pHは非常に微妙な違いにより、急激に鉛溶出量が10〜100倍変化する場合があるために、不安定になるのである。したがって、本発明の酸性ガス中和剤の配合量は、消石灰100重量部に対して10重量部以上200重量部以下であることが望ましく、20重量部以上100重量部以下であることが更に望ましい。
【0023】
本発明の処理剤の作製方法について説明する。本発明の薬剤を作製する際には、単に原料の粉体を物理的に混合するだけでよい。混合は乾式で行われることが望ましく、原料中の含水量も少なくなるように注意する。混合前に乾燥することが望ましい。また、塊状若しくは祖粒状の原料物質を所定比に混合してから、粉砕を行っても良く、生産コストを下げるためにこのような方法を利用することが出来る。さらに、混合時に、セメントやキレート剤、燐酸塩類などの別の重金属処理剤もしくはダイオキシン類の処理剤を混合しても良い。
【0024】
本発明の処理剤の使用方法について以下に述べる。本発明の処理剤の使用方法の最も一般的な方法は、焼却炉の排ガス処理工程の煙道中に粉体状態の本処理剤を吹き込む方法である。例えば、図1の処理剤サイロ内に本処理剤を充填し、粉体供給機と空気輸送機を用いて、煙道内に吹き込む。さらに、本発明の処理剤を煙道に吹き込んだ後に回収される飛灰は、本発明の処理剤が重金属の安定化能力も有しているため、適量の処理剤が吹き込まれていれば、そのままでも重金属の溶出は防止される。 回収された飛灰を水で練り込むことにより、更に効果的に重金属を安定化することができるし、必要に応じてセメント、キレート剤、燐酸塩類等の他の重金属安定化剤を併用することも有効である。さらに、本発明で記載されている非晶質水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムは、飛灰中の残存消石灰と反応する能力し、固化する能力も有しているため、さらに効果的に、重金属を安定化することが出来る。
【0025】
以下に本発明に関わる実施例を示すが、これは本発明の内容を限定するものではない。
実施例1
硫酸を用いて含有されるAlやMg等の不純物を除去し、水洗して得られた比表面積230m2/gの酸性白土を水で洗浄した多孔性物質(SiO 2 含有量が90重量%以上)と100μふるい通過が96%であり、細孔径分布が図2のNo.3に相当する粉体状の活性炭を混合した物質を消石灰(奥多摩工業製、"タマカルク")を配合して処理剤とした。また、使用した酸化マグネシウムは、比表面積が25m2/gのものを用いた。表1に処理剤の配合割合を記載する。
【0026】
この処理剤を下記の都市ゴミ焼却炉で実験を行った。
形式: ストーカー式、
酸性ガス処理方式:乾式(排ガス処理工程に、消石灰を吹き込む形式)
集じん方式:バグフィルター方式
ガス排出量:30000Nm3/hr
吹込量:消石灰換算25kg/hr
煤塵の排出量:50kg/hr
上記焼却炉煙道に、本処理剤を吹き込んだ。吹き込み量は、25kg/hrとした。
【0027】
バグフィルター出口のダイオキシン類の排出濃度とバグフィルターで捕集された煤塵からの重金属(Pb、Cd、Cr6+ )の溶出量を測定した結果(「環境庁告示第13号」による)を表2に示す。また、特号消石灰のみを25kg/hrで煙道に吹き込んだ場合の結果も比較例として表2に示した。
表から明らかなように、本処理剤を用いることによりバグフィルター出口のダイオキシンの排出濃度は大きく低下していることがわかる。また、回収された煤塵からの重金属の溶出も規制値以下に押さえられていることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
本発明の廃棄物処理剤を用いて産業廃棄物や都市ゴミの焼却炉から排ガスとして排出される酸性ガスおよびダイオキシン類等の有害有機物を減少させることができるとともに、回収された飛灰からの重金属の溶出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼却場の排ガス処理工程の概要である。
【図2】本発明で使用される活性炭または活性コークスの細孔径分布を示す図である。
Claims (16)
- 原料粉体として、消石灰100重量部に対して、無機酸化物を含んでなる多孔性物質20〜100重量部と、飽和水溶液のpH値が11.5以下であって、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび非晶質水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である酸性ガス中和剤20〜100重量部とを含有してなり、前記原料粉体を乾式で混合してなることを特徴とする焼却炉煙道吹込用飛灰処理剤。
- 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、珪酸、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の飛灰処理剤。
- 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、合成珪酸、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の飛灰処理剤。
- 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、酸性白土、活性白土、カオリン、ベントナイト、アロフェン、珪藻土等の粘土鉱物およびこれらの粘土鉱物を酸で処理し、アルミニウム、マグネシウムなどの不純物を除去した物質からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 無機酸化物を含んでなる多孔性物質のBET法で測定した比表面積が、100〜800m2/gである請求項1〜4のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび非晶質水酸化アルミニウムのBET法で測定した比表面積が、15m2/g以上である請求項1〜5のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 活性炭及び/又は、活性コークスを添加した請求項1〜6のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 活性炭および活性コークスが、粒径100μm以下の粉体である請求項7に記載の飛灰処理剤。
- 活性炭が石炭から得られたものである請求項7または8に記載の飛灰処理剤。
- 活性炭のBET法で測定した細孔容積の細孔径分布を測定した場合の10nm以上の領域での単位細孔径当りの細孔容積の最大値が0.01cc/g以上の粉体状の活性炭である請求項7〜9のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 消石灰のBET法で測定した比表面積が30m2/g以上の粉体である請求項1〜10のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 消石灰100重量部に対して無機酸化物を含んでなる多孔性物質を20〜100重量部、酸性ガス中和剤を20〜100重量部、活性炭および/または活性コークスを1〜20重量部添加した請求項7〜10のいずれかに記載の飛灰処理剤。
- 請求項1〜12に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道排ガス中に吹き込んだ後、集塵機を用いて該処理剤を含有する煤塵を分離することを特徴とする排ガス処理法。
- 請求項1〜12に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道排ガス中に吹き込んだ後、集塵機を用いて該処理剤を含有する煤塵を分離し、回収した煤塵に水を加えて練り込むことを特徴とする排ガス処理法。
- 請求項1〜12に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道の排ガス中に吹き込んだ後、集塵機により該処理剤を含有する煤塵を分離回収し、これに重金属安定化処理剤を添加し、水を加えて練り込むことにより、排ガス中の酸性物質およびダイオキシン類等の有害有機物の除去と煤塵中の重金属類を安定化する排ガス処理法。
- 重金属安定化処理剤がキレート系薬剤、燐酸塩、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、無機吸着剤、セメント類、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項15の排ガス処理法。
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