JP4028756B2 - 表示パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周辺雰囲気中の湿気、反応性ガスおよび異物から配線を保護する配線基板の保護構造に関する。本発明において、配線の腐食とは、化学的腐食および電気的腐食を含む。化学的腐食とは、水に溶解した金属イオンが、水との加水分解および水酸化物イオンとの反応によって水酸化物となり、金属上に沈殿して酸化物に変化する現象である。電気的腐食とは、配線に電流が流れるときに発生する電界によって、金属成分が非金属媒体の表面および中を横切って移動する現象であり、いわゆるエレクトロマイグレーションである。
【0002】
本発明において体積収縮率とは、物質の硬化前後における体積の変化の割合のことをいい、硬化前の体積をV1とし、硬化後の体積をV2とすると体積収縮率はV2/V1で表される。本発明における透湿度は、温度40℃×相対湿度90%の条件下で、日本工業規格Z0208に基づいて測定される値である。
【0003】
【従来の技術】
従来から、液晶表示素子に設けられる電極端子と、駆動回路が実装されるフィルム配線基板の電極端子との接続部周辺が、防湿性を有する合成樹脂によって覆われる表示パネルがある。
【0004】
図5は、従来の技術である液晶表示パネル1の液晶表示素子2と駆動回路が実装されるフィルム配線基板3との接続部の断面図である。液晶表示パネル1は、1対の基板4,5の間に液晶層6を介在させてシール材7で液晶層6を封止して製造される液晶表示素子2と、この液晶表示素子2に接続され、液晶表示素子2の液晶層6に電圧を印加して液晶を駆動するための駆動回路が実装されるフィルム配線基板3とを含み構成される。
【0005】
第1基板4には、たとえば薄膜トランジスタなどの能動素子がマトリクス状に配置されるとともに、薄膜トランジスタを駆動する駆動用配線7が行方向および列方向に複数本配置される。駆動用配線7は、液晶層6の外部へと延び、第1基板4の端部でフィルム配線基板3に設けられる配線8に導電性接着剤9を介して接続される。
【0006】
液晶表示パネル1では、第2基板5とフィルム配線基板3との間の第1基板4の駆動用配線7、およびフィルム配線基板3の配線8が露出すると、周辺雰囲気中の湿気、反応性ガスおよび異物が駆動用配線7および配線8に接触して、これらの配線が腐食されるので、第1基板4とフィルム配線基板3との接続部の周辺で、各配線が露出する領域を防湿コーティング層10によって覆う。これによって、電極および配線の腐食を防止している。反応性ガスは、たとえば硫黄を含むガスである。駆動用配線7を覆う第1の防湿コーティング層10Aは、第1基板4、第2基板5およびフィルム配線基板3にわたって設けられ、配線8を覆う第2の防湿コーティング層10Bは、第1基板4およびフィルム配線基板3とにわたって設けられる。
【0007】
防湿コーティング層10としては、防湿性を備える合成樹脂が用いられ、具体的にはシリコン樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂のいずれか1つが用いられる。
【0008】
シリコン樹脂は、隙間への充填性に優れ、湿度が高いほど硬化速度が促進される湿度硬化の性質を備えるので、硬化時の体積変化がほとんどない。したがって、シリコン樹脂を用いて防湿コーティング層10を形成する場合、シリコン樹脂が充填された部分では、シリコン樹脂が硬化することによって形成される防湿コーティング層10と液晶表示素子2およびフィルム配線基板3が密着し、この防湿コーティング層10と液晶表示素子2およびフィルム配線基板3との界面に隙間が形成されないという利点を有する。防湿コーティング層8と液晶表示素子2およびフィルム配線基板3との界面で隙間が形成されると、この隙間から湿気、反応性ガスおよび異物が侵入することによって、配線が腐食される可能性が高いが、シリコン樹脂を用いて防湿コーティング層10を形成することによって、前述のように防湿コーティング層10と液晶表示素子2およびフィルム配線基板3との界面に隙間が形成されることを防止できる。
【0009】
しかしながらシリコン樹脂は、透湿度が高い、つまり湿気および反応性ガスを透過させやすいので、周辺雰囲気中の湿気および反応性ガスの一部を透過させて、配線の腐食を誘発させてしまう可能性がある。
【0010】
シリコン樹脂を用いて防湿コーティング層10を形成する場合、防湿コーティング層10の層厚を大きくすれば、周辺雰囲気中の湿気および反応性ガスの透過を抑制することができるが、防湿コーティング層10が設けられる液晶表示素子2の周縁部は、液晶表示装置として製品化する場合に枠部材などによって保持される領域であるので、防湿コーティング層10の層厚を大きくすると、この領域にだけ圧力がかかることで破損が生じるおそれがある。また、液晶表示装置として製品化する場合には、寸法上の制約があるので、単に防湿コーティング層10の層厚を大きくすることはできない。さらに、防湿コーティング層10の層厚を大きくすると、使用する材料が多くなるのでコストが増加するといった問題がある。
【0011】
アクリル樹脂およびウレタン樹脂は、シリコン樹脂よりも透湿度が低く、防湿性およびガスバリア性に優れるが、これらの合成樹脂は、溶剤が蒸発することによって硬化する溶剤蒸発硬化の性質を有するので、これらの合成樹脂を塗布し、防湿コーティング層10を形成する時に、体積が縮小して、硬化したときに防湿コーティング層10と液晶表示素子2およびフィルム配線基板3との界面に隙間が形成される可能性がある。このような隙間から、湿気および反応性ガスが侵入した場合、配線の腐食を誘発させる問題がある。
【0012】
このような問題を解決する他の従来の技術が、特開平10−170942号公報に示されている。図6は、他の従来の技術である液晶表示パネル15の液晶表示素子2とフィルム配線基板3との接続部の一部を示す断面図である。表示パネル15は、前述した図5に示される液晶表示パネル1の構成と同様であり、液晶表示パネル1の構成に対応する領域には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0013】
液晶表示パネル15では、前述した液晶表示パネル1の第1基板4、第2基板5およびフィルム配線基板3にわたって設けられる第1の防湿コーティング層10Aに防湿板16を重ねて配置している。第2基板5とフィルム配線基板3との間で露出する第1基板4の駆動用配線7に第1の防湿コーティング層10Aと、アクリル樹脂板およびガラス板などから成る板状の防湿板16とを重ねて配置している。防湿板11は、第1の防湿コーティング層10Aを形成するときに、つまり防湿性を有する合成樹脂を塗付して乾燥させるときに、同時に貼り合わされる。
【0014】
防湿板16の外方面16aは、第2基板5の外方面5aと略一致するように配置され、防湿板16の第2基板5と対向する側とは反対側の一端16bは、第1基板4の一端4bと一致させて設けられる。
【0015】
液晶表示パネル15では、駆動用配線7を第1の防湿コーティング層10Aと防湿板16とで覆うことによって、図4に示される液晶表示パネル1のように第1の防湿コーティング層10Aだけで駆動用配線7を覆う場合よりも、駆動用配線7への湿気および不純物の侵入を低減している。防湿コーティング層10の材料としてはアクリル樹脂、エポキシ合成樹脂およびシリコンゴムなどが用いられる。
【0016】
また液晶表示パネル15では、第2の防湿コーティング層10Bは、第1基板4の端部で、フィルム配線基板3の配線8と第1基板4との間に設けられる。
【0017】
液晶表示パネルの他の従来の技術として、特開平9−185998号公報には、一対の基板を貼り合わせ、液晶を基板間に保持するシール材の外側面に導電性皮膜を設け、液晶内部への湿気の侵入を防止し、また帯電防止が行われる表示パネルが開示されている。この導電性皮膜の材料として、シリコン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂またはこれらの編成樹脂から選ばれる1種または2種以上の合成樹脂が用いられており、これらの合成樹脂は、ガラスおよびプラスチック基板並びにシール材に対して塗付性に優れていることが開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
前述した液晶表示パネル15では、板状である防湿板16を第1の防湿コーティング層10Aの上に載せる構成であるので、防湿板16は、必ず第1の防湿コーティング層10Aを介して液晶表示素子2およびプリント配線板3と相互に接着される。つまり防湿板16は、液晶表示素子2およびプリント配線板3とは密着しない。このため、防湿板16と液晶表示素子2の第2基板5と間の第1領域17、防湿板16とプリント配線板3との間の第2領域18には、第1の防湿コーティング層10Aしか存在しない。
【0019】
第1の防湿コーティング層10Aにシリコンゴムを用いた場合には、この領域から湿気、反応性ガスおよび異物などが侵入する可能性があり、また第1のコーティング層10Aにアクリル樹脂およびウレタン樹脂などを用いた場合には、前述したように第1のコーティング層10Aと液晶表示素子15および第2基板3との界面に隙間が生じ、この隙間から湿気、反応性ガスおよび異物などが侵入する可能性がある。
【0020】
また、衝撃および熱などが液晶表示パネル15に加えられ、第1の防湿コーティング層10Aが第1基板4またはプリント配線板3から剥離した場合、防湿板16も第1の防湿コーティング層10Aの剥離にともなって剥離してしまうので、配線保護の信頼性が劣るといった問題がある。
【0021】
また特開平9−184998号公報の保護構造では、湿気がシール材を透過して液晶層内部に侵入することを防止できるが、配線の腐食を防止することはできない。
【0022】
液晶表示パネルでは、表示画像の高精細化に伴って、配線の間隔が小さくなっている。配線の間隔が小さくなると、配線間に印加される電界が大きくなる。このような液晶表示パネルの配線に湿気、反応性ガスおよび異物が接触すると、配線に腐食が発生しやすいといった問題がある。
【0023】
本発明の目的は、周辺雰囲気中の湿気、反応性ガスおよび異物によって生じる配線の腐食を防止し、配線の切断および短絡が発生しない信頼性の高い表示パネルを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1配線が設けられる第1基板と、
第2配線が設けられる第2基板と、
第1基板よりも小さく形成され、第1配線が設けられる第1基板に対向する第3基板と、
第1基板の周縁部と第3基板の周縁部との間に設けられ、第1基板と第3基板とを相互に接着するとともに、第1基板と第3基板とに挟まれた空間を形成し、第3基板の端部から退避して設けられるシール層と、
第3基板に対して第1基板が露出する領域で、第1配線および第2配線が対向するようにして第2基板を相互に接着する導電性接着剤と、
予め定める第1の透湿度および予め定める第1の体積収縮率を有する合成樹脂から成り、第1基板の第1配線が設けられる表面に接触する第1接触部、シール層に接触する第2接触部、第3基板の第1基板に対向する面に接触する第3接触部、第3基板の第2基板に臨む一端面に接触する第4接触部、第2基板の第3基板に臨む一端部に接触する第5接触部、第2基板の厚み方向で第1基板とは反対側の一方面に接触する第6接触部とを有し、第2基板および第3基板の間で第1配線が露出する領域で第1〜第3基板に接触して設けられる第1保護層と、
予め定める第1の透湿度よりも小さな予め定める第2の透湿度、および予め定める第1の体積収縮率よりも小さな予め定める第2の体積収縮率を有する合成樹脂から成り、第1保護層が外部に露出しないように第1保護層を覆い、かつ第1〜第3基板に接触して設けられる第2保護層とを含むことを特徴とする表示パネルである。
【0031】
本発明に従えば、表示パネルの配線を湿気、反応性ガスおよび異物から保護することができ、配線が腐食することによって発生する配線の断線および短絡を防止することができる。特に、表示パネルの高精細化に伴って並列に延びる配線の間隔が小さくなり電極間に印加される電界が大きくなることによって発生し易いマイグレーション現象を確実に防止することができる。したがって、表示パネルの信頼性が向上する。
【0033】
また導電性接着剤は、第3基板に対して第1基板が露出する領域で、第1配線および第2配線が対向するようにして、第2基板を相互に接着することによって、第1配線および第2配線を相互に電気的に接続することができる。
【0034】
また第1保護層および第2保護層と第1〜第3基板との間から湿気、反応性ガスおよび異物が、配線が設けられる領域に侵入することを防止でき、さらに透湿度が低い第2保護層を第1保護層の外側に設けることによって、合成樹脂の内部を透過して直接配線が設けられる領域に湿気および反応性ガスが侵入することを防止できる。仮に第2保護層と第1基板、第2保護層と第2基板、第2保護層と第3基板とのいずれか1つまたは2つ以上が剥離したとしても、第2保護層の内側には、第1保護層が設けられているので、第2保護層と第1〜第3基板のいずれかとの間から侵入する湿気および反応性ガスをこの第1保護層によって遮断することができる。
【0035】
特に第1保護層を形成する合成樹脂は、その透湿度が第2保護層を形成する合成樹脂の透湿度に比べて低いものの、硬化後の体積の変化が小さいので第1保護層と各基板との界面に隙間が形成されることがない。したがって、第1保護層と第1〜第3基板との間から湿気および反応性ガスなどが、配線が設けられる領域に侵入してしまうことを防止できる。
【0036】
このように、第1保護層と第2保護層とによって、湿気、つまりH2O、および反応性ガス、たとえばH2Sなどの物質が、配線が設けられる領域に侵入してしまうことを確実に防止することができ、防湿およびガスバリアの信頼性を格段に向上させることができる。
【0037】
さらに外部から熱および衝撃などが加わり第1保護層および第2保護層のいずれか一方が、たとえば配線が設けられる第1基板、第2,第3基板から剥離したとしても、第1保護層および第2保護層のいずれか他方は、基板に接着した状態を保持でき、第1保護層または第2保護層と基板との間から湿気および反応性ガスが配線が設けられる領域に侵入することを防止できる。したがって、不所望に生じる外部からのストレスに対しての配線保護の信頼性を向上させることができる。また、第1基板と第2基板との導電性接着剤を覆うことができ、接続の信頼性も同様に向上させることができる。
【0047】
また本発明は、予め定める第1の透湿度は厚さが100μmの場合に2.0×102g/m2・24hr以上でありかつ4.0×102g/m2・24hr以下で、予め定める第2の透湿度は厚さが100μmの場合に15g/m2・24hr以上でありかつ2.0×102g/m2・24hr未満で、予め定める第1の体積収縮率は0.8以上でありかつ0.99未満で、予め定める第2の体積収縮率は0.2以上でありかつ0.4以下であることを特徴とする。
【0048】
厚さが100μmの場合に透湿度が2.0×102g/m2・24hr未満である合成樹脂は、配線にマイグレーションを発生させる原因の1つとなる反応性ガスである硫化水素を通しくい。透湿度が4.0×102g/m2・24hrを越える合成樹脂では、湿気および反応性ガスの透過させやすくなる。また透湿度が15g/m2・24hr以上の合成樹脂では、湿気および反応性ガスを充分に遮断することができる。
【0049】
また予め定める第1の体積収縮率を0.8以上でありかつ0.99未満であり、硬化前の体積と硬化後の体積との間の変化が小さくすることによって、第1防湿層と基板との間に隙間が形成されることを防止できる。予め定める第2の体積縮率は0.2以上でありかつ0.4以下であり、このような体積が大きく収縮する合成樹脂であっても、前述したように透湿度が4.0×102g/m2・24hr以下であり、15g/m2・24hr以上の合成樹脂を用いることによって、配線の防湿およびガスバリアの信頼性を向上させることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である配線基板の保護構造を用いた表示パネル20の一部を示す断面図である。表示パネル20は、3端子素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:略称TFT)をスイッチング素子として用いるアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。本実施の形態において、基板に電極層または配線層が設けられる基板の表面とは、電極層の表面と、各電極層の間で露出する基材の表面とを含む。
【0051】
表示パネル20は、第1配線である電極層21が設けられる第1基板22、配線層23が設けられる第2基板24、第1基板22に対向する第3基板25、第1基板22および第3基板25を接着するシール層26と、液晶層27と、第1基板22および第2基板24を接着する接着層28と、第1シール部A,第2シール部Bとを含む。
【0052】
第1基板22および第3基板25は、矩形状であり、所定の厚みを有し、両基板のうち少なくとも一方は、透光性を有する。
【0053】
第1基板22は、たとえばガラス基板およびプラスチック基板など基材の表面に、画素毎に設けられる個別電極と、個別電極毎に設けられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:略称TFT)と、金属導体から成る走査配線および信号配線と、個別電極、薄膜トランジスタ、走査配線、信号配線を覆って所定の領域に設けられる配向膜と、電極層21とを備える。電極層21は、たとえば銅などによって実現される。配向膜は、後述する液晶層27が介在される領域に設けられる。個別電極は、薄膜トランジスタのドレインに電気的に接続され、走査配線は、薄膜トランジスタのゲートに電気的に接続され、信号配線は、薄膜トランジスタのソースに電気的に接続される。表示パネル20では、複数の走査配線と複数の信号配線とが第1基板22にマトリクス状に配置され、走査配線の一方端部が電極層21と接続される。電極層21は、走査配線の端子であり、液晶層27から第1基板22の一端部22aまで延びる。本実施の形態では、電極層21を走査配線の端子とするが、本発明の実施の他の形態において、電極層21は信号配線の端子としてもよい。
【0054】
第3基板25は、たとえばガラス基板およびプラスチック基板など基材の表面に、共通電極と、カラーフィルタと、共通電極およびカラーフィルタとを覆って設けられる配向膜とを備える。配向膜は、後述する液晶層27が介在される領域に設けられる。
【0055】
前述した個別電極および共通電極は、透明な電極であり、たとえばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)によって実現される。
【0056】
第1基板22と第3基板25とは、それぞれの配向膜が対向するように、平行に、所定の間隔をあけて設けられる。第1基板22と第3基板25とが相互に平行に、間隔をあけて設けられる状態で、第3基板25の厚み方向は、第1基板22の厚み方向に対して平行である。第1基板22は、第3基板25よりも大きく構成され、第3基板25に対向した状態で、第1基板22の一端部22aが対向する第3基板25から露出する。
【0057】
シール層26は、第1基板22の周縁部と第3基板25の周縁部との間に設けられ、第1基板22と第3基板25とを相互に接着するとともに、第1基板22と第3基板25とに挟まれた収容空間を形成する。シール層26は、第3基板25の端部から退避して設けられる。
【0058】
液晶層27は、第1基板22と第3基板25との間に設けられる。液晶層27は、第1基板22と第3基板25とに挟まれた収容空間に封入される液晶から形成されるとともに、シール層26によって外囲される。
【0059】
前述した第1基板22、第3基板25、シール層26および液晶層27を含んで液晶表示素子31が構成される。
【0060】
第2基板24は、フィルム配線基板であって、可撓性を有するフレキシブル基板およびフィルムテープなどによって実現される。第2基板24の厚みは、第1基板22および第3基板25よりも小さい。第2基板24は、第2配線である配線層23と半導体集積回路である駆動回路とを備える。第2基板24は、基材32と、この基材32の一方面に設けられ、金属導体から成る配線層23と、配線層23を被覆する被覆層33とを含む。配線層23は、第2基板24の一端部24aで露出する。配線層23の他端部は、駆動回路(図示せず)に接続される。配線層23は、たとえば銅によって実現される。
【0061】
駆動回路は、基材32または被覆層33に実装され、配線層23に電気的に接続される。この駆動回路が実装された第2基板24は、テープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package;略称TCP)、フレキシブルプリンティッドサーキット(Flexible Printed Circuit;略称FPC)またはチップオンFPC(Chip On FPC;略称COF)などと呼ばれる。
【0062】
第2基板24は、複数本の配線層23を備え、駆動回路は、複数本の配線層23を介して複数本の電極層21に接続される。また第2基板24は、液晶表示素子31の画素数によって、1つあるいは複数設けられる。
【0063】
接着層28は、第1基板22の一端部22aと第2基板24の一端部24aとを相互に接着する。図1に示されるように、配線層23が設けられる第2基板24の一端部24aの表面を、電極層21と配線層23とが対向するように、電極層21が設けられる第1基板22の表面に、所定の領域だけ重ねて、この重なる領域に接着層28が設けられる。
【0064】
図2は、表示パネル20を電極層21と電極層21との間で、かつ各電極層21の延びる方向に平行な面で切断した断面図である。第1基板22の表面とは、各電極層23の表面と、各電極層21間で露出するガラス基板およびプラスチック基板などの基材の表面とを含む。第2基板24の表面とは、各配線層23の表面と、各配線層23間で露出する基材32の表面とを含む。
【0065】
第1基板22の一端部22aおよび第2基板24の一端部24aは、接着層28である異方性導電接着剤によって相互に接着され、電極層21の一端部21aおよび配線層23の一端部23aは、異方性導電接着剤によって相互に電気的に接続される。異方性導電接着剤は、電極層21と配線層23間には電流を通すが、並列に設けられる複数の電極層21の間、並列に設けられる複数の配線層23の間には電流を通さない性質を有する。異方性導電接着剤27は、たとえば導電性スペーサを含む接着剤によって実現される。
【0066】
第2基板24の第3基板25に臨む一端部24aと、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aとの間には、所定の間隔が設けられる。
【0067】
第1基板22の表面で、第1基板22に設けられる電極層21が、第2基板24と第3基板25との間で露出する領域、つまりシール層26と第2基板24の一端部24aとの間の領域には、第1シール部Aが設けられる。第1シール部Aは、素子側第1保護層37および素子側第2保護層39を含んで構成される。第1シール部Aは、第1基板22と第2基板24との接続部の幅方向、すなわち図20の紙面に垂直な方向で、複数の電極層21の全てを覆う。
【0068】
素子側第1保護層37は、電極層21を覆い、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aと、第2基板24の第3基板25に臨む一端部24aとにわたって設けられ、第1基板22、第2基板24、第3基板25に接触する。素子側第1保護層37は、第3基板25の一端部25aから第2基板24の一端部24aに向かって、近接する方向に傾斜して形成され、第1基板22の電極層21が設けられる表面に接触する第1接触部41、シール層26に接触する第2接触部42、第3基板25の第1基板22に対向する面に接触する第3接触部43、第3基板25の第2基板24に臨む一端面に接触する第4接触部44、第2基板24の第3基板25に臨む一端部24aに接触する第5接触部45、第2基板24の厚み方向一方面の基材32に接触する第6接触部46を有する。
【0069】
素子側第1保護層37の第1〜第6接触部41〜46では、素子側第1保護層37が液晶表示素子31および第2基板24に接触している面が異なるので、外部からの衝撃および熱によって、素子側第1保護層37が接触する全ての接触部において同時に剥離が発生することが防がれる。素子側第1保護層37は、第1基板22と第2基板24とを接着する接着層28も同時に覆うので、電極層21および配線層23間の接続信頼性が向上する。
【0070】
素子側第2保護層39は、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aと、第2基板24の第3基板25に臨む一端部24aとにわたって、電極層21が外部に露出しないように、つまり電極層21が周辺雰囲気に露出素子側第1保護層37を覆い、第1基板22、第2基板24、第3基板25に接触する。
【0071】
素子側第2保護層39は、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aに接触する第7接触部47、第2基板24の厚み方向一方面の基材32に接触する第8接触部58とを有し、第3基板25から第2基板24に近接する方向に傾斜して設けられる。素子側第2保護層39の第2基板24側の一端部39aは、第1基板22の一端面22Cから第1基板22の内側に寸法Wの間隔を設けて形成される。このように素子側第2保護層39を形成することで、素子側第2保護層39が搬送時などで、搬送装置などに引っかかって損傷することを防止することができる。
【0072】
第2基板24に設けられる配線層23が露出する領域、つまり第1基板22と被覆層33との領域には、第2シール部Bが設けられる。第2シール部Bは、駆動回路側第1保護層38および駆動回路側第2保護層40から構成される。第2シール部Bは、第1基板22と第2基板24の接続部の幅方向、すなわち図20の紙面に垂直な方向で、複数の配線層23の全てを覆う。
【0073】
駆動回路側第1保護層38は、第2基板24の配線層23が第1基板22から露出する領域、つまり第2基板24の一端部24aで配線層23が第1基板22から露出する領域を覆い、第1基板22の一端部22aと、第2基板24の厚み方向他方面の被覆層33とにわたって設けられる。駆動回路側第1保護層38は、第1基板22の一端部22bの厚み方向に垂直な面である一端面22Cに接触する第9接触部49と、第2基板24の被覆層33に接触する第10接触部50とを含む。
【0074】
駆動回路側第2保護層40は、駆動回路側第1保護層38が外部に露出しないように、駆動回路側第1保護層38を覆って、第1基板22の端面22Cと第2基板24の被覆層33とにわたって設けられる。駆動回路側第2保護層40は、第1基板22の一端面22Cに接触する第11接触部51と、第2基板24の被覆層33に接触する第12接触部52とを含む。駆動回路側第1保護層38および駆動回路側第2保護層40は、第1基板22の一端面22Cから第2基板24に近接する方向に傾斜して設けられる。
【0075】
本実施の形態では、素子側第1保護層37および駆動回路側第1保護層38をシリコン樹脂で形成し、素子側第2保護層39および駆動回路側第2保護層40をアクリル樹脂によって形成する。
【0076】
シリコン樹脂は、間隙への充填性に優れるので、液晶表示素子31のシール層26の外側で第1基板22と第3基板25との間の間隙36にも充填することができ、この間隙36においても、電極層21と外気との直接的な接触を防止することができる。
【0077】
シリコン樹脂は、湿度が高いほど硬化速度が促進される湿度硬化性を有する合成樹脂であり、硬化の際にほとんど体積変化しないので、シリコン樹脂を塗布して素子側第1保護層37および駆動回路側第1保護層38を形成するときに、塗付状態をそのまま維持できることからシリコン樹脂を塗布した領域において、シリコン樹脂が乾燥して硬化してもシリコン樹脂と液晶表示素子31および第2基板24が密着した状態が維持され、素子側第1保護層37および駆動回路側第1保護層38と液晶表示素子31および第2基板24との界面に隙間が形成されない。シリコン樹脂は、硬化するときの体積変化がほとんどなく、塗布状態をそのまま維持することができるので、充填状態を塗付手段で容易に制御することができる。
【0078】
シリコン樹脂の透湿度は、厚さが100μmで、400g/m2・24hrであり、防湿性およびガスバリア性が劣るので、シリコン樹脂の単層での使用では十分な防湿効果を得られない可能性があるが、上述したようにシリコン樹脂は、充填性に優れ、体積変化しないので、素子側第1保護層37および駆動回路側第1保護層38を形成したときに、液晶表示素子31および第2基板24との界面に隙間を形成しないといった利点を有する。
【0079】
アクリル樹脂は、乾燥前は溶剤によって30%程度にまで希釈されており、体積収縮率が0.3程度であり、体積収縮がシリコン樹脂よりも大きいが、アクリル樹脂の透湿度は、厚さが100μmで、160g/m2・24hrであるので、シリコン樹脂よりも透湿度が低く、防湿性およびガスバリア性に優れる。したがって周辺雰囲気中の湿気および反応性ガスを十分に遮断することができる。このように素子側第2保護層39、駆動回路側第2保護層40は、浸透通過して侵入する湿気および反応性ガスを極めて低いレベルに抑制することができる。
【0080】
第1シール部Aおよび第2シール部Bは、液晶表示素子31および第2基板24との界面に隙間が形成されないといった利点を有するシリコン樹脂と、防湿性およびガスバリア性に優れるといった利点を有するアクリル樹脂とを上述の構成とすることによって、電極層21および配線層23が湿気、反応性ガスおよび異物などに接触する可能性を極めて低くすることができる。したがって、湿気、反応性ガスおよび異物などが接触することによって発生する電極層21および配線層23の腐食を防止することができ、電極層21および配線層23の保護の信頼性を向上させることができ、液晶表示パネル20の信頼性を向上させることができる。
【0081】
シリコン樹脂だけを用いて十分な防湿性およびガスバリア性を得るためには、従来の技術のようにシリコン樹脂によって形成される層の層厚を大きくする必要があるが、前述した第1シール部Aおよび第2シール部Bでは、透湿度の低いアクリル樹脂から成る素子側第2保護層39および駆動回路側第2保護層40をシリコン樹脂かな成る素子側第1保護層37および駆動回路側第2保護層38にそれぞれ積層して設けることによって、これらの第1シール部Aおよび第2シール部Bの層厚を大きくしなくても防湿性およびガスバリア性を確保することができる。
【0082】
またシリコン樹脂の熱膨張率は、2×10-5(1/℃)程度であり、アクリル樹脂の熱膨張率は、8×10-5(1/℃)程度である。このように熱膨張率の異なる2つの物質から成る層によって電極層21および配線層23を覆うことによって、外部から熱が加わり、一方の層が、液晶表示素子31および第2基板24から剥離しても、他方の層が剥離する可能性を低くすることができる。したがって、信頼性の高い表示パネルを製造することができる。
【0083】
表示パネル20は、図示しない偏光板をさらに含む。偏光板は、所定の振動方向を有する光だけを取出す。偏光板は、たとえば個別電極形成基板の厚み方向他方表面と、第3基板25の厚み方向他方表面とにそれぞれ設けられる。
【0084】
表示パネル20は、駆動回路で薄膜トランジスタを制御して、個別電極と共通電極との間に電圧を印加することによって、液晶層27の液晶分子の配向状態を変化させて、各種の画像を表示する。たとえば第1基板22に設けられる配向膜の溝の方向と、共通電極形成基板に設けられる配向膜の溝の方向とが、相互に垂直であって、第1基板22に設けられる偏光板による光の振動方向と、第3基板25に設けられる偏光板による光の振動方向とが、相互に垂直であるとする。
【0085】
個別電極と共通電極との間に電圧が印加されない状態では、液晶分子の配向状態が変化しないので、たとえば光源から第1基板22に照射されて液晶層27を透過した光は、第3基板25に設けられる偏光板を通過する。個別電極と共通電極との間に電圧が印加された状態では、液晶分子の長軸方向が第1基板22の厚み方向に対して平行になるように、液晶分子の配向状態が変化する。前述のように液晶分子の配向状態が変化すると、光源から第1基板22に照射されて液晶層を透過した光は、第3基板25に設けられる偏光板によって遮断される。個別電極と共通電極との間に印加される電圧は、画素毎に制御される。各種の画像は、第3基板25に設けられる偏光板を通過した光に基づいて表示される。
【0086】
図3は、前述した表示パネル20の第1シール部Aの製造工程を示すフローチャートである。液晶表示素子31に第2基板24が接着された状態で、まずステップa1において、第2基板24と第3基板25との間の第1基板22の電極層21が露出する領域に、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aと、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aとにわたって、第1基板22、第2基板24および第3基板25に接触するように、ディスペンサを用いてシリコン樹脂を塗布して、ステップa2に進む。ディスペンサは、所定値に制御されたガス圧によって、材料を細いノズルから吐出させて、塗布する装置である。ステップa1では、第1基板22の電極層21が設けられる表面、シール層26、第3基板25の第1基板22に対向する面、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25a、第2基板24の第3基板25に臨む一端部24a、第2基板24の厚み方向一方面に接触するように第1の合成樹脂であるシリコン樹脂を塗布する。
【0087】
ステップa2では、ステップa1で塗付したシリコン樹脂を乾燥させて硬化させ、ステップa3に進む。ステップa2で、シリコン樹脂を乾燥させることによって、素子側第1保護層37が形成される。シリコン樹脂は、体積収縮率が大きいので、塗布した領域で液晶表示素子31および第2基板24との間に隙間が生じない。
【0088】
ステップa3では、再びディスペンサを用いて素子側第1保護層37を覆うように、第3基板25の第2基板24に臨む一端部25aと第2基板24の第3基板25に臨む一端部24aとにわたって、第1基板22,第2基板24,第3基板25に接触するように第2の合成樹脂であるアクリル樹脂を塗布し、ステップa4に進む。
【0089】
ステップa4では、ステップa3で塗付したアクリル樹脂を乾燥させて硬化させて処理を終了する。ステップa4で、アクリル樹脂を乾燥させることによって、素子側第2保護層39が形成される。アクリル樹脂は、体積収縮率が小さいので、乾燥させると体積が小さくなるが、第1基板22、第2基板24、第3基板25に接触して塗布されることによって、これらの第1基板22、第2基板24および第3基板との接触は少なりとも保たれる。以上の工程によって、第1シール部Aが形成される。
【0090】
このように形成された第1シール部Aにおいて、仮に素子側第2保護層39が第2基板24から剥離し、素子側第2保護層39および第2基板24の間に隙間が生じたとしても、内側には素子側第1保護層37が設けられているので、前記隙間から侵入する湿気、反応性ガスおよび異物が、電極層21が設けられる領域に侵入することを防止することができる。
【0091】
素子側第1保護層37は、素子側第2保護層39よりも透湿度は高いが、体積収縮率が大きいので、素子側第1保護層37と、上述した液晶表示素子31および第2基板24との接触部には、隙間が生じない。したがって、素子側第1保護層37と液晶表示素子31および第2基板24との間から湿気、反応性ガスおよび異物が電極層21が設けられる領域に侵入することを防止できる。
【0092】
このように第1シール部Aでは、素子側第1保護層37と素子側第2保護層39とによって、湿気、つまりH2O、および反応性ガス、たとえばH2Sなどの物質が、電極層21が設けられる領域に侵入してしまうことを確実に防止することができ、防湿およびガスバリアの信頼性を格段に向上させることができる。
【0093】
図4は、前述した表示パネル20の第2シール部Bの製造工程を示すフローチャートである。液晶表示素子31に第2基板24が接続された状態で、ステップb1において、第2基板24の配線層23が第1基板22から露出する領域に、第1基板22の一端面22Cと第2基板24の厚み方向他方面とにわたって、ディスペンサを用いて第1の合成樹脂であるシリコン樹脂を塗付して、ステップb2に進む。
【0094】
ステップb2では、ステップb1で塗付したシリコン樹脂を乾燥させて、ステップb3に進む。ステップb2で、シリコン樹脂を乾燥させることによって駆動回路側第1保護層38が形成される。
【0095】
ステップb3では、駆動回路側第1保護層38を覆って、第1基板22の端面22Cと第2基板24の厚み方向他方面とにわたって、第1基板22および第2基板24に接触するように、ディスペンサを用いて第2の合成樹脂であるアクリル樹脂を塗布して、ステップb4に進む。
【0096】
ステップb4では、ステップb3で塗付したアクリル樹脂を乾燥させて硬化させ、処理を終了する。ステップb4で、アクリル樹脂を乾燥させることによって、駆動回路側第2保護層40が形成される。アクリル樹脂は、体積収縮率が小さいので、乾燥させると体積が小さくなるが、第1基板22および第3基板25に接触して塗布されることによって、これらの第1基板22、第2基板24との接触は多少なりとも保たれる。以上の工程によって、第2シール部Bが形成される。
【0097】
このように形成された第2シール部Bにおいて、仮に駆動回路側第2保護層40が第2基板24から剥離し、駆動回路側第2保護層40および第2基板の間に隙間が生じたとしても、内側には駆動回路側第1保護層38が設けられているので、前記隙間から侵入する湿気、反応性ガスおよび異物が、電極層21が設けられる領域に侵入することを防止することができる。
【0098】
駆動回路側第1保護層38は、駆動回路側第2保護層40よりも透湿度は高いが、体積変化率が小さいので、駆動回路側第1保護層と、上述した第1基板22および第2基板24との接触部には、隙間が生じない。したがって、素子側第1保護層37と第1基板22および第2基板との間から湿気、反応性ガスおよび異物が配線層23が設けられる領域に侵入することを防止できる。
【0099】
このように第2シール部Bでは、駆動回路側第1保護層38と駆動回路側第2保護層40とによって、湿気、つまりH2O、および反応性ガス、たとえばH2Sなどの物質が、配線層23が設けられる領域に侵入してしまうことを確実に防止することができる。
【0100】
前述したステップa2およびステップb2でのシリコン樹脂の乾燥と、ステップa4およびステップb4でのアクリル樹脂の乾燥は、周辺雰囲気によって乾燥するまで所定の時間待つ自然乾燥で行ってもよいし、加熱を行って乾燥させてもよい。加熱を行って乾燥させると、処理時間を短くすることができる。
【0101】
前述した素子側第1保護層37および駆動回路側第1保護層38を形成する合成樹脂の透湿度は、厚さが100μmの場合に2.0×102g/m2・24hr以上でありかつ4.0×102g/m2・24hr以下で、体積収縮率は0.8以上でありかつ0.99未満で、素子側第2保護層39および駆動回路側第2保護層40を形成する合成樹脂の透湿度は、厚さが100μmの場合に15g/m2・24hr以上でありかつ2.0×102g/m2・24hr未満で、体積収縮率は0.2以上でありかつ0.4以下、好ましくは、0.27以上でありかつ0.38以下であればよい。このような素子側第1保護層37、駆動回路側第1保護層38、素子側第2保護層39、駆動回路側第2保護層40を用いることによって、電極層21および配線層23の保護を好適におこなうことができる。
【0102】
以上のように本実施の形態の表示パネルでは、周辺雰囲気中の湿気、反応性ガスおよび異物が電極層21および配線層23に接触しないので、電極層21および配線層23に腐食が発生しない。したがって、電極層21および配線層23の切断および短絡が発生しないので、表示パネル20の信頼性が向上する。
【0103】
本発明の実施のさらに他の形態における配線基板の保護構造を用いた表示パネルでは、前述した素子側第2保護層39、駆動回路側第2保護層40をウレタン樹脂によって形成してもよい。
【0104】
ウレタン樹脂の透湿度は、厚さが100μmで、45g/m2であり、乾燥前は溶剤によって30%程度にまで希釈されており、体積収縮率が0.3程度であり、前述したアクリル樹脂と比較して、素子側第2保護層39、駆動回路側第2保護層40を形成すると、防湿性およびガスバリア性がさらに高くなる。
【0105】
さらに素子側第2保護層39および駆動回路側第2保護層40をウレタン樹脂によって形成する場合、透湿度がアクリル樹脂よりも小さいので、アクリル樹脂によって形成する場合に比べて、層厚を小さくすることも可能となる。
【0106】
また、ウレタン樹脂の熱膨張率は6.0〜7.0×10-5(1/℃)であるので、外部から熱が加わったときにはアクリル樹脂を用いた場合と、同様な効果を得ることができる。
【0107】
また本発明は、単純マトリクス駆動方式の表示パネル、2端子素子を用いたアクティブマトリクス駆動方式の表示パネル、スタティック駆動方式の表示パネルのいずれの表示パネルにも適用可能であり、プラズマ表示パネルおよびエレクトロルミネッセンス(EL)パネルなどのフラットパネル、さらに電気配線基板にも好適に用いることができる。
【0108】
また前述した配線基板の保護構造は、第1保護層および第2保護層から構成されているが、本発明の実施のさらに他の形態では、第2保護層を覆って、第3保護層をさらに設ける構成としてもよい。
【0114】
【発明の効果】
発明によれば、表示パネルの配線を湿気、反応性ガスおよび異物から保護することができ、配線が腐食することによって発生する配線の断線および短絡を防止することができる。特に、表示パネルの高精細化に伴って並列に延びる配線の間隔が小さくなり電極間に印加される電界が大きくなることによって発生し易いマイグレーション現象を確実に防止することができる。したがって、表示パネルの信頼性が向上する。
【0115】
また本発明によれば、導電性接着剤は、第3基板に対して第1基板が露出する領域で、第1配線および第2配線が対向するようにして、第2基板を相互に接着することによって、第1配線および第2配線を相互に電気的に接続することができる。
【0116】
第1基板に設けられる第1配線を覆う第1保護層は、第1基板、第2基板の第3基板に臨む端部、および第3基板の第2基板に臨む端部とにそれぞれ接触して設けられ、第2保護層は、第1保護層を覆って、第1基板、第2基板の第3基板に臨む端部、および第3基板の第2基板に臨む端部とにそれぞれ接触して設けられるので、第1保護層および第2保護層と第1〜第3基板との間から湿気、反応性ガスおよび異物が、配線が設けられる領域に侵入することを防止でき、さらに透湿度が低い第2保護層を第1保護層の外側に設けることによって、合成樹脂の内部を透過して直接配線が設けられる領域に湿気および反応性ガスが侵入することを防止できる。仮に第2保護層と第1基板、第2保護層と第2基板、第2保護層と第3基板とのいずれか1つまたは2つ以上が剥離したとしても、第2保護層の内側には、第1保護層が設けられているので、第2保護層と第1〜第3基板のいずれかとの間から侵入する湿気および反応性ガスをこの第1保護層によって遮断することができる。
【0117】
特に第1保護層を形成する合成樹脂は、その透湿度が第2保護層を形成する合成樹脂の透湿度に比べて低いものの、体積収縮率が小さいので第1保護層と基板との界面に隙間が形成されることがない。したがって、第1保護層と第1〜第3基板との間から湿気および反応性ガスなどが、配線が設けられる領域に侵入してしまうことを防止できる。
【0118】
このように、第1保護層と第2保護層とによって、湿気、つまりH2O、および反応性ガス、たとえばH2Sなどの物質が、配線が設けられる領域に侵入してしまうことを確実に防止することができ、防湿およびガスバリアの信頼性を格段に向上させることができる。したがって、湿気、反応性ガスおよび異物などが配線に接触することによって発生する配線の腐食を防止することができ、表示パネルの信頼性を向上させることができる。
【0119】
さらに外部から熱および衝撃などが加わり第1保護層および第2保護層のいずれか一方が、たとえば配線が設けられる第1基板、第2,第3基板から剥離したとしても、第1保護層および第2保護層のいずれか他方は、基板に接着した状態を保持でき、第1保護層または第2保護層と基板との間から湿気および反応性ガスが配線が設けられる領域に侵入することを防止できる。したがって、不所望に生じる外部からのストレスに対しての配線保護の信頼性を向上させることができる。また、第1基板と第2基板との導電性接着剤を覆うことができ、接続の信頼性も同様に向上させることができる。
【0127】
本発明によれば、厚さが100μmの場合に透湿度が2.0×102g/m2・24hr未満である合成樹脂は、配線にマイグレーションを発生させる原因の1つとなる反応性ガスである硫化水素を通しくい。透湿度が4.0×102g/m2・24hrを越える合成樹脂では、湿気および反応性ガスの透過させやすくなる。また透湿度が15g/m2・24hr以上の合成樹脂では、湿気および反応性ガスを充分に遮断することができる。
【0128】
また予め定める第1の体積収縮率を0.8以上でありかつ0.99未満であり、硬化前の体積と硬化後の体積との間の変化が小さくすることによって、第1防湿層と基板との間に隙間が形成されることを防止できる。予め定める第2の体積縮率は0.2以上でありかつ0.4以下であり、このような体積が大きく収縮する合成樹脂であっても、前述したように透湿度が4.0×102g/m2・24hr以下であり、15g/m2・24hr以上の合成樹脂を用いることによって、配線の防湿およびガスバリアの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である配線基板の保護構造を備える表示パネル20の一部を示す断面図である。
【図2】表示パネル20を電極層21と電極層21との間で、各電極層21の延びる方向に平行な面で切断した断面図である。
【図3】第1シール部Aの作製工程を示すフローチャートである。
【図4】第2シール部Bの作製工程を示すフローチャートである。
【図5】従来の技術である液晶表示パネル1の液晶表示素子2とフィルム配線基板3との接続部の一部を示す断面図である。
【図6】他の従来の技術である液晶表示パネル15の液晶表示素子2とフィルム配線基板3との接続部の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
20 液晶表示パネル
21 電極層
22 第1基板
23 配線層
24 第2基板
25 第3基板
28 接着層
37,38 第1保護層
39,40 第2保護層

Claims (2)

  1. 第1配線が設けられる第1基板と、
    第2配線が設けられる第2基板と、
    第1基板よりも小さく形成され、第1配線が設けられる第1基板に対向する第3基板と、
    第1基板の周縁部と第3基板の周縁部との間に設けられ、第1基板と第3基板とを相互に接着するとともに、第1基板と第3基板とに挟まれた空間を形成し、第3基板の端部から退避して設けられるシール層と、
    第3基板に対して第1基板が露出する領域で、第1配線および第2配線が対向するようにして第2基板を相互に接着する導電性接着剤と、
    予め定める第1の透湿度および予め定める第1の体積収縮率を有する合成樹脂から成り、第1基板の第1配線が設けられる表面に接触する第1接触部、シール層に接触する第2接触部、第3基板の第1基板に対向する面に接触する第3接触部、第3基板の第2基板に臨む一端面に接触する第4接触部、第2基板の第3基板に臨む一端部に接触する第5接触部、第2基板の厚み方向で第1基板とは反対側の一方面に接触する第6接触部とを有し、第2基板および第3基板の間で第1配線が露出する領域で第1〜第3基板に接触して設けられる第1保護層と、
    予め定める第1の透湿度よりも小さな予め定める第2の透湿度、および予め定める第1の体積収縮率よりも小さな予め定める第2の体積収縮率を有する合成樹脂から成り、第1保護層が外部に露出しないように第1保護層を覆い、かつ第1〜第3基板に接触して設けられる第2保護層とを含むことを特徴とする表示パネル
  2. 予め定める第1の透湿度は厚さが100μmの場合に2.0×10 2 g/m 2 ・24hr以上でありかつ4.0×10 2 g/m 2 ・24hr以下で、予め定める第2の透湿度は厚さが100μmの場合に15g/m 2 ・24hr以上でありかつ2.0×10 2 g/m 2 ・24hr未満で、予め定める第1の体積収縮率は0.8以上でありかつ0.99未満で、予め定める第2の体積収縮率は0.2以上でありかつ0.4以下であることを特徴とする請求項1記載の表示パネル
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