JP4027970B2 - う蝕の置換療法 - Google Patents

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Description

連法政府による助成研究に関する供述
本発明は少なくとも一部分は、National Institute of Dental ResearchからのPublic Health Service援助金第DE04529号を介して連法政府の基金を用いてなされた。政府は本発明に一定の権利を持ちうる。
発明の背景
発明の分野
本発明はう蝕(dental caries)を防止するための方法および組成物に関する。
関連技術の説明
特定の細菌が宿主に定着(colonize)する能力は、種々の因子によって決定される。例えば、該細菌の代謝上の要求、および該細菌と以前から存在している微生物叢(flora)との相互作用などである。細菌の相互作用は、一般に「陽性」または「陰性」に分類することができる。陽性相互作用においては、「エフェクター」細菌株が微環境を変化させ、第2の「標的」生物の定着を促進する。「陰性」相互作用においては、エフェクター株は標的細菌の定着を減少または完全に阻止するように微環境を変化させる。競合する細菌間の宿主に定着する際の陰性相互作用は、一般に細菌干渉と呼ばれる。
細菌干渉を利用して病原性細菌株を非病原性エフェクター株に置換する治療法は、置換療法と呼ばれる。上首尾な置換療法は、1)非病原性であり、2)病原性生物の定着または発芽後成長(outgrowth)を阻止するように微環境を変化させ、3)危機に陥っている宿主に持続的に定着して標的病原性生物による再感染を阻止し、また病原体が宿主の固有微生物叢の一部である場合には危機に陥っている組織から病原性生物を積極的に放逐するエフェクター株を必要とする。
う蝕は口腔に定着する細菌によって引き起こされることが周知である。ヒトにおいてう蝕を引き起こす主な細菌性病原体は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)である。う蝕発生に関与するS.ミュータンスの特徴は、乳酸を生産する能力および歯のエナメル質上に集積する能力(すなわち、歯垢形成)である(Gibbonsら,1969, J. Bacteriol., 98:341-346; Makinenら,1972, Int. Dent. J., 22:362-386;およびJordan, 1965, Ann. N.Y. Acad. Sci., 131:905-912)。置換療法の原理の適用は、S.ミュータンスの非う蝕発生性エフェクター株、例えば乳酸合成に欠陥のあるS.ミュータンス株の単離を必要とするであろう。置換療法のう蝕への適用における進歩が最近総論された(Hillmanら,1989, New Biotechnologies in Oral Research, H.M. Myers編,S. Karger, Basel, Switzerland, pp. 1-17)。
乳酸欠陥S.ミュータンス株および、それゆえう蝕のための置換療法に適する株の作製は相当の困難に直面した。乳酸合成における欠陥はS.ミュータンスにとって致死的である。Abhyanakarら(1985, J. Dent. Res., 64:1267-1271)は、ピルビン酸代謝に影響する既存の(自然発生的)突然変異を有する非定型S.ミュータンス株を用いた化学的突然変異誘発によって乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)欠損S.ミュータンス変異体を作製した。しかし、この株における化学的に誘導された、および自然に発生した突然変異は、形質化されずに(uncharacterized)残る。さらに、化学的に誘導された、形質化されない突然変異は、野性型の、それゆえ病原性でう蝕発生性の表現型に復帰しうる。他のS.ミュータンス株においてLDH欠損を作製するその後の試みは失敗した(Hillmanら,1994, Infect. Immun., 62:60-64; Chenら,1994, J. Bacteriol., 176:1542-1545)。
う蝕の予防および/または治療における置換療法に用いるのに適した、安定で、乳酸欠損で、非う蝕発生性のS.ミュータンス株に対する明確な必要がこの分野には存在する。
発明の概略
本発明は、乳酸合成経路に関与する遺伝子に突然変異を導入し、そして組換えアルコールデヒドロゲナーゼ(adh)遺伝子を乳酸欠損細菌に導入して上記突然変異の致死性を妨げることにより、乳酸欠損ストレプトコッカス・ミュータンス株を作製することができるという発見に基づいている。組換えadhは細菌における代謝物(例えばピルビン酸)の蓄積を妨げ、その結果、乳酸欠損の致死性を回避する。この戦略を、う蝕のための置換療法に使用するのに適したS.ミュータンス株の作製に適用することができる。
全般的には、本発明はう蝕を発生しやすい宿主におけるう蝕の予防および/または治療のための方法および組成物を特徴とする。
1つの側面において、本発明は乳酸生産の欠陥(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ活性の除去による)および、それに代わる組換えアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の生産によって特徴づけられる組換えストレプトコッカス・ミュータンス株を特徴とする。「乳酸生産の欠陥」または「乳酸欠損」とは、組換えS.ミュータンス株が野性型S.ミュータンスに較べて実質的に減少した量の乳酸を生産することを意味する。好ましくは、「乳酸欠損」組換えS.ミュータンスは検出可能な乳酸を全く生産しない。本発明はまた、本発明の組換え株を作製する方法をも特徴とする。
好ましい組換えS.ミュータンス株は、1)乳酸生産の欠陥;2)組換えアルコールデヒドロゲナーゼの生産;3)バクテリオシン感受性のストレプトコッカス・ミュータンス株に対する抗菌活性を有するバクテリオシンの生産によって特徴づけられ、そして4)場合により栄養要求性でありうる(例えば、D-アラニン栄養要求性)。
付加的な好ましい組換えS.ミュータンス株は、乳酸生産に欠陥があり、組換えアルコールデヒドロゲナーゼを生産し、そして栄養要求性である(例えば、D-アラニン栄養要求性)。
本発明はさらに、乳酸欠損でかつ組換えADHを生産する組換えS.ミュータンス株および製剤上許容される担体からなる医薬組成物を特徴とする。
本発明はさらに、う蝕を発生しやすい宿主におけるう蝕の発生率または重症度を低下させる方法であって、う蝕を発生しやすい宿主に、1)組換えアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子および2)乳酸生産の欠陥を有する組換えストレプトコッカス・ミュータンス株を、宿主の口腔内のう蝕を引き起こすストレプトコッカス・ミュータンス宿主株を置換するのに有効な量で経口的に投与することを含んでなる方法を特徴とする。
本発明はさらに、D-アラニン栄養要求細菌株を維持する量のD-アラニンを含有する、宿主の口腔内のD-アラニン栄養要求細菌株(例えば、D-アラニン栄養要求S.ミュータンス株)を維持するための組成物を特徴とする。
本発明の1つの利点は、組換えS.ミュータンス株が1)乳酸欠損であり、したがってう蝕を引き起こさないこと、および2)宿主の口腔内のう蝕を引き起こすS.ミュータンス株を効果的に置換するということである。
別の利点は、組換えS.ミュータンスがD-アラニン栄養要求株である場合、D-アラニンの投与によって該株の定着を制御できることである。
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施態様の記述および請求の範囲より明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、Z.モビリスのアルコールデヒドロゲナーゼIIのアミノ酸配列(配列番号1)およびDNA配列(配列番号2)を示す。
図2は、ストレプトコッカス・ミュータンス株CH4tsおよびNG8(対照)の増殖、生存および細胞内ピルビン酸濃度に及ぼすグルコースの効果を示す。記号:グルコース存在下のNG8−□−;グルコース不在下のNG8−○−;グルコース存在下のCH4ts−○−;グルコース不在下のCH4ts−△−。
図3は、グルコース濃度および温度が、ストレプトコッカス・ミュータンス株CH4tsの希釈率10%での連続培養に及ぼす効果を示す。パネルAの記号:−□−光学密度;−○−グルコース濃度;パネルBの記号:−○−pH;−□−乳酸濃度;−△−理論ウォッシュアウト(washout);−○−エタノール濃度;−□−アセトイン濃度。
図4は、グルコース濃度および温度が、ストレプトコッカス・ミュータンス株CH4tsの希釈率0.6%での連続培養に及ぼす効果を示す。記号:−□−光学密度;−○−グルコース;−○−理論ウォッシュアウト。
詳細な説明
う蝕は、通常口腔に定着するS.ミュータンスによる乳酸の生産および蓄積によって引き起こされる。しかし、S.ミュータンスの乳酸生産経路における突然変異は該細菌にとって致死的なので、乳酸欠損S.ミュータンスを口腔に導入して乳酸生産S.ミュータンス株と置換することはこれまで不可能であった。
本発明は、組換えアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)をコードする核酸を有する細菌株を形質転換し、そして乳酸合成経路に突然変異を導入して該組換えADH生産株を乳酸欠損とすることにより、生存可能な乳酸欠損ストレプトコッカス・ミュータンス株を作製することができるという発見に基づいている。組換えADHは細菌中の代謝物の蓄積を妨げ、その結果乳酸欠損の致死性を回避する。この戦略を、う蝕のための置換療法に使用するのに適した組換えS.ミュータンス株の作製に適用することができる。
本発明の組換えストレプトコッカス・ミュータンス株
組換えストレプトコッカス・ミュータンス株とは、種々の組換え核酸技法(すなわち、DNAまたはRNAの操作を含む技法)の任意のものを用いて作製された、天然には存在しないS.ミュータンス株である。一般に、本発明の組換えストレプトコッカス・ミュータンス株は少なくとも1)乳酸生産の欠陥、および2)組換えアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の生産によって特徴づけられる。
好ましくは、組換えS.ミュータンス株はさらにバクテリオシン感受性のストレプトコッカス・ミュータンス株に対する抗菌活性を有するバクテリオシンの生産によって特徴づけられる。本明細書中に使用する「バクテリオシン」という用語は、S.ミュータンス株JH1000(Hillmanら,1984, Infect, Immun., 44:141-144)によって生産される特定のバクテリオシンまたはバクテリオシンに類似した毒素を意味する。S.ミュータンス株JH1000のバクテリオシンは見かけ分子量が約1,000Da未満で、バクテリオシン感受性のS.ミュータンス株に対する抗菌活性を有する。したがってバクテリオシンの生産は、該S.ミュータンスに口腔中に通常存在する非バクテリオシン生産S.ミュータンス株に対する選択有利性を提供する。本発明の組換えS.ミュータンス株中に存在する場合、バクテリオシンは既存のバクテリオシン感受性S.ミュータンス株を排除し、その結果バクテリオシン感受性株の定着を妨げ、組換えS.ミュータンスの口腔定着を促進する。
本発明の組換えS.ミュータンス株による口腔定着をコントロールすることが望ましい場合があるので、該組換えS.ミュータンス株は好ましくは哺乳動物宿主の口腔中に通常存在しない有機物に対する栄養要求株であり、より好ましくはD-アミノ酸栄養要求株、さらに好ましくはD-アラニン栄養要求株である。栄養要求株の定着は、該株が栄養要求する有機物の量を調節することによりコントロール可能である。したがって、宿主から組換えS.ミュータンスを駆逐する必要が生じた場合は、該株が栄養要求する特定有機物の投与を止めることにより、定着を停止させることができる。
したがって、本発明の組換えS.ミュータンス株は、1)乳酸生産の欠陥、および2)組換えアルコールデヒドロゲナーゼの生産によって特徴づけられ、そしてさらに3)バクテリオシン感受性のストレプトコッカス・ミュータンス株に対する抗菌活性を有するバクテリオシンの生産、および/または4)特定の有機物、好ましくはD-アミノ酸、より好ましくはD-アラニンに対する栄養要求性によって特徴づけられる。以下に本発明の組換えS.ミュータンス株のそれぞれの作製を詳細に説明する。
本発明の組換えS.ミュータンス株の作製に用いる親ストレプトコッカス・ミュータンス株
本発明の組換えS.ミュータンス株の作製に用いるストレプトコッカス・ミュータンス株は、任意のS.ミュータンス株であることができる。好ましくは、本発明の組換えS.ミュータンス株の作製に用いるストレプトコッカス・ミュータンス株は、普通口腔に定着している野性型S.ミュータンス株に対し選択有利性を有する。選択有利性は、該組換え株による口腔定着および口腔に定着した既存株の置換を促進する種々の特徴(例えば、抗菌性化合物の生産、相対代謝要求、相対増殖率、代謝物スカベンジャーの生産、等)の任意ものによって付与されうる。
好ましくは、本発明の組換えS.ミュータンス株による定着は、他の非S.ミュータンス株の定着(例えば、う蝕発生に関連しない通常の細菌叢)を実質的に崩壊させないであろう。例えば、増大したレベルのバクテリオシンを生産するS.ミュータンスJH1000の変異株を用いてヒトボランティアを感染させたところ、口腔内の他の既存グラム陽性種に対して作用することなく、既存のう蝕発生性S.ミュータンス株の置換をもたらした(おそらく、部分的にはJH1000株によるバクテリオシンの生産による)(Hillmanら,1987, J. Dent. Res., 66:1092-1094)。
好ましくは、該S.ミュータンス株はS.ミュータンスJH1000のバクテリオシンを生産する。より好ましくは、組換えS.ミュータンス株は、S.ミュータンスJH1000が生産する量よりも大きい量のバクテリオシンを生産するS.ミュータンスJH1000変異株から作製される。「変異体」とは、それが誘導された親株と較べて表現型の変更を示す、遺伝子的に改変された細菌である。表現型の変更は、種々の遺伝子的損傷(lesion)の任意のものによってもたらされうる。例えば、1)構造遺伝子に機能しうる形で連結されたプロモーターにおける変更(例えば、遺伝子転写の増大を達成するため);および/または2)特定産物をコードする構造遺伝子における変更(例えば、該産物が増強した活性をもつように)、等である。遺伝子的損傷とは、細菌の表現型変更をもたらす、野性型ヌクレオチド配列における変更を言う。
例えば、S.ミュータンスJH1000の「バクテリオシン変異体」は、S.ミュータンスJH1000親株と較べて増大したバクテリオシン活性を有する細菌である。好ましくは、S.ミュータンスJH1000変異体のバクテリオシン活性は、S.ミュータンス親株のバクテリオシン活性と較べて好ましくは約10倍、好ましくは約1.5-5倍、より好ましくは約2-4倍、一般的には約3倍S.ミュータンスJH1000親株よりも増大している。これら変異体の増大したバクテリオシン活性は、親株に較べて増大したレベルのバクテリオシン生産および/または野性型S.ミュータンスのバクテリオシンと較べて増強された抗菌活性を有するバクテリオシンの生産によってもたらされうる。
「変異体」は当分野で公知の種々の方法によって作製することができる。例えば、突然変異誘発(すなわち、細菌の突然変異原への暴露)、自然突然変異体の選択、または組換え技法を用いた遺伝子操作、等である。突然変異誘発は、当分野で周知に方法によって、細菌を紫外線または種々の化学的突然変異原の任意のものに暴露することにより達成できる。例えば、エチルメタンスルホン酸(EMS)、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヌクレオチド類似体(例えば、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン)または挿入剤(例えば、アクリジン)等である。細菌突然変異体の作製方法は、当分野で周知である(例えば、Sambrookら,1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版),Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY参照)。
「自然突然変異」とは、自然に発生する、すなわちヒトによる直接的遺伝子操作または突然変異原への暴露なしに発生する突然変異である。自然突然変異体の選択は、その細菌株を培養し、そして例えば変異体細菌による特定因子(例:バクテリオシン)の生産または過剰生産によって所望の変異体を選択することにより実施できる。自然突然変異体の選択方法は、当分野で周知である(例えば、Sambrookら、前出参照)。
組換え技法を用いて変異体を作製する方法は、当分野で周知である(例えば、Sambrookら、1989、前出参照)。例えば、バクテリオシンをコードするDNAの多数コピーの発現および/またはより高レベルの転写をもたらすためのバクテリオシンプロモーターの突然変異によって、増大したバクテリオシン活性を有するS.ミュータンスJH1000変異体を作製することができる。
アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子
S.ミュータンスにとって乳酸生産の欠陥は致死的なので(Hillmanら,1994, Infect. Immun., 62:60-64; Hillmanら,1994, J. Bacteriol., 176:1542-1545)、組換え乳酸欠損S.ミュータンス株における該欠陥を組換えアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の生産によって補わなければならない。組換えADHの生産は代謝物、例えばピルビン酸(これは蓄積すれば乳酸欠損S.ミュータンスの死を引き起こす)の蓄積を阻止する。
「組換えADHの生産」とは、組換えS.ミュータンス株が、組換えDNA技法を用いてS.ミュータンス株に導入された機能性のADH酵素を発現することを意味する(すなわち、該S.ミュータンスはADH酵素をコードするDNAによって形質転換されている)。「形質転換」とは、新しいDNA(すなわち、細胞にとって外因性のDNA)の組み込み後に細胞中に誘導された永久的な(つまり安定な)遺伝子変化を意味する。
ADHをコードするDNAは、任意の生物から、好ましくは細菌から、より好ましくはチモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)またはストレプトコッカス・ラッス(Streptococcus rattus)、さらに好ましくはZ.モビリスから誘導することができる。ADHをコードするDNAの導入が、天然のS.ミュータンスのadh遺伝子と組み合わせられてS.ミュータンスのゲノム中にADHをコードするDNAの多数コピーを提供するように、ADHをコードするDNAをS.ミュータンスから誘導することができる。または、S.ミュータンスadh遺伝子の調節機構に突然変異(例えば、adh遺伝子の増大した転写をもたらすためのadhプロモーターにおける突然変異)を導入することにより、組換えADHを作製することができる。好ましくは、組換えADHはZ.モビリスのアルコールデヒドロゲナーゼIIであり、これはすでにクローン化され配列決定されている(GenBank受託番号M15394;参考のためここに組み入れるConwayら,1987, J. Bacteriol., 169:2591-2597)。Z.モビリスのアルコールデヒドロゲナーゼIIのアミノ酸配列(配列番号1)およびDNA配列(配列番号2)を図1に示す。
興味のあるDNA(例えばADH)をコードするDNA断片の同定、クローン化、安定な形質転換、および発現のための方法は、当分野では日常的なものであり、周知である(例えば、Sambrookら、1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY参照)。例えば、ADHをコードするDNAの単離は、ゲノムDNA由来の、または該遺伝子の既存クローン由来の配列のPCR増幅によって実施できる。組換えADHの発現は、adh構造遺伝子をS.ミュータンス中での発現を促進するプロモーター(例えば、spaPまたは天然のldhプロモーター)に機能しうる形で連結することにより実施できる。
機能性ADHの生産は、例えば、当分野で周知の、従来のADH活性アッセイ(例えば、エタノールのNAD依存性酸化についてのアッセイ)を用いてアッセイすることができる(参考としてここに組み入れるNealら,1986, Eur. J. Biochem., 154:119-124)。
乳酸欠損S.ミュータンスの作製
「乳酸欠損」または「浮酸生産の欠陥」とは、S.ミュータンス株が野性型S.ミュータンスに較べて実質的に減少した量の乳酸を生産することを意味する。好ましくは、「浮酸欠損」組換えS.ミュータンスは検出可能な乳酸を全く生産しない。
本発明の組換えS.ミュータンス株は、乳酸合成経路における欠陥の結果、乳酸欠損である。「欠陥」とは、機能性遺伝子産物の発現を妨げる、該遺伝子をコードするDNAにおける変更である。「欠陥」は、遺伝子の転写および/または翻訳の阻止または実質的減少をもたらす変更を含む。「欠陥」はまた、転写され翻訳された遺伝子産物が非機能性であるか、または野性型遺伝子産物と較べて実質的に低下したレベルで機能するような、構造遺伝子における変更をも含む。
「乳酸合成経路における欠陥」は、乳酸の生産を阻止または実質的に減少させる遺伝子的欠陥をいう。乳酸合成経路の欠陥は、例えば、乳酸合成を促進する酵素における、および/または乳酸合成に必要な酵素をコードする構造遺伝子に機能しうる形で連結したプロモーターにおける遺伝子的損傷を含みうる。好ましくは、乳酸合成経路における欠陥は乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(ldh)における欠陥によるものである(例えば、ldh構造遺伝子における欠陥、および/またはldh構造遺伝子に機能しうる形で連結したプロモーターにおける欠陥)。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に欠陥を有するS.ミュータンスは、LDH-株と呼ばれる。
乳酸合成経路における欠陥は、突然変異誘発(すなわち、細菌の突然変異原への暴露)、自然突然変異体の選択、または組換え技法を用いた遺伝子操作によって導入することができる。先に論じたように、これらの技法のそれぞれは当分野で周知である(例えば、Sambrookら、前出参照)。好ましくは、乳酸合成経路における欠陥は組換え技法を用いて導入される。例えば、欠陥ldh構造遺伝子を細菌に導入し、その後部位特異的組換えにより野性型ldhを欠陥ldhと置換する。S.ミュータンスldh遺伝子はクローン化され、そのヌクレオチド配列は決定され(GenBank受託番号M72545)、そして組換えldh遺伝子は大腸菌において発現されている(Duncanら,1991, Infect. Immun., 59:3930-3934; Hillmanら,1990, Infect. Immun., 58:1290-1295、これらはそれぞれ参考として本明細書に組み入れている)。
栄養要求性組換えS.ミュータンス株の作製
口腔に定着している組換えS.ミュータンスを宿主から放逐することが望ましくなった場合には、感染している組換えS.ミュータンス株は好ましくは栄養要求株である。「栄養要求株」とは、増殖するために炭素源の他に特定の有機物源を必要とする細菌である。例えば、「D-アラニン栄養要求株」とは、D-アラニンの源がなければ増殖できない細菌である。栄養要求株は必要な有機物の不在下ででしばしば短期間存続する(すなわち、増殖せずに生き残る)が、栄養要求株の定着の維持は該有機物の定期的な補充を必要とする。
例えば、D-アラニン栄養要求細菌は増殖し、そして口腔等の生態的場における定着を維持するため、定期的なD-アラニンの補充を必要とする。哺乳動物は普通D-アミノ酸を生産しないので、そしてD-アラニンは正常な微生物叢の生物によって普通は選択されないので、D-アラニン栄養要求株は宿主の口腔の正常な環境からD-アラニンを獲得することはできない。したがって、本発明の治療法における栄養要求株の使用は、特定の有機物の補充(例えば、D-アラニン補充)を止めることによって組換えS.ミュータンスによる口腔定着を妨げることができるという利点を提供する。
栄養要求細菌株は、化学的突然変異誘導、自然突然変異体の選択、および/または組換え技法等の当分野で周知の種々の技法を用いて作製することができる(例えば、トランスポソン突然変異誘発、組換えによる欠陥性または非機能性遺伝子との置換、等)(例えば、Sambrookら、前出参照)。好ましくは、栄養要求S.ミュータンス株は、自然突然変異体の選択または組換え法(例えば、D-アミノ酸合成経路への欠陥の導入)によって作製される。好ましくは、D-アラニン栄養要求S.ミュータンス株は、アラニンラセマーゼ(L-アラニンをD-アラニンに変換する酵素)をコードする遺伝子に欠陥を導入することにより作製される。幾つかの異なる細菌のアラニンラセマーゼをコードする遺伝子がクローン化されている〔バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus), Tanizawaら,(1988)Biochem. 27:1311-16; 枯草菌(Bacillus subtilis),Ferrariら,(1985)Biotechnol.(NY)3:1003-7;大腸菌、Lobocka,(1994)J. Bacteriol. 176:1500-10; ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium), Galakatosら,(1986)Biochem. 23:3255-60;およびネズミチフス菌、Wassermanら,(1984)Biochem. 23:5182-7]。
本発明の組換えS.ミュータンスを含有する医薬組成物
「医薬組成物」とは、本発明の組換えS.ミュータンスの、う蝕を発生しやすい患者への経口投与に適切な組成物である。一般に、本発明の医薬組成物は組換えS.ミュータンス株および製剤学上許容される担体からなる。「製剤学上許容される担体」とは、組換えS.ミュータンス株を宿主の口腔に運ぶためのヒビクルを意味し、ここで該ビヒクルは細菌細胞および宿主細胞の両方の生存能と適合する。本発明の生存可能な組換えS.ミュータンス株の投与に用いるのに適した製剤学許容される担体は、当業者に周知である。製剤学上許容される担体の選択は、投与される組換えS.ミュータンス株、該組換えS.ミュータンスを運ぶために使用される剤形を含む種々の因子に依存する。
本発明の組換えS.ミュータンス株と共に用いるのに適した製剤学上許容される担体は以下のものを含むがそれらだけに限定されない。すなわち、緩衝化生理食塩溶液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩溶液)、製剤学上許容される培養培地〔例えば、ルリアブロス、脳−心臓注入ブロス(BHI)]、または該細胞の生存を維持する他の溶液である。さらに、そのような製剤学上許容される担体は、水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンであってよい。生存可能な、または凍結乾燥した細菌の経口投与に適する、種々の製剤学上許容される担体が当分野で周知である(例えば、参考としてここに組み入れるRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、Gennaro編、1990、Mack Publishing Co., Easton, PA:および生存可能なラクトバシルス属(Lactobacillus)細菌の経口投与のための市販の製剤であるLACTINEXTM参照)。
本発明の組換えS.ミュータンス株は経口投与に適した種々の組成物のうち任意のものに製剤化できる。例えば、組換えS.ミュータンス株を、該株の培養物から調製されたリオフィル(lyophil)または細胞ペーストとして投与するために製剤化することができる。または、組換えS.ミュータンス培養物を直接口腔に投与することができる。また、組換えS.ミュータンス株をうがい薬、練り歯磨き、フロス、チューインガムまたはチュアブル錠の形で投与することもできる。
上記医薬組成物は、組成物中の細菌の生存能を維持するための栄養素を付加的に含有することができる。該医薬組成物はまた、風味強化剤、着色剤、香料および該組成物の効果を損なうことなく口あたりを良くし、および/または患者の該組成物受け入れを容易にする他の化合物も含有することができる。経口投与用製剤の調製方法は、当分野で周知である(例えば、参考としてここに組み入れるRemington's Pharmaceutical Sciences,第18版、前出参照)。
本発明の栄養要求性組換えS.ミュータンスを維持するための組成物
組換え栄養要求性S.ミュータンス株による口腔定着は、該株が栄養要求する有機物の定期的投与によって維持されねばならない。該有機物の長期的不在下では、栄養要求株は増殖をやめ、そしてもはや持続的に口腔に定着できなくなる。例えば、D-アラニンの不在下では、D-アラニン栄養要求株は弱まった細胞壁のために溶菌を経験する。本発明の治療法における栄養要求性組換えS.ミュータンスの使用は、何らかの望ましくない副作用が生じた場合に該細菌株を排除するための「フェイルセイフ(fail safe)」機構を提供する。しかし、本発明の組換えS.ミュータンスは、普通口腔に定着している固有のS.ミュータンス株と類似しているので、望ましくない副作用の可能性は低い。
本発明の栄養要求性組換えS.ミュータンス株による口腔定着の維持は、栄養要求株を維持する量の、該細菌が栄養要求する有機物を経口投与することにより実施できる。「栄養要求細菌株を維持する量」とは、栄養要求細菌株の口腔内における生存能を維持するに十分なある有機物の量を言う。例えば、組換えS.ミュータンスがD-アラニン栄養要求性である場合、「D-アラニン栄養要求細菌株を維持する量」とは、D-アラニン栄養要求細菌株の宿主口腔内における生存に十分な量のD-アラニンを意味する。一般に、D-アラニン栄養要求細菌株を維持する量のD-アラニンの1回の投与量は、約1〜100mg、好ましくは約5〜75mg、より好ましくは約10〜50mg、さらに好ましくは約20〜25mgのD-アラニンを含む。溶液形態の医薬組成物中のD-アラニンの濃度は約0.01mg/mlから167mg/ml(後者は25℃の水に溶解したD-アラニンの飽和溶液である)、好ましくは約0.lmg/mlから50mg/ml、より好ましくは約1mg/mlから25mg/mlである。医薬組成物中のD-アラニンの濃度は、用いられる担体、および該特定の担体中におけるD-アラニンの飽和点によって変わりうる。
口腔内の栄養要求性組換えS.ミュータンスの維持に必要な有機物は、種々の方法で製剤化できる。例えば、組換えS.ミュータンスがD-アラニン栄養要求性である場合、D-アラニン栄養要求株の維持のための組成物はうがい薬、チューインガム、フロス、練り歯磨き、チュアブル錠、または宿主口腔への経口投与に適する他の任意の剤形に製剤化できる。有機化合物(例えば、D-アラニン)の他に、該組成物は風味強化剤、着色剤、香料および該組成物に含まれる有機物の効果を損なうことなく口あたりを良くし、および/または患者の該組成物受け入れを容易にする他の化合物も含有することができる。
本発明の組換えS.ミュータンス株の経口投与および、所望の場合には、口腔内での該株の維持のために製剤される医薬組成物は、口腔および口腔に定着している任意の望ましい正常な細菌叢に本来備わった特徴の範囲内で開発されねばならない。経口投与に適した製剤の調製方法は当分野で周知である(例えば、参考としてここに組み入れるRemington's Pharmaceutical Sciences,第18版、Gennaro編、1990、Mack Publishing Co., Easton, PA参照)。
投与
本発明の組換えS.ミュータンス株は、う蝕を発生しやすい任意の宿主に、好ましくはS.ミュータンスがその口腔に定着できる宿主に、好ましくは哺乳動物宿主(例えば、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、等)、より好ましくはヒト宿主に投与することができる。組換えS.ミュータンス株は、子供、***、大人等の如何なる年齢の宿主にも投与できる。
本発明の組換えS.ミュータンス株は種々の方法で経口投与することができる。例えば、組換えS.ミュータンス株を懸濁物、チュアブル錠、丸薬、カプセル、持続性放出剤(例えば、組換えS.ミュータンス株を含有する口腔インプラント)またはリオフィル粉末の形で投与することができる。また、組換えS.ミュータンス株は、リオフィル、培養物、または細胞ペーストを患者の歯に直接適用することによって投与することも可能である。治療組成物が口腔に適用される限り、どの投与様式も適切である。好ましくは、組換えS.ミュータンスは、患者の歯に細菌細胞懸濁物を直接適用する(例えば、ブラシで塗ってフロッシングする)ことによって投与される。
一般に、患者に投与される組換えS.ミュータンスの量は、宿主の口腔内のう蝕発生性S.ミュータンス株を置換するのに有効な量である。「宿主の口腔内のう蝕発生性S.ミュータンス株を置換するのに有効な量」とは、組換えS.ミュータンス株による口腔定着、および既存の乳酸生産性、う蝕発生性S.ミュータンス株の排除(例えば、細菌間の栄養素に対する競合および/または組換えS.ミュータンス株によるバクテリオシンの生産による)に有効な量である。「単位用量」という用語は、本発明の医薬組成物に言及して使用された場合、患者への単位剤形として適した物理的に別個の単位をいう。各単位は、必要な希釈剤(担体またはビヒクル)と共に、所望の治療効果を奏するようにあらかじめ定められた量の活性物質を含有する。
具体的用量は、患者の大きさ、体重、年齢、疾患の重篤度(例えば、乳酸生産性、う蝕発生性既存S.ミュータンスの執着性または数)および療法への応答性(例えば、宿主口腔の定着しやすさ)を含む患者の変数によって変わりうる。適切な投与経路および用量は、一般に担当の歯科医または他の臨床家によってケースバイケースで決定される。このような決定は当業者にとって決まりきったものである(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,第18版、Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990参照)。
一般に、患者に投与される組換えS.ミュータンスの数は、約102から1015個の細菌、好ましくは約103から1014個の細菌、より好ましくは約105から1012個の細菌、普通は約1011個の細菌である。投与に適切な用量は、動物モデルにおける口腔定着(例えば、ラットの口腔へのS.ラッスの定着)に十分なストレプトコッカス属種の量から容易に外挿できる。適切な用量は、バクテリオシン生産S.ミュータンスJH1000株または種々のレベルのバクテリオシン活性を発現するその変異体によるヒト口腔定着に適切であると判明した用量から、推定することも可能である(参考としてここに組み込むHillmanら,1987, J. Dent. Res., 66:1092-0194参照)。
組換えS.ミュータンス株の多数回投与を行なって該株の口腔定着および宿主の既存のう蝕発生性S.ミュータンス株の置換を達成することができる。一般には、本発明の組換えS.ミュータンス株は患者に1回投与するだけでよい。組換えS.ミュータンス株が栄養要求株である場合は、適切な有機物を含有する組成物を投与することにより該株の定着を維持しなければならない。例えば、組換えS.ミュータンス株がD-アラニン栄養要求株である場合、持続的な口腔定着のためにD-アラニンを投与しなければならない。D-アラニンまたは他の適切な有機物は一般に少なくとも週1回、好ましくは少なくとも1日1回、より好ましくは少なくとも1日2回投与され、患者の日常的な歯の手入れの一部として、例えば練り歯磨き、フロスまたはうがい薬の成分として投与することができる。
組換えS.ミュータンス株による上首尾な宿主の口腔定着は、患者の口腔の細菌を培養し、該組換え株を例えば、組換えADH生産、バクテリオシン生産、ELISA、選択pHインジケーター培地上での増殖、または当分野で周知の他の細菌株同定方法によって同定することにより確立することができる。
以下の実施例は本発明を説明するものであって、限定するものではない。それらは使用されるであろう手順の典型であるが、代わりに当業者に公知の他の手順を用いてもよい。
実施例
実施例1.材料および方法
細菌株、プラスミド、および増殖条件
S.ミュータンスCH4ts株の作製(Chenら,1994, J. Bacteriol., 176:1542-1545)およびS.ミュータンスNG8株の単離(Leeら,1989, Infect. Immun., 57:3306-3313)は以前に記述されている。クローン化に用いた大腸菌株DH5αは広く入手可能である。クローン化チモモナス・モビリスピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)遺伝子を含むプラスミドpLO1276(Conwayら,1987, J. Bacteriol., 169:949-954)、クローン化Z.モビリスアルコールデヒドロゲナーゼII(adh)遺伝子を含むプラスミドpLO1286(Conwayら,1987, J. Bacteriol., 169:2591-2597)、クローン化S.ミュータンスspaP遺伝子を含む、pCR2に基づくプラスミドpCR3-8(Conwayら,1995, J. Dent. Res., 74:要約第1511)、およびS.ミュータンス由来のテトラサイクリン耐性遺伝子を含むプラスミドpVA981(Tobianら,1984, J. Bacteriol., 160:556-563)の構築は以前に記述されている。上に引用した文献のそれぞれは、上記プラスミドの構築および上記菌株の作製または単離の記述を参考としてここに組み入れてある。
CH4tsのバッチ培養物および連続培養物を、0.5%トリプトンおよび1%グルコースを補充したCarlssonの規定培地(Carlssonら, 1970, Caries Res., 4:297-304)中で増殖させた。ADH活性のアッセイ用の細胞は、1%グルコースを補充したTodd-Hewittブロス中で増殖させた。適切な場合には、アピシリシ(50μg/ml)、テトラサイクリン(10μg/ml)およびエリスロマイシン(5μg/ml)を用いた。
培養物のアッセイ
バッチおよび連続培養物のサンプルを指示された時点で除去し、それらのpHおよび550nmにおける吸光度を測定した。4℃で遠心して細胞を除去し、得られた細胞を含まない液体をグルコース、エタノールおよび乳酸について酵素的に(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)アッセイし、またアセトインについてガス−液体クロマトグラフィー(Hillmanら,1987, Infect. Immun., 55:1399-1402)によりアッセイした。リン酸緩衝化生理食塩溶液(PBS)を用いた遠心により細胞ペレットを1回洗浄し、化学的にアッセイして(Friedmannら,1957, S.P. Colowick and N.0. Kaplan(編),Methods in Enzymology, Academic Press, Inc., New York, p.414-418)細胞内ピルビン酸濃度を測定した。数字として示すデータは、2回の実験の平均値である。
アルコールデヒドロゲナーゼ活性のアッセイ
大腸菌およびS.ミュータンス株の200mlの一晩培養物由来の細胞を4℃で遠心して回収し、100mM KPO4緩衝液(pH8.5)を用いて2回洗浄した。細胞ペレットを1mlの緩衝液に再懸濁し、15,000psiでフレンチプレスを通過させることにより破壊した。4℃で30分間遠心することにより細胞破砕物を除去した。細胞を含まない抽出物を氷上に保ち、Nealeらの方法(Nealeら,1986, Eur. J. Biochem., 154:119-124)に従って、エタノールのNAD依存性酸化についてアッセイした。
乳酸デヒドロゲナーゼ活性のアッセイ
LDH活性アッセイを以前に記述されたように実施した(Hillmanら,1990, Infect. Immun., 58:1290-1295)。すなわち、LDH活性を、分光光度計を用いて340nmで測定したフラクトース-1,6-ジホスフェート(FDP)およびピルビン酸に依存するNADHの酸化としてアッセイした。反応混合物は、最終容量1ml中に100μmolのリン酸カリウム、pH6.2、0.2μmolのNADH、10μmolのピルビン酸ナトリウムおよび1-5μlの試験すべきサンプルを含有していた。活性のバックグラウンドレベルを1分間測定し、次に20μmolのFDPの添加によって反応を開始させた。
実施例2:S.ミュータンス中で発現させるためのチモモナス・モビリスadh構造遺伝子のクローン化
プラスミドpADHは、S.ミュータンスspaP遺伝子の調節配列に融合させたZ.モビリスのadhオープンリーディングフレームを含む。pADHは、まずプラスミドpCR3-8をSacIおよびDraIIIで消化し、次に消化されたDNAをマングビーン(mung bean)ヌクレアーゼで処理し、プロモーター、リボソーム結合部位、およびオープンリーディングフレームの5'末端の52塩基を除く全spaP遺伝子を除去した。直鎖状にしたpCR3-8プラスミドの4.2kb断片をアガロースゲル電気泳動により回収した。
ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)を用いて、翻訳開始コドン(ATG)およびプラスミドpLO1286由来の1個の付加的(G)塩基を除くZ.モビリスadh遺伝子の全オープンリーディングフレームを増幅した。上記PCRには、フォワード(5' CTTCTTCAACTTTTTATATTCCTTTCG(配列番号3))およびリバース(5' CGGAGGCATTGTTTG(配列番号4))合成プライマーを用いた。増幅した断片をアガロースゲル電気泳動により回収し、マングビーンヌクレアーゼおよびポリヌクレオチドキナーゼで処理し、上記pCR3-8断片に連結してspaPとの翻訳融合物を形成した。得られたプラスミドpADHを使用して大腸菌DH5α細胞を形質転換した。DH5αの形質転換体を、アンピシリンを含有するLB培地上で選択した。pADH挿入配列の適切なサイズおよび配向を制限酵素分析によって確認した。
S.ミュータンス中にクローン化する準備において、S.ミュータンス由来のテトラサイクリン耐性遺伝子を含むプラスミドpVA981(Tobianら,1984, J. Bacteriol., 160:556-563)の3.5kb HincII断片をpADHのScaI部位に挿入することによって、pADHをpADH-tetに変換した。pADH-tet構築物を用いてDH5αを形質転換し、テトラサイクリンを含有するルリアブロス(LB)上で選択した形質転換体をアンピシリンへの感受性について試験した。次に、PerryおよびKuramitsuの方法(Perryら,1981, Infect. Immun., 32:1295-1297)を用いて、S.ミュータンスをpADH-tetで形質転換した。
実施例3:バッチ培養におけるCH4tsおよびNG8の増殖に及ぼすグルコース濃度の効果
CH4ts(1dhts)およびその親株であるS.ミュータンスNG8の一晩バッチ培養物を30℃で増殖させた。CH4tsは乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の温度感受性突然変異を有する。CH4tsのLDHは30℃では野性型のように挙動するが、培養温度が42度に変わると、その熱不安定なLDHは不活性となる。したがって、この細菌株は、実験がS.ミュータンスのLDH突然変異体の致死性におけるLDHの役割を決定するのを可能とする。洗浄した細胞を、グルコースを含む、および含まない新鮮な培地を用いて1:1000に希釈し、42℃の水浴中でインキュベートした。図2(パネルA)に示す各時点で、サンプルを脳心臓注入(BHI)(brain heart infusion)プレート上に広げ、プレートを30℃でインキュベートすることにより生菌数を測定した。結果は、グルコースの不在下(点線)では、CH4ts(白抜き三角)およびNG8(白抜き丸)は同じ挙動をしたこと;および増殖が3時間後に停止し、ゆっくりした細胞死が続いたことを示している(半減期=23.5時間)。しかし、親株(白抜き四角)とは異なり、CH4ts(白抜き丸)はグルコースの存在下(実線)に置かれて3時間以内に増殖を停止し、加速した細胞死を経験した(半減期=12.1時間)。この相違は、突然変異体におけるピルビン酸の高い細胞内濃度の蓄積に一時的に相関していた(図2、パネルB参照)。
実施例4:連続培養におけるCH4tsおよびNG8の増殖および最終産物濃度に及ぼすグルコースおよび温度の効果
ケモスタットの反応器中で30℃でCH4tsを飽和するまで増殖させた。培養物の温度を42℃に移行させる前に、希釈率0.1hr-1をもたらす培地流入量を72時間維持した。3時間以内に理論ウォッシュアウト率に等しい率で細胞密度が減少しはじめ、細胞増殖の停止を示した(図3参照)。これは、反応器中で観察されたグルコース濃度の増加と相関していた。
希釈率0.006hr-1を用いて連続培養実験を繰り返したところ、温度を42℃に変化させた時にCH4tsの安定した増殖が達成された(図4参照)。該温度変化の直後に、乳酸濃度は予想されたウォッシュアウト率に一致して減少した。乳酸生産の停止は、エタノールおよびアセトインの生産を伴い、連続培養物のpHの段階的な増大をもたらした。実験を通じて、グルコース濃度は検出不可能なままであった。
これらのデータは、42℃におけるCH4tsの安定した増殖が、グルコース制限条件下の連句培養において達成できることを示している。グルコース制限条件下では、乳酸生産のかわりにエタノールおよびアセトインの生産が増大したという点で、CH4tsは化学的に誘導したS.ラッスのLDH欠損突然変異体のように挙動した(Hillmanら,1987, Infect. Immun., 55:1399-1402)。これらの結果は、S.ミュータンスはピルビン酸代謝のための調節された、別の経路を持つと指摘する、発酵および酵素学的研究と一致する。培養の適切な条件下では、野性型S.ミュータンスは乳酸に加えてかなりの量のギ酸、酢酸、エタノールおよびアセトインを生産する(Yamadaら,1975, J. Bacteriol., 124:55-61; Hillmanら,1987, Infect. Immun., 55:1399-1402)。しかし、これらの別の経路はLDH活性の不在を埋め合わせるには明らかに不充分である。
実施例5:ADHの生産はS.ミュータンスのLDH - 致死性を救う
S.ミュータンスspaP調節配列に融合させたZ.モビリスadhオープンリーディングフレームを含むpADHを用いて形質転換した大腸菌DH5α株は、クローン化されたADHの活性を発現した(比活性:6.95μmol/分/mgタンパク質)。この結果は、spaPプロモーターおよびリボソーム結合部位(rbs)は大腸菌中で活性であることを示す以前に公表されたデータと一致した(Leeら,1988, Infect. Immun., 56:2114-2119)。このADH活性のレベルは、Z.モビリス由来の元のクローン化adh遺伝子および調節領域を含むpLO1286を用いて形質転換したDH5αにおいて見いだされたレベル(比活性:41.8μmol/分/mgタンパク質)の約17%であった。pVA981(pADH-tet)由来のテトラサイクリン耐性遺伝子の挿入によるpCR2骨格上のアンピシリン耐性遺伝子の中断は、ADH活性レベルに影響を与えなかった。
1μgのpADH-tetを用いてCH4tsを形質転換した。キャンベル型組換えはspaP::adh融合をCH4tsの染色体に組み込んだ。挿入部位は同定されていないが、spaPまたは内因性adh遺伝子によって提供される相同領域にある可能性が高い。形質転換CH4tsは、テトラサイクリンを含有する培地上での42℃における増殖によって選択された。生じた数百のクローンから得た、CH4ts::adhと称する1個の精製された単離株はその野性型親株の親株(grandparent)NG8(比活性:<1.0μmol/分/mgタンパク質)よりも実質的に高いADH活性(比活性:60.43μmol/分/mgタンパク質)を示した。
CH4ts::adhおよびNG8を、2%グルコースを補充したTodd-Hewittブロス中で42℃で48時間増殖させた。細胞を含まないCH4ts::adhの培養液は、NG8の培養液(pH4.0およびエタノール含有量<1mM)よりも有意に高いpH(4.7)およびエタノール含有量(21.60mM)を有していた。より高い(5、10または20%)濃度のグルコースを用いた場合も同一の結果が得られた。
0.5%トリプトンおよび種々の炭素源を1%の割合で補充した規定培地における42℃でのCH4ts::adhの増殖を、NG8の増殖と比較した(表1参照)。
Figure 0004027970
グルコース、ラクトースまたはスクロースが炭素源として働いた場合は、増殖速度および細胞収量はほぼ同等であった。ガラクトース、ソルビトールまたはマンニトールが炭素源として働いた場合は、CH4ts::adhはNG8よりも実質的に短い倍加時間およびより高い収量を有した。どの炭素源を用いて増殖させた場合も、CH4ts::adhの培養液には乳酸は全く検出されなかった。そして、エタノールがNG8の培養液に見いだされるよりもはるかに大量に存在していた。
これらのデータは、組換えS.ミュータンス株CH4ts::adhが、同一の増殖条件下で、NG8野性型対照株よりも実質的に高いレベルのADH活性を示したことを示す。さらに、CH4tsの形質転換体は非許容温度で増殖し、クローン化ADH活性がLDH欠損によって引き起こされた代謝遮断を回避したことを示した。
これらのデータはさらに、グルコース、ラクトースまたはスクロースが唯一の炭素源として働いた場合は、CH4ts::adhおよびNG8の増殖速度および増殖収量が類似していることを示す。しかし、好気性条件下でマンニトールおよびソルビトールを使用した場合には両方ともNG8の増殖は不十分であったが、CH4ts::adhはよく増殖した。この結果は、クローン化ADH活性がポリオール代謝の間に発生した過剰な電子の適切なシンク(sink)として役立つに十分なエタノール生産をもたらしたことを示す。NG8はガラクトースを用いた場合も増殖が不十分であった。S.ミュータンス中でタガトース6-リン酸経路を経て代謝されるこの炭素源を用いた場合、何故CH4ts::adhがNG8よりも良く増殖するのかは、特にラクトースを用いた場合これら細菌株の増殖が同等であったため、不明である(Hamiltonら,1979, J. Bacteriol., 140:1102-1104)。
実施例6:ピルビン酸デカルボキシラーゼの生産はS.ミュータンスのLDH - 致死性を救わない
LDH欠陥がピルビン酸デカルボキシラーゼの生産によって救われうるかどうかを確認するため、実施例2〜5に記述した試験と類似の試験を実施した。Z.モビリス由来のピルビン酸デカルボキシラーゼ(pdc)遺伝子(Conwayら,1987, J. Bacteriol., 169:949-954)をspaPに融合させ、Z.モビリスadh遺伝子について記述したように自殺ベクターを用いてCH4tsに導入した。テトラサイクリン耐性で、PDCを発現する形質転換体を単離し、上記のように非許容温度42℃で増殖について試験した。クローン化PDC活性を発現するLDH-S.ミュータンスは、上記非許容温度では増殖しなかった。これらの結果は、S.ミュータンスにおけるLDH-欠陥の致死性は、PDCの生産によって救うことができないことを示す。さらに、これらのデータは、S.ミュータンスのLDH欠損突然変異体におけるピルビン酸代謝において、ADH濃度は飽和状態でないことを示す。
実施例7:JH1000および増大したレベルのバクテリオシン活性を奏するJH1000変異体の単離
S.ミュータンスJH1000の単離はすでに記述されている(Hillmanら,1984, Infect.Immun., 44:141-144)。簡単に述べると、JH1000は115被験者から得たS.ミュータンスの新しい単離株から、バシトラシンを含有するミティスサリバリウス(mitis salivarius)寒天を用いて同定された。JH1000は遅延拮抗作用アッセイにおいて他のS.ミュータンス株のすべて、および多数かつ種々の実験室株の増殖を阻止した。証拠(Hillmanら,1984, Infect. Immun., 44:141-144)は、JH1000が今特徴づけを行なおうとしている、小さい(1,000Da未満)、抗生物質に類似した、バクテリオシン様の化合物を生産することを示している。この化合物をS.ミュータンスバクテリオシンと名付ける。微生物学的および血清学的アッセイが、JH1000はS.ミュータンス種の代表的なものであることを確認した。天然に存在するものであれ、化学的突然変異誘発によって作製されたものであれ、バクテリオシンのキリング(killing)特性に耐性であるバクテリオシン感受性株の変異体はこれまで同定されていない。この結果は、殆どの抗生物質と違って、耐性の野性型(疾患を引き起こす)株による重感染の危険が最少であることを示している。
当分野で周知の方法にしたがって、エチルメタンスルホン酸(EMS)を用いてJH1000株を化学的突然変異誘発にかけた(Hillmanら,1978, Infect. Immun., 21:206-212)。JH1005は、JH1000の典型的なEMS誘導変異体である。試験すべき細菌株のブロス培養物を8時間以上増殖させることによって、増大したレベルのバクテリオシンを生産する変異体を同定した。培養物を遠心して細菌細胞を除去し、培養上清の20μlのサンプルをマイクロタイタープレートのウエルで連続希釈した。標的細菌株(通常はS.ラッスBHT-2, StrR)を含有する100μlのトップアガー(Top agar)および1mg/mlのストレプトマイシンを各ウェルに添加した。一晩インキュベーションした後、インジケーター細菌株の増殖を阻止した最低希釈物を確認した。
この上に載せる方法を用いて、約3倍増大したレベルのバクテリオシンに類似した活性を奏する、JH1000のEMSに由来する(JH1005)および自然発生の(JH1140)変異体が見いだされた。JH1000およびJH1000変異体は乳酸を生産し、したがってう蝕の予防および/または治療のための置換療法には適さない。
実施例8:S.ミュータンスJH1000変異体によるヒト口腔への定着
増大したバクテリオシン活性を有するJH1000変異体による齧歯類およびヒト口腔への定着が記述されている(Hillmanら,1987, J. Dent. Res., 66:1092-1094)。簡単に述べると、標準的歯科予防処置およびそれに続いて約1011個のJH1000細菌またはJH1000変異体細菌を含有する細胞懸濁物をブラシで塗りフロッシングすることを含む感染法を用いて、JH1000またはJH1000変異体をヒトボランティアの歯に塗った。
バクテリオシン活性のレベルおよび口腔に定着する能力は、強く相関していた。JH1005株による感染後1年以上の期間にわたって、固有のストレプトコッカス・ミュータンスは徐々にJH1005によって置換された。さらに、試験した3人の被験者の2人において、全ストレプトコッカス・ミュータンス数は有意に減少した。
実施例9:トランスポゾン突然変異誘発S.ミュータンス株を用いたS.ミュータンスの組換え突然変異体の作製
プラスミドpTV1-OKは、S.ミュータンスおよび大腸菌の両方における条件的複製のための、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)プラスミドpWV01(Leenhoutsら,1991, Plasmid, 26:55-66)のrepA(ts)誘導体である。該プラスミドは、S.ミュータンスおよび大腸菌の両方において発現される、プラスミド骨格上のカナマイシン耐性遺伝子、およびS.ミュータンスにエリスロマイシン耐性を付与するトランスポゾンTn917を有する。
pTV1-OKプラスミドをS.ミュータンスJH1005に導入し、カナマイシンを含有するBHI寒天上で28℃で形質転換した細胞を選択した。1mgのpTV1-OK DNAを用いたJH1005の形質転換は、4個のカナマイシン耐性形質転換体をもたらした。これは以前の実験による形質転換頻度と一致している(Hillmanら,Infect. Immun., 62:60-64)。Camilliら(1990, J. Bacteriol., 172:3738-3744)が記述するように、温度変化(45℃)によって、宿主染色体DNA中のTN917挿入物の独立したプールを作製した。すなわち、許容温度(28℃)でカナマイシンの存在下で増殖させた飽和培養物を1/50または1/100継代培養した。温度を45℃に変化させ、一晩インキュベートした後、選択濃度のエリスロマイシンを含有するBHI寒天上にサンプルを播くことにより、宿主染色体中のTN917挿入物を単離した。109全コロニー形成単位のうち105がこの抗生物質に対する耐性を保持していることが判明した。100個のランダムに選択したエリスロマイシン耐性コロニーのうち90個が、レプリカパッチングによってカナマイシン感受性であることが示された。この発見は、エリスロマイシン耐性クローンの90%は、同時に起こったpTV1-OKの喪失およびTn917のJH1005染色体中への転位の結果であることを示した。ランダムに選択したエリスロマイシン耐性突然変異体のサザンブロット分析は、Tn917転位はランダムで単一の染色体挿入をもたらしたことを示唆した。サザンブロット分析はまた、10%のエリスロマイシン耐性/カナマイシン耐性クローンが、全pTV1-OKプラスミドをJH1005染色体に組み込んだレプリコン融合の結果であることを示した。
カナマイシン感受性クローンの独立プールを、バクテリオシン生産、1%グリシンへの感受性、酸感受性、マンニトールを用いた場合またはD-アラニン補充の不在下では嫌気性条件下で増殖できないこと、についてスクリーニングした。各カテゴリーの突然変異体は1〜2x10-3の頻度で単離された。
2つのバクテリオシン欠損突然変異体のサザンブロット分析は、バクテリオシン生産に関与する少なくとも2個の連結していない遺伝子、および酸感受性に関与する少なくとも3個の連結していない遺伝子座の存在を示した。JH1005において単離されたTn917誘導酸感受性アレレを天然形質転換を介してNG8への導入すると、該トランスポゾン(エリスロマイシン耐性をコードする)は突然変異表現型と共に高い頻度で同時遺伝した。この結合は、Tn917によって誘導される損傷は突然変異表現型に関与していることを示す。Tn917突然変異体のプールは、温度変化後の類似した転位頻度およびプラスミド喪失の効率を有する、天然において形質転換可能な細菌株NG8を用いても得られた。
バクテリオシン生産に関与する1個の遺伝子を、マーカー救助技法を用いて大腸菌中にクローン化した。突然変異体由来の染色体DNAをEcoRIを用いて完全消化し(Tn917の中は切断しない)、pUC19のマルチクローニング配列のEcoRI部位に連結した。このライブラリーをMC1061中に導入し形質転換して、アンピシリン耐性について選択した。生じたコロニーをエリスロマイシンを含有する培地上に複製した。生じた2個のクローンが、ドットブロット分析においてTn917プローブと反応したプラスミドDNAを含むことが示された。これらのプラスミドは、Tn917のエリスロマイシン近位末端およびエリスロマイシン遠位末端から外側へ読み進むプライマーを用いて、現在配列決定されつつある。
これはS.ミュータンスおよび口腔ストレプトコッカス菌におけるTn917突然変異誘発の上首尾な使用である。pTV1またはpLTV3等の構築体を用いた以前の失敗は(Youngman, 1987, Plasmids: A Practical Approach, Hardy編,IRL Press, Oxford, pp. 79-103; Camilliら,1990, J. Bacteriol., 172:3738-3744)は、S.ミュータンス中でプラスミド骨格が複製できなかったことに起因した。ラクトコッカスのレプリコンpWV01Tsの複製機能を用いると、pTV1-OKは許容温度ではS.ミュータンス中に安定に維持され、それによって非許容温度でTn917転位が起こるのに十分な機会を提供することが判明した。したがって、上記の方法は本発明に用いる栄養要求性S.ミュータンス株、および他のS.ミュータンス由来の、所望の表現型を有する株の作製に用いることができる。
実施例10:LDH - 、ADH + バクテリオシン生産S.ミュータンス株の構築
JH1000のldh遺伝子は、クローン化され配列決定されている(Hillmanら、1990, Infect. Immun., 58:1290-1295; Duncanら,1991, Infect. Immun., 59:3930-3934)。すなわち、ベクターとしてpBR322を用いて、JH1000 ldh遺伝子を大腸菌MC1061株中にクローン化した。JH1000から精製したLDHタンパク質のアミノ末端配列から推定したオリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、ldh遺伝子を含む1個のクローンp10-5を同定した(Hillmanら、1990, Infect. Immun., 58:1290-1295)。これらの結果は、p10-5/MC1061形質転換体の細胞を含まない粗抽出物においてJH1000 LDH活性を示すことにより確認された。クローン化ldhのヌクレオチド配列が決定され、その調節シグナルおよびオープンリーディングフレームが推定された。JH1000 ldh遺伝子の配列はGenBank受託番号M72545(記述LDH SM)より入手可能である。クローン化ldh遺伝子は、制限酵素HpaIを用いてp10-5構築物を消化することにより不活性化してある。これは、ldhオープンリーディングフレームからの510塩基の除去をもたらし、その結果永久的に該遺伝子を不活性化している。この消化物由来の、適切なサイズとなったDNA断片をアガースゲル電気泳動によって回収し、マングビーンヌクレアーゼで処理して平滑末端とし、仔ウシ腸ホスファターゼと反応させて脱リン酸化した。
Z.モビリスadh遺伝子の全オープンリーディングフレーム(最初の3塩基のグアニジン残基との置換、およびオープンリーディングフレームの終わりへの翻訳および転写コドンの付加を除く)をPCRによって増幅する。ゲル精製の後、この断片をマングビーンヌクレアーゼで処理して平滑末端とし、ポリヌクレオチドキナーゼと反応させてリン酸化する。この産物および上記のp10-5産物を連結し、大腸菌に導入してアンピシリン耐性に関する選択をおこなった。次に、精製クローンの透過性にした細胞を、上記のようにADH活性についてスクリーニングした。次に、ADH陽性クローン由来のプラスミドを精製し、制限酵素地図作製によりチェックして遺伝子構築物を確認した。
このような遺伝子構築物の1個を、pBR322骨格上のアンピシリン耐性遺伝子を除去し、pVA981由来のテトラサイクリン耐性遺伝子と置換することによりさらに改変する。この構築物を用いてJH1140を形質転換し、形質転換体をテトラサイクリン含有培地で選択する。生じるヘテロ二倍体形質転換体を精製し、Todd-Hewittブロス中で一晩増殖させ、そして適切な希釈物をグルコーステトラゾリウム培地上に播く。キャンドルジャー(candle jar)内で3日間インキュベートした後、LDHの欠失を示す(または減少した酸生産を示す)赤色コロニーを単離し、推定上のLDH欠損突然変異体として精製する。
形質転換体の表現型および遺伝子型を、2日齢ブロス培養物を乳酸およびエタノールについてアッセイすることにより、サザンブロット分析により、また無細胞抽出物を上記のようにLDH活性について分光測光的にアッセイすることにより確認する。これらの細菌株における乳酸生産は検出不可能であろうと予想される。他方、培地のエタノール含有量は、1%以上のグルコースを含有するブロス中で約25mMであろうと予想される。これら形質転換体のLDH活性は、検出不可能であろう予想される。
酸素の存在下および不在下で種々の炭素源を用いて、親株および形質転換体の増殖を調べることにより、形質転換株をさらに特徴づけた。形質転換体は、世代時間および細胞収量の点で親株と同等またはそれ以上に増殖することが予想される。異なる増殖条件下における発酵最終産物を正確に評価するため、親株および形質転換体をケモスタット培養でも増殖させた。形質転換株はすべての培養条件下で検出可能な乳酸を全く生産せず、そして好気的インキュベーションの間にのみ重大な量のアセトインを生産することが予想される。
該形質転換体がう蝕を発生させる可能性もまた、通常のおよび/または無菌のラットを用いたう蝕のラットモデルにおいて測定される。該形質転換体は、事実上非う蝕発生性であると予想される。他方、親株はう蝕病巣の高い発生率および重症度を示すに違いない。形質転換体および親株の歯垢形成およびバクテリオシン生産もまたアッセイされる。
形質転換株が上記の予想を少なくとも最小限満たす(すなわち、乳酸生産が欠損していて、非う蝕発生性である)場合、その形質転換体は本発明またはう蝕の治療に用いるのに適した組換えS.ミュータンス株である。
以下の細菌株は1995年6月7日以前にAmerican Type Culture Collection, 1301 Parklawn Drive, Rockville, MD, USA (ATCC)に寄託された。
寄託 ATCC受託番号
JH1000 受託番号55677
JH1140 受託番号55676
この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)に基づいてなされた。これは寄託の日から30年間、生存可能な培養物の維持を保証するものである。上記細菌は、ブダペスト条約の規定に基づいてATCCによって利用可能とされる。そして、出願人は当該米国特許の授与または米国あるいは他の外国出願の公開のうちどちらが先であれ、その後に該培養物の子孫を永久的かつ無制限に大衆に入手可能とすることを保証し、また35 U.S.C. §122およびこれに準じる長官規則(特に886 OG 638に言及した37 CFR§1.14を含む)によって米国特許商標庁の長官によって定められた者に該培養物の子孫の利用可能性を保証する。本出願の譲受人は、適切な条件下で培養されて該培養寄託物が死滅、紛失、または破壊された場合、通告があり次第、迅速に同一培養物の生存可能なサンプルと取り換えることに同意した。寄託された細菌株の利用可能性は、特許法に基づいて任意の政府の権威のもとに授与される諸権利に反して本発明を実施することへの許可と解釈すべきではない。
配列表
(1)一般的情報
(i)出願人:ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション
(ii)発明の名称:う歯の置換療法
(iii)配列の数:4
(iv)住 所:
(A)名宛人:フィッシュ アンド リチャードソン
(B)通り名:エグゼクティブスクエア4225、1400番地
(C)市名:ラホヤ
(D)州名:カリフォルニア
(E)国名:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:92037
(v)コンピューター読取り可能形式:
(A)媒体の型:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC互換機
(C)オペレーティングシステム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウェア:PatentIn リリース#1.0,バージョン#1.25
(vi)本出願のデータ:
(A)出願番号:
(B)出願日:1996年06月07日
(C)分類:
(viii)代理人の情報:
(A)代理人名:ウェザレル,ジョン アール
(B)登録番号:31,678
(C)参照/事件番号:07397/002WO1
(ix)テレコミュニケーションの情報:
(A)電話番号:(619)678−5070
(B)テレファックス:(619)678−5099
(2)配列番号:1:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:1747塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA
(ix)特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:432..1747
(xi)配列:
Figure 0004027970
Figure 0004027970
Figure 0004027970
(2)配列番号:2
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:438アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:
Figure 0004027970
Figure 0004027970
(2)配列番号:3:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:27塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA
(xi)配列:
Figure 0004027970
(2)配列番号:4:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:15塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA
(xi)配列:
Figure 0004027970
本発明の前記記載は例示および説明を目的としたものである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、いろいろな改変が可能であることが理解されよう。したがって、次の請求の範囲はこのような改変をすべて包含するものと解釈すべきである。

Claims (16)

  1. a)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠損による乳酸生産の欠陥、およびb)組換えアルコールデヒドロゲナーゼの生産により特徴づけられる組換えストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)株。
  2. 組換えアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子がチモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項1に記載の菌株。
  3. チモモナス・モビリスのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子がアルコールデヒドロゲナーゼIIをコードする、請求項2に記載の菌株。
  4. 組換えアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子がストレプトコッカス・ラツス(Streptococcus rattus)のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項1に記載の菌株。
  5. バクテリオシンの生産によりさらに特徴づけられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の菌株。
  6. バクテリオシンが1000ダルトン未満の分子量を有し、バクテリオシン感受性のストレプトコッカス・ミュータンス株に対する抗菌活性を有する、請求項5に記載の菌株。
  7. ストレプトコッカス・ミュータンスJH1000(ATCC受託番号55677)またはその変異体に由来する、請求項1に記載の菌株。
  8. 1)乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠損による乳酸生産の欠陥、2)組換えアルコールデヒドロゲナーゼの生産、および3)バクテリオシン感受性のストレプトコッカス・ミュータンス株に対する抗菌活性を有するバクテリオシンの生産により特徴づけられる組換えストレプトコッカス・ミュータンス株。
  9. ストレプトコッカス・ミュータンスJH1000(ATCC受託番号55677)またはその変異体に由来する、請求項に記載の菌株。
  10. ストレプトコッカス・ミュータンスJH1000(ATCC受託番号55677)と比べて増加したレベルでバクテリオシンを生産するストレプトコッカス・ミュータンスJH1000変異体に由来する、請求項に記載の菌株。
  11. ストレプトコッカス・ミュータンスJH1000変異体が、ストレプトコッカス・ミュータンスJH1140(ATCC受託番号55676)またはその変異体である、請求項10に記載の菌株。
  12. 乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠損による乳酸生産の欠陥および組換えアルコールデヒドロゲナーゼの生産により特徴づけられる組換えストレプトコッカス・ミュータンス株の作製方法であって
    ストレプトコッカス・ミュータンス株をアルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子で形質転換し、そして
    乳酸合成経路に乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠損である突然変異を導入する、
    ことを含んでなる方法。
  13. アルコールデヒドロゲナーゼがチモモナス・モビリスのアルコールデヒドロゲナーゼである、請求項12に記載の方法。
  14. ストレプトコッカス・ミュータンス株がバクテリオシン感受性ストレプトコッカス・ミュータンス株に対して抗菌活性を有するバクテリオシンを生産する、請求項12又は13に記載の方法。
  15. ストレプトコッカス・ミュータンス株がJH1000(ATCC受託番号55677)またはその変異体である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ストレプトコッカス・ミュータンスJH1000変異体がストレプトコッカス・ミュータンスJH1140(ATCC受託番号55676)である、請求項15に記載の方法。
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