JP4027645B2 - 音声信号処理装置、および、音声信号処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のチャンネルに出力される音声信号を処理する音声信号処理装置、および、音声信号処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部のノイズが大きい場合等、音楽再生中に小さな音が聞き取りにくい場合がある。小さな音が聞き取りにくいと音楽の臨場感や繊細さを損ねてしまうことがあり、好ましいことではない。従来は、このような場合の対策として、エキスパンダーやコンプレッサーを利用して小さな音を伸張する手法が用いられていた。
この従来の手法について、音声信号処理装置100を例示して説明する。
【0003】
図8に示す音声信号処理装置100は、Lチャンネル入力101aおよびRチャンネル入力101bから入力される音を、それぞれゲイン調整部104a,104bによって適宜伸張し、Lチャンネル出力105aおよびRチャンネル出力105bから出力する。ゲイン調整部104a,104bでは、コンプレッション部103a,103bにより決定される増幅率に従って音が伸張される。
【0004】
レベル検出部102aは、Lチャンネル入力101aから入力される音のレベルを検出して検出値をコンプレッション部103aへ出力する。また、レベル検出部102bは、Rチャンネル入力101bから入力される音のレベルを検出して検出値をコンプレッション部103bへ出力する。そして、コンプレッション部103a,103bは、予め定められたコンプレッションカーブに基づいて、ゲイン調整部104a,104bにおける増幅率を決定する。
【0005】
図9および図10には、コンプレッションカーブの一例を図示する。
これら図9および図10に例示するコンプレッションカーブに従えば、入力レベルが0dB(デシベル)から−5dbの範囲では、入力と出力の比は一対一となり、入力レベルが−10dBより小さい状態では信号の伸張が行われる。
例えば、入力レベルが0.03の場合(20Log(0.03)=-30[dB]から-30dB)、出力レベルは0.16(20Log(0.16)=-16[dB]から-16dB)であり、ゲイン調整部104a,104bにおける増幅率は約5倍となる。
【0006】
図8〜図10の例に示すように、従来は、音楽再生中に入力レベルが-10dB 未満の小さな音に対してのみ伸張を行うことで、小さな音が聞き取りにくい事態を改善していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の手法では、入力レベルに応じて音の増幅率を大きく変化させるため、音にひずみを生じやすいという問題があった。
例えば、図10に示すコンプレッションカーブでは、-10dB 付近にカーブの変化点が存在するが、この変化点では、増幅率の変化による波形の歪みが生じてしまう。このような歪みは増幅率を大きくするほど顕著になり、聴覚上の違和感を生じるという問題があった。また、小さな音だけを伸張させることでダイナミックレンジが変化し、より顕著な違和感を生じてしまうため、小さな音を伸張する手法には限度があった。
【0008】
また、例えば車載オーディオ機器では、音楽再生中に外来の騒音が非常に大きくなることがあり、上記従来の手法を用いて小さな音を可能な限り伸張しても、外来の騒音を超えるレベルに達しないことがあった。このような場合、再生ボリュームそのものを大きくする他には対策が無く、再生中の音楽自体がうるさくなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、音楽再生中に、音声の歪みや違和感を生じることなく、小さな音を聞き取り易くすることが可能な音声信号処理装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、音声信号が入力される複数のチャンネルを有する入力部と、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号をそれぞれ出力する出力部と、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルをそれぞれ検出するレベル検出手段と、前記レベル検出手段により検出された入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させるゲイン調整部と、前記ゲイン調整部により増幅された音声信号を、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号に加算して前記出力部から出力させる加算手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明は、音声信号が入力される複数のチャンネルを有する入力部と、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルをそれぞれ検出するレベル検出手段と、前記レベル検出手段により検出された入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させることによって各チャンネルの加算用音声信号を生成する信号処理手段と、前記信号処理手段により生成された各チャンネルの加算用音声信号を、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号に加算する加算部と、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号、もしくは、前記加算部により前記加算用音声信号が加算された音声信号をチャンネル毎に出力する出力部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明は、複数のチャンネルから入力される音声信号の入力レベルをそれぞれ検出し、前記複数のチャンネルのうち各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させ、前記増幅された音声信号を、各チャンネルに入力された音声信号に加算して出力することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態における音声出力装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、音声出力装置1は、音源2から出力されるLチャンネルおよびRチャンネルの音声信号について、音声信号処理装置10によって信号レベルを処理した上、出力回路3によって出力する装置である。
音源2は、例えばCD(Compact Disc)ドライブやMD(Mini Disc )ドライブ、FM/AMチューナー等の音源装置や外部の音源装置に接続されるインターフェースを内蔵し、これら音源装置からの音声信号を音声信号処理装置10へ出力する。また、出力回路3は、音声信号処理装置10から入力されるLチャンネルおよびRチャンネルの音声信号を再生出力するためのアンプやスピーカ等を備えている。
【0015】
図2は、図1に示す音声信号処理装置10の内部構成を示す図である。
図2に示すように、音声信号処理装置10は、Lチャンネル入力11a、Rチャンネル入力11b、レベル検出部12a,12b、ゲイン調整部13a,13b、加算部14、アンプ15、加算部16a,16b、Lチャンネル出力17a、およびRチャンネル出力17bを備えて構成され、Lチャンネル入力11aおよびRチャンネル入力11bから入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力17aおよびRチャンネル出力17bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0016】
なお、Lチャンネル入力11aおよびRチャンネル入力11bは請求項に記載の入力部に対応し、レベル検出部12a,12bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、加算部14、アンプ15および加算部16a,16bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力17aおよびRチャンネル出力17bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部13a,13bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0017】
レベル検出部12aは、Lチャンネル入力11aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部13aへ出力する。また、レベル検出部12bは、Rチャンネル入力11bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部13bへ出力する。
【0018】
ゲイン調整部13aは、Lチャンネル入力11aから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて増幅または減衰させ、加算部14へ出力する。
ここで、ゲイン調整部13aにおける乗算値は、レベル検出部12aにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部13aは、レベル検出部12aで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部12aで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0019】
従って、レベル検出部12aで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部13aに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部14に出力される。一方、レベル検出部12aで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部13aに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされて減衰されるので、加算部14に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0020】
ゲイン調整部13bは、Rチャンネル入力11bから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部14へ出力する。
ここで、ゲイン調整部13bにおける乗算値は、レベル検出部12bにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部13bは、レベル検出部12bで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部12bで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0021】
従って、レベル検出部12bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部13bに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部14に出力される。一方、レベル検出部12bで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部13bに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされて減衰されるため、加算部14に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0022】
このように、Lチャンネル入力11aおよびRチャンネル入力11bに入力された音声信号は、入力レベルが小さい場合にのみ加算部14に入力される。
【0023】
加算部14は、ゲイン調整部13aおよびゲイン調整部13bから入力される音声信号を加算してアンプ15へ出力する。
また、アンプ15は、加算部14から入力される音声信号を所定の増幅率で増幅して、加算部16aおよび加算部16bへ出力する。
【0024】
加算部16aは、Lチャンネル入力11aから入力される音声信号に、アンプ15から入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力17aへ出力する。また、加算部16bは、Rチャンネル入力11bから入力される音声信号に、アンプ15から入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力17bへ出力する。
【0025】
以上のように構成される音声信号処理装置10の動作について説明する。
Lチャンネル入力11aに音声信号が入力されると、レベル検出部12aによって入力レベルが検出され、検出値がゲイン調整部13aへ出力される。
ゲイン調整部13aにおいては、レベル検出部12aで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、Lチャンネル入力11aに入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部14へ出力される。
【0026】
ここで、レベル検出部12aで検出された入力レベルが大きい場合、Lチャンネル入力11aから入力された音声信号に対してはゲイン調整部13aによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部12aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部13aによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0027】
また、Rチャンネル入力11bに音声信号が入力されると、レベル検出部12bによって入力レベルが検出され、検出値がゲイン調整部13bへ出力される。
ゲイン調整部13bにおいては、レベル検出部12bで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、Rチャンネル入力11bに入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部14へ出力される。
【0028】
ここで、レベル検出部12bで検出された入力レベルが大きい場合、Rチャンネル入力11bから入力された音声信号に対しては、ゲイン調整部13bによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部12bで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部13bにより音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0029】
そして、ゲイン調整部13aおよびゲイン調整部13bによって増幅または減衰された音声信号は加算部14に入力されて加算部14により加算され、アンプ15を介して加算部16aおよび加算部16bの双方へ出力される。
【0030】
ここで、加算部16aにアンプ15から入力される音声信号はLチャンネル入力11aの音声信号に加算されてLチャンネル出力17aへ出力される。また、加算部16bにアンプ15から入力される音声信号はRチャンネル入力11bの音声信号に加算されて、Rチャンネル出力17bへ出力される。
【0031】
すなわち、Lチャンネル入力11aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、この音声信号はゲイン調整部13aによって増幅された上、加算部16aおよび加算部16bの両方へ出力される。また、Rチャンネル入力11bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合も同様に、ゲイン調整部13bによって増幅された上、加算部16aおよび加算部16bの両方に出力される。
【0032】
従って、Lチャンネル入力11aおよびRチャンネル入力11bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい音声信号はLチャンネル出力17aとRチャンネル出力17bの両方から出力されることになる。
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に小さな音が出力された場合、この小さな音は、音声信号処理装置10の処理により、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力される。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
これにより、本発明を適用した音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0033】
また、音声信号処理装置10は、小さな音を著しく伸張する等の処理を行わず、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくする。このため、ダイナミックレンジの変化を生じないので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明を適用した第2の実施の形態における音声信号処理装置20の内部構成を示す図である。この図3に示す音声信号処理装置20は、図1に示す音声出力装置1において音声信号処理装置10に代えて用いられるものである。
なお、本第2の実施の形態において、図1に示す音源2および出力回路3は同一の構成とすることが可能なため、図示および説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、音声信号処理装置20は、Lチャンネル入力21a、Rチャンネル入力21b、レベル検出部22a,22b、コンプレッション部23a,23b、ゲイン調整部24a,24b、加算部25、アンプ26、加算部27a,27b、Lチャンネル出力28aおよびRチャンネル出力28bを備えて構成され、音源2(図1)からLチャンネル入力21aおよびRチャンネル入力21bへ入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力28aおよびRチャンネル出力28bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0036】
なお、Lチャンネル入力21aおよびRチャンネル入力21bは請求項に記載の入力部に対応し、レベル検出部22a,22bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、加算部25、アンプ26および加算部27a,27bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力28aおよびRチャンネル出力28bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部24a,24bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0037】
レベル検出部22aは、Lチャンネル入力21aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をコンプレッション部23aへ出力する。また、レベル検出部22bは、Rチャンネル入力21bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をコンプレッション部23bへ出力する。
【0038】
コンプレッション部23aは、レベル検出部22aから入力された検出値に基づき、内蔵するコンプレッションカーブに従って増幅率を決定し、ゲイン調整部24aへ出力する。ここで、コンプレッション部23aが内蔵するコンプレッションカーブとは、図9および図10に例示するように、入力レベルと出力レベルとの相関を示す情報である。コンプレッション部23aは、この相関に従った増幅率をゲイン調整部24aへ出力する。このため、レベル検出部22aにより検出された入力レベルが小さい場合には、音声信号の出力レベルが大きくなるように大きな増幅率をゲイン調整部24aへ出力し、音声信号の入力レベルが大きい場合には、小さな増幅率をゲイン調整部24aへ出力する。
【0039】
ゲイン調整部24aは、コンプレッション部23aから入力された増幅率に基づいて、Lチャンネル入力21aから入力された音声信号を減衰させて加算部25へ出力する。具体的には、例えばゲイン調整部24aは、コンプレッション部23aから増幅率が入力された場合に、入力された増幅率から1を減算して得られる増幅量を求め、この増幅量を、Lチャンネル入力21aから入力された音声信号にかけ合わせて、加算部25へ出力する。なお、上記増幅量が0の場合、ゲイン調整部24aは音声信号が遮断され、増幅量が0より大きい場合、ゲイン調整部24aは音声信号の増幅分を通過させる。
【0040】
従って、レベル検出部22aで検出された入力レベルが小さい場合、コンプレッション部23aから出力される増幅率が大きいので、Lチャンネル入力21aから入力される音声信号はゲイン調整部24aで大きく増幅されて、加算部25に出力される。一方、レベル検出部22aで検出された入力レベルが大きい場合は、コンプレッション部23aから出力される増幅率が小さいので、Lチャンネル入力21aから入力される音声信号には小さな乗算値がかけ合わされ、音声信号が減衰される。このため、音声信号の入力レベルが大きいと、ゲイン調整部24aから加算部25に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0041】
コンプレッション部23bは、コンプレッション部23aと同様に、レベル検出部22bから入力された検出値に基づいて内蔵するコンプレッションカーブに従って増幅率を決定し、ゲイン調整部24bへ出力する。従って、コンプレッション部23bは、レベル検出部22bにより検出された音声信号の入力レベルが小さい場合は大きな増幅率をゲイン調整部24bへ出力し、音声信号の入力レベルが大きい場合には小さな増幅率をゲイン調整部24bへ出力する。
【0042】
ゲイン調整部24bは、コンプレッション部23bから入力された増幅率に基づいて、Rチャンネル入力21bから入力された音声信号を減衰して加算部25へ出力する。具体的には、例えばゲイン調整部24bは、コンプレッション部23aから増幅率が入力された場合に、入力された増幅率から1を減算して得られる増幅量を求め、この増幅量を、Rチャンネル入力21bから入力された音声信号にかけ合わせて、加算部25へ出力する。なお、上記増幅量が0の場合、ゲイン調整部24bは音声信号が遮断され、増幅量が0より大きい場合、ゲイン調整部24bは音声信号の増幅分を通過させる。
【0043】
従って、レベル検出部22bで検出された入力レベルが小さい場合には、コンプレッション部23bから出力される増幅率が大きいので、Lチャンネル入力21bに入力される音声信号はゲイン調整部24bで大きく増幅されて加算部25に出力される。一方、レベル検出部22bで検出された入力レベルが大きい場合には、コンプレッション部23bから出力される増幅率が小さいので、Lチャンネル入力21bに入力される音声信号に対してはゲイン調整部24bで小さな乗算値がかけ合わされる。このため、音声信号の入力レベルが大きいと、ゲイン調整部24bから加算部25に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0044】
このように、加算部25には、Lチャンネル入力21aおよびRチャンネル入力21bに入力された音声信号の入力レベルが小さい場合に、入力され、音声信号の入力レベルが大きい場合は入力されない。
【0045】
加算部25は、ゲイン調整部24aおよびゲイン調整部24bから入力される音声信号を加算してアンプ26へ出力する。
アンプ26は、加算部25から入力される音声信号を所定の増幅率で増幅して、加算部27aおよび加算部27bへ出力する。
【0046】
加算部27aは、Lチャンネル入力21aから入力される音声信号に、アンプ26から入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力28aへ出力する。
また、加算部27bは、Rチャンネル入力21bから入力される音声信号に、アンプ26から入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力28bへ出力する。
【0047】
以上のように構成される音声信号処理装置20の動作について説明する。
Lチャンネル入力21aに音声信号が入力されると、レベル検出部22aによって入力レベルが検出され、検出値がコンプレッション部23aへ出力される。
続いて、レベル検出部22aで検出された入力レベルに基づいて、コンプレッション部23aによって増幅率が決定され、ゲイン調整部24aへ出力される。
Lチャンネル入力21aに入力された音声信号には、ゲイン調整部24aによって、コンプレッション部23aから入力される増幅量に従った乗算値がかけ合わされ、加算部25へ出力される。
【0048】
ここで、レベル検出部22aで検出された入力レベルが大きい場合、Lチャンネル入力21aから入力された音声信号には、ゲイン調整部24aで小さな乗算値がかけ合わされて信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部22aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部24aで音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0049】
また、Rチャンネル入力21bに音声信号が入力されると、レベル検出部22bによって入力レベルが検出され、検出値がコンプレッション部23bへ出力される。続いて、レベル検出部22bで検出された入力レベルに基づいて、コンプレッション部23bによって増幅率が決定され、ゲイン調整部24bへ出力される。
そして、Rチャンネル入力21bに入力された音声信号に対し、ゲイン調整部24bで、コンプレッション部23bから入力される増幅量に従った乗算値がかけ合わされ、加算部25へ出力される。
【0050】
ここで、レベル検出部22bで検出された入力レベルが大きい場合、Rチャンネル入力21bから入力された音声信号は、ゲイン調整部24bで小さな乗算値がかけ合わされて信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部22bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部24bで音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0051】
そして、ゲイン調整部24aおよびゲイン調整部24bによって増幅または減衰された音声信号は、加算部25に入力されて加算され、アンプ26を介して、加算部27aおよび加算部27bの双方へ出力される。
【0052】
アンプ26から出力された音声信号は、加算部27aによってLチャンネル入力21aの音声信号に加算され、Lチャンネル出力28aへ出力されるとともに、加算部27bによってRチャンネル入力21bの音声信号に加算され、Rチャンネル出力28bへ出力される。
【0053】
すなわち、Lチャンネル入力21aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、該音声信号はゲイン調整部24aによって増幅された上、加算部27aおよび加算部27bの双方に出力される。また、Rチャンネル入力21bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合も同様に、ゲイン調整部24bによって増幅された上、加算部27aおよび加算部27bの双方に出力される。
【0054】
従って、Lチャンネル入力21aおよびRチャンネル入力21bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい音声信号は、Lチャンネル出力28aとRチャンネル出力28bの両方から出力されることになる。
【0055】
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に小さな音が出力された場合、この小さな音は音声信号処理装置20の処理により、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力される。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
これにより、本発明を適用した音声信号処理装置20を備える音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0056】
また、音声信号処理装置20は、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくするので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
【0057】
さらに、音声信号処理装置20は、Lチャンネル入力21aまたはRチャンネル入力21bから入力された音声信号の入力レベルが小さい場合に、加算部27a,27bによって音声信号を加算するものであるが、音声信号の入力レベルと、加算部27a,27bによる加算の有無は、コンプレッション部23a,23bが内蔵するコンプレッションカーブによって決定される。このため、コンプレッション部23a,23bのコンプレッションカーブを適宜調整することで、音声信号処理装置20が利用される環境に最適なように、音場再生を行うことができる。
【0058】
[第3の実施の形態]
図4は、本発明を適用した第3の実施の形態における音声信号処理装置30の内部構成を示す図である。この図4に示す音声信号処理装置30は、図1に示す音声出力装置1において音声信号処理装置10に代えて用いられるものである。なお、本第3の実施の形態において、図1に示す音源2および出力回路3は同一の構成とすることが可能なため、図示および説明を省略する。
【0059】
図4に示すように、音声信号処理装置30は、Lチャンネル入力31a、Rチャンネル入力31b、レベル検出部32a,32b、ゲイン調整部33a,33b、加算部34a,34b、Lチャンネル出力35aおよびRチャンネル出力35bを備えて構成され、Lチャンネル入力31aおよびRチャンネル入力31bから入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力35aおよびRチャンネル出力35bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0060】
なお、Lチャンネル入力31aおよびRチャンネル入力31bは請求項に記載の入力部に対応し、レベル検出部32a,32bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、加算部34a,34bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力35aおよびRチャンネル出力35bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部33a,33bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0061】
レベル検出部32aは、Lチャンネル入力31aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部33aへ出力する。また、レベル検出部32bは、Rチャンネル入力31bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部33bへ出力する。
【0062】
ゲイン調整部33aは、Lチャンネル入力31aから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部34bへ出力する。
ここで、ゲイン調整部33aにおける乗算値は、レベル検出部32aにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部33aは、レベル検出部32aで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部32aで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0063】
従って、レベル検出部32aで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部33aに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部34bに出力される。一方、レベル検出部32aで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部33aに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部34bに対して出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0064】
ゲイン調整部33bは、Rチャンネル入力31bから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部34aへ出力する。このゲイン調整部33bにおける乗算値は、レベル検出部32bにより検出された検出値に基づいて決定され、具体的には、レベル検出部32bで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部32bで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0065】
従って、レベル検出部32bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部33bに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部34aに出力される。一方、レベル検出部32bで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部33bに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部34aに出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0066】
加算部34aは、Lチャンネル入力31aから入力される音声信号に、ゲイン調整部33bから入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力35aへ出力する。また、加算部34bは、Rチャンネル入力31bから入力される音声信号に、ゲイン調整部33aから入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力35bへ出力する。
【0067】
以上のように構成される音声信号処理装置30の動作について説明する。
Lチャンネル入力31aに音声信号が入力されると、レベル検出部32aによって入力レベルが検出され、検出値がゲイン調整部33aへ出力される。
そして、ゲイン調整部33aによって、レベル検出部32aで検出された入力レベルに基づく乗算値が決定され、Lチャンネル入力31aに入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部34bへ出力される。
【0068】
ここで、レベル検出部32aで検出された入力レベルが大きい場合、ゲイン調整部33aは音声信号に小さな乗算値をかけ合わせ、信号レベルを減衰させる。
一方、レベル検出部32aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部33aは音声信号に大きな乗算値をかけ合わせて、信号レベルを増幅させる。
【0069】
また、Rチャンネル入力31bに音声信号が入力されると、レベル検出部32bによって入力レベルが検出され、検出値がゲイン調整部33bへ出力される。
そして、ゲイン調整部33bによってレベル検出部32bで検出された入力レベルに基づく乗算値が決定され、Rチャンネル入力31bに入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部34aへ出力される。
【0070】
ここで、レベル検出部32bで検出された入力レベルが大きい場合、ゲイン調整部33bは音声信号に小さな乗算値をかけ合わせて信号レベルを減衰させる。
一方、レベル検出部32bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部33bは音声信号に大きな乗算値をかけ合わせ、信号レベルを増幅させる。
【0071】
そして、ゲイン調整部33aから出力された音声信号は加算部34bへ出力され、加算部34bによってRチャンネル入力31bに入力された音声信号に加算されて、Rチャンネル出力35bへ出力される。
また、ゲイン調整部33bから出力された音声信号は加算部34aへ出力され、加算部34aによってLチャンネル入力31aに入力された音声信号に加算されて、Lチャンネル出力35aへ出力される。
【0072】
すなわち、Lチャンネル入力31aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、この音声信号はゲイン調整部33aによって増幅された上、Rチャンネル入力31bの音声信号に加算される。また、Rチャンネル入力31bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合は、この音声信号はゲイン調整部33bによって増幅された上、Lチャンネル入力31aの音声信号に加算される。
【0073】
従って、Lチャンネル入力31aおよびRチャンネル入力31bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい音声信号は、もう一方のチャンネルからも出力されることになる。
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に小さな音が出力された場合、この小さな音は、そのまま各チャンネルから出力されると同時に他のチャンネルからも出力されるので、結果的に、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力されることになる。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
【0074】
これにより、本発明を適用した音声信号処理装置30を備える音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0075】
また、音声信号処理装置30は、音を著しく伸張する等の処理を行わず、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくする。つまり、ダイナミックレンジを変化させないので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
特に、音声信号処理装置30は、一方のチャンネルから入力された音声信号を、入力レベルが小さい場合にのみ、もう一方のチャンネルからも出力させる。このため、小さな音が入力されたチャンネルからは伸張等が施されていない音声が出力されるので、違和感を生じることなく、より好適な音場再生を行うことができる。
【0076】
[第4の実施の形態]
図5は、本発明を適用した第4の実施の形態における音声信号処理装置40の内部構成を示す図である。この図5に示す音声信号処理装置40は、図1に示す音声出力装置1において音声信号処理装置10に代えて用いられるものである。
なお、本第4の実施の形態において、図1に示す音源2および出力回路3は同一の構成とすることが可能なため、図示および説明を省略する。
【0077】
図5に示すように、音声信号処理装置40は、Lチャンネル入力41a、Rチャンネル入力41b、レベル検出部42a,42b、コンプレッション部43a,43b、ゲイン調整部44a,44b、加算部45a,45b、Lチャンネル出力46aおよびRチャンネル出力46bを備えて構成され、Lチャンネル入力41aおよびRチャンネル入力41bから入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力46aおよびRチャンネル出力46bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0078】
なお、Lチャンネル入力41aおよびRチャンネル入力41bは請求項に記載の入力部に対応し、レベル検出部42a,42bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、加算部45a,45bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力46aおよびRチャンネル出力46bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部44a,44bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0079】
レベル検出部42aは、Lチャンネル入力41aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をコンプレッション部43aへ出力する。また、レベル検出部42bは、Rチャンネル入力41bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をコンプレッション部43bへ出力する。
【0080】
コンプレッション部43aは、レベル検出部42aから入力された検出値に基づき、内蔵するコンプレッションカーブに従って増幅率を決定し、ゲイン調整部44aへ出力する。ここで、コンプレッション部43aが内蔵するコンプレッションカーブとは、図9および図10に例示するように、入力レベルと出力レベルとの相関を示す情報であり、コンプレッション部43aは、この相関に従った増幅率をゲイン調整部44aへ出力する。このため、レベル検出部42aにより検出された音声信号の入力レベルが小さい場合には、出力レベルが大きくなるように大きな増幅率をゲイン調整部44aへ出力し、音声信号の入力レベルが大きい場合には、小さな増幅率をゲイン調整部44aへ出力する。
【0081】
ゲイン調整部44aは、コンプレッション部43aから入力された増幅率に基づいて、Lチャンネル入力41aから入力された音声信号を増幅して加算部45へ出力する。具体的には、例えばゲイン調整部44aは、コンプレッション部43aから増幅率が入力された場合に、入力された増幅率から1を減算して得られる増幅量を求め、この増幅量を、Lチャンネル入力41aから入力された音声信号にかけ合わせて、加算部45bへ出力する。
【0082】
従って、レベル検出部42aで検出された入力レベルが小さい場合、コンプレッション部43aから出力される増幅率が大きいので、Lチャンネル入力41aに入力される音声信号はゲイン調整部44aによって大きく増幅され、加算部45bに出力される。一方、レベル検出部42aで検出された入力レベルが大きい場合は、コンプレッション部43aから出力される増幅率が小さいので、Lチャンネル入力41aに入力される音声信号に対しては、ゲイン調整部44aによって小さな乗算値がかけ合わされる。ここで、乗算値が0の場合、音声信号は遮断される。このため、音声信号の入力レベルが大きい場合、加算部45bへ出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0083】
コンプレッション部43bは、レベル検出部42bから入力された検出値に基づき、コンプレッション部43aと同様に、内蔵するコンプレッションカーブに従って増幅率を決定し、ゲイン調整部44bへ出力する。すなわち、レベル検出部42bにより検出された音声信号の入力レベルが小さい場合には大きい増幅率をゲイン調整部44bへ出力し、音声信号の入力レベルが大きい場合には小さい増幅率をゲイン調整部44bへ出力する。
【0084】
ゲイン調整部44bは、コンプレッション部43bから入力された増幅率に基づいて、Rチャンネル入力41bから入力された音声信号を増幅して加算部45へ出力する。具体的には、例えばゲイン調整部44bは、コンプレッション部43bから増幅率が入力された場合に、入力された増幅率から1を減算して得られる増幅量を求め、この増幅量を、Rチャンネル入力41bから入力された音声信号にかけ合わせて、加算部45aへ出力する。
【0085】
従って、レベル検出部42bで検出された入力レベルが小さい場合、コンプレッション部43bから出力される増幅率が大きいので、Lチャンネル入力41bに入力される音声信号はゲイン調整部44bによって大きく増幅されて加算部45aに出力される。一方、レベル検出部42bで検出された入力レベルが大きい場合には、コンプレッション部43bから出力される増幅率が小さいので、Lチャンネル入力41bに入力される音声信号に対しては、ゲイン調整部44bによって小さな乗算値がかけ合わされる。ここで、乗算値が0の場合、音声信号は遮断される。このため、音声信号の入力レベルが大きい場合、加算部45aへ出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、或いは出力されない。
【0086】
加算部45aは、Lチャンネル入力41aから入力される音声信号に、ゲイン調整部44bから入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力46aへ出力する。また、加算部45bは、Rチャンネル入力41bから入力される音声信号に、ゲイン調整部44aから入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力46bへ出力する。
【0087】
以上のように構成される音声信号処理装置40の動作について説明する。
Lチャンネル入力41aに音声信号が入力されると、レベル検出部42aによって入力レベルが検出され、検出値がコンプレッション部43aへ出力される。
そして、コンプレッション部43aにより、レベル検出部42aで検出された入力レベルに基づいて増幅率が決定され、ゲイン調整部44aへ出力される。
ゲイン調整部44aでは、Lチャンネル入力41aに入力された音声信号に対し、コンプレッション部43aから入力される増幅率に従った乗算値がかけ合わされ、加算部45bへ出力される。
【0088】
ここで、レベル検出部42aで検出された入力レベルが大きい場合、Lチャンネル入力41aから入力された音声信号には、ゲイン調整部44aによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部42aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部44aによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0089】
また、Rチャンネル入力41bに音声信号が入力されると、レベル検出部42bによって入力レベルが検出され、検出値がコンプレッション部43bへ出力される。そして、コンプレッション部43bによって、レベル検出部42bで検出された入力レベルに基づいて増幅率が決定され、ゲイン調整部44bへ出力される。
ゲイン調整部44bでは、Rチャンネル入力41bに入力された音声信号に対し、コンプレッション部43bから入力される増幅率に従った乗算値がかけ合わされて加算部45aへ出力される。
【0090】
ここで、レベル検出部42bで検出された入力レベルが大きい場合、ゲイン調整部44bによって、Rチャンネル入力41bから入力された音声信号に小さな乗算値がかけ合わされて信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部42bで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部44bによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされて信号レベルが増幅される。
【0091】
そして、ゲイン調整部44aから出力された音声信号は加算部45bへ出力され、加算部45bによってRチャンネル入力41bに入力された音声信号に加算されて、Rチャンネル出力46bへ出力される。
また、ゲイン調整部44bから出力された音声信号は加算部45aへ出力され、加算部45aによってLチャンネル入力41aに入力された音声信号に加算されて、Lチャンネル出力46aへ出力される。
【0092】
すなわち、Lチャンネル入力41aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、この音声信号はゲイン調整部44aによって増幅された上、Rチャンネル入力41bの音声信号に加算される。また、Rチャンネル入力41bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合は、ゲイン調整部44bによって音声信号が増幅された上、Lチャンネル入力41aの音声信号に加算される。
【0093】
従って、Lチャンネル入力41aおよびRチャンネル入力41bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい音声信号は、もう一方のチャンネルからも出力されることになる。
【0094】
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に小さな音が出力された場合、この小さな音は、そのまま各チャンネルから出力されると同時に他のチャンネルからも出力されるので、結果的に、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力されることになる。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
【0095】
これにより、本発明を適用した音声信号処理装置40を備える音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0096】
また、音声信号処理装置40は、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくするので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
特に、音声信号処理装置40は、一方のチャンネルから入力された音声信号を、入力レベルが小さい場合にのみ、もう一方のチャンネルからも出力させる構成となっている。このため、入力レベルの小さい音が入力されたチャンネルからは、伸張等が施されていない音声が出力されるので、違和感を生じることなく、より好適な音場再生を行うことができる。
【0097】
さらに、音声信号処理装置40は、Lチャンネル入力41aまたはRチャンネル入力41bから入力された音声信号の入力レベルが小さい場合に、加算部45a,45bによって音声信号を加算するものであるが、音声信号の入力レベルと加算部45a,45bによる加算の有無は、コンプレッション部43a,43bが内蔵するコンプレッションカーブによって決定される。このため、コンプレッション部43a,43bのコンプレッションカーブを適宜調整することで、音声信号処理装置40が利用される環境に最適なように、音場再生を行うことができる。
【0098】
[第5の実施の形態]
図6は、本発明を適用した第5の実施の形態における音声信号処理装置50の内部構成を示す図である。この図6に示す音声信号処理装置50は、図1に示す音声出力装置1において音声信号処理装置10に代えて用いられるものである。
なお、本第5の実施の形態において、図1に示す音源2および出力回路3は同一の構成とすることが可能なため、図示および説明を省略する。
【0099】
図6に示すように、音声信号処理装置50は、Lチャンネル入力51a、Rチャンネル入力51b、フィルタ52a,52b、レベル検出部53a,53b、ゲイン調整部54a,54b、フィルタ55a,55b、加算部56、アンプ57、加算部58a,58b、Lチャンネル出力59aおよびRチャンネル出力59bを備えて構成され、Lチャンネル入力51aおよびRチャンネル入力51bから入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力59aおよびRチャンネル出力59bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0100】
なお、Lチャンネル入力51aおよびRチャンネル入力51bは請求項に記載の入力部に対応し、フィルタ52a,52bおよびレベル検出部53a,53bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、フィルタ55a,55b、加算部56、アンプ57および加算部58a,58bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力59aおよびRチャンネル出力59bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部54a,54bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0101】
フィルタ52a,52bは、入力される音声信号のうち予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみを出力するフィルタであって、フィルタ52aは、Lチャンネル入力51aから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部53aへ出力する。同様に、フィルタ52bは、Rチャンネル入力51bから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部53bへ出力する。
【0102】
また、フィルタ55a,55bも同様に、入力される音声信号のうち予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみを出力するフィルタであって、フィルタ55aは、Lチャンネル入力51aから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをゲイン調整部54aへ出力する。フィルタ55bは、Rチャンネル入力51bから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをゲイン調整部54bへ出力する。
【0103】
レベル検出部53aは、フィルタ52aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部54aへ出力する。また、レベル検出部53bは、フィルタ52bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部54bへ出力する。
【0104】
ゲイン調整部54aは、フィルタ55aから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部56へ出力する。
ここで、ゲイン調整部54aにおける乗算値は、レベル検出部53aにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部54aは、レベル検出部53aで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部53aで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0105】
従って、レベル検出部53aで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部54aに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部56に出力される。
一方、レベル検出部53aで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部54aに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部56に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0106】
ゲイン調整部54bは、フィルタ55bから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部56へ出力する。
ここで、ゲイン調整部54bにおける乗算値は、レベル検出部53bにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部54bは、レベル検出部53bで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部53bで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0107】
従って、レベル検出部53bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部54bに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部56に出力される。
一方、レベル検出部53bで検出された入力レベルが大きい場合は、ゲイン調整部54bに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部56に出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0108】
加算部56は、ゲイン調整部54aおよびゲイン調整部54bから入力される音声信号を加算してアンプ57へ出力する。
アンプ57は、加算部56から入力される音声信号を所定の増幅率で増幅して、加算部58aおよび加算部58bへ出力する。
【0109】
加算部58aは、Lチャンネル入力51aから入力される音声信号に、アンプ57から入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力59aへ出力する。
また、加算部58bは、Rチャンネル入力51bから入力される音声信号に、アンプ57から入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力59bへ出力する。
【0110】
以上のように構成される音声信号処理装置50の動作について説明する。
Lチャンネル入力51aに音声信号が入力されると、フィルタ52aおよびフィルタ55aによって、所定の周波数帯域の音声信号のみがレベル検出部53aおよびゲイン調整部54aへそれぞれ入力される。そして、入力された音声信号の入力レベルがレベル検出部53aにより検出され、検出値がゲイン調整部54aへ出力される。
そして、ゲイン調整部54aにより、レベル検出部53aで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、フィルタ55aから入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部56へ出力される。
【0111】
ここで、レベル検出部53aで検出された入力レベルが大きい場合、フィルタ55aから出力された音声信号にはゲイン調整部54aによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部53aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部54aによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0112】
また、Rチャンネル入力51bに音声信号が入力されると、フィルタ52bおよびフィルタ55bによって、所定の周波数帯域の音声信号のみがレベル検出部53bおよびゲイン調整部54bへそれぞれ入力される。そして、入力された音声信号の入力レベルがレベル検出部53bにより検出され、検出値がゲイン調整部54bへ出力される。
そして、ゲイン調整部54bによってレベル検出部53bで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、フィルタ55bから入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部56へ出力される。
【0113】
ここで、レベル検出部53bで検出された入力レベルが大きい場合、フィルタ55bから出力された音声信号には、ゲイン調整部54bによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部53bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部54bによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0114】
ゲイン調整部54aおよびゲイン調整部54bによって増幅または減衰された音声信号は加算部56に入力され、加算された上で、アンプ57を介して加算部58aおよび加算部58bの双方へ出力される。
【0115】
アンプ57から出力された音声信号はアンプ57によってLチャンネル入力51aの音声信号に加算され、Lチャンネル出力59aへ出力されるとともに、加算部58bによってRチャンネル入力51bの音声信号に加算され、Rチャンネル出力59bへ出力される。
【0116】
すなわち、Lチャンネル入力51aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、この音声信号はゲイン調整部54aによって増幅された上、加算部58aおよび加算部58bの双方に出力される。また、Rチャンネル入力51bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合も同様に、ゲイン調整部54bによって増幅された上、加算部58aおよび加算部58bの双方に出力される。
【0117】
従って、Lチャンネル入力51aおよびRチャンネル入力51bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい音声信号は、Lチャンネル出力59aとRチャンネル出力59bの両方から出力されることになる。
【0118】
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に小さな音が出力された場合、この小さな音は、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力される。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
これにより、本発明を適用した音声信号処理装置50を備える音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0119】
また、音声信号処理装置50は、音を著しく伸張する等の処理を行わず、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくする。つまり、ダイナミックレンジを変化させないので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
【0120】
さらに、音声信号処理装置50は、フィルタ52a,52bおよびフィルタ55a,55bによって、予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部53a,53bおよびゲイン調整部54a,54bへ出力し、処理を行うものである。従って、フィルタ52a,52b,55a,55bの特性を適宜調整することによって、所望の周波数帯域に対してのみ、入力レベルが小さい音を聞き取りやすくする処理を行うことができる。
これにより、音声信号処理装置50が使用される環境や、再生される音楽の種類に最適な処理を行って、より好適な音場再生を行うことができる。
【0121】
[第6の実施の形態]
図7は、本発明を適用した第6の実施の形態における音声信号処理装置60の内部構成を示す図である。この図7に示す音声信号処理装置60は、図1に示す音声出力装置1において音声信号処理装置10に代えて用いられるものである。
なお、本第6の実施の形態において、図1に示す音源2および出力回路3は同一の構成とすることが可能なため、図示および説明を省略する。
【0122】
図7に示すように、音声信号処理装置60は、Lチャンネル入力61a、Rチャンネル入力61b、フィルタ62a,62b、レベル検出部63a,63b、ゲイン調整部64a,64b、フィルタ65a,65b、加算部66a,66b、Lチャンネル出力67aおよびRチャンネル出力67bを備えて構成され、Lチャンネル入力61aおよびRチャンネル入力61bから入力される音声信号の処理を行って、Lチャンネル出力67aおよびRチャンネル出力67bから出力回路3(図1)へ出力する装置である。
【0123】
なお、Lチャンネル入力61aおよびRチャンネル入力61bは請求項に記載の入力部に対応し、フィルタ62a,62bおよびレベル検出部63a,63bは請求項に記載のレベル検出手段に対応し、フィルタ65a,65bおよび加算部66a,66bは請求項1に記載の加算手段に対応し、Lチャンネル出力67aおよびRチャンネル出力67bは請求項に記載の出力部に対応する。また、ゲイン調整部64a,64bは請求項4に記載の信号処理手段に対応する。
【0124】
フィルタ62a,62bは、入力される音声信号のうち予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみを出力するフィルタであって、フィルタ62aは、Lチャンネル入力61aから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部63aへ出力する。同様に、フィルタ62bは、Rチャンネル入力61bから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部63bへ出力する。
【0125】
また、フィルタ65a,65bも同様に、入力される音声信号のうち予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみを出力するフィルタであって、フィルタ65aは、Lチャンネル入力61aから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをゲイン調整部64aへ出力する。フィルタ65bは、Rチャンネル入力61bから入力される音声信号のうち、所定の周波数帯域の音声信号のみをゲイン調整部64bへ出力する。
【0126】
レベル検出部63aは、フィルタ62aから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部64aへ出力する。また、レベル検出部63bは、フィルタ62bから入力される音声信号の入力レベルを検出して検出値をゲイン調整部64bへ出力する。
【0127】
ゲイン調整部64aは、フィルタ65aから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部66bへ出力する。
ここで、ゲイン調整部64aにおける乗算値は、レベル検出部63aにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部64aは、レベル検出部63aで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部63aで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0128】
従って、レベル検出部63aで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部64aに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部66bに出力される。一方、レベル検出部63aで検出された入力レベルが大きい場合には、ゲイン調整部64aに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部66bに対して出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0129】
ゲイン調整部64bは、フィルタ65bから入力される音声信号に所定の乗算値をかけ合わせて加算部66aへ出力する。
ここで、ゲイン調整部64bにおける乗算値は、レベル検出部63bにより検出された検出値に基づいて決定される。具体的には、ゲイン調整部64bは、レベル検出部63bで検出された入力レベルが大きいほど乗算値を小さく、レベル検出部63bで検出された入力レベルが小さいほど乗算値を大きくする。
【0130】
従って、レベル検出部63bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部64bに入力される音声信号は大きく増幅されて加算部66aに出力される。一方、レベル検出部63bで検出された入力レベルが大きい場合には、ゲイン調整部64bに入力される音声信号に小さな乗算値がかけ合わされ、加算部66aに対して出力される音声信号の出力レベルは非常に小さいか、もしくは出力されない。
【0131】
加算部66aは、Lチャンネル入力61aから入力される音声信号に、ゲイン調整部64bから入力される音声信号を加算して、Lチャンネル出力67aへ出力する。また、加算部66bは、Rチャンネル入力61bから入力される音声信号に、ゲイン調整部64aから入力される音声信号を加算して、Rチャンネル出力67bへ出力する。
【0132】
以上のように構成される音声信号処理装置30の動作について説明する。
Lチャンネル入力61aに音声信号が入力されると、フィルタ62aおよびフィルタ65aによって、所定の周波数帯域の音声信号のみがレベル検出部63aおよびゲイン調整部64aへそれぞれ入力される。そして、入力された音声信号の入力レベルがレベル検出部63aにより検出され、検出値がゲイン調整部64aへ出力される。
そして、ゲイン調整部64aによって、レベル検出部63aで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、フィルタ65aから入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部66bへ出力される。
【0133】
ここで、レベル検出部63aで検出された入力レベルが大きい場合、フィルタ65aから入力された音声信号に対して、ゲイン調整部64aによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部63aで検出された入力レベルが小さい場合は、ゲイン調整部64aによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0134】
また、Rチャンネル入力61bに音声信号が入力されると、フィルタ62bおよびフィルタ65bによって、所定の周波数帯域の音声信号のみがレベル検出部63bおよびゲイン調整部64bへそれぞれ入力される。そして、入力された音声信号の入力レベルがレベル検出部63bにより検出され、検出値がゲイン調整部64bへ出力される。
そして、ゲイン調整部64bによって、レベル検出部63bで検出された入力レベルに基づいて乗算値が決定され、フィルタ65bから入力された音声信号に上記の乗算値がかけ合わされて加算部66aへ出力される。
【0135】
ここで、レベル検出部63bで検出された入力レベルが大きい場合、フィルタ65bから入力された音声信号に対してゲイン調整部64bによって小さな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが減衰される。一方、レベル検出部63bで検出された入力レベルが小さい場合、ゲイン調整部64bによって音声信号に大きな乗算値がかけ合わされ、信号レベルが増幅される。
【0136】
そして、ゲイン調整部64aから出力された音声信号は加算部66bへ出力され、Rチャンネル入力61bに入力された音声信号に加算されてRチャンネル出力67bへ出力される。
また、ゲイン調整部64bから出力された音声信号は加算部66aへ出力され、Lチャンネル入力61aに入力された音声信号に加算されてLチャンネル出力67aへ出力される。
【0137】
すなわち、Lチャンネル入力61aに入力レベルが小さい音声信号が入力されると、フィルタ65aを通過した音声信号がゲイン調整部64aによって増幅された上、加算部66bによってRチャンネル入力61bの音声信号に加算される。また、Rチャンネル入力61bに入力レベルの小さい音声信号が入力された場合は、フィルタ65bを通過した音声信号がゲイン調整部64bによって増幅された上、加算部66aによってLチャンネル入力61aの音声信号に加算される。
【0138】
従って、Lチャンネル入力61aおよびRチャンネル入力61bに入力される音声信号のうち、入力レベルの小さい所望の周波数帯域の音声信号は、もう一方のチャンネルからも出力されることになる。
【0139】
このため、音源2からLチャンネルとRチャンネルのいずれか一方に所望の周波数の小さな音が出力された場合、この小さな音は、そのまま各チャンネルから出力されると同時に他のチャンネルからも出力されるので、結果的に、出力回路3のLチャンネルとRチャンネルの両方から出力されることになる。そして、LチャンネルとRチャンネルの両方のスピーカから同相の波形が出力されることによって干渉が起こり、聴覚上大きな音に聞こえる。
【0140】
これにより、本発明を適用した音声信号処理装置60を備える音声出力装置1によれば、小さな音であっても周囲のノイズにかき消されることなく、明瞭に聞き取れるように再生出力することができる。そして、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【0141】
また、音声信号処理装置60は、音を著しく伸張する等の処理を行わず、LチャンネルとRチャンネルの両方から出力させることで小さな音を聞き取りやすくする。つまり、ダイナミックレンジを変化させないので、違和感なく音楽を再生することができ、より好適な音場再生を行うことができる。
特に、音声信号処理装置60は、一方のチャンネルから入力された音声信号を、入力レベルが小さい場合にのみ、もう一方のチャンネルからも出力させる構成となっている。このため、入力レベルの小さい音が入力されたチャンネルからは、伸張等が施されていない音声が出力されるので、違和感を生じることなく、より好適な音場再生を行うことができる。
【0142】
さらに、音声信号処理装置60は、フィルタ62a,62bおよびフィルタ65a,65bによって、予め定められた所定の周波数帯域の音声信号のみをレベル検出部63a,63bおよびゲイン調整部64a,64bへ出力し、処理を行うものである。従って、フィルタ62a,62b,65a,65bの特性を適宜調整することによって、所望の周波数帯域に対してのみ、入力レベルが小さい音を聞き取りやすくする処理を行うことができる。
これにより、音声信号処理装置60が使用される環境や、再生される音楽の種類に最適な処理を行って、より好適な音場再生を行うことができる。
【0143】
なお、以上の実施の形態における記述内容は、本発明を適用した好適な一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1〜第6の実施の形態では、音声出力装置1は、音声信号処理装置10,20,30,40,50,60のいずれかと、音声出力装置1と、出力回路3とによって構成されるものとしたが、各音声信号処理装置は音源2および出力回路3と一体となって構成されるものとしても良いし、その具体的な実装形態は任意である。
【0144】
また、上記実施の形態において、音声出力装置1の各部は、LチャンネルおよびRチャンネルの2チャンネルからの入力信号についての処理を行うものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、より多数のチャンネルにおける音声信号を処理する装置に対して本発明を適用することも、勿論可能である。
【0145】
さらに、上記第5および第6の実施の形態において、フィルタ52a,52b,55a,55b,62a,62b,65a,65bは、予め定められた周波数帯域の音声信号のみを通過させるフィルタとしたが、これらフィルタを可変フィルタとし、通過させる周波数帯域を変化させることが可能な構成とすることも、勿論可能である。
【0146】
また、音声信号処理装置10,20,30,40,50,60の具体的な回路構成も任意であり、その他の細部構成等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0147】
【発明の効果】
本発明によれば、入力レベルの小さな音声信号を複数のチャンネルから出力することで、同相の波形が出力されることによる干渉を起こし、音の大幅な伸張を行うことなく聴覚上は大きな音として聞こえるようにすることができる。これにより、音声の歪みを生じることなく、小さな音であっても明瞭に聞き取れるように再生出力することができ、再生される音楽の臨場感や繊細さを損なうことがないので、好適な音場再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態における音声出力装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す音声信号処理装置10の内部構成を示す図である。
【図3】本発明を適用した第2の実施の形態における音声信号処理装置20の内部構成を示す図である。
【図4】本発明を適用した第3の実施の形態における音声信号処理装置30の内部構成を示す図である。
【図5】本発明を適用した第4の実施の形態における音声信号処理装置40の内部構成を示す図である。
【図6】本発明を適用した第5の実施の形態における音声信号処理装置50の内部構成を示す図である。
【図7】本発明を適用した第6の実施の形態における音声信号処理装置60の内部構成を示す図である。
【図8】従来の音声信号処理装置の一例として音声信号処理装置100の構成を示す図である。
【図9】図8に示す音声信号処理装置100におけるコンプレッションカーブを示す図表である。
【図10】図8に示す音声信号処理装置100におけるコンプレッションカーブを示す図表である。
【符号の説明】
1 音声出力装置
10,20,30,40,50,60 音声信号処理装置
11a,21a,31a,41a,51a,61a Lチャンネル入力
11b,21b,31b,41b,51b,61b Rチャンネル入力
12a,12b,22a,22b,32a,32b,42a,42b,53a,53b,63a,63b レベル検出部
13a,13b,24a,24b,33a,33b,44a,44b,54a,54b,64a,64b ゲイン調整部
14,16a,16b,25,27a,27b,34a,34b,45a,45b,56,58a,58b,66a,66b 加算部
15,26,57 アンプ
23a,23b,43a,43b コンプレッション部
52a,52b,55a,55b,62a,62b,65a,65b フィルタ
Claims (5)
- 音声信号が入力される複数のチャンネルを有する入力部と、
前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号をそれぞれ出力する出力部と、
前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルをそれぞれ検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出された入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させるゲイン調整部と、
前記ゲイン調整部により増幅された音声信号を、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号に加算して前記出力部から出力させる加算手段と、
を備えることを特徴とする音声信号処理装置。 - 前記レベル検出手段は、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号のうち、所定の周波数成分の入力レベルを検出するものであって、
前記加算手段は、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号のうち所定の周波数成分を、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号に加算することを特徴とする請求項1記載の音声信号処理装置。 - 前記加算手段は、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号を、前記入力部の全てのチャンネルに入力された音声信号にそれぞれ加算して出力させることを特徴とする請求項1または2記載の音声信号処理装置。
- 音声信号が入力される複数のチャンネルを有する入力部と、
前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルをそれぞれ検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出された入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させることによって各チャンネルの加算用音声信号を生成する信号処理手段と、
前記信号処理手段により生成された各チャンネルの加算用音声信号を、前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号に加算する加算部と、
前記入力部の各チャンネルに入力された音声信号、もしくは、前記加算部により前記加算用音声信号が加算された音声信号をチャンネル毎に出力する出力部と、
を備えることを特徴とする音声信号処理装置。 - 複数のチャンネルから入力される音声信号の入力レベルをそれぞれ検出し、
前記複数のチャンネルのうち各チャンネルに入力された音声信号の入力レベルが小さい場合のみ、当該入力レベルが小さい音声信号を増幅させ、
前記増幅された音声信号を、各チャンネルに入力された音声信号に加算して出力することを特徴とする音声信号処理方法。
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