JP4025952B2 - 炒め玉葱またはソフリットの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンバーグ、コロッケ、スープ、シチュー等の料理などの原材料として用いる炒め玉葱およびパスタソースなどの原材料として用いるソフリット(人参、玉葱、セロリ等の香味野菜を炒めたもので例示される様に本発明では玉葱含有野菜の炒めものをさす)の製造に関し、特に甘味およびカラメル風味に優れ、保形性も良好な、延いては上記食品の風味を格段に向上することを可能とする炒め玉葱およびソフリットの製造に関するものであり、より詳しくは、前記炒め玉葱またはソフリットの製造に適する炒め装置(ロータリー炒め機)、前記炒め玉葱またはソフリットの製造方法、および前記炒め玉葱およびソフリットを用いた風味品質の高い食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炒め玉葱の製造方法としては、例えば、(1)特開2000−14352号公報「炒め玉葱の製造方法及び食品」に記載の方法が知られている。
【0003】
この方法(発明)は、「一般に、カレー等を作る際に、野菜原料として炒め玉葱が用いられ、これによりカレー等に香ばしい風味を付与することが知られている。ところが、かかる野菜原料として玉葱を炒める際、特には商業的スケールでの炒め処理において、カットした生の玉葱を用いることに由来して、最終製品に苦味やエグ味や渋味を発生するといった問題が生じやすい」との従来技術の認識のもとに、「甘みに優れ、苦味やエグ味や渋味の発生が抑えられて、カレー等の風味を向上することが可能な、炒め玉葱の製造方法を提供することを目的とする。また、上記炒め玉葱を用いた風味品質の高い食品を提供することを目的と」し、「玉葱を特定の体積となるようにカットし、炒め機として平型釜を用いることにより、玉葱を堆積させずに炒め機の伝熱面に接触させて、短時間で昇温させることが可能となり、更に、この場合に特定の温度と時間の条件で炒め処理を行うことにより、甘味に優れ苦味等を抑えた炒め玉葱を製造することが可能となるとの知見に基づいてなされたものである」という(同公報「発明の詳細な説明」段落0002〜0004)。
【0004】
「すなわち、本発明は、カットした玉葱を炒め機で炒めて炒め玉葱を製造するための方法であって、(a)生の玉葱を一片の体積が0.02〜8cmとなるようにカットし、(b)炒め機として平型釜を用い、(c)上記カットした後の玉葱を速やかに炒め機に投入し、該投入後玉葱を炒め処理に必要な下記(d)の品温に至らしめる際における90℃に達するまでの昇温時間を35分以内として昇温し、(d)炒め処理を玉葱の品温90〜102℃で10〜120分間行うことを特徴とする炒め玉葱の製造方法を提供する。また、本発明は、上記の製造方法により得られた炒め玉葱を用いた食品を併せて提供する」ものである(同段落0005)。
【0005】
このように、この方法の必須の特徴の一つは炒め機として平型釜を使用することにあるが、平型釜を使用する理由については、「次に、カットした玉葱を炒め機で炒める。炒め機としては平型釜を用いる(前記構成要件(b))。平型釜の形状は、底壁とその周りに略垂直に立設した側壁とからなり、特に、底壁が平らなもの、あるいは底壁が窪んだもので、例えば中央部が平らでその周りに湾曲面をもつもの、全面に湾曲面をもつものが望ましい。平型釜の伝熱面積(通常は底壁の面積)は0.1〜1.2m、容積は0.01〜0.5m程度がよい。伝熱面積が広い平型釜の使用により、後記構成要件(c)の炒め処理の昇温条件を確実に達成することが可能となる。平型釜の熱源は、電気式、電磁誘導式、ガス燃焼による直火式のもの、ジャケットを備えた蒸気式等がよい。また攪拌機能の付いたものが好ましい」といい(同段落0007)、これに一致して、実施例1は直火型攪拌機能付平釜を使用している。
【0006】
そして、上のようにして製造される炒め玉葱の用途については、「本発明の方法により製造した炒め玉葱は、カレー、ハヤシ、シチュー等の各種洋風煮込み料理やこれらを調理するためのルウ(固形状、液状、ペースト状であってもよく、水で薄めて煮込むものであっても、水で薄めずに煮込むものであってもよい)。各種ソース、ハンバーグ等の種々の食品に広範に用いることができる。特に、洋風煮込み料理やソース等では、本発明の炒め玉葱の使用により、コク味や熟成味のある高品質の食品が得られるので好ましい。商業的スケールでの素材原料としても有用である」と記載している(同段落0012)。
【0007】
これらの記載から明らかに、上記公開特許公報(1)記載の、所期の炒め玉葱は保形性を有しないものであり、これに一致して、「炒め処理は、炒め玉葱の歩留まりが、25〜75%となるように行うのが望ましい。炒め玉葱はコミトロールやコロイドミルで粗砕乃至微粉砕してもよい」という(同段落0011)。
【0008】
炒め玉葱の製造方法としては、更に、(2)特開2000−23633号公報「炒め玉葱の製造方法」に記載の方法も知られている。
【0009】
この方法(発明)は、上に説明した、公開特許公報(1)に記載の方法と同様の従来技術の認識のもとに同様の目的をもってなされたものであって、「本発明は、皮をむいた生の玉葱を、所定形状にカットし、一定条件下での処理を行った後に炒め処理を行うことにより、上記課題を効率的に解決できるとの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、皮をむいた生の玉葱を、所定形状にカットし、該玉葱100重量部あたり50〜100重量部の熱水と接触させ、ついで3〜20重量部の食用油の共存下で品温90〜102℃ で70〜170分間炒めることを特徴とする炒め玉葱の製造方法を提供する。また、本発明は、皮をむいた生の玉葱を、所定形状にカットし、120〜200℃の食用油中において浸漬し、油切りした後、品温90〜102℃で30〜140分間炒めることを特徴とする炒め玉葱の製造方法を提供する」ものである(同公報「発明の詳細な説明」段落0004)。
【0010】
約言すると、この方法では、先ず、剥皮した玉葱をカットし、「その後、かかる玉葱片を、(1)熱水に接触後、食用油の共存下での炒め処理、又は(2)食用油での浸漬処理を行った後の炒め処理に付する」ことが特徴とされている(同段落0005)。
【0011】
そして、炒め機については、「炒め処理は、炒め玉葱の歩留りが25〜70%となるように行うのが好ましい。炒めは、攪拌機を備えた加熱釜、例えば、攪拌機付き直火型平釜を用いて行うのがよい」とされ(同段落0007)、これに一致して実施例は全て攪拌機付き直火型平釜を使用している。
【0012】
そして、上のようにして製造される炒め玉葱の用途については、「本発明は、カレールウ等の製品に香ばしい風味を与え、かつ、エグ味や渋みを抑えることが可能な、炒め玉葱の製造方法を提供することを目的とする」ところ(同段落0003)、「本発明において、「カレールウ等の製品」には、カレー、シチュー、ハヤシライス用のルウ(固形状、液状、ゲル状であってもよく、水に薄めて用いるものであっても、水に薄めずに用いるものであってもよい)等が含まれる」と言う(同段落0005)。
【0013】
これらの記載から明らかに、公開特許公報(2)に記載の方法においても、所期の炒め玉葱は保形性を有しないものである。
【0014】
一方、炒め機として、平型釜に対するいわゆるロータリー釜が古くから知られている。
【0015】
このようなロータリー釜としては、例えば、(3)実開昭62−83323号公報「炒め機」に記載のものを挙げることができる。この炒め機は、水蒸気がこもらないようにした炒め機で、具体的にはロータリードラム底部に熱風吹き込み口を設けて釜内の蒸気を逃がすようにしたもので、これにより炒め機の性能アップを図ったものである。
【0016】
また、ロータリー釜を用いる炒め方法に関しては、例えば、(4)特開昭63−146760号公報「油を用いない炒め調理法」に記載の方法が知られている。
【0017】
この方法(発明)は、玉葱、その他の野菜、果実等の食品を油を用いないで炒め調理する方法、すなわち、ノン・オイル・ソティに関するものであるが、それによって解決しようとする問題は、「油を用いる従来の炒め調理は、油膜が調理物を保護するので、極めて有効であるが、調理物の含有水分を逸出したり、当然のことながら脂に親しまない食物には適用できないものである。また、油脂分の匂いが食品本来の味を壊してしまう場合もある一方、食品に添加される油脂分が加熱によって酸化し加酸物価(POV)が上昇して食品に変質を招き長期保存上の障害となっていた」点であり(同公報「発明の詳細な説明」の「(ハ)発明が解決しようとする問題点」の欄)、これを解決するために、「従来油とは不可分と考えられてきた炒め調理から油を排除して、水分だけによる酸化防止により煮沸、焙煎につぐ第三の加熱調理手段を提供するもので、調理物が焦げつき温度以上に加熱された鉄板と接触する直前に同鉄板に水分(レシチン、果実酒、アルコール等油脂分を含まない溶液を用いても良い)を供給して拡散させ水分の膜上に調理素材を移動通過させて加熱調理を行うようにしたものである」(同「(ニ)問題点を解決するための手段」の欄)。
【0018】
すなわち、この方法(発明)は、「(1)調理物が、焦げつき温度以上に加熱された鉄板と接触する直前に、同鉄板面に水分を供給し拡散させて水分の膜を形成し、その水膜上に調理素材を摺動通過させることを特徴とする油を用いない炒め調理法」に関し、このような炒め調理法は、ロータリー釜を使用して実施するときは、「(2)内側壁部に攪拌子を設け、加熱部上に傾斜支持させた筒状回転鍋を回転させ、攪拌子によって掻き上げられた調理物が加熱された内壁面に落下する直前に同加熱内壁面に水分を供給するようにした特許請求の範囲(1)記載の油を用いない炒め調理法」となる(以上、「特許請求の範囲」の欄)。
【0019】
要するに、公開特許公報(4)に記載の方法は、後に説明する本発明の方法との関連では、油臭くなく、焦げつかない炒め物の製造方法であって、攪拌子を備えた、鉄板とそれに接触する被加熱物との間に水膜を形成するロータリー炒めということができ、これによってPOVの減少と風味の向上を図るもとである。
【0020】
しかしながら、この油を用いない炒め調理法によって得られる玉葱は、辛みがあって、炒め玉葱またはソフリットとしては好ましくない。
【0021】
ロータリー釜を用いる炒め方法の更なる例は、(5)特開平8-168348号公報「半加工調理食材の製造方法と食材及び装置」に記載の方法である。これは、前記公開特許公報(4)に記載の方法の改良に関するものであって、ハンバーグ、餃子、コロッケなどの調理原料として用いる玉葱、蒜、キャベツ、果実などの半加工調理食材の製造方法に関するものである(同公報「発明の詳細な説明」の段落0001〜0002)。
【0022】
すなわち、「従来のノンオイルソティの方法を用いた半加工調理食材は、カッティングされた食材原料をそのまま移動加熱面の拡散水膜上に摺動させて炒め加工を行うので、食材原料の物質温度が低く食材の表面に炒め被膜が構成されるまでに可なりの時間を要し、その間に食材中の水分(旨味)が滲出して食材原料本来の良さが失われる共に、加工完了時の歩留りも悪いという問題がある。また、食材原料の物質温度が低く移動加熱面の温度が高いので、食材原料に逆浸透圧が働き、極端な場合には食材中の水分(旨味)が滲出して食材の旨味が失われてしまうという問題もあった」ところ(同段落0005および0006)、「本発明は上記した問題に鑑みこれに対応しようとするものであり、食材原料にノンオイルソティ加工を行うに際して、事前に材料自体の物質温度が摂氏40度から80度程度まで上昇する状態に加熱し、保熱状態のまま、所定の大きさにカットして移動加熱面に供給するようにした。また、事前加熱後に保熱状態で材料のカッティングを行うことにより、ソティ加工時に加工原料の物質温度が短時間で上昇させ、加工時間中の旨味の流出を抑止すると共に酵素の失活を早めて新鮮素材のシャキシャキとした歯ざわりを残しながら、ソティ加工時における材料への水分浸透が充分に行われるようにして焦げつき等のない充分な炒め効果が挙げられるようにした」と言う(同段落0007および0008)。
【0023】
すなわち、この方法(発明)は、「[請求項1]調理食材の材料を、材料自体の物質温度が摂氏40度から80度程度まで上昇する状態に加熱し、保熱状態のまま、移動加熱面の拡散水膜上を摺動させて炒め調理を行うことを特徴とする半加工調理食材の製造方法」に関し、これに適する装置として、「[請求項4]加熱器から保熱カッティング機構を通して、加熱面に攪拌子を備えた回転鍋に調理材料が順次搬送される構成を特徴とする半加工調理食材の製造装置」が挙げられ、唯一の実施例も攪拌子を備え、水分吹付け機構を有する回転鍋を使用している。
【0024】
すなわち、「回転鍋3は内壁面に攪拌子4を備え、回転軸5によって回動することにより移動加熱面6を構成され、カッティング機構2からカッティングされた食材原料Aがこの加熱面6に供給される。カッティングされた食材原料Aが移動加熱面6に供給されると、原料Aは自重によって加熱面6の移動方向と逆方向に移動し、攪拌子4によって掻き上げられるが、攪拌子4が支持角度を超えて上昇すると、再び加熱面6に落下する。原料Aが攪拌子4によって掻き上げられ、原料Aが存在しなくなった加熱面6には、原料Aが落下する直前に、摂氏80度以上の加熱水分が吹きつけ供給され沸騰拡散されて落下する原料Aと加熱面6の間に拡散水膜Wを形成する。食材原料Aは、拡散水膜Wによって焦げつくことなく加熱面6上を摺動して再び攪拌子4によって掻き上げられ、水分の吹きつけ供給と落下が繰り返され、その間に食材原料中の酵素の失活とソティ調理が行われる」のであり(同段落0016〜0019)、「本発明は上記のように構成したので、食材原料の重量%が調理後もほぼ100%の歩留まりを確保することができると共に、熱効率を高め、工程時間を短縮して生産コストの低減にも役立つものである。また、物質温度による浸透圧の作用により、食材原料の旨味や水分が滲出せず吸収されるので、食材原料の味覚成分や風味、更にシャッキリとした生鮮素材の歯ざわりを活かした半加工調理食材を製造することができる」と言う(同段落0022〜0023)。
【0025】
しかしながら、公開特許公報(5)に記載の半加工調理食材の製造方法によって得られる半加工調理玉葱も、辛みがあって、炒め玉葱またはソフリットとしてはやはり好ましくない。
【0026】
以上、本発明に関する従来技術を約言すると、一般にハンバーグ、スープ、パスタソース等を作る際に、香味野菜として炒め玉葱やソフリットが用いられ、ハンバーグ、スープ、パスタソース等に甘味および香ばしい風味を付与することが知られている。ところが、香味野菜として玉葱およびソフリットの材料を炒める際、特に商業的スケールでの炒め処理において、従来のロータリー釜による炒めでは最終製品に辛味およびエグ味が残る等、そして平型釜による炒めでは保形性がなく、ロータリー釜による炒め品と同じ歩留まりで、甘味およびカラメル風味が少ない等の問題が生じやすい。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、辛味およびエグ味を少なくし、甘味およびカラメル風味に優れ、加えて保形性も良好であり、延いては、ハンバーグ、スープ、パスタソース等の風味を向上せしめることが可能な、炒め玉葱およびソフリットの製造方法を提供することを目的とする。また、上記炒め玉葱およびソフリットを用いた風味品質の高い食品を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前項記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、玉葱やソフリットの材料を炒めるに当り、炒め機としてロータリー炒め機を使用し、好ましくは特定の形状の攪拌羽根を具備するロータリー炒め機を使用し、加えて過熱水蒸気、水蒸気、熱風などの補助加熱装置を併用しおよび/または揺動を行うことによりシェフがフライパンにて行うと同様の短時間で材料を均一に加熱して昇温させ(初期品温の急速立ち上げ)、そして、その後の炒め処理に際しては、必要に応じて水スプレーによるデグラッセにより焦げを防止することにより辛味およびエグ味が少なく、甘味およびカラメル風味に優れ、保形性も良好な炒め玉葱やソフリットを製造することが可能であることを見いだし、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0029】
すなわち、本発明は、釜の中に設けられた羽根の回転方向の面の断面形状が、釜の回転軸に対して垂直な断面において、羽根の円筒面に対する取付点から回転軸の中心に向かう直線をx座標軸とし、該取付点をx=0(原点)、そして羽根の先端から該直線に下した垂線の足の位置をx=1として、羽根の断面線高さyをxの関数f(x)で表した時に、y=f(x)の導関数の値が0となるx座標が0.4以上であると共に、該導関数がその値が0になる位置からx=1までの区間の定積分の絶対値が、x=0から導関数が0になるまでの該導関数の定積分の絶対値の40%以下であることを特徴とするロータリー炒め機、およびカットした玉葱またはソフリットの材料を炒めるに当り、炒め機としてロータリー炒め機を使用し、これに過熱水蒸気、水蒸気、熱風などの補助加熱装置を併用し、および/または揺動することにより、ロータリー釜内の材料片の中心温度を85〜95℃に10分以内に昇温させ、そして該材料片の中心温度が95℃に達した後、引き続き必要に応じて水スプレーによるデグラッセを行ないつつ、該材料片の表面温度を95〜102℃に15〜120分間保持して炒め処理することを特徴とする炒め玉葱またはソフリットの製造方法に関する。本発明は、また、上記の製造方法により得られた炒め玉葱またはソフリットを用いたことを特徴とする風味品質の高い食品に関する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を逐次詳細に説明する。
【0031】
先ず第一に、本発明の炒め玉葱またはソフリットの製造に適するロータリー炒め機について説明する。
【0032】
ロータリー炒め機の内部に取り付けられている攪拌羽根の形状は、玉葱に適度な攪拌を与えることのみならず、羽根及び釜の内面への玉葱の付着を防止するためにも重要である。一般に攪拌羽根は、釜の回転に伴って釜内部の炒め材料をすくい上げた後、釜の上部に持ち上げて羽根から落下させることによって炒め材料を攪拌するものである。しかるに、羽根の形状が不適切であると、特に玉葱の炒めを行うに際しては、攪拌羽根の取付位置およびその付近の釜の内面に玉葱が付着して滞留し、炒め中にコゲが発生して著しく炒め玉葱の品質を損なう。
【0033】
玉葱の炒めに用いるロータリー炒め機は、攪拌羽根の回転方向の面の断面形状が重要である。本発明者は、様々な断面形状を有する攪拌羽根を取り付けたロータリー炒め機を用いて玉葱の付着残存性について検証を行った結果、羽根の断面形状に関して具備すべき特徴があることを見いだした。
【0034】
以下、図面を引用しながら本発明のロータリー炒め機の構造を説明する。
【0035】
後掲図1に、ロータリー炒め機を使用する本発明のロータリー釜の炒め装置の外観を示す(概念図)。この装置において、スプレーノズル(b)は水を釜底部に噴霧し、デグラッセ(ソフリット原料によるカラメル物質の掻き取り)をする。また、熱風(過熱水蒸気、水蒸気)発生装置のダクト(c)は、攪拌羽根により持ち上がったソフリット原料が落下する場所に設置する。
【0036】
後掲図2に、攪拌羽根が1個の場合を例にとって、熱風による昇温促進(a)と水スプレーによるデグラッセ(b)を示す(概念図)。熱風による昇温促進においては、原料が落下する場所に熱風、過熱水蒸気、水蒸気などの補助加熱源を吹き込む。また水スプレーによるデグラッセにおいては、玉葱などの炒め材料がかき取られる位置に水スプレーを行う。
【0037】
後掲図3に、炒め材料の玉葱片を収容した回転中の攪拌羽根1個を具備したロータリー釜の横断面を示し、同図4は該攪拌羽根付近の拡大図を示す。これらの図は、次に説明する適切な羽根の形状の理解に資するためのもので、説明にでてくる用語を記載してある。
【0038】
詳述すると、攪拌羽根で掻き上げられた玉葱は、攪拌羽根の取付位置付近に載って掻き上げられ、羽根の取付点と釜の回転軸の中心とを結ぶ直線が水平から垂直になるまでの間、好ましくは60〜70°の範囲にて、掻き上げられた玉葱が攪拌羽根の表面を滑って落下することが必要である。なぜなら該直線の仰角が垂直ないしは垂直に近い状態になっても玉葱が滑り落ちない場合には、この位置に至った時に玉葱が攪拌羽根上を滑らずに崩壊落下するために、一部の玉葱が攪拌羽根の付け根付近に付着して残存するからである。
【0039】
攪拌羽根によってすくい上げられた玉葱のかたまりが、該仰角が適度な位置(角度)になった時にかたまりとして攪拌羽根の表面を滑って落下せしめることにより、羽根と釜の表面に付着残存する玉葱をなくすには、攪拌羽根の攪拌面すなわち回転方向を向いている面の勾配の変化によって決まる。
【0040】
ここにおいて、攪拌面の断面形状は、釜の円筒内面上での攪拌羽根の取付点を原点とし、該原点から回転釜の回転中心に至る直線をx軸、そして原点上にてx軸と直交する直線の回転方向側をy軸として、各x座標に対する攪拌羽根の断面線の高さをy座標で表すものとする。これにより、攪拌羽根の断面線の形状は、x座標に対する高さ(y)としてy=f(x)の形で表すことができる。また、これらの座標軸の尺度は、回転釜の半径を1とした時の相対値で表すものとする。
【0041】
攪拌羽根の取付点における上記直線に対して負の勾配は、掻き上げられ攪拌羽根の付け根付近に堆積している玉葱のかたまりが上記の角度に達した時に攪拌羽根の表面上を滑って落下せしむる力を与える。一方、羽根の先端付近の正の勾配は滑り落ちようとする玉葱のかたまりを阻止する力を与える。玉葱のかたまりが上記の好ましい仰角に至った時に攪拌羽根上を滑って落下するか否かは、羽根の根元付近(取付位置付近)の負の勾配と羽根の先端近くの正の勾配とのバランスによって決まる。
【0042】
該直線が好ましい仰角になった時に、攪拌羽根の根元にある玉葱のかたまりが滑って落下するには、まず第一に、羽根の断面形状の勾配が負である範囲が、羽根全体のx軸範囲に対して少なくとも0.35以上、好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上であることが必要である。
【0043】
また、負の勾配による落下の加速力と正の勾配による落下の抑止力との関係においては、抑止力が加速力よりも小さいことが必要であり、良好な落下を生じせしめるには抑止力が加速力の40%以下、好ましくは25%以下であることが必要である。ここにおいて、勾配による加速力と抑止力は、勾配が負である範囲および正である範囲における勾配の定積分の絶対値で比較することができる。すなわち、羽根の取付点より勾配が0になるまでの範囲の勾配の定積分の絶対値に対し、勾配が0になってから羽根の先端に至るまでの区間の定積分の絶対値が少なくとも40%以下、好ましくは25%以下であることが必要である。
【0044】
該断面形状を有する攪拌羽根を具備したロータリー炒め釜を用いることにより、回転位置において釜の下部で攪拌羽根にてすくい上げられた玉葱はかたまりとなって釜の上部まで持ち上げられ、攪拌羽根の付け根と回転軸の中心を結ぶ直線の仰角が60〜70°の範囲にて攪拌羽根の付け根に集められた玉葱がかたまりとなって攪拌羽根から滑って落下することにより、攪拌羽根の付け根付近の釜内面及び攪拌羽根の表面には玉葱の付着残存を防止することができ、部分的な焦げつきによる炒め玉葱の品質の低下を防止することができるのである。
【0045】
第二に、本発明の炒め玉葱またはソフリットの製造方法について説明する。
【0046】
本発明の製造方法においては、先ず、剥皮した玉葱およびソフリット原料をカットするが、この場合のカットサイズは、炒め玉葱またはソフリットの用途により適宜決めることができるが、例えば、玉葱およびソフリットの材料を一片の体積が0.01〜10cm、好ましくは0.09〜1cmとなるようにカットする。カットする形状は、ダイス状、スライス状等のいずれでもよい。
【0047】
次に、カットした玉葱およびソフリット材料を炒め機で炒める。炒め機としてはロータリー炒め機を用いる。ロータリー釜の形状は、円筒状であり、攪拌翼(攪拌子)を持つ形状が好ましい。また、ロータリー釜の伝熱面積は0.3〜0.8m、そして容積は0.5〜1.2m程度がよい。そして、単位面積当たりの供給熱量を50,000〜80,000kcal(h・m)とし、過熱水蒸気(200〜350℃)、水蒸気(0.05〜0.4MPa)、熱風(200〜350℃、10〜25KW、5〜15m/min)などの補助加熱装置を併用することにより上記の、ロータリー釜内材料の中心温度を10分以内に85〜95℃に昇温させるという初期品温の急速立ち上げの条件を確実に達成することが可能となる。これまでの熱風吹込み装置は送風口出口温度で80℃程度の熱交換能力(5KW相当)しかなく、上記の昇温条件を実現することが出来なかった。ロータリー釜の熱源は、ガス燃焼による直火式のもの、電磁誘導式等がよい。
【0048】
上に説明した補助加熱装置と共に、またはこれに代えて、揺動をすることもできる。ここにおける揺動とは、炒め釜に炒め材料を入れた状態で、攪拌羽根による材料全体の掻き上げと落下を生じない角度範囲で、釜を左右に振動する運動を加える操作を言う。
【0049】
従来のロータリー炒め機では、炒め開始時から「煽り」と呼ばれる攪拌操作、すなわち回転釜を同一方向に1回転以上回転せしめ、攪拌羽根によって炒め材料を掻き上げると共に、釜の上部にて落下せしめて全体を均一に攪拌する操作が一般的である。
【0050】
しかるに、炒めの初期段階、すなわち品温が85〜95℃の範囲内に上昇する期間において煽り操作を行うと、材料が加熱面に接する時間が少なく、かつ掻き上げられて落下する際に品温の低下が生じるため、該品温まで上昇せしめる時間が長くなり、好ましい炒め結果が得られない。逆に、炒めの初期段階に回転釜を全く停止した状態で加熱を続けると、加熱面に接している炒め材料が加熱面の同じ場所に滞留するために部分的なコゲが発生して好ましくない。
【0051】
炒め開始時には、速やかに品温を85〜95℃の範囲まで昇温させることが肝要であり、このためには、一般的に行われている煽り操作ではなく、揺動操作を行うのが好ましい。すなわち、揺動操作では攪拌羽根による掻き上げと落下を生じない範囲で釜を左右に振動させるように回転し、加熱面に接している材料の位置を移動することによって、材料が加熱面に付着することを防止すると共に、材料の同じ面を加熱する時間を長くすることによって、材料の昇温を促進する事ができ、かつ材料の一部が揺動動作によって入れ替わる様な動きによってゆっくりとした混合が行われる。
【0052】
このような揺動動作を行う事によって、炒め開始後の材料は焦げつくことなく速やかに昇温が行われ、好ましい炒め結果を得ることができる。
【0053】
前記カットした後の玉葱およびソフリット原料を速やかに炒め機(のロータリー釜)に投入して炒め処理に必要な上記の品温(85〜95℃)に至らしめるが、この場合に炒め機の容積に対し10〜30%の容積を占める玉葱またはソフリットの材料を炒め機に投入するのがよい。これにより上記の初期品温の急速立ち上げという炒め処理の条件が適正に達成することができるからである。
【0054】
玉葱およびソフリットの材料の中心品温が95℃に達するまでの昇温時間を10分以内とするという初期品温の急速立ち上げが重要である。すなわち、この条件により含硫化合物が少なく、甘味に優れおよびカラメル風味が良好な風味品質の高い、また保形性の良好な炒め玉葱およびソフリットを得ることが可能となる。上記昇温時間が20分を超えると玉葱に辛味やエグ味が残る原因となりやすい。尚、95℃に達するまでの昇温時間を5分以内とすれば更に高品質の炒め玉葱が得られる。
【0055】
また、初期品温を急速に立ち上げた後の、これに引き続く炒め処理は、ロータリー釜を回転しつつ、玉葱などの炒め材料の材料片の表面温度を95〜102℃、好ましくは98〜100℃に15〜120分間保持することによる。これには、焦げ付き防止の為、ロータリー釜の釜内表面温度を160〜200℃に保ちながら、水スプレーにより釜内表面に浮き出たカラメル成分をデグラッセを行いながら行うとよい。炒め時間については、前記の15〜120分間とし、好ましくは20〜60分間炒めることにより更に風味品質の良好な炒め玉葱およびソフリットを得ることができる。これにより、前記の初期品温の急速立ち上げの条件とあわせて甘味に優れ、カラメル風味の良好な、保形性の維持された炒め玉葱およびソフリットを得ることができるのである。
【0056】
なお、本発明に関して保形性とは野菜のシャッキリとした歯ざわりが残り、ペースト化していない状態を指す。
【0057】
保形性の指標として、炒め後野菜体積/炒め前野菜体積(この場合の体積とは遠心力4,500gで10分間遠心分離した固型部をさす)を用い、ある値(基準値)以上を保形性がある定義する。
【0058】
そして、炒め玉葱については,基準値が0.45であるところ、例えば、本発明の製造方法(後掲実施例2)による炒め玉葱の場合は0.50に対し、従来法(特開2000−14352号公報記載の実施例1)の場合は0.41であった(ただし、歩留まり50%時の比較)。この結果からも、本発明の製造方法による炒め玉葱が保形性に優れていることが確認された。
【0059】
また、ソフリットについては、基準値が0.50であるところ、本発明および従来法とも玉葱の場合と同一の実施例に準じて作成したものは、本発明のものは0.60〜0.64に対し、従来法のものは0.45であった。この結果も、本発明によるソフリットのほうが保形性に優れていることが分る。
【0060】
なお、炒め処理は、サラダ油、オリーブ油等の各種油脂、調味料等を加えて行うこともできることはいうまでもない。油脂は、原料野菜中の水分(旨味)の滲出抑制、加熱中の焦げつき防止及び品温低下防止の理由から原料野菜100重量部あたり0〜20重量部、好ましくは3〜10重量部加えるのがよい。炒め処理は、炒め玉葱およびソフリットが炒め前原料野菜重量に対して炒め後の野菜重量が25〜80%となるように行うのが好ましい。
【0061】
本発明の方法により製造した炒め玉葱およびソフリットは、ハンバーグ、コロッケ、スープ、シチュー等の洋風料理等の原料として用いる炒め玉葱およびパスタソース、煮こみ料理等の原料として用いるソフリットは種々の食品に広範に用いることができる。特にソース、スープ、ハンバーグ等では、本発明の炒め玉葱およびソフリットの使用により、まとまりのあるコクおよびあつみを有する高品質の食品が得られるので好ましい。
【0062】
また、本発明の方法により製造した炒め玉葱およびソフリットは、製造者の自家消費に供することのできることはいうまでもなく、また冷凍品やチルド状態で流通におくことができる。
【0063】
以上が本発明の実施の形態に関する説明であるが、このような本発明のさらなる理解に資するために、先に引用の特許公報に記載の発明と本発明との比較を行うと、次の通りである。
【0064】
すなわち、先ず、(1)特開2000−14352号公報に記載の発明が平釜を用いて破砕、磨砕した玉葱など保形性を有しない他、玉葱を平釜で炒めるのに対し、本発明はロータリー釜を用いて保形性を有する玉葱を炒めることができる。次に、(2)特開2000−23633号公報に記載の発明は、同じく平釜を用いて保形性を有しない玉葱の炒めを行うものである。更に、同発明では玉葱100重量部に対して50ないし100重量部の熱水に接触せしめて初期の加熱を行う方法である。これに対し、本発明では熱風ないしは過熱水蒸気を昇温の補助手段として用いる方法であり、熱水を用いる方法に対して、玉葱に不用な水分を与えずに昇温できる点に特徴がある。また、(3)実開昭62−83323号公報に記載の考案では、ロータリードラム底部に熱風吹き込み口を設けて熱風を吹き込む機構を有しているが、その目的は釜内に溜まった蒸気を逃がすことが目的であり、熱風による玉葱などの炒め材料を積極的に加熱する効果は期待されていない。次に、(4)特開昭63−146760号公報に記載の発明では、加熱面と被加熱物との間に水膜を形成させることにより、炒め油を用いずに焦げつかない炒め玉葱を製造する方法に関するものであるが、この方法によって得られた炒め玉葱は辛味が残存しており、ハンバーグなどの材料として用いる炒め玉葱や、ソフリットとしては好ましくない。これに対して、本発明による炒め玉葱は、辛味をなくして甘味を引き出すことができ、ハンバーグ材料やソフリットに適した炒め玉葱を得ることができる。最後に、(5)特開平8-168348号公報に記載の発明も、上記特開昭63−146760号公報記載の発明と同様に、炒め脂を用いずに水膜によって焦げつかない炒め玉葱を製造する方法に関するものであり、炒め材料を予め80℃まで加熱した後に細断することを特徴としている。しかしながら、同方法によって得られた炒め玉葱も辛味を残しており、本発明が目的とする炒め玉葱やソフリットとしては好ましくない。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実験例および実施例により更に詳細に説明する。
【0066】
実験例1
後掲の図5および図6にそれぞれ形状および勾配を示す撹拌羽根の断面形状が異なる3種類のロータリー釜の炒め機を用い、後掲実施例1に準じて玉葱の炒めを行った。羽根1は、釜の半径1に対して、0.52の長さを有し、0.31までの範囲で負の勾配を有し、その先はほとんど勾配が0の形状を有すると共に、勾配が正の範囲における勾配の定積分の絶対値が、負の範囲に対して10%の形状を有するものである。また、羽根2は0.83の長さを有し、0.41までの範囲で負の勾配を有し、勾配が正の範囲における勾配の定積分の絶対値の比率が25%の形状を有するものである。また、羽根3は、0.57の長さを有し、勾配が負の範囲が0.17であり、かつ勾配が負の範囲と正の範囲での定積分がほぼ等しい形状のものである。
【0067】
これらの3種類の形状の羽根を用いて玉葱の炒めを行った結果、羽根1では羽根の付け根付近には玉葱の付着が生じず良好な炒め玉葱が得られた。また、羽根2ではわずかながら付着が見られる時もあるも、次には付着した玉葱は玉葱の滑りによって落とされることにより、玉葱の長時間に渡る付着は発生しなかった。
【0068】
一方、羽根3では羽根の表面にそって玉葱が滑って落下しようとするも、先端付近の正の勾配によって落下が阻止されるため、攪拌羽根の付け根と回転中心点を結ぶ直線がほぼ垂直になるまで落下せずにとどまり、釜の頂点付近で崩壊して落下するために、かなりの玉葱が攪拌羽根の付け根付近に付着して残り、かなり強いコゲを発生した。
【0069】
これらの3種類の羽根を用いて炒めた玉葱は、羽根1と2では均一で良好な炒めが行えたのに対し、羽根3では激しく焦げた玉葱が混在し、好ましくないコゲ風味のために品質が著しく低下した。
【0070】
実施例1(ソフリット)
1)剥皮した生のソフリット原料(玉葱16kg、人参8kgおよびセロリ8kg)を3mm角、すなわち一片あたりの体積が約0.03cmとなるようにカットした。
【0071】
2)炒め機として上に説明した本発明のロータリー炒め機(伝熱面積0.6m、そして釜容積0.5mの直火式)を用いた。この炒め機のロータリー釜に、釜内表面温度が160〜200℃を保つように火力を調整しておいて、上記ソフリット原料(合計32kg)とサラダ油3.2kgを投入し、供給熱量75,000kcal/h、熱風温度200℃、風量5m/min、そして釜回転数8〜10rpmの条件にて炒め運転をした。なお、投入したソフリット原料は釜容積の約14%を占めた。この場合、ソフリット中の玉葱片の中心温度が85℃となる時間は、原料投入後約10分であった。
【0072】
3)玉葱片の中心温度が95℃になってから、ロータリー釜内表面温度が160〜200℃を保つように火力を調整したまま、引続き約30分間炒め処理をした。その間、玉葱片の表面温度は98〜100℃であった。また、炒め開始後15分からは水スプレーによるデグラッセを行った。
【0073】
4)上記のようにして製造されたソフリットは、歩留まり約50%であり、非常に甘味があり、カラメル風味の良好な、保形性に優れたものであり、苦みやエグ味や渋みは抑えられていた。
【0074】
実施例2(炒め玉葱)
剥皮した生のソフリット原料(合計32kg)の代りに剥皮した生の玉葱32kgを3mm角にカットした他は実施例1におけると同じ処理をして炒め玉葱を作成した。この場合、玉葱片の中心温度が85℃となる時間は、玉葱投入後約10分であった。
【0075】
実施例3(パスタソース)
実施例1で製造したソフリット40重量部、ひき肉20重量部、野菜・果実ペースト20重量部、水15重量部、ならびに塩、砂糖、および香辛料からなる粉末原料5重量部からなる原料を、攪拌機能つき加熱釜に投入し、95℃達温後、約40分煮込み、液状のパスタソースを製造した。
【0076】
上記のようにして製造したパスタソースは、スパゲッティにかけて食したところ、まとまりがあり、コク味およびあつみに優れた高品質のものであった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、特に甘味およびカラメル風味に優れ、また保形性の良好な、延いては、ハンバーグ、コロッケ、ソース、パスタソース、スープ、シチュー等の洋風料理、その他和風料理や中華料理に用いたときに、これらの料理の風味を格段に向上せしめることを可能とする炒め玉葱およびソフリットを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に使用することのできるロータリー炒め装置の例を概念的に示す。
【図2】(a)は熱風による昇温促進の例を模式的に示し、そして(b)は水スプレーによるデグラッセの例を模式的に示す。
【図3】本発明のロータリー炒め機におけるロータリー釜の例の横断面を示す。
【図4】本発明のロータリー炒め機におけるロータリー釜の例の横断面の部分拡大図を示す。
【図5】本発明のロータリー炒め機におけるロータリー釜の例の攪拌羽根の形状を示す(3種類、実験例1)。
【図6】本発明のロータリー炒め機におけるロータリー釜の例の攪拌羽根の勾配を示す(3種類、実験例1)。
【符号の説明】
(a)ロータリー釜
(b)スプレーノズル
(c)熱風(過熱水蒸気、水蒸気)ダクト
(d)熱風(過熱水蒸気、水蒸気)発生装置
(e)ポンプ
(f)タンク

Claims (2)

  1. カットした玉葱またはソフリットの材料を炒めるに当り、炒め機としてロータリー炒め機を使用し、これに過熱水蒸気、水蒸気、熱風などの補助加熱装置を併用し、および/または揺動することにより、ロータリー釜内の材料片の中心温度を85〜95℃に10分以内に昇温させ、そして該材料片の中心温度が95℃に達した後、引き続き必要に応じて水スプレーによるデグラッセを行ないつつ、該材料片の表面温度を95〜102℃に15〜120分間保持して炒め処理することを特徴とする炒め玉葱またはソフリットの製造方法。
  2. 請求項記載の製造方法によって得られた炒め玉葱またはソフリットを原材料に用いたことを特徴とする食品。
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