JP4025659B2 - 無線基地局、移動局、無線通信システム、及び無線通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の移動局と無線基地局とによって構成される無線通信システムと、その移動局、無線通信局、及び無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディアサービスの実現が期待される今後の無線通信システムにおいては、多様な要求品質(QoS:Quality of Service)を意識した通信制御を行うことが不可欠である。特に、音声通信、テレビ会議、ストリーミングといったリアルタイム通信においては、送信側から受信側までの伝送遅延が最も重要なQoSファクターである。すなわち、リアルタイムアプリケーションのQoS要求を満足するためには、送信側から受信側までの伝送遅延を、要求される遅延の最大値(最大許容遅延)以下に抑えることが肝要である。さらに、将来の移動通信システムでは、音声、画像、データ伝送、メールといった様々な種類のトラフィックがすべてパケットという形で一元的に取り扱われようとしている。多様な種類のパケットトラフィックが同一の無線チャネル上を流れるため、QoSを意識した制御はいっそう欠かせないものとなり、伝送遅延、伝送レート、誤り率、非受信率といったQoSファクターは、すべてパケット単位で考慮することとなる。
【0003】
本発明では、無線リンクにおける伝送遅延に着目する。リアルタイム通信の伝送遅延をサポートするためには、無線リンクにおいて伝送レートを確保するだけでは不十分である。これは送信側において単位時間当たりにパケットが発生するレートと、伝送するレートとが対応しないために、送信バッファに滞留するデータ量が増加してしまうケース、あるいは、無線リンクの受信品質が劣化し、受信側で正しく受信できず、送信バッファでの滞留時間が増加するケースなどがあるためである。この点について、図9(a)及び(b)を用いて具体的に説明する。図9(a)は無線基地局90に用意された移動局91〜移動局93宛ての送信バッファの様子を説明する図、図9(b)は本例における各移動局91〜93と無線基地局90との間の伝送レートについて説明する図である。図9(b)に示されるように、ここでは下りチャネルを想定しており、移動局91〜移動局93に対し、それぞれ、2Mbps、32kbps、1Mbpsの伝送レートが確保されているものとする。図9(a)に示されるように、無線基地局90で用意された各移動局91〜移動局93宛ての送信バッファにパケットが到着する。このとき、コアネットワークから送信バッファに到着するパケットの伝送レートがこの伝送レートとは独立である。図9(a)における移動局91のように、無線リンクの伝送レート(2Mbps)より小さいレート(1.5Mbps)でコアネットワークからパケットが到着しているときには円滑にパケット送信が行われるが、図9(a)における移動局93のように、無線リンクの伝送レート(1Mbps)より大きいレート(4Mbps)で次々とパケットが送信バッファに到着すると、パケットが送信バッファに滞留し、伝送遅延が増大してしまう。
【0004】
このような問題を解決するために、基地局の送信バッファに到着した後の遅延時間を認識できるように、パケット毎に到着時刻等をタイムスタンプとして書き込む手法が特許文献1などにより従来から知られていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−34062号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発生したすべてのパケットにタイムスタンプを付与するには相応の時間を要し、その結果タイムスタンプを付与する時間の分だけ処理遅延が増大してしまうおそれがあった。図10(a)はパケットが到着した時刻を示す図、図10(b)はパケットに付与されたタイムスタンプを示す図である。図10(b)に示されるように、送信バッファに到着した大量のパケットの一つ一つにタイムスタンプを付与する処理を行っていると、それだけで遅延が生じ、図10(a)に示されるパケット1〜13のように同時刻に到着したにもかかわらず、図10(b)に見られるように付与されたタイムスタンプにずれが生じ、結局タイムスタンプが正しく付与されないという問題が生じる。移動通信システムにおいて送受信されるデータ量は、動画配信等のアプリケーションを考えると増加の一途をたどっており、発生したすべてのパケットにタイムスタンプを付与するとすれば、処理遅延の増加という問題は、今後さらに深刻になることが予想される。
【0007】
そこで本発明は、リアルタイム通信の伝送遅延に対するQoS要求を満足するために必要な手段であるタイムスタンプの付与について、処理遅延を生じさせないより効率的な方法を採用した、無線基地局、移動局、及びこれらを備えた無線通信システムと、無線通信方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無線基地局は、移動局との間でパケット通信を行う無線基地局であって、送信すべきパケットを蓄積する複数の送信バッファと、パケットの到着間隔を計測する到着間隔計測手段と、到着間隔計測手段によって計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、到着間隔が所定の閾値以下であると判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、到着間隔が所定の閾値より大きいと判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積手段と、送信バッファへのデータの蓄積が開始された時刻をその送信バッファに関するデータ到着時刻として記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行う優先制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
移動局と無線基地局との間で送受信されるデータは複数のパケットに分割されて送受信される。ひとまとまりのデータ(以下、「バーストデータ」という)を構成する複数のパケットは、所定の閾値以下の到着間隔でコアネットワークから無線基地局に到着する。本発明に係る無線基地局では、到着間隔計測手段によってパケットの到着間隔を計測し、判定手段によってパケット到着間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、無線基地局に到着したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。パケット蓄積手段は、所定の閾値以下の間隔で送信されるパケットを同じ送信バッファに蓄積することにより、一のバーストデータを同じ送信バッファに蓄積する。本発明に係る無線基地局は、記憶手段を有し、送信バッファにパケットを蓄積し始めた時刻をデータ到着時刻として記憶し(タイムスタンプを付与し)、すでに送信バッファにパケットが蓄積していた場合にはデータ到着時刻を記憶しない。すなわち、バーストデータの先頭のパケットが送信バッファに蓄積された時刻をデータ到着時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその到着時刻を管理しない。本発明においては一のバーストデータを一の送信バッファに蓄積するため、その送信バッファに関するデータ到着時刻を管理することにより、バーストデータの送信遅延の制御を効率良く行える。このような構成により、タイムスタンプ付与による処理遅延を低減させると共に、バーストデータの先頭パケットの到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行うことができる。なお、優先制御の一例としては、データ到着時刻が早い送信バッファにから先にパケットを取り出して送信するなどがあり、これにより送信遅延の問題を解決することができる。
【0010】
本発明に係る無線基地局は、移動局との間でパケット通信を行う無線基地局であって、送信すべきパケットを蓄積する複数の送信バッファと、パケットの到着間隔を計測する到着間隔計測手段と、到着間隔計測手段によって計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、到着間隔が所定の閾値以下であると判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、到着間隔が所定の閾値より大きいと判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積手段と、到着間隔が所定の閾値より大きいと判定手段によって判定された場合に、後のパケットが到着した時刻をそのパケットが蓄積される送信バッファに関するデータ到着時刻として記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行う優先制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る無線基地局では、到着間隔計測手段によってパケットの到着間隔を計測し、判定手段によってパケット到着間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、無線基地局に到着したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。パケット蓄積手段は、所定の閾値以下の間隔で送信されるパケットを同じ送信バッファに蓄積することにより、一のバーストデータを同じ送信バッファに蓄積する。本発明に係る無線基地局は、記憶手段を有し、先のパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きいパケットの到着時刻をデータ到着時刻として記憶する(タイムスタンプを付与する)。すなわち、バーストデータの先頭のパケットが到着した時刻をデータ到着時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその到着時刻を管理しない。このような構成により、タイムスタンプ付与による処理遅延を低減させると共に、バーストデータの先頭パケットの到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行うことができる。
【0012】
上記無線基地局は、送信バッファに残存しているデータ量を計測する残存データ量計測手段をさらに備え、記憶手段は、パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、データ到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶し、第2のデータ到着時刻を記憶した際に残存データ量計測手段によって計測された量のデータを送信バッファから送信したときに、第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新する、ことを特徴としてもよい。
【0013】
データ到着時刻を記憶する際に、そのパケットを蓄積しようとする送信バッファにまだパケットが残存している場合には、この残存パケットは、蓄積しようとするパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットである。このような場合に、所定の閾値より大きい間隔をもって到着したパケットについてはその到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶しておくことにより、一の送信バッファに2つのバーストデータを蓄積し、それぞれのデータ到着時刻を管理することができる。また、第2のデータ到着時刻を記憶した際に残存していた量のデータがその送信バッファから送信されたときに、第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新することで、そのデータ到着時刻を用いて優先制御することができる。
【0014】
上記無線基地局において、記憶手段は、送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、その送信バッファに関するデータ到着時刻をリセットする、ことを特徴としてもよい。
【0015】
一のバーストデータは同じ送信バッファに蓄積されるため、送信バッファに蓄積されたパケットがすべて送信されたときには、それらのパケットが構成するバーストデータが送信されたことになるので、データ到着時刻をリセットすることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る移動局は、無線基地局との間でパケット通信を行う移動局であって、送信すべきパケットを蓄積する送信バッファと、パケットの発生間隔を計測する発生間隔計測手段と、発生間隔計測手段によって計測されたパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、判定手段によって発生間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたデータ発生時刻に関する情報を無線基地局に送信する送信手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る移動局は、判定手段を有し、発生間隔計測手段によって計測されたパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、移動局で発生したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に発生したパケットとの発生間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に発生したパケットとの発生間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。また、本発明に係る移動局は、記憶手段を有し、先のパケットとの発生間隔が所定の閾値より大きいパケットの発生時刻をデータ発生時刻として記憶する(タイムスタンプを付与する)。すなわち、バーストデータの先頭のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその発生時刻を管理しない。このような構成により、タイムスタンプ付与による処理遅延を低減させることができる。また、本発明に係る移動局は、データ発生時刻に関する情報を無線基地局に送信する送信手段を有しているので、無線基地局において各移動局におけるデータ発生時刻に基づいて、移動局から無線基地局へのデータ送信の優先制御を行うことができる。
【0022】
上記移動局は、送信バッファに残存しているデータ量を計測する残存データ量計測手段をさらに備え、記憶手段は、パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、データ発生時刻を第2のデータ発生時刻として記憶し、第2のデータ発生時刻を記憶した際に残存データ量計測手段によって計測された量のデータを送信バッファから送信したときに、第2のデータ発生時刻をデータ発生時刻に更新する、ことを特徴としてもよい。
【0023】
データ発生時刻を記憶する際に、送信バッファにまだパケットが残存している場合には、この残存パケットは、蓄積しようとするパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットである。このような場合に、所定の閾値より大きい間隔をもって発生したパケットについてはその発生時刻を第2のデータ発生時刻として記憶しておくことにより、一の送信バッファに2つのバーストデータを蓄積し、それぞれのデータ発生時刻を管理することができる。また、第2のデータ発生時刻を記憶した際に残存していた量のデータがその送信バッファから送信されたときに、第2のデータ発生時刻をデータ発生時刻に更新することで、そのデータ発生時刻を用いて優先制御することができる。
【0024】
上記移動局において、記憶手段は、送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、その送信バッファに関するデータ発生時刻をリセットする、ことを特徴としてもよい。
【0025】
送信バッファに蓄積されたパケットがすべて送信されたときには、それらのパケットが構成するバーストデータが送信されたことになるので、データ発生時刻をリセットすることが好ましい。
【0026】
本発明に係る無線通信システムは、上記無線基地局と、上記移動局とによって構成され、無線基地局から移動局へのパケット通信、及び/又は、移動局から無線基地局へのパケット通信を優先制御することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る無線通信システムは、上記した無線基地局と移動局とを備える。これにより、バーストデータの先頭パケットの到着又は発生時刻を記憶し(タイムスタンプを付与し)、そのほかのパケットについてはタイムスタンプを付与しないので、無線基地局又は移動局における処理遅延を低減させ、QoSを向上させたデータ伝送を実現することができる。
【0028】
本発明に係る無線通信方法は、無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、無線基地局に到着するパケットの到着間隔を無線基地局が計測する到着間隔計測ステップと、到着間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を無線基地局が判定する判定ステップと、判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値以下であると判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積ステップと、送信バッファへのデータの蓄積が開始された時刻をその送信バッファに関するデータ到着時刻として無線基地局が記憶する記憶ステップと、記憶ステップにおいて記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいて無線基地局がパケット送信の優先制御を行う優先制御ステップと、優先制御ステップにおいて制御された順序に従って無線基地局が移動局にパケットを送信する送信ステップと、を有する、ことを特徴とする。
【0029】
本発明に係る無線通信方法では、到着間隔計測ステップにおいてパケットの到着間隔を計測し、判定ステップにおいてパケット到着間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、無線基地局に到着したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。パケット蓄積ステップでは、所定の閾値以下の間隔で送信されるパケットを同じ送信バッファに蓄積することにより、一のバーストデータを同じ送信バッファに蓄積する。本発明に係る無線通信方法は、記憶ステップを有し、送信バッファにパケットを蓄積し始めた時刻をデータ到着時刻として記憶し(タイムスタンプを付与し)、すでに送信バッファにパケットが蓄積していた場合にはデータ到着時刻を記憶しない。すなわち、バーストデータの先頭のパケットが送信バッファに蓄積された時刻をデータ到着時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその到着時刻を管理しない。このような構成により、タイムスタンプ付与による無線基地局における処理遅延を低減させると共に、バーストデータの先頭パケットの到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行うことができる。
【0030】
また、本発明に係る無線通信方法は、無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、無線基地局に到着するパケットの到着間隔を無線基地局が計測する到着間隔計測ステップと、到着間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を無線基地局が判定する判定ステップと、判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値以下であると判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積ステップと、判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが到着した時刻をそのパケットが蓄積される送信バッファに関するデータ到着時刻として無線基地局が記憶する記憶ステップと、記憶ステップにおいて記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいて無線基地局がパケット送信の優先制御を行う優先制御ステップと、優先制御ステップにおいて制御された順序に従って無線基地局が移動局にパケットを送信する送信ステップと、を有する、ことを特徴とする。
【0031】
本発明に係る無線通信方法では、到着間隔計測ステップにおいてパケットの到着間隔を計測し、判定ステップにおいてパケット到着間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、無線基地局に到着したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に到着したパケットとの到着間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。パケット蓄積ステップでは、所定の閾値以下の間隔で送信されるパケットを同じ送信バッファに蓄積することにより、一のバーストデータを同じ送信バッファに蓄積する。本発明に係る無線通信方法は、記憶ステップを有し、先のパケットとの到着間隔が所定の閾値より大きいパケットの到着時刻をデータ到着時刻として記憶する(タイムスタンプを付与する)。すなわち、バーストデータの先頭のパケットが到着した時刻をデータ到着時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその到着時刻を管理しない。このような方法により、タイムスタンプ付与による処理遅延を低減させると共に、バーストデータの先頭パケットの到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行うことができる。
【0032】
上記無線通信方法は、送信バッファに残存しているデータ量を無線基地局が計測する残存データ量計測ステップをさらに備え、記憶ステップでは、パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、無線基地局はデータ到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶し、第2のデータ到着時刻を記憶した際に残存データ量計測手段によって計測された量のデータを送信バッファから送信したときに、第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新する、ことを特徴としてもよい。
【0033】
データ到着時刻を記憶する際に、そのパケットを蓄積する送信バッファにまだパケットが残存している場合には、この残存パケットは、蓄積しようとするパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットである。このような場合に、所定の閾値より大きい間隔をもって到着したパケットについてはその到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶しておくことにより、一の送信バッファに2つのバーストデータを蓄積し、それぞれのデータ到着時刻を管理することができる。また、第2のデータ到着時刻を記憶した際に残存していた量のデータがその送信バッファから送信されたときに、第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新することで、そのデータ到着時刻を用いて優先制御することができる。
【0034】
上記無線通信方法は、送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、無線基地局がその送信バッファに関するデータ到着時刻をリセットする到着時刻リセットステップをさらに有する、ことを特徴としてもよい。
【0035】
一のバーストデータは同じ送信バッファに蓄積されるため、送信バッファに蓄積されたパケットがすべて送信されたときには、それらのパケットが構成するバーストデータが送信されたことになるので、データ到着時刻をリセットすることが好ましい。
【0038】
本発明に係る無線通信方法は、無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、移動局におけるパケットの発生間隔を移動局が計測する発生間隔計測ステップと、発生間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を移動局が判定する判定ステップと、判定ステップにおいて発生間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として移動局が記憶する記憶ステップと、記憶ステップにおいて記憶されたデータ発生時刻に関する情報を移動局が無線基地局に送信する送信ステップと、送信ステップにおいて送信されたデータ発生時刻に基づいて無線基地局が移動局からのパケット受信を優先制御する優先制御ステップと、を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る無線通信方法は、判定ステップを有し、発生間隔計測ステップにおいて計測された移動局でのパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を判定することにより、移動局で発生したパケットがバーストデータの先頭パケットであるか否か判定することができる。すなわち、あるパケットについて先に発生したパケットとの発生間隔が所定の閾値より大きい場合には、そのパケットは先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケット、つまり新しいバーストデータの先頭パケットであることがわかり、先に発生したパケットとの発生間隔が所定の閾値以下である場合には、そのパケットは先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであることがわかる。また、本発明に係る無線通信方法は、先のパケットとの発生間隔が所定の閾値より大きいパケットの発生時刻をデータ発生時刻として記憶する(タイムスタンプを付与する)記憶ステップを有する。すなわち、記憶ステップでは、バーストデータの先頭のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として記憶し、その他のパケットに関してはその発生時刻を管理しない。このような方法により、タイムスタンプ付与による処理遅延を低減させることができる。また、本発明に係る無線通信方法は、データ発生時刻に関する情報を無線基地局に送信する送信ステップを有しているので、優先制御ステップにおいて、無線基地局は各移動局におけるデータ発生時刻に基づいて、移動局から無線基地局へのデータ送信の優先制御を行うことができる。
【0040】
上記無線通信方法は、送信バッファに残存しているデータ量を移動局が計測する残存データ量計測ステップをさらに有し、記憶ステップは、パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、移動局はデータ発生時刻を第2のデータ発生時刻として記憶し、第2のデータ到着時刻を記憶した際に残存データ量計測手段によって計測された量のデータを送信バッファから送信したときに、第2のデータ発生時刻をデータ発生時刻に更新する、ことを特徴としてもよい。
【0041】
データ発生時刻を記憶する際に、送信バッファにまだパケットが残存している場合には、この残存パケットは、蓄積しようとするパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットである。このような場合に、所定の閾値より大きい間隔をもって発生したパケットについてはその発生時刻を第2のデータ発生時刻として記憶しておくことにより、一の送信バッファに2つのバーストデータを蓄積し、それぞれのデータ発生時刻を管理することができる。また、第2のデータ発生時刻を記憶した際に残存していた量のデータがその送信バッファから送信されたときに、第2のデータ発生時刻をデータ発生時刻に更新することで、そのデータ発生時刻を用いて優先制御することができる。
【0042】
上記無線通信方法は、送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、その送信バッファに関するデータ発生時刻を移動局がリセットする発生時刻リセットステップ、をさらに有することを特徴としてもよい。
【0043】
送信バッファに蓄積されたパケットがすべて送信されたときには、それらのパケットが構成するバーストデータが送信されたことになるので、データ発生時刻をリセットすることが好ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明に係る無線通信システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
図1は、本発明が適用される無線通信システム1の概要を示す図である。ここでは、それぞれの移動局30において様々なアプリケーションが使用され、多様なQoS要求が存在するセルラシステムを例に挙げる。移動局30は音声通信、テレビ会議、ストリーミングといったリアルタイム性を必要とするアプリケーションを使用しており、これらの移動局30に対しては遅延時間をサポートすることが最重要課題である。
【0046】
図2は、第1実施形態に係る無線通信システム1の構成を示す図であり、下り回線において無線基地局10から移動局30へパケットを送信する場合の無線基地局10及び移動局30の構成を示す図である。無線基地局10は、図2に示されるように、到着間隔計測部11、判定部12、パケット分類部13、スケジューリング処理部14、無線リソース割当処理部15、送信バッファ16、記憶部17、送信部18、受信部19を有している。送信バッファ16は、コアネットワークから到着したパケットを移動局30に送信するまでの間、一時的に蓄積しておく機能を有する。送信バッファ16は複数の送信バッファ16A〜16Eからなり、パケットの到着順に送信するだけではなく、緊急性の高いパケットを優先的に送信する優先制御を行うことができる。なお、ここでは、送信バッファ16A〜16Eの数は任意であり、5つに限られない。到着間隔計測部11は、コアネットワークから到着したパケットの到着間隔を計測する機能を有する。ここで計測されたパケット到着間隔Tiの情報は判定部12に入力される。判定部12は、到着間隔計測部11から入力されたパケット到着間隔Tiに基づいて、到着したパケットが先に到着したパケットと同じバーストデータを構成するパケットであるか、あるいは先に到着したパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットであるか判定する機能を有する。具体的には、パケット到着間隔Tiがあらかじめ定められた閾値Tth以下である場合には、先に到着したパケットと同じバーストデータを構成するパケットであると判定し、パケット到着間隔Tiが閾値Tthより大きい場合には、先に到着したパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットであると判定する。パケット分類部13は、到着したパケットを分類して送信バッファ16A〜16Eのいずれかに蓄積する機能を有する。パケット分類部13は、同じバーストデータを構成するパケットは同じ送信バッファ16A〜16Eに蓄積されるように分類する。記憶部17は、それぞれの送信バッファ16A〜16Eにパケットの蓄積が開始された時刻をデータ到着時刻として記憶する機能を有する。なお、記憶部17に記憶されたそれぞれのデータ到着時刻は、その送信バッファのパケットがすべて送信されたときにリセットされることが好ましい。スケジューリング処理部14は、記憶部17に記憶されたデータ到着時刻に基づいて、パケット送信の優先制御を行う機能を有する。具体的には、送信バッファ16A〜16Eのうち、データ到着時刻が古い送信バッファに蓄積されたパケットから優先的に送信することが好ましく、これにより送信バッファ16にパケットが長時間滞留して通信品質を低下させるという不都合を防止できる。無線リソース割当処理部15は、パケットを送信するための無線リソースを割り当てる機能を有する。
【0047】
移動局30は、QoS制御情報作成部31、送信部32、受信部33を有している。送信部32及び受信部33は、無線基地局10と通信する機能を有している。QoS制御情報作成部31は、伝送誤り率や受信電力に関する情報などの通信品質に関する情報をQoS制御情報として作成する機能を有する。作成されたQoS制御情報は送信部32によって無線基地局10に送信される。
【0048】
次に、この無線通信システム1によって無線基地局10から移動局30にパケットを送信する動作について図3を参照しながら説明し、併せて本発明の実施形態に係る無線通信方法について説明する。図3は、無線基地局10の動作を示すフローチャートである。
【0049】
まず、無線基地局10は、コアネットワークから到着したパケットを受信し(S10)、到着したパケットの到着間隔を計測する(S12)。先に到着したパケットとの到着間隔Tiを算出する。次に、到着したデータが先に到着したデータと同じバーストデータを構成するパケットであるか否かを判定部12によって判定する。具体的には、到着間隔Tiとあらかじめ定められた閾値Tthとの大小を比較し(S14)、到着間隔Tiが閾値Tth以下である場合には先のパケットと同じバーストデータを構成するパケットであると判定し、到着間隔Tiが閾値Tthより大きい場合には先のパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットであると判定される。なお、異なるバーストデータと判定された場合には、そのパケットはバーストデータの先頭パケットであることがわかる。
【0050】
到着間隔Tiが閾値Tth以下であると判定された場合には、パケット分類部13は、先のパケットが蓄積されたパケットと同じ送信バッファ16にパケットを蓄積する(S16)。到着間隔Tiが閾値Tthより大きいと判定された場合には、パケット分類部13は、容量に余裕のある任意の送信バッファ16にパケットを蓄積する(S18)。この際に、パケットを蓄積すべき送信バッファ16に残存パケットがあるか否か判定する(S20)。送信バッファ16に残存パケットが存在しない場合には、現在時刻をその送信バッファ16に関するデータ到着時刻Toとして記憶部17に記憶させる(S22)。送信バッファ16に残存パケットが存在する場合には、現在時刻を第2のデータ到着時刻Tnとして記憶部17に記憶させ、また残存データ量をカウンタDに記憶させる(S24)。ここで、記憶部17に記憶される情報について図4(a)及び図4(b)を参照しながら説明する。図4(a)は第1のバーストデータが蓄積された送信バッファ16Aに第2のバーストデータが蓄積されるときの状態を示す。図4(a)を参照すると、第1のバーストデータの先頭バッファが到着したのが時刻To、第2のバーストデータの先頭バッファが到着したのが時刻Tnであることがわかる。このような場合、図4(b)に示されるように記憶部17には、時刻To、時刻Tnの情報と残存データ(第1のバーストデータ)のデータ量をカウンタDとして格納している。なお、これらの情報は、図4(b)では省略しているが、各送信バッファ16B〜16Eについても同様に格納されている。本実施形態において、第2のデータ到着時刻Tnを記憶させているのは以下のような理由による。残存パケットがある場合に、現在時刻をデータ到着時刻Toとしてしまうと、残存パケットについても新たなデータ到着時刻Toを基準に制御され、パケット送信が遅れてしまう不都合が生じる。例えば、図4(b)を参照すると、残存パケットについてのデータ到着時刻Toは16:32:22であるが、第2のバーストデータが到着した現在時刻16:32:24によってデータ到着時刻を更新してしまうと、残存パケットについても新しいデータ到着時刻16:32:24を基準にスケジューリングがなされ、すでに2秒間滞留しているのにかかわらず、現在時刻に蓄積されたものとして制御されてパケット送信が遅れてしまう。本実施形態においては、このような事態を回避するため、ステップS24における処理によって、残存パケットが送信されてしまうまではデータ到着時刻Toを更新しないこととしている。
【0051】
次に、無線基地局10は、スケジューリング処理部14によってスケジューリングをして、送信すべきパケットの優先制御を行う(S26)。ここでは、スケジューリング処理部14は、記憶部17に記憶されているデータ到着時刻Toが古い送信バッファ16から優先的にパケットを取り出す。続いて、無線リソース割当処理部15によって、移動局30との通信を行うための無線リソースを割り当て、送信部18によってパケットを送信する(S26)。カウンタDに残存データ量が記憶されている送信バッファ16からパケットを取り出して送信した場合には、送信されたパケット数分カウンタDから減じる(S28)。そして、カウンタDが0になったか否か判定する(S30)。カウンタDが0になった場合には、データ到着時刻Toに第2のデータ到着時刻Tnを代入して更新する(S32)。これにより、送信バッファ16に蓄積されたパケットは新たなデータ到着時刻Toによって優先制御されることになる。本実施形態に係る無線基地局10は、コアネットワークから到着するパケットを受信し(S10)、上記で説明したフローを繰り返す。なお、図3においては、説明の便宜上、パケット到着のステップS10に戻ることとしているが、必ずしもコアネットワークからパケットが到着しない場合でも、パケット送信のためのスケジューリング及びパケット送信は行われる。
【0052】
第1実施形態に係る無線基地局10(無線通信システム1)は、それぞれの送信バッファ16に蓄積されるバーストデータのデータ到着時刻を記憶部17に記憶させ、そのデータ到着時刻に基づいてスケジューリング処理部14が優先制御の処理を行うので、コアネットワークからパケットが到着してから移動局30に送信するまでの遅延時間を制御して、QoS要求を満たすことができる。また、バーストデータの先頭パケットが到着した時刻をそのデータ到着時刻として記憶し、それぞれのパケットの到着時刻については管理しない構成なので、それぞれのパケットにタイムスタンプを付与することによって生じる処理遅延をなくし、遅延時間のサポートを行うことができる。
【0053】
また、第1実施形態に係る無線通信方法も同様に、それぞれのパケットにタイムスタンプを付与することによって生じる処理遅延をなくすと共に、遅延時間のサポートを行ってQoS要求を満たすことができる。
【0054】
上記実施形態においては、送信バッファ16A〜16Eのそれぞれに複数のバーストデータが蓄積される場合について説明したが、送信バッファ16A〜16Eのそれぞれに一のバーストデータしか蓄積されない場合には、以下のようなフローによって無線基地局10を動作させることができる。図5は、無線基地局10の動作を説明するフローチャートである。
【0055】
まず、無線基地局10は、コアネットワークから到着したパケットを受信する(S10)と、到着間隔計測部11によってパケットの到着間隔Tiを計測し、判定部12によって到着間隔Tiを閾値Tthとの判定を行った後、パケットを送信バッファ16に蓄積する(S16)。ここまでの流れは、図3で説明したフローと同じである。送信バッファ16A〜16Eのいずれかにパケットを蓄積する際、その送信バッファにパケットが存在するか否か判定する(S32)。送信バッファにパケットが存在しない場合には、その送信バッファに関するデータ到着時刻を現在時刻によって更新し(S34)、記憶部17に記憶させる。送信バッファ16にパケットが存在する場合には、データ到着時刻に関する処理を行わないで、次のステップに移行する。
【0056】
次に、スケジューリング処理部14が記憶部17に記憶されたデータ到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行う。そして、スケジューリング処理部14による制御に基づいて、無線リソース割当処理部15が無線リソースを割り当て、移動局30にパケットを送信する(S36)。
【0057】
このように送信バッファ16にパケットが蓄積され始めた時刻をデータ到着時刻として記憶部17に記憶させる構成とすれば、簡単な構成でデータ到着時刻を記憶させることができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態に係る無線通信システム1について説明する。図6は、上り回線において移動局30aから無線基地局10aにパケット送信する場合の無線基地局10a及び移動局30aの構成を示す図である。
【0059】
無線基地局10aは、移動局分類部20、スケジューリング処理部14、無線リソース割当処理部15、送信部18、受信部19を有している。移動局分類部20は、各移動局より受信したQoS情報に基づいて最大許容遅延等により移動局を分類する機能を有する。スケジューリング処理部14は、移動局30aから送信されたQoS制御情報に基づいて、移動局30aから送信されるパケットの受信に関して優先制御を行う機能を有する。無線リソース割当処理部15は、移動局30aからパケットを受信するための無線リソースを割り当てる機能を有する。
【0060】
移動局30aは、発生間隔計測部34、判定部35、送信バッファ36、記憶部37、QoS制御情報作成部31、送信部32、受信部33を有する。送信バッファ36は、移動局30aで発生したパケットを無線基地局10aに送信するまでの間、一時的に蓄積しておく機能を有する。ここでは、送信バッファ36が一つである場合を例として説明するが、送信バッファ36の数は一つに限られず、複数あってもよい。発生間隔計測部34は、移動局30aで発生するパケットの発生間隔Tiを計測する機能を有する。ここで計測されたパケット発生間隔Tiの情報は判定部35に入力される。移動局30aでパケットが発生する場合とは、例えば、移動局30aにおいてメールを作成したり、画像を撮像したりした場合である。判定部35は、発生間隔計測部34から入力されたパケット発生間隔Tiに基づいて、発生したパケットが先に発生したパケットと同じバーストデータを構成するパケットであるか、あるいは先に発生したパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットであるか判定する機能を有する。具体的には、パケット発生間隔Tiがあらかじめ定められた閾値Tth以下である場合には、先に発生したパケットと同じバーストデータを構成するパケットであると判定し、パケット発生間隔Tiが閾値Tthより大きい場合には、先に発生したパケットとは異なるバーストデータを構成するパケットであると判定する。記憶部37は、送信バッファ36にパケットの蓄積が開始された時刻をデータ発生時刻として記憶する機能を有する。なお、記憶部37に記憶されたデータ発生時刻は、送信バッファ36のパケットがすべて送信されたときにリセットされることが好ましい。QoS制御情報作成部31は、伝送誤り率や受信電力に関する情報などの通信品質に関する情報をQoS制御情報として作成する機能を有する。ここでは、記憶部37に記憶されたデータ発生時刻に関する情報もQoS制御情報に含められる。作成されたQoS制御情報は送信部32によって無線基地局10aに送信される。
【0061】
次に、第2実施形態に係る無線通信システム2の動作について、図7を参照しながら説明し、併せて第2実施形態に係る無線通信方法について説明する。
【0062】
まず、移動局30aにおいてパケットが発生する(S40)。移動局30aは、発生したパケットを送信バッファ36に蓄積する(S42)。この際に、送信バッファ36に残存パケットが存在するか否か判定する(S44)。送信バッファ36に残存パケットが存在しない場合には、データ発生時刻を現在時刻に更新し、記憶部37に記憶させる(S46)。送信バッファ36にパケットが存在する場合には、データ発生時刻に関して処理を行わないで、次のステップに移行する。
【0063】
次に、QoS制御情報作成部31によってQoS制御情報を作成する(S48)。この際に、記憶部37に記憶されたデータ発生時刻に関する情報をQoS制御情報に含める。移動局30aは、作成されたQoS制御情報を無線基地局10aに送信する(S48)。
【0064】
無線基地局10aは、移動局30aから送信されたQoS制御情報を受信する(S50)と、スケジューリング処理部14によって、どの移動局30aからパケットを受信するかをスケジューリングする(S52)。そして、無線基地局10aは、スケジューリング処理部14におけるスケジューリングに従って、移動局30aから送信されるパケットを受信する(S54、S56)。図7では記載を省略しているが、スケジューリング処理部14によって通信することが決定された移動局30aに対して、無線基地局10aが制御信号を送信し、その制御信号に基づいて移動局30aは無線基地局10aに対してパケットを送信し(S54)、無線基地局10aはそのパケットを受信する(S56)。
【0065】
第2実施形態に係る無線通信システム2は、移動局30aにおいてデータが発生したデータ発生時刻を記憶し、そのデータ発生時刻をQoS制御情報に含めて無線基地局10aに送信することにより、無線基地局10aは、移動局30aから送信されたデータ発生時刻に基づいてパケット受信の優先制御を行うことができる。これにより、移動局30aにおいてパケットが発生してから無線基地局10aに送信するまでの遅延時間を制御して、QoS要求を満たすことができる。また、バーストデータの先頭パケットが発生した時刻をそのデータ発生時刻として記憶し、それぞれのパケットの発生時刻については管理しない構成なので、それぞれのパケットにタイムスタンプを付与することによって生じる処理遅延をなくし、遅延時間のサポートを行うことができる。
【0066】
また、本実施形態に係る無線通信方法についても同様に、それぞれのパケットにタイムスタンプを付与することによって生じる処理遅延をなくし、遅延時間のサポートを行うことができる。
【0067】
なお、上記第2実施形態では、送信バッファ36にパケットが存在していない場合にデータ発生時刻を更新する構成としたが、パケットの発生間隔に基づいてデータ発生時刻を更新することとしてもよい。図8は、第2実施形態に係る無線通信システム2の動作の他の例を示すフローチャートである。移動局30aにおいてパケットが発生する(S60)と、発生間隔計測部34によってパケットのデータ発生間隔Tiを計測する(S62)。次に、判定部35は、データ発生間隔Tiと閾値Tthとの大小を判定し(S64)、データ発生間隔Tiが閾値Tth以下である場合にはデータ発生時刻を更新しないこととする。データ発生間隔Tiが閾値Tthより大きい場合には、送信バッファ36に残存データがあるか否か判定し(S66)、残存データが存在しない場合には、データ発生時刻Toを現在時刻で更新する(S68)。送信バッファ36に残存データが存在する場合には、現在時刻を第2のデータ到着時刻Tnとして記憶部37に記憶させ、残存データ量をカウンタDに記憶させる(S70)。そして、発生したパケットを送信バッファ36に蓄積する(S72)。その後、移動局30aは、データ発生時刻Toを含むQoS制御情報を作成し、無線基地局10aに送信する(S74)。無線基地局10aは、移動局30aから送信されたQoS情報を受信する(S76)と、受信したQoS情報に含まれるデータ発生時刻に基づいてパケット受信のスケジューリングを行い(S78)、移動局30aが送信したパケットを受信する(S80、S82)。
【0068】
次に、移動局30aでは、送信したパケット数分、カウンタDを減じ(S84)、カウンタDが0であるか判定する(S86)。カウンタDが0になった場合には、データ発生時刻Toに第2のデータ発生時刻Tnを代入して更新する(S88)。このデータ発生時刻Toを含むQoS情報を基地局10aに送信することにより、移動局30aは新たなデータ発生時刻Toによってスケジューリングされることになる。
【0069】
以上、本発明の無線通信システム、無線基地局、移動局について実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0070】
上記実施形態においては、データ到着時刻に基づいて優先制御を行う場合を例として説明したが、データ到着時刻と共に残存データ量を用いて優先制御を行うこととしても良い。
【0071】
また、上記実施形態においては、発明の特徴を理解しやすくするため、無線基地局10から移動局30にパケットを送信する下り回線における遅延制御と、移動局30aから無線基地局10aにパケットを送信する上り回線における遅延制御とを別々の実施形態において説明したが、上り回線、下り回線の双方におけるパケット送信の遅延制御を行うことができる無線基地局、移動局、及びその無線通信システムを構成してもよい。
【0072】
【発明の効果】
本発明は、多様なQoS要求が存在するパケット無線通信システムにおいて、リアルタイム通信をサポートする制御方法として効果を発揮する。一般に、リアルタイムトラフィックにおいて遅延時間を短くするよう要求された場合、バッファ滞留時間を測定するため、送信バッファへの到着時刻を管理する目的でタイムスタンプを付与するといった処理を行っている。従来は、パケット一つ一つにタイムスタンプを付与するという膨大な処理を行っていたが、本発明によれば、遅延時間のサポートを行いつつ、複数のパケットが到着した時刻を記憶するのみの簡単な処理で済ませることが可能である。さらに、残存データを記憶することにより、すべてのパケットにタイムスタンプを付与しなくても、各バーストデータの到着時刻を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される無線通信システムの概要を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る無線基地局の他の動作を示すフローチャートである。
【図4】(a)及び(b)は、記憶部に記憶される情報について説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る無線基地局の他の動作を示すフローチャートである。
【図9】リアルタイム通信における伝送遅延の原因について説明するための図である。
【図10】従来のタイムスタンプ付与における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・無線通信システム、10・・・無線基地局、11・・・到着間隔計測部、12・・・判定部、13・・・パケット分類部、14・・・スケジューリング処理部、15・・・無線リソース割当処理部、16・・・送信バッファ、17・・・記憶部、18・・・送信部、19・・・受信部、20・・・移動局分類部、30・・・移動局、31・・・QoS制御情報作成部、32・・・送信部、33・・・受信部、34・・・発生間隔計測部、35・・・判定部、36・・・送信バッファ、37・・・記憶部。
Claims (11)
- 移動局との間でパケット通信を行う無線基地局であって、
送信すべきパケットを蓄積する複数の送信バッファと、
前記パケットの到着間隔を計測する到着間隔計測手段と、
前記到着間隔計測手段によって計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、
到着間隔が所定の閾値以下であると前記判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、到着間隔が所定の閾値より大きいと前記判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積手段と、
前記送信バッファへのデータの蓄積が開始された時刻をその送信バッファに関するデータ到着時刻として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行う優先制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする無線基地局。 - 移動局との間でパケット通信を行う無線基地局であって、
送信すべきパケットを蓄積する複数の送信バッファと、
前記パケットの到着間隔を計測する到着間隔計測手段と、
前記到着間隔計測手段によって計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、
到着間隔が所定の閾値以下であると前記判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、到着間隔が所定の閾値より大きいと前記判定手段によって判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積手段と、
到着間隔が所定の閾値より大きいと前記判定手段によって判定された場合に、後のパケットが到着した時刻をそのパケットが蓄積される送信バッファに関するデータ到着時刻として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいてパケット送信の優先制御を行う優先制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする無線基地局。 - 前記送信バッファに残存しているデータ量を計測する残存データ量計測手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、前記データ到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶し、第2のデータ到着時刻を記憶した際に前記残存データ量計測手段によって計測された量のデータを前記送信バッファから送信したときに、前記第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。 - 前記記憶手段は、前記送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、その送信バッファに関するデータ到着時刻をリセットする、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線基地局。
- 無線基地局との間でパケット通信を行う移動局であって、
送信すべきパケットを蓄積する送信バッファと、
前記パケットの発生間隔を計測する発生間隔計測手段と、
前記発生間隔計測手段によって計測されたパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を判定する判定手段と、
前記判定手段によって発生間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたデータ発生時刻に関する情報を前記無線基地局に送信する送信手段と、
を備える、
ことを特徴とする移動局。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線基地局と、移動局とによって構成され、前記無線基地局から前記移動局へのパケット通信を優先制御することを特徴とする無線通信システム。
- 無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、
前記無線基地局に到着するパケットの到着間隔を前記無線基地局が計測する到着間隔計測ステップと、
前記到着間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を前記無線基地局が判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値以下であると判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、前記判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積ステップと、
前記送信バッファへのデータの蓄積が開始された時刻をその送信バッファに関するデータ到着時刻として前記無線基地局が記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいて前記無線基地局がパケット送信の優先制御を行う優先制御ステップと、
前記優先制御ステップにおいて制御された順序に従って前記無線基地局が前記移動局にパケットを送信する送信ステップと、
を有する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、
前記無線基地局に到着するパケットの到着間隔を前記無線基地局が計測する到着間隔計測ステップと、
前記到着間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの到着間隔と所定の閾値との大小を前記無線基地局が判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値以下であると判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ送信バッファに蓄積し、前記判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後に到着したパケットを先に到着したパケットと同じ又は異なる送信バッファに蓄積するパケット蓄積ステップと、
前記判定ステップにおいて到着間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが到着した時刻をそのパケットが蓄積される送信バッファに関するデータ到着時刻として前記無線基地局が記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶されたそれぞれの送信バッファに関するデータ到着時刻に基づいて前記無線基地局がパケット送信の優先制御を行う優先制御ステップと、
前記優先制御ステップにおいて制御された順序に従って前記無線基地局が前記移動局にパケットを送信する送信ステップと、
を有する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 前記送信バッファに残存しているデータ量を前記無線基地局が計測する残存データ量計測ステップをさらに備え、
前記記憶ステップでは、前記パケットを蓄積する送信バッファにパケットが残存している場合には、前記無線基地局は前記データ到着時刻を第2のデータ到着時刻として記憶し、第2のデータ到着時刻を記憶した際に前記残存データ量計測手段によって計測された量のデータを前記送信バッファから送信したときに、前記第2のデータ到着時刻をデータ到着時刻に更新する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信方法。 - 前記送信バッファに蓄積されたパケットをすべて送信したときに、前記無線基地局がその送信バッファに関するデータ到着時刻をリセットする到着時刻リセットステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の無線通信方法。
- 無線基地局と移動局とを有する無線通信システムにおいてパケット通信を行う無線通信方法であって、
前記移動局におけるパケットの発生間隔を前記移動局が計測する発生間隔計測ステップと、
前記発生間隔計測ステップにおいて計測されたパケットの発生間隔と所定の閾値との大小を前記移動局が判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて発生間隔が所定の閾値より大きいと判定された場合に、後のパケットが発生した時刻をデータ発生時刻として前記移動局が記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶されたデータ発生時刻に関する情報を前記移動局が前記無線基地局に送信する送信ステップと、
前記送信ステップにおいて送信されたデータ発生時刻に基づいて前記無線基地局が前記移動局からのパケット受信を優先制御する優先制御ステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。
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