JP4023787B2 - 高周波加熱用電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱電力の投入時に、加熱用の高周波電力を短パルス的に、高速な立ち上がりにし、薄肉、小型の被加熱体を、短時間に有効に高周波誘導加熱できる高周波加熱用電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の高周波加熱用電源装置として、薄肉、小型の金属材からなる部品(被加熱体)を高周波誘導加熱で焼入れを行うには、加熱時の出力電力ができるだけ高速で立ち上がる電源装置が必要であった。小さいの電力で長時間加熱すると熱が希望しない部分まで伝導し、良好な焼入れパターンが得られない。また、加熱電力が大きすぎるとオーバーヒートになり、前記部品の加熱部分を溶かしてしまうときがある。
このため、この種の被加熱体に対して、安定した焼入れを行うには、出力電力が高速に立ち上がり、しかも電力管理を十分できる高周波加熱用電源装置が、従来から要求されていた。
【0003】
従来の高周波加熱用電源装置の回路構成を図8に示す。
金属材からなる小型の被加熱体100の高周波焼入れを行うには、一般的に高い周波数が必要とされるので、5MHz帯までの発振が可能な真空管発振器を例にとって説明する。
【0004】
図8の高周波加熱用電源装置101の構成は、3相の商用交流電源Eに例えば電磁開閉器9を介して接続される、並列に互いに逆方向に接続された2個の電力用サイリスタ11a,11b、昇圧トランス12、高圧整流ダイオード13、LC平滑回路14、真空管自励発振回路15及び整合トランス16からなる主回路部2と、高周波加熱コイル3とが、それぞれ直列に接続され、前記加熱コイル3を介して、前記被加熱体100が高周波加熱されるとともに、さらに誤差増幅器4と、出力設定器5及び位相制御器6とで構成されている。
【0005】
そして、前記高圧整流ダイオード13により整流後の高電圧の出力電圧を抵抗分圧用の抵抗17a,17bで検出し、フィードバック信号として前記誤差増幅器4に入力している。
前記フィードバック信号は、加熱電力設定用の前記出力設定器5の設定値(電圧)と比較され、その誤差がゼロになるように位相制御器6の制御により、前記整流後の出力電圧を安定させている。前記出力設定器5の設定値はスイッチ18により入り切りされる。切りの時は前記出力電圧がゼロの値になり、入りの時は前記出力設定器5で設定した値(電圧値)となる。前記スイッチ18は、前記電源装置の加熱ON/OFF信号で駆動される。
前記位相制御器6は、前記商用交流電源Eの周波数に同期し、前記誤差増幅器4からの誤差電圧(誤差信号)により、前記主回路部2のサイリスタ11a,11bの点弧角を調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の高周波加熱用電源装置101において、前記被加熱体100に対し、該電源装置101を使用して1秒以下の短時間加熱を行おうとした場合、高周波出力電力(又は加熱コイル電流)の立ち上がり時間が極めて遅く、良好な焼入れを行うのが困難であるという問題点があった。
前記高周波出力電力(又は加熱コイル電流)の立ち上がり時間を早くするために、前記誤差増幅器4の誤差積分定数を小さくし、高速性を図る試みがなされたが安定して使用できるのは100ms(ミリ秒)ないし200ms程度の立ち上がり時間が限界であった。
【0007】
さらに、前記誤差増幅器4の誤差積分定数を小さくしていくと、フィードバックに乱調が起こる。この乱調の原因は、前記主回路部2がリアクタ及びコンデンサ等で構成されており、フィードバックループが、いわゆる二次遅れになっているからである。また、前記リアクタ及びコンデンサの定数は、前記商用交流電源の周波数を前記サイリスタで10ms毎に制御しているので小さくできないという問題点があった。
【0008】
本発明はかかる点を鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、高周波出力電力(又は加熱コイル電流)の立ち上がり時間が高速で、かつフィードバックループに乱調が発生しない高周波加熱用電源装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、薄肉、小型の被加熱物に対して、例えば短パルス的な1秒以下の短時間で高周波加熱ができる高周波加熱用電源装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、交流電源に接続されるサイリスタと該サイリスタの直流出力電圧により高周波加熱電力を出力する発振器とからなる主回路部と、前記サイリスタの点弧位相角を制御する信号を出力する位相制御器とからなる電源装置において、次のとおりである。
【0011】
前記主回路部と電気的特性がほぼ等価で、前記サイリスタに比べて小容量のサイリスタを含むミニモデル回路部で、前記主回路部に並列に配設されるとともに、前記位相制御器の出力制御信号により前記小容量のサイリスタの点弧位相角が制御される前記ミニモデル回路部と、前記主回路部の加熱電力の出力を設定する出力設定器と、前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗両端からの出力電圧を、前記出力設定器の設定電圧と比較し、その誤差電圧を前記位相制御器に送出する誤差増幅器とを備え、前記位相制御器の出力制御信号により、前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗両端からの出力電圧が、前記出力設定器の設定電圧に一致するような、前記小容量のサイリスタの点弧位相角を制御する信号を基に、前記主回路部の前記サイリスタの点弧位相角を制御する高周波加熱用電源装置である。
【0012】
前記発振器から出力される高周波加熱電力の周波数は、100kHzから5MHzである高周波加熱用電源装置である。
【0013】
前記ミニモデル回路部は、前記交流電源に接続される前記小容量のサイリスタと、整流回路と、前記主回路部の発振器の等価抵抗とからなる受動回路である高周波加熱用電源装置である。
【0014】
さらに、ANDゲート回路を介して、前記主回路部の加熱電力をオンオフする信号により、前記位相制御器による前記主回路部の前記サイリスタの点弧位相角を制御する信号を導通又は遮断する高周波加熱用電源装置である。
【0015】
本発明の高周波加熱用電源装置は、以上のように構成されるので、前記主回路部に電気的特性をほぼ等価になるように近似させたミニモデル回路部を、前記交流電源に対して、前記主回路部に並列に設置し、前記ミニモデル回路部は常にフィードバックをかけた状態にし、該フィードバックの制御信号を分岐して、主回路部を制御する。そして、主回路部に分岐された制御信号を、導通又は遮断することにより前記主回路部からの高周波電力の出力を起動又は停止することができる。
【0016】
また、本発明による作用は、高周波出力電力(又は加熱コイル電流)が高速で立ち上がり、しかも接続される交流電源の電圧変動に対しても、常に一定出力を得ることができるとともに、高速応答の高周波電源を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明の高周波加熱用電源装置1の一実施の形態を示す、該電源装置1の回路図を含む構成図で、図8と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0018】
図1において、前記高周波加熱用電源装置1は、例えば、ほぼ棒状で示す小型の被加熱体100を、高周波加熱コイル3を使用して、周波数が約1MHzにより高周波誘導加熱する装置である。なお、本電源装置1の高周波加熱電力の周波数は、100kHzから5MHzが好ましい。
【0019】
前記高周波加熱用電源装置1は、主回路部2と、ミニモデル回路部20と、高周波加熱コイル3と、誤差増幅器4と、前記主回路部2の加熱電力の出力を設定する出力設定器5と、位相制御器6と、ANDゲート回路7とから構成される。
【0020】
前記主回路部2は、3相の商用交流電源Eに例えば電磁開閉器9を介して接続される、並列にかつ互いに逆方向に接続された2個の電力用サイリスタ11a,11bと、該電力用サイリスタ11a,11bからの交流電圧を昇圧する昇圧トランス12と、昇圧された前記交流電圧を整流する高圧整流ダイオード13と、整流後、直流電圧を得るためのLC平滑回路14と、該直流電圧により高周波加熱電力を出力する真空管自励発振回路15と、該自励発振回路15から出力される高周波電力を、前記加熱コイル3に供給する整合トランス16とが、順に直列に接続されている。なお、前記真空管自励発振回路15は、他の半導体素子による発振回路でもよい。
そして、前記自励発振回路15から出力される高周波電力により、前記整合トランス16及び前記加熱コイル3を介して、前記被加熱体100が高周波加熱される。
【0021】
前記ミニモデル回路部20は、前記主回路部2と電気的特性がほぼ等価な受動回路からなる。しかし、電気的な特性を等価にしているだけで同じ部品を使用しているわけではない。前記主回路部2のサイリスタ11a,11bに対応するのがサイリスタ21a,21bである。該サイリスタ21a,21bの電流容量は、例えば1A〜0.1Aのような小容量のサイリスタである。トランス22は昇圧トランスではなく、数ワットの小型の降圧トランスで、その2次出力電圧は0Vから10V程度である。整流ダイオード23及び直列リアクタ24と直列に接続される抵抗25は、前記主回路部2の前記自励式発振回路15に相当する部分で、等価並列抵抗器にしている。
【0022】
すなわち、前記ミニモデル回路部20の構成は、前記3相の商用交流電源Eに接続される、並列にかつ互いに逆方向に接続された2個の、前記電力用サイリスタ11a,11bに比べて小容量のサイリスタ21a,21bと、該サイリスタ21a,21bからの交流電圧を降圧する降圧トランス22と、降圧された前記交流電圧を整流する低圧整流ダイオード23と、整流後、直流電圧を得るための直列リアクタ24と、前記直流電圧を出力するため、負荷側(前記整合トランス16、前記被加熱体100を加熱中の前記加熱コイル3を含む)を含む前記真空管自励発振回路15の等価並列抵抗25とからなり、それぞれが順に直列に接続されている。
そして、前記ミニモデル回路部20は、前記3相の商用交流電源Eに対して、前記主回路部2と並列に配設、接続されている。
【0023】
前記ミニモデル回路部20の前記自励発振回路15の等価並列抵抗25の両端の出力電圧は、フィードバック信号として前記誤差増幅器4に入力される。
該誤差増幅器4において、前記ミニモデル回路部20からフィードバックされた前記出力電圧と、前記出力設定器5の設定値としての設定電圧とを比較し、その誤差電圧を前記位相制御器6に送出する。
なお、前記位相制御器6は、前記3相の商用交流電源Eの周波数に同期をとっている。
【0024】
そして、前記位相制御器6は、その出力信号により、前記ミニモデル回路部20の前記等価並列抵抗25の両端からの出力電圧を、前記出力設定器5の設定電圧に一致するように、前記ミニモデル回路部20のサイリスタ21a,21bの点弧位相角を制御する。前記等価並列抵抗25の両端からの出力電圧が、0Vで前記サイリスタ21a,21bが全角度で非導通状態になり、全電圧10Vで全角度導通状態(完全に導通された状態)になる。
【0025】
ここで、図2に、前記誤差増幅器4から送出される制御誤差電圧(横軸)に対する、前記ミニモデル回路部20の前記等価並列抵抗25の両端から出力される直流電圧(縦軸)との関係を示す。この縦軸に示す前記ミニモデル回路20の前記出力直流電圧は、前記主回路2における平滑回路14における整流電圧、又は前記加熱コイル3のコイル電流に相当する。
【0026】
図2において、横軸の前記制御誤差電圧と縦軸の前記出力直流電圧との関係は、前記商用交流電源Eの電圧に比例してカーブの傾きが変化する。前記交流電源電圧が、例えば200Vの場合カーブIのようになり、220VになったらカーブIIのようになる。また、該交流電源電圧が下がり180VになったらカーブIIIに示すようになる。
【0027】
前記交流電源電圧が変化したときの前記制御誤差電圧と前記出力直流電圧の関係を図2により説明する。
今、前記交流電源電圧が200Vの場合、前記制御誤差電圧をv1の値にし、カーブIからの出力直流電圧Vを得ている。次に前記交流電源電圧が220Vに上がると前記制御誤差電圧をv2に下げてカーブIIからVの出力直流電圧を得る。前記交流電源電圧が180Vに下がると前記制御誤差電圧をv3に上げて、カーブIIIからVの出力直流電圧を得ている。
【0028】
前記交流電源電圧が220V→200V→180Vに変化するとき、前記制御誤差電圧をv2→v1→v3と変化させて、常にVの一定出力直流電圧を保持している。
このような前記交流電源電圧の変動に対応して、前記位相制御器6の出力信号により、前記主回路部2のサイリスタ11a,11bを制御するようにすると、該主回路部2の前記加熱コイル3のコイル電流も、該交流電源電圧が220V→200V→180Vと変動しても、常に一定のコイル電流に保持できる。
【0029】
図1において、前記位相制御器6は、その出力信号により、前記ミニモデル回路部20のサイリスタ21a,21bの点弧位相角を制御すると同時に、前記ANDゲート回路7の一方の入力端子に入力し、該ANDゲート回路7を通して、前記主回路部2の前記サイリスタ11a,11bの点弧位相角を制御するようにしている。
そして、前記ANDゲート回路7の他方の入力端子に、前記主回路部2の加熱電力をオンオフさせる信号を入力させ、該オンオフ信号により、前記ANDゲート回路7を通して、前記位相制御器6による前記主回路部2の前記サイリスタ11a,11bの点弧位相角を制御する信号を導通又は遮断するようにしている。
【0030】
すなわち、前記ANDゲート回路7において、加熱電力オフ信号のときは、ゲートが遮断され、前記主回路部2のサイリスタ11a,11bへの制御信号は遮断され、加熱電力オンのときは、前記ミニモデル回路部20のサイリスタ21a,21bの点弧角制御信号と同じ制御信号が、前記ANDゲート回路7を通して前記主回路部2のサイリスタ11a,11bのゲートに導通して、前記出力設定器5に設定される設定値と同じ高周波電力が、前記主回路部2から出力される。
【0031】
前記加熱電力オンオフの切替は、フォトカプラ等の半導体スイッチを使用しているので、切替時間は数μs以下の高速で行っている。したがって、前記主回路部2は、常に前記商用交流電源の電圧の変動を補正した状態でオンオフできるので、前記加熱コイル3のコイル電流の立ち上がりの早い高速応答の高周波電流を発生させることができる。
【0032】
次いで、図1の回路図における前記加熱コイル3のコイル電流波形と加熱温度との関係について、説明する。
図1の加熱コイル3の電流の波形例を図3に示す(横軸は時間軸で、周波数は概念的に示し、縦軸は前記加熱コイル電流値)。該波形は高周波のエンベローブを示す。該加熱コイル電流の立ち上がり時に振動的になっているのは、前記主回路部2中に平滑リアクタLと平滑コンデンサCのLC成分があるからである。
【0033】
図4に、時間に対する被加熱体100に投入されるエネルギ量の関係を示す。前記投入されるたエネルギは、加熱コイル電流の2乗の時間積分値を示している。瞬時の前記エネルギ強度は加熱コイル電流の2乗に比例する。また、前記被加熱体100の温度上昇は、前記瞬時エネルギの時間累積(時間積分)になる。図4の縦軸は加熱温度に比例する。
図4から勘案すると、図3の前記コイル電流の立ち上がり時の振動成分は、焼入れ特性にさほど影響を与えていないことがわかる。
【0034】
前記電源装置1からの前記加熱コイル電流の立ち上がりを早くしたときの、被加熱体100の焼入れ特性への効果について説明する。
図5に、前記電源装置1からの、時間に対する前記加熱コイル電流の立ち上がりを示す(縦軸は前記コイル電流の実効値である)。
図中、従来の電源装置101による加熱コイル電流の立ち上がりを101で示し、本実施の形態における前記電源装置1による前記加熱コイル電流の立ち上がりを1で示す。
【0035】
図6は、図5に示す従来の電源装置101と本実施の形態の前記電源装置1の、被加熱体100へのそれぞれの投入エネルギ、すなわち加熱温度の変化を示し、本実施の形態の電源装置1の場合をカーブ1、従来の電源装置101の場合をカーブ101で示す。従来の電源装置101の場合は、コイル電流の立ち上がり時、被加熱体100の温度が緩やかに上がっている。
前記被加熱体100を焼き入れ温度Tまで上げるのに、本実施の形態の前記電源装置1はt1までで済むのに対し、従来の電源装置101では、t1を超えてt2までかかり、時間が長くなっている。
【0036】
前記加熱コイル3のコイル電流の立ち上がりが緩やかで加熱時間が長いとき、被加熱体100の焼入れに及ぼす影響について、図7により説明する。
図7は、被加熱体100のモデルとして金属材からなる円柱状の円周に加熱コイル3を配置して、該被加熱体100の円周面を焼入れするとき、本実施の形態の前記電源装置1の前記加熱コイル電流の立ち上がりが速い場合を図7(a)に、従来の電源装置101の前記加熱コイル電流の立ち上がりの遅い場合を図7(b)に示す。
【0037】
図7(a)及び図7(b)において、縦軸は時間軸で、時間の経過とともに、下方に移行し、時間に対する前記被加熱体100の円周面からの深さ方向の温度パターンと加熱コイル電流との関係を示す。各時間における前記被加熱体100の深さ方向の温度パターン30,130は、本来、立体的に示すべきであるが、図上、やむを得ず平面的に示している(起点がその時間を示す)。
前記加熱コイル電流の立ち上がりの遅い従来の電源装置101では、前記被加熱体100の前記深さ方向の温度パターン130は、前記電源装置1による前記深さ方向の温度パターン30に比べて、緩やかに温度が上がっていくので、熱伝導により内部に熱が伝わり、表面が同一温度の場合、温度が上がっている部分の深さが深くなっていることがわかる。
【0038】
これに対して、本実施の形態のような、前記加熱コイル電流の立ち上がりが速い電源装置1による、前記被加熱体100の斜線で示す焼入部分10は、前記加熱コイル電流の立ち上がりが遅い従来電源101による、斜線で示す焼入部分110に比べ、該被加熱体100の円周面からの深さがかなり浅くなっている。
【0039】
前記加熱コイル電流の立ち上がりが速い電源装置1による焼入部分10と前記加熱コイル電流の立ち上がりが遅い電源装置101による焼入部分110との焼入品質上の比較においては、必要なのは円周面であるが、内部を加熱するとその温度により被加熱体100自体を歪ませてしまう。必要な焼入部分以外への不要な加熱はないほうが好ましいので、前記焼入部分10の方が、前記焼入部分110に比べて優れている。
【0040】
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の高周波加熱用電源装置によれば、サイリスタの直流出力電圧により、高周波加熱電力を出力する電源装置において、主回路部と電気的特性がほぼ等価で、小容量のサイリスタを含む受動回路からなるミニモデル回路部で、前記主回路部に並列に配設され、位相制御器の出力制御信号により前記小容量のサイリスタの点弧位相角が制御される前記ミニモデル回路部と、前記主回路部の加熱電力の出力を設定する出力設定器と、前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗端からの出力電圧を、前記出力設定器の設定電圧と比較し、その誤差電圧を前記位相制御器に送出する誤差増幅器とを備え、前記位相制御器の出力制御信号により、前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗両端からの出力電圧が、前記出力設定器の設定電圧に一致するような、前記小容量のサイリスタの点弧位相角を制御する信号を基に、前記主回路部のサイリスタの点弧位相角を制御するので、高周波出力電力(又は加熱コイル電流)の立ち上がり時間が高速で、かつフィードバックループに乱調が発生しないという優れた効果を奏する。
【0042】
同時に、薄肉、小型の被加熱物に対して、例えば短パルス的な1秒以下の短時間で高周波加熱ができるので、精密な加熱が可能となり、細かな焼入れの調整ができる。
【0043】
本発明の高周波加熱用電源装置は、従来の設備を大きく変更することなく、高速で応答し短時間の加熱を可能とする高周波電源装置を可能とした。また、電源電圧の変動による製品のばらつきを抑えることができた。高速応答、短時間加熱が可能となったので従来、困難とされていた薄板、小型の部品に良好な焼入れができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波加熱用電源装置の一実施の形態を示す、該装置の回路図を含む構成図である。
【図2】誤差増幅器から送出される制御誤差電圧(横軸)と、ミニモデル回路から出力される直流電圧(縦軸)との関係を示す、交流電源電圧の変動時における図である。
【図3】図1の加熱コイルに流れる電流の波形例を示す、高周波のエンベローブの図である。
【図4】被加熱体に投入される加熱用エネルギ量の時間に対する関係を示す図である。
【図5】高周波加熱用電源装置からの加熱コイル電流の、時間に対する立ち上がり変化を示し、本実施の形態における電源装置によるものと、従来の電源装置によるものとの比較を示す図である。
【図6】図5に示す、本実施の形態の電源装置と従来の電源装置との、被加熱体へのそれぞれの投入エネルギ(すなわち、加熱温度)の変化を示す図である。
【図7】加熱コイル電流の立ち上がりによる加熱時間が、被加熱体の焼入に及ぼす影響を示す図で、被加熱体のモデルとして金属材からなる円柱状のものの円周面を焼き入れするとき、図7(a)は、本実施の形態の電源装置の加熱コイル電流の立ち上がりが速い場合、図7(b)は、従来の電源装置の加熱コイル電流の立ち上がりの遅い場合を示す図である。
【図8】従来の高周波加熱用電源装置の回路図を含む構成図である。
【符号の説明】
1,101 高周波加熱用電源装置
2 主回路部
3 高周波加熱コイル
4 誤差増幅器
5 出力設定器
6 位相制御器
7 ANDゲート回路
10,110 焼入部
11a,11b,21a,21b サイリスタ
15 真空管自励発振回路
20 ミニモデル回路部
25 抵抗器(等価並列抵抗器)
30,130 温度パターン
E 商用交流電源

Claims (4)

  1. 交流電源に接続されるサイリスタと該サイリスタの直流出力電圧により高周波加熱電力を出力する発振器とからなる主回路部と、前記サイリスタの点弧位相角を制御する信号を出力する位相制御器とからなる電源装置において、
    前記主回路部と電気的特性がほぼ等価で、前記サイリスタに比べて小容量のサイリスタを含むミニモデル回路部で、前記主回路部に並列に配設されるとともに、前記位相制御器の出力制御信号により前記小容量のサイリスタの点弧位相角が制御される前記ミニモデル回路部と、
    前記主回路部の加熱電力の出力を設定する出力設定器と、
    前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗両端からの出力電圧を、前記出力設定器の設定電圧と比較し、その誤差電圧を前記位相制御器に送出する誤差増幅器とを備え、
    前記位相制御器の出力制御信号により、前記ミニモデル回路部の前記発振器の等価抵抗両端からの出力電圧が、前記出力設定器の設定電圧に一致するような、前記小容量のサイリスタの点弧位相角を制御する信号を基に、前記主回路部の前記サイリスタの点弧位相角を制御することを特徴とする高周波加熱用電源装置。
  2. 前記発振器から出力される高周波加熱電力の周波数は、100kHzから5MHzであることを特徴とする請求項1に記載の高周波加熱用電源装置。
  3. 前記ミニモデル回路部は、前記交流電源に接続される前記小容量のサイリスタと、整流回路と、前記主回路部の発振器の等価抵抗とからなる受動回路であることを特徴とする請求項1に記載の高周波加熱用電源装置。
  4. さらに、ANDゲート回路を介して、前記主回路部の加熱電力をオンオフする信号により、前記位相制御器による前記主回路部の前記サイリスタの点弧位相角を制御する信号を導通又は遮断することを特徴とする請求項1に記載の高周波加熱用電源装置。
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