JP4023134B2 - Ball bearing for hard disk drive - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なハードディスクドライブ用玉軸受に関するものである。
【０００２】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
ハードディスクドライブドライブ（以下「ＨＤＤ」と略記することがある）などの記録装置において、スピンドルモータに使用する玉軸受などの転がり軸受の潤滑には、基油としての合成エステル油と、Ｌｉ石けん系増ちょう剤とを含むグリース組成物を用いることが多い。
このようなグリース組成物の代表例としては、ペンタエリスリトールとセバシン酸ジ−２−エチルヘキシルとのエステルを基油とし、ステアリン酸リチウムと１２−ヒドロキシステアリン酸リチウムとを増ちょう剤としたものなどが挙げられる。
【０００３】
かかるグリース組成物によれば、通常のものに比べて転がり軸受の振動値を低減させ、音響性能（音響寿命）を向上させることができる。
しかし近時、ＨＤＤなどにおける記録密度の増大に伴って、その回転数をこれまでよりも増加させることが求められており、それを達成するためには現状よりもさらに高い音響性能が必要となるが、上記のグリース組成物ではこの要求を十分に満足できなくなりつつある。
【０００４】
またとくにＨＤＤでは、記録密度の増大に伴って、磁気ヘッドのローディング機構がＣＳＳ（コンタクト・スタート・ストップ）方式からランプロードアンロード方式に移行しつつある。このため、ＨＤＤの輸送時等に外部振動が加わるとハードディスクが微小振動して、その回転軸に繋がれたスピンドルモータの、転がり軸受の転送面にフレッチング摩耗を生じ、回転駆動時の騒音が大きくなることがある。
【０００５】
すなわちＣＳＳ方式であれば、スピンドルモータの停止時にも磁気ヘッドがハードディスクに接触しており、この接触によってハードディスクが固定されているため、輸送時等の振動によってハードディスクが微小振動することは無く、転がり軸受の転送面にフレッチング摩耗を生じることはなかった。
しかしランプロードアンロード方式では、スピンドルモータの停止時に、磁気ヘッドがハードディスクから離れてランプに収容されており、ハードディスクはフリーの状態となるため、前記のように輸送時等の振動によって微小振動して、転がり軸受の転送面にフレッチング摩耗を生じるのである。
【０００６】
そこで特にＨＤＤ用の玉軸受に封入するグリース組成物には、転がり軸受の耐フレッチング性を向上する機能が求められる傾向にあるが、上記従来のグリース組成物ではこの要求にも十分に対応できないという問題がある。
本発明の目的は、転がり軸受の音響性能と耐フレッチング性とを同時に向上することができる新規なグリース組成物を封入したＨＤＤ用玉軸受を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するため、発明者は、種々の添加剤について検討を行った。その結果、カルシウムスルフォネートが、転がり軸受の音響性能と耐フレッチング性とを同時に向上するために有効であるとの知見を得た。
すなわちカルシウムスルフォネートは、転がり軸受を形成する鋼表面に不可逆性の強い単分子吸着膜を形成して、軸受部品の接触面における表面突起同士の直接的な接触を防止する機能を有するため、転がり軸受の音響性能と耐フレッチング性とを同時に向上できることを見出した。
【０００８】
しかしその後の検討によって、同じカルシウムスルフォネートであっても、上記の効果に優れたものとそうでないものとがあることが判った。
そこで発明者は、カルシウムスルフォネートの何が、転がり軸受の音響性能や耐フレッチング性に影響しているかについてさらに検討した結果、カルシウムスルフォネート中に含まれるカルシウムの含有割合が、これらの特性と密接に関わっていることを見出した。
【０００９】
そこで発明者は、カルシウムの含有割合の範囲を規定すべくさらに検討した結果、基油としての合成エステル油と、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムとを含む系では、含有割合が０．２〜２０重量％であるカルシウムスルフォネートを含有させると、ＨＤＤ用玉軸受の音響性能や耐フレッチング性を特異的に向上することを見出した。
また発明者は、上記特定のカルシウムスルフォネートの配合割合についても検討した結果、当該カルシウムスルフォネートを、前記基油としての合成エステル油と、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムとの合計量１００重量部に対して０．５〜１０重量部の割合で配合する必要があることを見出した。
【００１０】
したがって請求項１記載の発明は、基油としての合成エステル油と、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムと、カルシウムスルフォネートとを含み、かつカルシウムスルフォネートとして、カルシウムの含有割合が０．２〜２０重量％であるものを用いるとともに、当該カルシウムスルフォネートを、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対して０．５〜５重量部の割合で配合して、２５℃における混和ちょう度が２５０〜３００の範囲に調整されたグリース組成物を封入したことを特徴とするＨＤＤ用玉軸受である。
【００１１】
また発明者は、上記特定のカルシウムスルフォネートと組み合わせる他の成分についても検討した結果、ＨＤＤにおけるスピンドルモータ用として適した、低トルクの玉軸受を構成するためには、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムの配合量は、当該ステアリン酸リチウムと、基油としての合成エステル油の総量中に占める割合で表して５〜３０重量％であるのが好ましいこと、合成エステル油として、ペンタエリスリトールエステル油を用いるのが好ましいことを見出した。
【００１２】
したがって請求項２記載の発明は、グリース組成物における、ステアリン酸リチウムＴと合成エステル油Ｏとの配合比Ｔ／Ｏ（重量比）が５／９５〜３０／７０である請求項１に記載のＨＤＤ用玉軸受である。
また請求項３記載の発明は、基油として、ペンタエリスリトールエステル油を用いる請求項１または２に記載のＨＤＤ用玉軸受である。
【００１３】
本発明によれば、以上で説明した作用効果により、これまでよりも音響性能や耐フレッチング性に優れたＨＤＤ用玉軸受が得られる。
したがって前記本発明のＨＤＤ用玉軸受は、とくにランプロードアンロード方式の大容量のＨＤＤなどにおける、スピンドルモータ用の軸受として好適に使用することができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
〈グリース組成物〉
本発明のＨＤＤ用玉軸受に封入するグリース組成物は、前述したように基油としての合成エステル油と、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムと、カルシウムスルフォネートとを含むものである。
（カルシウムスルフォネート）
このうちカルシウムスルフォネートとして、本発明では、前記のようにカルシウムの含有割合が０．２〜２０重量％であるものを用いる必要がある。
【００１５】
カルシウムの含有割合が０．２重量％未満であるか、または２０重量％を超えるカルシウムスルフォネートは、この何れのものも、転がり軸受の音響性能や耐フレッチング性を向上することができない。
なおこれらの特性をさらに向上することを考慮すると、カルシウムスルフォネートとしては、カルシウムの含有割合が、上記の範囲内でもとくに２〜２０重量％であるものを用いるのが好ましい。
【００１６】
カルシウムスルフォネートは、一般式(1)：
(ＲＳＯ₃)₂Ｃａ (1)
〔式中、Ｒは有機基を示す。〕
で表され、清浄分散剤、さび止め添加剤などとしてグリース組成物や潤滑油などに使用されるスルフォン酸のカルシウム塩であって、その原料によって石油系と合成系とに分類されており、そのうち合成系には、基Ｒの基本骨格によってアルキルベンゼン系とジノニルナフタレン系とが含まれる。
【００１７】
本発明では、上記種々のカルシウムスルフォネートの中から、スルフォン酸を構成する有機基Ｒの分子量を調整したり、あるいはオーバーベースにより余分にＣａ（ＯＨ）₂を含有させる場合はその含有量を調整したりすることで、上記の条件を満たしたものを選択して使用することができる。
上記特定のカルシウムスルフォネートの配合割合、すなわちカルシウムスルフォネートの、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対する割合は、０．５〜１０重量部である必要がある。
【００１８】
配合割合が０．５重量部未満では、当該カルシウムスルフォネートを加えたことによる効果が得られず、転がり軸受の音響性能や耐フレッチング性を向上することができない。また配合割合が１０重量部を超えても、それ以上の添加効果が得られないだけでなく、過剰のカルシウムスルフォネートがグリース組成物の他の特性に影響を及ぼす。
なお、グリース組成物の他の特性に影響を及ぼすことなく、転がり軸受の音響性能や耐フレッチング性をさらに向上することを考慮すると、カルシウムスルフォネートの、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対する配合割合は、前記の範囲内でもとくに１〜８重量部であるのが好ましい。
【００１９】
（基油）
基油としては合成エステル油を用いる。
合成エステル油としてはジエステル油、ポリオールエステル油などの種々の合成エステル油がいずれも使用可能である。とくに前記のようにジエステル油や、あるいはポリオールエステル油のうちトリオールを出発原料とするトリエステル油、テトラオールを出発原料とするテトラエステル油などが好ましい。このうちジエステル油としては、例えばセバシン酸ジ−２−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−２−エチルヘキシル、ドデカン二酸ジ−２−エチルヘキシルなどがあげられる。また、トリエステル油としてはトリメチロールプロパンの各種エステル類があげられ、テトラエステル油としてはペンタエリスリトールの各種エステル類があげられる。中でも、基油としては、ペンタエリスリトールエステル油が好ましい。
【００２０】
（増ちょう剤）
増ちょう剤としてはステアリン酸リチウムを用いる。
【００２１】
グリース組成物として適度な混和ちょう度を得るために、ステアリン酸リチウムの配合量は、当該ステアリン酸リチウムと基油との総量中に占める割合で表して５〜３０重量％、すなわちステアリン酸リチウムＴと基油Ｏとの配合比Ｔ／Ｏ（重量比）で表して５／９５〜３０／７０であるのが好ましい。これによりグリース組成物は、２５℃における混和ちょう度が２５０〜３２０、好ましくは２５０〜３００の範囲に調整され、前述したＨＤＤにおけるスピンドルモータ用として適した、低トルクのＨＤＤ用玉軸受を構成することが可能となる。
【００２２】
（他の添加剤）
グリース組成物には、上記の各成分の他に、さらに必要に応じて、例えば酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、構造安定剤、固体潤滑剤などの、従来公知の種々の添加剤を配合しても良い。各添加剤の配合量は、それぞれ従来と同程度でよい。
【００２３】
（グリース組成物の製造）
グリース組成物は、従来と同様にして製造される。
すなわち、あらかじめ別個に合成しておいたＬｉ石けん系増ちょう剤と基油とを加熱下でかく拌、混合して、増ちょう剤を基油中に分散もしくは溶解したのち冷却してゲル化させ、さらにミリング処理することでグリース組成物が製造される。
【００２４】
カルシウムスルフォネートその他の添加剤は、増ちょう剤と基油とのかく拌、混合工程から、ミリング処理工程までの任意の工程で配合することができる。また、ミリング処理まで完了したグリース組成物に、さらにその後の工程で添加剤を配合してグリース組成物とすることもできる。
〈ＨＤＤ用玉軸受〉
本発明のＨＤＤ用玉軸受は、上記グリース組成物を封入したことを特徴とするものである。
【００２５】
玉軸受としては、ＨＤＤのスピンドルモータ用として適した、深溝玉軸受やアンギュラ型玉軸受などが好適に採用される。
【００２６】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例１
基油としてのペンタエリスリトールエステル油（４０℃における動粘度３０ｍｍ²／ｓ）８４重量部と、Ｌｉ石けん系増ちょう剤としての炭素数１８のステアリン酸リチウム１６重量部と、カルシウムの含有割合が２．１重量％であるカルシウムスルフォネート１．０重量部とを用いて、前述した混合法によってグリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２８１であった。
【００２７】
実施例２、比較例１
カルシウムスルフォネートの量を５．０重量部（実施例２）、または０．１重量部（比較例１）としたこと以外は実施例１と同様にして、グリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２９６（実施例２）、および２７６（比較例１）であった。
実施例３、比較例２
カルシウムスルフォネートとして、カルシウムの含有割合が２．３重量％であるものを用い、かかるカルシウムスルフォネートの量を２．０重量部（実施例３）、または７．５重量部（比較例２）としたこと以外は実施例１と同様にして、グリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２８６（実施例３）、および３１５（比較例２）であった。
【００２８】
実施例４、５
カルシウムスルフォネートとして、カルシウムの含有割合が１８．５重量％であるものを用い、かかるカルシウムスルフォネートの量を１．０重量部（実施例４）、または３．０重量部（実施例５）としたこと以外は実施例１と同様にして、グリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２８３（実施例４）、および２９０（実施例５）であった。
【００２９】
比較例３
基油として、４０℃における動粘度が３０ｍｍ²／ｓである鉱油を同量、用いたこと以外は実施例２と同様にして、グリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２９５であった。
比較例４
カルシウムスルフォネートとして、カルシウムの含有割合が２５重量％であるものを用い、かかるカルシウムスルフォネートの量を２．０重量部としたこと以外は実施例１と同様にして、グリース組成物を製造した。製造したグリース組成物の、２５℃における混和ちょう度は２８５であった。
【００３０】
上記各実施例、比較例で製造したグリース組成物を、それぞれ呼び番号６９５の深溝玉軸受（内径５ｍｍ、外径１３ｍｍ、幅４ｍｍ）に封入し、下記の試験を行ってその特性を評価した。
耐フレッチング性試験
各実施例、比較例のグリース組成物を封入した深溝玉軸受に、下記の条件で繰り返し微小振動を加えた。
【００３１】
（微小振動条件）
揺動角：１°
振動周波数：５Ｈｚ
振動回数：９０００回
軸受与圧（アキシャル荷重）：１４．７Ｎ
環境温度：２５℃
そして微小振動を加える前後で軸受を回転させた際の振動を測定して、振動の上昇幅の大小によって、下記の３段階で、転がり軸受の転送面にフレッチング摩耗を生じたか否かを評価した。
【００３２】
◎：振動の上昇幅が１０ｍＧ以下。フレッチング摩耗はほとんど発生せず。耐フレッチング性極めて良好。
○：振動の上昇幅が１０ｍＧを超え、５０ｍＧ以下。フレッチング摩耗は僅かに発生したものの、実用上差し支えなし。耐フレッチング性良好。
×：振動の上昇幅が５０ｍＧを超えた。フレッチング摩耗が発生した。耐フレッチング性不良。
【００３３】
音響性能試験
各実施例、比較例のグリース組成物を封入した深溝玉軸受の内輪を固定した状態で、外輪を、下記の条件で連続回転させた。
（連続回転条件）
外輪回転数：５４００ｒｐｍ
振動時間：２０時間
軸受与圧（アキシャル荷重）：１４．７Ｎ
環境温度：７０℃
そして連続回転を行う前後で軸受を回転させた際の振動を測定して、振動の上昇幅の大小によって、下記の３段階で、転がり軸受の音響性能を評価した。
【００３４】
◎：振動の上昇幅が５ｍＧ以下。音響の上昇はほとんどなし。音響性能極めて良好。
○：振動の上昇幅が５ｍＧを超え、２０ｍＧ以下。音響が僅かに上昇するものの、実用上差し支えなし。音響性能良好。
×：振動の上昇幅が２０ｍＧを超えた。音響が上昇した。音響性能不良。
以上の結果を表１に示す。
【００３５】
【表１】

【００３６】
表より、カルシウムスルフォネートの配合割合を、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対して０．５重量部未満とした比較例１、基油として合成エステル油でなく鉱油を用いた比較例３、ならびにカルシウムの含有割合が２０重量％を超えるカルシウムスルフォネートを用いた比較例４のグリース組成物を封入したＨＤＤ用玉軸受はいずれも、耐フレッチング性、音響性能ともに不良となることがわかった。また、カルシウムスルフォネートの配合割合を、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対して５重量部を超える範囲とした比較例２のグリース組成物を封入したＨＤＤ用玉軸受は、２５℃における混和ちょう度が３００を超えるため、スピンドルモータ用として適した低トルク化が図れないことが判った。
【００３７】
これに対し、各実施例のグリース組成物を封入した転がり軸受はいずれも、耐フレッチング性、音響性能ともに良好もしくは極めて良好となることが確認された。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel ball bearing for a hard disk drive .
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
In a recording device such as a hard disk drive ( hereinafter abbreviated as “ HDD ” ), a roller bearing such as a ball bearing used for a spindle motor is lubricated with a synthetic ester oil as a base oil and a Li soap-based lubricant. In many cases, a grease composition containing a funnel is used.
Representative examples of such grease compositions include those based on an ester of pentaerythritol and di-2-ethylhexyl sebacate and a thickener consisting of lithium stearate and lithium 12-hydroxystearate. Can be mentioned.
[0003]
According to such a grease composition, the vibration value of the rolling bearing can be reduced and the acoustic performance (acoustic life) can be improved as compared with a normal one.
However, recently, with the increase in recording density in HDDs and the like, it has been required to increase its rotational speed more than before, and in order to achieve this, higher acoustic performance than the current situation is required. However, the above-mentioned grease composition is not fully satisfying this requirement.
[0004]
In particular, in HDDs, as the recording density increases, the magnetic head loading mechanism is shifting from the CSS (contact start / stop) system to the ramp load unload system. For this reason, when external vibrations are applied during HDD transportation, the hard disk vibrates slightly, causing fretting wear on the transfer surface of the rolling bearing of the spindle motor connected to the rotating shaft, resulting in large noise during rotational driving. May be.
[0005]
In other words, in the case of the CSS system, the magnetic head is in contact with the hard disk even when the spindle motor is stopped, and the hard disk is fixed by this contact. There was no fretting wear on the transfer surface of the bearing.
However, in the ramp load / unload method, when the spindle motor is stopped, the magnetic head is separated from the hard disk and accommodated in the ramp, and the hard disk is in a free state. As a result, fretting wear occurs on the transfer surface of the rolling bearing.
[0006]
Therefore, grease compositions encapsulated in ball bearings for HDDs, in particular, tend to require a function to improve the fretting resistance of rolling bearings. However, the conventional grease composition cannot sufficiently meet this requirement. There's a problem.
An object of the present invention is to provide a ball bearing for HDD in which a novel grease composition that can simultaneously improve the acoustic performance and fretting resistance of a rolling bearing is enclosed .
[0007]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
In order to solve the above problems, the inventor has studied various additives. As a result, it was found that calcium sulfonate is effective for simultaneously improving acoustic performance and fretting resistance of rolling bearings.
In other words, calcium sulfonate has a function to prevent direct contact between surface protrusions on the contact surface of the bearing component by forming a highly irreversible monomolecular adsorption film on the steel surface forming the rolling bearing. It was found that the acoustic performance and anti-fretting resistance of the rolling bearing can be improved at the same time.
[0008]
However, subsequent studies have revealed that some of the same calcium sulfonates are excellent in the above effects and others are not.
Therefore, as a result of further examination of what calcium sulfonates affect the acoustic performance and fretting resistance of rolling bearings, the content ratio of calcium contained in calcium sulfonates is the characteristic of these properties. And found it closely related.
[0009]
Therefore, as a result of further investigation to define the range of the content ratio of calcium, the inventor has a content ratio of 0.2 to 0.2 in a system including a synthetic ester oil as a base oil and lithium stearate as a thickener. It has been found that when 20% by weight of calcium sulfonate is contained , the acoustic performance and fretting resistance of the HDD ball bearing are specifically improved.
The inventor has also studied the blending ratio of the specific calcium sulfonate, and as a result, the calcium sulfonate has a total amount of the synthetic ester oil as the base oil and the lithium stearate as the thickener. It has been found that it is necessary to add 0.5 to 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight.
[0010]
Accordingly, the invention of claim 1 includes a synthetic ester oil as a base oil, lithium stearate as a thickener , and calcium sulfonate, and the calcium sulfonate has a calcium content of 0.00. together used as 2 to 20 wt%, the calcium sulfonate is formulated in a proportion of 0.5 to 5 parts by weight per 100 parts by weight of the total amount of base oil and a thickener, 25 A ball bearing for HDD, wherein a grease composition having a blending degree at 250C of 250 to 300 is enclosed .
[0011]
Further, as a result of studying other components combined with the above-mentioned specific calcium sulfonate, the inventor has found that a stearin as a thickener is necessary to construct a low torque ball bearing suitable for a spindle motor in an HDD. The blending amount of the lithium acid is preferably 5 to 30% by weight, expressed as a proportion of the total amount of the lithium stearate and the synthetic ester oil as the base oil , and the pentaerythritol ester oil as the synthetic ester oil. It has been found that it is preferable to use
[0012]
Therefore, the invention according to claim 2 is the grease composition according to claim 1 , wherein the blending ratio T / O (weight ratio) of lithium stearate T and synthetic ester oil O in the grease composition is 5/95 to 30/70. This is a ball bearing for HDD .
The invention according to claim 3 is the ball bearing for HDD according to claim 1 or 2, wherein pentaerythritol ester oil is used as the base oil.
[0013]
According to the present invention , the ball bearing for HDD excellent in acoustic performance and fretting resistance than before can be obtained by the effects described above.
Therefore , the ball bearing for HDD of the present invention can be suitably used as a spindle motor bearing particularly in a ramp load / unload large capacity HDD.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described below.
<Grease composition>
As described above, the grease composition to be sealed in the HDD ball bearing of the present invention contains a synthetic ester oil as a base oil , lithium stearate as a thickener , and calcium sulfonate.
(Calcium sulfonate)
Of these, as the calcium sulfonate, in the present invention, it is necessary to use the calcium sulfonate having a content of 0.2 to 20% by weight as described above.
[0015]
None of these calcium sulfonates having a calcium content of less than 0.2% by weight or more than 20% by weight can improve the acoustic performance and fretting resistance of the rolling bearing.
In consideration of further improving these characteristics, it is preferable to use calcium sulfonate having a calcium content of 2 to 20% by weight even within the above range.
[0016]
Calcium sulfonate is represented by the general formula (1):
(RSO ₃ ) ₂ Ca (1)
[Wherein R represents an organic group. ]
It is a calcium salt of sulfonic acid that is used in grease compositions and lubricating oils as a detergent dispersant, rust inhibitor, etc., and is classified into petroleum and synthetic types according to its raw materials. Synthetic systems include alkylbenzenes and dinonylnaphthalenes depending on the basic skeleton of the group R.
[0017]
In the present invention, among the above-mentioned various calcium sulfonates, the molecular weight of the organic group R constituting the sulfonic acid is adjusted, or when extra Ca (OH) ₂ is contained by the overbase, the content is changed. By adjusting, it is possible to select and use one that satisfies the above conditions.
The blending ratio of the specific calcium sulfonate, that is, the ratio of the calcium sulfonate to the total amount of 100 parts by weight of the base oil and the thickener needs to be 0.5 to 10 parts by weight.
[0018]
When the blending ratio is less than 0.5 parts by weight, the effect of adding the calcium sulfonate cannot be obtained, and the acoustic performance and anti-fretting resistance of the rolling bearing cannot be improved. Further, when the blending ratio exceeds 10 parts by weight, not only the effect of addition is not obtained, but also excessive calcium sulfonate affects other properties of the grease composition.
In consideration of further improving the acoustic performance and fretting resistance of rolling bearings without affecting other properties of the grease composition, the total amount of calcium sulfonate and base oil and thickener The blending ratio with respect to 100 parts by weight is particularly preferably 1 to 8 parts by weight even within the above range.
[0019]
(Base oil)
Synthetic ester oil is used as the base oil.
As the synthetic ester oil, any of various synthetic ester oils such as diester oil and polyol ester oil can be used. In particular, as described above, diester oils, or triester oils starting from triols among polyol ester oils, tetraester oils starting from tetraols, and the like are preferred. Among these, examples of the diester oil include di-2-ethylhexyl sebacate, di-2-ethylhexyl azelate, and di-2-ethylhexyl dodecanedioate. Examples of the triester oil include various esters of trimethylolpropane, and examples of the tetraester oil include various esters of pentaerythritol. Among these, pentaerythritol ester oil is preferable as the base oil.
[0020]
( Thickener)
As the thickener, lithium stearate is used.
[0021]
To obtain an appropriate worked penetration as grease composition, the amount of lithium stearate, 5-30 weight% expressed as a proportion of the total amount of the lithium stearate and the base oil, i.e. lithium stearate T It is preferably 5/95 to 30/70 in terms of a blending ratio T / O (weight ratio) between the base oil O and the base oil O. This the grease composition, is worked penetration at 25 ° C. 250 to 320, preferably adjusted to a range of 250 to 300, suitable for the definitive spindle motor before mentioned the HD D, ball bearings for low torque HDD Can be configured.
[0022]
( Other additives)
The grease composition, in addition to the above-mentioned components, if necessary, such as antioxidants, extreme pressure agents, antiwear agents, rust inhibitors, corrosion inhibitors, structural stabilizers, solid lubricants such as Various known additives may be blended. The amount of each additive may be the same as that of the conventional one.
[0023]
(Manufacture of grease composition)
Grease compositions are prepared in the same manner as conventional.
That is, Li soap thickener and base oil synthesized separately in advance are stirred and mixed under heating, and the thickener is dispersed or dissolved in the base oil and then cooled and gelled. Furthermore, a grease composition is produced by milling.
[0024]
Calcium sulfonate and other additives can be blended in any step from the stirring and mixing step of the thickener and the base oil to the milling step. Further, the grease composition was completed to milling may be a further grease composition by blending an additive in a subsequent step.
< HDD ball bearings >
The ball bearing for HDD of the present invention is characterized in that the above grease composition is enclosed.
[0025]
The ball bearing, suitable for the spin dollars motors HDD, such as deep groove ball bearings or angular contact type ball bearings is preferably employed.
[0026]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described based on examples and comparative examples.
Example 1
84 parts by weight of pentaerythritol ester oil (kinematic viscosity 30 mm ² / s at 40 ° C.) as a base oil, 16 parts by weight of lithium stearate having 18 carbon atoms as a Li soap thickener, and a calcium content of 2 A grease composition was prepared by the above-described mixing method using 1.0 part by weight of calcium sulfonate that was 1% by weight. The grease composition thus produced had a blending degree of 281 at 25 ° C.
[0027]
Example 2 and Comparative Example 1
A grease composition was produced in the same manner as in Example 1 except that the amount of calcium sulfonate was 5.0 parts by weight (Example 2) or 0.1 parts by weight (Comparative Example 1). The grease composition thus produced had a penetration of 296 (Example 2) and 276 (Comparative Example 1) at 25 ° C.
Example 3 and Comparative Example 2
A calcium sulfonate having a calcium content of 2.3% by weight is used, and the amount of the calcium sulfonate is 2.0 parts by weight (Example 3) or 7.5 parts by weight ( Comparative Example). A grease composition was produced in the same manner as in Example 1 except that 2 ). The grease composition thus produced had a penetration of 286 (Example 3) and 315 ( Comparative Example 2 ) at 25 ° C.
[0028]
Examples 4 and 5
A calcium sulfonate having a calcium content of 18.5% by weight is used, and the amount of the calcium sulfonate is 1.0 parts by weight ( Example 4 ) or 3.0 parts by weight ( Examples). A grease composition was produced in the same manner as in Example 1 except that 5 ). The grease composition thus produced had a penetration of 283 ( Example 4 ) and 290 ( Example 5 ) at 25 ° C.
[0029]
Comparative Example 3
A grease composition was produced in the same manner as in Example 2 except that the same amount of mineral oil having a kinematic viscosity at 40 ° C. of 30 mm ² / s was used as the base oil. The grease composition thus produced had a blending degree of 295 at 25 ° C.
Comparative Example 4
As the calcium sulfonate, a grease composition was used in the same manner as in Example 1 except that the calcium content was 25% by weight and the amount of the calcium sulfonate was 2.0 parts by weight. Manufactured. The grease composition thus produced had a mixing penetration of 285 at 25 ° C.
[0030]
The grease compositions produced in the above Examples and Comparative Examples were each enclosed in a deep groove ball bearing (inner diameter 5 mm, outer diameter 13 mm, width 4 mm) having a nominal number of 695, and the following tests were conducted to evaluate the characteristics.
Fretting resistance test A minute vibration was repeatedly applied to the deep groove ball bearing in which the grease composition of each example and comparative example was sealed under the following conditions.
[0031]
(Micro vibration condition)
Oscillation angle: 1 °
Vibration frequency: 5Hz
Number of vibrations: 9000 times Bearing pressure (axial load): 14.7N
Environmental temperature: 25 ° C
Then, the vibration when the bearing was rotated before and after applying minute vibration was measured, and it was evaluated whether fretting wear occurred on the transfer surface of the rolling bearing in the following three stages depending on the magnitude of the increase in vibration. .
[0032]
A: The increase width of the vibration is 10 mG or less. Little fretting wear occurs. Very good fretting resistance.
A: The increase width of the vibration exceeds 10 mG and is 50 mG or less. Although fretting wear occurred slightly, there is no practical problem. Good fretting resistance.
X: The increase width of the vibration exceeded 50 mG. Fretting wear occurred. Poor fretting resistance.
[0033]
Acoustic Performance Test With the inner ring of the deep groove ball bearing in which the grease composition of each example and comparative example was sealed, the outer ring was continuously rotated under the following conditions.
(Continuous rotation condition)
Outer ring rotation speed: 5400 rpm
Vibration time: 20 hours Bearing pressure (axial load): 14.7N
Environmental temperature: 70 ℃
And the vibration at the time of rotating a bearing before and after performing continuous rotation was measured, and the acoustic performance of the rolling bearing was evaluated in the following three stages according to the magnitude of the increase in vibration.
[0034]
(Double-circle): The raise width of a vibration is 5 mG or less. There is almost no increase in sound. Very good acoustic performance.
○: The increase width of the vibration exceeds 5 mG and is 20 mG or less. Although the sound increases slightly, there is no practical problem. Good acoustic performance.
X: The increase width of the vibration exceeded 20 mG. The sound rose. Sound performance is poor.
The results are shown in Table 1.
[0035]
[Table 1]

[0036]
From the table, the mixing ratio of calcium sulfonate is less than 0.5 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of base oil and thickener. both Comparative example 3, as well as calcium HDD for ball bearing content ratio encapsulating grease composition of Comparative example 4 using the calcium sulfonate of more than 20 wt% of using, fretting resistance, the acoustic performance of both poor I found out that Moreover, the ball bearing for HDD which enclosed the grease composition of the comparative example 2 which made the compounding ratio of calcium sulfonate the range exceeding 5 weight part with respect to 100 weight part of total amounts of base oil and a thickener is the following. It has been found that the blending degree at 25 ° C. exceeds 300, so that it is not possible to achieve a low torque suitable for a spindle motor.
[0037]
On the other hand, it was confirmed that all the rolling bearings in which the grease composition of each example was sealed had good or extremely good fretting resistance and acoustic performance.

Claims (3)

基油としての合成エステル油と、増ちょう剤としてのステアリン酸リチウムと、カルシウムスルフォネートとを含み、かつカルシウムスルフォネートとして、カルシウムの含有割合が０．２〜２０重量％であるものを用いるとともに、当該カルシウムスルフォネートを、基油と増ちょう剤との合計量１００重量部に対して０．５〜５重量部の割合で配合して、２５℃における混和ちょう度が２５０〜３００の範囲に調整されたグリース組成物を封入したことを特徴とするハードディスクドライブ用玉軸受。A synthetic ester oil as a base oil, lithium stearate as a thickener , and calcium sulfonate, and a calcium sulfonate having a calcium content of 0.2 to 20% by weight While being used, the calcium sulfonate is blended at a ratio of 0.5 to 5 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of the base oil and the thickener, and the penetration at 25 ° C. is 250 to 300. A ball bearing for a hard disk drive, which is filled with a grease composition adjusted to the above range . グリース組成物における、ステアリン酸リチウムＴと合成エステル油Ｏとの配合比Ｔ／Ｏ（重量比）が５／９５〜３０／７０である請求項１に記載のハードディスクドライブ用玉軸受。The ball bearing for a hard disk drive according to claim 1, wherein a blending ratio T / O (weight ratio) of lithium stearate T and synthetic ester oil O in the grease composition is 5/95 to 30/70. 基油として、ペンタエリスリトールエステル油を用いる請求項１または２に記載のハードディスクドライブ用玉軸受。The ball bearing for a hard disk drive according to claim 1, wherein pentaerythritol ester oil is used as the base oil.