JP4022378B2 - 陰極線管 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部磁気シールドと地磁気補正コイルとを備え、地磁気補正コイルの発生する磁界により、地磁気に起因する電子ビームのずれを補正する陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーテレビジョン受像機、コンピュータ用のディスプレイ等に用いられる陰極線管は、電子銃から発射された電子ビームを偏向ヨークの磁界により蛍光面に沿って走査している。このため、管内部の電子ビーム走査領域を通過する電子ビームは、地磁気等の外部磁界の影響を受けやすく、この外部磁界の影響を抑制するために、陰極管線は、ファンネル内に内部磁気シールドを、またファンネルの蛍光面寄りの外周部に地磁気補正コイルを夫々備えている。
【0003】
しかし、内部磁気シールドと交叉しない地磁気、つまり陰極線管の管軸方向の地磁気成分が陰極線管に作用すると、地磁気補正コイルから補正磁界を発生させても、画面の上下部における幅方向の中央部で、図9に矢印で示すように、電子ビームが左方又は右方に余分の偏向力を受けることになり、結果的に電子ビームが蛍光面の所定位置からずれた位置に到達する、所謂ミスランディングが生じ、特に水平方向のずれにより色むら等の画質の低下を招いてしまう。
【0004】
一般に、管軸方向の地磁気成分に起因する電子ビームのずれが、画面の上下部(以下、「NS部」ともいう。)で幅方向の中央側においてそのコーナー側より大きく、逆に地磁気補正コイルからの補正磁界の感度は画面NS部において幅方向のコーナー側がその中央側より高くなり、上記ミスランディングが生じると考えられている。
【0005】
そこで、このミスランディングを抑制するために、特開平9−233486号公報に記載のように、地磁気補正コイルの、画面NS部の幅方向の中央に対応する部分を湾曲させて、地磁気補正コイルの発生する補正磁界を画面NS部の幅方向の中央で強くする技術が提案されている。この技術によれば、地磁気補正コイルからの補正磁界の磁力密度を画面NS部における幅方向の中央側で高くできるので、画面のNS部における幅方向の中央で生じる電子ビームのミスランディングを小さく抑制することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、画像の高精細化への要望が特に強く、電子ビームのミスランディングの許容度が極めて小さいものが求められるようになり、上記技術ではこの高精細化に対応できない、つまり上記技術の地磁気補正コイルを利用しても、管軸方向の地磁気成分による電子ビームのミスランディングが残ってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、地磁気補正コイルにおける画面NS部の幅方向の中央に対応する部分を湾曲させることなく、地磁気に起因した電子ビームのミスランディングを極めて小さくすることができる陰極線管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る陰極線管は、ファンネル内に配置された内部磁気シールドと、ファンネルの蛍光面寄りの外周部に配置された地磁気補正コイルとを備え、前記地磁気補正コイルから発生する磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する陰極線管において、前記内部磁気シールドの上下一対のシールド壁面部に、前記地磁気補正コイルの発生する磁力線が管内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部が形成されているとともに、当該磁気通過部は、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど小となる構成であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、前記地磁気補正コイルからの磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する補正量を、前記磁気シールド壁面部の幅方向の中央部で大きくできる。
また、前記磁気通過部が、前記各シールド壁面部に形成された孔であり、磁気通過度合いは孔の開口度合いであるので、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど磁気通過度合いが小とできる。
【0010】
また、前記磁気通過部は、前記地磁気補正コイルの長手方向に沿って、コイル配設位置近傍に形成されているので、前記地磁気補正コイルから発生した磁界を有効に利用できる。
さらに、前記磁気通過部が、前記内部磁気シールドの残部に比べて透磁率の小なる材料で構成されているので、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど磁気通過度合いが小とできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る陰極線管の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<陰極線管の全体構成>
図1は本発明に係る陰極線管1の側面図である。この陰極線管1はカラーテレビジョン受像機用で、同図に示すように、中空状のガラスバルブ2を備え、このガラスバルブ2内に、電子銃3、内部磁気シールド4、シャドウマスク5等が、またガラスバルブ2の外側に、偏向ヨーク6、地磁気補正コイル7等が夫々設けられている。
【0012】
ガラスバルブ2は、略矩形状のフェースパネル8と、このフェースパネル8の外周縁に一端が接合された略漏斗状のファンネル9と、このファンネル9の他端に接合された略円筒状のネック部10とを備え、その内部は真空状に保たれている。フェースパネル8のファンネル9側の面8aには、赤、緑、青の蛍光体が塗布されて、蛍光面11を形成している。
【0013】
電子銃3は、フェースパネル8側に向けて電子ビームEBを発射するもので、ネック部10内に設けられている。偏向ヨーク6は、電子銃3から発射した電子ビームEBを蛍光面11の左上端から右下端までの略全面に亘って走査するもので、水平偏向コイル6aと垂直偏向コイル6bとから構成されている。なお、各偏向コイル6a,6bは、ファンネル9のネック部10寄りに取り付けられている。
【0014】
ここで、上下及び左右はフェースパネル8に対向して見た時の位置関係であり、また上下方向を垂直方向ともいい、左右方向を水平方向ともいう。さらに、フェースパネル8の面に垂直な方向(上下方向と左右方向に直交する方向)を管軸方向という。
シャドウマスク5は、フェースパネル8と所定間隔をおいて略平行に設けられた金属製の薄板であり、このシャドウマスク5には、電子ビームEBの透過部であるアパーチャが複数形成されている。
【0015】
内部磁気シールド4は、地磁気等が電子ビームEBに与える影響を抑制するもので、電子銃3から発射された電子ビームEBを取り囲むように、蛍光面11側に拡がる中空の略多角錘形状(例えば4角錘形状)をしている。なお、内部磁気シールド4についての詳細は後述する。
地磁気補正コイル7は、地磁気に起因した電子ビームEBのずれを補正するもので、そのコイル線がファンネル9の蛍光面11寄りの外周に、フェースパネル8と略平行に巻き付けられ、正面視略矩形状をしている。ここで、地磁気補正コイル7において、ファンネル9の上側に位置する部分をコイル上位部7aといい、下側に位置する部分をコイル下位部7bという。
【0016】
<内部磁気シールドの構成>
図2は、本発明に係る陰極線管1の内部磁気シールド4を示す斜視図である。内部磁気シールド4は、同図に示すように、上下、左右各一対のシールド壁から組み立てられている。各シールド壁は、ファンネル9内のフェースパネル8近傍から偏向ヨーク6付近に亘っており、強磁性体材料により形成されている。
【0017】
上下のシールド壁面部4aには、地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCの磁力線が陰極線管1の内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部13が形成されている。磁気通過部13は、地磁気補正コイル7のコイル上位部7a及びコイル下位部7bの近傍で、コイル上位部7a及びコイル下位部7bの長手方向(左右方向)に沿って形成されている。
【0018】
磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aの幅方向(左右方向)の中央部の磁気通過度合いが大きく、端ほど磁気通過度合いが小さくなるように構成されている。磁気通過部13は、具体的には、上下のシールド壁面部4aに形成された孔で、磁気通過度合いは孔の開口度合いにより増減するようになっている。
つまり、磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央からその左右両側へ延びる幅方向に長い形状に形成されており、その開口度合いが上下のシールド壁面部4aの幅方向の略中央部からその両端側に移るに従って小さくなっている。
【0019】
図3は内部磁気シールド4の平面図である。この内部磁気シールド4は、21インチ、総偏向角が90度の陰極線管1用である。磁気通過部13は、同図に示すように、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央部にあり且つ幅方向に移っても管軸方向の寸法がほとんど変化しない開口度一定部(略矩形状)と、この開口度一定部の左右両側にあり且つ幅方向の中央部から端部に移るに従って管軸方向の寸法が徐々に小さくなる開口度減少部(幅方向の端部側が截切された直角三角形状)とを合わせた形状をしている。
【0020】
(磁気通過部の寸法)
1)アスペクト比=4:3の場合
磁気通過部13における蛍光面11側の幅方向の寸法W1は、内部磁気シールド4の蛍光面11側の幅方向の寸法Wに対して、約57%程度であり、また電子銃3側の幅方向の寸法W2は、W1に対して、約60%程度である。なお、本実施の形態では、W=460mm、W1=260mm、W2=160mmとなっている。
【0021】
磁気通過部13における幅方向中央の管軸方向の寸法L1は、内部磁気シールド4の管軸方向の寸法Lに対して、約1/4程度であり、また、磁気通過部13における幅方向両端の管軸方向の寸法L2は、Lに対して、約1/12程度である。なお、本実施の形態では、L=120mm、L1=30mm、L2=10mmとなっている。
【0022】
2)アスペクト比=16:9の場合
磁気通過部13における蛍光面11側の幅方向の寸法W1は、内部磁気シールド4の蛍光面11側の幅方向の寸法Wに対して、約3/4程度が好ましく、また電子銃3側の幅方向の寸法W2は、Wに対して、約1/2程度が好ましい。
<磁気通過部の作用>
(管軸方向の地磁気成分について)
図4は、陰極線管1の側面断面図で、管軸方向の地磁気成分B1と地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCとの様子を示す説明図である。
【0023】
1)管軸方向の地磁気成分について
管軸方向の地磁気成分B1は、フェースパネル8側から管内部の電子ビーム走査領域に入ると、強磁性体である各シールド壁に引き寄せられる。即ち、上側のシールド壁付近の地磁気成分B1は上側のシールド壁に引き寄せられ、下側のシールド壁付近の地磁気成分B1は下側のシールド壁に引き寄せられる。
【0024】
このとき、上下のシールド壁側に引き寄せられる地磁気成分B1の垂直方向の成分は、幅方向の中央側が、左右のシールド壁の影響を受けないため、コーナー側より大きい。従って、電子ビームEBは、図5の(a)に示すように、上下のシールド壁に引き寄せられた地磁気成分B1の影響により、画面のNS部において左向きにずれ、そのずれ量は、画面NS部の幅方向の中央側においてコーナー側よりも大きくなる。
【0025】
2)地磁気補正コイルの補正磁界について
地磁気補正コイル7は、図4に示すように、上下のシールド壁側に引き寄せられた地磁気成分B1を打ち消す方向に、その軸心を中心とした同心円状の補正磁界BCを発生する。
このとき、内部磁気シールド4の上下のシールド壁面部4aには、磁気通過部13が形成されているので、補正磁界BCが管内部の電子ビーム走査領域まで侵入することができる。とくに、磁気通過部13の磁気通過度合いは、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央部が大きく、両端部が小さく構成されているので、電子ビーム走査領域まで侵入する補正磁界BCの磁力線数が、画面NS部の幅方向の中央部が幅方向の端のコーナー部より多くなる。
【0026】
このため、電子ビームEBは、地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCにより、図5の(b)に示すように、画面のNS部において、右向きに補正され、その補正量は、左右方向の中央部においてコーナー側より大きい。
3)管軸方向の地磁気成分の補正について
電子銃3から発射された電子ビームEBは、管軸方向の地磁気成分B1の影響で、図5の(a)のように左方にずれ、また地磁気補正コイル7の補正磁界BCにより、図5の(b)のように右方に補正される。このため、管軸方向の地磁気成分B1の影響が、地磁気補正コイル7の補正磁界BCにより打ち消され、その結果として、電子ビームEBのずれを極めて小さくできる。
【0027】
特に、管軸方向の地磁気成分B1による電子ビームEBのずれ量と、地磁気補正コイル7の補正磁界BCによる電子ビームEBの補正量とが、両者とも同じように画面のNS部の幅方向の中央側においてコーナー側よりも大きくなっているため、管軸方向の地磁気成分B1の影響を確実に補正することができる。
このように、上下の各シールド壁面部4aに磁気通過部13を形成しているので、従来のように地磁気補正コイルにおける上下シールド壁に対応する部分を湾曲させずに、内部磁気シールド4内に入る補正磁界BCの磁力線数を幅方向の中央部で多くすることができる。しかも、磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aに形成された孔であるため、従来の地磁気補正コイルに比べて、容易に実施することができる。
【0028】
さらに、磁気通過部13は、地磁気補正コイル7のコイル上位部7a及びコイル下位部7bの近傍でコイル上位部7a及びコイル下位部7bに沿って配置されているので、地磁気補正コイル7から発生した補正磁界BCを有効に利用することができ、また磁気通過部13の孔の開口度合いにより、磁気通過度合いを容易に変化させることができ、電子ビームEBの管軸方向の地磁気成分B1による左右方向のずれを適正且つ容易に補正することができる。
【0029】
また、磁気通過部13を幅方向に緩やかに伸びる形状にしているので、電子ビーム走査領域まで侵入する地磁気補正コイル7の磁力線数を、幅方向に緩やかに増減させることができ、電子ビームEBの補正を幅方向に安定した状態で行うことができる。
(垂直方向の地磁気成分について)
次に上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を形成することにより、上下方向の地磁気成分、つまり垂直方向の地磁気成分B2が磁気通過部13を通過することができ、その影響について以下に説明する。
【0030】
図6は、内部磁気シールド4の側面断面図で、垂直方向の地磁気成分B2が内部磁気シールド4を通過する様子を示す説明図である。この図6は、垂直方向の地磁気成分B2が、例えば上向きに作用し、その地磁気成分B2が下側の磁気通過部13から内部磁気シールド4内に入り、また上側の磁気通過部13から出て行く様子を示したものである。
【0031】
1)垂直方向の地磁気成分の影響について
陰極線管1に、上向きの地磁気成分B2が作用すると、図7の(a)に示すように、電子ビームEBは、画面のNS部では左方にずれ、また、画面のNS部間の中央側では右方にずれることが知られている。
2)内部磁気シールド内を通過する地磁気成分の影響について
上向きの地磁気成分B2は、下側の磁気通過部13から内部磁気シールド4内へ入り、上側の地磁気通過部13から出て行く。
【0032】
このとき、下側の磁気通過部13では、その周辺の上向きの地磁気成分B2が集まって磁気通過部13から内部磁気シールド4内に入るため、下側のシールド壁を通過する磁力線の磁力密度が高くなり、また、同様に上側の磁気通過部13では、内部磁気シールド4内の磁気通過部13付近の上向きの地磁気成分B2が集まって磁気通過部13から出て行くため、上側のシールド壁を通過する磁力線の磁力密度が高くなる。このため、上下のシールド壁部付近、つまり画面NS部付近の電子ビームEBが受けるローレンツ力は大きくなる。
【0033】
一方、上下のシールド壁間の中央では、内部磁気シールド4内に入った地磁気成分B2が、上下及び左右の各シールド壁に引き寄せられて分散するため、上向きの地磁気成分B2の磁力線の磁力密度が低くなる。このため、画面NS部間の中央側の電子ビームEBが受けるローレンツ力は小さくなる。
従って、上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を形成したことにより、電子ビームEBは、図7(b)に示すように、右方に移動し、その移動量は画面のNS部で大きく、また画面のNS部間の中央で小さい。
【0034】
3)内部磁気シールド内を通過する地磁気の影響について
このように、内部磁気シールド4の上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を設けることにより、垂直方向の地磁気成分B2の影響と、磁気通過部13を通過する地磁気成分B2の影響とが、互いに打ち消しあって、図7(c)に示すように、画面の中央部における電子ビームEBのずれと、その周辺、例えば画面のNS部の中央側の電子ビームEBのずれとの差は小さくなる。従って、NS部と、NS部間の中央との間でバランスが取れ、画面全体として画質の低下を抑えることができる。
【0035】
なお、「バランスが取れる」とは、画面全面における各位置での電子ビームEBのずれの差が小さくなることをいう。また、図5、図7及び図9に示した電子ビームEBの水平方向のずれ量、補正量、移動量を示した模倣図であり、その大きさを相対的に示している。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
【0036】
(1)上記の実施の形態では、上下のシールド壁面部4aの磁気通過部13は、図8の(a)に示すような、上下のシールド壁面部4aの幅方向に長い、つまり幅方向の中央からその両端部側に移るに従って開口度合いが小になる楕円形状にしても良く、また菱形状、蛍光面側が底辺となる略二等辺三角形にしても良い。さらに、菱形状、二等辺三角形にした場合、孔の境界部を直線状でなく、曲線状にしても良い。
【0037】
(2)上記の実施の形態では、磁気通過部13を幅方向に長い1個の孔により構成しているが、図8の(b)に示すような、幅方向に連続した長細い矩形状の孔を管軸方向に複数個形成し、各孔の幅方向の寸法を電子銃3側に移るに従って小さくなるようにして、磁気通過部13の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく、端部の磁気通過度合いを小さくなるようにしても良い。また、長細い矩形状の代わりに、円形状、多角形状等の孔を幅方向に複数個設けても良い。
【0038】
(3)上記の実施の形態では、磁気通過部13を孔により構成しているが、切り欠き状の開口部、例えば、実施の形態の孔のフェースパネル8側を切り欠いた形状の開口部により構成しても良い。
(4)上記の実施の形態では、磁気通過部13を孔により構成しているが、磁気通過部13を、内部磁気シールド4の残部の材料に比べて透磁率の小さな材料で構成し、地磁気補正コイル7から発生した補正磁界BCが磁気通過部13を透過して電子ビーム走査領域に侵入するのを許容するようにしても良い。
【0039】
この場合、磁気通過度合いをシールド壁面部4aの幅方向の中央部を大に、また端で小にするために、磁気通過部13の面積をシールド壁面部4aの幅方向の中央部で大きく、幅方向の端で小さくすれば実施できるし、或いは磁気通過部13の厚さをシールド壁面部4aの幅方向の中央部で厚く、幅方向の端で薄くしても実施できる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、ファンネル内に配置された内部磁気シールドと、ファンネルの蛍光面寄りの外周部に配置された地磁気補正コイルとを備え、前記地磁気補正コイルから発生する磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する陰極線管において、前記内部磁気シールドの上下一対のシールド壁面部に、前記地磁気補正コイルの発生する磁力線が管内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部が形成されているとともに、当該磁気通過部は、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど小となる構成であるので、前記地磁気補正コイルからの磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する補正量を、前記シールド壁面部の幅方向の中央部で大きくでき、従来の地磁気補正コイルにおける上下のシールド壁に対応する部分を湾曲させずに地磁気に起因した電子ビームのミスランディングを極めて小さくすることができる。
【0041】
しかも、前記磁気通過部が、前記各シールド壁面部に形成された孔であり、磁気通過度合いは孔の開口度合いであるので、従来の地磁気補正コイルにおける上下のシールド壁に対応する所定部分を湾曲させた場合に比べて、容易且つ安価に実施することができる。
さらに、前記磁気通過部は、前記地磁気補正コイルの長手方向に沿って、コイル配設位置近傍に形成されているので、地磁気補正コイルの発生する磁界を有効に利用できる。また、前記磁気通過部が、前記内部磁気シールドの残部に比べて透磁率の小なる材料で構成されているので、容易且つ安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における陰極線管の一部を破断した側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態における陰極線管の側面断面図で、管軸方向の地磁気成分と地磁気補正コイルから発生した補正磁界との様子を説明するための説明図である。
【図5】(a)は管軸方向の地磁気成分に起因した電子ビームのずれ量を示す図であり、(b)は地磁気補正コイルからの補正磁界による電子ビームの補正量を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの側面断面図で、垂直方向の地磁気成分の様子を説明するための説明図である。
【図7】(a)は、陰極線管における垂直方向の地磁気成分に起因した電子ビームのずれ量を示す図で、(b)は、磁気通過部を垂直方向に通過する地磁気成分に起因した電子ビームの移動量を示す図で、(c)は垂直方向の地磁気成分と磁気通過部を垂直方向に通過する地磁気成分とが作用したときの電子ビームの移動量を示す図である。
【図8】(a)、(b)は磁気通過部の変形例を示す内部磁気シールドの平面図である。
【図9】従来技術において管軸方向の地磁気成分と地磁気補正コイルからの補正磁界とが作用したときの電子ビームのずれ量を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極線管
4 内部磁気シールド
4a シールド壁面部
7 地磁気補正コイル
7a コイル上位部
7b コイル下位部
11 蛍光面
9 ファンネル
13 磁気通過部
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部磁気シールドと地磁気補正コイルとを備え、地磁気補正コイルの発生する磁界により、地磁気に起因する電子ビームのずれを補正する陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーテレビジョン受像機、コンピュータ用のディスプレイ等に用いられる陰極線管は、電子銃から発射された電子ビームを偏向ヨークの磁界により蛍光面に沿って走査している。このため、管内部の電子ビーム走査領域を通過する電子ビームは、地磁気等の外部磁界の影響を受けやすく、この外部磁界の影響を抑制するために、陰極管線は、ファンネル内に内部磁気シールドを、またファンネルの蛍光面寄りの外周部に地磁気補正コイルを夫々備えている。
【0003】
しかし、内部磁気シールドと交叉しない地磁気、つまり陰極線管の管軸方向の地磁気成分が陰極線管に作用すると、地磁気補正コイルから補正磁界を発生させても、画面の上下部における幅方向の中央部で、図9に矢印で示すように、電子ビームが左方又は右方に余分の偏向力を受けることになり、結果的に電子ビームが蛍光面の所定位置からずれた位置に到達する、所謂ミスランディングが生じ、特に水平方向のずれにより色むら等の画質の低下を招いてしまう。
【0004】
一般に、管軸方向の地磁気成分に起因する電子ビームのずれが、画面の上下部(以下、「NS部」ともいう。)で幅方向の中央側においてそのコーナー側より大きく、逆に地磁気補正コイルからの補正磁界の感度は画面NS部において幅方向のコーナー側がその中央側より高くなり、上記ミスランディングが生じると考えられている。
【0005】
そこで、このミスランディングを抑制するために、特開平9−233486号公報に記載のように、地磁気補正コイルの、画面NS部の幅方向の中央に対応する部分を湾曲させて、地磁気補正コイルの発生する補正磁界を画面NS部の幅方向の中央で強くする技術が提案されている。この技術によれば、地磁気補正コイルからの補正磁界の磁力密度を画面NS部における幅方向の中央側で高くできるので、画面のNS部における幅方向の中央で生じる電子ビームのミスランディングを小さく抑制することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、画像の高精細化への要望が特に強く、電子ビームのミスランディングの許容度が極めて小さいものが求められるようになり、上記技術ではこの高精細化に対応できない、つまり上記技術の地磁気補正コイルを利用しても、管軸方向の地磁気成分による電子ビームのミスランディングが残ってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、地磁気補正コイルにおける画面NS部の幅方向の中央に対応する部分を湾曲させることなく、地磁気に起因した電子ビームのミスランディングを極めて小さくすることができる陰極線管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る陰極線管は、ファンネル内に配置された内部磁気シールドと、ファンネルの蛍光面寄りの外周部に配置された地磁気補正コイルとを備え、前記地磁気補正コイルから発生する磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する陰極線管において、前記内部磁気シールドの上下一対のシールド壁面部に、前記地磁気補正コイルの発生する磁力線が管内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部が形成されているとともに、当該磁気通過部は、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど小となる構成であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、前記地磁気補正コイルからの磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する補正量を、前記磁気シールド壁面部の幅方向の中央部で大きくできる。
また、前記磁気通過部が、前記各シールド壁面部に形成された孔であり、磁気通過度合いは孔の開口度合いであるので、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど磁気通過度合いが小とできる。
【0010】
また、前記磁気通過部は、前記地磁気補正コイルの長手方向に沿って、コイル配設位置近傍に形成されているので、前記地磁気補正コイルから発生した磁界を有効に利用できる。
さらに、前記磁気通過部が、前記内部磁気シールドの残部に比べて透磁率の小なる材料で構成されているので、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど磁気通過度合いが小とできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る陰極線管の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<陰極線管の全体構成>
図1は本発明に係る陰極線管1の側面図である。この陰極線管1はカラーテレビジョン受像機用で、同図に示すように、中空状のガラスバルブ2を備え、このガラスバルブ2内に、電子銃3、内部磁気シールド4、シャドウマスク5等が、またガラスバルブ2の外側に、偏向ヨーク6、地磁気補正コイル7等が夫々設けられている。
【0012】
ガラスバルブ2は、略矩形状のフェースパネル8と、このフェースパネル8の外周縁に一端が接合された略漏斗状のファンネル9と、このファンネル9の他端に接合された略円筒状のネック部10とを備え、その内部は真空状に保たれている。フェースパネル8のファンネル9側の面8aには、赤、緑、青の蛍光体が塗布されて、蛍光面11を形成している。
【0013】
電子銃3は、フェースパネル8側に向けて電子ビームEBを発射するもので、ネック部10内に設けられている。偏向ヨーク6は、電子銃3から発射した電子ビームEBを蛍光面11の左上端から右下端までの略全面に亘って走査するもので、水平偏向コイル6aと垂直偏向コイル6bとから構成されている。なお、各偏向コイル6a,6bは、ファンネル9のネック部10寄りに取り付けられている。
【0014】
ここで、上下及び左右はフェースパネル8に対向して見た時の位置関係であり、また上下方向を垂直方向ともいい、左右方向を水平方向ともいう。さらに、フェースパネル8の面に垂直な方向(上下方向と左右方向に直交する方向)を管軸方向という。
シャドウマスク5は、フェースパネル8と所定間隔をおいて略平行に設けられた金属製の薄板であり、このシャドウマスク5には、電子ビームEBの透過部であるアパーチャが複数形成されている。
【0015】
内部磁気シールド4は、地磁気等が電子ビームEBに与える影響を抑制するもので、電子銃3から発射された電子ビームEBを取り囲むように、蛍光面11側に拡がる中空の略多角錘形状(例えば4角錘形状)をしている。なお、内部磁気シールド4についての詳細は後述する。
地磁気補正コイル7は、地磁気に起因した電子ビームEBのずれを補正するもので、そのコイル線がファンネル9の蛍光面11寄りの外周に、フェースパネル8と略平行に巻き付けられ、正面視略矩形状をしている。ここで、地磁気補正コイル7において、ファンネル9の上側に位置する部分をコイル上位部7aといい、下側に位置する部分をコイル下位部7bという。
【0016】
<内部磁気シールドの構成>
図2は、本発明に係る陰極線管1の内部磁気シールド4を示す斜視図である。内部磁気シールド4は、同図に示すように、上下、左右各一対のシールド壁から組み立てられている。各シールド壁は、ファンネル9内のフェースパネル8近傍から偏向ヨーク6付近に亘っており、強磁性体材料により形成されている。
【0017】
上下のシールド壁面部4aには、地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCの磁力線が陰極線管1の内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部13が形成されている。磁気通過部13は、地磁気補正コイル7のコイル上位部7a及びコイル下位部7bの近傍で、コイル上位部7a及びコイル下位部7bの長手方向(左右方向)に沿って形成されている。
【0018】
磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aの幅方向(左右方向)の中央部の磁気通過度合いが大きく、端ほど磁気通過度合いが小さくなるように構成されている。磁気通過部13は、具体的には、上下のシールド壁面部4aに形成された孔で、磁気通過度合いは孔の開口度合いにより増減するようになっている。
つまり、磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央からその左右両側へ延びる幅方向に長い形状に形成されており、その開口度合いが上下のシールド壁面部4aの幅方向の略中央部からその両端側に移るに従って小さくなっている。
【0019】
図3は内部磁気シールド4の平面図である。この内部磁気シールド4は、21インチ、総偏向角が90度の陰極線管1用である。磁気通過部13は、同図に示すように、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央部にあり且つ幅方向に移っても管軸方向の寸法がほとんど変化しない開口度一定部(略矩形状)と、この開口度一定部の左右両側にあり且つ幅方向の中央部から端部に移るに従って管軸方向の寸法が徐々に小さくなる開口度減少部(幅方向の端部側が截切された直角三角形状)とを合わせた形状をしている。
【0020】
(磁気通過部の寸法)
1)アスペクト比=4:3の場合
磁気通過部13における蛍光面11側の幅方向の寸法W1は、内部磁気シールド4の蛍光面11側の幅方向の寸法Wに対して、約57%程度であり、また電子銃3側の幅方向の寸法W2は、W1に対して、約60%程度である。なお、本実施の形態では、W=460mm、W1=260mm、W2=160mmとなっている。
【0021】
磁気通過部13における幅方向中央の管軸方向の寸法L1は、内部磁気シールド4の管軸方向の寸法Lに対して、約1/4程度であり、また、磁気通過部13における幅方向両端の管軸方向の寸法L2は、Lに対して、約1/12程度である。なお、本実施の形態では、L=120mm、L1=30mm、L2=10mmとなっている。
【0022】
2)アスペクト比=16:9の場合
磁気通過部13における蛍光面11側の幅方向の寸法W1は、内部磁気シールド4の蛍光面11側の幅方向の寸法Wに対して、約3/4程度が好ましく、また電子銃3側の幅方向の寸法W2は、Wに対して、約1/2程度が好ましい。
<磁気通過部の作用>
(管軸方向の地磁気成分について)
図4は、陰極線管1の側面断面図で、管軸方向の地磁気成分B1と地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCとの様子を示す説明図である。
【0023】
1)管軸方向の地磁気成分について
管軸方向の地磁気成分B1は、フェースパネル8側から管内部の電子ビーム走査領域に入ると、強磁性体である各シールド壁に引き寄せられる。即ち、上側のシールド壁付近の地磁気成分B1は上側のシールド壁に引き寄せられ、下側のシールド壁付近の地磁気成分B1は下側のシールド壁に引き寄せられる。
【0024】
このとき、上下のシールド壁側に引き寄せられる地磁気成分B1の垂直方向の成分は、幅方向の中央側が、左右のシールド壁の影響を受けないため、コーナー側より大きい。従って、電子ビームEBは、図5の(a)に示すように、上下のシールド壁に引き寄せられた地磁気成分B1の影響により、画面のNS部において左向きにずれ、そのずれ量は、画面NS部の幅方向の中央側においてコーナー側よりも大きくなる。
【0025】
2)地磁気補正コイルの補正磁界について
地磁気補正コイル7は、図4に示すように、上下のシールド壁側に引き寄せられた地磁気成分B1を打ち消す方向に、その軸心を中心とした同心円状の補正磁界BCを発生する。
このとき、内部磁気シールド4の上下のシールド壁面部4aには、磁気通過部13が形成されているので、補正磁界BCが管内部の電子ビーム走査領域まで侵入することができる。とくに、磁気通過部13の磁気通過度合いは、上下のシールド壁面部4aの幅方向の中央部が大きく、両端部が小さく構成されているので、電子ビーム走査領域まで侵入する補正磁界BCの磁力線数が、画面NS部の幅方向の中央部が幅方向の端のコーナー部より多くなる。
【0026】
このため、電子ビームEBは、地磁気補正コイル7の発生する補正磁界BCにより、図5の(b)に示すように、画面のNS部において、右向きに補正され、その補正量は、左右方向の中央部においてコーナー側より大きい。
3)管軸方向の地磁気成分の補正について
電子銃3から発射された電子ビームEBは、管軸方向の地磁気成分B1の影響で、図5の(a)のように左方にずれ、また地磁気補正コイル7の補正磁界BCにより、図5の(b)のように右方に補正される。このため、管軸方向の地磁気成分B1の影響が、地磁気補正コイル7の補正磁界BCにより打ち消され、その結果として、電子ビームEBのずれを極めて小さくできる。
【0027】
特に、管軸方向の地磁気成分B1による電子ビームEBのずれ量と、地磁気補正コイル7の補正磁界BCによる電子ビームEBの補正量とが、両者とも同じように画面のNS部の幅方向の中央側においてコーナー側よりも大きくなっているため、管軸方向の地磁気成分B1の影響を確実に補正することができる。
このように、上下の各シールド壁面部4aに磁気通過部13を形成しているので、従来のように地磁気補正コイルにおける上下シールド壁に対応する部分を湾曲させずに、内部磁気シールド4内に入る補正磁界BCの磁力線数を幅方向の中央部で多くすることができる。しかも、磁気通過部13は、上下のシールド壁面部4aに形成された孔であるため、従来の地磁気補正コイルに比べて、容易に実施することができる。
【0028】
さらに、磁気通過部13は、地磁気補正コイル7のコイル上位部7a及びコイル下位部7bの近傍でコイル上位部7a及びコイル下位部7bに沿って配置されているので、地磁気補正コイル7から発生した補正磁界BCを有効に利用することができ、また磁気通過部13の孔の開口度合いにより、磁気通過度合いを容易に変化させることができ、電子ビームEBの管軸方向の地磁気成分B1による左右方向のずれを適正且つ容易に補正することができる。
【0029】
また、磁気通過部13を幅方向に緩やかに伸びる形状にしているので、電子ビーム走査領域まで侵入する地磁気補正コイル7の磁力線数を、幅方向に緩やかに増減させることができ、電子ビームEBの補正を幅方向に安定した状態で行うことができる。
(垂直方向の地磁気成分について)
次に上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を形成することにより、上下方向の地磁気成分、つまり垂直方向の地磁気成分B2が磁気通過部13を通過することができ、その影響について以下に説明する。
【0030】
図6は、内部磁気シールド4の側面断面図で、垂直方向の地磁気成分B2が内部磁気シールド4を通過する様子を示す説明図である。この図6は、垂直方向の地磁気成分B2が、例えば上向きに作用し、その地磁気成分B2が下側の磁気通過部13から内部磁気シールド4内に入り、また上側の磁気通過部13から出て行く様子を示したものである。
【0031】
1)垂直方向の地磁気成分の影響について
陰極線管1に、上向きの地磁気成分B2が作用すると、図7の(a)に示すように、電子ビームEBは、画面のNS部では左方にずれ、また、画面のNS部間の中央側では右方にずれることが知られている。
2)内部磁気シールド内を通過する地磁気成分の影響について
上向きの地磁気成分B2は、下側の磁気通過部13から内部磁気シールド4内へ入り、上側の地磁気通過部13から出て行く。
【0032】
このとき、下側の磁気通過部13では、その周辺の上向きの地磁気成分B2が集まって磁気通過部13から内部磁気シールド4内に入るため、下側のシールド壁を通過する磁力線の磁力密度が高くなり、また、同様に上側の磁気通過部13では、内部磁気シールド4内の磁気通過部13付近の上向きの地磁気成分B2が集まって磁気通過部13から出て行くため、上側のシールド壁を通過する磁力線の磁力密度が高くなる。このため、上下のシールド壁部付近、つまり画面NS部付近の電子ビームEBが受けるローレンツ力は大きくなる。
【0033】
一方、上下のシールド壁間の中央では、内部磁気シールド4内に入った地磁気成分B2が、上下及び左右の各シールド壁に引き寄せられて分散するため、上向きの地磁気成分B2の磁力線の磁力密度が低くなる。このため、画面NS部間の中央側の電子ビームEBが受けるローレンツ力は小さくなる。
従って、上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を形成したことにより、電子ビームEBは、図7(b)に示すように、右方に移動し、その移動量は画面のNS部で大きく、また画面のNS部間の中央で小さい。
【0034】
3)内部磁気シールド内を通過する地磁気の影響について
このように、内部磁気シールド4の上下のシールド壁面部4aに磁気通過部13を設けることにより、垂直方向の地磁気成分B2の影響と、磁気通過部13を通過する地磁気成分B2の影響とが、互いに打ち消しあって、図7(c)に示すように、画面の中央部における電子ビームEBのずれと、その周辺、例えば画面のNS部の中央側の電子ビームEBのずれとの差は小さくなる。従って、NS部と、NS部間の中央との間でバランスが取れ、画面全体として画質の低下を抑えることができる。
【0035】
なお、「バランスが取れる」とは、画面全面における各位置での電子ビームEBのずれの差が小さくなることをいう。また、図5、図7及び図9に示した電子ビームEBの水平方向のずれ量、補正量、移動量を示した模倣図であり、その大きさを相対的に示している。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
【0036】
(1)上記の実施の形態では、上下のシールド壁面部4aの磁気通過部13は、図8の(a)に示すような、上下のシールド壁面部4aの幅方向に長い、つまり幅方向の中央からその両端部側に移るに従って開口度合いが小になる楕円形状にしても良く、また菱形状、蛍光面側が底辺となる略二等辺三角形にしても良い。さらに、菱形状、二等辺三角形にした場合、孔の境界部を直線状でなく、曲線状にしても良い。
【0037】
(2)上記の実施の形態では、磁気通過部13を幅方向に長い1個の孔により構成しているが、図8の(b)に示すような、幅方向に連続した長細い矩形状の孔を管軸方向に複数個形成し、各孔の幅方向の寸法を電子銃3側に移るに従って小さくなるようにして、磁気通過部13の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく、端部の磁気通過度合いを小さくなるようにしても良い。また、長細い矩形状の代わりに、円形状、多角形状等の孔を幅方向に複数個設けても良い。
【0038】
(3)上記の実施の形態では、磁気通過部13を孔により構成しているが、切り欠き状の開口部、例えば、実施の形態の孔のフェースパネル8側を切り欠いた形状の開口部により構成しても良い。
(4)上記の実施の形態では、磁気通過部13を孔により構成しているが、磁気通過部13を、内部磁気シールド4の残部の材料に比べて透磁率の小さな材料で構成し、地磁気補正コイル7から発生した補正磁界BCが磁気通過部13を透過して電子ビーム走査領域に侵入するのを許容するようにしても良い。
【0039】
この場合、磁気通過度合いをシールド壁面部4aの幅方向の中央部を大に、また端で小にするために、磁気通過部13の面積をシールド壁面部4aの幅方向の中央部で大きく、幅方向の端で小さくすれば実施できるし、或いは磁気通過部13の厚さをシールド壁面部4aの幅方向の中央部で厚く、幅方向の端で薄くしても実施できる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、ファンネル内に配置された内部磁気シールドと、ファンネルの蛍光面寄りの外周部に配置された地磁気補正コイルとを備え、前記地磁気補正コイルから発生する磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する陰極線管において、前記内部磁気シールドの上下一対のシールド壁面部に、前記地磁気補正コイルの発生する磁力線が管内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部が形成されているとともに、当該磁気通過部は、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど小となる構成であるので、前記地磁気補正コイルからの磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する補正量を、前記シールド壁面部の幅方向の中央部で大きくでき、従来の地磁気補正コイルにおける上下のシールド壁に対応する部分を湾曲させずに地磁気に起因した電子ビームのミスランディングを極めて小さくすることができる。
【0041】
しかも、前記磁気通過部が、前記各シールド壁面部に形成された孔であり、磁気通過度合いは孔の開口度合いであるので、従来の地磁気補正コイルにおける上下のシールド壁に対応する所定部分を湾曲させた場合に比べて、容易且つ安価に実施することができる。
さらに、前記磁気通過部は、前記地磁気補正コイルの長手方向に沿って、コイル配設位置近傍に形成されているので、地磁気補正コイルの発生する磁界を有効に利用できる。また、前記磁気通過部が、前記内部磁気シールドの残部に比べて透磁率の小なる材料で構成されているので、容易且つ安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における陰極線管の一部を破断した側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態における陰極線管の側面断面図で、管軸方向の地磁気成分と地磁気補正コイルから発生した補正磁界との様子を説明するための説明図である。
【図5】(a)は管軸方向の地磁気成分に起因した電子ビームのずれ量を示す図であり、(b)は地磁気補正コイルからの補正磁界による電子ビームの補正量を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における内部磁気シールドの側面断面図で、垂直方向の地磁気成分の様子を説明するための説明図である。
【図7】(a)は、陰極線管における垂直方向の地磁気成分に起因した電子ビームのずれ量を示す図で、(b)は、磁気通過部を垂直方向に通過する地磁気成分に起因した電子ビームの移動量を示す図で、(c)は垂直方向の地磁気成分と磁気通過部を垂直方向に通過する地磁気成分とが作用したときの電子ビームの移動量を示す図である。
【図8】(a)、(b)は磁気通過部の変形例を示す内部磁気シールドの平面図である。
【図9】従来技術において管軸方向の地磁気成分と地磁気補正コイルからの補正磁界とが作用したときの電子ビームのずれ量を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極線管
4 内部磁気シールド
4a シールド壁面部
7 地磁気補正コイル
7a コイル上位部
7b コイル下位部
11 蛍光面
9 ファンネル
13 磁気通過部
Claims (4)
- ファンネル内に配置された内部磁気シールドと、ファンネルの蛍光面寄りの外周部に配置された地磁気補正コイルとを備え、前記地磁気補正コイルから発生する磁界により、地磁気に起因した電子ビームのずれを補正する陰極線管において、
前記内部磁気シールドの上下一対のシールド壁面部に、前記地磁気補正コイルの発生する磁力線が管内部の電子ビーム走査領域まで侵入するのを許容する磁気通過部が形成されているとともに、
当該磁気通過部は、前記シールド壁面部の幅方向中央部の磁気通過度合いが大きく端ほど小となる構成であること特徴とする陰極線管。 - 前記磁気通過部が、前記各シールド壁面部に形成された孔であり、磁気通過度合いは孔の開口度合いであることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
- 前記磁気通過部は、前記地磁気補正コイルの長手方向に沿って、コイル配設位置近傍に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の陰極線管。
- 前記磁気通過部が、前記内部磁気シールドの残部に比べて透磁率の小なる材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
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