JP4021087B2 - 積層セラミックチップ部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法に係る。詳しくは、部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位のセラミックグリーンチップ素体として切断し、その切断によっても部品単位に完全に分離されないブロック状態にあるセラミックグリーンチップ素体(以下、「セラミックグリーンチップ素体のブロック」という。)を圧接ローラで押さえて部品単位に分離するに適用される積層セラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内部電極を片面に複数並べて印刷形成したセラミックグリーンシートを得、そのセラミックグリーンシートを内部電極と交互に複数積層すると共に、内部電極を設けないセラミックグリーンシートを最外層に積層し、この積層セラミックグリーンシートを加圧圧着する各工程により、部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを得、その部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位に切断してから、積層セラミック電子部品を製造することが行われている。
【0003】
部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートに対して切断処理を施しても、セラミックグリーンチップ素体のブロックとなって部品単位に完全に分離されない状態が生ずる。このため、従来、部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位に切断した後、セラミックグリーンチップ素体のブロックをベルトコンベアに送り込むと共に、ベルトコンベアの下方に回る終端付近に配置する圧接ローラにより押さえて部品単位に分離することが行われている。
【0004】
然し、そのセラミックグリーンチップ素体のブロックを圧接ローラにより唯単に押さえるだけではセラミック積層グリーンシートに含まれる樹脂の影響により100%分離することができない。このセラミックグリーンチップ素体のブロックの分離率を向上するため、圧接ローラの圧力を強くすることが考えられるが、それではセラミックグリーンチップ素体の割れや欠けを生ずる原因となるところから好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位に切断した後、セラミックグリーンチップ素体のブロックをベルトコンベアで搬送すると共に、ベルトコンベアの下方に回る終端付近に配置する圧接ローラでセラミックグリーンチップ素体のブロックを押さえて部品単位に分離するという簡易な手段を適用しながらも、セラミックグリーンチップ素体のブロックを部品単位に確実に分離可能な積層セラミックチップ部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層セラミックチップ部品の製造方法においては、セラミックグリーンチップ素体のX,Y方向に切断された隅が先頭になるようブロック全体を斜め状態に搭載させてベルトコンベアで搬送し、該ベルトコンベアによる搬送途上でセラミックグリーンチップ素体のブロックを加熱炉で少なくともガラス転移温度以上の温度に予熱して樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げ、該ベルトコンベアの下方に回る終端付近に搬送するまで該樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げた状態に保つと共に、圧接ローラのローラ面が各セラミックグリーンチップ素体の対角線上に接するようセラミックグリーンチップ素体のブロックを圧接ローラで押さえて個々の部品単位に分離するようにされている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して説明すると、図1で示す装置は部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位に切断した後、セラミックグリーンチップ素体のブロックBをベルトコンベア1で搬送すると共に、ベルトコンベア1の下方に回る終端付近に配置する圧接ローラ2によりセラミックグリーンチップ素体のブロックBを押さえて部品単位に分離するものとして適用されている。この適用対象には、積層セラミックコンデンサやチップ抵抗等の積層セラミックチップ部品を製造するものが挙げられる。
【0008】
その積層セラミックチップコンデンサの製造工程を説明すると、BaTiO3の誘電体磁器粉体を主材とし、MgO,Cr2O3,Y2O3,V2O5,BaO,SiO2,CaOの金属酸化物乃至は磁器添加物を含むセラミック粉末原料、アクリル系等の樹脂バインダー、可塑剤、樹脂バインダー用並びに可塑剤用の有機溶剤を組成材料として混練することによりセラミックグリーンペーストを作製する。
【0009】
そのセラミックグリーンペーストによっては、ポリエチレンテレフタレートフイルム等のキャリアシートのシート面にドクターブレード法で転写することによりセラミックグリーンシートを形成する。このセラミックグリーンシートは乾燥処理を施し、ニッケル等の導電性ペーストにより所定パターンの内部電極を碁盤目状に複数個並べて片面にスクリーン印刷し、部品複数個取り用の面積を有するセラミックグリーンシートとして裁断する。その内部電極を設けたセラミックグリーンシートの他に、内部電極を設けないセラミックグリーンシートを最外層用として用意する。
【0010】
内部電極を印刷形成したセラミックグリーンシートは、内部電極とセラミックグリーンシートが交互になるよう複数積層する。最外層には内部電極が設けられていないセラミックグリーンシートを積層した後、全体を加圧圧着することにより部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートとして得る。この部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを刃角度10°程度のカッターでX,Y方向に切断するが、完全には部品単位に分離されないセラミックグリーンチップ素体のブロックとして得られる。
【0011】
そのセラミックグリーンチップ素体のブロックBは、図2で示すようにセラミックグリーンチップ素体のX,Y方向に切断された隅が先頭になるようブロック全体を斜め状態に搭載させてベルトコンベア1で搬送する。これにより、圧接ローラ2のローラ面が各セラミックグリーンチップ素体の対角線上に接するようセラミックグリーンチップ素体のブロックBを圧接ローラ2で押さえることから部品単位に確実に分離できる。
【0012】
茲で適用する装置には、セラミックグリーンチップ素体のブロックBを少なくともガラス転移温度以上の温度に予熱する加熱炉3がベルトコンベア1による搬送途上に備えられている。そのベルトコンベア1としては、搬送速度乃至は距離により、樹脂バインダーによる素体相互の付着力を終端付近まで下げた状態に保つようセラミックグリーンチップ素体のブロックBを搬送するものが備えられている。これにより、セラミックグリーンチップ素体のブロックBをベルトコンベア1で部品単位に分離する圧接ローラ2に送り込むという同じ工程内で樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げるよう設定できる。
【0013】
その装置を適用することから、上述した積層セラミックチップコンデンサ用のセラミックグリーンチップ素体を分離する場合を例示すると、加熱炉3ではセラミックグリーンチップ素体のブロックBを90〜100℃程度に加熱し、ベルトコンベア1の終端付近では樹脂バインダーの温度を60℃程度に保てばよい。この樹脂バインダーの温度から、樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げられて部品単位に確実に分離できる。
【0014】
ベルトコンベア1は、圧接ローラ2との進出角を30°程度に保ち、終端側を下り勾配に進行回動することから圧接ローラ2により部品単位に分離したセラミックグリーンチップ素体を個々に搬出することができる。圧接ローラ2では、セラミックグリーンチップ素体のブロックを3Kg/cm2程度の圧力で押圧すればよい。
【0015】
その個々に分離したセラミックグリーンチップ素体の搬出側には、エアー圧を作用するエアー吐出装置が装備されている。従来、エアー圧としては4.0Kg/cm2程度を作用させているが、上述した工程によれば、1.53Kg/cm2程度のエアー圧を作用すればよい。このエアー圧の作用により、セラミックグリーンチップ素体の分離を助長できると共に、セラミックグリーンチップ素体を40℃程度に冷却できるところから、個々に分離されたものが再付着するのも防げる。
【0016】
加圧ローラ2としては、弾性ゴムやスポンジ等をローラ面に被覆した弾性部材のものを装備するとよい。その弾性ゴムやスポンジ等の被覆ローラに代えて、図3で示すように加圧ローラ2と同調回転する弾性ゴムやスポンジ等の弾性ベルト4を介して加圧ローラ2による押圧力をセラミックグリーンチップ素体のブロックBに作用してもよい。これにより、割れや欠けが個々に分離するセラミックグリーンチップ素体に生ずるのを防げる。
【0017】
その他に、ベルトコンベア1にはコンベアベルトの終端側を水平状態から所定の曲率で回向走行させるようスライドガイドするガイドプレート5を装備することができる。このガイドプレート5では、加圧ローラ2により押さえるセラミックグリーンチップ素体のブロックBをコンベアベルトの水平面から湾曲面に安定よく移行させられるため、セラミックグリーンチップ素体のブロックBをより確実に分離するよう加圧ローラ2による押圧力を作用できる。
【0018】
本発明の有効性を確認するべく、部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを各々70個の部品単位に切断したブロックに対し、本発明と従来方法を適用することにより分離処理を行った。その結果から、付着不良率,外観不良を検査したところ、次の表1で示す通りであった。このうち、付着不良率は各ブロックの平均値を示し、外観不良は潰れやクラックの入ったものも不良とした。
【0019】
【表1】
【0020】
この表1で示すように、従来方法に比べて、本発明では付着不良率を1/3弱に減少でき、外観不良発生率も1/5弱に減少できることが確認できた。
【0021】
このように、各部品単位に分離したセラミックグリーンチップ素体は脱脂処理した後、内部電極が酸化しないよう酸素濃度を制御したN2+H2(水素5%)の雰囲気炉の内部で1300℃程度の温度で焼成処理し、外部電極としてCuペーストを両端部に塗布焼付けし、更に、メッキ処理をNiメッキ,Snメッキの順でCu被膜に施すことにより積層セラミックチップコンデンサとして製造できる。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る積層セラミックチップ部品の製造方法に依れば、セラミックグリーンチップ素体のブロックをベルトコンベアによる搬送途上に加熱炉で少なくともガラス転移温度以上の温度に予熱することから、樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げ、そのセラミックグリーンチップ素体のブロックを加熱炉からベルトコンベアの下方に回る終端付近に搬送するまで樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げた状態に保つため、セラミックグリーンチップ素体のブロックをベルトコンベアで部品単位に分離する圧接ローラに送り込むという同じ工程内で樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げるよう設定できる。
【0023】
その樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げると共に、セラミックグリーンチップ素体のX,Y方向に切断された隅が先頭になるようブロック全体を斜め状態に搭載させてベルトコンベアで搬送し、圧接ローラのローラ面が各セラミックグリーンチップ素体の対角線上に接するようセラミックグリーンチップ素体のブロックを圧接ローラで押さえることから、セラミックグリーンチップ素体のブロックを圧接ローラで部品単位に確実に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る積層セラミックチップ部品の製造方法を適用する装置としてセラミックグリーンチップ素体のブロックを分離する装置を示す側面図である。
【図2】 本発明に係る積層セラミックチップ部品の製造方法を適用する装置としてセラミックグリーンチップ素体のブロックを搭載するベルトコンベアを示す平面図である。
【図3】 本発明に係る積層セラミックチップ部品の製造方法を適用する装置として別の形態に係るセラミックグリーンチップ素体のブロックを分離する装置を部分的に示す側面図である。
【符号の説明】
B セラミックグリーンチップ素体のブロック
1 ベルトコンベア
2 加圧ローラ
3 加熱炉
Claims (1)
- 樹脂バインダーを含むセラミックグリーンペーストから形成した部品複数個取り用のセラミック積層グリーンシートを部品単位のセラミックグリーンチップ素体としてX,Y方向に切断し、その切断後のブロック状態にあるセラミックグリーン素体を圧接ローラで押さえて個々の部品単位に分離するに適用される積層セラミック電子部品の製造方法であって、
上記セラミックグリーンチップ素体のX,Y方向に切断された隅が先頭になるようブロック全体を斜め状態に搭載させてベルトコンベアで搬送し、該ベルトコンベアによる搬送途上でセラミックグリーンチップ素体のブロックを加熱炉で少なくともガラス転移温度以上の温度に予熱して樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げ、該ベルトコンベアの下方に回る終端付近に搬送するまで該樹脂バインダーによる素体相互の付着力を下げた状態に保つと共に、圧接ローラのローラ面が各セラミックグリーンチップ素体の対角線上に接するようセラミックグリーンチップ素体のブロックを圧接ローラで押さえて個々の部品単位に分離するようにしたことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
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