JP4017236B2 - 光硬化性液状樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的立体造形用として好適な光硬化性液状樹脂組成物に関し、特に光硬化性に優れ、かつ硬化後の立体形状物が耐衝撃性、耐折り曲げ性および透明性に優れた光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光硬化性の液状物質(液状樹脂組成物)に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物を形成する光学的立体造形法が提案されている〔新UV・EB硬化技術と応用展開、第7章 214ページ〜244ページ、(株)シーエムシー発行、1997年参照〕。
【0003】
この光学的立体造形法の代表的な例を説明すると、容器内に収容された光硬化性の液状物質(光硬化性樹脂組成物)の液面に、紫外線レーザなどの光を選択的に照射することにより、所定のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性樹脂組成物を供給し、その液面に選択的に光を照射することにより、先行して形成された硬化樹脂層上にこれと連続するよう新しい硬化樹脂層を一体的に積層形成する。そして、光が照射されるパターンを変化させながらあるいは変化させずに上記の工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物が形成される。この光学的立体造形法は、目的とする立体形状物の形状が複雑なものであっても、容易にしかも短時間で得ることができるために注目されている。
【0004】
従来、光学的立体造形法に使用される光硬化性液状樹脂組成物として、下記に示すごとく種々の組成物が提案されてきた。
〔イ〕ウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、チオールおよびエン化合物、感光性ポリイミドなどのラジカル重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば特開平1−204915号公報、特開平2−208305号公報、特開平3−160013号公報参照)。
〔ロ〕エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などのカチオン重合性有機化合物を含有する樹脂組成物(例えば特開平1−213304号公報参照)。
〔ハ〕ラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物とを含有する樹脂組成物(例えば特開平2−28261号公報、特開平2−75618号公報、特開平6−228413号公報参照)。
【0005】
しかし、このような立体造形法に使用される光硬化性液状樹脂組成物には、効率的な光造形を行なう観点から、粘度が低くて直ちに平滑な液面を形成することができるとともに、光照射によって迅速に硬化するものであることが要求される。また、当該光硬化性液状樹脂組成物には、立体形状物を構成する硬化物を膨潤させるものでないこと、光硬化時の硬化収縮に起因する反り、引け、張出部の持ち上がりなどの変形量が小さいことが要求される。
さらに、光学的立体造形法により得られる立体形状物は、デザインを検討するためのモデル、機械部品の試作品などとして用いられるが、特に機械部品の試作品として用いる立体形状物には、設計図に忠実な微細加工が高い精度で施されていることや高い透明性が要求されるとともに、使用条件に耐え得る十分な耐熱性や機械的強度、特に実使用に供される場合には、衝撃強度や折り曲げ特性に優れていることなどが要求される。またさらには、こうした機械的特性が経時的に変化せず安定していることが肝要である。
【0006】
しかしながら、従来公知の液状樹脂組成物は上記の要求に応え得るものではなく、上記〔イ〕〜〔ハ〕で提案された樹脂組成物を光学的立体造形に適用した場合の迅速な硬化速度および低い樹脂粘度;当該樹脂組成物を光造形して得られる立体形状物の光学的透明性;高い成形精度およびその経時的安定性;弾性率および破断伸びという基本的な機械特性;耐衝撃性、耐折り曲げ性等の実用的機械特性;さらにはこれらの機械的特性の経時的安定性といったすべての特性において良好なバランスをとることがはなはだしく困難であった。
【0007】
成形精度の向上を目的として、樹脂組成物に実質的に屈折率の異なる中空粒子やコアシェルポリマー粒子を配合し、光の屈折、散乱を利用して光の当該樹脂組成物中への浸透深さを制御する方法が提案されている(特開平3−103415号公報、特開平3−114733号公報参照)が、実質的に樹脂組成物と異なる屈折率の粒子を配合することにより、成形精度の向上は期待できるものの、得られる光造形立体形状物は透明性に劣り、また立体形状の経時的安定性や実用的な機械特性の点でもさらなる改善が必要であった。さらに機械的強度、特に強靱性を付与することを目的として、比重差が特定の範囲内にある微小粒子を含有することを特徴とする樹脂組成物(特開平2−145616号公報参照)が提案されているが、靱性の改善には効果が認められるものの、光形状物を機能部品として実使用に供した場合に、特に繰り返しの折り曲げ変形に弱いという欠点は克服されておらず、また当該樹脂組成物から得られる立体形状物の透明性や成形精度といった点でも改善の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、新規な光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、機械的強度および寸法精度などが高く、機械部品の試作品などとしても好適な立体形状物を造形することができる光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、得られた立体形状物の形状の経時的変形が小さい立体形状物を造形することができる光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第4の目的は、機械的特性の経時的変化の小さい立体形状物を造形することができる光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第5の目的は、透明性に優れた立体形状物を造形することができる光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第6の目的は、機械的特性、特に耐衝撃性をはじめとする靱性に優れた光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第7の目的は耐折り曲げ性に優れた光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、
(A)下記一般式(1):
【0010】
【化3】
で表される脂肪族環状エーテル化合物、
(B)下記一般式(2)、(3)および(4):
【0011】
【化4】
(但し、R5は水素原子またはメチル基を示し、mは0〜10の整数であり、kは1〜10の整数である。)
で表される基を示し、但し式(2)〜(4)の各式においてR 3 の少なくとも2つは一般式(5)または(6)で表される基であり、R4は水素原子または炭素数1以上のアルキル基を示す。〕
【0012】
で表されるアクリロイル基含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(C)1分子中に3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物、
(D)ブタジエン系重合体または共重合体を主成分とするコア構造とメチルメタアクリレート系重合体または共重合体を主成分とするシェル構造とを有する平均粒子径10nm〜700nmの粒子、
(E)カチオン性光重合開始剤、および
(F)ラジカル性光重合開始剤、
を含有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(A)一般式(1)で表される脂肪族環状エーテル化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物を構成する(A)前記一般式(1)で表される脂肪族環状エーテル化合物〔以下、「(A)成分」ともいう。〕は、カチオン性光重合開始剤の存在下で光照射することにより重合反応や架橋反応を起こすカチオン重合性有機化合物である。
一般式(1)において、R1の有機化合物残基としては、シクロヘキシルカルボン酸メチル残基のようなカルボン酸メチル残基、アジピン酸ジメチル残基、カルボン酸残基などが例示できる。
【0014】
このような脂肪族環状エーテル化合物(カチオン重合性有機化合物)としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどを例示することができる。
【0015】
これらのカチオン重合性有機化合物のうち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましく、特に3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートが好ましい。
【0016】
(A)成分として好適に使用できるカチオン重合性有機化合物の市販品としては、UVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200、UVR−6216(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、エポリードGT−300、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリードGT−400、エポリード401、エポリード403(以上、ダイセル化学工業(株)製)、KRM−2100、KRM−2110、KRM−2199(以上、旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。
上記のカチオン重合性有機化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて(A)成分を構成することができる。
【0017】
本発明の光硬化性樹脂組成物における(A)成分の含有割合は、通常20〜85重量%であり、好ましくは25〜80重量%、更に好ましくは30〜75重量%である。(A)成分の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物による立体形状物の寸法精度が低下すると共に、当該立体形状物の経時的変形が生じやすくなる。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下して造形効率の低下を招く。
【0018】
(B)一般式(2)、(3)および/または(4)で表されるアクリロイル基含有化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物を構成する前記一般式(2)、(3)、(4)で表されるアクリロイル基含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物〔以下「(B)成分」ともいう。〕は、多官能性(メタ)アクリレート化合物で、ラジカル性光重合開始剤の存在下で光照射することにより重合反応や架橋反応を起こすラジカル重合性有機化合物である。
一般式(2)〜(4)のR3は独立に水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基、あるいは前記一般式(5)または(6)で表される基であり、またR4は水素原子、または炭素数1以上、好ましくは1〜10のアルキル基である。
また、一般式(5)または(6)において、R5は水素原子またはメチル基であり、mは0〜10、好ましくは0〜6の整数であり、kは1〜10、好ましくは1〜6の整数である。
【0019】
この多官能性(メタ)アクリレート化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、などを例示することができる。
【0020】
これらの多官能性(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、例えばビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドPET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、TPA−320、TPA−330(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−305、M−309、M−310、M−320、M−350、M−360、M−400、M−408、M−450(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、 A−TMM−3L、 A−TMMT(以上、新中村化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0021】
かかる(B)成分としては、上記に例示された多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記の単官能モノマーおよび多官能モノマーは、各々単独で、または2種以上組み合わせるか、あるいは単官能モノマーの少なくとも1種と多官能モノマーの少なくとも1種とを組み合わせて(B)成分を構成することができる。
【0022】
本発明の光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物における(B)成分の含有割合は、通常5〜45重量%であり、好ましくは7〜40重量%、更に好ましくは10〜35重量%でである。(B)成分の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、十分な機械的強度を有する立体形状物を造形することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物が光硬化により収縮しやすいものとなり、また、得られる立体形状物について、耐熱性、耐湿性などが低下する傾向がある。
【0023】
(C)1分子中に3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物
本発明の光硬化性液状樹脂組成物を構成する(C)1分子中に3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物〔以下「(C)成分」ともいう。〕は、樹脂組成物の光硬化性、光造形により得られる立体形状物の形状安定性(経時的変形の抑制性能)および形状安定性(機械的特性の経時的変化の抑制性能)を発現させるために含有される必須成分である。(C)成分として使用されるポリエーテルポリオールは、好ましくは1分子中に3〜6個の水酸基を有するものである。1分子中に有する水酸基の数が3個未満のポリエーテルポリオール(ポリエーテルジオール)を使用すると、光硬化性の向上効果が十分ではなく、また、得られる立体形状物の機械的特性、特に弾性率が低下する傾向がある。一方、1分子中に6個を超えるポリエーテルポリオールを含有させる場合には、得られる立体形状物の伸びが低下する傾向が見られるとともに耐湿性に問題を生じる傾向がある。
【0024】
かかる(C)成分のポリエーテルポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、クオドロールなどの3価以上の多価アルコールを、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどの環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールを挙げることができ、具体的には、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール、EO変性スクロース、PO変性スクロース、EO変性スクロース、EO変性クオドールなどを例示することができ、これらのうち、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、PO変性グリセリン、PO変性ソルビトールが好ましい。
【0025】
(C)成分として使用するポリエーテルポリオールの分子量は、100〜2,000であることが好ましく、更に好ましくは160〜1,000である。分子量が過小なポリエーテルポリオールを(C)成分として使用すると、得られる樹脂組成物によっては、形状安定性および物性安定性を有する立体形状物を得ることが困難となる。一方、分子量が過大なポリエーテルポリオールを(C)成分として使用すると、得られる樹脂組成物の粘度が過大となり、光造形により得られる立体形状物の弾性率が低下する傾向がある。
【0026】
(C)成分として使用できるポリエーテルポリオールの市販品としては、サンニックスTP−400、サンニックスGP−600、サンニックスGP−1000、サンニックスSP−750、サンニックスGP−250、サンニックスGP−400、サンニックスGP−600(以上、三洋化成(株)製)、TMP−3Glycol、PNT−4 Glycol、EDA−P−4、EDA−P−8(以上、日本乳化剤(株)製)、G−300、G−400、G−700、T−400、EDP−450、SP−600、SC−800(以上、旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。
上記のポリエーテルポリオールは、1種単独で、または2種以上組み合わせて(C)成分を構成することができる。
【0027】
本発明の光硬化性液状樹脂組成物における(C)成分の含有割合は、通常5〜35重量%であり、好ましくは7〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。(C)成分の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性の向上効果を十分に図ることができず、また、当該樹脂組成物によっては形状安定性および物性安定性の良好な立体形状物を得ることができない。一方、(C)成分の含有割合が過大である場合にも、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、光造形により得られる立体形状物の弾性率が低下する傾向がある。
【0028】
(D)ブタジエン系重合体または共重合体を主成分とするコア構造とメチルメタアクリレート系重合体または共重合体を主成分とするシェル構造とを有する平均粒子径10nm〜700nmの粒子
本発明の光硬化性液状樹脂組成物を構成する(D)ブタジエン系重合体または共重合体を主成分とするコア構造とメチルメタアクリレート系重合体または共重合体を主成分とするシェル構造とを有する平均粒子径10nm〜700nm〔以下「(D)成分」ともいう。〕の粒子としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体などのゴム成分をコア構造用の主成分とし、これにメチルメタアクリレートポリマー、メチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体などのシェル構造用の主成分で被覆した粒子を挙げることができる。これらの中でも、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体などのエラストマー成分をメチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体で被覆した粒子が特に好ましい。なお、上記のようなコア/シェル型粒子の、コア半径とシェルの厚みとの比率は通常1/2〜1000/1、好ましくは1/1〜200/1である(この比率は、例えばコア半径350nm、シェルの厚み10nmの場合、35/1となる)。
【0029】
これら粒子のコア構造となるエラストマー成分は、通常用いられている方法で作製することができ、例えば、乳化重合法が挙げられる。この乳化重合法としては、例えば単量体成分を全量一括して仕込み重合する方法、単量体成分の一部を重合した後、残部を連続的または断続的に添加する方法、単量体成分を重合の始めから連続的に添加する方法、あるいはシード粒子を用いる方法などを採用することができる。次に、こうして作製されたエラストマー成分の表面に、メチルメタアクリレート重合体または共重合体を通常の塗布法で被覆するか、あるいは上記エラストマー成分を幹成分として、これにメチルメタアクリレートモノマー単独、またはメチルメタアクリレートとグリシジルメタアクリレートとの混合モノマー等のメチルメタアクリレート系モノマーを枝成分としてグラフト重合することにより、コア/シェル構造を有する粒子を得ることができる。なお、(D)成分の粒子の特にコア構造用のエラストマー成分は、部分架橋構造を取っていてもよく、通常用いられている手段によって架橋することができる。この場合使用される架橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタアクリル酸アリルなどが挙げられる。
【0030】
こうして得られる(D)成分の粒子の平均粒子径は10nm〜700nmである。10nm未満では得られる立体形状物の耐衝撃性が低下したり、樹脂液の粘度が上昇し、立体形状物の生産や造形精度に影響を及ぼし、一方、700nmを超えると、十分に平滑な立体形状物平面が得られなかったり、造形精度が低下する。
このような(D)成分粒子の市販品としては、例えば、レジナスボンドRKB(レジナス化成(株)製)、テクノMBS−69、テクノMBS−61(以上、テクノポリマー(株)製)等を挙げることができる。
これら(D)成分の粒子は単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明の光硬化性樹脂組成物における(D)成分の含有割合は、通常1〜35重量%であり、好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。(D)成分の含有割合が過小である場合には、耐衝撃性が低下し、一方、この含有割合が過大である場合には、得られる立体形状物の造形精度が低下する傾向がある。
【0032】
(E)カチオン性光重合開始剤
本発明の光硬化性樹脂組成物を構成する(E)カチオン性光重合開始剤〔以下「(E)成分」ともいう。〕は、光などのエネルギー線を受けることによって、前記(A)成分のカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物である。ここで、光などのエネルギー線とは可視光、紫外光、赤外光などを意味する。特に好ましい(E)成分の化合物として、下記一般式(7):
[R1 aR2 bR3 cR4 dW]+m [MXn+m]-m (7)
〔式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R1、R2、R3およびR4は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdは各々0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mはハロゲン化物錯体[MXn+m]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xは、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
上記一般式(7)中におけるアニオン[MXn+m]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 -)などが挙げられる。
【0033】
また、一般式[MXn(OH)-]で表されるアニオンを有するオニウム塩を使用することができる。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3 SO3 -)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオンなどの他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
【0034】
このようなオニウム塩のうち、(B)成分として特に有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩である。中でも、特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩などが好ましい。また、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤なども挙げることができる。
【0035】
(E)成分として好適に使用できる光重合開始剤の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)などを挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−171、CD−1012、MPI−103は、これらを含有してなる樹脂組成物に高い光硬化感度を発現させることができることから特に好ましい。
上記のカチオン性光重合開始剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
本発明の光硬化性樹脂組成物における(E)成分の含有割合は、通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.3〜3重量%である。(B)成分の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物の光硬化性が低下し、十分な機械的強度を有する立体形状物を造形することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、得られる樹脂組成物を光学的立体造形法に供する場合に、適当な光透過性を得ることができず硬化深さの制御が困難となり、得られる立体形状物の造形精度が低下する傾向がある。
【0037】
(F)ラジカル性光重合開始剤
本発明の光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物を構成するラジカル性光重合開始剤〔以下「(F)成分」ともいう。〕は、光などのエネルギー線を受けることにより分解し、発生するラジカルによって(B)成分のラジカル重合反応を開始させる化合物である。
【0038】
(F)成分のラジカル性光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、およびBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンその他の色素増感剤との組み合わせなどを挙げることができる。これらのうち、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどが特に好ましい。
上記のラジカル性光重合開始剤は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明の光硬化性液状樹脂組成物におけるラジカル性光重合開始剤の含有割合は、樹脂組成物全体に対して、通常0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル性光重合開始剤の含有割合が過小である場合には、得られる樹脂組成物のラジカル重合反応速度(硬化速度)が小さくなって造形に時間を要したり、解像度が低下したりする傾向がある。一方、ラジカル性光重合開始剤の含有割合が過大である場合には、過剰量の重合開始剤が樹脂組成物の硬化特性をかえって低下させたり、立体形状物の耐湿性や耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。
【0040】
任意成分
本発明の光学的立体造形用光硬化性液状樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、上記の必須成分〔(A)成分〜(F)成分〕以外の成分を含有させることができる。かかる任意成分としては、(A)成分として特定した以外のカチオン重合性有機化合物を挙げることができ、具体的には、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエンなどを例示することができる。
また、本発明の(B)成分として特定した以外のエチレン性不飽和モノマーとして、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単官能モノマー、および1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーを挙げることができる。
【0041】
これらのエチレン性不飽和単官能モノマーとしては、例えばアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、および下記一般式(8)〜(10)で表される化合物を例示することができる。
【0042】
【化5】
【0043】
これらの単官能性モノマーのうち、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらの単官能性モノマーの市販品としては、例えばアロニックスM−101、M−102、M−111、M−113、M−117、M−152、TO−1210(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TC−110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬(株))、ビスコート192、ビスコート220、ビスコート2311HP、ビスコート2000、ビスコート2100、ビスコート2150、ビスコート8F、ビスコート17F(以上、大阪有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0044】
またエチレン性不飽和多官能性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
【0045】
これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えばSA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−315、M−325、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0046】
また任意成分としてさらに、1分子中に3個未満の水酸基を有する化合物であるジオール化合物またはモノオール化合物を使用することもでき、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0047】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、上記必須成分〔(A)成分〜(F)成分〕以外の任意成分として、光増感剤(重合促進剤)、反応性希釈剤などを含有させることができる。
光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミンなどのアミン系化合物;チオキサントン、チオキサントンの誘導体、アントラキノン、アントラキノンの誘導体、アントラセン、アントラセンの誘導体、ペリレン、ペリレンの誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが、また反応性希釈剤としては、ビニルエーテル類、ビニルスルフィド類、ビニルウレタン類、ウレタンアクリレート類、ビニルウレア類などが挙げられる。
【0048】
また本発明の光造形用光硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。かかる添加剤としては、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどのポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどの重合禁止剤;重合開始助剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;無機充填剤;顔料;染料などを挙げることができる。
【0049】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記(A)成分〜(F)成分、および必要ならば上記任意成分を均一に混合することによって製造することができる。
このようにして得られる光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)は、50〜2,000cpsであることが好ましく、更に好ましくは70〜1,500cpsである。
【0050】
<光学的立体造形法>
以上のようにして得られる本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、光学的立体造形法における光硬化性液状樹脂物質として好適に使用される。すなわち、本発明の光硬化性樹脂組成物に対して、可視光、紫外光、赤外光等の光を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給する光学的立体造形法により、所望の形状の立体形状物を製造することができる。
光硬化性樹脂組成物に光を選択的に照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。例えば、レーザ光、あるいはレンズ、ミラーなどを用いて得られた収束光等を走査させながら組成物に照射する手段、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に照射する手段、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を組成物に照射する手段等を採用することができる。また、マスクを用いる手段においては、マスクとして、液晶表示装置と同様の原理により、所定のパターンに従って、光透過領域と光不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成するものを用いることもできる。以上において、目的とする立体形状物が微細な部分を有するものまたは高い寸法精度が要求されるものである場合には、組成物に選択的に光を照射する手段として、スポット径の小さいレーザー光を走査する手段を採用することが好ましい。
なお、容器内に収容されている樹脂組成物における光の照射面(例えば収束光の走査平面)は、当該樹脂組成物の液面、透光性容器の器壁との接触面の何れであってもよい。樹脂組成物の液面または器壁との接触面を光の照射面とする場合には、容器の外部から直接または器壁を介して光を照射することができる。
【0051】
前記の光学的立体造形法においては、通常、樹脂組成物の特定部分を硬化させた後、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に連続的にまたは段階的に移動させることにより、硬化部分を積層させて所望の立体形状とする。ここで、照射位置の移動は種々の方法によって行うことができ、例えば光源、樹脂組成物の収容容器、樹脂組成物の既硬化部分の何れかを移動させたり当該容器に樹脂組成物を追加供給するなどの方法を挙げることができる。
前記の光学的立体造形法の代表的な一例を説明すると、収容容器内において昇降自在に設けられた支持ステージを樹脂組成物の液面から微小量降下(沈降)させることにより、当該支持ステージ上に樹脂組成物を供給してその薄層(1)を形成する。次いで、この薄層(1)に対して選択的に光を照射することにより、固体状の硬化樹脂層(1)を形成する。次いで、この硬化樹脂層(1)上に光硬化性樹脂組成物を供給してその薄層(2)を形成し、この薄層(2)に対して選択的に光照射することにより、前記硬化樹脂層(1)上にこれと連続して一体的に積層するよう新しい硬化樹脂層(2)を形成する。そして、光照射されるパターンを変化させながら或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層(n)が一体的に積層されてなる立体形状物が造形される。
【0052】
このようにして得られる立体形状物を収容容器から取り出し、その表面に残存する未反応の樹脂組成物を除去した後、必要に応じて洗浄する。ここで、洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤;アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどに代表されるケトン系有機溶剤;テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤;低粘度の熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂を挙げることができる。
なお、表面平滑性の良好な立体形状物を製造する場合には、前記熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を使用して洗浄することが好ましく、この場合には、洗浄に使用した硬化性樹脂の種類に応じて、熱照射または光照射によるポストキュアーを行う必要がある。なお、ポストキュアーは、表面の樹脂を硬化させるだけでなく、立体形状物の内部に残存することのある未反応の樹脂組成物をも硬化させることができるので、有機溶剤により洗浄した場合にもポストキュアーを行うことが好ましい。
【0053】
このようにして得られる立体形状物は、機械的強度および寸法精度などが高く、耐熱性にも優れている。また、当該立体形状物は、形状安定性および物性安定性に優れ、機械部品の試作品などとして用いた場合に優れた耐衝撃性と耐折り曲げ性を示し、好適に使用することができる。
さらに、立体形状物の表面強度および耐熱性を向上させるためには、洗浄処理を施した後に、熱硬化性または光硬化性のハードコート材を使用することが好ましい。かかるハードコート材としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などからなる有機コート材、あるいは無機ハードコートを使用することができ、これらのハードコート材は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
表1に示す配合処方に従って、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート「UVR6199」(ユニオンカーバイド社製)28重量部と、トリメチロールプロパントリアクリレート「ビスコート295」(大阪有機化学工業(株)製)25重量部と、PO変性グリセリン「サンニックスGP−400」(三洋化成工業(株)製)12重量部と、コアに部分架橋スチレン/ブタジエン共重合体、シェルにメタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体を有する平均粒子径50nmの粒子(レジナス化成(株)製レジナスボンドRKB)15重量部と、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル「エポライト1500NP」(共栄社化学(株)製)20重量部と、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート「UVI−6974」(ユニオンカーバイド社製)2重量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア 184」(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)2重量部とを攪拌容器内に仕込み、60℃で1時間攪拌することにより、透明な液状組成物(本発明の樹脂組成物)を製造した。得られた液状組成物についてB型粘度計により粘度(25℃)を測定したところ、750cpsであった。
実施例2〜7
表1に示す配合処方に従って、(A)〜(F)成分および任意成分を攪拌混合したこと以外は実施例1と同様にして透明な液状組成物(本発明の光硬化性樹脂組成物)を製造した。得られた液状組成物の各々について、B型粘度計により測定された粘度(25℃)を表1に併せて示す。
比較例1〜4
表1に示す配合処方に従って、各構成成分を攪拌混合したこと以外は実施例1と同様にして透明な液状組成物(比較用の光硬化性樹脂組成物)を製造した。得られた液状組成物の各々について、B型粘度計により測定された粘度(25℃)を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
(注)
1)「UVR−6110」(ユニオンカーバイド社製)
2)「UVI−6199」(ユニオンカーバイド社製)
3)「ビスコート295」(大阪有機化学工業(株)製)
4)「ビスコート300」(大阪有機化学工業(株)製)
5)「DPHA」(日本化薬(株)製)
6)「サンニックスGP−400」(三洋化成(株)製)
7)レジナス化成(株)製レジナスボンドRKB
8)乳化重合法により製造した粒子
9)「エポライト1500NP」(共栄社化学(株)製)
10)「エポライト4000」(共栄社化学(株)製)
11)「UVI−6974」(ユニオンカーバイド社製)
12)「イルガキュア 184」(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
表1に示したように、実施例1〜7に係る組成物は、いずれも、光学的立体造形法に用いる樹脂組成物として好適な粘度を有するものであった。
【0057】
<光硬化性樹脂組成物の評価>
実施例1〜7および比較例1〜4により得られた光硬化性樹脂組成物の各々について、下記の評価方法に従って、Arレーザーによる硬化性の評価を行い、結果を表2に示した。また硬化物における弾性率およびその経時的変化、および硬化物の経時的変形量を下記の方法で測定し、結果を表2に示した。さらに硬化物のアイゾット衝撃強度および耐折り曲げ性を下記に記載の方法で測定し、結果を表2に示した。
【0058】
〔Arレーザーによる硬化性の評価〕
Arイオンレーザー(波長351nm,365nm)よりなる照射用光源を搭載する光造形装置「ソリッドクリエーターJSC−2000」(ソニー(株)製)を使用し、照射面(液面)におけるレーザースポット径を200μmとし、レーザーパワーを100mWとし、走査速度を100mm/秒から1000mm/秒と変化させて、光硬化性樹脂組成物に対し選択的にレーザー光を照射して、樹脂組成物が硬化する最小エネルギー値を測定した。最小硬化エネルギーが小さいほど樹脂の硬化性が優れていると判断できる。上記実施例及び比較例で得られた樹脂組成物についてそれぞれ硬化性を測定し、優れている順に優・良・不可の序列を付けて評価した。
〔硬化フィルムの透明性、弾性率および弾性率の経時変化の測定〕
(1)試験片の作製:
アプリケータを用い、ガラス板上に組成物を塗布することにより、厚みが200μmの塗布膜を形成し、メタルハライドランプを装備したコンベア硬化装置を用いて、当該塗布膜の表面に紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して、半硬化樹脂フィルムを作製した。次いで、ガラス板から半硬化樹脂フィルムを剥離し、離型紙に載せ、最初に紫外線を照射した面とは反対側の面からの紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して、硬化樹脂フィルムを作製した。
このようにして作製された硬化樹脂フィルムを、下記の環境条件下に静置することにより2種類の試験片▲1▼、▲2▼を作製した。
試験片▲1▼:温度23℃,相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置。
試験片▲2▼:温度23℃,相対湿度50%の恒温恒湿室内に30日間静置。
(2)測定:
<硬化フィルムの透明性>
作製した試験片▲1▼の透明性を目視で評価した。
<弾性率>
温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で、試験片▲1▼(初期値測定用)、試験片▲2▼(経時的変化測定用)の各々について、引張速度1mm/min、標線間距離25mmの条件で弾性率を測定した。
【0059】
〔経時的変形量〕
(1)試験片の作製:
ソリッドクリエーターJSC−2000を使用し、照射面(液面)におけるレーザーパワー100mW、各組成物において硬化深さが0.3mmとなる走査速度の条件で、光硬化性樹脂組成物に対し選択的にレーザ光を照射して硬化樹脂層(厚さ0.20mm)を形成する工程を繰り返すことにより、図1(1)に示すような測定用モデル(以下「反りモデル」という。)を造形した。次いで、この反りモデルを光造形装置から取り出し、外表面に付着している樹脂組成物を拭き取り、さらに、テルペン系溶剤により余分な樹脂組成物を洗浄除去した。
(2)測定:
図1(2)に示すように、得られた反りモデル10における脚部11の下端を水平台20に固定し、この水平台20から脚部12の下端までの距離〔持ち上がり量〕を反り量(初期値)として評価し、反り量の少ない順に優・良・不可とした。
さらに、この反りモデルを、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に30日間静置した後、上記と同様な方法で反り量を評価した。
【0060】
〔衝撃強度の測定〕
(1)試験片の作製:
ソリッドクリエーターJSC−2000を使用し、照射面(液面)におけるレーザーパワー100mW、各組成物において硬化深さが0.3mmとなる走査速度の条件で、光硬化性樹脂組成物に対し選択的にレーザ光を照射して硬化樹脂層(厚さ0.20mm)を形成する工程を繰り返すことにより、JIS規格K7110に準じた試験片を造形した。
(2)測定:
このようにして作製した試験片を23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置したのち、JISK7110に記載された方法に従って、アイゾット衝撃強度を測定した。
【0061】
〔耐折り曲げ試験〕
(1)試験片の作製:
アプリケータを用い、ガラス板上に組成物を塗布することにより、厚みが200μmの塗布膜を形成し、メタルハライドランプを装備したコンベア硬化装置を用いて、当該塗布膜の表面に紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して、半硬化樹脂フィルムを作製した。次いで、ガラス板から半硬化樹脂フィルムを剥離し、離型紙に載せ、最初に紫外線を照射した面とは反対側の面からの紫外線を照射(照射量0.5J/cm2 )して、硬化樹脂フィルムを作製した。
(2)測定:
このようにして作製された硬化樹脂フィルムを、温度23℃,相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置したのち、MIT式屈曲試験器を用いて、100g一定荷重をかけながら、折り曲げ回数60回/秒で、繰り返し折り曲げ試験を行い、試験片が折り曲げ位置で破断するまでの回数を測定した。折り曲げ位置で破断する回数が30回以上のものを合格とし、30回未満のものを不合格とした。
【0062】
〔造形精度の評価〕
立体形状物の造形性の評価は、各樹脂液から造形された立体形状物の寸法を測定し行った。
(1)立体形状物の造形:
ソリッドクリエーターJCS−2000により、下記の造形条件に従って、図2に示すような、H型の立体形状物を造形した。
造形された立体形状物は、温度23℃,相対湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置することにより状態調整された。
<造形条件>
経時的変形量の試験片作製の場合と同じ条件(液面におけるレーザー光強度:100mW、走査速度:各組成物において硬化深さが0.30mmとなる適正走査速度、形成する硬化樹脂層の厚み:0.2mm)である。
(2)立体形状物の寸法精度の測定:
上記のようにして得られた立体形状物において、図2のA,B,Cの距離を、0.01mmまで測定可能なノギスを使用して測定し、下記式(I)、(II)により距離AとB間、CとB間の寸法差を求めた。
寸法差AB = (A−B) (I)
寸法差CB = (C−B) (II)
尚、立体形状物の寸法精度の評価は次のとおりである。
・寸法差AB、CBの絶対値の両方が0.1mm未満の場合
:寸法精度〔◎〕
・寸法差AB、CBの絶対値の一方が0.1mm未満、他方が0.1mm以上0.2mm未満の場合
:寸法精度〔○〕
・寸法差AB,CBの絶対値の両方が0.1mm以上0.2mm未満の場合
:寸法精度〔△〕
・寸法差AB,CBの絶対値がいずれかが0.2mm以上の場合もしくは形状物が得られない場合
:寸法精度〔×〕
【0063】
【表2】
【0064】
表2から明らかなように、実施例1〜7の組成物の硬化物は、いずれも造形精度が高く、弾性率が大きく、かつその経時安定性に優れていた。さらに、これらの硬化物は、硬化収縮に起因する変形量(反り量)が小さく形状安定性に優れているものであった。またさらに、これらの硬化物は優れた耐衝撃性および耐折り曲げ性を示している。
これに対して、(D)成分を用いない比較例1の組成物の硬化物は、耐衝撃性および耐折り曲げ性に劣ることは明らかである。
【0065】
(A)成分を用いず、かつ(B)成分の比率が通常よりも多い比較例2の組成物は、硬化性に劣り、立体形状物を得ることができなかった。また、硬化フィルムの評価において、フィルムは得られるが脆いため、弾性率および耐折り曲げ性試験を行うことができなかった。
(A)成分を用いない比較例3の組成物も比較例2と同様、硬化性に劣り、立体形状物を得ることができなかった。また硬化フィルムの評価において、フィルムは得られるが脆いため、弾性率および耐折り曲げ性試験を行うことができなかった。
また、(B)成分を用いない比較例4の組成物も、硬化フィルムの評価において耐折り曲げ性は良好であったが、硬化性に劣り、造形することができなかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、低粘度で硬化性に優れる上、この組成物からは、透明性、耐熱性に優れ、機械的強度および寸法精度が高く、しかも機械的特性の経時的変化や経時的変形量(反り)が少ない立体形状物を造形することができる。こうして得られる立体形状物は、耐衝撃性、耐折り曲げ性等の靱性に優れた、機械部品の試作品などの立体形状物として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で製造した光硬化性組成物の硬化物の経時的変形量の測定用モデルの形状および測定方法の概略を示す説明図である。
【図2】実施例および比較例で製造した光硬化性組成物の硬化物の造形(寸法)精度の測定用モデルの概略図である。
【符号の説明】
10 反りモデル
11,12 脚部
20 水平台
Claims (4)
- (A)下記一般式(1):
(B)下記一般式(2)、(3)および(4):
で表される基を示し、但し式(2)〜(4)の各式においてR3の少なくとも2つは一般式(5)または(6)で表される基であり、R4は水素原子または炭素数1以上のアルキル基を示す。〕
で表されるアクリロイル基含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(C)1分子中に3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオール化合物、
(D)コアとしてスチレン/ブタジエン共重合体を部分架橋した重合体を有し、シェルとしてメチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体を有し、平均粒子径50nm〜700nmの粒子、
(E)カチオン性光重合開始剤、および
(F)ラジカル性光重合開始剤、
を含有することを特徴とする光造形用光硬化性液状樹脂組成物。 - 組成物全量に対して、(A)成分の含有量が20〜85重量%、(B)成分の含有量が5〜45重量%、(C)成分の含有量が5〜35重量%、(D)成分の含有量が1〜35重量%、であることを特徴とする請求項1に記載の光造形用光硬化性液状樹脂組成物。
- 前記(B)成分を示す式(2)〜(4)の各式においてR3の少なくとも3つは一般式(5)または(6)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の光造形用光硬化性液状樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の光造形用光硬化性液状樹脂組成物。
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