JP4013031B2 - 回収ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、回収ポリエチレンテレフタレートを用いたポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の成形品は、強度が大きく、耐薬品性、耐光性、耐摩耗性等の耐久性が優れており、シート状や各種形態の容器等に成形して、飲料、液体食品の容器や食品トレー等として広く用いられている。また、この様なPET製品の内で、使用済みとして回収されたPET製品の再生利用方法についても各種分野で検討されている。
【0003】
しかしながら、回収されたPET製品では樹脂の品質劣化が進行しており、回収品をそのまま又はペレット化して溶融押出や射出成形の原料として用いる場合には、新しい樹脂を用いた場合と比較すると、成形性や得られる製品の品質低下が避けられない。このため、回収PET樹脂の再生品は、繊維製品、フィルム、シートなどの一部の用途には使用可能な場合があるものの、高い重合度が要求される高品質のPET製品の製造原料としては不適切である。
【0004】
従来、回収PET樹脂の品質を向上させる方法として、回収PET樹脂をペレット状、フレーク状等とした後、窒素などの不活性ガス雰囲気中で固相重合によって固有粘度を向上させる方法が知られている(特開平7−316919号公報、特開2000−219728号公報等)。
【0005】
しかしながら、従来の再利用方法では、固相重合に長時間を要し、また、ペレット化や乾燥等の効率の悪い工程を余分に設ける必要がある。しかも、これらの方法では、回収製品に付着して外部から持ち込まれる汚染物質やリサイクルの過程で生成する望ましくない物質を十分に除去することができない。また、洗浄などの方法でこれらの汚染物質等を高度に除去して安全衛生性の高いものとすることは難しい。このため、食品包装の分野では、回収ポリエチレンテレフタレートの再生製品の使用は控えられているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、回収ポリエチレンテレフタレートを再生利用する方法であって、安全衛生性が高く、しかも優れた品質を有する製品を、効率よく生産し得る方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、回収ポリエチレンテレフタレートを薄いフレーク状又は微細な粉砕粒とした後、減圧下で固相重合によってIV値を向上させた後、押出し成形で特定の特性を持つシート状、フィルム状などに成形する方法によれば、不純物が少なく、物性の改善されたポリエチレンテレフタレート樹脂を比較的短時間で得ることができることを見出した。そして、このようにして得られたシート又はフィルムを所定の形状に熱成形する場合には、熱成形性が良好であって、優れた物性を有し、しかも食品包装の分野でも有効に利用できる安全衛生性の高いポリエチレンテレフタレート製品を得ることが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の回収ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法を提供するものである。
1. 下記(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法:
(1)最小厚さ部分が1mm以下のフレーク又は粉砕粒の形状のポリエチレンテレフタレートを80重量%以上含む回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、圧力7kPa以下、温度200℃以上で固相重合を行い、固有粘度(IV)値を0.7〜2とする工程:
(2)上記(1)工程で得られた固相重合後の回収ポリエチレンテレフタレートを押出成形して、下記(i)及び(ii)の条件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体とする工程、
(i)示差熱走査熱量計を用いて該非発泡体を10℃/分の昇温速度で加熱した際に、最初の加熱時の放熱曲線のピークを示す温度が115℃以上であること;
(ii)該非発泡体の結晶化度が20%以下であること。
2. 回収ポリエチレンテレフタレートが飲料用ボトルの回収品を50重量%以上含むものである請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法。
3. 固相重合反応後、乾燥工程を経ることなく、乾燥機構を有さない押出機を用いて押出成形を行う請求項1又は2に記載の方法。
4. 下記(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法:
(1)最小厚さ部分が1mm以下のフレーク又は粉砕粒の形状のポリエチレンテレフタレートを80重量%以上含む回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、圧力7kPa以下、温度200℃以上で固相重合を行い、固有粘度(IV)値を0.7〜2とする工程:
(2)上記(1)工程で得られた固相重合後の回収ポリエチレンテレフタレートを押出成形して、下記(i)及び(ii)の条件を満足する層を多層構造を有するシート状又はフィルム状の非発泡体体の少なくとも一層として形成する工程、
(i)示差熱走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で加熱した際に、最初の加熱時の放熱曲線のピークを示す温度が115℃以上であること;
(ii)該非発泡体の結晶化度が20%以下であること。
5. 上記項1〜4のいずれかの方法で得られたシート状又はフィルム状の非発泡体を熱成形して得られるポリエチレンテレフタレート成形品。
6. 食品包装用容器である上記項5に記載のポリエチレンテレフタレート成形品。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の製造方法について、構成要件毎に具体的に説明する。
回収ポリエチレンテレフタレート
本発明方法では、原料としては、回収ポリエチレンテレフタレートを用いる。使用できる回収ポリエチレンテレフタレートの種類については特に限定はなく、各種ポリエチレンテレフタレート製品の使用済み品の他、ポリエチレンテレフタレート製品の製造時に発生する不良品や成形屑等も使用できる。この様な回収ポリエチレンテレフタレートの内で、ポリエチレンテレフタレート製品の使用済み品は、通常、汚染されていることに加えて、樹脂の品質劣化が進行している。その結果、比較的低分子量となり、極限粘度(IV)が0.5〜0.75程度の範囲となっており、そのまま溶融押出しや射出成形の原料として用いると、得られる成形品も強度、耐熱性等の物性が劣るものとなる。更に押出成形されたシートあるいはフイルムを熱成形するときは、予備加熱の段階でシートが自重で伸びて垂れ下がる現象であるドローダウンが生じて成形に支障を来しやすい。又熱成形品が白濁化してしまうこともしばしばある。このため熱成形の条件幅も小さく、熱成形品の品質や製造効率が劣るなどして好ましくない。
【0010】
本発明方法は、この様な回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、安全衛生性が高く、しかも優れた品質を有する製品を効率よく生産できる方法である。
【0011】
回収ポリエチレンテレフタレートの内で、特に、飲料用ボトルは、配向結晶により高透明度を保ちながら、強度、耐熱性、ガスや液体に対するバリア性の向上等を目的とした樹脂特性となっており、同様の性質が要求される再生品の製造原料として適したものである。
【0012】
ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルの生産方式には、ストレッチブロー方式とダイレクトブロー方式があり、飲料食品用を始め殆どのものはストレッチブロー方式で生産されている。
【0013】
ストレッチブロー方式で得られるPETボトルは、一度射出成形されたプリフォームを延伸配向効果が発揮されるような温度条件でブロー成形するため、実質的に延伸配向効果がないような高温で成形されるダイレクトブロー方式のものよりも透明性、ガスバリヤ性、剛性、耐衝撃強度などの物性が優れている。さらにはストレッチブロー方式に用いられる樹脂は、液状重合に続いて固相重合を経て製造されたものであり、固相重合に好適な分子構成となっている。後述する様に、本発明の製造方法は、回収ポリエチレンテレフタレートを、再度固相重合させた後、シート又はフィルム状に成形し、その後延伸を伴う熱成形を行う方法であり、この方法はストレッチブロー方式と類似した方法と考えることができる。従って、ストレッチブロー方式で製造されたポリエチレンテレフタレートの回収品は、本発明方法における原料として特に好適に用いることができる。もちろんダイレクトブロー方式で製造された回収ポリエチレンテレフタレートも、固相重合可能であり、共重合化されたものもあり、効率が落ちることがあっても用いることができ、混在する程度ではなんら問題はない。
【0014】
従って、本発明では、飲料用ボトルからの回収樹脂を特に好適に用いることができ、原料として用いる回収ポリエチレンテレフタレート中に、飲料用ボトルの回収品が50重量%以上含まれることが好ましい。この様に、飲料用ボトルの回収品を多量に用いる場合には、後述する押出成形時や熱成形時に配向結晶を任意に進行させやすく、透明性、強靱性、耐熱性、バリヤ性等に優れたポリエチレンテレフタレート製品を得ることが可能であり、特に、食品包装用容器として好適なものが得られる。又、ドローダウン性が小さく、熱成形条件幅の大きなシート又はフイルムを能率的に作りやすく、従って良好な熱成形品を効率に得ることができる。
【0015】
なお、ポリエチレンテレフタレート製品には様々のものがあり、繊維製品のように始めからIV値の小さなものあるが、本発明では、この様な繊維製品も原料として用いることができる。また固相重合し難い共重合樹脂、あるいは結晶化促進剤を含む樹脂もあるが、これらも問題とならない範囲で混合されていてもよい。
原料調製
本発明の方法では、回収ポリエチレンテレフタレートは、固相重合に先立ち、通常、必要に応じて、選別、粉砕、洗浄等が行われる。これらの工程は必ずしもこの順序とは限らず、任意に順序を変えたり、繰返しを行ったり、あるいは一部を省略することもできる。
【0016】
選別は回収品からポリエチレンテレフタレート樹脂以外の成分を除去するために行うものであり、選別処理方法については特に限定はない。例えば、目視による手選別、風力選別、比重差を利用する選別等の他に、赤外線分光分析、ラマン分光分析、X線分光分析などの各種分析手段を用いて選別しても良い。なお、ボトルのような回収品は、目視選別やこれらの分析手段を利用した機械選別を行い、更に粉砕後、風力選別、比重差(浮遊)選別などを行うのが普通である。
【0017】
本発明の方法では、回収ポリエチレンテレフタレートは、フレーク又は粉砕粒の形状として固相重合反応を行う。この際、フレーク又は粉砕粒の最小厚さ部分の厚さは1mm以下、好ましくは0.5mm以下とする。この場合、粉砕粒の最小厚さ部分とは、粉砕粒が球形の場合にはその直径、紡錘形のような場合にはその短径をいい、不定形な粒状の場合には、その最小厚さ部分をいう。
【0018】
原料とする回収ポリエチレンテレフタレート中、最小厚さ部分が1mm以下のフレーク又は粉砕粒の形状の回収ポリエチレンテレフタレートは、80重量%程度以上含まれていればよく、90重量%以上含まれることが好ましい。
【0019】
フレーク状又は粉砕粒とするための手段については特に限定はなく、単に打撃による粉砕のみならず裁断であってもよく、公知の各種の裁断装置、圧縮装置、粉砕装置、摩擦造粒装置、溶融造粒装置などを用いてもよい。フレーク又は粉砕粒の長辺の長さについては、押出機に投入可能な大きさであれば良いが、一般的には、20mm程度以下、好ましくは10mm程度以下とすればよい。なお、打撃粉砕品や摩擦溶融品は、熱履歴による劣化が少く、かつ比表面積が大きく固相重合が効率的であることから、溶融造粒品などよりも好ましい。
【0020】
この様なフレーク状又は粉砕粒として用いることによって、固相重合反応速度が向上して、比較的短い重合時間で所定の固有粘度の樹脂とすることができ、更に、固相重合の際に揮発分や水分の除去速度や除去量が大きくなる。
【0021】
尚、固相重合反応を行う前に、回収ポリエチレンテレフタレートを洗浄することが好ましい。洗浄方法は、リサイクル製品の用途に応じて適宜選択すればよいが、通常は、アルカリ及び界面活性剤を使用した洗浄を行うことが好ましい。
【0022】
上記した選別処理及び洗浄処理は、回収ポリエチレンテレフタレートを所定の形状のフレーク又は粉砕粒とする前又は後の任意の時点で行うことができる。
固相重合
上記した回収ポリエチレンテレフタレートについて、減圧下又は真空下で固相重合反応を行い、固有粘度(IV)値を0.7〜2まで上昇させる。通常は、反応装置中の圧力を7kPa程度以下、好ましくは、2kPa程度以下として固相重合を行えばよい。
【0023】
従来の方法では、一般的に、常圧の窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で固相重合反応を行い、IV値の向上と、環状オリゴマーやグリコール等のような成分を再重合反応等により少なくしていた。
【0024】
本発明では、7kPa程度以下という減圧下で固相重合反応を行うことによって、従来の方法の効果に加え、樹脂表面に付着したり、内部に含まれる水分や低分子量不純物がより高度に揮発除去され、低分子量不純物の少ない高品質の再生樹脂とすることができる。これらの低分子量不純物としては、水、グリコール、アルデヒド等があり、この他にも使用済み品の回収物であるために予期しないものが含まれる可能性もあるが、これらが高度に除去されて安全衛生性上好ましいものとすることができる。又、環状オリゴマーのような成形金型を汚染する物質も減少させて、生産性を向上させる点でも好ましいものとすることができる。
【0025】
また、上記した減圧下又は真空下で固相重合を行う場合には、水分や遊離したグリコールの除去が促進されることによって、重合速度や重合度を容易に向上させることができ、IV値が1.5以上という通常の固相重合法では達成が困難であった高いIV値を有するポリエチレンテレフタレート樹脂を容易に得ることができる。
【0026】
固相重合装置としては、回分式、連続式の何れの装置を用いても良い。
【0027】
固相重合の際の重合温度は、原料の種類、反応時の圧力などに応じて変わり得るが、200℃程度以上とすることが必要である。これを下回る温度で固相重合を行うと、不純物を十分に除去することができず、しかも重合速度も遅くなり過ぎるので好ましくない。反応温度の上限は、原料とする回収ポリエチレンテレフタレートの融着が生じない温度とすればよく、通常、上限温度は250℃程度とすればよい。本発明では、重合反応と揮発分除去、脱水乾燥をできるだけ速くするために、上記した温度範囲において、材料の融着が問題とならない限りで出来るだけ速く、出来るだけ高い温度とすることが好ましい。但し、反応時間が短すぎると揮発分除去が不十分となるか、あるいは重合不足となるので好ましくなく、通常、30分〜100時間程度の範囲の固相重合時間とすればよい。この程度の重合時間範囲においてポリエチレンテレフタレート樹脂のIV値が0.7〜2程度となるように具体的な加熱条件等を適宜設定すればよい。
【0028】
尚、固相重合の際には、必要に応じて、公知の架橋剤、重合触媒などを適宜添加しても良い。
【0029】
本発明では、減圧下又は真空下で固相重合反応を行うために、回収ポリエチレンテレフタレートを所定の重合温度まで加熱する際に加熱効率が悪くなりやすい。このため、原料を所定の重合反応温度まで迅速に加熱できるように、例えば、投入材料に対する反応容器の器壁伝熱面積比を極力大きくし、撹拌を十分に行う等の工夫をすることが好ましい。また、液体又は気体の熱媒体を用いて原料を所定の重合温度まで加熱し、その後熱媒体を排出して、所定の圧力まで減圧して重合反応を行っても良く、更に、電磁波あるいは赤外線照射を利用して原料を加熱しても良い。原料を所定の重合反応温度まで加熱する際には、上記した各処理を加圧下で行ってもよい。
【0030】
尚、減圧下又は真空下で200℃以上で固相重合反応を行うことに先立って、固相重合時における原料の融着を防止するために、通常、回収ポリエチレンテレフタレートを110〜200℃程度に加熱して結晶化を進行させておくことが好ましい。但しこの場合も用いる原料によっては、やはり融着しないように徐々に昇温結晶化を進めなければならない場合もある。この際、この工程の加熱時間は、実際に採用する固相重合工程において原料の融着が問題とならない程度まで結晶化が進行するように適宜設定すればよい。通常は、1〜4時間程度の加熱時間とすればよい。加熱雰囲気については特に限定はなく、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気等を適宜採用でき、その際の圧力も、常圧、加圧、減圧の何れでも良い。又気体を用いる場合は乾燥気体であることが好ましいが必ずしも乾燥気体でなくても良い。
押出成形
固相重合反応終了後、押出成形によってシート状又はフィルム状の非発泡体とする。この場合の押出成形では、得られるシート状又はフィルム状の非発泡体について、適当な切片を採取し、これを示差熱走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で加熱した際に、最初の加熱時の放熱曲線のピークを示す温度(以下、「示差熱ピーク値」という場合がある)が115℃以上となるように成形することが必要である。
【0031】
この様な示差熱ピーク値は、押出成形で得られた非発泡体が熱成形を経て良好な品質の成形品となり得るかの指標として本発明において新たに導入した概念であり、従来のポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法では全く考慮されていなかったものである。尚、本発明において採用する示差熱ピーク値は、最初の昇温過程で測定した値であり、昇温、降温を繰返した後、測定した値は、熱成形性を評価する指標として不適切である。
【0032】
本発明では、示差熱ピーク値が115℃以上、好ましくは125℃以上となるように押出成形することが必要である。示差熱ピーク値が115℃未満では、熱成形時に球晶化が進行して透明度が低下する、いわゆる白化現象(白濁)が発生しやすくなり、又、ドローダウンが大きくなり、これを避けるために熱成形温度を少し下げると、無理に材料を展延して成形することになる。すなわち厚みバラツキの小さな成形品とすることができず、あるいは深物成形が困難となる。このため、成形出来る温度条件幅が小さく、また熱成形品の品質が劣るものとなりやすい。更に、延伸効果を発揮させる適正な条件幅が少ないか或いは殆どなく、延伸効果により優れた特性をのものを得ることは難しくなる。
【0033】
また、押出成形によって得られるシート状又はフィルム状の非発泡体は、結晶化度が20%以下であることが必要である。ポリエチレンテレフタレートの結晶には、配向をあまり伴わない球晶と、配向を伴う配向結晶と称される棒晶がある。これらの内で、球晶については、結晶化が進み過ぎると結晶サイズが大きくなりシート又はフイルムの透明性が低下し、又熱成形に際し展延性が少なくなるので好ましくない。また、配向結晶(棒晶)については、結晶化の程度が高くなるとドローダウンが少なくなる点で好ましい面もあるが、結晶化が進み過ぎると熱成形に際して展延性が少なくなるという弊害がある。
【0034】
この様な観点から、押出成形によって得られるシート状又はフィルム状の非発泡体は、結晶化度が20%以下であることが必要である。尚、本発明では、結晶化度は、シート状又はフィルム状の非発泡体の密度の測定値より算出した値とする。具体的には、試料の密度が1.3330g/ccの場合に結晶化度0%とし、密度が1.3913の場合に結晶化度50%として、下記式に基づいて比例計算により密度の測定値から結晶化度を求める。
【0035】
結晶化度(%)=50×(密度(g/cc)−1.3330)/(1.3913−1.3330)
上記した示差熱ピーク値が115℃以上となる非発泡体を製造するには、樹脂のIV値が大きいほうが示差熱ピーク値が高いものを得やすいので、前記した固相重合において、固有粘度(IV)値を0.7〜2まで上昇させたものを用いて押出成形することが重要である。
【0036】
更に、シート状又はフィルム状の非発泡体とする際に生じる配向や結晶化度も示差熱ピーク値に影響を与える。即ち、配向が大きくなると示差熱ピーク値が小さくなる傾向がある。また、本発明の要件である結晶化度20%以下の範囲内では、概ね、結晶化度が大きくなると示差熱ピーク値が小さくなる傾向がある。
【0037】
これらの配向や結晶化度には、金型内剪断履歴、延伸率、延伸時間、樹脂温度とその保持時間などの各種の要素が影響を与える。通常、金型内部での一定方向(通常は流れ方向)の剪断履歴が大きい程よく配向する。具体的なプロセスでは、金型の排出口間隙を小さくして薄い製品を得ようとする場合には、配向が大きくなる。又、金型排出後の引き伸しが大きい程よく配向する。
【0038】
また、結晶化度に関しては、配向させた後急冷して固化させれば結晶化度は小さくなり、徐冷して固化させれば結晶化度は大きくなる。また、急延伸して急冷却すれば結晶化度が小さくなり、ゆっくり延伸して徐冷すれば結晶化度が大きくなる。更に、延伸冷却したたものを短時間再加熱すれば、結晶化度が大きくなる。配向をあまり伴わない場合、即ち、球晶が形成される場合にも、金型から排出された樹脂を急冷すれば結晶化は少なくなり、徐冷又は再加熱すれば結晶化が進行する。更に、回収ポリエチレンテレフタレートには、結晶促進剤が含まれていることもあるので、この点も考慮する必要がある。
【0039】
上記した点を考慮して、押出成形の際に、非発泡体の配向や結晶化度を適宜調節することによって、上記した示差熱ピーク値115℃以上、結晶化度20%以下という要件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体を得ることができる。実際の製造工程では、生産を継続しながら、示差熱ピーク値及び結晶化度の測定値をフィードバックして、適切な製造条件を設定することによって、効率の良い製造が可能となる。
【0040】
尚、一般に、配向や結晶化が大きいと、後述する熱成形時にドローダウンが少なくなるので、上記した示差熱ピーク値115℃以上、結晶化度20%以下という条件を満足する範囲内において、配向及び結晶化度が大きいことが好ましい。
【0041】
押出成形によって上記した条件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体を製造する場合に、押出成形機としては、特に限定はなく、1軸押出機、2軸押出機、多軸押出機、ロータリー式等何れの形式のものも使用できる。
【0042】
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、成形加工に際して、非常に僅かな水分にも影響を受けて分解劣化し易く、通常は、含有水分を50ppm程度以下とすることが必要である。このため、通常、高度の乾燥処理を行った後、押出機に投入するか、高度の乾燥機能を持つ押出機を用いて成形されており、例えば、高度の脱水を可能とするスクリュー機能と脱気ベントを備えた2軸押出機で押出成形が行われている。
【0043】
これに対して、上記した方法で固相重合を行った樹脂は、固相重合反応と同時に、水分や揮発分が除去されているために、水分含有量が非常に少なく、通常の押出機に直接供給してシート又はフィルムとすることができる。このため、乾燥工程を省略でき、処理時間を短縮できる。
【0044】
また、脱気ベント等の乾燥機構を持たない押出成形機も使用できるので、高価な押出装置が不要となり、また効率よく押出成形できる。押出機にはサーキュラーダイを連結してインフレーション方式で成形してもよく、又フラットダイを連結してキャスティング方式で成形しても良い。金型から押出されたフィルム又はシートの冷却や引き伸し、あるいは延伸の条件等も限定するものでない。いわゆる延伸効果を発揮した配向結晶の進むような条件も設定できる。
【0045】
実際の工程においては、固相重合容器から外気に接触させることなく、押出機に直接供給することが望ましいが、乾燥空気、窒素等の乾燥気体を接触させながら供給しても良い。また、一時的に外気に接触した場合でも、乾燥気体により連続的に簡易な乾燥をしながら押出機に供給してもよい。
【0046】
押出機には、ポリエチレンテレフタレート樹脂の他に、必要に応じて、着色剤、架橋改質剤、滑剤、結晶促進剤、帯電防止剤など通常の押出成形に用いられる添加剤を供給してもよい。これらの添加剤の供給方法についても特に限定はなく、例えば、固相重合したポリエチレンテレフタレート樹脂にブレンドして供給する方法、あるいは押出機の同じポート又は異なるポートに、各材料を計量供給する方法などを採用できる。
【0047】
尚、上記した示差熱ピーク値115℃以上、結晶化度20%以下という条件は、後述する熱成形で非発泡体を使用する際に満足することが必要である。通常、示差熱ピーク値は水分の影響を受け易く、湿気の多い場所で保管や熱成形を行うと、実際に熱成形に用いる際には、押出成形時と比べて示差熱ピーク値が低下する傾向がある。このため、吸湿条件などを考慮して、押出成形時の示差熱ピーク値を設定する必要がある。
【0048】
押出成形によって得られるシート状又はフィルム状の非発泡体の厚さは、通常、0.05〜5mm程度の範囲とすることが望ましい。この様にして得られるシート又はフィルムは、熱成形に際しては、ドローダウン性が小さく、熱成形条件幅が広く熱成形性が良好であり、又そのまま用いても、強度、強靱性、耐熱性などにも優れ、また、汚染物や揮発分などの付着量が少なく食品衛生性が良好であり、特に食品包装材の材料として有用性が高いものとなる。特に、原料として用いる回収ポリエチレンテレフタレートに、飲料用ボトルの回収品が50重量%以上含まれる場合には、形成されるシート又はフィルムは、特に、透明性、強靱性、熱性、バリヤ性が良好で、熱成形にも優れたものとなる。
【0049】
また、上記した条件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体は、多層体の少なくとも一層として形成してもよい。
【0050】
例えば、押出機を複数台用い、多層成形ダイを付加して多層体とすることができる。多層成形ダイは、サーキュラーダイ、フラットダイの何れでもよく、通常使われるダイの直前に合流部品を付加する方式、金型の排出スリットの上流で合流させる方式、このスリットから排出直後に合流させる方式の何れにもすることができる。又、多層成形ダイを用いた方法ではなく、個別に製造されたシート又はフイルムを別工程で積層して多層体としても良い。
【0051】
多層体の層数は、特に限定的ではないが、通常は2〜6層程度とすることができる。多層体の各層の構成については特に限定はなく、上記した条件を満足する非発泡体により多層体の少なくとも一層が形成されていればよい。特に、上記した固相重合によって得られる再生ポリエチレンテレフタレートは、不純物が少なく食品衛生性が良好であることから、食品と接触する面をこの再生ポリエチレンテレフタレートで形成することが好ましい。その他の層については、例えば、未改質の回収ポリエチレンテレフタレートや新規なポリエチレンテレフタレート樹脂によって形成することができる。また、必要に応じて、各層に着色剤等の添加剤を加えてもよい。更に、他種類の樹脂層や、熱シール層、ガスバリヤ層等を設けてもよい。この様な多層成形体とする場合には、全体の厚さを、0.05〜5mm程度とすればよい。
熱成形
次いで、上記した押出成形で得られたシート状又はフィルム状の非発泡体を熱成形することによって、各種のポリエチレンテレフタレート製品を得ることができる。
【0052】
熱成形の方法については特に限定はなく、例えば、枚葉成型機、連続成型機等を用いて、真空成形、圧空成形、マッチドダイ成形、プラグアシスト成形等の各種の成形方法を利用し、任意に条件設定して目的とする製品を生産することができる。
【0053】
上記した条件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体を用いて熱成形を行う場合は、熱成形のための適正温度条件幅が大きく、ドローダウン性が小さく、均一な厚みで展延しやすく、透明度低下を招く球晶成長を排除でき、又、適度に配向ないしは配向結晶し易いという特性により機械的特性等の優れたものとすることができ、優れた熱成形品を効率良く生産することが可能となる。即ち、大きな適正条件幅と小さなドローダウン性により、例えば1〜2mm程度の比較的肉厚の大きなシートも表面と内部の温度差を許容し、表面に熱成形を損うような結晶化を進行させることなく加熱を行うことができ、成形機内での温度バラツキや加熱時間バラツキも許容して良品生産の効率を上げることができる。更にドローダウンが小さく且つ、均一な厚みで展延し易いという性質により、いわゆる絞り比率の大きな深物成形ができ、あるいは精密度の高い成形が可能となる。
【0054】
加熱温度時間条件や冷却速度は成形の可能範囲で任意であるが、本発明では、上記した条件を満足する非発泡体を用いることにより、熱成形のための適正温度条件幅が大きくなり、配向結晶化に適する範囲も包含するものとなる。このため、配向結晶が生じる条件で熱成形することにより、延伸効果をよく発現させることができ、特に、強度、靱性、耐衝撃性が高く、ガスバリヤ性、耐熱寸法安定性が良好で、しかも透明性の非常に優れた成形品を得ることが可能となる。なお、本発明の目的の1つである透明度が高く、機械特性の優れた熱成形品とするには、熱成形品の結晶化度は球晶が生成するような場合は20%以下であることが必要であるが、配向結晶のみが成長する場合はこれより遙かに越えてもよく、例えば30%あるいは40%に達してもよい。
【0055】
又、本発明の方法で得られる成形品は、固相重合を減圧下で行ったことにより、樹脂に吸着した有害物、汚染物等や重合反応に際して生じた不純物などが除去されており、安全衛生性が高い製品となる。このため、例えば、卵、野菜、漬け物等のパック、あるいは野菜、ミート等に用いられる各種トレー等の食品包装容器として好適に使用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明方法によれば、回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、効率良い製造方法によって、優れた物性を有する高品質の再生ポリエチレンテレフタレート製品を得ることができる。特に、本発明の方法によれば、不純物等が少なく、安全衛生性に優れた高品質の熱成形製品を効率良く製造できるので、回収ポリエチレンテレフタレートを食品包装容器の原料として有効に利用することが可能となる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0058】
実施例1
回収されたポリエチレンテレフタレート(PET)製の無色の飲料用ボトルを孔径8mmのパンチングメタルスクリーンを有する粉砕機で粉砕選別し、スクリーン通過品をラベル類とポリオレフィン類とに風力分類した。次いで、アルカリ水洗浄と濯ぎ洗いを行い、ハイドロサイクロンでポリオレフィン類を比重分離した。その後、PET成分について脱水機で水切りの後、空気乾燥してPET薄片を得た。水分率は0.4%であった。薄片の平均厚みは0.47mm、IV値は0.743であった。
【0059】
こうして得られたPET薄片500kgを再乾燥することなく、容量1500リットルのダブルコーン形固相重合機に投入した。使用した固相重合機は、熱媒ジャケットを有し、熱媒油(バーレルサーム#200)の循環による加熱冷却を可能とした構造である。投入したPET薄片を毎分5回転の回転スピードで撹拌しながら、器壁加熱と加熱乾燥空気により毎分約2℃の割合で130℃まで昇温してそのまま2時間保持し、乾燥と結晶化を進行させた。次いで高温設定(230℃)に切り替えて同様速度で昇温するようにし、その設定とほぼ同時に減圧を開始して0.7kPa以下の圧力にした。最終到達圧力は、133Paであった。この間も器壁加熱と回転は維持した。なお、200℃以上の処理時間設定は10時間とした。反応終了後窒素で常圧に戻し、冷却して内容物を取り出した。
【0060】
取り出したPETフレークには融着した塊は無く、装置内にも融着した塊は無かった。IV値は0.99、水分は20 ppmであった。
【0061】
上記方法で改質された樹脂を、窒素気流を補助的に流しながら、実質外気に接触させることなく、口径100mm、L/D=40のベントのない、同方向回転の2軸押出機に供給し、この押出機に接続した有効幅1200mmのTダイから、毎時550kgの割合で押出して、キャスティング成形した。なお金型の開口間隙は0.4mmであった。
【0062】
得られたシートは、幅1160mm、厚み0.2mm、示差熱ピーク値130℃、結晶化度1%の無色で透明性が非常に良好なものであった。また、清潔であり、積層材あるいはそのまま食品包装材と適するものであり、熱成形材料としても適するものであった。
【0063】
この材料について、プラグアシスト真空成形法による連続熱成形機を用いて、外形が約220×245mm、深さ40mmの二つ折り10個収容の卵パック容器を1ショット16個取りの熱成形を行った。
【0064】
熱成形に際してはドローダウンは少なく、しわなどの不良品発生もなく、精密な温度設定をすることなく、このような深絞り成型品を効率良く生産できた。しかも、得られた成形品は細部まで精密に成形され、各部分の厚みの均一性も高く、透明性も高く清潔感のあるものであり、安全衛生性も高く食品包装に適するものとなった。又、成形物の剛性及び強度は高く、脆性も低くく、バージン樹脂を使用した市販の同様のものと較べても遜色のないものであった。なお、熱成形品の結晶化度は1〜6%と部位により違いがあった。
【0065】
実施例2
実施例1と同様にして固相重合した材料を用い、金型間隙を広げて引き取り速度を下げる他は実施例1と同様の方法で押出成形を行い、厚さ0.4mm、有効幅950mm、示差熱ピーク値131℃、結晶化度0%のシートを成形した。
【0066】
このシートについて、プラグアシスト真空成形により、外形130mm、絞り深さ60mmの模様つき食品容器を、1ショット36個どりの熱成形を行った。
【0067】
得られた成形品は、実施例1と同様に優れたものであり、模様付き深絞り成形が特に精密に成形されたものであった。
【0068】
実施例3
A−PETシートを成形した卵パックの使用済み回収品について、孔径8mmのパンチングメタルスクリーンを有する粉砕機で粉砕と粒度選別を行い、スクリーン通過品をアルカリ水洗浄し、次いで濯ぎ洗いと空気乾燥を行った。粉砕品の厚さは0.19mm、IV値は0.69であった。
【0069】
こうして得られたPET薄片500kgを、実施例1と同じ固相重合機に投入し、実施例1と同様の条件で固相重合を行った。
【0070】
得られたものは、IV値1.05、水分20ppmであり、固相重合工程は時間あたりのIV値増加の割合からみて高能率なものであつた。
【0071】
得られた固相重合樹脂を用い、実施例1と同様の装置を用い、同様にして押出成形することにより、示差熱ピーク132℃、結晶化度0%で高度の透明シートを容易に得ることができた。
【0072】
実験例1
実施例3と同様の粉砕粒を用い、固相重合時間を変える他は全く同様に処理を行った。また、比較実験として、減圧下で固相重合を行うことに代えて、常圧の窒素雰囲気下で固相重合を行った。
【0073】
重合時間に対する固有粘度(IV)の変化を下記表1に示す。この結果から、減圧下で固相重合を行う場合に、重合速度が速くなることが確認できた。
【0074】
【表1】
【0075】
比較例1
実施例1とは別のソースから得た回収品を粗粉砕し、実施例1と同様に洗浄して得たものを、2つの真空ベントを有する造粒機(エレマ社製)でペレットに造粒した。得られたペレットは、径3.0×2.0mmで、IV値0.64、水分率0.5%であった。
【0076】
こうして得られたPETペレットを、実施例1と同様の固相重合機で同様にして固相重合した。固得られたものは、IV値0.79、水分20ppmであり、固相重合工程は時間あたりのIV値増加の割合からみて非能率なものであつた。
【0077】
比較例2
比較例1で得られた、固相重合前のペレットの一部を用い、単に加熱乾燥空気を用い、180℃、3時間乾燥を行うのみで、固相重合を行うことなく、実施例1と同様の装置で同様にして、押出シート化した。得られたシートは厚み0.2mm、示差熱ピーク112℃、結晶化度16%の透明ものであった。このシートを用い、実施例1と同様の装置を用い、同様にして熱成形を行った。このものは、形状としては辛うじて良好な成形はなされていたが、大部分が白濁し透明度が低下しており、又簡単に脆性破損するなど、製品としては好ましいものではなかった。この白濁部分の結晶化度は34%であった。
Claims (4)
- 下記(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする、熱成形による食品包装容器製造用ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法:
(1)最小厚さ部分が1mm以下のフレーク又は粉砕粒の形状のポリエチレンテレフタレートを80重量%以上含む回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、圧力7kPa以下、温度200℃以上で固相重合を行い、固有粘度(IV)値を0.7〜2とする工程:
(2)上記(1)工程で得られた固相重合後の回収ポリエチレンテレフタレートを押出成形して、下記(i)及び(ii)の条件を満足するシート状又はフィルム状の非発泡体とする工程、
(i)示差熱走査熱量計を用いて該非発泡体を10℃/分の昇温速度で加熱した際に、最初の加熱時の放熱曲線のピークを示す温度が115℃〜132℃であること;
(ii)該非発泡体の結晶化度が20%以下であること。 - 回収ポリエチレンテレフタレートが飲料用ボトルの回収品を50重量%以上含むものである請求項1に記載の熱成形による食品包装容器製造用ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法。
- 固相重合反応後、乾燥工程を経ることなく、乾燥機構を有さない押出機を用いて押出成形を行う請求項1又は2に記載の熱成形による食品包装容器製造用ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法。
- 下記(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする、熱成形による食品包装容器製造用ポリエチレンテレフタレート再生品の製造方法:
(1)最小厚さ部分が1mm以下のフレーク又は粉砕粒の形状のポリエチレンテレフタレートを80重量%以上含む回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、圧力7kPa以下、温度200℃以上で固相重合を行い、固有粘度(IV)値を0.7〜2とする工程:
(2)上記(1)工程で得られた固相重合後の回収ポリエチレンテレフタレートを押出成形して、下記(i)及び(ii)の条件を満足する層を多層構造を有するシート状又はフィルム状の非発泡体の少なくとも一層として形成する工程、
(i)示差熱走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で加熱した際に、最初の加熱時の放熱曲線のピークを示す温度が115℃〜132℃であること;
(ii)結晶化度が20%以下であること。
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