JP4012634B2 - 空気浮上式ベルトコンベヤ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト支持材に穿設した空気吹出孔より空気を吹き出すことにより、ベルトの一部をベルト支持材より浮上させて走行させるようにした空気浮上式ベルトコンベヤ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のベルトコンベヤ装置としては、例えば特開平7−206122号公報等に開示されているように、1対のプーリ間に掛け回した無端の可撓性ベルトの往路部分を、同軸状に配設した内外2重の円管のうちの内側円管内に挿通させるとともに、ベルトの復路部分を、外側円管と内側円管との間に挿通させて、往路及び復路がそれぞれ樋状、すなわちトラフ形状をなすようにしてベルトを走行させ、かつ内外の円管の下部に一定間隔で穿設された空気吹き込み口より空気を内方に吹き込んで、ベルトを浮上させることにより、ベルトの走行抵抗を軽減させるようにしたものがある。
【0003】
また、ベルトの往路部分を挿通させる円管と、復路部分を挿通させる円管とを、上下に平行に配設したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の装置においては、空気吹き込み口より噴出する空気の流量や圧力が不足すると、ベルトの一部が鋼管等からなるベルト支持材と接触し、ベルトの走行抵抗が著しく増大することがある。
【0005】
また、ベルトが水平方向または垂直方向に湾曲して走行する湾曲走行部のように、ベルトとベルト支持材との接触圧が局部的に高くなる部分、またはベルトにおけるプーリから完全に樋状となる部分までのトラフ変換部等においては、上記の空気の流量や圧力が十分な場合でも、ベルトの張力の増大や、トラフ変換部の下方の空気層の乱れ等により、ベルトの一部がベルト支持材に接触して、ベルトの走行抵抗が増大することがある。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ベルト浮上用の空気の流量や圧力の不足等により、万一ベルトの一部がベルト支持材に接触した場合でも、ベルトの走行抵抗が急激に増大することがないようにした、空気浮上式ベルトコンベヤ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 1対のプーリ間に掛け回した無端ベルトの少なくとも一部の走行部の下方に、ベルト支持材を近接して配設し、前記ベルト支持材に穿設した空気吹出孔よりベルトに向かって空気を吹き出すことにより、ベルトをベルト支持材より浮上させて走行させるようにした空気浮上式ベルトコンベヤ装置において、前記ベルト支持材におけるベルト対向面の少なくとも一部に、ベルトとの摩擦抵抗の少ない低摩擦材料層を設け、かつベルトの往路の始端部上方にシュートを配設し、シュートの下方におけるベルト支持材の上面に低摩擦材料層を設けるとともに、ベルト支持材におけるシュートの下方領域の単位面積当たりの空気吹出孔の総孔面積を、他の領域のものより大とする。
【0008】
(2) 上記(1)項において、低摩擦材料層を、超高分子ポリエチレン材料により形成する。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)項において、ベルトとベルト支持材との接触圧が高い部分におけるベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設ける。
【0010】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ベルトの湾曲走行部におけるベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設ける。
【0011】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、ベルト支持材を樋状または円管状とし、ベルトにおけるプーリから完全に樋状となる部分までのトラフ変換部の下方に配設したベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設ける。
【0012】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、ベルト支持材におけるベルトの両側部に対向する部分に、低摩擦材料層を設ける。
【0013】
(7) 上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、低摩擦材料層の表面を平滑面とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3に示すように、横長のフレーム(1)の前後の端部に左右方向を向く軸(2)(3)をもって枢支されたヘッドプーリ(4)とテールプーリ(5)とには、可撓性を有する無端の平板状のベルト(6)が掛け回され、テールプーリ(5)をモータ(図示略)により回転駆動することにより、ベルト(6)は、図1に矢印で示す方向に走行させられるようになっている。
【0016】
ベルト(6)の往路部分(以下往路ベルト(6a)という)と復路部分(以下復路ベルト(6b)という)との各中間部は、フレーム(1)に支持された鋼管により形成された互いに平行な上下1対の円筒形のベルト支持材(7)(8)に挿通させられ、ほぼ半円弧状の樋状の断面となって走行させられるようになっている。
【0017】
往路ベルト(6a)におけるテールプーリ(5)とそれに近接するベルト支持材(7)の一端との間、及びベルト支持材(7)の他端とヘッドプーリ(4)との間の各トラフ変換部(9)の下方には、ベルト支持材(7)に接続された端部がベルト支持材(7)の下半部とほぼ同一の半円弧状をなし、かつそこからテールプーリ(5)またはヘッドプーリ(4)に向かって漸次曲率が大となって、最後にほぼ平板状となるベルト支持材(10)(11)が配設され、フレーム(1)に支持されている。
【0018】
また、復路ベルト(6b)におけるヘッドプーリ(4)とそれに近接するベルト支持材(8)の一端との間、及びベルト支持材(8)の他端とテールプーリ(5)との間のトラフ変換部(12)の上方には、フレーム(1)に枢支されたガイドローラ(13)(14)が配設されている。
【0019】
往路ベルト(6a)におけるトラフ変換部(9)の上方には、粉体等の被搬送物(15)を往路ベルト(6a)上に供給するシュート(16)が、またヘッドプーリ(4)の直下の位置には、荷受けホッパ(17)が設けられており、シュート(16)より往路ベルト(6a)上に供給された被搬送物(15)は、往路ベルト(6a)とともにベルト支持材(10)(7)(11)内を通り、ヘッドプーリ(4)を通過した後、荷受けホッパ(17)に投下される。
【0020】
ヘッドプーリ(4)を回って空荷となった復路ベルト(6b)は、ベルト支持材(8)内を通ってテールプーリ(5)側に戻される。
【0021】
ベルト支持材(7)(8)と、それに連なるベルト支持材(10)(11)の直下には、ベルト(6)の走行方向に沿うエアダクト(18)(19)が設けられており、各ベルト支持材(7)(8)(10)(11)の下部中央には、エアダクト(18)(19)の内部と連通する複数の空気吹出孔(20)が長手方向に適宜の間隔をもって穿設されている。
【0022】
エアダクト(18)(19)の一端は、圧縮空気源(図示略)に接続されており、エアダクト(18)(19)内に送られた圧縮空気は、空気吹出孔(20)よりベルト(6)の下面に向かって吹き出すことにより、ベルト(6)を各ベルト支持材(7)(8)(10)(11)よりわずかに浮上させ、ベルト(6)の走行抵抗を、ローラ等によりベルト(6)を支持する場合より著しく低減することができる。
【0023】
本発明によると、上記のような空気浮上式のベルトコンベヤ装置において、例えば図4及び図5に明示してあるように、ベルト支持材(7)(8)におけるベルト(6)と対向する面より若干広い範囲、すなわちベルト支持材(7)(8)の内面の下半部より若干広い範囲と、ベルト支持材(10)(11)の上面全体とにおける空気吹出孔(20)を除く部分に、低摩擦材料層(21)を設けてある。
低摩擦材料層(21)は、ベルト(6)との摩擦抵抗が少く、かつ耐磨耗性のよい、例えば超高分子ポリエチレン材料よりなるものとするのがよいが、その他の材料により形成してもよい。
【0024】
低摩擦材料層(21)の形成方法は、シート状とした低摩擦材料層(21)を接着剤により貼着するか、吹き付け、塗着等いずれの方法によってもよい。空気吹出孔(20)は、この低摩擦材料層(21)を形成した後に、同層(21)をも貫通するようにして穿設するのがよい。
低摩擦材料層(21)の表面は、凹凸のない平滑面とするのがよい。
【0025】
このように、ベルト支持材(7)(8)(10)(11)におけるベルト対向面の全体に超高分子ポリエチレン材料よりなる低摩擦材料層(21)を設けると、万一、空気吹出孔(20)より噴出する空気の流量や圧力の低下等により、ベルト浮上力が低下し、ベルト(6)がベルト支持材(7)(8)(10)(11)に接触しようとしても、直接接触することはなく、その表面に設けた摩擦が少なく、かつ耐磨耗性のよい低摩擦材料層(21)に接触するだけであるので、ベルト(6)の走行抵抗が著しく増大するということはなく、ベルト(6)は常に円滑に走行することができる。
【0026】
上記の実施形態においては、低摩擦材料層(21)を、ベルト支持材(7)(8)(10)(11)のベルト対向面の全体に設けてあるが、例えば図6に示すように、ベルト(6)の水平方向の湾曲走行部(22)における円筒状のベルト支持材(23)の内面のみ、図7に示すように、ベルト(6)の垂直方向の凸形湾曲走行部(24)における樋状のベルト支持材(25)の上面のみ、または図8に示すように、円管状のベルト支持材(26)におけるベルト(6)の両側部と対向する部分のみのように、ベルト(6)とベルト支持材(23)(25)(26)との接触圧が高い部分のみに局部的に設けるだけでもよい。
【0027】
また、図9に示すように、シュート(16)の下方におけるベルト支持材(7)の上面に低摩擦材料層(21)を設けるとともに、ベルト支持材(7)におけるシュート(16)の下方領域の単位面積当たりの空気吹出孔(27)の総孔面積を、例えば、孔数または孔径のいずれか一方または両方を増すことにより、他の領域における単位面積当たりの空気吹出孔(27)の総孔面積より大とするのがよい。
【0028】
さらに、ベルト支持材は、平板状として、ベルト(6)を平板状のまま走行させるようにしたり、または上述と同様の円管状として、ベルト(6)を完全な円管状になるまで丸めて、いわゆるパイプコンベヤとして走行させるようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、ベルト支持材における低摩擦材料層が設けられた部分においては、万一、空気吹き込み口より噴出する空気の流量や圧力の不足等により、ベルトの浮上力が低下したとしても、ベルトは、摩擦が少ない低摩擦材料層に接触するだけで、摩擦抵抗の大きい鋼管等のベルト支持材と直接接触することはないので、ベルトの走行抵抗が急激に増大するということはない。したがって、ベルトの駆動手段にかかる負荷を低減できるとともに、ベルトやベルト支持材の耐久性を向上することができる。
また、シュートの直下のベルト浮上力を大とすることができ、シュートから被搬送物が投下されたときの重力により、ベルトがベルト支持材に接触するのを防止することができるとともに、万一接触しても、低摩擦材料層により、そのときの摩擦を低減することができる。
【0030】
請求項2記載の発明のように、低摩擦材料層を、超高分子ポリエチレン材料により形成すると、この面にベルトが接触した際のベルトの摩擦抵抗を低減することができるとともに、低摩擦材料層自体と、ベルト及びベルト支持材の耐久性を向上することができる。
【0031】
ベルトの浮上力が低下した場合に、ベルトが最もベルト支持材と接触し易いのは、ベルトとベルト支持材との接触圧が高い部分のベルト支持材のベルトとの対向面、ベルトの湾曲走行部におけるベルト支持材のベルトとの対向面、ベルトにおけるプーリから完全に樋状となる部分までのトラフ変換部の下方に配設したベルト支持材のベルトとの対向面、またはベルト支持材におけるベルトの両側部との対向面等であるので、請求項3〜6に記載の発明のように、これらの部分に、低摩擦材料層を重点的に設けることにより、効率よくベルトやベルト支持材の耐久性を向上することができる。
【0032】
請求項7記載の発明のように、低摩擦材料層の表面を平滑面とすると、この面にベルトが接触した際の摩擦をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の外観を示す側面図である。
【図2】 図1のII−IIより見た横断平面図である。
【図3】 図1のIII−IIIより見た縦断正面図である。
【図4】 要部の拡大斜視図である。
【図5】 要部の拡大縦断正面図である。
【図6】 ベルトの水平方向の湾曲走行部の拡大斜視図である。
【図7】 ベルトの垂直方向の凸型湾曲走行部の拡大斜視図である。
【図8】 変形例の、図5と同様の拡大縦断正面図である。
【図9】 他の変形例のシュート配設部分の拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
(1)フレーム
(2)(3)軸
(4)ヘッドプーリ
(5)テールプーリ
(6)ベルト
(6a)往路ベルト
(6b)復路ベルト
(7)(8)ベルト支持材
(9)トラフ変換部
(10)(11)ベルト支持材
(12)トラフ変換部
(13)(14)ガイドローラ
(15)被搬送物
(16)シュート
(17)荷受けホッパ
(18)(19)エアダクト
(20)空気吹出孔
(21)低摩擦材料層(超高分子ポリエチレン材料層)
(22)湾曲走行部
(23)ベルト支持材
(24)凸形湾曲走行部
(25)ベルト支持材
(26)ベルト支持材
(27)空気吹出孔

Claims (7)

  1. 1対のプーリ間に掛け回した無端ベルトの少なくとも一部の走行部の下方に、ベルト支持材を近接して配設し、前記ベルト支持材に穿設した空気吹出孔よりベルトに向かって空気を吹き出すことにより、ベルトをベルト支持材より浮上させて走行させるようにした空気浮上式ベルトコンベヤ装置において、
    前記ベルト支持材におけるベルト対向面の少なくとも一部に、ベルトとの摩擦抵抗の少ない低摩擦材料層を設け、かつベルトの往路の始端部上方にシュートを配設し、シュートの下方におけるベルト支持材の上面に低摩擦材料層を設けるとともに、ベルト支持材におけるシュートの下方領域の単位面積当たりの空気吹出孔の総孔面積を、他の領域のものより大としたことを特徴とする空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  2. 低摩擦材料層を、超高分子ポリエチレン材料により形成した請求項1記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  3. ベルトとベルト支持材との接触圧が高い部分におけるベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設けた請求項1または2記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  4. ベルトの湾曲走行部におけるベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  5. ベルト支持材を樋状または円管状とし、ベルトにおけるプーリから完全に樋状となる部分までのトラフ変換部の下方に配設したベルト支持材のベルトとの対向面に、低摩擦材料層を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  6. ベルト支持材におけるベルトの両側部に対向する部分に、低摩擦材料層を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
  7. 低摩擦材料層の表面を平滑面とした請求項1〜6のいずれかに記載の空気浮上式ベルトコンベヤ装置。
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