JP4011995B2 - 製品設計支援装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顧客からの要求仕様の提示を受けて製品を設計・生産する受注設計・生産型産業に適用される設計技術に係り、製品設計作業、特に製品構成の定義作業を支援する設計支援装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
顧客から提示された要求仕様に基づいて製品を設計・生産する場合、その設計作業は、以下のような手順で進められるのが一般的である。
【0003】
▲1▼要求仕様の定義
顧客より要求仕様が提示されると、それが設計作業(見積設計または詳細設計)開始のトリガとなる。要求仕様提示の初期の段階では、当該要求仕様には、曖昧な点が多く含まれている。そこで、顧客と設計担当者との間のQ&A(質疑応答)を通して、要求仕様の明確化の作業が行われる。
【0004】
▲2▼仕様機能展開
要求仕様に基づき、機能展開が行われる。この段階では、要求仕様には、曖昧な点、特に実際に製品を作成しないと分からない点が含まれている。そのため、製品サブシステム(製品ユニットのモジュール)の仕様が確定するものと確定しないものとを含めて、機能展開される。
【0005】
次の▲3▼乃至▲5▼の作業が、設計者の属人的なノウハウに基づいて進められる。
▲3▼製品構成の検討
機能展開と物理的なサブシステムまたは部品のくくりの考慮がなされて、製品構成が定義される。
【0006】
▲4▼図面検索・流用
定義された製品の構成要素を過去の類似する案件から検索し、流用を検討する。
【0007】
▲5▼新規図面作成
定義された製品の構成要素に対して、流用ができない要素、つまり新規開発を伴う要素については、開発・設計検討がなされ、新規図面が作成される。
【0008】
▲6▼試作
製品構成を改めて定義して使用する部品を確定し、実際の製品を試作する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の製品設計手法は、次のような問題点を有している。
【0010】
▲1▼要求仕様を速やかに確定させるための仕組みを持っていない。特に、仕様確定後も仕様変更が発生しやすい。そのため、設計検討開始の遅れ・作業のやり直しが発生する。
【0011】
▲2▼過去の製品設計・製造分を効果的に参考にするための仕組みを持たない。このため、新規に図面を作成しがちであり、過去の経験・実績の利用、設計の流用化が進まない。
【0012】
▲3▼市場競争の激化により、開発製品への新機能の取り込みが増加している。このため、製品の構成要素の開発が設計と並列して行われ、新機能の影響度、作業優先度が属人的に決定される。しかし、属人的な手法では、製品構成を迅速且つ効果的に定義することは困難である。
【0013】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、製品構成が迅速且つ効果的に定義できるように支援する設計支援装置及び方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点によれば、製品設計を支援する製品設計支援装置が提供される。この製品設計支援装置は、当該製品設計支援装置を利用する端末からの部品登録指定により、製品を構成する部品を、仕様が未定であり、部品属性として範囲のある仕様値を持つ論理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つ実存する物理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つが開発を必要とする仮想部品のいずれの部品区分であるかを区別してデータベースに登録する部品登録手段と、上記端末から少なくとも仕様値が指定されて部品検索が要求された場合、指定された仕様値に対応する部品を上記データベースから検索する部品検索手段と、この部品検索手段により検索された部品のリストを上記端末に表示させるリスト表示手段と、上記端末から指定された、上記データベースに登録されている部品から構成される製品構成を上記データベースに登録する構成登録手段とから構成される。
【0015】
上記の構成においては、製品の設計・生産において中心的役割を担う製品構成の要素部品として、部品区分が異なる3種の部品、即ち仕様が未定の論理部品、仕様が特定され、且つ実存する物理部品、及び仕様が特定されているが開発を必要とする仮想部品が適用される。各部品は、その部品区分が区別された状態で、データベースに登録される。また、上記構成においては、製品構成が、データベースに登録されている部品のうち、端末から指定された部品を組み合わせて構成される論理構成モデルにより定義される。
【0016】
このように、論理部品、物理部品及び仮想部品の3つの部品区分に区分される部品から構成される論理構成モデルを導入して製品構成が定義される構成とすることにより、仕様が固まらない設計の初期段階でも、曖昧な仕様値をもつ論理部品を多用することで、迅速且つ効果的な製品構成定義作業を可能とする。また、設計検討が進んで、仕様が徐々に固まってきた段階では、論理部品に代えて、その論理部品の属性である、曖昧な値の仕様値、つまり範囲のある仕様値に対応する仕様値を持つ物理部品または仮想部品を用いることが可能となるため、やはり迅速且つ効果的な製品構成定義作業を可能とする。しかも上記の構成においては、仕様値の指定によって、対応する部品がデータベースから検索されて、その検索された部品のリスト(検索結果リスト)が端末に表示されるため、製品構成定義に必要な部品を適切に選択することが可能となる。即ち上記構成においては、従来製品開発現場において属人的に行われてきた製品構成定義が、論理構成モデルのデータ構造を持つデータベースシステムを利用して、迅速に且つ効率的に整然と実施できる。
【0017】
ここで、検索条件の1つである上記仕様値の指定が、範囲を持つ仕様値の指定である場合に、その指定の仕様値範囲に入っている、またはその指定の仕様値範囲と一部が重なっている仕様値範囲を持つ全ての論理部品を検索して、その検索結果のリストを端末に表示する構成とするとよい。このような構成では、製品構成定義作業で、既定義の論理部品を簡単に流用することが可能となる。特に、端末からの論理部品の検索要求に応じて行われた検索結果のリスト、つまり論理部品のリスト上で、任意の論理部品が選択された場合に、その選択された論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を推奨部品候補としてデータベースから検索し、その検索結果のリスト、即ち推奨部品候補のリストを端末を介して設計者(ユーザ)に提示する構成とするならば、仕様値が曖昧な論理部品に代えて、その論理部品と仕様値により関係付けられている、既登録の物理部品または仮想部品を流用することが可能となる。したがって、上述の仕様値の範囲を利用した部品検索は、設計検討が進んで、仕様が徐々に固まってきた段階で、論理部品に代えて、当該論理部品と仕様値により関係付けられている物理部品または仮想部品を使用する場合に有効である。
【0018】
また、検索された推奨部品候補のリストから、推奨部品として登録すべき候補を設計者の端末操作により選択指定させて、その選択指定された候補を、対応する論理部品に対する推奨部品としてデータベースに登録する構成とするならば、設計者は、任意の論理部品を指定するだけで、その論理部品に対する推奨部品を簡単に検索させることが可能となる。
【0019】
また、端末からの製品構成表示指定に応じて、上記データベースに登録されている製品構成の要素である各部品を、その部品の部品区分が識別可能な表示形態で上記端末に表示させる構成とするならば、設計者は製品構成表示内容から、その時点において定義されている製品を構成する各部品の部品区分をもとに、設計検討の進展状況を簡単に把握できる。つまり、製品構成中で、論理部品の数が多い状態では、設計の初期段階であることが、物理部品または仮想部品の占める割合が多い状態では、設計検討が進んだ段階にあることが、それぞれ把握できる。製品構成中に論理部品が存在しない状態では、製品の試作に入れることが把握できる。また、製品構成中の仮想部品の存在から、新規開発すべき部品を確認できるため、開発要素の切り出しが効率的に行える。
【0020】
なお、以上の設計支援装置に係る本発明は、当該装置で適用される処理手順を持つ製品設計支援方法に係る発明としても、当該処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに係る発明としても成立する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る設計支援装置を備えた製品設計システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
図1のシステムにおいて、設計支援装置10は、ネットワーク20を介して端末30-1〜30-nと接続されている。設計支援装置10は、設計者の製品設計作業、特に製品構成の定義作業を支援する。端末30-1〜30-nは、設計者(ユーザ)の操作に応じ、製品構成の定義を含む製品設計の支援を、ネットワーク20を介して設計支援装置10に要求する。
【0023】
設計支援装置10は、アプリケーションサーバ11とデータベース(以下、DBと称する)12とから構成されるサーバ計算機である。なお、設計支援装置10とDB12とが独立に設けられ、設計支援装置10からDB12にアクセス可能な構成であっても構わない。
【0024】
DB12は、品目マスタテーブル12aと、構成テーブル12bと、代替テーブル12cとを含む。
ここで、テーブル12a〜12cのデータ構造について説明する前に、本実施形態で適用される、部品の論理構成モデルについて説明する。この論理構成モデルのデータ構造は、以下に述べるように、論理部品と物理部品と仮想部品とにより定義される。
【0025】
(1)論理部品
仕様が特定されない部品またはモジュールを論理部品と呼ぶ。モジュールとは、当該モジュールの構造を木(ツリー)構造で表現した場合に、複数の子部品から構成される親部品を指し、ユニットと呼ばれることもある。部品には、親部品にはなれない、つまり子部品にしかなれないものと、親部品になり得るものとがある。論理部品は属性として範囲のある仕様値を持つ。この仕様値の範囲で複数の論理部品に分類される。例えば、タイプXの仕様値の範囲がa1〜a2の部品を論理部品Aと表し、同じタイプXの仕様値の範囲がb1〜b2の部品を論理部品Bと表すものとすると、論理部品Aと論理部品Bとは異なる論理部品として分類される。
【0026】
(2)物理部品
仕様が特定され、且つ既に存在する部品またはモジュールを物理部品と呼ぶ。物理部品は属性として範囲のない仕様値を持つ。つまり、物理部品の仕様値には、具体的な値が設定される。
【0027】
(3)仮想部品
仕様は特定されているものの、実存しない部品またはモジュール、つまり新規に開発を必要とする部品またはモジュールを仮想部品と呼ぶ。物理部品は属性として範囲のない仕様値を持ち、その仕様値には、具体的な値が設定される。
【0028】
本実施形態では、論理部品と物理部品及び仮想部品との関係を表す論理構成モデルを導入することにより、物理部品及び仮想部品を仕様値により分類し、論理部品の検索を通して、候補となる具体的な値を持つ部品を参照できる仕組みを実現している。論理部品と物理部品及び仮想部品との関係の一例を図2に示す。
【0029】
DB12は、上記論理構成モデルのデータ構造を登録・管理するのに用いられる。このDB12は、上記したように、品目マスタテーブル12aと、構成テーブル12bと、代替テーブル12cとを含む。
【0030】
品目マスタテーブル12aは、品目を管理するためのテーブルである。品目は、製品、当該製品の構成要素となる部品またはモジュール(ユニット)を指す。以下の説明では、製品と当該製品を構成するモジュールまたは部品とを区別する必要がある場合、或いはモジュールと当該モジュールを構成する部品とを区別する必要がある場合を除き、製品及びモジュールも部品として扱う。明らかなように、製品構成を木構造で表した場合、ルートノードをなす部品が製品となる。
【0031】
品目マスタテーブル12aに登録される各レコードは、図3に示すように、部品(製品、モジュールまたは部品)の識別情報としての部品番号と、部品種類と、部品区分と、仕様値の各フィールドから構成される。部品種類は共通の仕様を持つ部品の種類を示す。部品区分は、対応する部品が論理部品、物理部品または仮想部品のいずれであるかを示す。この部品区分の詳細は後述する。仕様値は、対応する部品の属性である。仕様値は1種類とは限らない。なお、品目マスタテーブル12aに登録される各レコードは、上述のフィールド以外に部品名のフィールド(図示せず)を含む。
【0032】
構成テーブル12bは、製品構成、特に製品を構成する各部品の親子関係を管理するためのテーブルである。構成テーブル12bに登録される各レコードは、図4に示すように、親部品の部品番号と、その親部品の子(構成要素)となる部品(子部品)の部品番号と、その子部品の個数の各フィールドから構成される。したがって、構成テーブル12bに、親部品がAのレコードとして、子部品=B、個数=2のレコードと、子部品=C、個数=1のレコードとが登録されているものとすると、その両レコードから、部品Aが2つの部品Bと1つの部品Cとから構成されていることが分かる。また、部品Bを親部品とするレコードとして、子部品=D、個数=1のレコードと、子部品=E、個数=1のレコードとが登録されているものとすると、その両レコードから、部品Bが1つの部品Dと1つの部品Eとから構成されていることが分かる。
【0033】
代替テーブル12cは、各部品について、当該部品に代えて使用可能な部品(代替部品)、つまり当該部品に代えて使用することが推奨される部品(推奨部品)を管理するためのテーブルである。代替テーブル12cに登録される各レコードは、図5に示すように、部品の部品番号と、その部品に対応する代替部品(推奨部品)の部品番号の各フィールドから構成される。
【0034】
このように本実施形態においては、上述のデータ構造の品目マスタテーブル12a、構成テーブル12b及び代替テーブル12cを用いて、論理部品と物理部品・仮想部品との関係を登録・管理している。
【0035】
アプリケーションサーバ11は、設計支援装置10の中心をなすPDM(Product Data Management)システム(製品情報管理システム)を構成する。アプリケーションサーバ11は、従来から知られている汎用的な設計業務の支援に加えて、個別業務の支援が可能なように構成されている。そのためアプリケーションサーバ11は、部品登録部11aと、構成登録部11bと、部品検索部11cと、リスト表示部11dと、構成表示部11eの各機能要素を含んでいる。
【0036】
部品登録部11aは、設計者からの要求に応じ、指定された部品種類及び部品区分の部品をDB12内の品目マスタテーブル12aに登録する機能を有する。部品登録時には、部品の種類毎に仕様値の属性が付加される。物理部品及び仮想部品の場合はその属性に具体的な値が設定され、論理部品の場合は、その属性の値が範囲で表される。部品登録部11aは、論理部品と同じ種類で且つ当該論理部品の仕様値の範囲に入いる仕様値を持つ(推奨された)物理部品・仮想部品を、当該論理部品に代えて用いられる代替部品(推奨部品)として、当該論理部品に対応付けて代替テーブル12cに登録する推奨部品登録部110aを含む。この推奨部品登録部110aを含む部品登録部11aの部品登録機能により、製品構成定義作業の詳細が支援される。
【0037】
構成登録部11bは、設計者から指定された製品構成をDB12に登録する機能、つまり製品構成を定義する機能を有する。ここでは、構成登録部11bは、製品を構成する各部品の親子関係を構成テーブル12bに登録することで、製品構成を定義する。この構成登録部11bによる製品構成登録(親子関係登録)は、親部品と子部品とを製品構成登録画面上で設計者に指定させることで実行される。この親部品と子部品とを指定するのに、目的とする部品を例えば部品番号により直接指定することも可能であるが、仕様値等の属性を指定して部品検索部11cにより目的の部品を検索させて、親部品または子部品として指定することも可能である。この構成登録部11bの機能によっても、製品構成定義作業の詳細が支援される。
【0038】
部品検索部11cは、DB12に登録されている部品を部品番号、部品種類及び部品区分のうちの少なくとも1つにより検索する機能を有する。部品検索部11cは特に、部品に付加されている仕様値(の値の組み合わせ)により該当する部品を検索する機能をも有する。部品検索部11cは、論理部品を経由して物理部品・仮想部品を検索する推奨部品候補検索部110c及び推奨部品検索部111cを含む。推奨部品候補検索部110cは、設計者(ユーザ)により検索対象となる部品種類の仕様値の範囲が指定された結果、その指定範囲に入る(または一部が重複する)仕様値範囲を持つ論理部品が検索された場合、検索された論理部品のうち、設計者により選択指定された論理部品に関係付けられる物理部品及び仮想部品を推奨部品候補としてDB12内の品目マスタテーブル12aから検索する。推奨部品検索部111cは、設計者により任意の論理部品が指定されて推奨部品検索が要求された場合、指定された論理部品に対する推奨部品をDB12内の代替テーブル12cから検索する。この推奨部品候補検索部110c及び推奨部品検索部111cを含む部品検索部11cの部品検索機能により、設計流用化が支援される。
【0039】
リスト表示部11dは、部品検索部11cによって検索された検索結果のリストを検索要求元の端末に表示させる。
構成表示部11eは、製品構成を例えば木構造で表示させる機能を有する。特に構成表示部11eは、製品構成表示において、対応する製品を構成する各部品が論理部品、物理部品、仮想部品のいずれであるかを設計者(ユーザ)が識別可能な表示形態で当該各部品を表示させる。この製品構成表示から、仮想部品、つまり新規に開発すべき部品が識別できる。つまり、構成表示部11eの機能により、製品構成からの新規開発項目の切り出しが支援される。
【0040】
なお、アプリケーションサーバ11は、上記部品登録部11a、構成登録部11b、部品検索部11c、リスト表示部11d及び構成表示部11eの他に、部品の登録を削除する部品削除部、製品構成の登録(部品相互間の親子関係の登録)を削除する構成削除部、部品の属性(例えば、仕様値)等を変更(編集)する部品編集部、製品構成(部品相互間の親子関係)を変更(編集)する構成編集部、及び同じ種類の製品構成を比較して、その相違箇所を検出する構成差異検出部(いずれも図示せず)をも含んでいる。
【0041】
次に、図1中の設計支援装置10の設計支援機能を利用した製品設計の流れの概要について、図6の動作説明図を参照して説明する。
【0042】
まず、顧客から定義された要求仕様(要求仕様定義)が提示された場合(ステップ601)、設計者は、提示された要求仕様に合致するように、仕様機能を展開する(ステップ602)。この段階では、要求仕様の示す製品の構成要素となる各部品の機能の仕様は確定されていないことが多い。したがって、ステップ602で機能展開された段階では、その展開後の製品構成の多くは、図6に示す論理構成モデル611の例のように、論理部品のみからなる。この論理部品は、仕様値範囲によりDB12から検索されて流用される既存の論理部品、或いは新規に定義されてDB12に登録される論理部品である。ここで、論理部品の検索は、端末30-i(iは0〜1のいずれか)から設計支援装置10内の部品検索部11cを利用して行われる。また、新規論理部品の登録は、端末30-iから設計支援装置10内の部品登録部11aを利用して行われる。
【0043】
次に設計者は、論理構成モデルを検討する(ステップ603)。この検討の初期段階においては、設計者は、論理部品に関係付けられている、物理部品または仮想部品のうち、設計仕様に合うことが確認された部品を選択して、製品構成を編集する。これにより、論理構成モデル611は、例えば図6に示す論理構成モデル612のように変更される。ここで、物理部品または仮想部品の選択は、端末30-iにより、設計支援装置10内の部品検索部11cを利用して行われる。
【0044】
さて、論理構成モデルの検討が進んできた段階においては、設計者は、一層具体的になった仕様値を用い、論理部品に関係付けられている物理部品のうち流用する物理部品の検討を進める。この検討の結果をもとに、設計者は、再度製品構成を編集する。これにより、論理構成モデル612は、例えば図6に示す論理構成モデル613のように変更される。
【0045】
次に設計者は、部品の新規開発、或いは設計流用を含め具体的仕様を決定する。ここでは、仮想部品に対応する新規開発物理部品については、新規図面を作成する(ステップ604)。一方、設計流用については、既存の物理部品から流用可能な図面を検索する(ステップ605)。これにより、例えば図6に示す論理構成モデル614を完成する。この論理構成モデル614は、論理部品及び仮想部品を含まない完成された製品構成を示す。この論理構成モデル(製品構成)614と、検索された図面(つまり流用される図面)と、新規作成された図面とをもとに、製品の試作が行われる(ステップ606)。ここで、論理構成モデル614が完成された製品構成を示すか否かは、設計支援装置10内の構成表示部11eを利用して端末30-iに製品構成を表示させることにより、判断可能である。
【0046】
また、本実施形態では、上述のようにして完成された各製品の製品構成(論理構成モデル)の要素となる各論理部品、各物理部品、各仮想部品の利用状況をもとに、当該部品の機能仕様を見直す手続きを継続的に行うことにより、部品の標準化を促進するようにしている。この場合、DB12への部品の再登録と、当該再登録に伴う製品構成の更新とが行われる。
【0047】
次に、設計支援装置10(内の部品登録部11a)による部品登録について、図7及び図8のフローチャート並びに図9の表示画面例を参照して説明する。
【0048】
まず、設計者は、例えば端末30-1を操作して、当該端末30-1から設計支援装置10のアプリケーションサーバ11に対して、製品設計(製品構成定義作業)の支援を要求させる。これによりアプリケーションサーバ11は、端末30-1に、製品構成定義作業のための支援が可能な処理の一覧(設計支援一覧)を表示させる(ステップS1)。この設計支援一覧(設計支援メニュー)は、支援可能な処理の項目として、「部品登録」、「部品検索」、及び「製品構成表示」を含む。
【0049】
設計者は、部品登録が必要な場合、上記設計支援一覧から「部品登録」を選択するための操作を行う。アプリケーションサーバ11は、端末30-1に表示されている設計支援一覧上で「部品登録」が選択されると(ステップS2)、部品登録部11aを起動する(ステップS3)。すると部品登録部11aは、以下に述べる部品登録処理(ステップS4)を、図8のフローチャートに従って実行する。
【0050】
まず部品登録部11aは、端末30-1に図9(a)に示す部品登録画面を表示させる(ステップS11)。この部品登録画面には、部品番号、部品種類及び部品区分をそれぞれ入力するための入力フィールド91,92及び93が配置されている。部品番号は部品を特定する固有の番号である。部品種類は共通の仕様を持つ部品の種類を表す。部品区分は対応する部品が、論理部品、物理部品または仮想部品のいずれであるかを表す。
【0051】
部品登録部11aは、部品登録画面の表示状態において、設計者の操作による端末30-1からの入力を受け付ける(ステップS12)。これにより、部品登録画面の入力フィールド(部品番号入力フィールド)91に部品番号を入力するための操作が行われると(ステップS13)、図9(a)に示すように、その部品番号(ここでは「P−XXX」)が当該入力フィールド91に表示される(ステップS14)。
【0052】
また、入力フィールド92に部品種類を入力するための操作が行われると(ステップS15)、図9(b)または図9(c)に示すように、その部品種類(ここでは「A」または「B」)が当該入力フィールド92に表示される(ステップS16)。このとき、部品登録画面上には、入力された部品種類に対応して、当該部品種類に固有の仕様値入力フィールドが表示される(ステップS17)。部品種類「A」が入力された図9(b)の例では、3種類の仕様値A1〜A3の入力フィールド94が表示される。また、部品種類「B」が入力された図9(c)の例では、例えば、2種類の仕様値B1,B2の入力フィールド95が表示される。
【0053】
また、入力フィールド93に部品区分を入力するための操作が行われると(ステップS18)、図9(d)または図9(e)または図9(f)に示すように、その部品区分(ここでは「論理」または「物理」または「仮想」)が当該入力フィールド93に表示される(ステップS19)。このとき、部品登録部11aでは、入力された部品区分が「論理(論理部品)」であるか否かが判定される(ステップS20)。もし、「論理部品」の場合には、部品登録画面上の仕様値の入力フィールドが、最小値(min)と最大値(max)とを入力可能な入力フィールドに切り替えられる(ステップS21)。図9(d)の例では、図9(b)に示す仕様値の入力フィールド94が、最小値(min)を入力可能な入力フィールド96と最大値(max)を入力可能な入力フィールド97に切り替えられている。
【0054】
また、仕様値の入力フィールド(図9(b)または(c)の例では入力フィールド94または95、図9(d)の例では、最小値入力フィールド96または最大値入力フィールド97)に仕様値を入力するための操作が行われると(ステップS22)、その仕様値が当該入力フィールドに表示される(ステップS23)。
【0055】
設計者は、部品登録画面上で所望の「部品番号」、「部品種類」、「部品区分」及び「仕様値またはその最小値と最大値」を入力すると、その入力値を確認する。もし、この入力値でよいならば、設計者は、部品登録画面上に配置されている登録ボタン(図示せず)を選択するための操作を、端末30-1を用いて実行する。するとアプリケーションサーバ11内の部品登録部11aは、端末30-1に表示中の部品登録画面(の各入力フィールド)に設定されている情報をもとに、DB12内の品目マスタテーブル12aに登録すべき部品レコードを生成し、そのレコードを当該テーブル12aに登録する(ステップS22〜S24)。
【0056】
次に、設計支援装置10(内の部品検索部11c)による部品検索について、図7、図10及び図11のフローチャート並びに図12の表示画面例を参照して説明する。
【0057】
まず、設計者は、先の部品登録の場合と同様の操作により端末30-1上に設計支援一覧を表示させた状態で(ステップS1)、当該一覧から「部品検索」を選択するための操作を行う。アプリケーションサーバ11は、端末30-1に表示されている設計支援一覧上で「部品検索」が選択されると(ステップS5)、部品検索部11cを起動する(ステップS6)。すると部品検索部11cは、以下に述べる部品検索処理(ステップS7)を、図10のフローチャートに従って実行する。
【0058】
まず部品検索部11cは、端末30-1に図12(a)に示す部品検索画面(の初期画面)を表示させる(ステップS31)。この部品検索画面の初期画面の構成は、図9(a)に示した部品検索画面の初期画面の構成と同様である。つまり、図12(a)の部品検索画面には、部品番号、部品種類及び部品区分をそれぞれ入力するための入力フィールド121,122及び123が配置されている。
【0059】
本実施形態では、入力フィールド121,122及び123の少なくとも1つを利用して、部品番号、部品種類及び部品区分のうちの少なくとも1つの値を入力することにより、部品検索のための条件を指定できる。
【0060】
部品検索部11cは、部品検索画面の表示状態において、設計者の操作による端末30-1からの入力を受け付ける(ステップS32)。これにより、部品検索画面の入力フィールド(部品番号入力フィールド)121に部品番号を入力するための操作が行われると(ステップS33)、その部品番号が当該入力フィールド121に表示される(ステップS34)。
【0061】
また、入力フィールド122に部品種類を入力するための操作が行われると(ステップS35)、図12(b)または図12(c)に示すように、その部品種類(ここでは「A」または「B」)が当該入力フィールド122に表示される(ステップS36)。このとき、部品検索画面上には、入力された部品種類に対応して、当該部品種類に固有の仕様値入力フィールドが表示される(ステップS37)。部品種類「A」が入力された図12(b)の例では、3種類の仕様値A1〜A3の入力フィールド124が表示される。また、部品種類「B」が入力された図12(c)の例では、例えば、2種類の仕様値B1,B2の入力フィールド125が表示される。
【0062】
本実施形態では、部品種類入力フィールド122に部品種類を入力した場合、仕様値入力フィールド(図12(b)の例であれば入力フィールド124、図12(c)の例であれば入力フィールド125)に仕様値を入力することにより(ステップS42,S43)、その仕様値を部品検索条件に含めることができる。
【0063】
さて、入力フィールド123に部品区分を入力するための操作が行われると(ステップS38)、図12(d)または図12(e)または図12(f)に示すように、その部品区分(ここでは「論理」または「物理」または「仮想」)が当該入力フィールド123に表示される(ステップS39)。このとき、部品検索部12bでは、入力された部品区分が「論理(論理部品)」であるか否かが判定される(ステップS40)。もし、「論理部品」の場合には、部品登録画面上の仕様値の入力フィールドが、最小値(min)と最大値(max)とを入力可能な入力フィールドに切り替えられる(ステップS41)。図12(d)の例では、図12(b)に示す仕様値の入力フィールド124が、最小値(min)を入力可能な入力フィールド126と最大値(max)を入力可能な入力フィールド127とに切り替えられている。
【0064】
本実施形態では、部品区分が「論理部品」の場合、つまり「論理部品」を検索する場合、入力フィールド126及び127に、それぞれ仕様値の最小値及び最大値を入力することにより(ステップS42,S43)、その仕様値の最小値及び最大値で示される範囲を検索条件に含めることができる。
【0065】
設計者は、部品検索画面上で目的とする部品検索条件の全ての要素を入力し終えると、当該部品検索画面上で、その入力値を確認する。もし、この入力値でよいならば、設計者は、部品検索画面上に配置されている検索ボタン(図示せず)を選択するための操作を、端末30-1を用いて実行する。
【0066】
するとアプリケーションサーバ11内の部品検索部11cは、端末30-1に表示中の部品検索画面(の各入力フィールド)に設定されている情報をもとに、指定された検索条件を生成する(ステップS44,S45)。次に部品検索部11cは、生成した検索条件に合致する部品をDB12内の品目マスタテーブル12aから全て検索する(ステップS46)。リスト表示部11dは、この部品検索部11cの検索結果を受けて、当該検索結果のリストを端末30-1に表示させる(ステップS47)。
【0067】
以上により、図12(e)の部品検索画面の状態で検索が指示された場合には、部品種類がBで、且つ仕様値B1及びB2が指定の値の全ての物理部品が検索されて、その検索結果のリスト、即ち検索条件を満足する物理部品のリストが、例えば図12(h)に示すように表示される。同様に、図12(f)の部品検索画面の状態で検索が指示された場合には、部品種類がBで、且つ仕様値B1及びB2が指定の値の全ての仮想部品が検索されて、その検索結果のリスト、即ち検索条件を満足する仮想部品のリストが、例えば図12(i)に示すように表示される。
【0068】
一方、図12(d)の部品検索画面の状態で検索が指示された場合には、部品種類がAで、且つ仕様値の範囲がa1より大きくa2より小さい、つまり仕様値範囲が指定の仕様値範囲に入っている全ての論理部品が検索されて、その検索結果のリスト、即ち検索条件を満足する論理部品のリストが、例えば図12(g)に示すように表示される。なお、仕様値範囲の一部が指定の仕様値範囲と重なっている論理部品も検索するようにしてもよい。つまり、仕様値範囲の少なくとも一部が指定の仕様値範囲に入っている論理部品も検索するようにしてもよい。
【0069】
さて、検索条件を満足する図12(g)に示す論理部品のリストが表示されると、設計者は端末30-1を用いて、当該論理部品リスト上で所望の論理部品を選択する操作を行う。すると、部品検索部11c(内の推奨部品候補検索部110c)は、その論理部品の仕様値範囲に入っている仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を検索するための検索条件を生成する(ステップS48,S49)。そして部品検索部11c(内の推奨部品候補検索部110c)は、生成した検索条件に合致する部品を推奨部品候補としてDB12内の品目マスタテーブル12aから全て検索する(ステップS50)。リスト表示部11dは、この部品検索部11c(内の推奨部品候補検索部110c)の検索結果を受けて、例えば図12(j)に示すように、その検索結果のリスト(推奨部品候補としての物理部品及び仮想部品のリスト)を端末30-1に表示させる(ステップS51)。
【0070】
設計者は、図12(j)に示す検索結果リストから、自身が指定した検索条件に合致する論理部品の仕様値範囲に入っている具体的な物理部品及び仮想部品を推奨部品候補として画面上で確認できる。この図12(j)に示す検索結果リスト上の物理部品または仮想部品を、対応する論理部品に対する推奨部品(代替部品)として、代替テーブル12cに登録するならば、当該代替テーブル12cに基づいて設計の流用化を促進できる。
【0071】
そこで本実施形態では、図12(j)に示す検索結果リストが表示されている状態で、設計者が端末30-1を操作することにより、代替テーブル12cへの登録を指定すると共に、当該リスト上で登録の候補となる物理部品または仮想部品を選択指定することが可能なようになっている。もし、代替テーブル12cへの登録と登録候補となる物理部品または仮想部品とが指定された場合(ステップS52)、部品検索部11c(内の推奨部品候補検索部110c)から部品登録部11a(内の推奨部品登録部110a)に制御が渡される。すると部品登録部11a(内の推奨部品登録部110a)は、選択された論理部品(の部品番号)と当該論理部品に対する推奨部品として選択された物理部品または仮想部品(の部品番号)との対を含むレコードを生成して、代替テーブル12cに登録する(ステップS53)。
【0072】
部品検索部11c(内の推奨部品検索部111c)は、この代替テーブル12cから、論理部品に代えて用いることが可能な物理部品及び仮想部品(推奨部品)を検索する。即ち部品検索部11c(内の推奨部品検索部111c)は、代替が必要となる論理部品が(論理部品指定画面上で)設計者の端末操作で指定された場合、その指定された論理部品(の部品番号)をキーとして代替テーブル12cを参照することで、当該論理部品に対する推奨部品として登録されている物理部品及び仮想部品を検索する。この部品検索部11c(内の推奨部品検索部111c)による推奨部品検索結果のリストは、リスト表示部11dにより端末30-1に表示させられる。これにより設計者は、推奨部品検索結果のリストから所望の物理部品または仮想部品(推奨部品)を選択して、指定の論理部品に代えて用いることができる。
【0073】
また、例えば端末30-1に論理部品を含む製品構成が表示されている状態で、当該製品構成中の任意の論理部品が選択(マウスクリック)された場合に、その選択された論理部品(の部品番号)をキーとして部品検索部11c(内の推奨部品検索部111c)が代替テーブル12cを参照することで、推奨される物理部品または仮想部品を検索することもできる。
【0074】
なお、論理部品が新規に登録された際に(ステップS26)、部品登録部11a(内の推奨部品登録部110a)が、当該論理部品と同じ種類で、当該論理部品の仕様値の範囲に入っている仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を、当該論理部品に対する推奨部品(代替部品)として、部品検索部11c(内の推奨部品検索部111c)により品目マスタテーブル12aから検索させ、検索された各部品、即ち推奨部品を、当該論理部品に対応付けて代替テーブル12cに自動的に登録することも可能である。また、新規登録された論理部品と同じ種類で、当該論理部品の仕様値の範囲に入っている仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を、当該論理部品に対する推奨部品の候補として、部品検索部11c(内の推奨部品候補検索部110c)により品目マスタテーブル12aから検索させてもよい。この場合、検索された全部品を代替テーブル12cに自動的に登録するのではなく、図12(j)と同様の検索結果のリストから、推奨する部品を設計者に選択させ、選択された部品だけを論理部品に対応付けて代替テーブル12cに登録するとよい。更に、物理部品または仮想部品の新規登録時に、当該部品を、当該部品と同じ種類で且つ当該部品の仕様値を含む仕様値範囲の論理部品に対応付けて、代替テーブル12cに自動登録してもよい。また、新規登録する物理部品または仮想部品を推奨部品とするかを設計者に指定させ、推奨部品とすることが指定された場合だけ、当該新規登録する物理部品または仮想部品を対応する論理部品に対する推奨部品として代替テーブル12cに登録してもよい。
【0075】
このように、部品の新規登録時に代替テーブル12cに推奨部品を登録する構成では、例えば図12(g)に示す論理部品リスト上で設計者の操作により任意の論理部品が選択された場合に(ステップS48)、先のステップS50での品目マスタテーブル12aを対象とする検索処理に代えて、代替テーブル12cを対象とする検索処理を行うとよい。即ち、選択された論理部品に対応付けて代替テーブル12cに登録されている全ての物理部品及び仮想部品を検索する処理を行うとよい。
【0076】
次に、設計支援装置10(内の構成表示部11e)による製品構成表示について、図13のフローチャート並びに図14の表示画面例を参照して説明する。
【0077】
まず、設計者は、先の部品登録の場合と同様の操作により端末30-1上に設計支援一覧を表示させた状態で(ステップS1)、当該一覧から「製品構成表示」を選択するための操作を行う。アプリケーションサーバ11は、端末30-1に表示されている設計支援一覧上で「製品構成表示」が選択されると(ステップS8)、構成表示部11eを起動する(ステップS9)。すると構成表示部11eは、以下に述べる製品構成表示処理(ステップS10)を、図13のフローチャートに従って実行する。
【0078】
まず構成表示部11eは、表示すべき製品を設計者に指定させるための製品指定画面を端末30-1に表示させる(ステップS61)。この製品指定画面に従い、表示すべき製品を設計者が指定する操作を行うと(ステップS62,S63)、構成表示部11eは、指定された製品を構成する全ての部品(またはモジュール)を、部品検索部11cによってDB12内の構成テーブル12bから検索させる(ステップS64)。このステップS64では、まず、指定製品を親部品とする全ての子部品が検索される。そして、検索された子部品を親部品とする全ての子部品を検索する動作が、検索される子部品がなくなるまで繰り返される。
【0079】
構成表示部11eは、ステップS64で検索された部品の親子関係をもとに、指定された製品の構成(論理構成モデル)を木構造で表すデータを生成する(ステップS65)。次に構成表示部11eは、生成した製品構成の木構造の各ノードをなす部品について、DB12内の品目マスタテーブル12aを参照することにより、その部品の部品区分を識別する(ステップS66)。そして構成表示部11eは、ステップS66での各部品の部品区分識別結果をもとに、指定された製品の現時点において決定されている製品構成(論理構成モデル)を、木構造の形で、且つその構成中の各部品の部品区分が識別可能な表示形態で、端末30-1に表示させる(ステップS67)。ここでは、製品構成中の各部品が、ステップS66で識別された部品区分に従い、それぞれ異なる色または記号(マーク)で表示される。これにより設計者は、画面表示された製品構成中の各部品の表示色または記号(表示形態)から、当該部品の区分、つまり当該部品が論理部品、物理部品または仮想部品のいずれであるかを簡単に視認できる。ここでは、部品区分を色で識別する場合には、論理部品を黄色で、物理部品を灰色で、仮想部品を水色で表すものとする。また、部品区分を記号で識別する場合には、論理部品を白丸で、物理部品を黒丸で、仮想部品を二重丸で表すものとする。
【0080】
図14に、製品構成の表示例を示す。図14(a)は、顧客からの要求仕様の提示を受けて仕様機能展開された段階、つまり製品設計の初期段階での製品構成(論理構成モデル)の表示例を示す。図14(b)は、論理構成モデルの検討(設計検討)が少し進んだ段階、つまり製品設計の中期段階での当該論理構成モデル(未完成の製品構成)の表示例を示す。図14(c)は、設計検討の最終段階、つまり製品設計の最終段階での製品構成の表示例を示す。
【0081】
顧客からの要求仕様の提示を受けて仕様機能展開された段階では、製品は主に曖昧な仕様値をもつ論理部品により構成される。つまり仕様機能展開された段階の製品構成は、図14(a)の例のように、殆どの部品(図14(a)の例では、全ての部品)が論理部品で構成される。したがって設計者は、図14(a)に示す製品構成(論理構成モデル)表示から、設計の初期段階であることを把握できる。
【0082】
設計検討が進むにつれ、論理部品に代えて用いられる、推奨される物理部品の仕様値が検討される。この検討の結果、一部の論理部品については、推奨される物理部品が製品の構成部品として流用される。また、他の一部の論理部品については、仮想部品が流用される。図14(b)の製品構成表示例では、図14(a)の例に比べて、物理部品または仮想部品の使用が増加している。したがって設計者は、図14(b)に示す構成表示から、設計検討が進展していいることを把握できる。また、複数の製品について製品構成表示を行わせ、各製品の製品構成を画面上で比較することで、仮想部品に関連する要素技術開発のスケジュールなどの影響度を知ることができる。
【0083】
さて、設計検討の最終段階では、製品構成は、具体的仕様を持つ物理部品のみにより、または物理部品と仮想部品とにより、構成されるようになる。このような状態になると、具体的な物作り(試作)に入る。図14(c)で示される製品構成は、図14(b)の製品構成とは異なって、論理部品を含んでいない。したがって設計者は、図14(c)に示す構成表示から、設計検討が終了し、次の工程(試作)に入れることを把握できる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、端末からの部品登録指定により、製品を構成する部品を、仕様が未定であり、部品属性として範囲のある仕様値を持つ論理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つ実存する物理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つが開発を必要とする仮想部品のいずれの部品区分であるかを区別してデータベースに登録すると共に、端末からの指定に応じて、当該データベースに登録されている部品から構成される製品構成を当該データベースに登録する構成としたので、仕様が固まらない設計の初期段階でも、曖昧な仕様値をもつ論理部品を多用することで、迅速且つ効果的な製品構成定義作業が実現できる。また本発明によれば、端末から仕様値の指定を伴う部品検索が要求された場合に、その仕様値に対応する部品をデータベースから検索して、その検索された部品のリストを上記端末を介してユーザに提示する構成としたので、データベースに既に登録されている部品を流用して製品構成を定義することができる。即ち、本発明によれば、ユーザ指定の仕様値から既登録の部品がシステム的に提示されるため、既登録の部品の流用を促進して、より迅速且つ効果的な製品構成定義作業が実現できる。
【0086】
また本発明によれば、曖昧な仕様値を持つユーザ指定の論理部品から、その論理部品に代えて用いられる、具体的な仕様値を持つ推奨する物理部品及び仮想部品を検索してユーザに提示する構成としたので、特に、仕様が徐々に固まってきた段階での製品構成定義作業における、既登録の物理部品または仮想部品の流用を促進し、より迅速且つ効果的な製品構成定義作業が実現できる。
【0087】
また本発明によれば、端末からの製品構成表示指定に応じて、データベースに登録されている製品構成の要素である各部品を、その部品の部品区分が識別可能な表示形態で上記端末を介してユーザに提示する構成としたので、その製品構成表示内容から、その時点において定義されている製品を構成する各部品の部品区分をもとに、設計の進展状況を簡単に把握できる。しかも、製品構成中の仮想部品の存在から、新規開発すべき部品を確認でき、これにより開発要素の切り出しが効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る設計支援装置を備えた製品設計システムの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態で適用される論理部品と物理部品及び仮想部品との関係の一例を示す図。
【図3】図1中の品目マスタテーブル12aのデータ構造例を示す図。
【図4】図1中の構成テーブル12bののデータ構造例を示す図。
【図5】図1中の代替テーブル12cのデータ構造例を示す図。
【図6】同実施形態における製品設計の流れの概要を説明するための図。
【図7】同実施形態における設計支援処理を説明するためのフローチャート。
【図8】同実施形態における部品登録処理を説明するためのフローチャート。
【図9】部品登録処理時の表示画面例を示す図。
【図10】同実施形態における部品検索処理を説明するためのフローチャートの一部を示す図。
【図11】同実施形態における部品検索処理を説明するためのフローチャートの残りを示す図。
【図12】部品検索処理時の表示画面例を示す図。
【図13】同実施形態における製品構成表示処理を説明するためのフローチャート。
【図14】製品構成表示画面例を示す図。
【符号の説明】
10…設計支援装置
11…アプリケーションサーバ
11a…部品登録部
11b…構成登録部
11c…部品検索部
11d…リスト表示部
11e…構成表示部
12…DB(データベース)
12a…品目マスタテーブル
12b…構成テーブル
12c…代替テーブル
110a…推奨部品登録部
110c…推奨部品候補検索部
111c…推奨部品検索部
Claims (14)
- 製品設計を支援する製品設計支援装置において、
前記製品設計支援装置を利用する端末からの部品登録指定により、製品を構成する部品を、仕様が未定であり、部品属性として範囲のある仕様値を持つ論理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つ実存する物理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つが開発を必要とする仮想部品のいずれの部品区分であるかを区別してデータベースに登録する部品登録手段と、
前記端末から少なくとも仕様値が指定されて部品検索が要求された場合、指定された仕様値に対応する部品を前記データベースから検索する部品検索手段と、
前記部品検索手段により検索された部品のリストを前記端末に表示させるリスト表示手段と、
前記端末から指定された、前記データベースに登録されている部品から構成される製品構成を前記データベースに登録する構成登録手段と
を具備することを特徴とする製品設計支援装置。 - 前記部品検索手段は、前記端末から論理部品の検索が要求され、且つ当該端末から指定された仕様値が範囲を持つ場合、その指定仕様値範囲に入っている、またはその指定仕様値範囲と一部が重なっている仕様値範囲を持つ全ての論理部品を検索することを特徴とする請求項1記載の製品設計支援装置。
- 前記部品検索手段は、前記端末からの論理部品の検索要求に応じて検索されて前記端末に表示された論理部品のリスト上で、任意の論理部品が選択された場合に、当該選択された論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を推奨部品候補として前記データベースから検索する推奨部品候補検索手段を含み、
前記リスト表示手段は、前記推奨部品候補検索手段により検索された推奨部品候補のリストを前記端末に表示させる
ことを特徴とする請求項2記載の製品設計支援装置。 - 前記部品登録手段は、前記端末に表示された推奨部品候補のリスト上で任意の候補が選択された場合に、当該選択された候補を対応する前記論理部品に対する推奨部品として前記データベースに登録する推奨部品登録手段を含み、
前記部品検索手段は、前記端末から任意の論理部品が指定されて推奨部品検索が要求された場合、指定された論理部品に対する推奨部品を前記データベースから検索する推奨部品検索手段を含み、
前記リスト表示手段は、前記推奨部品検索手段により検索された推奨部品のリストを、当該リストからの部品選択が可能なように前記端末に表示させる
ことを特徴とする請求項3記載の製品設計支援装置。 - 前記部品検索手段は、前記部品登録手段による論理部品の登録時に、当該論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を推奨部品として前記データベースから検索する推奨部品検索手段を含み、
前記部品登録手段は、前記論理部品の登録時に前記推奨部品検索手段により検索された推奨部品を、当該論理部品に対応付けて前記データベースに登録する推奨部品登録手段を含み、
前記推奨部品検索手段は、前記端末からの論理部品の検索要求に応じて検索されて前記端末に表示された論理部品のリスト上で、任意の論理部品が選択された場合に、当該選択された論理部品に対応する推奨部品を前記データベースから検索し、
前記リスト表示手段は、前記推奨部品検索手段により検索された、前記選択された論理部品に対応する推奨部品のリストを前記端末に表示させる
ことを特徴とする請求項2記載の製品設計支援装置。 - 前記部品検索手段は、前記部品登録手段による論理部品の登録時に、当該論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を推奨部品候補として前記データベースから検索する推奨部品候補検索手段を含み、
前記部品登録手段は、前記論理部品の登録時に、前記推奨部品候補検索手段により検索された推奨部品候補のリストの中から前記端末により選択された候補を、当該論理部品に対する推奨部品として前記データベースに登録する推奨部品登録手段を含み、
前記リスト表示手段は、前記推奨部品候補検索手段により推奨部品候補が検索された場合、当該検索された推奨部品候補のリストを、当該リストからの部品選択が可能なように当該端末に表示させる
ことを特徴とする請求項2記載の製品設計支援装置。 - 前記部品検索手段は、前記端末からの論理部品の検索要求に応じて検索されて前記端末に表示された論理部品のリスト上で、任意の論理部品が選択された場合に、当該選択された論理部品に対応する推奨部品を前記データベースから検索する推奨部品検索手段を含み、
前記リスト表示手段は、前記推奨部品検索手段により検索された、前記選択された論理部品に対応する推奨部品のリストを前記端末に表示させる
ことを特徴とする請求項6記載の製品設計支援装置。 - 前記端末からの製品構成表示指定に応じて、前記データベースに登録されている製品構成の要素である各部品を、その部品の部品区分が識別可能な表示形態で前記端末に表示させる構成表示手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の製品設計支援装置。
- 製品設計をコンピュータにより支援する製品設計支援方法において、
前記コンピュータを利用する端末からの部品登録指定により、製品を構成する部品を、仕様が未定であり、部品属性として範囲のある仕様値を持つ論理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つ実存する物理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つが開発を必要とする仮想部品のいずれの部品区分であるかを区別してデータベースに登録するステップと、
前記端末から少なくとも仕様値が指定されて部品検索が要求された場合、指定された仕様値に対応する部品を前記データベースから検索するステップと、
前記データベースから検索された部品のリストを前記端末に表示するステップと、
前記端末から指定された、前記データベースに登録されている部品から構成される製品構成を前記データベースに登録するステップと
を具備することを特徴とする製品設計支援方法。 - 前記検索ステップでは、前記端末から論理部品の検索が要求され、且つ当該端末から指定された仕様値が範囲を持つ場合、その指定仕様値範囲に入っている、またはその指定仕様値範囲と一部が重なっている仕様値範囲を持つ全ての論理部品を検索することを特徴とする請求項9記載の製品設計支援方法。
- 前記端末から要求された論理部品の検索の結果前記端末に表示された論理部品のリスト上で任意の論理部品が選択された場合に、当該選択された論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を当該論理部品に対する推奨部品候補として前記データベースから検索するステップと、
前記論理部品に対する推奨部品候補として検索された物理部品及び仮想部品のリストを前記端末に表示するステップと、
前記論理部品に対する推奨部品候補として検索されて前記端末に表示された物理部品及び仮想部品のリスト上で任意の部品が選択された場合に、当該選択された部品を対応する前記論理部品に対する推奨部品として前記データベースに登録するステップと、
前記端末から任意の論理部品が指定されて推奨部品検索が要求された場合、指定された論理部品に対する推奨部品を前記データベースから検索するステップと、
検索された推奨部品のリストを前記端末に表示するステップと
を更に具備することを特徴とする請求項10記載の製品設計支援方法。 - 前記データベースへの論理部品の登録時に、当該論理部品の仕様値範囲に入る仕様値を持つ物理部品及び仮想部品を推奨部品として前記データベースから検索するステップと、
前記データベースへの論理部品の登録時に推奨部品として検索された物理部品及び仮想部品を、当該論理部品に対応付けて前記データベースに登録するステップと、
前記端末から要求された論理部品の検索の結果前記端末に表示された論理部品のリスト上で任意の論理部品が選択された場合に、当該選択された論理部品に対応する推奨部品を前記データベースから検索するステップと、
検索された推奨部品のリストを前記端末に表示するステップと
を更に具備することを特徴とする請求項10記載の製品設計支援方法。 - 前記端末からの製品構成表示指定に応じて、前記データベースに登録されている製品構成の要素である各部品を、その部品の部品区分が識別可能な表示形態で前記端末に表示するステップを更に具備することを特徴とする請求項9記載の製品設計支援方法。
- コンピュータに、
前記コンピュータを利用する端末からの部品登録指定により、製品を構成する部品を、仕様が未定であり、部品属性として範囲のある仕様値を持つ論理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つ実存する物理部品、または仕様が特定され、部品属性として特定の仕様値を持つが開発を必要とする仮想部品のいずれの部品区分であるかを区別してデータベースに登録するステップと、
前記端末から少なくとも仕様値が指定されて部品検索が要求された場合、指定された仕様値に対応する部品を前記データベースから検索するステップと、
前記データベースから検索された部品のリストを前記端末に表示するステップと、
前記端末から指定された、前記データベースに登録されている部品から構成される製品構成を前記データベースに登録するステップと
を実行させるためのプログラム。
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