JP4011727B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は小型の円筒形状のモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は従来の円筒形状の小型ステップモータの構成例を示す縦断面図である。図12において、図示のモータはモータ軸方向に配列された2個のステータ102を備え、各ステータ102のそれぞれは軸方向に相対向するように配置された2個のステータヨーク106を有する。各ステータ102ごとに、前記2個のステータヨーク106により保持されたボビン101には、ステータコイル105が同心状に巻回されている。前記ステータコイル105が巻回された各ボビン101は、前記2個のステータヨーク106により軸方向から挟持固定されている。各ステータヨーク106、106には、ボビン101の内径面円周方向に交互に配置されたステータ歯106a、106bが形成されている。一方、各ステータ102のケース103には、前記ステータ歯106a、106bを有する一対のステータヨーク106、106が固定されている。こうしてステータ102が構成されている。
【0003】
2組のケース103の一方(図示左側)にはフランジ115及び軸受108が固定され、他方(図示右側)のケース103には反対側の軸受108が固定されている。ロータ109はロータ磁石111をロータ軸110に固定した構造をしている。前記ロータ磁石111の外周面と前記ステータ102のステータヨーク106の内径面との間には空隙部(エアギャップ)が形成されている。そして、ロータ軸110は前記各ケース103に固定された2個の軸受108により回転自在に軸支されている。
【0004】
図14は時計などで使用されている1個のコイルで駆動するステップモータを例示する平面図である。図14において、201は永久磁石から成るロータを、202及び203はステータを、204はコイルをそれぞれ示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示す従来の小型ステップモータにあっては、ロータの外周にケース103、ボビン101、ステータコイル105及びステータヨーク106が同心状に配置されているため、モータの外形寸法が大きくなってしまうという不都合がある。また、ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図13に示すように、主としてステータ歯106aの端面106a1 とステータ歯106bの端面106b1 とを通過するため、ロータ磁石111には効果的に作用せず、モータ出力が高くならないという解決すべき課題がある。また、図14に示すモータにあっても、コイル204への通電で発生する磁束がロータ201とステータ202との間のギャップが小さいところに集中しマグネット201に効果的に作用しないという解決すべき課題がある。
【0006】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、出力が高く、小型化が可能で、スムーズに起動させることができ、安価に製造し得る円筒形状のモータを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のモータは、上記目的を達成するため、1相駆動のステップモータにおいて、周方向に交互に異なる極に着磁された回転可能なロータマグネットと、前記ロータマグネットに対して空隙をもって対向する円筒形のステータと、前記ステータの外側磁極と内側磁極の間に装着されたコイルと、を備え、前記ロータマグネットの内径部に、軟磁性材料からなり着磁部の極の中心が前記ステータの外側磁極の中心からずれた位置に停止させる磁路を構成する円筒部材を固着し、前記コイルを前記ロータマグネットの軸方向に配置し、前記コイルにより励磁される前記ステータの外側磁極を前記マグネットの外周面に対向させ、前記ステータの内側磁極を前記円筒部材の内周面に対向させたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明を適用したモータの一実施例の分解斜視図であり、図2は本発明を適用したモータの一実施例の縦断面図である。図1及び図2において、本発明によるモータは、コイルが1つである1相駆動のステップモータであり、周方向に交互に異なる極に着磁された回転可能なロータマグネット1と、該ロータマグネット1に対して空隙をもって対向する円筒形のステータ18と、該ステータ18の内部に装着されたコイル2と、を備え、前記ロータマグネット1の内径部に軟磁性材料からなる円筒部材11を固着し、前記コイル2を前記ロータマグネット1の軸方向に配置し、前記コイル2により励磁される前記ステータ18の外側磁極18a、18bを前記マグネット1の外周面に対向させ、前記ステータ18の内側磁極18c、18dを前記円筒部材11の内周面に対向させて構成されている。
【0009】
図1及び図2において、1はロータを構成するマグネット(ロータマグネット)であり、このロータマグネット1はその外周表面を円周方向に複数箇所に分割(本実施例では4分割)してS極及びN極に交互に着磁されている。着磁部を1a、1b、1c、1dとすると、着磁部1a、1cがS極に着磁され、着磁部1b、1dがN極に着磁されている。また、マグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネット材料で作られている。このようにプラスチックマグネット材料で作ることにより、ロータマグネット1の円筒形状の半径方向に関しての厚さを非常に薄くすることができる。
【0010】
前記ロータマグネット1の中心部には軸方向貫通孔が形成され、この貫通孔の軸方向中間部には内径が小さくされた嵌合部1eが形成されている。ロータ軸となる出力軸7は前記ロータマグネット1の前記嵌合部1eに圧入して該マグネット1に固着されている。マグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネットから成るため、前記ロータ軸7を圧入するなどの組み立て方法によっても、割れを生じることはない。また、マグネット1は、その貫通孔の軸方向中央部に内径の小さい嵌合部1eを有するという複雑な形状であっても、これを容易に製造することができる。また、出力軸7とマグネット1は圧入で組み立て及び固着されるので、組み立てが容易になり、安価に製造することが可能になる。ロータ(マグネットロータ)1は前記出力軸7及び前記マグネット1で構成されている。
【0011】
前記マグネット1の材料としては、例えば、Nd−Fe−B系希土類磁性粉とポリアミドなどの熱可塑性樹脂バインダー材との混合物を射出成形することにより形成されたプラスチックマグネットが用いられる。これにより、圧縮成形されたマグネットの場合の曲げ強度が500kgf/cm2 程度であるのに対し、例えばポリアミド樹脂をバインダー材として使用した場合、800kgf/cm2 以上の曲げ強度を得ることができ、従って、圧縮成形では実現できないような薄肉円筒形状にすることができる。薄肉円筒形状にすることは、後述するように、モータの性能を高めることになる。また、前記プラスチックマグネットを用いることにより、マグネットの形状を自由に選定することができ、圧縮成形では得られない効果、つまり、ロータ軸7を固着するための形状を一体化することができ、かつ十分なロータ軸固着強度を得ることができる。また、強度的に優れているため、ロータ軸7を圧入する方法などを用いても該ロータ軸が破損する(割れる)ことはない。
【0012】
同時に、ロータ軸7の固着部が一体成形されたことにより、ロータ軸部に対するマグネット部の同軸精度が向上し、振れを少なくすることが可能となり、マグネット1とステータ部との空隙距離を少なくすることが可能となり、圧縮成形マグネットの磁気特性8MGOe以上に対して射出成形マグネットの磁気特性は5〜7MGOe程度であるが、モータの十分な出力トルクを得ることができる。また、射出成形マグネットは、表面に薄い樹脂被膜が形成されるため、圧縮成形マグネットに比べて錆の発生が大幅に減少し、塗装などの防錆処理を廃止することができる。また、圧縮マグネットで問題になる磁性粉の付着もなく、防錆塗装時に発生しやすい表面の脹らみもなく、品質を向上させることができる。
【0013】
図1及び図2において、前記マグネットロータ1の内径部に固着された前記円筒部材11は、電磁軟鉄や純鉄等の軟磁性材料から成っている。そのため、円筒部材11の内径部にマグネットロータ1の磁束が漏れることはない。図3は、前記円筒部材11が固着されたマグネットロータ1の磁束の状態をモータ軸に垂直な断面で見る模式図である。
【0014】
図1及び図2において、2は円筒形状のコイルであり、該コイル2はマグネット1と同心でかつ該マグネット1の軸方向に並んで配置されている。前記コイル2の外径は前記マグネット1の外径とほぼ同じ寸法にされている。18は軟磁性材料からなるステータであり、該ステータ18は外筒部及び内筒部から成っている。このステータ18の外筒部と内筒部との間にコイル2が装着されている。このコイル2に通電することによりステータ18が励磁される。ステータ18の外筒部の先端部が外側磁極18a、18bを形成し、該ステータ18の内筒部の先端部が内側磁極18c、18dを形成している。前記内側磁極18c及び前記内側磁極18dの位相は、互いに同位相となるように360/0.5n度、すなわち本実施例のように磁極数が4の場合は180度ずれて形成されている。そして、内側磁極18cに対して外側磁極18aが対向配置され、また、内側磁極18dに対して外側磁極18bが対向配置されている。
【0015】
ステータ18の外側磁極18a、18bは切欠き穴と軸と平行方向に延出する歯により構成されている。この構成により、モータの直径を最小限にしつつ磁極の形成が可能となる。つまり、もし外側磁極を半径方向に延びる凹凸で形成すると、その分モータの直径は大きくなってしまうが、本実施例では、切欠き穴と軸と平行方向に延出する歯により外側磁極を構成しているので、モータの直径を最小限に抑えることができる。
【0016】
前記ステータ18の外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dは、ロータマグネット1の一端側の外周面及び内周面に対向して該ロータマグネット1の一端側を挟み込むように設けられている。また、ステータ18の穴18eには、出力軸7の一端部7bが回転可能に嵌合している。したがって、コイル2により発生する磁束は、外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dとの間のロータであるマグネット1を横切るので、効果的にロータであるマグネットに作用し、モータの出力を高める。また、マグネット1は前記したように射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により構成されており、これにより、円筒形状の半径方向に関しての厚さは非常に薄く構成することができる。そのため、ステータ18の外側磁極18a、18bと内側磁極18c、18dとの距離を非常に小さくすることができ、コイル2とステータ18により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、モータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化が達成されることになる。
【0017】
20は非磁性材料から成る円筒形状部材としてのカバーであり、このカバー20の内径部20aにはステータ18の外径部(外側磁極18a、18bが形成された部分)が嵌合し接着剤等で固定される。出力軸7の嵌合部7aがカバー20の嵌合孔20bと、一端部7bがステータ18の嵌合穴18eと回転可能に嵌合している。
【0018】
図4〜図9は図1〜図3のモータの動作を図2中の線4−4に沿った断面図を用いて順次示す説明図である。図4〜図9において、Q1 はステータ18の外側磁極18aの中心を示し、Q2 はステータ18の外側磁極18bの中心を示し、Q3 はロータマグネット1の回転中心を示す。図1〜図9において、ロータマグネット1の内径部に軟磁性材料からなる円筒部材11が固着されているので、該ロータマグネット1の磁束は該円筒部材11の内径部及び内側磁極18c、18dに漏れることはない。そのため、コイル2に非通電時のロータマグネット1の停止位置は、図4に示すように、着磁部の各極の中心がステータ18の外側磁極18a、18bの中心Q1 、Q2 とマグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置となる。この位置からコイル2に通電すると、励磁された外側磁極18a、18bがマグネット1の着磁部に作用する力は、必ずマグネット1の回転方向に向くことになる。このため、マグネット(ロータマグネット)1はスムーズに起動される。
【0019】
円筒部材11を備えないモータにおいて、コイル2に通電しない時にマグネット1が安定的に停止する位置は図10に示す位置か図11に示す位置のどちらかになる。図10及び図11はそれら2つの位置を示す模式的断面図である。従って、図1〜図9で説明したステップモータにおいて、もしも前記円筒部材11を備えない場合は、コイル2へ通電しない時(非通電時)にマグネット1が安定的に停止する位置は図10及び図11のいずれかになる。もし図10に示すようになった場合は、着磁部の磁極の中心が外側磁極の中心Q1 とマグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上にあるため、コイル2へ通電しても電磁力はマグネット1を回転させる方向には作用しないので起動できない。
【0020】
次に、図4〜図9を参照して、図1〜図4で説明した本発明を適用したステップモータの動作を説明する。図4の状態からコイル2に通電して、ステータ18の外側磁極18a、18bをN極とし、内側磁極18c、18dをS極に励磁すると、ロータであるマグネット1は図中の反時計方向に45度回転し、図5に示す状態になり、慣性によりさらに図6に示す位置まで回転する。この図6の状態では、着磁部の極の中心が外側磁極の中心とマグネット1の回転中心とを結ぶ直線上にはないため、この図6のタイミングでコイル2への通電を切り換えてステータ18の外側磁極18a、18bをS極とし、内側磁極18c、18dをN極とするように励磁することによって、ロータマグネット1は回転駆動力を受けて回転する。
【0021】
これにより、図7の状態を経過し、マグネット1はさらに反時計方向に回転し、図8に示すこの通電状態における安定状態を一瞬のうちに通過し、慣性によりさらに回転して図9に示す位置まで回転する。この図9の状態は、着磁部の極の中心が外側磁極の中心とマグネット1の回転中心とを結ぶ直線上にはないため、この図9のタイミングでコイル2への通電を切り換えてステータ18の外側磁極18a、18bをN極とし、内側磁極18c、18dをS極とする方向に励磁することによって、ロータマグネット1は回転駆動力を受けて回転する。以後、図4〜図9で説明したような通電を繰り返し行うことで、ロータマグネット1は回転していく。すなわち、モータが回転していく。モータが回転している状態からコイル2への通電を遮断すると、ロータマグネット1の磁力により安定する状態である図4又は図7の安定状態になる。この状態では、前述したようにコイル2へ通電すると電磁力はマグネット1を回転させる方向に作用するので、再度起動させようとする場合、スムーズに起動できる。
【0022】
以上説明した実施例によれば、モータの径はロータマグネット1の外周面に対向する外側磁極18a、18bで実質的に決められ、モータの軸方向の長さはコイル2及びロータマグネット1を軸方向に並べる(配置する)ことで決められ、モータを非常に小型化することができる。また、コイル2により発生する磁束は、外側磁極と内側磁極との間にあるマグネットを横切るので、効果的に作用する。さらに、円筒部材11は、ロータマグネット1の内径部から発生する磁束が内側磁極18c、18dへ回るのを防ぎ、コイル2への非通電時にロータマグネット1を、外側磁極の中心とマグネットの回転中心とを結ぶ直線上からずれた位置に保持するので、モータの停止時からコイル2への最初の通電時にはコイル2から発生する磁束がマグネットに作用する力は、マグネットの回転中心に向かわず、従って円滑で安定した回転の起動を行うことが可能になる。
【0023】
また、部品の数も、ロータマグネット1、コイル2、ステータ18、出力軸7及び円筒部材11といった非常に少ない部品点数でモータを構成することができ、コストを低く抑えることができる。また、ロータマグネット1を中空の円筒形状に形成し、この中空の円筒形状に形成されたロータマグネット1の外周面及び内周面に外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dを対向させることにより、モータとして効果的な出力を得ることができる。前記出力軸(ロータ軸)7は、ロータであるマグネット1の中心孔の嵌合部1eに圧入にて固着されている。ロータマグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネットから成るため、圧入による組み立てでも、ロータマグネット1に割れが発生することはなく、また、軸方向中央部に内径が小なる嵌合部1eを設けるという複雑な形状でも、容易に製造することができる。また、出力軸7とマグネット1は圧入で組み立て及び固着されるので、組み立てが容易で安価に製造することが可能となる。
【0024】
次に、以上の実施例で説明した構成のステップモータがモータを超小型化するうえで最適な構成であることについて、詳しく説明する。すなわち、ステップモータの基本構成において、第1に、ロータマグネット1を中空の円筒形状にしていること、第2に、ロータマグネット1の外周面を周方向に複数に分割して異なる極を交互に着磁していること、第3に、ロータマグネット1の軸方向にコイル2を並べて配置していること、第4に、コイル2により励磁されるステータ18の外側磁極及び内側磁極をロータマグネット1の外周面及び内周面に対向させていること、第5に、外側磁極18a、18bを切り欠き穴と軸と平行に延出する歯により形成していること、第6に、ロータマグネット1の内径部に軟磁性材料から成る円筒部材11を固着していること、である。
【0025】
このステップモータ(モータ)の径は、ロータマグネット1の径にステータ18の磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、このステップモータの長さは、ロータマグネット1の長さにコイル2の長さを加えるだけの長さがあればよいことになる。そのため、ステップモータの大きさは、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さによって決まることになり、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすれば、ステップモータを超小型にすることができる。
【0026】
この時、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステップモータとしての精度を維持することが難しくなるが、前記実施例においては、ロータマグネット1を中空の円筒形状に形成し、この中空の円筒形状に形成されたロータマグネット1の外周面及び内周面にステータ18の外側磁極及び内側磁極を対向させる単純な構成により、前記ステップモータの精度の問題を解決している。その場合、ロータマグネット1の外周面だけでなく、ロータマグネット1の内周面も円周方向に複数に分割して着磁すれば、モータ出力を更に高めることができる。
【0027】
また、前記円筒部材11により、ロータマグネット1の磁束が該円筒部材11の内径部及び内側磁極18c、18dに漏れることを防止できる。このため、コイル2に通電しない時のマグネット1の停止位置は、図4に示すように、該マグネットの着磁部の各極の中心がステータ18の外側磁極18a、18bの中心Q1 、Q2 とマグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置に設定される。この位置(ずれた位置)からコイル2に通電すると、励磁された外側磁極18a、18bがマグネット1の着磁部に作用する力は必ず該マグネット1の回転方向に向く。そのため、マグネット1はスムーズに起動される。
【0028】
また、ロータマグネット1は前述のように射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により構成されており、これにより円筒形状の半径方向に関しての厚さは非常に薄く構成することができる。そのため、ステータ18の外側磁極18a、18bと内側磁極18c、18dとの距離を非常に小さくすることができ、コイル2とステータ18により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、モータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化を達成するすることが可能になる。
【0029】
さらに、円筒部材11によりマグネット1の機械的強度を増すことができ、従って、マグネット1をより薄い構造にすることができる。マグネット1を薄くすれば、ステータ18の外側磁極と内側磁極との間の間隔(ギャップ)を狭くすることができ、その分磁気抵抗を少なくすることができる。これによって、少ない電流により駆動することも可能になる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明のモータによれば、1相駆動のステップモータにおいて、周方向に交互に異なる極に着磁された回転可能なロータマグネットと、前記ロータマグネットに対して空隙をもって対向する円筒形のステータと、前記ステータの外側磁極と内側磁極の間に装着されたコイルと、を備え、前記ロータマグネットの内径部に、軟磁性材料からなり着磁部の極の中心が前記ステータの外側磁極の中心からずれた位置に停止させる磁路を構成する円筒部材を固着し、前記コイルを前記ロータマグネットの軸方向に配置し、前記コイルにより励磁される前記ステータの外側磁極を前記マグネットの外周面に対向させ、前記ステータの内側磁極を前記円筒部材の内周面に対向させた構成としたので、ロータマグネット及びコイルの径と長さを小さくしてモータを小型にすることができ、スムーズに起動することができるモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したモータの一実施例の模式的分解斜視図である。
【図2】本発明を適用したモータの一実施例の縦断面図である。
【図3】円筒部材が固着されたマグネットロータの磁束の状態をモータ軸に垂直な断面で見る模式図である。
【図4】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図5】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図6】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図7】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図8】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図9】図2中の線4−4の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図10】円筒部材を備えないモータにおけるコイル非通電時のマグネットの一つの安定停止状態を示す説明である。
【図11】円筒部材を備えないモータにおけるコイル非通電時のマグネットの他の安定停止状態を示す説明である。
【図12】従来の円筒形状の小型ステップモータの構成例を示す縦断面図である。
【図13】図12のモータのステータの状態を示す部分断面図である。
【図14】時計などで使用されている1個のコイルで駆動するステップモータを例示する平面図である。
【符号の説明】
1 ロータマグネット
2 コイル
7 出力軸(ロータ軸)
11 円筒部材
18 ステータ
18a 外側磁極
18b 外側磁極
18c 内側磁極
18d 内側磁極
20 カバー
Claims (1)
- 1相駆動のステップモータにおいて、
周方向に交互に異なる極に着磁された回転可能なロータマグネットと、
前記ロータマグネットに対して空隙をもって対向する円筒形のステータと、
前記ステータの外側磁極と内側磁極の間に装着されたコイルと、を備え、
前記ロータマグネットの内径部に、軟磁性材料からなり着磁部の極の中心が前記ステータの外側磁極の中心からずれた位置に停止させる磁路を構成する円筒部材を固着し、前記コイルを前記ロータマグネットの軸方向に配置し、前記コイルにより励磁される前記ステータの外側磁極を前記マグネットの外周面に対向させ、前記ステータの内側磁極を前記円筒部材の内周面に対向させたことを特徴とするモータ。
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