JP4007730B2 - 音声符号化装置、音声符号化方法および音声符号化アルゴリズムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声符号化装置、音声符号化方法および記録媒体に係り、さらに詳しくは、例えば留守番電話、留守録付きファクシミリ装置、音声通信、ボイスメモ、ボイスメールシステム、ディジタル携帯電話、DSVDモデム、あるいはインターネット電話などの音声符号化応用システムに用いられるディジタル音声信号を符号化する音声符号化装置、音声符号化方法および音声符号化アルゴリズムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、インターネット電話、DSVDモデムなどの音声信号を低ビットレート符号化する音声符号化技術を用いたアプリケーションが広く普及するに伴って、音声符号化技術の高品質化への要求が高まってきている。
【0003】
例えば、6kbps〜16kbpsにおける音声符号化方式の主流は、CELP(Code Excited Linear Prediction coding system)であって、このCELPの概念を用いた方式が上記した種々のアプリケーションや、日本のディジタル携帯電話などさまざまな標準において利用されている。
【0004】
CELPとは、線形予測による音声の音源・声道分離モデルを用い、声道情報を量子化して、音源情報をベクトル量子化することにより、低ビットレート符号化を実現するものである。具体的には、まず、入力音声を処理単位であるフレームに分割し、フレームを解析して、声道情報に対応する音声のホルマント成分を表現するホルマントパラメータを抽出して、量子化する。音源情報の量子化は、フレームよりもさらに短いサブフレームについて行われることが多く、さらに、二種類の符号帳を用いて二段階で行われることが多い。
【0005】
まず、一段階目は、音声のピッチ情報を表す適応符号帳を用いた適応符号帳探索である。適応符号帳は、直前のサブフレームまでの音源情報をピッチ長分繰り返してサブフレーム長にしたベクトル(適応符号ベクトル)を所定数のピッチ数個分生成することにより、サブフレーム毎に適応的に構成される。次に、各適応符号ベクトルを上記のように量子化されたホルマントパラメータによって構成される声道フィルタに通し、合成ベクトルを生成する。さらに、その合成ベクトルと入力サブフレームとの距離を測定し、最も短い距離を与えるものとして最適な適応符号ベクトル、すなわち最適なピッチを決定する。
【0006】
二段階目は、音源符号帳(雑音符号帳ともいう)と呼ばれる。所定数のベクトル(音源符号ベクトル)の固定的な符号帳を用いた音源符号帳探索(雑音符号帳探索ともいう)である。この音源符号帳の種類には、学習によって構成される学習符号帳、乱数によって構成するランダム符号帳、数本のパルスを用いて代数的に構成する代数的音源符号帳、あるいは、それらを部分的に組み合わせたものがあった。
【0007】
この場合、まず、前記サブフレームベクトルから、前記決定された最適な適応符号ベクトルを声道フィルタに通した合成ベクトルを差し引くことにより、音源符号帳探索の目標信号を生成する。次いで、各音源符号ベクトルを適応符号ベクトルと同様に、前記声道フィルタを通して合成ベクトルを生成する。さらに、前記音源符号帳探索の目標信号と前記合成ベクトルとの距離を測定し、最も短い距離を与えるものとしての最適な音源符号ベクトルを決定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の音声符号化装置やその方法にあっては、音源符号帳が音声のホルマント成分およびピッチ成分以外の成分を表現するためのものであるので、ピッチ長がサブフレームよりも短い場合、音源符号探索の目標信号にはピッチに基づく周期性が残ってしまう。このため、通常の音源符号帳探索では、歪みが大きくなるという問題点を生じる。
【0009】
当然、この性質は、サブフレーム長が長くなるにしたがって顕著となる。近年では、インターネット電話の普及により、4kbps近辺の低遅延ビットレートの符号化の高品質化が求められてきている。この場合、CELPを用いて4kbpsで低遅延方式を実現するには、サブフレーム長を従来から用いられてきた5〜8ms程度よりも大きい10ms程度にする必要があることから、上記問題点を解決する必要性がより重要になってくる。
【0010】
そこで、この問題点に対処する手法の一つとして、上記音源符号ベクトルを上記ピッチ周期に対応させて周期化することにより、周期的ではあるが非定常的な成分の表現が可能となり、有音声の符号化品質を向上させるピッチ周期化手法が提案されており、この手法は現在も用いられている。
【0011】
また、ピッチには、1サンプル長を整数単位としたときに、整数長のピッチ(整数ピッチ)と、小数点長のピッチ(非整数ピッチ)の二種類があって、非整数ピッチの方を用いることにより、より正確なピッチ抽出が可能となる。この非整数ピッチに対応した適応符号ベクトルは、特開平9−319396号公報、および、論文「三樹、守谷、間野、大室、“ピッチ同期雑音励振源をもつCELP符号化(PSI−CELP)”信学論(A),Vol.J77−A,No.3,pp.314−324(1994)」などに記載されているように、サンプリング定理を用いたアップサンプリングによって構成することができる。
【0012】
また、前記代数的音源符号帳は、複数のパルスによって前記音源符号ベクトルを構成するものであるが、同一サイズ(同一音源符号ベクトル数)の符号帳の場合に、他の符号帳と比較して符号帳を蓄えるために必要なメモリ量および探索のための演算量が非常に少ない性質を持つことから、広く用いられている。
【0013】
ところが、この代数的音源符号ベクトルを構成するパルスを、サンプリング定理を用いて非整数ピッチに対応した周期化を行った場合、多くのサンプル点にパルスを立てる必要が生じ、マルチパルス音源の持つ低演算量性が失われてしまう。そのため、この場合は、小数点以下の部分を切り捨てた整数部分によって近似的にピッチ周期化を行う手法が用いられている。
【0014】
しかしながら、この手法は、ピッチ周期化を近似的ながら簡便に実現できる反面、適応符号ベクトルの周期と雑音源ベクトルの周期とが異なるため、その差が音質に影響するという問題点があった。この音質への影響は、女性音のような短いピッチの場合に特に大きくなるという問題点があった。
【0015】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、音源符号帳探索に要する演算量を大きく増加させることなく、適応符号ベクトルのピッチ周期と音源符号ベクトルのピッチ周期との差を減少させて音質を向上させることができる音声符号化装置、音声符号化方法、および音声符号化アルゴリズムを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ディジタル音声信号を符号化する音声符号化装置であって、ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割手段と、前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割手段と、前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出手段と、前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出手段と、前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出手段と、を備え、前記雑音源抽出手段で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする。この請求項1の発明によれば、簡単な構成で雑音源抽出を高精度に行うことができ、より高音質化することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、ディジタル音声信号を符号化する音声符号化装置であって、ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割手段と、前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割手段と、前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出手段と、前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出手段と、前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出手段と、を備え、さらに、前記ピッチ周期抽出手段が整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出手段が前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化手段を備え、前記ピッチ周期化手段で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする。この請求項2の発明によれば、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行うことができ、より高音質化することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、ディジタル音声信号を符号化する音声符号化方法であって、ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割工程と、前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割工程と、前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出工程と、前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出工程と、前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出工程と、を含み、前記雑音源抽出工程で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする。この請求項3の発明によれば、簡単な構成で雑音源抽出を高精度に行うことができ、より高音質化することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、ディジタル音声信号を符号化する音声符号化方法であって、ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割工程と、前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割工程と、前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出工程と、前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出工程と、前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出工程と、を含み、さらに、前記ピッチ周期抽出工程が整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出工程が前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化工程を含み、前記ピッチ周期化工程で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする。この請求項4の発明によれば、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行うことができ、より高音質化することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は、ディジタル音声信号を符号化する音声符号化アルゴリズムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割ステップと、前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割ステップと、前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出ステップと、前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出ステップと、前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出ステップと、を含み、さらに、前記ピッチ周期抽出ステップが整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出ステップが前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化ステップを含み、前記ピッチ周期化ステップで非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする。
【0025】
この請求項5の発明によれば、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行うことができ、より高音質化することができる音声符号化アルゴリズムを記録媒体に記録したことで、その音声符号化アルゴリズムが機械読み取り可能となり、これらの動作をコンピュータによって実現することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る音声符号化装置の一構成例を示すブロック図であり、ここでは、CELP(Code Excited Linear Prediction coding system)に基づくディジタル音声入力信号を符号化するための音声符号化装置である。
【0029】
音声符号化装置10は、フレーム分割部12、サブフレーム分割部14、ホルマントパラメータ抽出部16、ピッチ周期抽出部18、雑音源抽出部20、および利得量子化部30などを備えている。また、上記した雑音源抽出部20は、目標信号構成部22、ピッチ周期化部24、距離計算部26、および最適ベクトル決定部28などにより構成されている。
【0030】
フレーム分割部12は、ディジタル音声入力信号をフレームと呼ぶ処理単位に分割するものである。そのフレーム長としては、例えば20〜30msといった値があげられ、フレーム分割の前後に高域フィルタを通すことで、直流成分を除去するようにしてもよい。
【0031】
サブフレーム分割部14は、フレームをサブフレームと呼ぶ処理単位に分割するもので、1フレームあたりのサブフレーム数として、例えば2〜6といった値があげられる。
【0032】
ホルマントパラメータ抽出部16は、分割されたフレームを解析して、ホルマントパラメータを抽出するものである。ホルマントパラメータとしては、LPC(Linear Prediction Coding:線形予測)係数、LSP( Line Spectrum Frequency:線スペクトル周波数)、LPCスペクトラム係数、反射係数などがあげられる。ホルマントパラメータの抽出方法には、例えば、線形予測解析などがあり、その線形予測解析の手法としては、フレームの自己相関関数を算出し、Levinson-Durbin の再帰解法によってLPC係数を算出する手法があげられ、自己相関関数を算出する前に、フレームにハミング窓あるいはハニング窓などの窓関数を適用してもよい。
【0033】
抽出されたフレームのホルマントパラメータは、量子化され、伝送あるいは蓄積される。フレームのホルマントパラメータの量子化方法には、スカラ量子化、ベクトル量子化、多段ベクトル量子化、分割ベクトル量子化などがある。ホルマントパラメータを量子化する際には、LSPあるいはLSFといった量子化効率の良いパラメータを用いることが望ましい。
【0034】
また、量子化されたフレームのホルマントパラメータを用いて、サブフレームのホルマントパラメータを算出する。そのサブフレームのホルマントパラメータ算出手法としては、現在および過去に量子化されたフレームのホルマントパラメータから補間によって求めるという手法があり、その補間手法としては、線形補間や二次補間などがある。
【0035】
ピッチ周期抽出部18は、上記した各サブフレームに対してピッチ周期の抽出を行うものである。ピッチ周期の抽出手法としては、適応符号帳探索による手法や自己相関関数を用いる手法などがあげられる。例えば、適応符号帳探索の場合は、あらかじめ所定数のピッチ候補を用意しておく。ピッチ候補には、サンプリング単位の整数倍の整数ピッチと非整数ピッチとがあり、このピッチ候補の全てに対して以下の処理が行われる。
【0036】
まず、適応符号ベクトルを生成する。この適応符号ベクトルは、直前のサブフレームまでの音源ベクトルからピッチ長分を切り出し、サブフレーム長になるまで繰り返して並べることによって生成する。そして、適応符号ベクトルとサブフレームのホルマントパラメータとを用いることにより、合成音声ベクトルを生成する。この合成音声ベクトルの生成手法としては、適応符号ベクトルにサブフレームのホルマントパラメータによって構成された線形フィルタを適用する手法などがある。
【0037】
また、合成音声ベクトルが任意の利得を乗じた場合に、サブフレームに対して最も近くなる最短距離を算出する。この最短距離の算出においては、聴覚的な重み付けを行うことにより、聴覚的な誤差が最少となるような手法を導入しても良い。以上の処理をピッチ候補内の全てのピッチに対して行って、最短距離の最も小さい適応符号ベクトルとピッチ周期とする。そのサブフレームのピッチ周期に付与された符号は、伝送あるいは蓄積される。
【0038】
雑音源抽出部20は、雑音源成分の抽出および符号化を行うものである。この雑音源成分の抽出方法としては、複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の音源符号ベクトルによって構成されるマルチパルス音源符号帳を用いた音源符号帳探索が用いられる。
【0039】
目標信号構成部22は、当該サブフレームの適応符号ベクトルと、サブフレームのホルマントパラメータとによって合成される合成音声ベクトルを、サブフレームから差し引くことにより、雑音源探索の目標信号ベクトルを生成する。
【0040】
ピッチ周期化部24は、各音源符号ベクトルに対して、抽出された当該サブフレームのピッチ周期に適応してピッチ周期化を行う。このピッチ周期化の手法は、サブフレーム長をMとし、当該サブフレームのピッチ周期をαとし、パルス位置がP(0≦P<M)であるとし、ピッチ周期αは、整数の場合も、非整数の場合もあり得る。P<α<Mの場合は、図2に示すようにして、パルスのピッチ周期化が行われる。例えば、αが整数の場合は、P+nα(nは正の整数、但し、P+nα<M)の位置にパルスを立てる。
【0041】
また、αが非整数の場合は、P+nαが非整数になる場合が生じるため、非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じる。少なくとも、n=1の場合は、非整数となる。そこで、パルスを三角波に近似させて補間することにより複数のパルスを生成し、この複数のパルスで非整数サンプル位置のパルスを代用するようにする(図3参照)。
【0042】
例えば、n=1を例にあげると、P+αに頂角を持ち、底辺の長さが2サンプルの三角波形を考える。ピッチ周期αの小数点以下の部分をβ(0<β<1)とすると、P+αを挟んだ2つの整数サンプル位置について、P+α−βの位置には(1−β)倍の高さのパルスを立てるようにし、P+α−β+1の位置にはβ倍の高さのパルスを立てるようにする。このようにして、パルスを三角波形に近似させ、補間することより、非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じた場合であっても、近似的に少数のパルスで代用することが可能となる(図4参照)。
【0043】
距離計算部26では、ピッチ周期化された各マルチパルス音源符号ベクトルに対して適応符号帳探索と同様の距離計算を行い、各音源符号ベクトルの合成音声ベクトルが任意の利得を乗じた場合に、目標信号ベクトルに最も近くなる最短距離が計算される。この場合、音源符号ベクトルの合成音声ベクトルを適応符号ベクトルの合成音声ベクトルに対して直交化してから距離計算を行うようにしても良い。
【0044】
最適ベクトル決定部28では、最短距離が最も小さくなる音源符号ベクトルが決定される。その決定された音源符号ベクトルに付与された符号は、伝送あるいは蓄積される。
【0045】
利得量子化部30は、利得成分を量子化するものである。利得成分を量子化する手法としては、適応符号ベクトルの利得成分、および雑音符号ベクトルの利得成分を別個に量子化するスカラ量子化と、両者を同時に最適化するように量子化するベクトル量子化とがあげられる。量子化された利得成分は、伝送あるいは蓄積される。
【0046】
以上の構成において、その動作を説明する。図5および図6は、ディジタル音声入力信号の符号化処理のそれぞれの動作例を示したフローチャートである。共通する処理動作については、合わせて説明するものとする。まず、フレーム分割部12では、ディジタル音声入力信号をフレームと呼ぶ処理単位に分割して、フレーム分割の後(前でも良い)に高域フィルタを通すことにより直流成分を除去する(ステップS1、S21)。
【0047】
そして、サブフレーム分割部14で分割したフレームを、さらにサブフレームと呼ぶ処理単位に分割する(ステップS2、S22)。次いで、ステップS3(S23)でi=0(iは、サブフレーム数チェック用カウンタである)とし、ステップS4(S24)においてホルマントパラメータの抽出処理が行われる。すなわち、ホルマントパラメータ抽出部16では、分割されたフレームを解析して、ホルマントパラメータを抽出する。ホルマントパラメータの抽出方法としては、フレームの自己相関関数を算出し、Levinson -Durbinの再帰解法によってLPC(線形予測)係数を算出する線形予測解析の手法を用いている。
【0048】
次いで、そのフレームのホルマントパラメータは、量子化され、伝送あるいは蓄積される。ホルマントパラメータの量子化方法には、スカラ量子化、ベクトル量子化、多段ベクトル量子化、分割ベクトル量子化などがあり、LSPあるいはLSFといった量子化効率の良いパラメータを用いてホルマントパラメータを量子化する。
【0049】
次いで、その量子化されたフレームのホルマントパラメータを用いて、サブフレームのホルマントパラメータを算出する。このサブフレームのホルマントパラメータ算出方法は、現在および過去に量子化されたフレームのホルマントパラメータから補間によって求めることが可能であり、その補間手法としては、線形補間や二次補間を用いる。
【0050】
次いで、ピッチ周期抽出部18では、上記した各サブフレームに対して、ピッチ周期の抽出が行われる(ステップS5、S25)。ここでは、ピッチ周期の抽出方法として、適応符号帳探索を用いている。適応符号帳探索は、サンプリング単位の整数倍の整数ピッチと非整数ピッチなどからなる所定数のピッチ候補を予め用意しておき、このピッチ候補の全てに対して、以下の処理が行われる。
【0051】
まず、直前のサブフレームまでの音源ベクトルからピッチ長分を切り出し、サブフレーム長になるまで繰り返して並べることで、適応符号ベクトルを生成する。そして、この適応符号ベクトルに上記したサブフレームのホルマントパラメータによって構成された線形フィルタを適用することで、合成音声ベクトルを生成する。さらに、この合成音声ベクトルが任意の利得を乗じた場合に、サブフレームに対して最も近くなる最短距離を算出する。ここでは、最短距離の算出に際して、聴覚的な重み付けを行うことにより、聴覚的な誤差が最少となるようにしている。
【0052】
このような処理をピッチ候補内の全てのピッチに対して行い、最短距離の最も小さい適応符号ベクトル、およびピッチ周期として、そのサブフレームのピッチ周期に付与された符号を伝送あるいは蓄積する。
【0053】
次いで、雑音源抽出部20では、雑音源成分の抽出および符号化が行われる。雑音源成分の抽出方法には、複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の音源符号ベクトルによって構成されるマルチパルス音源符号帳を用いた音源符号帳探索を用いている。
【0054】
まず、ステップS6(S26)の目標信号構成処理に際して、目標信号構成部22では、上記したサブフレームの適応符号ベクトルとサブフレームのホルマントパラメータとによって合成される合成音声ベクトルとをサブフレームから差し引くことにより、雑音源探索の目標信号ベクトルを生成する。そして、ステップS7(S27)では、j=0(jは、パルス数チェック用カウンタである)として、ステップS8(S28)へ移行する。
【0055】
ピッチ周期化部24では、前記各音源符号ベクトルに対して、抽出されたそのサブフレームのピッチ周期に適応してピッチ周期化が行われる。ここでは、サブフレーム長(数)をMとし、そのサブフレームのピッチ周期をαとし、パルス位置がP(0≦P<M)であるとし、ピッチ周期αは、整数の場合も、非整数の場合もあり得る。
【0056】
図5では、ステップS8において、非整数サンプル位置か否かを判断し、非整数サンプル位置であれば1本のパルスを立て(ステップS9)、非整数サンプル位置でなければ複数本のパルスを立てるようにする(ステップS10)。
【0057】
また、図6では、P<α<Mの場合にパルスのピッチ周期化が行われる(ステップS28)。αが整数の場合は、P+nα(nは正の整数、但し、P+nα<M)の位置にパルスが立てられる(図2参照)。αが非整数の場合は、P+nαが非整数になる場合が生じ、すなわち、非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じる(ステップS29)。少なくとも、n=1の場合は非整数となる。
【0058】
ここで、パルスを三角波に近似させて、補間することにより複数のパルスを生成し、この複数のパルスで非整数サンプル位置のパルスを代用するようにする(図3参照)。例えば、n=1を例にあげると、P+αに頂角を持ち、底辺の長さが2サンプルの三角波形を考える。ピッチ周期αの小数点以下の部分をβ(0<β<1)とすると、P+αを挟んだ2つの整数サンプル位置について、P+α−βの位置には(1−β)倍の高さのパルスを立て(ステップS30)、P+α−β+1の位置にはβ倍の高さのパルスを立てるようにする(ステップS31)。
【0059】
このように、パルスを三角波形に近似させ、補間することよって、非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じた場合(ステップS28→S29)でも、近似的に少数のパルスで代用することが可能になる(図4参照)。
【0060】
次いで、距離計算部26は、ピッチ周期化された各マルチパルス音源符号ベクトルに対して、上記した適応符号帳探索と同様の距離計算処理(ステップS11、S32)を行い、各音源符号ベクトルの合成音声ベクトルが任意の利得を乗じて、目標信号ベクトルに最も近くなる最短距離を計算する。この場合、音源符号ベクトルの合成音声ベクトルを適応符号ベクトルの合成音声ベクトルに対して直交化してから距離計算することもできる。
【0061】
次いで、最適ベクトル決定部28において、最短距離が最も小さくなる音源符号ベクトルが決定され、その決定された音源符号ベクトルに付与された符号は、伝送あるいは蓄積される。
【0062】
さらに、利得量子化部30において、利得成分が量子化される。ここでは、利得成分の抽出手法として、適応符号ベクトルと雑音符号ベクトルの両方の利得成分を同時に最適化して量子化するベクトル量子化が用いられ、量子化された利得成分は、伝送あるいは蓄積される(ステップS12、S33)。
【0063】
そして、ステップS13(S34)において、j=N−1(Nは、パルス数)か否かが判断され、j≠N−1であれば、ステップS14(S35)においてj=j+1としてステップS8(S28)に戻り、j=N−1であれば、ステップS15(S36)に移行する。
【0064】
ステップS15(S36)において、i≠M−1(Mは、サブフレーム数)であれば、ステップS16(S37)においてi=i+1としてステップS5(S25)に戻り、i=M−1であれば、ステップS17(S38)に移行する。ステップS17(S38)において、処理フレームが最終フレームでなければ最初のステップS1(S21)に戻って上記処理が繰り返されるが、最終フレームであれば処理を終了する。
【0065】
以上、説明したように、上記実施の形態によれば、代数的音源符号帳を用いたCELP符号化のピッチ周期化において、非整数サンプル位置にパルスを立てる必要のある場合に、パルスを三角波によって近似させ、補間によって整数サンプル位置のパルスの組み合わせに変換するようにしたため、音源符号帳探索に要する演算量を大きく増加させることなく、適応符号ベクトルのピッチ周期と音源符号ベクトルのピッチ周期との差を減少させ、音質を向上させることができる。
【0066】
なお、上記実施の形態で説明した音声符号化方法は、あらかじめ用意された音声符号化アルゴリズム(あるいは、これを含むプログラム)をパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。この音声符号化アルゴリズムは、ハードディスク、フロッピーディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、この音声符号化アルゴリズムは、上記記録媒体を介し、インターネット等のネットワークを介して配布することも可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、フレーム分割手段がディジタル音声信号をフレームに分割し、サブフレーム分割手段がそのフレームをさらに短いサブフレームに分割し、ホルマントパラメータ抽出手段がフレームからホルマントパラメータを抽出して符号化すると、ピッチ周期抽出手段がサブフレームとホルマントパラメータとを用いてサブフレームのピッチ周期を抽出して符号化し、雑音源抽出手段によりサブフレームとフレームのホルマントパラメータとピッチ周期と複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いてサブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する。そして、雑音源抽出手段で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てるようにするので、簡単な構成で雑音源抽出を高精度に行うことができ、より高音質化することが可能な音声符号化装置が得られる。
【0069】
また、請求項2の発明によれば、フレーム分割手段がディジタル音声信号をフレームに分割し、サブフレーム分割手段がそのフレームをさらに短いサブフレームに分割し、ホルマントパラメータ抽出手段がフレームからホルマントパラメータを抽出して符号化すると、ピッチ周期抽出手段がサブフレームとホルマントパラメータとを用いてサブフレームのピッチ周期を抽出して符号化し、雑音源抽出手段によりサブフレームとフレームのホルマントパラメータとピッチ周期と複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いてサブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する。そして、ピッチ周期抽出手段が整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、雑音源抽出手段が符号ベクトルをピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化手段を備え、そのピッチ周期化手段が非整数のサンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てるようにするので、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行うことができ、より高音質化することが可能な音声符号化装置が得られる。
【0071】
また、請求項3の発明によれば、フレーム分割工程でディジタル音声信号をフレームに分割し、サブフレーム分割工程でそのフレームをさらに短いサブフレームに分割し、ホルマントパラメータ抽出工程でフレームからホルマントパラメータを抽出して符号化し、ピッチ周期抽出工程でサブフレームとホルマントパラメータとを用いてサブフレームのピッチ周期を抽出して符号化し、雑音源抽出工程によりサブフレームとフレームのホルマントパラメータとピッチ周期と複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いてサブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する。そして、雑音源抽出工程で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てるようにするので、簡単な構成で雑音源抽出を高精度に行うことができ、より高音質化することが可能な音声符号化方法が得られる。
【0073】
また、請求項4の発明によれば、フレーム分割工程でディジタル音声信号をフレームに分割し、サブフレーム分割工程でそのフレームをさらに短いサブフレームに分割し、ホルマントパラメータ抽出工程でフレームからホルマントパラメータを抽出して符号化すると、ピッチ周期抽出工程でサブフレームとホルマントパラメータとを用いてサブフレームのピッチ周期を抽出して符号化し、雑音源抽出工程によりサブフレームとフレームのホルマントパラメータとピッチ周期と複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いてサブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する。そして、ピッチ周期抽出工程で整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、雑音源抽出工程が符号ベクトルをピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化工程を含み、そのピッチ周期化工程で非整数のサンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てるようにするので、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行うことができ、より高音質化することが可能な音声符号化方法が得られる。
【0075】
また、請求項5の発明によれば、フレーム分割ステップでディジタル音声信号をフレームに分割し、サブフレーム分割ステップでそのフレームをさらに短いサブフレームに分割し、ホルマントパラメータ抽出ステップでフレームからホルマントパラメータを抽出して符号化すると、ピッチ周期抽出ステップでサブフレームとホルマントパラメータとを用いてサブフレームのピッチ周期を抽出して符号化し、雑音源抽出ステップによりサブフレームとフレームのホルマントパラメータとピッチ周期と複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いてサブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する。そして、ピッチ周期抽出ステップで整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、雑音源抽出ステップが符号ベクトルをピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化ステップを含み、そのピッチ周期化ステップで非整数のサンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合、αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てるようにするので、簡単な構成でマルチパルス型音源の非整数ピッチに対するピッチ周期化を高精度に行えるようになり、より高音質化することができる音声符号化アルゴリズムを記録媒体に記録したことで、その音声符号化アルゴリズムが機械読み取り可能となり、これらの動作をコンピュータによって実現することが可能な記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る音声符号化装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】P<α<Mの場合にパルスのピッチ周期化を行う場合の説明図である。
【図3】αが非整数で非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じた場合にパルスを三角波に近似させて補間することで複数のパルスを生成して非整数サンプル位置のパルスの代用を説明する図である。
【図4】パルスを三角波形に近似させて補間することより非整数サンプル位置にパルスを立てる必要が生じた場合でも近似的に少数のパルスで代用することが可能なことを説明する図である。
【図5】ディジタル音声入力信号の符号化処理の一動作例を示すフローチャートである。
【図6】ディジタル音声入力信号の符号化処理の別の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 音声符号化装置
12 フレーム分割部
14 サブフレーム分割部
16 ホルマントパラメータ抽出部
18 ピッチ周期抽出部
20 雑音源抽出部
22 目標信号構成部
24 ピッチ周期化部
26 距離計算部
28 最適ベクトル決定部
20 利得量子化部
Claims (5)
- ディジタル音声信号を符号化する音声符号化装置であって、
ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割手段と、
前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割手段と、
前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出手段と、
前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出手段と、
前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出手段と、
を備え、
前記雑音源抽出手段で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、
αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、
αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、
αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする音声符号化装置。 - ディジタル音声信号を符号化する音声符号化装置であって、
ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割手段と、
前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割手段と、
前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出手段と、
前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出手段と、
前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出手段と、
を備え、
さらに、前記ピッチ周期抽出手段が整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出手段が前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化手段を備え、
前記ピッチ周期化手段で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、
αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、
αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、
αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする音声符号化装置。 - ディジタル音声信号を符号化する音声符号化方法であって、
ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割工程と、
前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割工程と、
前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出工程と、
前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出工程と、
前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出工程と、
を含み、
前記雑音源抽出工程で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、
αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、
αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、
αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする音声符号化方法。 - ディジタル音声信号を符号化する音声符号化方法であって、
ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割工程と、
前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割工程と、
前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出工程と、
前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出工程と、
前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳とを用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出工程と、
を含み、
さらに、前記ピッチ周期抽出工程が整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出工程が前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化工程を含み、
前記ピッチ周期化工程で非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、
αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、
αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、
αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする音声符号化方法。 - ディジタル音声信号を符号化する音声符号化アルゴリズムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
ディジタル音声信号をフレームに分割するフレーム分割ステップと、
前記フレームをさらに短いサブフレームに分割するサブフレーム分割ステップと、
前記フレームからホルマントパラメータを抽出して符号化するホルマントパラメータ抽出ステップと、
前記サブフレームおよびホルマントパラメータを用いて前記サブフレームのピッチ周期を抽出して符号化するピッチ周期抽出ステップと、
前記サブフレーム、前記ホルマントパラメータ、前記ピッチ周期および複数本のパルスによって構成されたサブフレーム長の複数の符号ベクトルによって構成されるマルチパルス符号帳を用いて前記サブフレームの雑音源成分を抽出して符号化する雑音源抽出ステップと、
を含み、
さらに、前記ピッチ周期抽出ステップが整数のピッチ周期のみならず非整数のピッチ周期をも抽出し、前記雑音源抽出ステップが前記符号ベクトルを前記ピッチ周期に対応して周期化するピッチ周期化ステップを含み、
前記ピッチ周期化ステップで非整数サンプル位置αにパルスを立てる必要が生じた場合に、
αの小数部分がβ(0<β<1)であるとき、
αより小さい最大の整数サンプル位置(α−β)にパルス振幅の(1−β)倍の振幅を持つパルスを立て、
αより大きい最小の整数サンプル位置(α−β+1)にパルス振幅のβ倍の振幅を持つパルスを立てることを特徴とする音声符号化アルゴリズムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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