JP4007416B2 - フィルタエレメント - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を濾過するためのフィルタ装置に内装される濾過材としてのフィルタエレメントに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、フィルタ装置に装着されて流体を濾過するフィルタエレメントとしては、各種の構成を有するものが知られている。
しかしながら、上記フィルタエレメントは使い捨てのものが一般的であり、たとえフィルタエレメントを洗浄することにより再生利用することができたとしても、フィルタエレメントに堆積した異物の除去が困難であるとか、あるいは特殊な薬品に長時間浸漬する必要があるなど、多くの手間がかかるものである。
そのため、フィルタエレメントに堆積した異物を容易に除去することができ、それによってフィルタエレメントを容易に再生して再利用可能にすることが望まれている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、濾過すべき流体中の異物を良好に除去することができ、しかもそれ自体を容易に且つ短時間に洗浄して再利用することができるフィルタエレメントを提供することにある。
【０００４】
上記課題を解決するための本発明に係るフィルタエレメントは、フィルタ装置に内装されて濾材で流体を濾過するフィルタエレメントであって、上記濾材が、環状に形成した板状ばね部材と環状に形成した濾過板との多数を交互に積層してなり、各板状ばね部材は、圧縮時に板状に扁平化され、非圧縮時に隣接濾過板との間に間隙を形成する方向に付勢するべくその厚さ方向に波形に彎曲させた状態に形成し、各濾過板には、その表裏両面に放射方向の多数の濾過溝を設け、上記板状ばね部材と濾過板とをそれらの多数の積層により全体的に筒状に形成した状態で圧縮固定したことを特徴とするものである。
【０００５】
本発明に係るフィルタエレメントの好ましい実施形態においては、上記濾材が固定部材により圧縮固定されていて、該固定部材が、上記濾材を挟持する両端のエンドプレートと、これらのエンドプレートの間隔を調整するテンションボルトと、上記濾材を内側から支持する複数のガイドバーとを備えることにより構成される。
【０００６】
本発明に係るフィルタエレメントの他の好ましい実施形態においては、上記エンドプレートの内側面にそれぞれ支持部材が設けられ、一方の支持部材には上記テンションボルトの一端がナットで固定され、他方の支持部材においては上記テンションボルトの他端に蝶ナットが取り付けられ、この蝶ナットの締め付けによって上記エンドプレートの間隔が調整可能に構成される。
【０００７】
上記構成を有する本発明のフィルタエレメントは、その洗浄に際してフィルタエレメントの構成要素の圧縮固定を解除したいときには、手作業またはアクチュエータ等の手段、あるいはフィルタエレメントを構成するばね部材または板ばね部材等の付勢力によって、その濾過間隙を十分に大きく拡開することができるので、容易に且つ良好に当該フィルタエレメントに堆積した異物を除去することができる。
即ち、コイル状のばね部材により形成した上記第１のフィルタエレメントは、そのばね部材に設けたノッチにより圧縮時の濾過間隙が形成され、フィルタ装置から取り外したときには、ばね部材の両端を開くことによりばね部材の間の濾過間隙が略均一に拡開される。
【０００８】
また、環状の板ばね部材を積層することにより形成した上記第２のフィルタエレメントは、圧接時において、各板ばね部材に設けたストッパとして機能する突出部により一定の濾過間隙が形成され、一方、圧接を解除したときには、各板ばね部材に設けたばね部により隣接する板ばね部材との間の濾過間隙が略均一に拡開される。
【０００９】
さらに、環状の板状ばね部材と濾過板との多数を交互に積層した上記第３のフィルタエレメントは、板状ばね部材の圧縮時には該ばね部材が板状に扁平化されて、濾過板の表裏両面の濾過溝との間に一定の濾過間隙が設定され、一方、圧縮を解除したときには、その厚さ方向に波形に彎曲して隣接する濾過板との間の濾過間隙が拡開される。
【００１０】
このようにして、上記フィルタエレメントの濾過間隙を容易に拡開することができるので、その洗浄に際して濾過した異物を容易に除去することができる。特に、上記第２及び第３のフィルタエレメントは、それらを構成する板ばね部材や板状ばね部材、濾過板をバラバラに解体して洗浄することもでき、この場合にも比較的簡単に再積層することができるので、洗浄による異物の除去が一層容易である。これらによりフィルタエレメント自体を容易に再生して再利用することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルタエレメントの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するに、図１乃至図４は、本発明のフィルタエレメントの第１実施例を示している。
このフィルタエレメント１は、流体を濾過するためのフィルタ装置に内装されるもので、図１及び図２に示すように、濾材としてのばね部材３と、該ばね部材３を圧縮状態に固定するための固定部材５とから構成されている。
【００１２】
上記ばね部材３は、図２乃至図４に示すように、ばね用線材をコイル状に巻回することにより略円筒状に形成され、該ばね部材３の単位巻き当たりに所定数のノッチ７が略等間隔で設けられており、それによって、図３に明瞭に示すように、当該ばね部材３の圧縮時における濾過間隙を設定している。そして、該ばね部材３の両端を、それぞれ後述する上記固定部材５におけるエンドプレート１３と可動板１５とで挟持させている。
【００１３】
上記固定部材５は、図１及び図２に示すように、両端のエンドプレート１１，１３間に、ガイドバー１７の挿通により該ガイドバー１７に沿う方向のみに移動を制限した可動板１５を配設すると共に、上記エンドプレート１１の内側に連設したガイド筒部１１Ａ内に、周囲にねじ部１９ａを螺刻した回転体１９を回転自在に且つＣ形止め輪２１により抜止状態に配設している。また、上記可動板１５は、エンドプレート１１におけるガイド筒部１１ＡにＯリング２３によるシールを介して摺動自在に嵌合させると共に、該ガイド筒部１１Ａと同方向に筒状部１５Ａを延設し、この筒状部１５Ａの先端内面に上記回転体１９のねじ部１９ａに螺合するねじ部１５ａを螺刻している。このように構成することにより、上記回転体１９の回転に伴って、上記可動板１５をガイドバー１７に沿って移動させることができる。
【００１４】
そして、上記ばね部材３を上記エンドプレート１３と可動板１５との間に配設して、上記回転体１９の回転によって可動板１５をエンドプレート１３側に移動させることにより、上記ばね部材３の両端をそれぞれエンドプレート１３と可動板１５とに圧接させ、それによって上記ばね部材３をノッチ７による濾過間隙を介在させた状態で圧縮固定できるようにしている。
なお、図１中の符号２５，２７は、それぞれエンドプレート１１，１３の外側面に取り付けられたパッキンである。
【００１５】
上記構成を有する第１実施例のフィルタエレメント１は、そのばね部材３に設けたノッチ７により、ばね部材３の圧接時に所定の濾過間隙が形成され（図３）、それによって円筒状をなすばね部材３の内側と外側との間を流れる流体が濾過される。また、固定部材５における回転体１９の回転により可動板１５をガイドバー１７に沿ってエンドプレート１３から離れる方向に移動させ、それによってばね部材３の両端間を拡げたとき（図４）には、ばね部材３の間の濾過間隙が十分に大きく拡開される。
したがって、その洗浄に際しては、容易に且つ良好に上記フィルタエレメント１により濾過された異物を除去することができ、それによりフィルタエレメント１自体を再生して再利用することができる。
【００１６】
次に、図５乃至図７は、本発明のフィルタエレメントの第２実施例を示している。
この第２実施例のフィルタエレメントは、固定部材５により圧縮状態に固定する濾材を、環状に形成した板ばね部材３３Ａの多数を積層した積層体３３として構成し、該積層体３３の各板ばね部材３３Ａに、隣接板ばね部材３３Ａとの間の間隙を離間させる方向に付勢するばね部３３ａと、隣接板ばね部材３３Ａが圧接されたときのストッパとして機能して板ばね部材３３Ａ間に濾過間隙を形成する突出部３３ｂとを該板ばね部材３３Ａ自体の切り起こしによって設け、それらの積層により全体として筒状に形成している。また、上記板ばね部材３３Ａは、隣接板ばね部材３３Ａにおけるばね部３３ａの位相を交互に９０°ずつずらして積層することにより上記積層体３３を構成している。
なお、この第２実施例における固定部材は前記第１実施例と同様なものとすることができるため、該固定部材の構成は図１及び図２を参照するものとして図示を省略する。
【００１７】
上記構成を有する第２実施例のフィルタエレメントにおいて、環状の板ばね部材３３Ａを積層することにより形成した積層体３３は、上記固定部材５による各板ばね部材３３Ａの圧接時（図４）において、各板ばね部材３３Ａに設けたストッパとして機能する突出部３３ｂにより一定の濾過間隙が形成され、一方、各板ばね部材３３Ａの圧接を解除したとき（図６）には、各板ばね部材３３Ａに設けたばね部３３ａにより隣接する板ばね部材３３Ａとの間の濾過間隙が略均一に拡開される。
このようにして、フィルタエレメントにおける濾材を構成する板ばね部材３３Ａの積層体３３の濾過間隙を容易に拡開することができるので、その洗浄に際して濾過した異物を容易に除去することができる。
特に、この第２実施例における板ばね部材３３Ａの積層体３３は、それを構成する各板ばね部材３３Ａをバラバラに解体して洗浄することもでき、この場合にも比較的簡単に再積層することができるので、洗浄による異物の除去を一層容易に行うことができる。
【００１８】
次に、図８乃至図１３は、本発明の第３実施例を示している。
この第３実施例のフィルタエレメント６１は、固定部材６５に圧縮状態に固定する濾材を、環状に形成した板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの多数を交互に積層した積層体６３により全体的に筒状に構成したもので、該積層体６３を構成する各濾過板６３Ｂは、図１１及び図１２に示すように、その表裏両面に放射方向に多数の濾過溝６３ｂを設けることにより構成し、一方、上記積層体６３を構成する各板状ばね部材６３Ａは、図１０及び図１３からわかるように、圧縮時に板状に扁平化され、非圧縮時に隣接濾過板６３Ｂとの間に間隙を形成する方向に付勢するべくその厚さ方向に波形に彎曲させている。図１３において、部分６３ｃは上に凸に彎曲し、部分６３ｄは下に凸に彎曲した部分を示している。
【００１９】
上記固定部材６５は、図８及び図９に示すように、両端のエンドプレート７１，７３と、それらのエンドプレート７１，７３の間隔を調整するテンションボルト７５とを有し、上記エンドプレート７１，７３の内側面にはそれぞれ支持部材７１Ａ，７３Ａを設け、一方のエンドプレート７１の支持部材７１Ａにおいてはテンションボルト７５の一端をナット７４ａ，７４ｂで固定し、他方のエンドプレート７３の支持部材７３Ａにおいて、蝶ナット７４ｃの締め付けにより上記エンドプレート７１，７３間の間隔を調節できるようにしている。また、上記エンドプレート７１，７３の内側面の周囲には、それぞれ複数のガイドバー７７，７８が、上記テンションボルト７５の軸線方向に沿って、且つそれぞれのエンドプレート７１，７３におけるガイドバー７７，７８と干渉しないように略等間隔をおいて立設されている。これらのガイドバー７７，７８は、板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂに内接してそれらの積層状態を保持するものである。
そして、板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３を、上記エンドプレート７１，７３間において、上記ガイドバー７７，７８を筒状内部に挿入するように配設して、上記蝶ナット７４ｃの締め付けにより上記エンドプレート７１，７３間の間隔を収縮することにより、上記積層体６３をエンドプレート７１，７３間に挟持させている。
【００２０】
上記構成を有する第３実施例のフィルタエレメント６１は、環状に形成した板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの多数を交互に積層した積層体６３が、固定部材６５による板状ばね部材６３Ａの圧縮時には該ばね部材６３Ａが板状に扁平化されて、濾過板６３Ｂの表裏両面の濾過溝６３ｂとの間に一定の濾過間隙が設定され、一方、固定部材６５による押し付けを解除したときには、上記板状ばね部材６３Ａがその厚さ方向に波形に彎曲して、隣接する濾過板６３Ｂとの間の濾過間隙が拡開される。
【００２１】
ここで、上述した第１及び第２実施例における固定部材５と、第３実施例における固定部材６５は、それぞれ相互に他の実施例における濾材としてのばね部材３、板ばね部材３３Ａの積層体３３、または板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３の圧縮固定に適用することができるものである。
特に、第３実施例の固定部材６５を第２実施例における板ばね部材３３Ａの積層体３３の固定に用いる場合には、図６に示すように、板ばね部材３３Ａの内側に設けた凹部３３ｃに、該凹部３３ｃの数に応じて設けた固定部材６５のガイドバー７７，７８を挿通することができる。
また、上記固定部材の構成は、各実施例に記載した構成のものに限定されず、濾材としてのばね部材３、板ばね部材３３Ａの積層体３３、及び板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３を圧縮固定することができる適宜構成のものを使用することができるものである。
【００２２】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、濾過すべき流体中の異物を良好に除去することができ、しかもそれ自体を容易にかつ短時間に洗浄して再利用することができるフィルタエレメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例のフィルタエレメントの側断面図である。
【図２】同平断面図である。
【図３】ばね部材の圧縮時の状態を示す側面図である。
【図４】同圧縮を解除した状態を示す側面図である。
【図５】第２実施例における板ばね部材の積層体の圧縮時の状態を示す側断面図である。
【図６】同板ばね部材の積層体の平面図である。
【図７】同板ばね部材の積層体の圧縮を解除した状態を示す側断面図である。
【図８】第３実施例のフィルタエレメントの側断面図である。
【図９】同平断面図である。
【図１０】第３実施例における板状ばね部材と濾過板との積層体の圧縮を解除した状態を示す側面図である。
【図１１】同濾過板の平面図である。
【図１２】図１1のＡ−Ａ線における拡大端面図である。
【図１３】第３実施例における板状ばね部材の平面図である。
【符号の説明】
１，６１ フィルタエレメント
３ ばね部材
５，６５ 固定部材
７ ノッチ
３３，６３ 積層体
３３Ａ 板ばね部材
３３ａ ばね部
３３ｂ 突出部
６３Ａ 板状ばね部材
６３Ｂ 濾過板
６３ｂ 濾過溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を濾過するためのフィルタ装置に内装される濾過材としてのフィルタエレメントに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、フィルタ装置に装着されて流体を濾過するフィルタエレメントとしては、各種の構成を有するものが知られている。
しかしながら、上記フィルタエレメントは使い捨てのものが一般的であり、たとえフィルタエレメントを洗浄することにより再生利用することができたとしても、フィルタエレメントに堆積した異物の除去が困難であるとか、あるいは特殊な薬品に長時間浸漬する必要があるなど、多くの手間がかかるものである。
そのため、フィルタエレメントに堆積した異物を容易に除去することができ、それによってフィルタエレメントを容易に再生して再利用可能にすることが望まれている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、濾過すべき流体中の異物を良好に除去することができ、しかもそれ自体を容易に且つ短時間に洗浄して再利用することができるフィルタエレメントを提供することにある。
【０００４】
上記課題を解決するための本発明に係るフィルタエレメントは、フィルタ装置に内装されて濾材で流体を濾過するフィルタエレメントであって、上記濾材が、環状に形成した板状ばね部材と環状に形成した濾過板との多数を交互に積層してなり、各板状ばね部材は、圧縮時に板状に扁平化され、非圧縮時に隣接濾過板との間に間隙を形成する方向に付勢するべくその厚さ方向に波形に彎曲させた状態に形成し、各濾過板には、その表裏両面に放射方向の多数の濾過溝を設け、上記板状ばね部材と濾過板とをそれらの多数の積層により全体的に筒状に形成した状態で圧縮固定したことを特徴とするものである。
【０００５】
本発明に係るフィルタエレメントの好ましい実施形態においては、上記濾材が固定部材により圧縮固定されていて、該固定部材が、上記濾材を挟持する両端のエンドプレートと、これらのエンドプレートの間隔を調整するテンションボルトと、上記濾材を内側から支持する複数のガイドバーとを備えることにより構成される。
【０００６】
本発明に係るフィルタエレメントの他の好ましい実施形態においては、上記エンドプレートの内側面にそれぞれ支持部材が設けられ、一方の支持部材には上記テンションボルトの一端がナットで固定され、他方の支持部材においては上記テンションボルトの他端に蝶ナットが取り付けられ、この蝶ナットの締め付けによって上記エンドプレートの間隔が調整可能に構成される。
【０００７】
上記構成を有する本発明のフィルタエレメントは、その洗浄に際してフィルタエレメントの構成要素の圧縮固定を解除したいときには、手作業またはアクチュエータ等の手段、あるいはフィルタエレメントを構成するばね部材または板ばね部材等の付勢力によって、その濾過間隙を十分に大きく拡開することができるので、容易に且つ良好に当該フィルタエレメントに堆積した異物を除去することができる。
即ち、コイル状のばね部材により形成した上記第１のフィルタエレメントは、そのばね部材に設けたノッチにより圧縮時の濾過間隙が形成され、フィルタ装置から取り外したときには、ばね部材の両端を開くことによりばね部材の間の濾過間隙が略均一に拡開される。
【０００８】
また、環状の板ばね部材を積層することにより形成した上記第２のフィルタエレメントは、圧接時において、各板ばね部材に設けたストッパとして機能する突出部により一定の濾過間隙が形成され、一方、圧接を解除したときには、各板ばね部材に設けたばね部により隣接する板ばね部材との間の濾過間隙が略均一に拡開される。
【０００９】
さらに、環状の板状ばね部材と濾過板との多数を交互に積層した上記第３のフィルタエレメントは、板状ばね部材の圧縮時には該ばね部材が板状に扁平化されて、濾過板の表裏両面の濾過溝との間に一定の濾過間隙が設定され、一方、圧縮を解除したときには、その厚さ方向に波形に彎曲して隣接する濾過板との間の濾過間隙が拡開される。
【００１０】
このようにして、上記フィルタエレメントの濾過間隙を容易に拡開することができるので、その洗浄に際して濾過した異物を容易に除去することができる。特に、上記第２及び第３のフィルタエレメントは、それらを構成する板ばね部材や板状ばね部材、濾過板をバラバラに解体して洗浄することもでき、この場合にも比較的簡単に再積層することができるので、洗浄による異物の除去が一層容易である。これらによりフィルタエレメント自体を容易に再生して再利用することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルタエレメントの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するに、図１乃至図４は、本発明のフィルタエレメントの第１実施例を示している。
このフィルタエレメント１は、流体を濾過するためのフィルタ装置に内装されるもので、図１及び図２に示すように、濾材としてのばね部材３と、該ばね部材３を圧縮状態に固定するための固定部材５とから構成されている。
【００１２】
上記ばね部材３は、図２乃至図４に示すように、ばね用線材をコイル状に巻回することにより略円筒状に形成され、該ばね部材３の単位巻き当たりに所定数のノッチ７が略等間隔で設けられており、それによって、図３に明瞭に示すように、当該ばね部材３の圧縮時における濾過間隙を設定している。そして、該ばね部材３の両端を、それぞれ後述する上記固定部材５におけるエンドプレート１３と可動板１５とで挟持させている。
【００１３】
上記固定部材５は、図１及び図２に示すように、両端のエンドプレート１１，１３間に、ガイドバー１７の挿通により該ガイドバー１７に沿う方向のみに移動を制限した可動板１５を配設すると共に、上記エンドプレート１１の内側に連設したガイド筒部１１Ａ内に、周囲にねじ部１９ａを螺刻した回転体１９を回転自在に且つＣ形止め輪２１により抜止状態に配設している。また、上記可動板１５は、エンドプレート１１におけるガイド筒部１１ＡにＯリング２３によるシールを介して摺動自在に嵌合させると共に、該ガイド筒部１１Ａと同方向に筒状部１５Ａを延設し、この筒状部１５Ａの先端内面に上記回転体１９のねじ部１９ａに螺合するねじ部１５ａを螺刻している。このように構成することにより、上記回転体１９の回転に伴って、上記可動板１５をガイドバー１７に沿って移動させることができる。
【００１４】
そして、上記ばね部材３を上記エンドプレート１３と可動板１５との間に配設して、上記回転体１９の回転によって可動板１５をエンドプレート１３側に移動させることにより、上記ばね部材３の両端をそれぞれエンドプレート１３と可動板１５とに圧接させ、それによって上記ばね部材３をノッチ７による濾過間隙を介在させた状態で圧縮固定できるようにしている。
なお、図１中の符号２５，２７は、それぞれエンドプレート１１，１３の外側面に取り付けられたパッキンである。
【００１５】
上記構成を有する第１実施例のフィルタエレメント１は、そのばね部材３に設けたノッチ７により、ばね部材３の圧接時に所定の濾過間隙が形成され（図３）、それによって円筒状をなすばね部材３の内側と外側との間を流れる流体が濾過される。また、固定部材５における回転体１９の回転により可動板１５をガイドバー１７に沿ってエンドプレート１３から離れる方向に移動させ、それによってばね部材３の両端間を拡げたとき（図４）には、ばね部材３の間の濾過間隙が十分に大きく拡開される。
したがって、その洗浄に際しては、容易に且つ良好に上記フィルタエレメント１により濾過された異物を除去することができ、それによりフィルタエレメント１自体を再生して再利用することができる。
【００１６】
次に、図５乃至図７は、本発明のフィルタエレメントの第２実施例を示している。
この第２実施例のフィルタエレメントは、固定部材５により圧縮状態に固定する濾材を、環状に形成した板ばね部材３３Ａの多数を積層した積層体３３として構成し、該積層体３３の各板ばね部材３３Ａに、隣接板ばね部材３３Ａとの間の間隙を離間させる方向に付勢するばね部３３ａと、隣接板ばね部材３３Ａが圧接されたときのストッパとして機能して板ばね部材３３Ａ間に濾過間隙を形成する突出部３３ｂとを該板ばね部材３３Ａ自体の切り起こしによって設け、それらの積層により全体として筒状に形成している。また、上記板ばね部材３３Ａは、隣接板ばね部材３３Ａにおけるばね部３３ａの位相を交互に９０°ずつずらして積層することにより上記積層体３３を構成している。
なお、この第２実施例における固定部材は前記第１実施例と同様なものとすることができるため、該固定部材の構成は図１及び図２を参照するものとして図示を省略する。
【００１７】
上記構成を有する第２実施例のフィルタエレメントにおいて、環状の板ばね部材３３Ａを積層することにより形成した積層体３３は、上記固定部材５による各板ばね部材３３Ａの圧接時（図４）において、各板ばね部材３３Ａに設けたストッパとして機能する突出部３３ｂにより一定の濾過間隙が形成され、一方、各板ばね部材３３Ａの圧接を解除したとき（図６）には、各板ばね部材３３Ａに設けたばね部３３ａにより隣接する板ばね部材３３Ａとの間の濾過間隙が略均一に拡開される。
このようにして、フィルタエレメントにおける濾材を構成する板ばね部材３３Ａの積層体３３の濾過間隙を容易に拡開することができるので、その洗浄に際して濾過した異物を容易に除去することができる。
特に、この第２実施例における板ばね部材３３Ａの積層体３３は、それを構成する各板ばね部材３３Ａをバラバラに解体して洗浄することもでき、この場合にも比較的簡単に再積層することができるので、洗浄による異物の除去を一層容易に行うことができる。
【００１８】
次に、図８乃至図１３は、本発明の第３実施例を示している。
この第３実施例のフィルタエレメント６１は、固定部材６５に圧縮状態に固定する濾材を、環状に形成した板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの多数を交互に積層した積層体６３により全体的に筒状に構成したもので、該積層体６３を構成する各濾過板６３Ｂは、図１１及び図１２に示すように、その表裏両面に放射方向に多数の濾過溝６３ｂを設けることにより構成し、一方、上記積層体６３を構成する各板状ばね部材６３Ａは、図１０及び図１３からわかるように、圧縮時に板状に扁平化され、非圧縮時に隣接濾過板６３Ｂとの間に間隙を形成する方向に付勢するべくその厚さ方向に波形に彎曲させている。図１３において、部分６３ｃは上に凸に彎曲し、部分６３ｄは下に凸に彎曲した部分を示している。
【００１９】
上記固定部材６５は、図８及び図９に示すように、両端のエンドプレート７１，７３と、それらのエンドプレート７１，７３の間隔を調整するテンションボルト７５とを有し、上記エンドプレート７１，７３の内側面にはそれぞれ支持部材７１Ａ，７３Ａを設け、一方のエンドプレート７１の支持部材７１Ａにおいてはテンションボルト７５の一端をナット７４ａ，７４ｂで固定し、他方のエンドプレート７３の支持部材７３Ａにおいて、蝶ナット７４ｃの締め付けにより上記エンドプレート７１，７３間の間隔を調節できるようにしている。また、上記エンドプレート７１，７３の内側面の周囲には、それぞれ複数のガイドバー７７，７８が、上記テンションボルト７５の軸線方向に沿って、且つそれぞれのエンドプレート７１，７３におけるガイドバー７７，７８と干渉しないように略等間隔をおいて立設されている。これらのガイドバー７７，７８は、板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂに内接してそれらの積層状態を保持するものである。
そして、板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３を、上記エンドプレート７１，７３間において、上記ガイドバー７７，７８を筒状内部に挿入するように配設して、上記蝶ナット７４ｃの締め付けにより上記エンドプレート７１，７３間の間隔を収縮することにより、上記積層体６３をエンドプレート７１，７３間に挟持させている。
【００２０】
上記構成を有する第３実施例のフィルタエレメント６１は、環状に形成した板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの多数を交互に積層した積層体６３が、固定部材６５による板状ばね部材６３Ａの圧縮時には該ばね部材６３Ａが板状に扁平化されて、濾過板６３Ｂの表裏両面の濾過溝６３ｂとの間に一定の濾過間隙が設定され、一方、固定部材６５による押し付けを解除したときには、上記板状ばね部材６３Ａがその厚さ方向に波形に彎曲して、隣接する濾過板６３Ｂとの間の濾過間隙が拡開される。
【００２１】
ここで、上述した第１及び第２実施例における固定部材５と、第３実施例における固定部材６５は、それぞれ相互に他の実施例における濾材としてのばね部材３、板ばね部材３３Ａの積層体３３、または板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３の圧縮固定に適用することができるものである。
特に、第３実施例の固定部材６５を第２実施例における板ばね部材３３Ａの積層体３３の固定に用いる場合には、図６に示すように、板ばね部材３３Ａの内側に設けた凹部３３ｃに、該凹部３３ｃの数に応じて設けた固定部材６５のガイドバー７７，７８を挿通することができる。
また、上記固定部材の構成は、各実施例に記載した構成のものに限定されず、濾材としてのばね部材３、板ばね部材３３Ａの積層体３３、及び板状ばね部材６３Ａと濾過板６３Ｂとの積層体６３を圧縮固定することができる適宜構成のものを使用することができるものである。
【００２２】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、濾過すべき流体中の異物を良好に除去することができ、しかもそれ自体を容易にかつ短時間に洗浄して再利用することができるフィルタエレメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例のフィルタエレメントの側断面図である。
【図２】同平断面図である。
【図３】ばね部材の圧縮時の状態を示す側面図である。
【図４】同圧縮を解除した状態を示す側面図である。
【図５】第２実施例における板ばね部材の積層体の圧縮時の状態を示す側断面図である。
【図６】同板ばね部材の積層体の平面図である。
【図７】同板ばね部材の積層体の圧縮を解除した状態を示す側断面図である。
【図８】第３実施例のフィルタエレメントの側断面図である。
【図９】同平断面図である。
【図１０】第３実施例における板状ばね部材と濾過板との積層体の圧縮を解除した状態を示す側面図である。
【図１１】同濾過板の平面図である。
【図１２】図１1のＡ−Ａ線における拡大端面図である。
【図１３】第３実施例における板状ばね部材の平面図である。
【符号の説明】
１，６１ フィルタエレメント
３ ばね部材
５，６５ 固定部材
７ ノッチ
３３，６３ 積層体
３３Ａ 板ばね部材
３３ａ ばね部
３３ｂ 突出部
６３Ａ 板状ばね部材
６３Ｂ 濾過板
６３ｂ 濾過溝
Claims (3)
- フィルタ装置に内装されて濾材で流体を濾過するフィルタエレメントであって、
上記濾材が、環状に形成した板状ばね部材と環状に形成した濾過板との多数を交互に積層してなり、各板状ばね部材は、圧縮時に板状に扁平化され、非圧縮時に隣接濾過板との間に間隙を形成する方向に付勢するべくその厚さ方向に波形に彎曲させた状態に形成し、各濾過板には、その表裏両面に放射方向の多数の濾過溝を設け、
上記板状ばね部材と濾過板とをそれらの多数の積層により全体的に筒状に形成した状態で圧縮固定した、
ことを特徴とするフィルタエレメント。 - 上記濾材が固定部材により圧縮固定されていて、該固定部材が、上記濾材を挟持する両端のエンドプレートと、これらのエンドプレートの間隔を調整するテンションボルトと、上記濾材を内側から支持する複数のガイドバーとを有する、
ことを特徴とする請求項１に記載のフィルタエレメント。 - 上記エンドプレートの内側面にそれぞれ支持部材が設けられ、一方の支持部材には上記テンションボルトの一端がナットで固定され、他方の支持部材においては上記テンションボルトの他端に蝶ナットが取り付けられ、この蝶ナットの締め付けによって上記エンドプレートの間隔が調整可能である、
ことを特徴とする請求項２に記載のフィルタエレメント。
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