JP4007072B2 - 薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電車やバス等の中吊りや壁面、あるいは店舗、駅等掲示板に情報を表示せしめるための薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法に関するものであり、特に連続するウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体に多面付けし個別の製品とする薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電車やバス等の中吊りや駅構内の壁面に広告や展示会の催し等の各種の情報を印刷した紙媒体を吊り下げたり貼り付けたり、或いは液晶ディスプレイを用いて電子的に表示させたりしている。
【0003】
しかしながら、上記の情報を印刷した紙媒体を用いた場合、この情報の切り換えには、これらを吊り下げたり剥がして新しい紙媒体に取り替える作業が人的に行われていて、人的な作業のため時間や労力が必要であり、これに要する費用とともに、更には、移動車両の場合、乗客がいない深夜や早朝の時間帯に作業をしなければならなかったり、また、期限が切れていてもそのまま放置されていたりするという問題がある。
【0004】
また、上記液晶ディスプレイを用いて表示内容を電子的に行う方法では、例えばこれを設置するには、曲面の場所や吊り下げて設置することは出来なく、設置場所が限定されてしまったり、あるいは設置のための持ち運びに嵩張って困難という問題がある。
【0005】
近年上記問題点を解消するものとして、例えば、特表平11−502950号公報に提示されているように、基材フィルム上に、電極層と、色素材料と溶解物質が包含されているマイクロカプセルの画像表示層と、透明電極層が形成されている薄く可撓性を有する情報表示媒体を用いた複数のページディスプレイを有する電子ブックがある。
【0006】
上記薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造は、例えば図12(b)の側断面図に示すように、紙、プラスチックでなるウエブ状の基材(5)の上に、電極層(11a)が形成され、その上にマイクロカプセルでなる画像表示層(14)、透明電極層(12a)、最表面に保護層(17)が順に形成されているウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)とする。
【0007】
上記の様にして作製されたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)を用い、例えば上記と別ラインで図12(a)の正面図に示すような電極部(7)を含めた形状に、全周にわたって図12(b)に示す保護層(17)側からレーザーで連続して切断し、続いて別工程で電極部(7)の上にある不要部(保護層、透明電極層、画像表示層)をレーザーで除去し、露出された電極部(7)を連続的に形成して、個別の製品としていた。
【0008】
しかしながら、上記レーザーによる全周にわたる切断と電極部(7)の露出方法では、この全周にわたる切断と不要部を除去して電極部(7)の露出させるための加工に要する時間が多くなり、よって生産性が劣り、かつこの前工程である各層(電極層、画像表示層、透明電極層等)の形成との加工時間差が大きいので、別ラインで切断加工等を行なわざるを得なかった。さらにまた、上記不要部の除去に際し、エネルギー(レーザー)の制御、及び前工程である各層の形成での各層のバラツキの管理が困難で、電極層(11a)を破損したりして不良品となるという問題があった。
【0009】
また、全周の切断と電極部(7)を露出させる方法として、上記の様にして作製されたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)を用い、例えば上記と別ラインで図12(a)の平面図に示すような電極部(7)を含めた形状に、全周にわたって保護層(17)側からバイブレーションカット刃で連続して切断し、続いて別工程で電極部(7)の上にある不要部(保護層、透明電極層、画像表示層)をミーリングカット刃で除去し、露出された電極部(7)を連続的に形成して、個別の製品としていた。
【0010】
しかしながら、上記バイブレーションカット刃による全周の切断とミーリングカット刃による電極部(7)の露出方法では、全周の切断と不要部を除去して電極部(7)を露出させるための加工に要する時間は、上記レーザーによる方法に比べると若干減少させることができるが、生産性が劣ることには変わりがなく、かつこの前工程である各層(電極層、画像表示層、透明電極層等)の形成との加工時間差が大きいので、別ラインで切断加工等を行なわざるを得ず、よって生産性に劣るという問題がまだ残り、さらにまた、上記不要部の除去に際し、電極部(7)の検知あるいは表面からの厚さをコントロールして電極部(7)面を破損させずに不要部を除去したとしても、前工程である各層の形成での各層のバラツキの管理が困難で、より電極層(11a)を破損したりして不良品となるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、曲面の場所や吊り下げて設置することが可能で、かつ設置場所が限定されず、情報提供の切り換えに人的労力を要しない薄く可撓性を有する情報表示媒体で、ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体から多面付けで個別の製品とする製造に際し、全周の切断と周辺端部の電極部の露出のための不要部除去に長時間を要することがなく、前工程である基材フィルム上に電極層や画像表示層等の形成とインラインでこれら切断等加工が可能で、かつ不要部の除去に際し、電極部が破損したりして不良品とならない薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、請求項1の発明では、基材フィルム上に、少なくとも電極層と、画像表示層とを設け、周辺端部に電極部を付設してなる薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法であって、走行するウエブ状の基材フィルム上に、電極層を形成し、該電極層は、その周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部を、もしくは周辺端部の電極部および余白部を付設し、該電極層上全面に画像表示層を形成し、該画像表示層上に接着剤層を介してカバーフィルムを積層せしめ、前記カバーフィルム側から、電極部を含めた個別製品に分離すべき形状に全周にわたってハーフカットを画像表示層面まで刻設せしめ、前記電極層に付設する周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを接着剤層とともに剥離し、該剥離した部分の画像表示層を除去機能を有する手段で除去せしめ、前記電極層に付設する周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部を含め個別製品として分離すべき形状に切断してなることを特徴とする薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法としたものである。
【0019】
上記請求項1の発明によれば、カバーフィルム側から、電極部を含めた個別製品に分離すべき形状に全周にわたってハーフカットを画像表示層面まで刻設せしめることによって、カバーフィルムを引っ張り上げると、前記電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを接着剤層とともに剥離し、該剥離した部分の画像表示層(不要部分)を除去機能を有する手段で短時間で除去せしめて電極部を露出し、従来のようにレーザーやミーリングカット刃による不要部分の除去と異なり、画像表示層の厚さのバラツキに左右されないので、電極部の破損等による不良品がない薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。従って不要部分の除去即ち電極部の露出を、切断(分離)時に行う必要がないので、そのためのハーフカット加工を、前工程である電極層、画像表示層等の形成とインラインで行うことができ、生産性に優れた薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0020】
また、請求項2の発明では、前記電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムが少なくともウエブ状の長手方向で連結せしめていることを特徴とする請求項1記載の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法としたものである。
【0021】
上記請求項2の発明によれば、電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを少なくともウエブ状の長手方向に連結せしめているので、カバーフィルムの剥離(不要部分の除去のための)を長手方向に連続してできる作業効率のよい薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0022】
さらにまた、請求項3の発明では、前記個別の製品となる薄く可撓性を有する情報表示媒体は、ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体の走行方向に、単列もしくは複数列に多面付けで形成することを特徴とする請求項1または2記載の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法としたものである。
【0023】
上記請求項3の発明によれば、ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体の走行方向に、単列もしくは複数列に多面付けで形成するので、高効率に個別の製品を生産可能にする薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の個別製品の一事例を示す説明図であり、図2から図8までは、本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法に係る工程の一事例を示す説明図である。また図9〜図11までは、本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体を構成する画像表示層の表示形態の一事例の説明図である。
【0025】
本発明は、情報を表示せしめるための薄く可撓性を有する情報表示媒体およびその製造方法に関するものであり、例えば図1(a)の正面図およびそのB−B面を表す図1(b)の側断面図に示すように、基材フィルム(10)上に透明電極層(12a)が施され、この透明電極層(12a)上で周囲シール部(12b)と電極部(7)を除いた部分に画像表示層(14)が施され、この画像表示層(14)の上に電極層(11a)が施されている薄く可撓性を有する情報表示媒体(1)であり、さらに詳しくは連続するウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体に多面付けして個別の製品とするその製造方法に関するものである。
【0026】
上記本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造は、まず、図2(a)の平面図およびこのB−B面断面を表す図2(b)の側断面図に示すように、例えば走行する広幅でウエブ状の基材フィルム(10)の全面に透明電極層(12a)を形成し、この透明電極層(12a)には、その周辺シール部(12b)と周辺端部の電極部(7)および余白部(12c)を付設せしめ、この周辺シール部(12b)と周辺端部の電極部(7)および余白部(12c)を含めた透明電極層(12a)上全面に画像表示層(14)を形成し、さらに図3の側断面図に示すように、この画像表示層(14)上全面に電極層(11a)を形成し、さらにその上に接着剤層(15)を介してカバーフィルム(16)を積層して2列に多面付けされたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)とする。
【0027】
続いて上記で得られた多面付けされたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)を、図4(a)の平面図およびそのB−B面を表す図4(b)の側断面図に示すように、例えばカバーフィルム(16)側から、周辺端部の電極部(7)と周囲シール部(12b)および余白部(12c)に相当する部分を除いた部分を全周にわたってハーフカット(HC)を少なくとも画像表示層(14)面まで刻設せしめる。この刻設は画像表示層(14)内部に掛かってもよい。
【0028】
上記ハーフカット(HC)が施された多面付けウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)を、図5(a)の平面図およびそのB−B面を表す図5(b)に示すように、例えばカバーフィルム(16)を長手方向(P)に引っ張りあげて、全周にわたるハーフカット(HC)の内部を除いた部分で接着剤層(15)と電極層(11a)とともに画像表示層(14)面から連続して剥離する。あるいは画像表示層(14)の内部で連続的に層間剥離されることもある。
【0029】
このように、ハーフカット(HC)後のカバーフィルム(16)は、全周にわたるハーフカット(HC)の内部を除いた部分即ち透明電極層(12a)に付設されている周辺シール部(12b)と周辺端部の電極部(7)および余白部(12c)に相当する部分でウエブ状の長手方向(P)で連結しているので、連続して容易に剥離することができる。
【0030】
続いて例えば図6の側断面図に示すように、上記のようにカバーフィルム(16)の引っ張り上げで、露出した不要部分である画像表示層(14a)を、除去機能を有する手段としての回転する剥離用ブラシ(20)と高圧エアー(22)とで除去して、透明電極層(12a)に付設する周辺シール部(12b)と周辺端部の電極部(図示せず)および余白部(図示せず)を露出する。このように、露出した部分の画像表示層(14)(不要部分)を回転する剥離用ブラシ(20)と高圧ブラシ(22)でなる除去手段で除去せしめて電極部(図示せず)を露出せしめることによって、従来のようにレーザーやミーリングカット刃による不要部分の除去と異なり、画像表示層(14)の厚さのバラツキに左右されないので、電極部の破損等による不良品がない薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0031】
上記のように電極部等が露出され、多面付けされたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)から、個別製品とするには、図4(a)に示すように、例えばレーザーあるいはロータリーダイカッターで、周辺端部の電極部(7)と周囲シール部(12b)および余白部(12c)の周辺に沿って分割すべき形状に切断し、図1(a)および(b)に示すような薄く可撓性を有する情報表示媒体(1)とする。
【0032】
上記で得られた個別製品としての薄く可撓性を有する情報表示媒体(1)を壁や他の機器等に実装する時は、例えば図1(b)に示すカバーフィルム(16)を接着剤層(15)面から剥離して、この接着剤層(15)を壁や他の機器等に貼りつける等で成すことができる。
【0033】
このように、実装する場合、接着剤層(15)面からカバーフィルム(16)が剥離する必要があるので、上記カバーフィルム(16)の接着剤層(15)側は、シリコン処理等で接着(あるいは粘着)の強度をある程度小さく調整しておく必要がある。
【0034】
上記図2(a)に示すような多面付けの事例の他に、図7の平面図に示すように、例えば長手方向(P)の周辺端部に付設されている電極部(7)と周囲の余白部(12c)でカバーフィルム(16)が剥離されるように多面付けされたもの、あるいは図8の平面図に示すように、例えば長手方向(P)の周辺端部に付設されている電極部(7)とこの電極部(7)に近接し、長手方向に付設されている余白部(12c)でカバーフィルム(16)が剥離されるように多面付けされたものとすることもできる。即ち上記いずれの事例でも、電極層に付設されている周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムが少なくともウエブ状の長手方向で連結しているようになっているので、カバーフィルムの剥離(不要部分の除去のための)が長手方向に連続してできる作業効率のよい薄く可撓性を有する情報表示媒体とすることができる。
【0035】
以下に本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体に係る材料等について説明する。
本発明に係る上記カバーフィルム(16)としては、例えば厚さ20μm程度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリエチレン(OPE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ナイロン(ONy)、アイオノマー(IO)等フィルムが挙げられるが、各種強度や扱い易さなどから二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられる。
【0036】
また、上記接着剤層(15)としては、実装時等を考慮して、例えば感圧接着剤(粘着剤)や感熱接着剤が挙げられ、前者の感圧接着剤としては、例えばウレタン樹脂粘着剤が挙げられ、ポリオールとポリイソシアネートとをヘキサヒドロジメチルアニリン等の触媒の存在下に反応させてなるウレタンプレポリマーと、劣化防止剤とで構成されていて、このポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられ、また、上記ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、その芳香族ポリポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が用いられる。さらにまた、上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が用いられる。
【0037】
また、上記接着剤層(15)とする後者の感熱接着剤としては、例えばヒートシール性に優れる樹脂としての直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等でなる厚さ50μm程度のポリオレフィン系のフィルムが好適に用いられるが、これらポリオレフィン系の樹脂のみでは接着強度と剥離強度のバランスがとれないことがあるので、例えばこれらポリオレフィン系樹脂にさらにポリスチレンやポリブデン等からなるもので、このポリオレフィン系樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとすることもでき、これら樹脂を溶融樹脂を押出して易剥離性の接着剤層(15)とすることもできる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布してもよい。
【0038】
また、本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体(1)を構成する基材フィルム(10)としては、上記カバーフィルム(16)と略同様の材料で透明なフィルムが用いられ、各種強度や扱い易さなどから二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられる。但し図1(b)に示すような基材フィルム(10)側から観察する薄く可撓性を有する情報表示媒体(1)の場合であって、例えば図示しないが透明電極がカバーフィルム側にあり、接着剤層を透明ガラス等に貼り合わせて使用する接着剤層側から観察する薄く可撓性を有する情報表示媒体の場合は、透明である必要がなく、逆に不透明で白色フィルムの方が好適で、あるいは白色の紙等であってもよい。
【0039】
さらにまた、上記透明電極層(12a)としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の寸法安定性の優れ透明なプラスチックフィルムにアクティブマトリックス電極、セグメント電極、単純マトリックス電極が形成されている透明電極フィルムが用いられ、また上記電極層(11a)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の寸法安定性の優れたプラスチックフィルムに導電性層が形成されている電極フィルムが用いられる。
【0040】
また、画像表示層(14)としては、例えばエレクトロルミネセンス材料、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、あるいはマイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示体等が挙げられ、これらを組み合わせて実現することができる。
【0041】
上記マイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示体として図9の模式図に示すように、このマイクロカプセル(110)の一例として、例えばメタクリル酸樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴム等をカプセル殻(111)とし、内部には酸化チタンからなる白の粒子(113)とカーボンブラックからなる黒の粒子(114)が、シリコーンオイル等の粘性の高い分散媒(112)に分散され封入されている。この白の粒子である酸化チタンは正電荷を帯びており、一方黒の粒子であるカーボンブラックは負電荷を帯びている。
【0042】
このため、図10の模式図に示すように、透明電極層(12a)と電極層(11a)に電界を印加し、透明電極層(12a)が負極、電極層(11a)が正極になった場合、正に帯電した白の粒子(113)が透明電極層(12a)側に引かれ、黒の粒子(114)は電極層(11a)側に引かれるので、透明電極層(12a)側の上方から観察するとその部分が白く見える。
【0043】
逆に透明電極層(12a)が正極で、電極層(11a)が負極になった場合、正に帯電した白の粒子(113)が電極層(11a)側に引かれ、黒の粒子(114)は透明電極層(12a)側に引かれるので、透明電極層(12a)側の上方から観察するとその部分が黒く見えることになる。
【0044】
上記画像表示層(14)は、図11の側断面模式図に示すように、このようなマイクロカプセル(110)を多数有しており、透明電極層(12a)の各アドレス電極の電界を制御することで、所望の文字や図形を白と黒の画素として表示させることができる。
【0045】
また、上記ハーフカット(HC)の連続的刻設は、レーザー光照射あるいはロータリーダイカッターが好適で、例えばレーザー光照射手段としては、図4(b)に示すように、カバーフィルム(16)にレーザー光照射によってハーフカット(HC)が刻設されるものであれば、いずれのレーザー光でも使用可能であり、上記カバーフィルム(16)としての樹脂フィルムに対しては、炭酸ガスレーザーが通常使用される。またフィルムの材質によっては、YAGレーザー、エキシマレーザー、波長可変のダイレーザー等を用いることもできる。
【0046】
また、ロータリーダイカッター手段としては、図4(b)に示すカバーフィルム(16)側に、所定の形状にハーフカット(HC)を刻設するための刃を備えた雄胴と、その雄胴に対峙して動く雌胴を基材フィルム(10)側に備えているロータリーダイカッターを用いて、ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体(2)に連続的にハーフカット(HC)を施すことができる。
【0047】
また、図6に示す不要部分となる画像表示部(14a)の除去手段として、例えば回転する剥離用ブラシ(20)があり、ポリプロピレン製ダブルヘリカル巻き形状のものが用いられ、この2基の剥離用ブラシ(20)の中央より高圧エアー(22)を吹き出し、これら剥離用ブラシ(20)の前後で吸引して、不要部分である画像表示層(14a)を除去することができる。また、画像表示層(14)の物性によっては剥離用ブラシのみでも高圧エアーのみでもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明において、上記カバーフィルム側から、電極部を含めた個別製品に分離すべき形状に全周にわたってハーフカットを画像表示層面まで刻設せしめることによって、カバーフィルムを引っ張り上げると、前記電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを接着剤層とともに剥離し、該剥離した部分の画像表示層(不要部分)を除去機能を有する手段で短時間で除去せしめて電極部を露出し、従来のようにレーザーやミーリングカット刃による不要部分の除去と異なり、画像表示層の厚さのバラツキに左右されないので、電極部の破損等による不良品がない薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。従って不要部分の除去即ち電極部の露出を、切断(分離)時に行う必要がないので、そのためのハーフカット加工を、前工程である電極層、画像表示層等の形成とインラインで行うことができ、生産性に優れた薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0052】
また、上記請求項2に係る発明において、上記電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを少なくともウエブ状の長手方向に連結せしめているので、カバーフィルムの剥離(不要部分の除去のための)を長手方向に連続してできる作業効率のよい薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法を提供できる。
【0053】
さらにまた、上記請求項3に係る発明において、上記ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体の走行方向に、単列もしくは複数列に多面付けで形成するので、高効率に個別の製品を生産可能にする薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法とすることができる。
【0054】
従って本発明は、電車やバス等の中吊りや壁面、あるいは店舗、駅等掲示板に情報を表示せしめるための薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一実施の形態を示すもので、
(a)は、その平面図であり、
(b)は、(a)のB−B面側断面図である。
【図2】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一事例の製造工程の中の電極層の形成を説明するもので、
(a)は、その平面図であり、
(b)は、(a)のB−B面側断面図である。
【図3】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一事例の製造工程の中の電極層、接着剤層、カバーフィルムの形成を側断面で表した説明図である。
【図4】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一事例の製造工程の中のハーフカットの刻設を説明するもので、
(a)は、その平面図であり、
(b)は、(a)のB−B面側断面図である。
【図5】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一事例の製造工程の中のカバーフィルムの剥離の説明図であり、
(a)は、その平面図であり、
(b)は、(a)のB−B面側断面図である。
【図6】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の一事例の製造工程の中の不要部分の除去を説明する側断面図である。
【図7】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造工程中のウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体に個別の製品とする面付けの一事例を示す平面図である。
【図8】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造工程中のウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体に個別の製品とする面付けの他の一事例を示す平面図である。
【図9】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体を構成する画像表示層の一事例を模式的に表した説明図である。
【図10】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体を構成する画像表示層の表示形態の一事例を模式的に表した斜視図である。
【図11】本発明の薄く可撓性を有する情報表示媒体を構成する画像表示層の表示形態の一事例を模式的に表した側断面図である。
【図12】従来の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造の一事例を説明するもので、
(a)は、その平面図であり、
(b)は、側断面図である。
【符号の説明】
1‥‥薄く可撓性を有する情報表示媒体
2‥‥面付けされたウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体
5‥‥基材
7‥‥電極部
10‥‥基材フィルム
11a‥‥電極層
12a‥‥透明電極層
12b‥‥周囲シール部
12c‥‥余白部
14‥‥画像表示層
14a‥‥不要部分である画像表示層
15‥‥接着剤層
16‥‥カバーフィルム
17‥‥保護層
20‥‥剥離用ブラシ
22‥‥高圧エアー
110‥‥マイクロカプセル
111‥‥カプセル殻
112‥‥分散媒
113‥‥白の粒子
114‥‥黒の粒子
AL‥‥全周にわたる切断線
HC‥‥ハーフカット
P‥‥長手方向
Claims (3)
- 基材フィルム上に、少なくとも電極層と、画像表示層とを設け、周辺端部に電極部を付設してなる薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法であって、走行するウエブ状の基材フィルム上に、電極層を形成し、該電極層は、その周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部を、もしくは周辺端部の電極部および余白部を付設し、該電極層上全面に画像表示層を形成し、該画像表示層上に接着剤層を介してカバーフィルムを積層せしめ、前記カバーフィルム側から、電極部を含めた個別製品に分離すべき形状に全周にわたってハーフカットを画像表示層面まで刻設せしめ、前記電極層に付設する周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムを接着剤層とともに剥離し、該剥離した部分の画像表示層を除去機能を有する手段で除去せしめ、前記電極層に付設する周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部を含め個別製品として分離すべき形状に切断してなることを特徴とする薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法。
- 前記電極層に付設せしめる周辺シール部と周辺端部の電極部および余白部もしくは周辺端部の電極部および余白部上のカバーフィルムが少なくともウエブ状の長手方向で連結せしめていることを特徴とする請求項1記載の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法。
- 前記個別の製品となる薄く可撓性を有する情報表示媒体は、ウエブ状の薄く可撓性を有する情報表示媒体の走行方向に、単列もしくは複数列に多面付けで形成することを特徴とする請求項1または2記載の薄く可撓性を有する情報表示媒体の製造方法。
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