JP4005049B2 - マイクロ波焼成炉 - Google Patents

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Description

本発明は、陶磁器材料やファインセラミックス材料などで形成された被焼成体を焼成して焼成体を製造するためのマイクロ波焼成炉に関するものである。
近年、マイクロ波加熱によって陶磁器材料やファインセラミックスを焼成することが提案され、既に実用化が始まっている。
セラミックなどのマイクロ波焼成においては、種々の形式が考えられ、セラミックなどの被焼成体がマイクロ波によって自己発熱して焼成する形式と、マイクロ波によって発熱する発熱体を被焼成体の近くに配置し、発熱体の熱によって被焼成体を焼成する形式があるが、前者の形式のものとしては特許文献1の焼成炉がある。
また、後者の形式のマイクロ波焼成炉として、炉の内部にマイクロ波により自己発熱する発熱体で周壁を形成する構造のものも提案されている(特許文献2参照)。この焼成炉は、電子レンジ内にマイクロ波透過性の断熱材から形成された円筒状の容器を収容し、容器内部に炭化ケイ素燒結体からなる円筒状体を配置し、その円筒状体の内部を焼結部とし、そこに被焼成体を入れ、マイクロ波を照射して炭化ケイ素燒結体を発熱させることにより、被焼成体を焼成するものである。
前記の両方の形式を併用する形式として、マイクロ波損失の大きい物質を主成分とする発熱容器と、該発熱容器の外側を覆う、マイクロ波損失の小さい物質を主成分とする断熱体とを有し、前記発熱容器には、開口が形成されており、さらに前記断熱体をとおして前記発熱容器に向かってマイクロ波を照射させるための、且つ前記発熱容器の前記開口をとおして前記発熱容器内の被焼成物に向かってマイクロ波を照射させるためのマイクロ波照射装置を有することを特徴とする焼成炉(特許文献3参照)が提案されており、これは肉厚方向の温度分布を緩和することができるものである。
マイクロ波加熱によりそれらを焼成する場合、被焼成体が均質なものであれば原理的にはマイクロ波が被焼成体の各部分を均一に加熱することになる。しかし、焼成処理時、マイクロ波焼成炉内の雰囲気温度は被焼成体の表面温度よりもかなり低温であるため、被焼成体の表面から熱が放射され、結果的に被焼成体の中心部と表面の間に温度勾配を生じ、クラックが発生し易い。
更に、マイクロ波加熱の特性として、同一物質であれば、温度が高いほど誘電損が大きい。従って、一旦温度勾配が生じれば、温度の高い部分のマイクロ波吸収効率が高くなり、マイクロ波吸収効率の差が更に進み、部分的な局所加熱が起こる。このようにして、一旦温度勾配が生じれば、マイクロ波加熱により温度差がより拡大されて、これにより、クラックの発生が助長される。
また、マイクロ波加熱による焼成では、被焼成体の材質が、常温での誘電損が小さいセラミックスの主材料であるアルミナやシリカ等を原料としている場合、低温域昇温でのマイクロ波加熱によるエネルギー効果が悪いという問題も有していた。
そこで、このような温度勾配の発生を抑止して、クラックの発生を低減させることのできるマイクロ波焼成炉として、図7に示すように、マイクロ波焼成炉の内部にヒーター18を配設し、該ヒーター18によってマイクロ波焼成炉内の温度を制御してなるマイクロ波焼成炉(特許文献1参照)がある。
さらに、図8に示すように、マイクロ波によって自己発熱しうるブランケット19により被焼成体20の周囲を全部囲むように区画された焼成室26と、その焼成室26内に配置される被焼成体に対してマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段22とを備え、マイクロ波による前記ブランケットの単位体積当たりの発熱量が、前記被焼成体の単位体積当たりの発熱量よりも大きく、かつ、ブランケットの内側表面温度と被焼成体の表面温度とが実質的に同一であることを特徴とする焼成炉(特許文献4参照)が提案されている。
これは、マイクロ波による焼成の際、被焼成体と等価なマイクロ波吸収特性を有するブランケットで被焼成体の周囲を完全に囲むことによって被焼成体を擬似的に完全に断熱できることを見出し、この場合、放射冷却により被焼成体に熱勾配が生じるのを抑制することができ、より一層の均一な焼成が可能である、と考えられたのであるが、上記ブランケットで被焼成体を囲んで焼成した場合には、マイクロ波のエネルギーが被焼成体だけでなくブランケットにも吸収されて消費されるため、焼成に要するエネルギー量が著しく増大するという問題があった。
ブランケットで消費されるエネルギー量を抑えるためには、ブランケットの厚みを薄くすると、ブランケットがマイクロ波によって得る熱エネルギーの量よりもブランケットから外部へと失われる熱エネルギーの量の方が大きくなり、そのためにブランケットの内側表面と被焼成体との間に大きな温度差が生じてしまうので、その問題を解決するため、被焼成体の焼成に要するエネルギー量の低減を図りながらも、放射冷却により熱勾配が被焼成体において発生するのを抑制することができる焼成炉を提供しようとしたものである。
その問題を、マイクロ波による前記ブランケットの単位体積当たりの発熱量が、前記被焼成体の単位体積当たりの発熱量よりも大きく、かつ、ブランケットの内側表面温度と被焼成体の表面温度とが実質的に同一である手段によって、解決したものである。
特開平6−345541号公報(第2〜3頁、図1) 特開平2−275777号公報(第3頁、図1) 特開平7−318262号公報(第3頁、図1) 特開2002−130960号公報(第3頁、図1)
前記した特許文献1のマイクロ波焼成炉のように、独立して加熱処理を実施できるヒーター18を追加装備した構成では、マイクロ波加熱で苦手な低温域昇温はヒーター18による加熱で補うことで、常温での誘電損が小さい被焼成体に対する焼成も可能になり、焼成に要するエネルギー効率の改善を図ることができる。
また、特許文献4に記載のように、焼成室を画成するブランケットを、更に別の断熱性に優れたブランケットで覆うことで、焼成室周囲の断熱性を向上させることができ、放熱による温度勾配の発生を抑止することができる。
ところが、上記の各文献の技術では、マイクロ波焼成炉の構造が繁雑化し、コストアップを招くという問題があった。また、特許文献4の技術の場合は、温度勾配の発生の抑止についてはある程度の効果は得られるものの、低温域昇温におけるエネルギー効率の改善に対する効力が乏しいという問題もあった。
マイクロ波を照射される金属製キャビティと、マイクロ波発生手段とを備えたマイクロ波焼成炉においては、該キャビティ内に設ける被焼成物を収容する焼成室としてマイクロ波の吸収特性の低く断熱性の高い断熱材で囲まれた焼成室を設けるようにしており、このような構造を有するマイクロ波焼成炉として、効率の良いものとして図6に示す形態のマイクロ波焼成炉が考えられる。
この形態のマイクロ波焼成炉1は、マイクロ波加熱によって陶磁器材料やファインセラミックスを焼成するもので、マイクロ波空間2を画成するキャビティ3と、このキャビティ3に導波管4を介して接続されてキャビティ3内にマイクロ波を放射するマイクロ波発生手段としてのマグネトロン6と、キャビティ3内に放射されたマイクロ波を攪拌するマイクロ波攪拌手段7と、キャビティ3内に設置された、被焼成体11を囲むブランケット19とを備えた構成からなる。
キャビティ3は、少なくとも内面が、マイクロ波をマイクロ波空間2に反射し、マイクロ波の漏洩を防止する構成となっている。
マイクロ波攪拌手段7は、キャビティ3内に配置された攪拌羽根8と、キャビティ3の外部に配置された駆動モータ9と、駆動モータ9の回転を攪拌羽根8に伝達する回転伝達軸10とを備えた構成で、攪拌羽根8の回転によって、キャビティ3内の雰囲気を攪拌する。
ブランケット19は、被焼成体11を設置する焼成室12を区画形成したもので、焼成室12を区画形成しているブランケット19が、断熱材15aと、マイクロ波損失の大きい物質15bとの二層構造になっている。
断熱材15aは、断熱性を有すると共に、マイクロ波の透過を許容する材料で形成したもので、具体的には、アルミナファイバーや、発泡アルミナ等で形成されている。
この断熱材15aは、図9に示すように、厚みを大きくするほど、焼成室12やブランケット19からの外部への放熱を押さえることができる。
図9において、曲線F1は断熱材15aの厚さ寸法が小さい場合、曲線F2は、曲線F1の場合よりも断熱材15aの厚さ寸法を大きくした場合の放熱特性で、断熱材15aの厚みを増大させた方が断熱性を向上させることができる。なお、図9において、横軸は焼成室12の温度、縦軸はブランケット19から外部へ放出される放熱量を示す。
マイクロ波損失の大きい物質15bは、外部から照射されたマイクロ波によって自己発熱し、照射されたマイクロ波の一部は焼成室12内の被焼成体11まで透過可能な誘電材料によって形成されている。
ここで、前記マイクロ波損失の大きい物質は、炭化珪素、窒化珪素、黒鉛及びそれらを主成分とする複合材のいずれかからなるものが好ましい。
ところで、図6に示す形態のマイクロ波焼成炉1においては、マイクロ波を用いて被焼成体11であるセラミックを焼成する際、マイクロ波損失の大きい物質(炭化珪素等)15bで焼成室12を6面もしくは全方向一様に覆っていた。
そして、マイクロ波損失の大きい物質15bで焼成室12を6面もしくは全方向一様に覆った場合、マイクロ波撹拌機能7の有無にかかわらず、マイクロ波損失の大きい物質15bにマイクロ波での局部加熱が発生し被焼成体11や断熱材15aが破損するという問題点があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温から高温に至る全温域をマイクロ波加熱のみで効率良く実現することができ、且つ、焼成処理時の被焼成体における温度勾配の発生を効果的に防止することができ、しかも、マイクロ波的に安定し、構造の単純化によって、製造コストの低減を図ることのできるマイクロ波焼成炉を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を続け、焼成室を低温域で高い発熱量を生じる炭化珪素等のマイクロ波損失の大きい物質で全方向一様に覆うのでなく、マイクロ波電界の弱い場所に適宜間隔をおいて配設することにより、焼成処理時の被焼成体における温度勾配の発生を防止することができることを知見し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するために、下記の構成からなるものである。
(1)マイクロ波を照射される金属製キャビティと、該キャビティ内に設けられたマイクロ波の吸収特性の低く断熱性の高い断熱材で囲まれた焼成室、及びマイクロ波発生手段とを備えたマイクロ波焼成炉において、前記断熱材の内壁と焼成室壁との間には、マイクロ波損失の大きい物質が前記金属製キャビティから、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/4λを超える距離を置いてマイクロ波電界の弱い場所に配設されていることを特徴とするマイクロ波焼成炉。
(2)前記断熱材の内壁と焼成室壁との間には、前記マイクロ波損失の大きな物質が前記金属製キャビティから、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/2λ×n(nは自然数)の距離を置いて上下左右に配設されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波焼成炉。
(3)前記マイクロ波損失の大きい物質がマイクロ波を透過する断熱材の内部に配設され、該断熱材にはマイクロ波損失の大きい物質からの輻射熱を焼成室の外壁に導くための穴及び溝が形成されていることを特徴とする前記(1)記載のマイクロ波焼成炉。
(4)前記マイクロ波損失の大きい物質からの輻射熱を焼成室の内部に導くための穴及び溝が、焼成室の外壁に形成、配設されていることを特徴とする前記(1)記載のマイクロ波焼成炉。
本発明においては、焼成室は、マイクロ波の照射によって常温を含む低温域から焼成温度となる高温域までを、マイクロ波損失の大きい物質を発熱材とする発熱体エレメントを、マイクロ波電界の弱い場所に配設していることを特徴とするものである。
本発明の焼成炉において、マイクロ波発生手段からマイクロ波が照射されると、隔壁を透過したマイクロ波により発熱体エレメントと焼成室内の被焼成体がマイクロ波加熱によって同時に昇温する。
このような焼成処理時、マイクロ波加熱による加熱初期から、マイクロ波加熱が進んで、隔壁が所定の高温域に昇温するまで、発熱体エレメントを構成するマイクロ波損失の大きい物質が、本来の高いエネルギー効率で発熱して、周囲の温度上昇を行う。
この加熱の際、金属製キャビティから反射されるマイクロ波がマイクロ波損失の大きい物質に照射されて発熱する部分があり、マイクロ波損失の大きい物質が金属製キャビティに近い位置にあるときには、金属製キャビティから反射されるマイクロ波の量が焼成室の箇所によって大きく異なる関係で、その発熱量が異なってきて、焼成室内の温度を不均一とする原因を作っている。この点により、本発明では、前記焼成室には、マイクロ波損失の大きい物質を前記金属製キャビティから、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/4λを超える距離を置くようにすることにより、マイクロ波損失の大きい物質をマイクロ波電界の弱い場所に配設するようにして、焼成室内における発熱量が箇所により大きく異なる要因を減らすことにより、焼成室内の温度を均一にするようにしている。
これにより、本発明では、発熱体エレメントがマイクロ波電界の弱い場所にだけ配設されているので、発熱体エレメントからの輻射熱が被焼成体の表面にのみ集中して被焼成体表面が過度に昇温することを防止できると同時に、発熱体エレメントの存在しない断熱材部分を透過したマイクロ波により焼成室内の被焼成体もマイクロ波加熱によって昇温するので、被焼成体の表面と内部で温度差が生じることがなくなり、均一に加熱されるので、内外の温度差による被焼成体のひび割れや破損の発生が生じなくなる。
さらに、本発明では、その実施においては、焼成室には、前記マイクロ波損失の大きな物質の相互の間隔が、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/2λ×n(nは自然数)の距離を置いて上下左右に配設されていることが好ましく、これによって焼成室における温度の均一化を一層良く果たすことができる。
本発明のマイクロ波焼成炉によれば、焼成室を覆っているマイクロ波損失の大きい物質を、前記金属製キャビティから使用されるマイクロ波波長λに対して1/4λを超える距離を置いて、マイクロ波電界の弱い場所に配設すれば良いので、炭化珪素などの高価なマイクロ波損失の大きい物質の使用量を低減でき、製造コストの低減を図ることができるとともに、マイクロ波の電界集中によるホットスポット、スパーク等の問題を解決することができる。
また、焼成室において、前記マイクロ波損失の大きな物質(発熱体エレメント)が、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/2λ×n(nは自然数)の距離を置いて相互に上下左右に配設するようにすると、これによって焼成室における温度の均一化を一層良く果たすことができる。発熱体エレメント間の隙間から直接焼成室内の被焼成体もマイクロ波加熱によって昇温するので、被焼成体の表面と内部の温度差がなくなり、ひび割れの発生を効率的に防止することができる。
さらに、発熱体エレメントを断熱材内部に配設し、発熱体エレメントからの輻射熱を焼成壁に導くための穴や溝を断熱材中に形成した場合には、マイクロ波で加熱された発熱体エレメントからの輻射熱を前記の穴や溝を通って焼成室内へ効率良く導くことができるので、室内の温度を均一に、かつ迅速に上昇させることができる。
上記のように、本発明によれば、被加熱体を加熱する場合、マイクロ波による加熱によってマイクロ波焼成室内の温度を制御して、マイクロ波焼成室内の温度と被焼結体の表面温度との差を小さくすることができ、被焼結体表面からの熱の放射を低滅し、温度の分布を均一にして、被焼成体の各部分の温度差を小さくすることによって、被焼成体にクラックが発生することを防止し、高品質の被焼成体を得ることができる。
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施の形態に係るマイクロ波焼成炉を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るマイクロ波焼成炉の第1の実施の形態を示したものである。
この実施形態のマイクロ波焼成炉1は、マイクロ波加熱によって陶磁器材料やファインセラミックスを焼成するもので、マイクロ波空間2を画成するキャビティ3と、このキャビティ3に導波管4を介して接続されてキャビティ3内にマイクロ波を放射するマイクロ波発生手段としてのマイクロ波発振器(マグネトロン)6と、キャビティ3内に放射されたマイクロ波を攪拌するマイクロ波攪拌手段7と、キャビティ3内に設置されたマイクロ波を透過する断熱材15aからなる隔壁14と、断熱材15aの内壁と焼成室壁13の間に配置した、マイクロ波で発熱するマイクロ波損失の大きい物質15b(発熱体エレメント)を備えた構成である。
キャビティ3は、少なくとも内面が、マイクロ波をマイクロ波空間2に反射し、マイクロ波の漏洩を防止する構成となっている。
マイクロ波攪拌手段7は、キャビティ3内に配置された攪拌羽根8と、キャビティ3の外部に配置された駆動モータ9と、駆動モータ9の回転を攪拌羽根8に伝達する回転伝達軸10とを備えた構成で、攪拌羽根8の回転によって、キャビティ3内の雰囲気を攪拌する。
断熱材15aからなる隔壁14は、被焼成体11を設置する焼成室12を区画形成している。発熱体エレメント15bは焼成室12の左右両面に設けられている。隔壁14を構成する断熱材15aは、断熱性を有すると共に、マイクロ波の透過を許容する材料で形成したもので、具体的には、アルミナファイバーや、発泡アルミナ等で形成されている。この隔壁14は、図9に示すように、厚みを大きくするほど、焼成室12や発熱体エレメント15bからの外部への放熱を押えることができる。
図9において、曲線F1は隔壁14の厚さ寸法が小さい場合、曲線F2は、曲線F1の場合よりも隔壁35の厚さ寸法を大きくした場合の放熱特性で、隔壁14の厚みを増大させた方が断熱性を向上させることができる。なお、図9において、横軸は焼成室12の温度、縦軸は焼成室12から外部へ放出される放熱量を示す。
被加熱体11に対する発熱体エレメント15bの配置形式については、発熱体エレメント15bから発生する熱を被加熱体11に与えるために、被加熱体11の周囲の被加熱体11に対する面に配置することになるが、その配置する面の数は1面でも2面でもよいが、被加熱体11を均一に加熱するためにはその面の数は多いほどよい。ただ、焼成室12内では熱の伝導は輻射のみではなく、空気の循環(自然対流に限らない)により行われる部分もあるので、全面の6面に配置することは必ずしも必要としない。最も実用的なのは、5面に配置し、残りの1面に配置しない形式のものであり、この残りの面を開けて空気の循環が起きるようにしてもよいし、必要によりマイクロ波を透過し、自己発熱しない素材の断熱材15aを配置するようにしてもよい。なお、図1では、発熱体エレメント15bは焼成室12の空中に配置されているかのように見えるが、そのように配置することはできないので、その周囲にマイクロ波の損失の少ない物質からなる耐火材料で保持させるようにする。
マイクロ波損失の大きい物質15b(発熱体エレメント)は、マイクロ波による単位体積当たりの発熱量が、常温時は被焼成体11を構成する材料の単位体積当たりの数倍から数十倍の発熱量を呈し、焼成温度になる高温域でもマイクロ波吸収に優れた材料が使用される。具体的には、例えば、炭化珪素、窒化珪素、黒鉛及びそれらを主成分とする複合材などである。
以上のマイクロ波焼成炉1によれば、マイクロ波発生手段であるマイクロ波発振器(マグネトロン)6から発熱体エレメント(マイクロ波損失の大きい物質)15bにマイクロ波が照射されると、発熱体エレメント15bがマイクロ波加熱によって昇温すると同時に、発熱体エレメント15bを透過したマイクロ波によって断熱材15aからなる隔壁14が画成した焼成室12内の被焼成体11がマイクロ波加熱によって昇温する。
このような焼成処理時、マイクロ波加熱による加熱初期の低温域昇温時は、発熱体エレメントのマイクロ波損失の大きい物質15bが、高いエネルギー効率で発熱して、周囲の温度上昇を早める。そして、マイクロ波加熱が進んで、所定の高温域まで昇温しても高いエネルギー効果で発熱して、周囲の温度上昇を担う。
また焼成室内12には発熱体エレメント15bに面しない面も存在するが、昇温中に発生する温度差による空気循環により焼成室12内部は均一に昇温される。また焼成の温度までにこの空気循環により発熱体エレメント15bを有しない面も均一な温度に上昇する。
従って、発熱体エレメント15bの昇温を、マイクロ波加熱のみで効率良く実現することができ、低温域から高温域に到達するまでの昇温時間の短縮が図れるだけでなく、例えば、被焼成体11の材質が、常温での誘電損が小さいセラミックスの主材料であるアルミナやシリカ等を原料としている場合でも、高いエネルギー効率で円滑に焼成を進めることができる。
次に、複数のマイクロ波損失の大きい物質15b(発熱体エレメント)の配設のそれぞれの位置関係について説明するが、その前に先ず本発明において使用するマイクロ波について説明する。
現在商用されているマイクロ波には、周波数2.45GHzと0.915GHzの2種があり、本発明に係る焼成炉1は、上述したように一般家庭用に利用されている2.45GHzの電子レンジへの使用に限定されることなく、周波数0.915GHzのものにも使用可能である。マイクロ波発振器6から出力されるマイクロ波を2.45GHzとした場合には、マイクロ波発振器6を比較的小型で低価格なもので済ますことができる。
そして、マイクロ波周波数が2.45GHzであると、マイクロ波の波長は約122mmとなり、マイクロ波電界の強−強間または弱−弱間の距離は、この1/2で61mmとなる。従って、マイクロ波損失の大きい物質15bで構成される発熱体エレメントは、相互に61mm×nの間隔を置いて配設される必要がある。このような配設によって上記したような被焼成体21の表面と内部の均一な加熱が可能となり、被焼成体11にひび割れが生じることを効率的に防止することが可能になる。
図2及び図3は、本発明に係るマイクロ波焼成炉1のマイクロ損失の大きい物質15b(発熱体エレメント)からの輻射熱を焼成室壁13へ導く穴16及び溝17を断熱材15a内部に形成した実施の形態を示す正面図及び側面図である。
この場合は、マイクロ波損失の大きい物質15b(発熱体エレメント)は、断熱材15aの中に埋め込むように配設されている。なお、前記物質15bは断熱材15aの中に埋め込むように配設される際には、穴16及び溝17は焼成室壁13の外側に向くように配設される。このように配設した方が焼成室内の温度を均一化するために有利である。
図4及び図5は、焼成室壁28に、マイクロ波損失の大きい物質15bからの輻射熱を焼成室12内に導くための穴16及び溝17を形成した実施の形態の正面図及び側面図である。
図2及び図3の場合と図4及び図5の場合の両方とも、断熱材15a中や断熱材15aと焼成室壁13の間にある炭化珪素などのマイクロ波損失の大きい物質15bが、マイクロ波照射により発生する輻射熱を穴16や溝17を通って、焼成室12内へ効率良く導くことができ、焼成室12内の温度を均一に迅速に上昇させることができる。
本発明は、被焼成体をマイクロ波により加熱する際に、被焼成体に温度勾配を生じさせることなく被焼成体の加熱を均一に行って焼成することができ、ひび、割れの発生を防ぐことができるので、陶磁器類やセラミックスの焼成に用いることができる。
本発明に係るマイクロ波焼成炉の一実施形態の概略構成図である。 マイクロ波損の大きい物質を埋め込み輻射熱を導く穴及び溝を形成した断熱材の構造を説明する正面図である。 マイクロ波損の大きい物質を埋め込み輻射熱を導く穴及び溝を形成した断熱材の構造を説明する側面図である。 輻射熱を導く穴及び溝を形成した焼成室壁の構造を説明する正面図である。 輻射熱を導く穴及び溝を形成した焼成室壁の構造を説明する側面図である。 マイクロ波損失の大きい物質が焼成室を包囲する従来のマイクロ波焼成炉の概略構成図である。 内部にヒータを設置した形式の従来のマイクロ波焼成炉の概略構成図である。 内部に被加熱物を囲むマイクロ波で自己発熱する発熱体のブランケットを設置した形式の従来のマイクロ波焼成炉の概略構成図である。 図1に示したマイクロ波焼成炉の焼成室の内殻を構成している断熱性の隔壁の厚さを変えた場合の、発熱体エレメントからの発熱量の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 マイクロ波焼成炉
2 マイクロ波空間
3 キャビティ
4 導波管
6 マイクロ波発振器
7 マイクロ波攪拌手段
8 攪拌羽根
9 駆動モータ
10 駆動軸
11 被焼成体
12 焼成室
13 焼成室壁
14 隔壁
15a 断熱材
15b マイクロ波損失の大きい物質
16 穴
17 溝
18 ヒーター
19 ブランケット
20 焼成体
21 チャンバ
22 マイクロ波発生手段
23 導波管
24 補助断熱壁
25a 外殻
25b 内殻
26 焼成室
27 回転軸
28 攪拌羽根
29 駆動モータ

Claims (4)

  1. マイクロ波を照射される金属製キャビティと、該キャビティ内に設けられたマイクロ波の吸収特性の低く断熱性の高い断熱材で囲まれた焼成室、及びマイクロ波発生手段とを備えたマイクロ波焼成炉において、前記断熱材の内壁と焼成室壁との間には、マイクロ波損失の大きい物質が前記金属製キャビティから、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/4λを超える距離を置いてマイクロ波電界の弱い場所に配設されていることを特徴とするマイクロ波焼成炉。
  2. 前記断熱材の内壁と焼成室壁との間には、前記マイクロ波損失の大きな物質が前記金属製キャビティから、使用されるマイクロ波の波長λに関して1/2λ×n(nは自然数)の距離を置いて上下左右に配設されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波焼成炉。
  3. 前記マイクロ波損失の大きい物質がマイクロ波を透過する断熱材の内部に配設され、該断熱材にはマイクロ波損失の大きい物質からの輻射熱を焼成室の外壁に導くための穴及び溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波焼成炉。
  4. 前記マイクロ波損失の大きい物質からの輻射熱を焼成室の内部に導くための穴及び溝が、焼成室の外壁に形成、配設されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波焼成炉。
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