JP4004605B2 - フォトレジストフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント配線板及びリードフレームの製造に用いられるフォトレジストフィルムに関し、更に詳しくは解像度、密着性、エッチングでの導体のかけや染み込みのない耐エッチング性に優れ、レジストパターンのギザツキのないレジストパターンの形成性に優れたフォトレジストフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント配線板等の製造には感光性樹脂を用いたフォトレジスト法が用いられる。このフォトレジスト法に用いられるフォトレジストフィルムはほとんどがアルカリ現像型であり、露光した後は未露光部分を炭酸ナトリウム等のアルカリ液で現像することで、感光性樹脂組成物中のカルボン酸基がカルボン酸塩となり水溶性になり、未露光部分が取り除かれ、レジスト画像を形成する。このように形成されたレジスト画像を保護マスクとし、公知のエッチング処理又はパターンめっき処理を行った後、レジスト剥離して印刷回路基板を製造することができる。
【0003】
このようなプリント配線板等の製造において、感度、解像度、密着性を改善する目的で、フォトレジストフィルムとしてヘイズ値が0.1〜1.5%の支持体フィルムを用いることが提案されている(特開平6−230579号公報、特開平8−123018号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、支持体フィルムであるポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)には通常、滑剤が含まれており、該滑剤がフィルム表面の凹凸を形成し、光の屈折を発生させ、該屈折光によりレジストパターンにギザツキを生じさせることになり、導体のかけや断線の原因となる。上記公報開示技術においても同様で、最近の技術の高度化に伴うファイン化、精細化を考慮するとまだまだ満足するものではなく、レジストパターンの形成性問題が残るものであり、更にエッチングでの導体のかけや染み込み等も生じ、いわゆる耐エッチング性に劣り、歩留まりが低下するという問題が残るものである。
そこで、本発明ではこのような背景下において、感度、解像度、密着性、耐エッチング性、レジストパターンの形成性に優れたフォトレジストフィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明等者はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、支持体フィルム(I)/感光性樹脂組成物層(II)/保護フィルム(III)からなるフォトレジストフィルムにおいて、支持体フィルム(I)の厚みが10〜30μmで、かつ、表面粗度(Ra)が0.001〜0.015μmであるフォトレジストフィルムが上記目的に合致することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明では、特に支持体フィルム(I)が易滑処理を施されてなり、かつ、該易滑面どうしの静摩擦係数(μs)が1.0以下、動摩擦係数(μd)が0.8以下である支持体フィルム(I)を用いることが好ましい。
更に、本発明では上記の如き支持体フィルム(I)を用いているため、巻き取り性にも優れたフォトレジストフィルムとなるものである。
【0006】
又、42アロイ(鉄−ニッケル合金)に代表されるような銅以外の金属基板に用いる場合は、感光性樹脂組成物層(II)が(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなり、(b)成分として下記▲1▼式で示される化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の総重量に対して(c)成分を0.5〜6.0重量%、(d)成分を0.1〜10重量%、(e)成分を0.1〜3.0重量%含有してなるとき、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0007】
【化3】
(ここで、R1、R2は炭素数1〜3のアルキル基又は水素で、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。nは4〜20の整数である。)
【0008】
更に本発明では、上記(c)ロフィン二量体としてトリフェニルビイミダゾール類を含むとき、更には(d)光重合開始剤として、下記▲2▼式で示される化合物やN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンを含むことが好ましい。
【0009】
【化4】
互いに異なっていてもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に用いる支持体フィルム(I)は、透明であることは勿論の他、支持体フィルム(I)の厚みが10〜30μm、好ましくは12〜25μmであり、表面粗度(Ra)が0.001〜0.015μm、好ましくは0.002〜0.01μmであることが必要である。かかる支持体フィルム(I)の厚みが10μm未満ではフィルムが柔軟過ぎて取り扱いに不便となり、30μmを越えると解像度が低下したり、コストアップとなる。
又、表面粗度(Ra)が0.001μm未満では製膜加工中においてフィルム表面に傷がつきやすくなり、0.015μmを越えるとレジストパターンにギザツキが生じ、導体のカケや断線の原因となる。
【0011】
ここで、表面粗度(Ra)とは、新JIS B 0601に基づき測定されるものであり、表面粗さ測定器サーフコーダ SE−30D((株)小坂研究所製)により求められる。
【0012】
本発明において、表面粗度(Ra)が0.001〜0.015μmの範囲の支持体フィルム(I)であれば特に限定されないが、例えば、東レ社製T60タイプや帝人社製Oタイプ、M62タイプ、X71タイプ等のフィルムに易滑処理を施してなるものが用いられる。
易滑処理については、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系等の樹脂をフィルム表面にコーティングすることにより行われる。
【0013】
更に、易滑処理されてなる支持体フィルム(I)の該易滑処理面どうしの静摩擦係数(μs)が1.0以下、動摩擦係数(μd)が0.8以下であることが特に好ましく、本発明の効果を顕著に発揮する。
かかる静摩擦係数(μs)が1.0及び動摩擦係数(μd)が0.8を越えると製膜加工中においてフィルム表面に傷がつきやすくなり好ましくない。
ここで、静摩擦係数(μs)、動摩擦係数(μd)は、JIS K 7125に基づき導かれる。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物層(II)は、特に制限されることなく、公知のものを用いることができ、通常、バインダーポリマー、光重合開始剤及び重合可能なビニルモノマーよりなる感光性樹脂組成物を用いることができ、アルカリ現像型とする場合は(メタ)アクリル酸を共重合させたバインダーポリマーを用いればよいが、本発明においては特に、(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなる感光性樹脂組成物からなるものが好ましい。
【0015】
以下、かかる感光性樹脂組成物について述べる。
本発明に用いる(a)カルボキシル基含有ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合したアクリル系共重合体が好適に用いられるが、更には必要に応じ他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体とすることも可能である。この場合の各成分の含有量は(メタ)アクリル酸エステル成分が70〜85重量%、好ましくは75〜82重量%、エチレン性不飽和カルボン酸成分が15〜30重量%、好ましくは18〜25重量%、他の共重合可能なモノマー成分が0〜15重量%とすることが多い。
【0016】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0017】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸が好適に用いられ、そのほか、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
【0018】
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリルジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0019】
かくして得られる(a)カルボキシル基含有ポリマーには、上記以外に、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を併用することもできる。
又、(a)カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量は10000〜300000、好ましくは10000〜150000、更に好ましくは30000〜100000の範囲のものが好ましく、該分子量が10000未満ではコールドフローを起こし易く、逆に300000を越えると現像されにくく、解像度の低下を招いたり、レジスト剥離時の剥離性に劣ることとなる。
【0020】
(b)エチレン性不飽和化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーが挙げられるが、本発明では上記▲1▼式で示される化合物を用いることが必要であり、(b)成分全体に対して50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%含有することが必要である。かかる含有量が50重量%未満では耐エッチング性が低下し、エッチング液の染み込みの原因となり好ましくない。
該▲1▼式で示される化合物としては、具体的にはポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、nが4〜20、好ましくは4〜17のものがよい。
【0021】
これらの多官能モノマーと共に単官能モノマーを適当量併用することもでき、そのような単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
上記(b)エチレン性不飽和化合物の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマー及び(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲から選ぶことが望ましい。(b)エチレン性不飽和化合物の過少は、硬化不良、可塑性の低下、現像速度の遅延を招き、(b)エチレン性不飽和化合物の過多は、粘着性の増大、コールドフロー、硬化レジストの剥離速度低下が招き好ましくない。
【0023】
(c)ロフィン二量体としては、例えばトリフェニルジイミダゾール類、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−4,5−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−エトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−エトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体等が挙げられ、中でも2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好適に用いられる。
【0024】
かかる(c)ロフィン二量体の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して0.5〜6.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%、更に好ましくは1.0〜3.0重量%配合することが必要である。該配合割合が0.5重量%未満ではレジストの硬化不足や感度の低下を招くことになり、6.0重量%を越えると現像スカムの析出や保存安定性の低下となり好ましくない。特に(c)ロフィン二量体の中でもトリフェニルジイミダゾール類を(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して0.5〜6.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%含有することが好ましい。
【0025】
(d)光重合開始剤としては、上記▲2▼で示される化合物、N,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロインエチルエーテル、1,1−ジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベゾスパロン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、N−フェニルグリシン等が例示され、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いられるが、本発明では少なくとも上記▲2▼式で示される化合物及び/又はN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンを含有させることが好ましい。
【0026】
かかる(d)光重合開始剤の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは1.0〜8.0重量%、より好ましくは2.0〜5.0重量%配合することが必要である。該配合割合が0.1重量%未満では感度が低く実用性に乏しく、10重量%を越えると密着性が低下し、現像時のレジスト剥がれの原因となり好ましくない。特に(d)光重合開始剤の中でも上記▲2▼式で示される化合物を(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して0.1〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%含有することが好ましく、又、N,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンを0.01〜0.5量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有することが好ましい。
【0027】
(e)ロイコ染料としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ロイコマラカイトグリーン、ロイコアニリン、ロイコメチルバイオレット等が挙げられる。かかる(e)ロイコ染料の配合割合は(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して0.1〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%配合することが必要である。該配合割合が0.1重量%未満では露光後のコントラストが低くなり、3.0重量%を越えると密着力の低下となり好ましくない。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物(II)は、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の他、必要に応じて熱重合禁止剤、可塑剤、ロイコ染料以外の染料(色素、変色剤)、密着付与剤、酸化防止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、等の添加剤を適宜添加することができる。
【0029】
例えば、熱重合禁止剤は感光性樹脂組成物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加するもので、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。
【0030】
可塑剤は膜物性をコントロールするために添加するもので、例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
【0031】
色素としては例えば、ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ローダミン6G、オイルブルー#603、ビクトリアピュアブルーBOH、スピロンブルーGN等である。中でもマラカイトグリーン、ブリリアントグリーンを0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有することが好ましい。
【0032】
変色剤は、露光により可視像を与えることができるように感光性樹脂組成物中に添加され、具体例として前記色素の他にジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、4、4′−ビフェニルジアミン、o−クロロアニリン、等が挙げられる。
【0033】
密着促進剤としては、例えばベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキソゾール、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0034】
本発明で用いられる保護フィルム(III)は、フォトレジストフィルムをロール状にして用いる場合に、粘着性を有する感光性樹脂組成物層が支持体フィルムに転着したり、感光性樹脂組成物層に壁などが付着するのを防止する目的で感光性樹脂組成物層に積層して用いられる。かかる保護フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、テフロンフィルムなどが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、該保護フィルムの厚さについては特に限定はなく、通常10〜50μm、なかんずく10〜30μmであればよい。
【0035】
かくして本発明では上記支持体フィルム(I)、感光性樹脂組成物層(II)、保護フィルム(III)を順次積層したフォトレジストフィルムとなる。
次に、本発明のフォトレジストフィルムの製造及びそれを用いる印刷配線基板の製法について説明する。
(成層方法)
上記の感光性樹脂組成物(II)をポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ビニロンフィルム等の支持フィルム(I)面に塗工した後、その塗工面の上からポリエチレンフィルム等の保護フィルム(III)を被覆してフォトレジストフィルムとする。
【0036】
(露光)
フォトレジストフィルムによって画像を形成させるには保護フィルム(III)を剥離してから感光性樹脂組成物層(II)の側を銅張基板の銅面などの金属面に貼り付けた後、他方の支持体フィルム(I)上にパターンマスクを密着させて露光する。
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0037】
(現像)
露光後は、レジスト上のフィルムを剥離除去してから現像を行う。本発明の感光性樹脂組成物は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウムなどのアルカリ0.3〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0038】
(エッチング、めっき)
エッチングは、通常塩化第二銅−塩酸水溶液や塩化第二鉄−塩酸水溶液などの酸性エッチング液を用いて常法に従ってエッチングを行う。希にアンモニア系のアルカリエッチング液も用いられる。めっき法は、脱脂剤、ソフトエッチング剤などのめっき前処理剤を用いて前処理を行った後、めっき液を用いてめっきを行う。
【0039】
(硬化レジストの剥離除去)
エッチング工程後、残っている硬化レジストの剥離を行う。硬化レジストの剥離除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの0.5〜5重量%程度の濃度のアルカリ水溶液からなるアルカリ剥離液を用いて行う。
【0040】
本発明のフォトレジストフィルムは、印刷配線板の製造、金属の精密加工、リードフレーム製造等に用いられるエッチングレジスト又はめっきレジストとして非常に有用であり、該フォトレジストフィルムが、特定の表面粗度(Ra)を有する支持体フィルム(I)/感光性樹脂組成物層(II)[好ましくは(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなり、(b)成分の中でも特定化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の総重量に対して(c)成分を0.5〜6.0重量%、(d)成分を0.1〜10重量%、(e)成分を0.1〜3.0重量%含有してなる感光性樹脂組成物層(II)]/保護フィルム(III)からなるため、感度、解像度、密着性、耐エッチング性、レジストパターン形成性に優れた効果を示すものである。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する。
尚、ことわりのない限り「%」及び「部」は重量基準である。
[感光性樹脂組成物の調製]
(a)としては下記のカルボキシル基含有ポリマーを用い、(b)、(c)、(d)、(e)、及びその他の添加剤については表1に示す通りであり、感光性樹脂組成物(II−1)〜(II−4)のドープを調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
注)(a)カルボキシル基含有ポリマーはすべて55.75%の配合量である。
APG :ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒7)
TMP-TA :トリメチロールプロパントリアクリレート
HABI :2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
BDK :ベンジルジメチルケタール
EAB-F :N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン
LCV :ロイコクリスタルバイオレット
TBMPS :トリブロモメチルフェニルスルホン
MG :マラカイトグリーン
【0044】
実施例1
上記感光性樹脂組成物(II−1)のドープをギャップ5ミルのアプリケーターを用いて、表面粗度(Ra)0.002μmのポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる支持体フィルム(I)(厚み16μm)上に塗工し、室温で1分30秒放置した後、60℃、90℃、110℃のオーブンでそれぞれ3分間乾燥して、レジスト厚25μmのドライフィルムとし、更にポリエチレンフィルムからなる保護フィルム(III)(厚さ23μm)をラミネートしてフォトレジストフィルムとした。
尚、支持体フィルム(I)はポリエステル系樹脂により易滑処理を行い、易滑処理面どうしの静摩擦係数(μs)が0.8、動摩擦係数(μd)が0.6のものであった。
【0045】
一方、ニッケル42%含有のニッケル/鉄合金(42アロイ)からなる基板をアルカリ脱脂剤(10%水溶液)に50℃で2分間浸漬した後、水洗処理し、更に5%塩酸水溶液に室温で20秒間浸漬し、水洗処理した後、精製水により水洗を行い、乾燥したものを基材として用いた。基材は厚さ0.15mmであり、巾250mm、長さ300mmの基板である。
上記フォトレジストフィルムを、オーブンで60℃に予熱した基材上に、保護フィルム(III)を剥がしながら、ラミネートロール温度100℃、同ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1.5m/minにてラミネートした。
【0046】
次いで得られた基材のポリエステルフィルム(I)表面に、2kw水銀ショートアーク灯(平行光源)で、ストーファー21段ステップタブレット(光透過量が段階的に少なくなるように作られたネガフィルム)の数値が6となる露光量で露光を行った。露光後15分経過してからポリエステルフィルム(I)を剥離し、30℃で1%炭酸ナトリウム水溶液をブレークポイント(未露光部分が完全溶解する時間)の2倍の現像時間でスプレーすることにより未露光部分を溶解除去して硬化樹脂画像を得た。この基材を50℃、45B(ボーメ)の塩化第二鉄のエッチング液により8分間エッチングした(スプレー圧:上1.8kg/cm2、下1.5kg/cm2)。次に50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で50秒噴霧してレジストとして用いた硬化樹脂膜を剥離して画像を形成した。
【0047】
上記において以下の項目を下記の如く評価した。
(感度)
感光性樹脂組成物の光感度は基材に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数が6となるときの露光量を測定することにより評価した。
【0048】
(解像度)
ライン/スペース=1/1(10、15、20、25、30、35、40、45、50μm)のパターンマスク(ガラスクロム乾板)を用いて露光した後、ブレークポイントの2倍の時間で現像したとき、画像が形成される最小ライン幅により評価した。
【0049】
(密着性)
基材へのラミネート後、ライン幅10、15、20、25、30、35、40、45、50μmのパターンマスク(ガラスクロム乾板:独立細線)を用いて、同様に現像して密着性良好な最小ライン幅(μm)を調べた。
【0050】
(耐エッチング性)
▲1▼導体への染み込み
ライン/スペース=400μm/300μmの現像後、レジストパターンをエッチングし、レジストを剥離した後、基材を拡大顕微鏡で観察してエッチング液の染み込み具合を目視評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・染み込みなし
○・・・2μm未満の染み込みあり
△・・・2〜5μm未満の染み込みあり
×・・・5μm以上の染み込みあり
【0051】
▲2▼導体のかけ
ライン/スペース=400μm/300μmの現像後、レジストパターンをエッチングし、レジストを剥離した後、基材を拡大顕微鏡で観察して、導体のカケ具合を目視評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・導体のカケなし
○・・・導体の幅に対して端部より1/3未満のカケあり
△・・・導体の幅に対して端部より1/3以上のカケあり
×・・・導体なし
【0052】
(巻き取り性)
フォトレジストフィルムを幅300mmにスリットしながら、内径76.2mmのABS樹脂製パイプに長さ150mを巻き取った後、パイプ両端を固定して、30℃、50%RHの条件下で3日間宙吊りで保存した。保存後、室温(23℃)に戻して一週間放置した後の巻きズレを測定した。評価基準は下記の通りである。
○・・・ズレなし
△・・・1mm未満のズレがあり
×・・・1mm以上のズレがあり
【0053】
実施例2〜4及び比較例1〜2
実施例1において、表2に示す如き感光性樹脂組成物(II)、支持体フィルム(I)に代えた以外は同様に行い、各項目を評価した。
実施例および比較例の評価結果を表3に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
本発明で得られたフォトレジストフィルムは、金属基板への密着性が良く、解像度、耐エッチング性に優れ、レジストパターン形成性に優れているため、印刷配線板の製造、リードフレームの製造、金属の精密加工等に用いられるエッチングレジスト又はめっきレジストとして有用である。
Claims (8)
- 支持体フィルム(I)/感光性樹脂組成物層(II)/保護フィルム(III)からなるフォトレジストフィルムにおいて、支持体フィルム(I)の厚みが10〜30μmで、かつ、表面粗度(Ra)が0.001〜0.015μmであることを特徴とするフォトレジストフィルム。
- 支持体フィルム(I)が易滑処理を施されてなり、かつ、該易滑処理面どうしの静摩擦係数(μs)が1.0以下、動摩擦係数(μd)が0.8以下である支持体フィルム(I)を用いることを特徴とする請求項1記載のフォトレジストフィルム。
- 感光性樹脂組成物層(II)が(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなり、(b)成分として下記▲1▼式で示される化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の総重量に対して(c)成分を0.5〜6.0重量%、(d)成分を0.1〜10重量%、(e)成分を0.1〜3.0重量%含有してなることを特徴とする請求項1又は2記載のフォトレジストフィルム。
- (c)ロフィン二量体として、トリフェニルビイミダゾール類を含むことを特徴とする請求項3記載のフォトレジストフィルム。
- (a)成分と(b)成分の総重量に対してトリフェニルビイミダゾール類を0.5〜6.0重量%含むことを特徴とする請求項4記載のフォトレジストフィルム。
- (a)成分と(b)成分の総重量に対して▲2▼式で示される化合物を0.1〜10重量%含むことを特徴とする請求項6記載のフォトレジストフィルム。
- (a)成分と(b)成分の総重量に対してN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンを0.01〜0.5重量%含むことを特徴とする請求項6記載のフォトレジストフィルム。
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