JP4001374B2 - ナンバープレート用ラベル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルに関し、より詳細には、溶剤としてのガソリン雰囲気において使用されるナンバープレート用ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等の現像プロセスにおいて、静電潜像を可視像とする際に用いられるトナーは、一般に熱可塑性樹脂(バインダー樹脂)、ワックス類、電荷制御剤、磁性粉体、及び他の添加剤を予備混合した後、溶融混練工程、粉砕工程、および分級工程の各製造工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。そして、このように製造されたトナーは、レーザープリンタ等の普及により特殊用途への使用が検討されており、溶剤雰囲気において使用される耐溶剤性印刷積層体等の用途展開が図られている。
例えば、米国では、レーザープリンタで印字した特殊シールであって、車やオートバイのナンバープレートに貼付するための印刷シール(ナンバープレート用ラベル)が知られている。かかる用途においては、車やオートバイに給油する際に、ガソリンや軽油が接触した場合であっても、ナンバープレート用ラベル上に印字されたトナーが溶解してはならないことが要求される。
また、薬用ビンや化粧品容器においては、レーザープリンタで印字した薬品表示用ラベルまたは化粧品表示用ラベルが用いられている。かかる用途においては、薬用ビンや化粧品容器に、アルコール含有物を充填したり、取り出したりする際に接触した場合であっても、表示用ラベル上に印字されたトナーが溶解してはならないことが要求される。
しかしながら、印刷積層体において、従来の静電潜像現像用トナーからなる印字は、ガソリンやアルコール含有物によって、容易に剥がれ落ちるという問題が見られた。
【0003】
一方、特開平6−118680号公報には、長期間の複写操作によっても、フィルミング現象が生じることが少ない電子写真法を提供すべく、感光体の表面保護層に、平均粒径0.4〜2μmの金属酸化物粉末を含有させるとともに、トナーに使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーターと、感光体の表面保護層に使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーターとの差を絶対値で1.5以上にする構成が開示されている。
しかしながら、特開平6−118680号公報に開示された電子写真法によって得られる印刷積層体は、溶剤雰囲気中での使用を何ら考慮しておらず、ガソリンやアルコール含有物によって、印刷用基材から印字が容易に剥がれ落ちるという問題が依然見られた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の発明者らは、従来の課題を鋭意検討した結果、溶剤雰囲気において使用される印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルにおいて、使用雰囲気における溶剤としてのガソリンの溶解度パラメーター(SP1:Solubility Parameter)と、静電潜像現像用トナーに使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)との差(ΔSP値)を考慮し、かつ、かかる静電潜像現像用トナーに使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)を所定の範囲とすることにより、耐溶剤性を著しく改良できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、溶剤としてのガソリン雰囲気において使用された場合であっても、特に、樹脂基材に対しても、印字レベルをそのまま維持することができるナンバープレート用ラベルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、溶剤雰囲気において使用される耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルであって、静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部と、静電潜像現像用トナーからなる印刷部と、が設けてあるとともに、当該静電潜像現像用トナーが、溶剤雰囲気を形成する溶剤としてのガソリンの溶解度パラメーター(SP1)よりも、絶対値で5(MJ/m3)1/2以上異なり、かつ、15〜30(MJ/m3)1/2の範囲内の値である溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を含むことを特徴とするナンバープレート用ラベルが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、使用雰囲気における溶剤の溶解度パラメーター(SP1)と、静電潜像現像用トナーに使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)との差を考慮し、かつ、かかる静電潜像現像用トナーに使用されるバインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)を所定の範囲としたバインダー樹脂を含む静電潜像現像用トナーを用いることによって、溶剤雰囲気において印刷積層体を使用したとしても、初期の印字レベルをそのまま長期間維持することができる。
なお、溶剤雰囲気とは、ガソリン等の有機溶剤が多量に使用され、有機溶剤と、印刷された静電潜像現像用トナーとが、直接的あるいは間接的に接触することが可能であって、そのために静電潜像現像用トナーが短時間あるいは長期間にわたって、劣化しやすい状態を意味している。例えば、ガソリンスタンドにおける自動車等への給油が、短時間で印字レベルが劣化する代表例である。
【0006】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルが、静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部の裏面側に、当該基材部を固定するための接着剤層をさらに備えることが好ましい。
このように構成することにより、使い勝手に優れた耐溶剤性印刷積層体を提供することができる。
【0007】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルにおいて、静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部が樹脂基材から構成されており、当該樹脂基材の印刷面側に、樹脂基材部と、静電潜像現像用トナーとの間の密着力を向上させるための改質層をさらに備えることが好ましい。
このように構成することにより、基材部が樹脂基材から構成されているにもかかわらず、静電潜像現像用トナーの印字精度が向上するとともに、溶剤雰囲気中での印字レベルの保持性についても、さらに優れた特性を有する耐溶剤性印刷積層体を提供することができる。
【0008】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルにおいて、下式(1)で表される静電潜像現像用トナーの耐溶剤性指数を50%以上の値とすることが好ましい。
【数2】
このように構成することにより、耐溶剤性に優れた耐溶剤性印刷積層体を定量的に提供することができる。
【0009】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルにおいて、バインダー樹脂が、部分架橋樹脂であることが好ましい。
このように構成することにより、いずれの溶剤に対しても、バインダー樹脂における耐溶剤性を著しく向上させることができる。
【0010】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルにおいて、バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル系共重合体であることが好ましい。
このように構成することにより、耐溶剤性印刷積層体を印字するための静電潜像現像用トナーの帯電特性や流動特性等を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のナンバープレート用ラベルを構成するにあたり、ナンバープレート用ラベルにおいて、印刷部の表面に、カバー層が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、ガソリンまたは軽油に対する耐溶剤性を著しく向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のナンバープレート用ラベルに関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)および(b)に例示するように、溶剤雰囲気において使用される耐溶剤性印刷積層体100において、静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部118と、静電潜像現像用トナーからなる印刷部112と、が設けてあるとともに、当該静電潜像現像用トナーが、溶剤の溶解度パラメーター(SP1)よりも、絶対値で5(MJ/m3)1/2以上異なり、かつ、15〜30 ( MJ / 3 ) 1/2 の範囲内の値である溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を含むことを特徴とする耐溶剤性印刷積層体100としてのナンバープレート用ラベルである。
なお、図1(a)に示す耐溶剤性印刷積層体100の場合には、基材114の背面に接着剤層116が設けてあり、図1(b)に示す耐溶剤性印刷積層体110の場合には、接着剤層116の裏に、さらに剥離フィルム119が設けてある構成である。
【0024】
1.基材部
(1)基材
▲1▼種類
未印刷の印刷積層体である基材部には、機械的強度を高めるとともに、取り扱いを容易にするため、基材を含むことが好ましい。
このような基材の種類としては、紙やダンボール等も可能であるが、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリシリコーンフィルム、フッ素樹脂フィルム、フッ化ビニリデンフィルム等の一種または二種以上の組み合わせからなる樹脂基材が好適例に挙げられる。すなわち、このような樹脂基材であれば、車両用装飾ラベルまたはナンバープレート用ラベルに用いた場合であっても、優れた耐候性や機械的特性が得られるとともに、比較的優れた表面印字性が得られるためである。
【0025】
▲2▼厚さ
また、基材部における基材の厚さを10〜2,000μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる基材の厚さが10μm未満の値になると、機械的強度を高めることが困難になったり、しわ等が入りやすくなって、逆に取り扱いが困難になったりする場合があるためである。一方、かかる基材の厚さが2,000μmを超えると、接着剤層によって貼付することが困難になったり、所望の形状や大きさへの切断等の処理が困難になったりする場合があるためである。
したがって、基材の厚さを15〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】
▲3▼表面処理
さらに、基材表面に対して、エンボス加工等を施し、粗面化したり、あるいはシランカップリング剤やコロナ放電、あるいは火炎処理等による表面処理を施したりすることが好ましい。例えば、図2(a)に示すように、基材114の表面に、表面処理層(改質層)122を設けることが好ましい。特に、基材部が樹脂基材から構成されている場合には、当該基材部の印刷面側に、当該基材部と、静電潜像現像用トナーとの間の密着力を向上させるためのアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂等の樹脂からなる改質層をさらに備えることが好ましい。この理由は、このように構成することにより、基材部が樹脂基材から構成されているにもかかわらず、印字精度が向上するとともに、印字レベルの保持性についてもさらに優れた耐溶剤性印刷積層体を提供することができるためである。
なお、表面処理層(改質層)122の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜25μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0027】
また、図2(b)に示すように、基材114の表面の一部または全体に、粗面部132を設けることも好ましい。
この理由は、このように表面処理を施すことにより、裏面においては、接着剤層を強固に積層することができるし、表面においては、静電潜像現像用トナーによる印刷部を強固に積層できるためである。なお、表面処理を施す場合、優れた密着力を得るためには、水に対する濡れ指数を35〜70dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。また、表面を粗面化して、優れた密着力を得るためには、その表面粗さ(Ra)を0.1〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0028】
(2)接着剤層
▲1▼種類
また、印刷積層体には接着剤層を含むことが好ましい。このような接着剤層を含むことにより、印刷積層体を、車両の車体等に容易に貼り付けることができる。
このような接着剤層を構成する樹脂の種類としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリシリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
また、接着剤層を構成する樹脂の酸価を50mgKOH/g以下の値とすることが好ましい。この理由は、かかる酸価が50mgKOH/gを超えると、耐溶剤性や耐湿性が著しく低下する場合があるためである。ただし、かかる酸価が過度に小さくなると、基材に対する接着力が低下したり、溶解度パラメーター(SP2)の制御が困難となったり、あるいは過度に精製するために高価な接着剤となったりする場合がある。
したがって、接着剤層を構成する樹脂の酸価を0.1〜30mgKOH/gの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜10mgKOH/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
▲2▼厚さ
また、このような接着剤層の厚さを10〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる接着剤層の厚さが10μm未満の値になると、貼付した印刷積層体が剥がれやすくなる場合があるためである。一方、かかる接着剤層の厚さが500μmを超えると、接着剤層自体の形成が困難になったり、所望の形状や大きさへの切断等の処理が困難になったりする場合があるためである。
したがって、接着剤層の厚さを15〜300μmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
2.印刷部
(1)トナー粒子
第1の実施形態に使用するトナーは、実条件に合わせて、例えば、バインダー樹脂と、ワックス類と、電荷制御剤と、磁性粉と、からなるトナー粒子に対して、無機酸化物が外添してあることが好ましい。
【0031】
▲1▼バインダー樹脂
バインダー樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0032】
また、バインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)を10〜35(MJ/m3)1/2の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるバインダー樹脂のSP2が10(MJ/m3)1/2未満の値になると、溶剤に可溶なバインダー樹脂の種類が過度に制限される場合があるためである。一方、かかるバインダー樹脂のSP2が35(MJ/m3)1/2を超えると、樹脂が結晶化しやすくなったり、帯電特性や耐湿性が低下したりする場合があるためである。
したがって、バインダー樹脂のSP2を15〜30(MJ/m3)1/2の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜25(MJ/m3)1/2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、溶解度パラメーターの算出方法については、蒸発エンタルピー(蒸発潜熱)、屈折率、表面張力等からそれぞれ求めることができるが、その他、バインダー樹脂を官能基レベルにまで分解し、官能基の種類、数、メイン骨格の数等により算出するFedorsの方法も好適に用いることができる。
【0033】
また、バインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)と、使用環境としての溶剤の溶解度パラメーター(SP1)との差(ΔSP値)を絶対値で5(MJ/m3)1/2以上の値とすることを特徴とする。
すなわち、使用雰囲気の溶剤がガソリンである場合、そのSP1は15(MJ/m3)1/2であるが、トナーにおいて耐ガソリン性を得たい場合には、SP2が10(MJ/m3)1/2未満または20(MJ/m3)1/2以上を示すバインダーを含むトナーが必要とされるのである。この理由は、逆に、SP2が10〜20未満(MJ/m3)1/2のバインダー樹脂を含むトナーの場合、溶剤のSP1との差が所定値よりも小さいために、両者が相溶しやすくなるためである。すなわち、ΔSP値が5未満の値になると、トナーバインダーが溶剤(ガソリン)に汚染され、印字されたトナーが溶けて剥がれ落ちる等の画像欠陥を引き起こす場合があるためである。
【0034】
また、バインダー樹脂において、重量平均分子量として、二つの分子量ピーク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3、000〜20、000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300、000〜1、500、000の範囲内であり、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が10以上あるものが好ましい。分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。
なお、バインダー樹脂の分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
【0035】
また、バインダー樹脂において、軟化点を110〜150℃の範囲内の値とすることが好ましく、120〜140℃の範囲内の値とすることがより好ましい。この理由は、かかるバインダー樹脂の軟化点が110℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する場合があるためである。一方、バインダー樹脂の軟化点が150℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる場合があるためである。
また、バインダー樹脂のガラス転移点(Tg)を55〜70℃の範囲内の値とすることが好ましく、58〜68℃の範囲内の値とすることがより好ましい。この理由は、かかるバインダー樹脂のガラス転移点が55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する場合があるためである。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる場合があるためである。
なお、バインダー樹脂の軟化点やガラス転移点は、それぞれ落球法や、示差走査熱量計(DSC)を用いて得られる吸熱ピ−ク位置や比熱の変化点から求めることができる。
【0036】
また、バインダー樹脂は、定着性が良好な観点から熱可塑性樹脂が好ましいが、ソックスレー抽出器を用いて測定される架橋部分量(ゲル量)が10重量%以下の値、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲内の値であれば、熱硬化性樹脂であっても良い。
このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナーのバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂を100重量%使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用したりすることも好ましい。
【0037】
また、このようなバインダー樹脂において、磁性粉の分散性を向上させるために、ヒドロキシル基(水酸基)、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ基(エポキシ基)から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。
なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて定量することができる。
【0038】
▲2▼ワックス類
また、トナーにおいて、定着性やオフセット性の効果を求めることから、ワックス類を添加することが好ましい。
このようなワックス類の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、フィッシャートロプッシュワックスを使用する場合、その重量平均分子量が1000以上の値であり、かつ100〜120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。このようなフィッシャートロプッシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
また、ワックス類の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー全体量を100重量%としたときに、ワックス類の添加量を1〜5重量%の範囲内の値とするのが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満となると、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、ワックス類の添加量が5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
【0039】
▲3▼電荷制御剤
また、トナーにおいて、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れた特性等が得られる観点から、電荷制御剤を添加することが好ましい。
このような電荷制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の正帯電性を示す電荷制御剤を使用することが好ましい。
【0040】
また、電荷制御剤の添加量を、トナーの全体量を100重量%としたときに、1.5〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる電荷制御剤の添加量が1.5重量%未満となると、トナーに対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりする場合があるためである。また、かかる電荷制御剤の添加量が1.5重量%未満となると、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなったりする等の傾向があるためである。一方、電荷制御剤の添加量が15重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向があるためである。
したがって、電荷制御剤の添加量を、トナーの全体量を100重量%としたときに、2〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
▲4▼磁性粉
また、トナーにおいて、公知の磁性粉をトナー中に分散させ磁性トナーとして構成することができる。好ましい磁性粉としては、フェライト、マグネタイト、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属もしくは合金、またはこれらの強磁性元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金等を挙げることができる。さらには、これらの磁性粉と、樹脂とを予め混合し、所定形状に成形した磁性粉材料を用いることも好ましい。
また、磁性粉の平均粒径を0.1〜1μmの範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜0.5μmの範囲内の値とするのがより好ましい。この理由は、かかる平均粒径を有する磁性粉であれば、取り扱いが容易である一方、微粉末の形でトナーバインダー中に均一に分散することができるためである。
また、磁性粉の表面を、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理することが好ましい。このように表面処理することにより、磁性粉の吸湿性や分散性を改善することができるためである。
【0042】
▲5▼外添粒子
トナーには、測定対象であって、定着ロールを汚染する要因となるものの、帯電特性、流動特性および感光体に対する研磨特性等を改善するために、酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の無機酸化物からなる外添粒子を添加することが好ましい。
また、これらの無機酸化物からなる外添粒子は、トナーの流動性や保存安定性をさらに向上させる目的で、コロイダルシリカや疎水性シリカ、あるいはシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって、表面処理することも好ましい。
【0043】
また、トナーにおいて、パーティクルカウンターで測定される外添粒子(無機酸化物)の遊離率を10.0%以内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる遊離率が10.0%を超えると、無機酸化物が単独で存在する量が多くなり、トナー表面にホールドされていない場合があるためである。したがって、遊離率が所定値以上になると、無機酸化物が感光体において現像され易くなり、結果的に、定着前の記録媒体上の無機酸化物量を増加させる場合がある。
【0044】
▲6▼平均粒径
また、トナーの平均粒径は特に制限されるものではないが、例えば、5〜12μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるトナーの平均粒径が5μm未満の値となると、トナーの帯電特性や流動特性が低下し、さらには、外添粒子の遊離率が高まる場合があるためであり、一方、かかるトナーの平均粒径が12μmを超えると、トナーの流動性が低下する場合があるためである。
したがって、トナーの平均粒径を、6〜11μmの範囲内の値とすることがより好ましく、7〜10μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
(2)耐溶剤指数
また、下式(1)で定義されるトナーの耐溶剤指数を50%以上の値とすることが好ましい。この理由は、かかるトナーの耐溶剤指数が50%未満の値になると、耐溶剤性が不十分となって、溶剤雰囲気中で、長期間使用することが困難となる場合があるためである。また、かかるトナーの耐溶剤指数が50%未満の値になると、溶剤がトナーに対して直接的に接触した場合に、溶剤がトナーを溶解して、瞬時に印字レベルが低下する場合があるためである。
ただし、かかるトナーの耐溶剤指数が過度に大きくなると、耐溶剤性は優れているものの、トナーに使用されるバインダー樹脂に含まれる極性基含量が多くなって、トナーの耐湿性が急激に低下する場合がある。
したがって、かかるトナーの耐溶剤指数を60〜98%の範囲内の値とすることが、より好ましく、70〜95%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0046】
[ここで、式(1)中、溶剤に浸した綿棒で擦る前の線幅(mm)は、印刷積層体について印字直後の線幅(mm)である。また、溶剤に浸した綿棒で擦った後の線幅は、棒の先端を溶剤(ガソリン等)に浸し、印字させた線にクロスさせ、例えば、角度45°にて40gの荷重をかけ、20回擦った後に測定される線幅(mm)であることが好ましい。]
【0047】
なお、耐溶剤指数を測定するにあたり、使用する溶剤として、使用雰囲気の溶剤を使用することも好ましいが、基準を明確にするため、ガソリン、エチルアルコール、あるいはアセトンのいずれかを使用することが好ましい。
【0048】
ここで、図4の特性図を参照して、耐溶剤性指数と、前述したΔSP値との関係を説明する。図4は、横軸にΔSP値(MJ/m3)1/2を採って示してあり、縦軸に耐溶剤性指数(%)を採って示してある。
この特性図から理解されるように、ΔSP値が大きい程、耐溶剤性指数の値が大きい傾向があり、特に、ΔSP値が5(MJ/m3)1/2を超えると、耐溶剤性指数の値が50%以上の高い値になっている。すなわち、ΔSP値を制御することによって、直接的な耐溶剤性の目安である耐溶剤性指数についても制御できることが理解される。よって、逆に、耐溶剤性指数の値として、例えば、50%以上の高い値を得たい場合には、ΔSP値を5(MJ/m3)1/2以上の値にすることが好ましく、より好ましくは、5.5(MJ/m3)1/2以上の値にすることであり、さらに好ましくは、6(MJ/m3)1/2以上の値にすることである。
【0049】
また、図5の特性図を参照して、耐溶剤性指数と、ナンバープレート用ラベルとして評価した実性能評価の関係を説明する。すなわち、図5は、横軸に耐溶剤性指数(%)を採って示してあり、縦軸に実性能評価の相対評価値(実性能評価◎:相対評価値5、○:相対評価値3、△:相対評価値1、×:相対評価値0)を採って示してある。
この特性図から理解されるように、耐溶剤性指数の値が大きい程、実性能評価が良好である傾向があり、特に、耐溶剤性指数の値が50%以上になると、実性能評価が1以上の相対値になっている。すなわち、上述したΔSP値を制御し、耐溶剤性指数を間接的に調整することによって、直接的な実性能評価についても制御できることが理解される。
【0050】
(3)カバー層
▲1▼種類
トナーによる印刷部において、さらにカバー層を設けることが好ましい。例えば、図3(a)に示すように、印刷部112および非印刷部113を含めて全面的に樹脂で被ってカバー層142とすることも好ましく、また、図3(b)に示すように、印刷部112の空隙である非印刷部113に樹脂を充填して、充填層(カバー層)152とすることも好ましい。
この理由は、このようにカバー層を設けて、当該カバー層を架橋材料から構成したり、あるいは当該カバー層に紫外線吸収剤等を添加したりすることにより、印刷部の耐溶剤性や耐候性等を著しく向上させることができるためである。
【0051】
より詳細には、例えば、耐溶剤性を著しく向上させるためには、架橋性アクリル樹脂、架橋性ポリエステル樹脂、架橋性シリコーン樹脂、架橋性エポキシ樹脂、架橋性フェノール樹脂、架橋性シアネート樹脂、架橋性オキセタン樹脂等の架橋性樹脂からなるカバー層を設けることが好ましい。
また、耐候性を著しく向上させるためには、これらの架橋性樹脂中に、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を、例えば、カバー層における全体量の0.1〜20重量%の範囲で添加してなるカバー層を設けることが好ましい。
【0052】
さらに、用途によっては、カバー層を構成する樹脂に非架橋性の樹脂を用いた場合であっても、印刷部の耐溶剤性や耐候性等を著しく向上させることができることから、その場合には、カバー層を構成する樹脂を架橋しなくとも良い。例えば、アルコール雰囲気で使用する場合には、ポリエステル樹脂やポリアクリル樹脂からなるカバー層を設けるだけで、印刷部の耐溶剤性や耐候性等を著しく向上させることができる。
また、カバー層を構成する樹脂がフッ素樹脂の場合には、架橋を施さなくとも、優れた耐溶剤性や耐候性、あるいは表面に対する防汚性等を発揮することができる。
【0053】
▲2▼厚さ
また、カバー層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、0.1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるカバー層の厚さが0.1μm未満の値となると、カバー効果が発現しない場合があるためである。一方、かかるカバー層の厚さが500μmを超えると、耐溶剤性印刷積層体のフレキシブル性が低下する場合があるためである。
したがって、カバー層の厚さを1〜200μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0054】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、ナンバープレート用ラベルに使用される耐溶剤性印刷積層体の製造方法であって、印刷用基材に接着剤層を積層して、未印刷の基材部を準備する工程と、溶剤雰囲気を形成する溶剤の溶解度パラメーター(SP1)よりも、絶対値で5(MJ/m3)1/2以上異なり、かつ、15〜30 ( MJ / 3 ) 1/2 の範囲内の値である溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を含む静電潜像現像用トナーを用いて現像プロセスによる印刷を実施する工程と、を含む耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルの製造方法である。
【0055】
1.基材部を準備する工程
接着剤層等を備えた基材部を準備する工程である。通常、塗布法や印刷法により、基材上に、接着剤層を形成することにより準備することが好ましい。
なお、基材や接着剤層の構成については、第1の実施形態で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0056】
2.現像プロセスによる印刷工程
(1)画像形成装置
現像プロセス(画像形成方法)を実施するにあたり、図5に示すような画像形成装置1に好適に使用することができる。すなわち、画像形成装置1には、図上、時計回りに回転する帯電型感光体ドラム(感光体)9の周囲に、回転方向に沿って、現像器10、転写ローラ19、クリーニングブレード13、及び帯電ユニット8が配設されている。そして、現像器10には、現像ローラ32が配設され、該現像ローラ32の表面は、感光体9の表面と所定間隔離間しているとともに、この現像器10に対して、トナーコンテナ31から適宜所定量のトナーが供給可能に構成されていることが好ましい。
また、感光体9の上部には、感光体9の表面に画像のドットを形成するための光学伝送機構5が設けられている。この光学伝送機構5は図示しないものの、レーザ光源からのレーザ光を反射するためのポリゴンミラー2と、レーザ光を反射ミラー4を介して帯電ユニット8と現像ローラ32との間の感光体表面に画像ドットを結像するための光学系3と、から構成されていることが好ましい。
また、画像形成装置1の下部には、後述する該装置を制御するための制御回路71が収納される基部54が設けられており、該基部54の上側には、記録紙コンテナ55が外部から着脱可能に配置されている。この記録紙コンテナ55には、転写前の記録紙を収納するための収納庫14が設けられていることが好ましい。
【0057】
そして、押圧バネ52上に載置された記録紙は、搬送ローラ53及び15により、通路16および17を通って補助ローラ30に対面して設けられているレジストローラ18まで搬送されるように構成されている。
また、画像形成装置1の右側には、前方扉50が開閉可能に配置され、その前方扉に載置される記録紙は、搬送ローラ51により通路17に搬送されるように構成されている。そして、画像形成装置1の左側には、定着ローラ23及び24によって定着部が構成され、感光体9と転写ローラ19間を通過した記録紙は、これらの定着ローラ23、24によって定着される。また、定着後の記録紙は、搬送ローラ25、26により通路27を通って、さらにローラ28、29により転写済記録紙集積庫6に集積されるように構成されていることが好ましい。
さらにまた、画像記録装置1の上部には、各種情報を表示する表示部47、インストールスイッチ48及び電源スイッチ49が設けられていることが好ましい。
【0058】
(2)動作
このように構成された画像記録装置1は、電源スイッチ49を開閉することにより、メインモータ(図示しない)が、駆動を開始し、スタートスイッチ(図示しない)により感光体9が時計方向に回転して、光学伝送機構5が、感光体9の表面上に、画像を形成することができるように構成してあることが好ましい。
そして、形成された画像は、現像器10の現像ローラ32によって現像され、現像されたトナー画像は、転写ローラ19によって記録紙に転写される。さらにトナーが転写された記録紙は、定着ローラ23、24によって、定着固定され、ローラ25、27、28、29により集積庫6に搬送されて集積されることになる。なお、現像ローラ32によって、現像されなかったトナーは、クリーニングブレード13により回収されることになる。
したがって、正帯電型感光体において、このようにアナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンが外添されたトナーを用いて画像形成することにより、長期間にわたってトナー付着や画像流れを有効に防止することができる。
【0059】
(3)静電潜像現像用トナー
使用する静電潜像現像用トナーは、溶剤雰囲気を形成する溶剤の溶解度パラメーター(SP1)よりも、絶対値で5(MJ/m3)1/2以上異なる溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を含むことを特徴としており、第1の実施形態で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0060】
3.カバー層の形成工程
現像プロセスによる印刷工程を実施した後、静電潜像現像用トナーからなる印刷部を保護するために、カバー層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。例えば、図6(a)に示すように、静電潜像現像用トナー204を印刷し、印刷部208を形成した後に、カバー層形成部210によって、カバー層を構成する樹脂を塗布または印刷等することにより、カバー層212を形成することが好ましい。なお、図6(a)に示すカバー層形成装置170において、カバー層形成部210のかわりに、あるいはカバー層形成部210とともに、定着ロール214の後方に、第2のカバー層形成装置216を設けることも好ましい。
また、図6(b)に示すように、カバー層を構成する樹脂からなるトナー224を、第2の感光体220を用いた現像プロセスによって現像付着させることも好ましい。このように構成すると、印刷部208の間隙に、カバー層(保護層)228を精度良く形成することができる。
【0061】
4.ナンバープレート用ラベルを含む紙片の製造方法
また、耐溶剤性印刷積層体の製造方法として、ナンバープレート用ラベルを含む紙片300を作製する方法を具体的に説明する。
すなわち、ナンバープレート用ラベルを含む紙片300を作製するにあたっては、図8に示すように、開口部304を有する紙片302を準備しておき、その開口部304の裏側から、開口部面積よりも大きな剥離紙306を、予め積層しておくことが好ましい。そして、かかる剥離紙306上には、ナンバープレート用ラベルの基材となる接着剤層付きの樹脂基材308を、予め積層しておくことが好ましい。
次いで、このような構成を備えた紙片302を、ページプリンタ等の印刷装置に適用し、樹脂基材308上に、耐溶剤性に優れた静電潜像現像用トナー310から、所望の英数字や文字を印字することにより、ナンバープレート用ラベルを含む紙片300を容易に作製することができる。
なお、紙片302の所定箇所には、図8に示すように、予めミシン目312が形成してあり、ナンバープレート用ラベルを作製した後には、容易に破断させて、取り扱いが容易になるように構成してあることが好ましい。
【0062】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、言うまでもないが、以下の説明は本発明を例示するものであり、特に理由なく、以下の説明に本発明の範囲は限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
1.印刷積層体の作製
(1)トナーの作製
以下の配合割合となるように、スチレン/アクリル樹脂と、ポリエチレンワックスと、電荷制御剤と、磁性粉と、を2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却した。
▲1▼スチレン/アクリル樹脂 56重量部
▲2▼ポリエチレンワックス 3重量部
▲3▼電荷制御剤 1重量部
▲4▼磁性粉 40重量部
次いで、粉砕工程、分級工程を経て、平均粒径7μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子に対して、シリカ(SiO)を0.7%重量の割合となるように外添し、トナーを作製した。
【0064】
(2)基材部の準備
厚さ37μmのポリエステルフィルムに、バーコーターを用いて、乾燥後厚さが50μmになるようにアクリル系粘着剤を塗布した。その後、65℃、10分の条件で乾燥し、アクリル系粘着剤層を備えた基材部とした。
【0065】
(3)トナーによる印字
トナーを磁性一成分現像剤として構成し、アモルファスシリコン感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS−1800)を用い、幅2.5mmの線を印字させて、印刷積層体とした。
【0066】
2.印刷積層体の評価
(1)耐溶剤性指数
得られた印刷積層体につき、綿棒の先端を溶剤(ガソリン)で浸した後、印字線にクロスさせ、角度45°に傾けた状態で、40gの荷重をかけて、20回擦った。そして、綿棒によって擦る前後の印字線の幅をそれぞれ測定し、上述した式(1)より耐溶剤性指数を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
(2)画像濃度
トナーを磁性一成分現像剤として構成し、アモルファスシリコン感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3750)を用いてソリッド画像パターンを印刷した。その後、得られたソリッド画像パターンにおける画像濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。より具体的には、ソリッド画像パターンのベタ部における、任意の9箇所での画像濃度測定を行ない、その平均値を算出して、画像濃度とした。得られた結果を表1に示す。
【0068】
(3)カブリ
アモルファスシリコン感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS−1800)を用い、画像特性の評価を行った。すなわち、通常環境(20℃、65%RH)にて、印刷開始時に画像評価パターンを印字して初期画像とした。その初期画像につき、かぶりを目視観察し、以下の基準にてカブリ性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
○:カブリを全く生じていない。
△:ややカブリを生じている。
×:顕著なカブリを生じている。
【0069】
[実施例2〜3、参考例1〜2および比較例1〜4]
表1に示すように、バインダー樹脂の種類、バインダー樹脂の溶解度パラメーター(SP2)および溶剤の種類を変えて、実施例1と同様に、印刷積層体を作製し、評価した。得られた結果を表2に示す。
すなわち、実施例2は、実施例1よりも若干SP値が小さいポリエステル樹脂を含むトナーであるため、ΔSP値および耐溶剤性指数が若干低下したものの、それぞれ5(MJ/m3)1/2以上および50%以上の値であって、優れた耐溶剤性を示していた。
また、実施例3は、実施例1よりもさらにSP値が小さいポリエステル樹脂を含むトナーであるため、ΔSP値および耐溶剤性指数が低下したものの、それぞれ5(MJ/m3)1/2以上および50%以上の値であって、十分な耐溶剤性を示していた。
また、参考例1は、実施例1よりもさらにSP値が小さいポリエステル樹脂を含むトナーであったが、使用雰囲気の溶剤種がガソリンからアセトンに変わったため、ΔSP値および耐溶剤性指数は低下したものの、それぞれ5(MJ/m3)1/2以上および50%以上の値であって、十分な耐溶剤性を示していた。
また、参考例2は、実施例1と比較した場合、バインダー種および使用雰囲気の溶剤種が変わったため、ΔSP値および耐溶剤性指数は低下したものの、それぞれ5(MJ/m3)1/2以上および50%以上の値であって、十分な耐溶剤性を示していた。
【0070】
一方、比較例1は、実施例1と比較した場合、バインダー種は変わらないものの、使用雰囲気の溶剤種が大きく変わったため、ΔSP値が小さくなり、耐溶剤性指数も著しく低下した。
また、比較例2は、実施例1と比較した場合、SP値が若干小さいポリエステル樹脂を含むトナーであるが、使用雰囲気の溶剤種が大きく変わったため、ΔSP値が小さくなり、耐溶剤性指数も著しく低下した。
また、比較例3は、実施例1と比較した場合、SP値がかなり小さいスチレンーアクリル樹脂を含むトナーであるため、ΔSP値が小さくなり、耐溶剤性指数も著しく低下した。
さらに、比較例4は、実施例1と比較した場合、SP値がかなり小さいスチレンーアクリル樹脂を含むトナーであり、使用雰囲気の溶剤種も変わったため、ΔSP値が極端に小さくなり、耐溶剤性指数も著しく低下した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
[実施例4〜6、参考例3および比較例5]
実施例1〜3、参考例1および比較例3で得られた耐溶剤性印刷積層体を、ナンバープレート用ラベルとして評価した。すなわち、それぞれ得られた耐溶剤性印刷積層体をガソリン自動車(排気量:3000cc、5台)のナンバープレートに貼付して、仮設ガソリンスタンドの給油、および試験道路における自動車の走行実験を繰り返して行い、以下の評価基準に照らしてその性能評価を行った。
◎:1000回以上繰り返しても、50%以上の自動車で印字レベルの劣化が観察されない。
○:100回〜1000回未満の繰り返しにおいて、50%以上の自動車で印字レベルの劣化が観察される。
△:10回〜100回未満の繰り返しにおいて、50%以上の自動車で印字レベルの劣化が観察される。
×:10回未満の繰り返しにおいて、50%以上の自動車で印字レベルの劣化が観察される。
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルによれば、トナーにおいて、使用雰囲気における溶剤の溶解度パラメーター(SP1)に対して、絶対値(ΔSP値)で5(MJ/m3)1/2以上異なり、かつ、15〜30 ( MJ / 3 ) 1/2 の範囲内の値である溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を用いることにより、優れた耐溶剤性を示し、溶剤を扱う特殊環境下においても、長時間にわたって優れた印字特性を維持できるようになった。
また、本発明の耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルの使用方法において、トナーの耐溶剤性指数を所定範囲内の値に制御することにより、ΔSP値の制御が容易になって、さらに長時間にわたって優れた印字特性を維持できるようになった。
【0076】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐溶剤性印刷積層体の断面図である。
【図2】 本発明の別な耐溶剤性印刷積層体の断面図である。
【図3】 本発明のさらに別な耐溶剤性印刷積層体の断面図である。
【図4】 ΔSP値と、耐溶剤性指数との関係を示す特性図である。
【図5】 耐溶剤性指数と、実性能評価との関係を示す特性図である。
【図6】 プリンターの内部構造や動作を説明するために供する図である。
【図7】 カバー層を形成するための方法を説明するために供する図である。
【図8】 ナンバープレート用ラベルを含む紙片の製造方法を説明するために供する図である。
【符号の説明】
1:画像形成装置
2:ポリゴンミラー
5:光学電送機構
7:上部扉
9:感光体
10:現像器
31:トナーコンテナ
32:現像ローラ
33:供給ローラ
39:トナーセンサ
47:表示部
100、120、130、140、150:耐溶剤性印刷積層体
112:印刷部
114:基材
116:接着剤層
118:基材部
122:表面処理層
132:粗面部
142:カバー層
152:保護層
170、180:カバー層形成用印刷装置
200:感光体(第1の感光体)
210、216:カバー層形成部
220:第2の感光体
300:ナンバープレート用ラベルを含む紙片

Claims (7)

  1. 溶剤雰囲気において使用される耐溶剤性印刷積層体としてのナンバープレート用ラベルであって、
    静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部と、静電潜像現像用トナーからなる印刷部と、が設けてあるとともに、当該静電潜像現像用トナーが、溶剤雰囲気を形成する溶剤としてのガソリンの溶解度パラメーター(SP1)よりも、絶対値で5(MJ/m3)1/2以上異なり、かつ、15〜30(MJ/m3)1/2の範囲内の値である溶解度パラメーター(SP2)を有するバインダー樹脂を含むことを特徴とするナンバープレート用ラベル
  2. 前記ナンバープレート用ラベルが、前記静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部の裏面側に、当該基材部を固定するための接着剤層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のナンバープレート用ラベル
  3. 前記ナンバープレート用ラベルにおいて、前記静電潜像現像用トナーを印刷するための基材部が樹脂基材から構成されており、当該樹脂基材の印刷面側に、樹脂基材部と、静電潜像現像用トナーとの間の密着力を向上させるための改質層をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のナンバープレート用ラベル
  4. 前記ナンバープレート用ラベルにおいて、下式(1)で表される静電潜像現像用トナーの耐溶剤性指数を50%以上の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナンバープレート用ラベル
  5. 前記ナンバープレート用ラベルにおいて、前記バインダー樹脂が、部分架橋樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナンバープレート用ラベル
  6. 前記ナンバープレート用ラベルにおいて、前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のナンバープレート用ラベル
  7. 前記ナンバープレート用ラベルにおいて、前記印刷部の表面に、カバー層が設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のナンバープレート用ラベル
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