JP4001204B2 - 建築物の内装材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装材に関する。さらに、本発明は、建築物の内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
てん菜糖の製造工程において発生するライムケーキは、北海道内の8工場から年間28万トン排出されており、その再資源化が求められている。ライムケーキは、主成分として炭酸カルシウムを含有し、さらに、P25、K2O、有機物(窒素化合物)をも含有している。このライムケーキの有効利用が、従来より種々考えられている。
【0003】
ライムケーキの利用として、第1に、中和のため、弱酸性の畑に散布することが行われている。そして、畑に散布する場合におけるライムケーキの取扱性を改善するために、ライムケーキを粒状化することが考えられている。
このような、ライムケーキを粒状化するためのものとして、日本国特許出願公告公報(特公)平2−49773号公報(以下、「文献1」ともいう)には、てん菜製糖工場から廃出されるライムケーキを脱水し、ステフエン廃水濃縮液を含む造粒剤とライムケーキとを、25〜70kg/cm2の高圧力下でのねつ和工程を経た後押出造粒成形し、該造粒成形の後乾燥することを特徴とするライムケーキの造粒法が掲載されている。また、日本国特許公報特許第3116024号公報(以下、「文献2」ともいう)には、製糖工場から廃出されるライムケーキを押出し成形する押出し造粒成形工程と、造粒体を乾燥せしめる乾燥工程を順次経ることを特徴とするライムケーキの造粒法が掲載されている。
【0004】
ライムケーキの利用として、第2に、生石灰を得ることも考えられている。生石灰は、農業用としては造粒品よりもアルカリ分が高い肥料として用いられ、工業用としては土質安定剤として用いられる。このようにライムケーキから生石灰を得るものとして、文献2には、製糖工場から廃出されるライムケーキを押出し成形する押出し造粒成形工程と、造粒体を乾燥せしめる乾燥工程と、乾燥造粒体を焼成する焼成工程を順次経ることを特徴とするライムケーキの焼成法が掲載されている。
【0005】
ライムケーキの利用として、第3に、高炉で銑鉄に溶製する粉鉱石を予め焼結鉱やペレット鉱に製造する場合に使用される石灰石の代わりとして用いることも考えられている。ライムケーキを、高炉で銑鉄に溶製する粉鉱石を予め焼結鉱やペレット鉱に製造する場合に使用される石灰石の代わりとして用いるものとして、日本国特許出願公開公報(特開)平5−263155号公報(以下、「文献3」ともいう)には、ブレンド鉱などを用いて高炉原料としての焼結鉱を製造する方法において、製糖工場から廃棄されるライムケーキに、該ライムケーキの重量の100倍までの水を加え、スラリー状としたライムケーキスラリーとする工程と、ブレンド鉱などの焼結鉱原料に、10重量%以下のライムケーキスラリーを加えて、塊状体に混練する工程と、その塊状体を、1,400℃程度までの温度で焼成する工程と、その焼成された塊状体を、その後に冷却する工程と、を具備することを特徴とするライムケーキを使用した高炉原料としての焼結鉱の製造法等が掲載されている。
【0006】
ライムケーキの利用として、第4に、金属精錬における塊状または粉状の石灰系フラックスの製造に用いることも考えられている。ライムケーキを金属精錬における塊状または粉状の石灰系フラックスの製造に用いるものとして、特開平6−157084号公報(以下、「文献4」ともいう)には、転炉や電気炉などの金属精錬炉における溶湯内に供給し、溶融金属中の硫黄分や燐酸分などと反応させて金属スラグ生成の促進を図るために使用される石灰系フラックスの製造法において、ふっ化カルシウムを1mm径以下の大きさに粉砕する工程と、炭酸カルシウムを1mm径以下の大きさに粉砕する工程と、粉砕された炭酸カルシウムに、粉砕されたふっ化カルシウムを5重量%ないし60重量%混合して、5mmないし20mmに造粒する工程と、その造粒物を900℃ないし1,000℃で假焼する工程と、を含むことを特徴とする金属精錬における塊状石灰系フラックスの製造方法が掲載されており、さらに、炭酸カルシウムとして、製糖工業における炭酸石灰清浄法によって処理された後のライムケーキが使用されることを特徴とする金属精錬における塊状石灰系フラックスの製造方法が掲載されている。
【0007】
また、特開平6−157085号公報(以下、「文献5」ともいう)には、転炉や電気炉などの金属精錬炉における溶湯内に供給し、溶融金属中の硫黄分や燐酸分などと反応させて金属スラグ生成の促進を図るために使用される石灰系フラックスの製造法において、炭酸カルシウムを1mm径以下の大きさに粉砕する工程と、微細な水酸化カルシウムに、粉砕された炭酸カルシウムを5重量%ないし40重量%混合して、5mmないし20mm程度に造粒する工程と、その造粒物を700℃ないし1,000℃で假焼する工程と、を含み、圧縮強度の高い造粒生石灰を生成することを特徴とする金属精錬用の塊状石灰系フラックスの製造方法が掲載されており、さらに、炭酸カルシウムとして、製糖工業における炭酸石灰清浄法によって処理された後のライムケーキが使用されることを特徴とする金属精錬用の塊状石灰系フラックスの製造方法が掲載されている。
【0008】
ライムケーキの利用として、第5に、コンクリート代替材として用いることも考えられている。ライムケーキをコンクリート代替材として用いるものとして、特開2000−335948号公報(以下、「文献6」ともいう)には、ライムケーキ45〜10体積%、火山レキ55〜90体積%の混合物1m3に対してセメントを300Kg/m3加え、所要の水分率に調製し、撹拌、 転圧し、外気養生したコンクリート代替材が掲載されている。
【0009】
このように、従来、第1〜第5のライムケーキの利用が考えられているが、これらは全てライムケーキのバルク(炭酸カルシウム)の特性のみに着目しており、ライムケーキの形状、表面性質に着目した利用は全く無かった。
【0010】
ところで、近年、調湿機能を有する建材が開発されてきている。このような調湿機能を有する建材が、寺村の論文「炭酸硬化技術を利用して製造した調湿建材」セラミックス 36(2001)No.12 949頁〜951頁(以下、「文献7」ともいう)、福水の論文「エネルギーを使わずに湿度を調節する−調湿建材−」セラミックス 37(2002)No.1 6頁〜9頁(以下、「文献8」ともいう)、大橋等の論文「Ti含有メソポーラスシリカの水蒸気吸着特性」Journal of the Ceramic Society of Japan 107〔9〕844−849(1999)(以下、「文献9」ともいう)に掲載されている。
【0011】
しかしながら、文献7に掲載された建材は、ケイ酸カルシウムを炭酸化することにより硬化させたものであり、ライムケーキを有効利用するものではない。
また、文献8に掲載された建材は、鹿沼土、陶磁器用として一般に使用される粘土、及び、廃ガラスを主要原料として、約900℃で焼成したものであり、ライムケーキを有効利用するものではない。
また、文献9に掲載された建材は、メソポーラスシリカに、異種金属としてTi(チタン)を導入したものであり、ライムケーキを有効利用するものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、ライムケーキの形状、表面性質に着目し、ライムケーキを有効利用するとともに、調湿機能を有する建築物の内装材を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような建築物の内装材の製造方法を提供することを更なる目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る建築物の内装材の製造方法は、調湿機能を有する建築物の内装材を製造するための方法であって、ライムケーキに貝殻粉末を混合することにより、第1の混合物を得る工程(a)と、第1の混合物と水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO とを混合することにより、第2の混合物を得る工程(b)と、第2の混合物に水を加えることにより、第3の混合物を得る工程(c)と、第3の混合物を加圧成形することにより、第1の成形体を得る工程(d)と、第1の成形体に熱処理を施す工程(e)とを具備する。
【0016】
ここで、工程(e)が、第1の成形体に、常圧のCO2−H2O気流中において、100℃、20時間の熱処理を施すこととしても良い。
【0017】
また、本発明の第2の観点に係る建築物の内装材の製造方法は、調湿機能を有する建築物の内装材を製造するための方法であって、ライムケーキに貝殻粉末を混合することにより、第1の混合物を得る工程(a)と、第1の混合物と助剤とを混合することにより、第2の混合物を得る工程(b)と、第2の混合物に水を加えることにより、第3の混合物を得る工程(c)と、第3の混合物を加圧成形することにより、第1の成形体を得る工程(d)と、第1の成形体に炭酸ガス処理を施すことにより、第2の成形体を得る工程(e)と、第2の成形体に乾燥処理を施す工程(f)とを具備する。
【0018】
ここで、工程(e)が、第1の成形体に、常温、20kg/cm2の圧力下で炭酸ガス処理を施すこととしても良い。また、工程(f)が、第2の成形体に、150℃で6時間の乾燥処理を施すこととしても良い。
【0019】
また、本発明の第1及び第2の観点に係る建築物の内装材の製造方法において、工程(a)が、ライムケーキに、ライムケーキと等重量の貝殻粉末を混合することとしても良いし、工程(b)が、第1の混合物と第1の混合物の20重量%の水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO とを混合することとしても良い。また、工程(d)が、第3の混合物を、130kg/cmの圧力下で5分間加圧成形することとしても良い。
【0020】
また、本発明の第の観点に係る建築物の内装材は、ライムケーキに貝殻粉末を混合し、水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO を混合し、水を加え、加圧成形し、熱処理を施したものであり、調湿機能を有することを特徴とする。
また、本発明の第2の観点に係る建築物の内装材は、ライムケーキに貝殻粉末を混合し、水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO を混合し、水を加え、加圧成形し、炭酸ガス処理を施し、乾燥処理を施したものであり、調湿機能を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の第1又は第2の観点に係る建築物の内装材において、0.87重量%〜1.3重量%の調湿機能を有することとしても良い。
【0022】
本発明によれば、ライムケーキを有効利用するとともに、調湿機能を有する建築物の内装材を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、レーザ回折法により測定した、ライムケーキの粒子径分布を示す図である。また、図2(a)及び(b)は、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したライムケーキの写真である。
【0024】
図1に示すように、レーザ回折法により測定したライムケーキの粒子径の平均は、10μm程度である。しかしながら、図2(a)及び(b)に示すように、電子顕微鏡による観察から、ライムケーキの一次粒子径は10μmより小さく、ライムケーキはサブミクロンオーダーの超微粒子の集合体であることが判明した。
このことは、ライムケーキの一次粒子間の空隙が細孔を形成しており、ライムケーキ固化体が多孔体であることを示唆している。
【0025】
次に、本発明の第1の実施例について説明する。本実施例は、ライムケーキを回転円盤型造粒装置によって造粒し、粒状にしたものである。図3は、本実施例の細孔分布を示す図である。図3に示すように、本実施例の細孔半径は、20×10-10m(20オングストローム)〜25×10-10m(25オングストローム)程度である。従って、本実施例の細孔直径は、40×10-10m(40オングストローム)〜50×10-10m(50オングストローム)程度である。
【0026】
水蒸気を吸脱着する細孔半径と相対湿度の関係は、Kelvinの式
r=−(2Vγcosθ)/RTln(P/P0) …(1)
で表される。ここで、Vは液体のモル体積、γは表面張力、θは液体の毛細管壁との接触角、rは細孔半径、Rは気体定数、Tは絶対温度である。
一般に、快適な住環境を維持するための相対湿度範囲は、50〜70%程度とされている。このような相対湿度範囲で水蒸気を吸脱着する細孔直径は、(1)式を用いて算出すると、約30×10-10m(30オングストローム)程度となる。このことは、本実施例が調湿機能を有することを示している。
【0027】
図4は、室温における、本実施例の水蒸気吸着等温線を示す図である。図4に示すように、本実施例の水蒸気吸着量は、相対湿度40%付近から大きく立ち上がる
【0028】
図5は、相対湿度を11%又は85%に24時間毎に変化させた場合における、本実施例の水蒸気吸脱着特性を示す図である。図5に示すように、本実施例が吸脱着する水蒸気量は、試料重量の1.3重量%であった。この結果から、本実施例で長手方向の長さ180cm、短手方向の長さ90cm、厚さ8mmの建材ボード(以下、「第1の建材ボード」という)を作製した場合に、第1の建材ボードが吸脱着する水蒸気量は、本実施例の密度が1.66g/cm2であることから、
180(cm)×90(cm)×0.8(cm)
×1.66(g/cm2)×0.01(重量比)=215(g) …(2)
となる。従って、第1の建材ボードは、およそ牛乳瓶1本分の調湿能力を有することとなる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、ライムケーキに以下の工程を施すことにより、固化体にしたものである。なお、ライムケーキに以下の工程を施す理由は、主に強度を高くするためである。
まず、ライムケーキに、ライムケーキと等重量の貝殻粉末(200mesh以下)を混合する。以下、これにより得られた混合物を「第1の混合物」という。
【0030】
次に、第1の混合物1.68gと、第1の混合物の20重量%の助剤(ここでは、水酸化カルシウム)を、めのう乳鉢でよく混合する。以下、これにより得られた混合物を「第2の混合物」という。
次に、第2の混合物に少量の蒸留水を加え、直径10mm、高さ10mmの円柱状の錠剤を成形するための錠剤成形器を用いて、130kg/cm2の圧力下で5分間加圧成形する。以下、これにより得られた成形体を「第1の成形体」という。
【0031】
そして、第1の成形体に、管状炉を用いて、常圧のCO2−H2O気流中(50ml(Gas)/min、0.077ml(Liq.)/min)において、100℃、20時間の熱処理を施す。
以上の工程によって作製された本実施例の圧縮破壊強度は、1784.8103N/cm2(182kgf/cm2)であった。
【0032】
図6は、本実施例の細孔分布を示す図である。図6に示すように、本実施例の細孔半径は、20×10-10m(20オングストローム)〜25×10-10m(25オングストローム)程度である。従って、本実施例の細孔直径は、40×10-10m(40オングストローム)〜50×10-10m(50オングストローム)程度である。このことは、本実施例が調湿機能を有することを示している。
【0033】
本実施例においては、助剤として水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いることとしているが、SiCaO3、Al2(SO43、NH42PO4、CH3COOH、(NH42SO4、又は、Ca3(PO42を用いることとしても良い。
助剤として水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いた場合に、最も強度が高くなった。これは、Ca(OH)2がCO2と反応して炭酸化され生成されたCaCO3が、主成分の貝殻やライムケーキの一部と結合して、硬化したものと考えられる。
【0034】
また、助剤として水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を多く添加するほど強度が増大することもわかった。また、貝殻の粒径が200mesh未満の貝殻粉末を添加する方が、少量の助剤で高い強度となった。
【0035】
また、貝殻とライムケーキの混合比を、1:0、2:1、1:1、1:2、0:1に変化させた場合の強度を調べた結果、1:1の場合に高い強度を示した。
【0036】
また、焼成温度は、100℃まで下げても強度には影響はないが、400℃以上では強度の低下が見られた。これは、ライムケーキに含まれる少量の有機物が炭化したためと考えられ、400℃以上では黒色を呈した。
【0037】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例は、ライムケーキに以下の工程を施すことにより、固化体にしたものである。なお、ライムケーキに以下の工程を施す理由は、主に強度を高くするためである。
まず、ライムケーキに、ライムケーキと等重量の貝殻粉末(200mesh以下)を混合する。以下、これにより得られた混合物を「第3の混合物」という。
【0038】
次に、第3の混合物1.68gと、第3の混合物の20重量%の助剤(ここでは、水酸化カルシウム)を、めのう乳鉢でよく混合する。以下、これにより得られた混合物を「第4の混合物」という。
次に、第4の混合物に少量の蒸留水を加え、直径10mm、高さ10mmの円柱状の錠剤を成形するための錠剤成形器を用いて、130kg/cm2の圧力下で5分間加圧成形する。以下、これにより得られた成形体を「第2の成形体」という。
【0039】
そして、第2の成形体に、オートクレーブ中で、常温、20kg/cm2の圧力下で炭酸ガス処理を施す。以下、これにより得られた成形体を「第3の成形体」という。
その後、第3の成形体を、150℃で6時間乾燥する。
【0040】
以上の工程によって作製された本実施例の圧縮破壊強度は、1176.798N/cm2(110kgf/cm2)であった。
【0041】
図7は、本実施例の細孔分布を示す図である。図7に示すように、本実施例の細孔半径は、20×10-10m(20オングストローム)〜25×10-10m(25オングストローム)程度である。従って、本実施例の細孔直径は、40×10-10m(40オングストローム)〜50×10-10m(50オングストローム)程度である。このことは、本実施例が調湿機能を有することを示している。
【0042】
図8は、室温における、本実施例の水蒸気吸着等温線を示す図である
【0043】
図9は、相対湿度を11%又は85%に24時間毎に変化させた場合における、本実施例の水蒸気吸脱着特性を示す図である。図9に示すように、本実施例が吸脱着する水蒸気量は、試料重量の0.87重量%であった。この結果から、本実施例で長手方向の長さ180cm、短手方向の長さ90cm、厚さ8mmの建材ボード(以下、「第2の建材ボード」という)を作製した場合に、第2の建材ボードが吸脱着する水蒸気量は、本実施例の密度が1.66g/cm2であることから、
180(cm)×90(cm)×0.8(cm)
×1.66(g/cm2)×0.0087(重量比)
=187.16(g) …(3)
となる。従って、第2の建材ボードは、およそ牛乳瓶1本分の調湿能力を有することとなる。
【0044】
次に、本実施例で、1m角、厚さ8mmの建材ボード(以下、「第3の建材ボード」という)を作製したと仮定する。図10は、第3の建材ボード及び一般的な調湿建材の水蒸気吸放出量を示す図である。なお、図10に示すゼオライト系調湿材及び珪藻土系調湿材のデータの出典は、先に示した文献7である。
【0045】
第3の建材ボードの単位重量あたりの水蒸気吸着量(例えば、相対湿度50%の場合には、約1%)は、鹿沼土(先に示した文献8参照)又はゼオライト系調湿材(図10及び先に示した文献7参照)と比較して1/10程度である。しかしながら、第3の建材ボードの単位体積あたりの水蒸気吸着量は、珪藻土系調湿材(図10及び先に示した文献7参照)又はゼオライト系調湿材と同等、又は場合によっては高い調湿能力を有する調湿材料になり得る。
【0046】
本実施例においては、助剤として水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いることとしているが、SiCaO3、Al2(SO43、NH42PO4、CH3COOH、(NH42SO4、又は、Ca3(PO42を用いることとしても良い。
【0047】
また、助剤として水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を多く添加するほど強度が増大することもわかった。また、貝殻の粒径が200mesh未満の貝殻粉末を添加する方が、少量の助剤で高い強度となった。
【0048】
また、貝殻とライムケーキの混合比を、1:0、2:1、1:1、1:2、0:1に変化させた場合の強度を調べた結果、1:1の場合に高い強度を示した。
【0049】
また、焼成温度は、100℃まで下げても強度には影響はないが、400℃以上では強度の低下が見られた。これは、ライムケーキに含まれる少量の有機物が炭化したためと考えられ、400℃以上では黒色を呈した。
【0050】
次に、第1〜第3の実施例を比較する。図11は、第1〜第3の実施例の細孔分布を示す図である。なお、図11は、図3、図6、及び、図7を重ね合わせたものと同等のものである。図11に示すように、全細孔容積は、第3の実施例が最も大きく、次いで第2の実施例が大きく、第1の実施例が最も小さい。しかしながら、調湿機能に影響を及ぼすメソ孔(30×10-10m(30オングストローム)〜100×10-10m(100オングストローム))の細孔容積は、第1の実施例が最も大きく(2.4×10-2cm3/g)、次いで第2の実施例が大きく(1.2×10-2cm3/g)、第3の実施例が最も小さい(0.8×10-2cm3/g)。このことから、ライムケーキに助剤(ここでは、水酸化カルシウム)を加えたり、高圧の炭酸ガス雰囲気中でライムケーキ表面の溶解を促進させると、メソ孔が減少することがわかる。
また、比表面積は、第1の実施例が最も大きく(32m2/g)、助剤を加えて硬化させた第2及び第3の実施例は半分以下に減少(13m2/gと、12m2/g)することもわかった。
【0051】
なお、第1の実施例においてはライムケーキを造粒し、第2及び第3の実施例においてはライムケーキを硬化させているが、ライムケーキを添加材料として用いることとしても良い。例えば、ライムケーキの造粒固化体を、石膏ボード、発泡コンクリートに添加することとしても良い。
【0052】
また、ライムケーキに少量(数%程度)含まれる有機物は、悪臭の原因ともなっている。しかしながら、水蒸気雰囲気下150℃〜300℃で加熱処理したライムケーキは、悪臭を有さず、また、通常環境下で1年以上放置してもカビが発生することなく非常に安定している。さらに、ライムケーキに1%程度の塩基性硫酸銅を添加すれば、より衛生的にすることができる。なお、塩基性硫酸銅は、廃棄物から大量に回収されているものである。
【0053】
【発明の効果】
以上述べた様に、本発明によれば、ライムケーキを有効利用するとともに、調湿機能を有する建築物の内装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ライムケーキの粒子径分布を示す図である。
【図2】走査型電子顕微鏡によって撮影したライムケーキの写真である。
【図3】本発明の第1の実施例の細孔分布を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例の水蒸気吸着等温線を示す図である。
【図5】相対湿度を11%又は85%に24時間毎に変化させた場合における、本発明の第1の実施例の水蒸気吸脱着特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の細孔分布を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例の細孔分布を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施例の水蒸気吸着等温線を示す図である。
【図9】相対湿度を11%又は85%に24時間毎に変化させた場合における、本発明の第3の実施例の水蒸気吸脱着特性を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施例を用いた建材ボードの中湿域における吸放湿量を示す図である。
【図11】本発明の第1〜第3の実施例の細孔分布を示す図である

Claims (11)

  1. 調湿機能を有する建築物の内装材を製造するための方法であって、
    ライムケーキに貝殻粉末を混合することにより、第1の混合物を得る工程(a)と、
    前記第1の混合物と水酸化カルシウム(Ca(OH))、SiCaO、Al(SO、NHPO、CHCOOH、(NHSO、又は、Ca(POとを混合することにより、第2の混合物を得る工程(b)と、
    前記第2の混合物に水を加えることにより、第3の混合物を得る工程(c)と、
    前記第3の混合物を加圧成形することにより、第1の成形体を得る工程(d)と、
    前記第1の成形体に熱処理を施す工程(e)と、
    を具備する建築物の内装材の製造方法。
  2. 工程(e)が、前記第1の成形体に、常圧のCO−HO気流中において、100℃、20時間の熱処理を施すことを特徴とする請求項記載の建築物の内装材の製造方法。
  3. 調湿機能を有する建築物の内装材を製造するための方法であって、
    ライムケーキに貝殻粉末を混合することにより、第1の混合物を得る工程(a)と、
    前記第1の混合物と水酸化カルシウム(Ca(OH))、SiCaO、Al(SO、NHPO、CHCOOH、(NHSO、又は、Ca(POとを混合することにより、第2の混合物を得る工程(b)と、
    前記第2の混合物に水を加えることにより、第3の混合物を得る工程(c)と、
    前記第3の混合物を加圧成形することにより、第1の成形体を得る工程(d)と、
    前記第1の成形体に炭酸ガス処理を施すことにより、第2の成形体を得る工程(e)と、
    前記第2の成形体に乾燥処理を施す工程(f)と、
    を具備する建築物の内装材の製造方法。
  4. 工程(e)が、前記第1の成形体に、常温、20kg/cmの圧力下で炭酸ガス処理を施すことを特徴とする請求項記載の建築物の内装材の製造方法。
  5. 工程(f)が、前記第2の成形体に、150℃で6時間の乾燥処理を施すことを特徴とする請求項又は記載の建築物の内装材の製造方法。
  6. 工程(a)が、ライムケーキに、ライムケーキと等重量の貝殻粉末を混合することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の建築物の内装材の製造方法。
  7. 工程(b)が、前記第1の混合物と前記第1の混合物の20重量%の水酸化カルシウム(Ca(OH))、SiCaO、Al(SO、NHPO、CHCOOH、(NHSO、又は、Ca(POとを混合することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の建築物の内装材の製造方法。
  8. 工程(d)が、前記第3の混合物を、130kg/cmの圧力下で5分間加圧成形することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の建築物の内装材の製造方法。
  9. ライムケーキに貝殻粉末を混合し、水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO を混合し、水を加え、加圧成形し、熱処理を施したものであり、調湿機能を有することを特徴とする建築物の内装材。
  10. ライムケーキに貝殻粉末を混合し、水酸化カルシウム(Ca(OH) )、SiCaO 、Al (SO 、NH PO 、CH COOH、(NH SO 、又は、Ca (PO を混合し、水を加え、加圧成形し、炭酸ガス処理を施し、乾燥処理を施したものであり、調湿機能を有することを特徴とする建築物の内装材。
  11. 吸脱着する水蒸気量が0.87重量%〜1.3重量%であることを特徴とする請求項9又は10記載の建築物の内装材。
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