JP3998536B2 - 接合材料およびその製造方法、接合材料の供給方法ならびに電子回路基板 - Google Patents

接合材料およびその製造方法、接合材料の供給方法ならびに電子回路基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板を作製するための電子部品実装プロセスにおいて、配線と電子部品とを接合するため、より詳細には電気的および物理的(または機械的、以下同様)に接合するために使用される新規な接合材料およびその製造方法に関する。また、本発明は、このような接合材料の供給方法および該接合材料を用いて得られる電子回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器などに用いられる電子回路基板の製造プロセスにおいて、電子部品を基板に実装するため、より詳細には、電子部品の所定の箇所(例えば電極またはリード、端子もしくはターミナル、以下、単に電極とも言う)と、基板に形成された配線の所定の箇所(例えばランド)とを電気的および物理的に接合するために用いられる方法の1つにリフローはんだ付けがある。リフローはんだ付けは、概略的には、基板に形成された配線(配線パターンとも言う)のランドの上にはんだを含む接合材料を供給し、その後、電子部品をランド上に適切に配置し、基板を熱処理することにより電子部品の電極と配線とをはんだ付けするものである。
【0003】
このリフローはんだ付けにおいては、従来、接合材料としてクリームはんだが用いられており、接合材料であるクリームはんだを基板上に形成された配線パターンのランド上に供給するために、通常、スクリーン印刷法が用いられている。このような従来の方法について以下に説明する。まず、基板上のランドに対応するように所定の形状の開口部が所定の箇所に設けられた、厚さ80〜150μmのメタルマスク(またはスクリーン版)を、その開口部が基板上のランドと合わさるようにして基板に接触させて配置する。そして、基板上に配置したメタルマスク上の一方の端部付近にクリームはんだ(接合材料)を供給する。次に、スキージを基板面に対して平行移動させてメタルマスク上にあるクリームはんだをならすことによって、メタルマスクに設けられた開口部に該接合材料を充填する。その後、メタルマスクを基板から離して、メタルマスクとその上にあるクリームはんだを基板から除去する。このとき、開口部に充填されたクリームはんだはメタルマスクを通り抜けて、即ち「版抜け」して、基板上の配線のランド上に残留し、これにより、クリームはんだが配線パターンのランド上に供給される。一般に、接合材料が供給されるべきランドは基板上に複数存在しており、所定のパターンを構成しているため、接合材料は、該パターンに対応した接合パターンを有してランド上に供給される。
【0004】
スクリーン印刷法において用いられるクリームはんだは、通常、スズおよび鉛を主成分とする直径10〜40μmのはんだ粉末と、ロジン、活性剤および溶剤から成るフラックスとが混合されて成り、その粘度は、常温(代表的には25℃)で約200Pa・s程度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、携帯電話などの携帯用電子機器の小型化および高機能化に対する要求を受けて、電子回路基板の更なる高集積化を図るべく、基板に実装される電子部品の小型化ならびに電子部品の電極間の狭ピッチ化が進行している。これに伴って、電子部品実装のためのランドの更なる微小化が求められ、電子部品を接合するための接合材料をより微小なランド上に供給すること、換言すれば、接合材料から成る接合パターンの更なる微細化が求められている。
【0006】
しかし、メタルマスクを用いる従来のスクリーン印刷法により、このような微小なランドの上に接合材料であるクリームはんだを供給すると、クリームはんだが版抜けせずに開口部に残留し、クリームはんだが配置されていないランドが存在し得るという問題がある。この問題を克服するために、例えば、メタルマスクの厚みをより薄くすることも考えられるが、この場合には、ランドに印刷される接合材料の厚みもより薄くなり、また、接合材料がランドにかすれた状態で印刷されやすくなるため、ランドに供給される接合材料が少量となり、リフロー後に形成されるランドと電子部品との間の接合強度を高く維持できないという新たな問題が生じ得る。このような問題点があることから、接合材料としてクリームはんだを用い、該クリームはんだをスクリーン印刷法により基板に供給することは、微細な接合パターンを形成するのに十分満足できるものではない。
【0007】
これらの問題に加えて、接合材料として一般的に用いられるクリームはんだ自身に起因する問題もある。クリームはんだには、印刷性を良くするためにチキソ剤が通常添加されているが、このチキソ剤の物性が応力に対して変化し易いため、クリームはんだの流動特性が変化し易くなる。このため、印刷時におけるクリームはんだの取扱いが難しく、基板への印刷状態の制御が困難であり、高い再現性が得られないという問題がある。
【0008】
また、スクリーン印刷法自体にも、いわゆる機種切り替え性に劣るという問題がある。近年、同一品種を大量に生産する従来の生産方式から多品種少量生産へと移り変わる中、基板に形成すべき接合パターンを切り替える毎に、メタルマスクの交換および洗浄などの作業を行う必要があり、多品種少量生産において高い生産効率を得る妨げとなる。
【0009】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、電子部品の実装において、基板に形成された配線と電子部品とを接合する、より詳細には電気的および物理的に接合する(または導電接続する)ために好適に用いられる新規な接合材料およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ところで、OA用途などにおいてインクを用いて紙に文字や画像等を印刷する方法の1つに、インクジェット印刷法があり、常温で液体のインク(液体インク)を用いる方式(即ち、液体インク方式)と、常温で固体のインク(いわゆるソリッドインク)を溶融させて用いる方式(即ち、ソリッドインク方式)とがあることが知られている。いずれの方式も、少なくとも印刷時の温度において低い粘度を有するインクをインクジェットノズルから吐出させて対象物にインクを付着させるものである。
【0011】
また、FA用途の例として、電子回路基板の製造プロセスにおいて、配線パターン(または電気回路パターン)を形成するために、液体インク方式のインクジェット印刷法により配線材料を基板に印刷する方法がある。例えば、特開平10−204350号公報には、硫黄化合物が吸着した金などの金属微粒子を液体溶媒中に含む「インク」をインクジェットヘッドから基板に向けて吐出させ、「インク」中の溶媒等を乾燥させることにより、配線パターンを形成する方法が記載されている。
【0012】
本発明者は、基板に形成された配線と電子部品とを電気的および物理的に接合する接合材料を基板上に印刷するために、スクリーン印刷法に代えてインクジェット印刷法の原理を利用することについて検討した。
【0013】
接合材料をインクジェット印刷法により印刷するためには、接合材料が少なくとも印刷時の温度において、インクジェット印刷法に適した低い粘度を有することが必要であると考える。また、配線と電子部品とを電気的および物理的に接合するためには、一般的にインクに含有されている着色剤(例えば顔料または染料)、あるいは上記公報における金などの金属微粒子に代えて、比較的低融点のはんだ材料から成る粒子(以下、単にはんだ粒子とも言う)を用いることが好ましいと考える。更に、はんだ粒子を配線上に確実に供給するためには、はんだ粒子が接合材料中で実質的に一様に分散していることが望ましいと考える。
【0014】
そこで、本発明者は、新規な接合材料の実現を試みて、平均粒径が約20μmのはんだ粒子を含む従来のクリームはんだをイソプロピルアルコールで希釈して、25℃にて0.05Pa・s以下の粘度を有する新規な液体インク型の接合材料を作製した。しかし、このようにして得られた接合材料においては、はんだ粒子は、分散媒であるイソプロピルアルコールに一様に分散せずに沈殿分離するという難点があった。
【0015】
また、本発明者は、平均粒径が約20μmのはんだ粒子を、加熱により溶融状態としたパラフィンワックス(一般的には融点 約47〜75℃)に添加して混合し、120℃にて0.05Pa・s以下の粘度を有し、常温(代表的には25℃)にて実質的に流動性を有さない新規なソリッドインク型の接合材料を作製した。しかし、このようにして得られた接合材料を加熱してパラフィンワックスを溶融させると、上記の液体インク型のものと同様に、はんだ粒子は分散媒であるパラフィンワックスに一様に分散せずに沈殿分離するという難点があった。
【0016】
粒子の沈降速度は、一般的に、粒子の粒径および分散媒に対する粒子の比重(または密度)に依存することが知られている。このことを考慮して、本発明者は、上記のような沈殿分離は、はんだ粒子の粒径が、分散媒に分散可能な程度に十分小さくなく、かつ、はんだ粒子の比重が分散媒の比重に対して相当大きいことに一因があると考えた。このような知見から、はんだ粒子の粒径を分散媒に分散可能な程度に十分小さくすること、および、はんだ粒子の比重を分散媒の比重に対して減少させることの少なくとも一方を実現することによって、はんだ粒子の分散性を向上させることができると考える。
【0017】
上記に例示した公報に記載される配線パターン形成用の「インク」に含まれる金属微粒子もまた、はんだ粒子と同じく比重の大きな金属から成る。しかし、この金属微粒子は、配線パターン形成のための配線材料として一般的に用いられる金などの単体金属から成ればよいので、例えば析出法などにより、いわゆるコロイド粒子に相当するような十分に小さい粒径、例えば約1μm以下の平均粒径を有するものを容易に製造することができる。よって、上記公報の「インク」(配線パターン形成用の配線材料)の場合は、金属微粒子が、分散媒(溶媒)の比重に比して相当大きい金などから成っていても、金属微粒子の平均粒径を十分に小さくすることによって、金属微粒子の沈降速度を小さくし、溶媒中で十分に分散させることが可能であると考えられる。
【0018】
これに対してはんだ粒子は、合金であるはんだ材料から成るために析出法により製造できず、一般的にはアトマイズ法により、溶融状態のはんだ材料を噴霧し、そのまま凝固させることによって製造される。よって、その製法上、溶媒中で実質的に一様に分散し得るような、粒径の小さなはんだ粒子を得ることは難しい。例えば、市販のはんだ粒子の粒径は、一般的には約5μm以上、主に約10〜30μmである。このため、市販のはんだ粒子では、分散媒に比べて比重が大きく、かつ、その粒径が大きいために、沈降速度が大きく、分散媒中で沈降分離しやすいと考えられる。
【0019】
本発明者は更なる鋭意検討の結果、上記のようなはんだ粒子に特有の問題を解決し、スクリーン印刷法を用いることなく、インクジェット印刷法の原理を利用して、基体(例えば基板などの被印刷体)上に所望のパターンで正確に供給(印刷)することが可能な新規な接合材料を実現するに至った。
【0020】
本発明の1つの要旨によれば、約250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子であって、樹脂材料を含むコート層で被覆された金属粒子と、コート層で被覆された金属粒子を分散させる分散媒と、コート層で被覆された金属粒子を分散媒に分散させるための分散剤とを含んで成り、約0.05Pa・s以下、好ましくは約0.005〜0.02Pa・sの粘度を有する、接合材料が提供される。この接合材料は、基体に形成された配線と電子部品とを接合するための接合材料として好適に用いられ、基体に供給される時の温度にて上記の粘度を有するものである。
【0021】
ここで、「基体に供給される時の温度」とは、基体に形成された配線と電子部品とを接合するために接合材料を基体に供給(または印刷)する直前の接合材料の温度を言い、インクジェット印刷法により印刷する場合においてはインクジェットノズルから接合材料を吐出する直前、従って、接合材料が該ノズルに入る時の接合材料の温度を言い、実際には、例えばインク室内にある時の接合材料の温度で代表される。以下、単に「印刷時の温度」とも言う。
【0022】
上記のような本発明の接合材料は、少なくとも印刷時の温度において約0.05Pa・s以下の粘度を有すればよく、常温(代表的には約25℃)にて、流動性を有する液状物(例えばゾル)であってよく、また、実質的に流動性を有さない固形物(例えばゲル)であってもよい。通常、静置しておいたある対象物を傾け、対象物に加わる重力の向きを相対的に変化させても対象物が実質的に変形しなければ、「実質的に流動性を有さない」と言える。
【0023】
本発明の1つの態様においては、印刷時の温度は常温、具体的には約5〜50℃の範囲内の温度、代表的には約25℃である。このような温度において接合材料は液状である。本発明のこのタイプの接合材料は、インクジェット印刷技術の分野において公知のいわゆる液体インクに対応するものとして理解され得るであろう。以下、本発明のこのタイプの接合材料を液体インク型接合材料とも言うものとする。
【0024】
また、本発明の別の態様においては、印刷時の温度は常温よりも上昇した温度、具体的には約100〜160℃の範囲内の温度、代表的には約120℃である。このような温度において接合材料は液状であるが、常温、具体的には約5〜50℃の範囲内の温度、代表的には約25℃においては実質的に流動性を有さない(または固体状である)。本発明のこのタイプの接合材料は、インクジェット印刷技術の分野において公知のいわゆるソリッドインクに対応するものとして理解され得るであろう。以下、本発明のこのタイプの接合材料をソリッドインク型接合材料とも言うものとする。
【0025】
尚、上記の所定の粘度の値は、少なくとも印刷時の温度において得られればよく、例えば約5〜50℃の範囲または約100〜160℃の範囲の全範囲において得られることを要しないことに留意されたい。換言すれば、本発明に規定する所定の粘度の値が、このような範囲内にあるいずれかの温度にて得られればよい。
【0026】
以下の本発明の説明は、特に断わりのない限り、液体インク型接合材料およびソリッドインク型接合材料のいずれにも該当するものとして理解されるべきである。
【0027】
上記のように、本発明の接合材料は、印刷時の温度(例えば約5〜50℃または約100〜160℃の範囲内の温度、代表的には25℃または120℃)において約0.05Pa・s以下の低い粘度を有するので、インクジェット印刷法の原理を利用して基体に向けて吐出することができる。尚、本明細書において「粘度」とは、接合材料全体の粘度を言い、E型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、所定の温度にて、50rpmの条件下にて測定される。
【0028】
接合材料の粘度は、接合材料中の金属粒子の含有割合、ならびに金属粒子を被覆するコート層の形態等にもよるが、分散媒自身の粘度により大きく影響される。よって、分散媒には、他の影響因子を考慮しつつ、接合材料の粘度を印刷時の温度にて約0.05Pa・s以下とするのに適した材料が選択される。
【0029】
分散媒としては、有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールなどのアルコール系有機溶媒、および、例えばブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテルとも呼ばれる)などのカルビトール系有機溶媒(グリコールエーテル系有機溶媒とも呼ばれる)などが用いられ得る。あるいは、分散媒に水を用いてもよい。また、分散媒は、2種以上の液体の混合物であってもよい。分散媒は、金属粒子の融点よりも低い沸点を有することが好ましい。
【0030】
分散媒は、有機溶媒または水に加えて、他の成分、例えば後述する酸化防止剤(または酸化除去剤)などを含んでいてよい。
【0031】
特に、ソリッドインク型接合材料の場合には、常温、例えば約5〜50℃にてソリッドインク型接合材料が実質的に流動性を有さないようにするために、印刷時の温度(例え約100〜160℃の範囲内の温度)よりも低い融点を有する添加剤を用いることが好ましい。この添加剤は、通常は分散媒中に存在する。添加剤には、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ファインワックス(日本化成株式会社製、α-オレフィンと無水マレイン酸との共重合物)などの種々のワックス、および、酸価の比較的小さい、例えば1〜5の酸価を有するロジンなどの、印刷時の温度よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂が用いられ得る。尚、特に断わりのない限り、「ロジン」とは、はんだ付けに一般的に用いられるはんだ用のロジンを言うものとする。はんだ用のロジンは酸価が比較的大きく、1つの例として、約230〜240の酸価を有し、120℃で約100Pa・sの粘度を有する。これに対し、酸価の比較的小さい、例えば1〜5の酸価を有するロジンは、常温では実質的に流動性を有しないが、120℃の温度では溶融し、液体状態となるので、はんだ用のロジンとは区別され得る。
【0032】
また、本発明の接合材料によれば、樹脂材料を含むコート層で金属粒子が被覆されている。樹脂材料は、一般に金属材料より比重が小さいので、金属粒子とこれを被覆するコート層とを併せた粒子全体の比重(以下、「金属粒子のみかけ比重」とも言う)は、金属粒子単独の比重よりも小さくなる。従って、樹脂材料を含むコート層で金属粒子を被覆することによって、金属粒子単独の場合に比べて、沈降速度をより小さくすることができ、金属粒子の分散性を向上させることができる。
【0033】
コート層に含まれる樹脂材料は、後述するように配線と電子部品との間の物理的および電気的接合を容易に確保できるように熱可塑性(または熱溶融性)であることが好ましく、かつ、印刷時の温度(例えば約5〜50℃または約100〜160℃の範囲内の温度)にて樹脂材料が溶融してコート層が変形し、金属粒子から分離しないように、少なくとも印刷時の温度よりも高い融点を有することが好ましい。コート層に含まれる樹脂材料には、例えば、ロジン(上記のはんだ用のロジン)、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であって、印刷時の温度よりも高い融点を有するものを用い得、好ましくはロジンである。
【0034】
コート層は、金属粒子を実質的に被覆する限り(金属粒子を完全に被覆せず、一部が露出していてもよい。)、どのような形態のものであってもよいが、例えば、上記のような樹脂材料から成る樹脂粒子の集合体の形態であってよく、樹脂粒子が変形して部分的に合一化しててもよく、また、樹脂材料から成る連続層の形態であってよい。
【0035】
尚、コート層は、上記のような樹脂材料から成り得るが、樹脂材料に加えて微量の他の成分、例えば後述する酸化防止剤(または酸化除去剤)などを含んでいてよい。
【0036】
本発明によれば、上記のようなコート層によって金属粒子のみかけ比重がより小さくされ、金属粒子がより一様に分散される(換言すれば、金属粒子の分散性が向上する)ので、接合材料中で金属粒子が沈降分離することが効果的に低減される。よって、本発明の接合材料をインクジェット印刷法の原理により基体に印刷すれば、基体上の所定の箇所、より詳細には基体上に形成された配線の所定の箇所に、金属粒子を確実に供給することができる。尚、本発明の接合材料をインクジェット印刷法の原理により基体に印刷した後、必要に応じて基体を乾燥条件下(例えば加熱条件下)に配置して、接合材料中の分散媒、例えば有機溶媒または水を蒸発させて除去してもよい。分散媒を除去する観点からは、分散媒の沸点が金属粒子の融点よりも低いことが好ましい。
【0037】
特に、本発明のソリッドインク型接合材料によれば、例えば運搬および貯蔵時などの常温下では、実質的に流動性を有さない(または固体状である)ので、金属粒子が接合材料中に実質的に動けない状態閉じ込められ、印刷に際して加熱溶融状態とされてはじめて自由に動けるように(または浮遊状態と)なる。よって、ソリッドインク型接合材料は、常態的に液状の形態である本発明の液体インク型接合材料に比べて、金属粒子が沈降し得る浮遊状態にある時間が短く、より高い分散性を得ることができる。
【0038】
また、本発明の接合材料は、コート層で被覆された金属粒子を分散媒に分散させる分散剤を含むので、金属粒子の凝集を防ぎつつ、金属粒子の分散性をより一層向上させることができる。
【0039】
分散剤には、一般的な分散剤、例えば多価アルコール型非イオン界面活性剤、アミン塩型カチオン界面活性剤、およびポリカルボン酸アミン塩などを用いることができる。
【0040】
また、本発明の接合材料においては、金属粒子は約250℃以下の融点、例えば約180〜230℃の融点を有する金属材料から成り、このような融点は、配線パターン形成用の配線材料に用いられる金などに比べて極めて低い。尚、本明細書において「融点」とは、対象の材料が少なくとも部分的に溶融し始める温度を言うものとする。
【0041】
このような金属材料としては、例えばいわゆるはんだ材料を用いることができる。はんだ材料は鉛を含んでいても、鉛を含んでいなくてもよいが、環境への影響を考慮すれば、鉛を含まない鉛フリーはんだ材料が好ましい。鉛を含有するはんだ材料には、例えばSn−Pb系材料があり、他方、鉛フリーはんだ材料には、例えばSn−Ag系材料、Sn−Ag−Cu系材料、Sn−Bi系材料、Sn−Cu系材料、Sn−Cu−Ni系材料、Sn−Ag−Bi系材料、Sn−Ag−Bi−In系材料、Sn−Ag−Bi−Cu系材料、Sn−Zn系材料、Sn−Zn−Bi系材料などがある。尚、「〜系材料」は、その材料系についての共晶組成およびその近傍の組成であることが好ましく、該共晶組成から大幅にずれない程度に微量の他の成分を含み得る材料を言うものとする。
【0042】
金属材料は、好ましくはSn−3.0Ag−0.5Cuなどである。尚、各数値は、金属材料全体基準での各金属元素の重量%の値であり、いずれも残部はSn元素から成るが、これら金属材料は不可避的に混入する元素を含んでいてもよい。
【0043】
本発明によれば、このように約250℃以下の低い融点を有する金属材料から成る金属粒子を用いているので、本発明の接合材料を基体に供給(または印刷)し、電子部品を基体に適切に配置した後、金属粒子をその金属材料の融点以上に加熱して一旦溶融させ、そして冷却または放冷して再び凝固させることができる。通常、このとき、複数の金属粒子を構成していた金属材料が溶融して一体化し、電子部品と基板との間を接合した状態で再び凝固する。この結果、再び凝固した金属材料を介して電子部品を基板(より詳細には配線)に電気的および物理的に接合することができる。
【0044】
尚、接合材料の構成要素のうち、例えば有機溶媒(アルコール系有機溶媒およびカルビトール系有機溶媒を含む)または水などの分散媒は、加熱により蒸発除去され得るが、分散剤、コート層に含まれていた好ましくは熱可塑性の樹脂材料、ソリッドインク型接合材料の場合に含まれる添加剤などは加熱によっても除去されず、金属材料と同じく基体上に残留し得る。しかし、このようなコート層(樹脂材料)および分散剤、ならびに、添加剤を含む場合には添加剤は、金属材料に比べて少量であるので、金属材料による接続、特に電気的接続(または導通)を妨げる程ではない。
【0045】
従来の接合材料であるクリームはんだ用として、上述したように5μm以上、主に10〜30μmの直径を有するはんだ粒子(粉末)が市販されている。しかしながら、本発明の接合材料を構成する金属粒子としては、より小さい直径(代表的には平均粒径)を有するはんだ粒子を用いることが好ましいと考えられる。当業者にはよく理解されるように、粒子径が小さいほど金属粒子の沈降速度は小さくなり、よって金属粒子の沈降分離をより効果的に低減できるからである。しかし、金属粒子の直径が小さ過ぎると、金属粒子(より詳細にはコート層で被覆された金属粒子)同士が凝集して沈殿分離することがあり、好ましくない場合がある。
【0046】
本発明の好ましい態様においては、金属粒子は、約1〜500nmの平均粒径を有し、例えば約10〜100nmの平均粒径を有する。金属粒子の平均粒径を約1〜500nmとすれば、接合材料は少なくとも印刷時の温度(例えば約5〜50℃または約100〜160℃の範囲内の温度、代表的には25℃または120℃)においてコロイド状態となり、金属粒子はコロイド粒子として実質的に一様に分散し得る。本発明者は、種々のサイズの金属粒子を用いてテストした結果、接合材料の製造、印刷精度(または画質)、および接合部の形成の観点からも、上記のような平均粒径を有する金属粒子を用いることが好ましいことを見出した。
【0047】
約1〜500nmの平均粒径を有し、かつ250℃以下の融点を有する金属粒子(例えばはんだ粒子)は、例えばガス中蒸発法や液相法などにより作製できることが知られている。
【0048】
しかし、本発明はこれに限定されず、例えば約8μm以下の平均粒径を有する金属粒子、例えば現時点で市販されているような約5μm以上、主に約5〜8μmの平均粒径を有するようなはんだ粒子を用いることも可能であり、特に約1〜2000nmの平均粒径を有する金属粒子を用い得る。
【0049】
本発明は、はんだ粒子の分散性を向上させるために、はんだ粒子の見かけ比重を減少させることを実現するという観点から完成されたものであり、好ましい態様において、はんだ粒子の粒径を分散媒に分散可能な程度に十分小さくするものである。しかし、当業者であれば、はんだ粒子の粒径を分散媒に分散可能な程度に十分小さくすることが実現される限り、はんだ粒子の見かけ比重を減少させるためのコート層をなくすことも考えられるであろう。
【0050】
尚、本明細書において粒子とは、例えば球形、回転楕円体形状および不定形などの任意の形状を有し得る粒状物を言い、粒径とは、粒子が球形を有するとの仮定に基づいて得られる粒子の寸法を言い、粒子から成る粒状材料の平均粒径により代表され得る。粒子の集合物である粒状材料の粒径分布は、レーザ回折・散乱法により求めることができ、例えばMICROTRAC FRA(日機装株式会社製)を用いて求めることができる。粒子の平均粒径は、そのようにして得られる粒状材料の粒径分布から求められる体積平均の粒径である。
【0051】
本発明の接合材料において、コート層の樹脂材料の量は、金属粒子を十分に被覆し得る量であるように決定することが好ましい。また、最終的に接合材料に含まれる分散媒の全体量は、接合材料の粘度が、所定の印刷時の温度にて約0.05Pa・s以下となるように予め決定され得る。更に、接合材料中の金属粒子の占める割合は、電子回路基板を作製した場合に、電子部品と配線との間の導通をとることができる割合とすることが好ましい。
【0052】
例えば、本発明の接合材料においては、金属粒子100重量部(換言すれば金属材料100重量部、以下同じ)に対して、樹脂材料が約5〜30重量部、好ましくは約15〜25重量部で、分散媒(但し、ソリッドインク型接合材料の場合に含まれる添加剤を除く)が約100〜200重量部、好ましくは約150〜175重量部で、分散剤が約20〜80重量部、好ましくは約30〜70重量部で存在し得る。尚、樹脂材料は金属粒子を被覆するコート層を構成するためのものであるが、その一部が、分散媒中に単独で分散していても、また、分散媒に溶解していてもよい。
【0053】
特に、ソリッドインク型接合材料の場合には、上述したようにワックスなどの添加剤を更に含み得るが、添加剤は、金属粒子100重量部に対して、約1〜10重量部、好ましくは約2〜7重量部で存在し得る。
【0054】
本発明の接合材料においては、コート層に含まれる樹脂材料として、それ自体が酸化防止機能を有するもの、例えばはんだ用のロジンを用いることが好ましいが、このような樹脂材料を用いない場合、あるいはこれを用いる場合にも、本発明の接合材料は、金属粒子の酸化を防止するための酸化防止剤や、酸化膜を除去するための酸化除去剤を更に含んでいてよい。酸化防止剤および/または酸化除去剤には、例えばフラックスおよび/または活性剤などを用いることができる。活性剤には、ハロゲン基を有するハロゲン化合物(例えば1,3−ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩など)および/または−COOH基または−OH基を有する有機酸化合物(例えばアジピン酸およびステアリン酸など)がある。酸化防止剤および/または酸化除去剤は、金属粒子100重量部に対して、例えば約1〜10重量部、好ましくは約2〜5重量部で含まれる。
【0055】
また更に、本発明の接合材料は、微量の他の成分、例えば金属粒子および/またはコート層(樹脂材料を含む)を改質するための成分などを含んでいてよい。
【0056】
上述のような本発明の接合材料は、例えば、約250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、樹脂材料から成る樹脂粒子と、分散剤と、分散媒の一部とを予め混合(または混練)し、これにより得られた予備混合物に残りの分散媒を加えて更に混合することにより製造することができる。予備混合物は、金属粒子が樹脂粒子で十分に被覆されるように、ペースト状であることが好ましく、よって、予備混合を得る際に混合されるべき分散媒は液状で、かつ、金属粒子および樹脂粒子の量に比べて少量とすることが好ましい。その後、残りの、液状の分散媒を予備混合物に添加して更に混合することにより、金属粒子が樹脂粒子で被覆され(樹脂粒子は、全体として、金属粒子を被覆するコート層を形成する)、樹脂粒子で被覆された金属粒子が互いに凝集することなく、液状の分散媒中に分散された混合物を得ることができる。予備混合および更なる混合は、分散媒が液体状態にあるような温度にて実施されるが、例えば、室温または常温(例えば約5〜50℃の範囲内の温度、代表的には25℃、以下同じ)にて実施され得る。このようにして得られる混合物は、常温で液状であるので、液体インク型接合材料として用いることができる。
【0057】
本発明の1つの態様においては、以上のようにして得られる混合物に添加剤が加えられる。添加剤を一旦溶融状態として、好ましくは撹拌または混合して常温下に置くことにより、常温で液状であった混合物の流動性を失わせ、固体状とする。例えば、添加剤は、混合物に加える前に加熱により溶融状態とされていてもよいが、混合物を添加剤の融点以上に加熱しおき、これに常温で固体の粉末状の添加剤を加えてもよい。このようにして得られる混合物は、ソリッドインク型接合材料として用いることができる。
【0058】
分散剤を含む接合材料を得る場合には、予備混合を行う際に分散剤をあわせて混合しても、予備混合により得られた混合物に残りの分散媒を加える際に分散剤をあわせて更に混合してもよい。また、酸化防止剤(または酸化除去剤)を含む接合材料を得る場合には、予備混合を行う際に酸化防止剤をあわせて混合してもよく、また、酸化防止剤としてアジピン酸およびステアリン酸などの活性剤を用いる場合には、予備混合の前に、金属粒子をアジピン酸およびステアリン酸などの活性剤で前処理しておいてもよい。
【0059】
このような製造方法において最終的に混合される金属粒子、樹脂材料、分散媒の割合、分散剤および場合により酸化防止剤の割合は、本発明の接合材料に関して上述した通りであり得るが、このうち金属粒子と共に予備混合される「分散媒の一部」の量は、金属粒子100重量部に対して、約3〜20重量部、好ましくは約5〜15重量部であり、「残りの分散媒」の量は、金属粒子100重量部に対して、約100〜200重量部、好ましくは約120〜180重量部である。
【0060】
しかし、本発明の接合材料の製造方法はこれに限定されず、任意の適切な他の方法により本発明の接合材料が製造され得る。例えば、樹脂材料から成る樹脂粒子を用いて、表面溶融化処理(サーフュージョン)または機械的表面処理(メカノケミカル反応)により、樹脂粒子の樹脂材料から実質的に成るコート層(場合により酸化防止剤などを含み得る)で金属粒子を被覆し、これにより得られた粒子を分散剤と共に分散媒に添加して混合する(例えば液体インク型接合材料の場合には常温で、ソリッドインク型接合材料の場合には分散媒を溶融させ得る加熱条件下で混合する)ことによっても、本発明の接合材料を製造することができる。このようにして得られる接合材料においては、樹脂材料から成る単層のコート層で金属粒子が被覆される。尚、表面溶融化処理は、例えば、サーフュージングシステム(日本ニューマチック工業株式会社製)を利用して実施され得、機械的表面処理は、例えば、メカノミル、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)や、メカノフュージョン(登録商標)システム(ホソカワミクロン株式会社製)を利用して実施され得る。
【0061】
本発明の別の要旨によれば、上記のような本発明の接合材料の供給方法もまた提供される。本発明の接合材料を用いれば、インクジェット印刷法の原理により、金属粒子を好ましくは実質的に均一に分散媒に分散させた状態で、接合材料を基体上に、より詳細には配線の所定の箇所上に、所望のパターンで正確に供給(または印刷)することができる。尚、配線の「所定の箇所」とは、通常、電子部品を配線に接続する場合に用いる配線の一部分を言い、例えばいわゆるランドである。
【0062】
接合材料が供給される基体は一般的に常温であるので、インクジェット印刷法により基体上に供給された接合材料は、通常、液体インク型接合材料の場合は液体状態のままであり、ソリッドインク型接合材料の場合は、基体や周囲雰囲気に熱を奪われて流動性を失い、固体状となる。
【0063】
印刷環境等にもよるが、有機溶媒または水などの分散媒は、印刷の際、またはその後、その一部または実質的に全部が蒸発(揮発)してもよく、また、必要に応じて、基体を加熱するなどして乾燥条件下に配置して(または、分散媒の沸点以上に加熱して)、接合材料中の分散媒、例えば有機溶媒または水を積極的に蒸発させて除去してもよい。
【0064】
このような接合材料の供給(または印刷)には、接合材料のタイプ、即ち液体インク型かソリッドインク型かに応じて、液体インク方式またはソリッドインク方式のインクジェット印刷法による印刷機構を備える装置、例えば製品に直接印字する産業用の印刷技術および/または紙に印字するオフィス向け(またはOA用)の印刷技術の分野において一般的に使用されるようなインクジェットプリンタや、これと同様の原理を利用した装置等を用いることができる。
【0065】
インクジェット印刷法には、上記のような印刷技術の分野において既知の種々のタイプのもの、例えばピエゾ方式およびサーマル方式などのオンデマンド(DOD:Drop On Demand)タイプのものなどを使用することができる。
【0066】
更に、上記の接合材料供給方法により、接合材料が供給された基体に、電子部品を接合材料(分散媒の一部または実質的に全部が蒸発した場合には残りの接合材料)と接触するようにして配置し、この基体を、接合材料の金属粒子を構成する金属材料の融点以上の温度に加熱して金属材料を溶融させ、その後、基体を放冷または冷却して金属材料を凝固させると、凝固した金属材料により電子部品が基体(より詳細には配線)に電気的および物理的に接合される。
【0067】
特にソリッドインク型接合材料の場合は、接合材料が供給された基体に電子部品を配置する前に、接合材料が半溶融状態となる程度に予め基体を加熱することが好ましい。これにより、半溶融状態の接合材料に電子部品を接触させて配置することにより、電子部品を基体に付着させる(または仮固定)することができる。尚、半溶融状態とは、ソリッドインク型接合材料が、基体に供給された際の形状を維持しながら、基体上で広がらない状態を言う。他方、液体インク型接合材料の場合には、このような熱処理をしなくても、接合材料が常温で液状であるので、その表面張力および、場合により粘着性によって、電子部品を基体に付着させることができる。
【0068】
好ましくは、上記加熱は、例えば水素プラズマ雰囲気などの還元雰囲気下にて行われる。これにより、金属粒子の表面に存在し得る酸化膜を除去し、金属粒子の溶融を促進することができる。
【0069】
従って、基体として基板(または回路用基板、例えばいわゆる配線基板およびプリント基板等)を用いれば、本発明の接合材料によって電子部品が基板に接合された電子回路基板およびその製造方法もまた本発明により提供される。
【0070】
このような本発明の接合材料供給方法、ひいては電子回路基板およびその製造方法によれば、金属粒子を含む接合材料を、インクジェット印刷法により達成され得る印刷精度(または解像度もしくはファイン性)で正確に供給することができるので、接合パターンの微細化に対応することができる。また、インクジェット印刷法によれば、印刷すべき接合パターンを変更する際に、スクリーン印刷法のようにメタルマスクを取り換える作業を要せず、例えば印刷すべき接合パターンに関する電子データをインクジェットプリンタに送信するだけで容易に変更することができ、多品種少量生産に適するという利点がある。更に、本発明の接合材料はクリームはんだのように取扱いが困難でないので、基板への印刷状態の制御が比較的容易であり、電子回路基板製造の歩留まりを向上させることができるという利点もある。
【0071】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態は、液体インク型接合材料およびその製造方法に関する。図1は、本実施形態における液体インク型接合材料の概略模式図である。
【0072】
図1に示すように、本実施形態の液体インク型の接合材料10は、金属粒子1と、金属粒子1を被覆するコート層2と、常温(代表的には25℃、以下同じ)で液体の分散媒3とを含んで成り、常温で流動性を有する液状物である。以下、このような液体インク型の接合材料10について、その製造方法の説明を通じて詳述するものとする。
【0073】
まず、金属粒子1と、コート層2を形成するための樹脂粒子とを準備する。
【0074】
この金属粒子1は、約250℃以下の融点、例えば約180〜230℃の融点を有する金属材料から成る。このような低融点の金属材料としては、上記に詳述したようなはんだ材料を用い得る。本実施形態においては、金属材料としてSn−Pb系材料(より詳細には、Sn−37Pb)を用いた。
【0075】
金属粒子1のサイズについては、その平均粒径が約1〜500nmとなるように選択される。平均粒径が約1nmより小さい金属粒子を用いると、金属粒子同士が凝集し、沈降し易くなって分散性が低下すると共に、そのように凝集した金属粒子は印刷の際にノズル部分で詰まり得るので、印刷の質(画質)の低下を招くおそれがある。他方、金属粒子の平均粒径が500nmより大きいと、凝集しにくいが、そのままの大きさで沈降し易く、また、印刷の際にノズル部分で詰まって印刷の質の低下を招き得る。しかし、本発明のように金属粒子1の粒径を適切に選択することにより、以上のような問題を回避することができる。本実施形態においては、金属粒子1の平均粒径を約50nmとした。
【0076】
このようなはんだ材料から成る微小な金属粒子1は、例えばガス中蒸発法や液相法により製造することが可能である。しかし、本発明はこれに限定されず、金属粒子1は他の任意の適切な方法により製造され得る。金属粒子1は、例えば、アジピン酸およびステアリン酸などの活性剤(酸化防止剤)で前処理しておいてもよい。
【0077】
コート層2の材料となる樹脂粒子には、本実施形態においては熱溶融性樹脂の1種であるロジンから成る粒子(粉末)を用いるものとする。樹脂粒子のサイズについては、金属粒子を被覆することができる限り、特に限定されない。
【0078】
また、分散媒3には、水および有機溶媒のいずれを用いてもよいが、本実施形態においては、アルコール系有機溶媒の1種であるイソプロピルアルコールを用いるものとする。
【0079】
以上のような金属粒子1、樹脂粒子および分散媒3を、それぞれ約70重量部、約15重量部および約15重量部とする混合割合(換言すれば、金属粒子100重量部に対して、樹脂材料が約21重量部、分散媒が約21重量部)で予備混練する。このような予備混練は、例えば、金属粒子1、樹脂粒子、および分散媒3の混合物を3本ロールミルに通すことにより、室温、例えば常温で実施され得る。
【0080】
上記の予備混練の際、金属粒子1および樹脂粒子の量に対して分散媒(本実施形態においてはイソプロピルアルコール(アルコール系有機溶媒))を比較的少量で、例えば約5重量部(換言すれば金属粒子100重量部に対して約7.1重量部)混合することにより、樹脂粒子を、金属粒子の表面全体を覆うようにして金属粒子に付着させるように、ペースト状の予備混合物を得る。尚、このとき、樹脂粒子は、混合により変形してもよく、互いに部分的に合一化していてもよい。
【0081】
以上のようにして得られた予備混合物(ペースト)に、残りの分散媒として約150重量部(換言すれば金属粒子100重量部に対して約215重量部)のイソプロピルアルコール(アルコール系有機溶媒)と、分散剤として約40重量部(換言すれば金属粒子100重量部に対して約57重量部)のアミン塩型カチオン界面活性剤とを加え、ペーストを低粘度化する。より具体的には、ペーストと残りの分散媒とを混合機に投入し、高速回転で混合する。このような混合は、例えばT.Kホモディスパー fmodel(特殊機化工業製)を用いて、例えば回転数約500〜6000rpm、約5〜30分間に亘って、予備混合と同じく室温で実施され得る。
【0082】
この結果、ペーストは後から追加した残りの分散媒によって適切に希釈され、樹脂粒子(図示せず)の集合体から成るコート層2(但し、樹脂粒子が変形して互いに部分的に合一化していてもよい)で被覆された金属粒子1が凝集することなく、実質的に一様に分散した混合物として、液体インク型接合材料10が得られる。この液体インク型接合材料10において、樹脂粒子の一部が金属粒子を被覆することなく分散媒中に分散していてよい。得られる液体インク型接合材料10は、例えば25℃にて約0.015Pa・sの粘度を有し得る。
【0083】
以上のようにして得られる液体インク型接合材料10によれば、樹脂粒子で構成されるコート層2が金属粒子1を実質的に被覆して(但し、場合により多少露出していてもよい)、金属粒子1のみかけ比重が減少し、常温にて分散性の高い液体インク型接合材料10が得られる。このような液体インク型接合材料10を、液体インク方式のインクジェット印刷法の原理を利用して基体上に所定のパターンで印刷すれば、高い印刷特性で微細な接合パターンを確実に形成することができる。
【0084】
ここで、印刷環境にもよるが、印刷の際または印刷後、接合材料中の分散媒であるアルコール系有機溶媒(本実施形態ではイソプロピルアルコール)は部分的に揮発し易いことに留意されたい。また、場合により、印刷後、基体を加熱乾燥させて、アルコール系有機溶媒を除去してもよい。尚、アルコール系溶媒に代えてカルビトール系有機溶媒または水を用いてもよく、この場合も同様である。
【0085】
以上のようにして得られる本実施形態の接合材料は、実施形態2に後述するように、電子部品を基体の配線に電気的および物理的に接合し得るのに好適に利用され得、配線と電子部品との間の接合部において十分な接合強度および低い接合抵抗を確保することができる。
【0086】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1にて説明した液体インク型接合材料の供給方法、ならびに該液体インク接合材料を用いて電子部品が基板に接合された電子回路基板およびその製造方法に関する。本実施形態においては、電子部品が接合される基体として、配線パターンが形成された回路用基板(または配線板、配線基板もしくはプリント基板)を用いる。
【0087】
まず、実施形態1の液体インク型接合材料を液体インク方式のインクジェット印刷法の原理を利用して回路用基板(または配線板もしくは回路用基板)の表面に所定のパターンで供給し、印刷する。印刷時の接合材料の温度(例えばインク室内の温度)は、室温、例えば常温、具体的には約5〜50℃の範囲内の温度であり得る。このような温度にて低粘度の液状物である液体インク型接合材料を、インクジェットプリンタヘッドのノズルから回路用基板に向けて吐出させることにより、液体インク型接合材料が、回路用基板上に形成された配線の所定の箇所、例えばランド上に配置される。この結果、液体インク型接合材料が所定の接合パターンで供給される。供給された接合材料は、印刷環境にもよるが、分散媒の揮発などにより組成変化し得、また、印刷後に回路用基板を加熱乾燥させて分散媒(本実施形態ではアルコール系有機溶媒、より詳細にはイソプロピルアルコール)を蒸発させて除去してもよい。
【0088】
液体インク型接合材料の印刷は、液体インク方式のインクジェット印刷法を利用する印刷機構を備える装置、例えば印刷技術の分野において一般的に使用されるような液体インク方式のインクジェットプリンタや、これと同様の原理を利用した装置等を用いて実施され得る。
【0089】
一般的に、配線と電子部品とを電気的および物理的に接合する接合部は、良好な電気伝導性および十分な接合強度を達成できることが望ましい。従って、より多くの金属粒子を含み得るように、接合部がある程度の厚さ、例えば30〜100μmの厚さを有することが望ましい。これに対し、液体インク方式のインクジェット印刷法により印刷される接合材料から成る接合部は、一般に、ソリッドインク方式の場合に比べて薄い。液体インク型接合材料から成る接合部にある程度の厚さを付与するためには、例えば複数のインクジェットノズルから接合材料を同一箇所に重ねて吐出することが好ましい。また例えば、複数の印刷機構に回路用基板を通すか、1つの印刷機構に回路用基板を複数回通して、1つの回路用基板上に同じパターンで接合材料を重ねて印刷することにより、より厚い接合部を形成することもできる。
【0090】
次いで、以上のようして配線の所定の箇所(例えばランド)上に液体インク型接合材料が供給された回路用基板に、電子部品の所定の箇所(例えばリード)と接合材料とが少なくとも部分的に接触するようにして配置する。このとき、液体状態で基体に残留付着している分散媒の表面張力(および、コート層に含まれる樹脂材料が粘着性を示す場合にはその粘着性)によって、電子部品を回路用基板に付着させることができる。このようにして得られた回路用基板を熱処理に付して、液体インク型接合材料に含まれる金属粒子の金属材料の融点以上の温度、例えば約180〜230℃の温度にて加熱する。このような熱処理には、例えば一般的なリフロー装置を用い得る。
【0091】
回路用基板を熱処理に付すと、水またはアルコール系有機溶媒などの分散媒は、一般的に金属粒子の金属材料の融点よりも低い沸点を有するため、まず、接合材料中の分散媒は実質的に全部蒸発して除去される。例えば実施形態1にて分散媒として用いたアルコール系有機溶媒であるイソプロピルアルコールは約82.4℃の沸点を有し、金属材料として用いたSn−Pb系材料の約180〜190℃の融点よりも低い。
【0092】
また、実施形態1のように、コート層に含まれる樹脂材料として熱溶融性樹脂を用いる場合、一般的に金属材料の融点よりも低い温度で溶融(または軟化)するため、回路用基板を加熱すると、金属粒子を被覆するコート層を構成する樹脂材料(樹脂粒子)が溶融(または軟化)する。例えば、実施形態1にてコート層用の樹脂材料として用いた熱溶融性樹脂の1種であるロジンの軟化点は約120〜135℃であり、金属材料として用いたSn−Pb系材料の約180〜190℃の融点よりも低い。
【0093】
やがて金属粒子の金属材料がその融点以上に加熱されて溶融する。一般に金属粒子の表面には酸化膜が存在し得、この酸化膜は金属粒子の溶融を妨げ得るので、実施形態1のように、酸化防止機能を有する樹脂材料、例えばロジンから成る樹脂粒子を用いてコート層を形成したり、あるいは、水素プラズマ雰囲気にて熱処理を実施することにより、金属粒子表面に形成され得る酸化膜を除去し、金属粒子の溶融を促進することが好ましい。
【0094】
このようにしてコート層(樹脂粒子)の樹脂材料と金属粒子の金属材料とが溶融するとともに分散媒が除去されるが、一箇所(例えば1つのランド)に配置された接合材料に含まれていた樹脂材料および金属材料は、溶融状態で互いに相分離し、樹脂材料の相と金属材料の相とを該箇所上で形成すると考えられる。樹脂材料および金属材料の比重を考慮すれば、樹脂材料の相が上方に、金属材料の相が下方に位置すると考えられる。
【0095】
上記熱処理後、回路用基板を冷却(または放冷)すると、溶融状態の樹脂材料および金属材料がそのままの状態で凝固する。このとき、金属材料が集まって凝固することにより、回路用基板に形成された配線の所定の箇所(例えばランド)と電子部品の所定の箇所(例えばリード)とが金属材料で電気的および物理的に接合される。他方、金属材料に比べて少量の樹脂材料は、金属材料による電気的および物理的接続を妨げることなく、金属材料の表面を覆うようにして凝固すると考えられる。凝固した樹脂材料は、電子部品を回路用基板に物理的に接合する助けとなり得、また、本実施形態にて用いた液体インク型接合材料に占める樹脂材料の割合は金属材料に比べて小さいので、配線と電子部品との間において低い接合抵抗を得ることができる。尚、接合材料に含まれていた分散剤(および、場合により酸化防止剤)もまた、熱処理後も回路用基板に残留し得るが、金属材料に比べて少量なので、金属材料による電気的および物理的接続を妨げる程ではない。
【0096】
以上のようにして、実施形態1の液体インク型接合材料を液体インク方式のインクジェット印刷法により印刷した回路用基板に、電子部品を適切に配置し、この回路用基板を単に熱処理に付すだけで、電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合された電子回路基板を作製することができる。
【0097】
尚、上記のような樹脂材料および金属材料の溶融状態および凝固状態についての説明はあくまで例示であり、本発明の接合材料によって電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合され得る限り、本発明を限定するものではないことに留意されるべきである。このことならびに以下の説明は、後述の実施形態4についても同様に当て嵌まる。
【0098】
また、本実施形態においては基体として回路用基板を用いたが、本発明において接合材料が印刷される「基体」とは、配線が形成され、該配線と電子部品とを接合するための接合材料がその上に配置されるべきものを言うものと理解されるべきである。従って、「基体」は、回路用基板のようなシート状形態のものを包含するが、これに限定されるものではなく、配線が形成され、該配線の所定の箇所に電子部品を接合することを要するものであれば、いずれの形態(例えば筐体など)であってもよい。例えば、紙フェノール系材料、ガラスエポキシ系材料、ポリイミドフィルム系材料、セラミック系材料、および金属系材料などから成る基体に配線が形成された回路用基板(または配線板、配線基板もしくはプリント基板)および多層積層基板(例えばビルドアップ基板)などを本発明に用いることができる。
【0099】
上記のような基体に形成される配線(ランドを含む)は、例えば銅、金、アルミニウム、およびはんだなどの材料から成っていてよい。配線は、任意の適切な幅、例えば約100μmの幅を有し得る。
【0100】
本発明の接合材料を用いて配線(例えばランド)と接合される電子部品は、特に限定されないが、例えば半導体部品(例えば、いわゆるQFP(クアッド・フラット・パッケージ)部品、CSP(チップ・スケール・パッケージ)部品、およびSOP(シングル・アウトサイド・パッケージ)部品など)、チップ部品(例えば、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、インダクタなど)、ならびにコネクタなどであり得る。
【0101】
(実施形態3)
本実施形態は、ソリッドインク型接合材料およびその製造方法に関する。本実施形態のソリッドインク型接合材料は、図1を参照しつつ説明した実施形態1の液体インク型接合材料と概略的には同様の構成を有するが、分散媒3が常温で固体であり、接合材料が常温で実質的に流動性を有さない固形物である点で大幅に異なる。以下、このようなソリッドインク型の接合材料について、実施形態1の液体インク型の接合材料と異なる点を中心にして、その製造方法の説明を通じて詳述するものとする。
【0102】
本実施形態においては、分散媒3に関し、実施形態1の場合のアルコール系有機溶媒の1種であるイソプロピルアルコールに代えて、カルビトール系有機溶媒の1種であるブチルセロソルブを用いる。本実施形態においては、更に、添加剤としてワックスの1種であるパラフィンワックスを用いる。尚、コート層を形成するための樹脂粒子、金属粒子、および分散剤には、実施形態1と同様のものをそれぞれ用いるものとする。
【0103】
まず、分散媒にブチルセロソルブを用いたこと以外は、実施形態1と同様の手順および割合で、金属粒子、樹脂粒子および分散媒の一部を予備混練し、これにより得られた予備混合物(ペースト)に、残りの分散媒と、分散剤(実施形態1と同じくアミン塩型カチオン界面活性剤)とを加えて更に混合し、ペーストを低粘度化することにより、樹脂粒子の集合体から成るコート層(但し、樹脂粒子が変形して互いに部分的に合一化していてもよい)で被覆された金属粒子が凝集することなく、実質的に一様に分散した混合物が得られる。
【0104】
その後、得られた混合物をパラフィンワックスの融点(約47〜75℃)以上に加熱し、この混合物に添加剤として約5重量部、(換言すれば金属粒子100重量部に対して約7重量部)の粉末状のパラフィンワックスを加え、撹拌または混合する。そして、撹拌または混合を停止して、室温またはその付近にまで混合物を冷却または放冷することにより、分散媒が凝固し、実質的に流動性を失った混合物としてソリッドインク型接合材料が得られる。このソリッドインク型接合材料においても、樹脂粒子の一部が金属粒子を被覆することなく分散媒中に分散していてよい。得られるソリッドインク型接合材料は、例えば120℃にて約0.015Pa・sの粘度を有し得、常温にて実質的に流動性を有さない。
【0105】
以上のようにして得られるソリッドインク型接合材料によれば、樹脂粒子で構成されるコート層が金属粒子を完全に被覆して(但し、場合により多少露出していてもよい)、金属粒子のみかけ比重が減少し、高温溶融条件下にて分散性の高いソリッドインク型接合材料が得られる。このようなソリッドインク型接合材料を、ソリッドインク方式のインクジェット印刷法の原理を利用して基体上に所定のパターンで印刷すれば、高い印刷特性で微細な接合パターンを確実に形成することができる。
【0106】
ここで、印刷環境にもよるが、印刷の際または印刷後、接合材料中の分散媒であるカルビトール系有機溶媒(本実施形態ではブチルセロソルブ)は部分的に揮発し得ることに留意されたい。また、場合により、印刷後、基体を加熱乾燥させて、カルビトール系有機溶媒を除去してもよい。尚、カルビトール系有機溶媒に代えてアルコール系溶媒または水を用いてもよく、この場合も同様である。
【0107】
以上のようにして得られる本実施形態の接合材料は、実施形態4に後述するように、電子部品を基体の配線に電気的および物理的に接合し得るのに好適に利用され得、配線と電子部品との間の接合部において十分な接合強度および低い接合抵抗を確保することができる。
【0108】
(実施形態4)
本実施形態は、実施形態3にて説明したソリッドインク型接合材料の供給方法、ならびに該液体インク接合材料を用いて電子部品が基板に接合された電子回路基板およびその製造方法に関する。本実施形態は、実施形態1の液体インク型接合材料を液体インク方式のインクジェット印刷法の原理を利用して回路用基板の表面に所定のパターンで供給する実施形態2と類似するが、実施形態3のソリッドインク型接合材料をソリッドインク方式のインクジェット印刷法の原理を利用して回路用基板の表面に所定のパターンで供給する点において大幅に異なる。以下、実施形態2と異なる点を中心に説明する。
【0109】
まず、実施形態3のソリッドインク型接合材料を回路用基板の表面(より詳細には配線の所定の箇所、例えばランド上)に所定のパターンで供給し、印刷する。印刷時の接合材料の温度(例えばインク室内の温度)は、少なくとも添加剤(本実施形態ではパラフィンワックス)の融点以上の温度であればよいが、例えば約100〜160℃の範囲内であり得、代表的には約120℃である。ソリッドインク型接合材料を、例えばインク室にてこのような温度にまで加熱して低粘度の液状物とし、インクジェットプリンタヘッドのノズルから回路用基板に向けて吐出る。この結果、ソリッドインク型接合材料が所定の接合パターンで供給される。回路用基板に供給されたソリッドインク型接合材料は、冷却または周囲への放熱により温度低下してやがて実質的に流動性を有さない状態(または固体状態)に再び戻る。供給された接合材料は、印刷環境にもよるが、分散媒の揮発などにより組成変化し得、また、印刷後に回路用基板を加熱乾燥させて分散媒を蒸発させて除去してもよい。
【0110】
ソリッドインク型接合材料の印刷は、ソリッドインク方式のインクジェット印刷法を利用する印刷機構を備える装置、例えば印刷技術の分野において一般的に使用されるようなソリッドインク方式のインクジェットプリンタや、これと同様の原理を利用した装置等を用いて実施され得る。
【0111】
本実施形態のように、ソリッドインク方式のインクジェット印刷法により回路用基板に形成される接合材料から成る接合部は、一般に、液体インク方式の場合に比べて厚く、よって、回路用基板に形成された配線の所定の箇所(例えばランド)上に、より多くの接合材料(ひいては金属粒子)を供給できるという利点がある。これは、ソリッドインク型接合材料が加熱溶融状態で回路用基板に向けて吐出された後、放熱により回路用基板上で固化し、液体インク型接合材料のように回路用基板上で濡れ広がらないので、該所定の箇所上にこれからはみ出ることなく供給できる接合材料の量をより多くできるからである。しかし、本実施形態においても、実施形態2と同様に、接合部をより一層厚くするために、例えば複数のインクジェットノズルから接合材料を同一箇所に重ねて吐出したり、また例えば、複数の印刷機構に回路用基板を通すか、1つの印刷機構に回路用基板を複数回通して、1つの回路用基板上に同じパターンで接合材料を重ねて印刷してもよい。
【0112】
そして、好ましくは、以上のようして配線の所定の箇所(例えばランド)上にソリッドインク型接合材料が供給された回路用基板を、例えば約50〜60℃に予備加熱して接合材料の添加剤(本実施形態ではパラフィンワックス)を半溶融状態とした後、電子部品の所定の箇所(例えばリード)と接合材料とが少なくとも部分的に接触するようにして、電子部品を回路用基板に配置する。このように予備加熱することにより半溶融状態となった、基体に残留付着している添加剤の表面張力(および、コート層に含まれる樹脂材料が粘着性を示す場合にはその粘着性)によって、電子部品を回路用基板に付着させることができる。
【0113】
このようにして得られた回路用基板を、実施形態2と同様に熱処理に付して、ソリッドインク型接合材料に含まれる金属粒子の金属材料の融点以上の温度、例えば約180〜230℃の温度にて加熱する。このような熱処理にも、実施形態2と同様に、例えば一般的なリフロー装置を用い得る。
【0114】
回路用基板を熱処理に付すと、一般的には、まず印刷時の温度よりも低い融点を有する添加剤が完全に溶融する。そして、実施形態3のようにコート層に含まれる樹脂材料として熱溶融性樹脂を用いる場合、一般的に金属材料の融点よりも低い温度で溶融(または軟化)するため、金属粒子を被覆するコート層を構成する樹脂材料(樹脂粒子)が溶融(または軟化)する。例えば、実施形態3にてコート層用の樹脂材料として用いた熱溶融性樹脂の1種であるロジンの軟化点は約120〜135℃であり、金属材料として用いたSn−Pb系材料の約180〜190℃の融点よりも低い。
【0115】
また、本実施形態のように分散媒として、金属粒子の金属材料の融点より低い沸点を有するカルビトール系有機溶媒を用いる場合、接合材料中の分散媒は実質的に全部蒸発して除去される。例えば実施形態3にて分散媒として用いたカルビトール系有機溶媒であるブチルセロソルブは約171℃の沸点を有し、金属材料として用いたSn−Pb系材料の約180〜190℃の融点よりも低い。
【0116】
やがて金属粒子の金属材料がその融点以上に加熱されて溶融する。一般に金属粒子の表面には酸化膜が存在し得、この酸化膜は金属粒子の溶融を妨げ得るので、実施形態3のように、酸化防止機能を有する樹脂材料、例えばロジンから成る樹脂粒子を用いてコート層を形成したり、あるいは、水素プラズマ雰囲気にて熱処理を実施することにより、金属粒子表面に形成され得る酸化膜を除去し、金属粒子の溶融を促進することが好ましい。
【0117】
尚、添加剤(本実施形態においてはパラフィンワックス)は、上述のように熱処理により溶融状態となるが、通常、蒸発除去はされず、熱処理後も回路用基板に残留する。
【0118】
このようにして、添加剤とコート層(樹脂粒子)の樹脂材料と金属粒子の金属材料とが溶融するとともに分散媒が除去されるが、一箇所(例えば1つのランド)に配置された接合材料に含まれていた添加剤、樹脂材料および金属材料は、溶融状態で互いに相分離し、添加剤および樹脂材料の相(但し、これらは完全に均一な相を形成するのではなく、部分的に分離していてもよい)および金属材料の相を該箇所上で形成すると考えられる。添加剤、樹脂材料および金属材料の比重を考慮すれば、樹脂材料等の相が、金属材料の相より上方に位置すると考えられる。
【0119】
上記熱処理後、実施形態2と同様に、回路用基板を冷却(または放冷)すると、溶融状態の添加剤(パラフィンワックス)、樹脂材料および金属材料がそのままの状態で凝固する。このとき、金属材料が集まって凝固することにより、回路用基板に形成された配線の所定の箇所(例えばランド)と電子部品の所定の箇所(例えばリード)とが金属材料で電気的および物理的に接合される。他方、金属材料に比べて少量の樹脂材料および添加剤は、金属材料による電気的および物理的接続を妨げることなく、金属材料の表面をコートするようにして凝固すると考えられる。凝固した樹脂材料等は、電子部品を回路用基板に物理的に接合する助けとなり得、また、本実施形態にて用いたソリッドインク型接合材料に占める樹脂材料等の割合は金属材料に比べて小さいので、配線と電子部品との間において低い接合抵抗を得ることができる。尚、接合材料に含まれていた分散剤(および、場合により酸化防止剤)もまた、熱処理後も回路用基板に残留し得るが、金属材料に比べて少量なので、金属材料による電気的および物理的接続を妨げる程ではない。
【0120】
以上のようにして、実施形態3のソリッドインク型接合材料をソリッドインク方式のインクジェット印刷法により印刷した回路用基板に、電子部品を適切に配置し、この回路用基板を単に熱処理に付すだけで、電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合された電子回路基板を作製することができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、電子部品の実装において、基体に形成された配線と電子部品とを接合するための接合材料として好適に用いられる新規な接合材料(より詳細には液体インク型接合材料およびソリッドインク型接合材料)およびその製造方法が提供される。
【0122】
本発明の接合材料は、印刷時の温度(例えば25℃または120℃)にて0.05Pa・s以下の低い粘度を有するので、インクジェット印刷法により所望のパターンで基体上に供給(または印刷)することができ、微細な接合パターンを高い印刷精度で形成することができる。
【0123】
また、本発明の接合材料は、樹脂材料を含むコート層により金属粒子が被覆されているため、金属粒子のみかけ比重を減少させ、金属粒子を分散媒に一様に分散させることができる。また、本発明の接合材料は、分散剤を含んでいるので金属粒子の分散性を更に向上させることができる。これにより、本発明の接合材料を用いれば、微細な接合パターンであっても、金属粒子を確実に基体上に供給することが可能となる。
【0124】
更に、本発明の接合材料によれば、金属粒子は250℃以下の比較的低融点の金属材料から成るので、接合材料を基体上(より詳細には基体に形成された配線の所定の箇所上)に供給し、電子部品を適切に配置した後に基体を単に加熱するだけで、一旦溶融し凝固した金属材料により電子部品と配線とを電気的および物理的に接合することができる。
【0125】
加えて、本発明によれば、上記のような本発明の接合材料の製造方法、および該接合材料の供給方法、ならびに該接合材料を用いて得られる電子回路基板もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施形態における接合材料の概略模式図である。
【符号の説明】
1 金属粒子
2 コート層
3 分散媒
10 接合材料

Claims (21)

  1. 250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子であって、樹脂材料を含むコート層で被覆された金属粒子と、
    コート層で被覆された金属粒子を分散させる分散媒と、
    コート層で被覆された金属粒子を分散媒に分散させるための分散剤と
    を含んで成り、0.05Pa・s以下の粘度を有する、接合材料。
  2. 基体に形成された配線と電子部品とを接合するために用いられ、基体に供給される時の温度にて0.05Pa・s以下の粘度を有する、請求項1に記載の接合材料。
  3. 基体に供給される時の温度が5〜50℃の範囲にある、請求項2に記載の接合材料。
  4. 基体に供給される時の温度が100〜160℃の範囲にある、請求項2に記載の接合材料。
  5. 添加剤を更に含んで成る、請求項4に記載の接合材料。
  6. 添加剤が、基体に供給される時の温度より低い融点を有するワックスまたは熱可塑性樹脂である、請求項5に記載の接合材料。
  7. 金属粒子100重量部に対して、添加剤が1〜10重量部で含まれる、請求項5または6に記載の接合材料。
  8. 金属粒子が1〜500nmの平均粒径を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の接合材料。
  9. 金属粒子が、Sn−Pb系材料、Sn−Ag系材料、Sn−Ag−Cu系材料、Sn−Bi系材料、Sn−Cu系材料、Sn−Cu−Ni系材料、Sn−Ag−Bi系材料、Sn−Ag−Bi−In系材料、Sn−Ag−Bi−Cu系材料、Sn−Zn系材料およびSn−Zn−Bi系材料からなる群から選択される金属材料から成る、請求項1〜8のいずれかに記載の接合材料。
  10. 分散媒が水および有機溶媒のいずれかを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の接合材料。
  11. 有機溶媒がアルコール系有機溶媒またはカルビトール系有機溶媒である、請求項10に記載の接合材料。
  12. 金属粒子100重量部に対して、分散媒が100〜200重量部で含まれる、請求項1〜11のいずれかに記載の接合材料。
  13. コート層の樹脂材料が、基体に供給される時の温度より高い融点を有する熱可塑性樹脂である、請求項2〜12のいずれかに記載の接合材料。
  14. 金属粒子100重量部に対して、コート層の樹脂材料が5〜30重量部で含まれる、請求項1〜13のいずれかに記載の接合材料。
  15. 分散剤が、多価アルコール型非イオン界面活性剤、アミン塩型カチオン界面活性剤、およびポリカルボン酸アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜14のいずれかに記載の接合材料。
  16. 金属粒子100重量部に対して、分散剤が20〜80重量部で含まれる、請求項1〜15のいずれかに記載の接合材料。
  17. 基体に形成された配線と電子部品とを接合するための請求項1〜16のいずれかに記載の接合材料の製造方法であって、250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、樹脂材料から成る樹脂粒子と、分散剤と、分散媒の一部とを予備混合し、これにより得られた予備混合物に残りの分散媒を加えて更に混合することによって、最終的に得られる混合物を接合材料として得ることを含む、製造方法。
  18. 予備混合および更なる混合の後、これにより得られた混合物に添加剤を加えることを更に含む、請求項17に記載の製造方法。
  19. 請求項1〜16のいずれかに記載の接合材料を、基体に形成された配線の所定の箇所上にインクジェット印刷法により供給する、接合材料の供給方法。
  20. 請求項1〜16のいずれかに記載の接合材料によって、電子部品が 、基体に形成された配線に接合されて成る、電子回路基板。
  21. 接合材料は、基体に形成された配線の所定の箇所上にインクジェット印刷法により供給されたものである、請求項20に記載の電子回路基板。
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