JP3997868B2 - 過給掃気手段を有する内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に係り、特に過給機を備え、過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている内燃機関の改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平6−280723
内燃機関の排気によりタービンを駆動し、該タービンにより圧縮機インペラを駆動して内燃機関の吸気を圧縮することにより内燃機関の出力を静的排気量に比して増大させる過給の技術は古くから知られている。また機関の始動時に於ける如く機関排気によりタービンが発生する動力のみによっては吸気の十分な圧縮が得られないとき等に過給機ロータを電動機によっても駆動できるよう、過給機に電動手段を組み込むことも、例えば上記の特開平6−280723に記載されている如く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現今の内燃機関、特にその大半を占める車両用内燃機関の殆どは、燃料を燃料噴射弁により供給する燃料噴射式のものである。燃料噴射式内燃機関が停止されると、その燃料噴射ポンプより燃料噴射弁に至る燃料加圧供給系内には暫時燃料圧が残留する。内燃機関の燃料噴射弁は、燃料噴射口を弁体により開閉することによって燃料の噴射と非噴射の作動を仕分けるものであるが、それは機関の運転中にその区別を明確に行う機能を有していればよいものである。即ち、燃料噴射弁が開閉の切り換えを行うのは、4サイクルエンジンが低速回転中であるときでも2秒程度の時間内に1回開けばよいものであり、燃料噴射弁が閉状態を保つ時間は高々2秒程度である。従って、燃料噴射弁にはその閉状態に於ける密封度がさして高いことが要求されておらず、また実際にそれは高くない。
【0004】
そのため内燃機関が停止されると、燃料加圧供給系内に残留する燃料圧により燃料噴射弁の噴射口からは吸気系内へ向けて燃料の漏出が生じ、漏出燃料は機関の余熱により加熱されて蒸発し、燃料蒸気となって吸気系内に充満する。かかる状態にて内燃機関が再始動されると、吸気の空燃比が濃くなりすぎることから機関の始動性が低下し、始動直後の運転性が劣化し、また排気エミッションが悪化する。
【0005】
本発明は、燃料噴射式内燃機関に於いて生ずる上記の問題に着目し、内燃機関が電動手段付き過給機を備えているとき、これを有効に利用して機関再始動性、再始動直後の運転性、および排気エミッションに関し内燃機関の性能を更に改善することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている電動手段付き過給機を備えた内燃機関にして、機関が停止された後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第一のしきい値を越えてから或いは越えたと推定される所定時間をおいて前記過給機ロータを前記電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有することを特徴とする内燃機関を提供するものである。
【0007】
上記の如き内燃機関に於いて、過給掃気手段は機関停止中には開状態となる吸気絞り弁を含むか、過給機ロータを電動手段にて駆動する間吸気絞り弁を開く手段を含むか、或はまた、過給機ロータを電動手段にて駆動する間吸気絞り弁をバイパスする通路を形成するバイパス手段を含んでいてよい。
【0009】
また、上記の如き内燃機関に於いて、前記過給掃気手段は、過給機の電動駆動を開始した後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第二のしきい値以下に下がったとき過給機の電動駆動を停止するようになっていてよく、或いはまた、過給機の電動駆動を開始した後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第二のしきい値以下に下がったと推定される所定時間をおいて過給機の電動駆動を停止するようになっていてもよい。
【0010】
更にまた、内燃機関は可変タイミング式の吸気弁および排気弁と排気系に設けられたHC吸着浄化触媒とを有しており、過給掃気手段は電動手段を作動させるとき吸気弁および排気弁を開く制御を行うようになっていてよい。
【0011】
更にまた、内燃機関はクランクケース掃気弁を備えたクランクケース掃気系を有しており、過給掃気手段は電動手段を作動させるときクランクケース掃気弁を開く制御を行うようになっていてよい。
【0012】
更にまた、内燃機関は排気ガス再循環制御弁を備えた排気ガス再循環系と排気系に設けられたHC吸着浄化触媒とを有しており、過給掃気手段は電動手段を作動させるとき排気ガス再循環制御弁を開く制御を行うようになっていてよい。
【0013】
更にまた、内燃機関は吸気系に設けられた活性炭フィルタを有しており、過給掃気手段は電動手段を作動させるとき過給機ロータを逆転方向に駆動する制御を行うようになっていてよい。
【0014】
【発明の作用及び効果】
上記の如く内燃機関が電動手段付き過給機を備えているとき、更に機関が停止された後、過給機ロータを電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有していれば、機関が停止されたとき過給機を電動手段により適宜に作動させることにより燃料蒸気が吸気系内に充満することを防止することができる。現今の車両は通常マイクロコンピュータによる車輌運転制御装置を備えているので、上記の如き過給掃気手段は、車輌運転制御装置に追加の作動制御を行わせるソフト的な構成の追加により得られる。
【0015】
ただし、内燃機関の吸気系には通常吸気絞り弁が設けられているので、上記の如き過給掃気手段による吸気系の掃気を行うには、吸気絞り弁の部分にて空気が流通しなければならない。そのため上記の過給機による掃気が行われるためには、吸気絞り弁は機関の停止に伴って自然に開くか、またはそれに通風圧が作用すれば開く開状態となるよう構成されているか、過給機による掃気に当たって吸気絞り弁を開く制御が行われるか、或いは過給機が電動手段にて駆動される間吸気絞り弁をバイパスする通路を形成するバイパス手段を設ける等の前提が必要である。請求項1に記載の、機関が停止された後、過給機ロータを電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段とは、かかる前提を満たす何らかの対策を含むことを意味するものとする。
【0016】
内燃機関が停止されたとき燃料噴射弁の噴射口から吸気系内へ向けて燃料が漏出するのは時間の経過と共に徐々に進行する現象であり、また漏出した燃料が蒸発して燃料蒸気となるのにもそれなりの時間がかかる。一方、機関停止後の燃料噴射弁からの燃料漏洩により次回の機関始動性、始動直後の運転性或いは排気エミッションが実質的に悪い影響を受けるのは、吸気系にたまる燃料蒸気の量がある値以上に達したときであるので、それが問題となるのは、通常機関停止後数十分程度の時間が経過してからである。従って、機関停止の直後から過給機の電動駆動を開始したのでは、電力を無駄に消費することになる。
【0017】
この点に関し、過給掃気手段が、機関停止後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第一のしきい値を越えてから過給機の電動駆動を開始するよう、或いは、機関停止後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第一のしきい値を越えたと推定される所定時間をおいて過給機の電動駆動を開始するようになっていれば、無駄な電力の消費を避け、最小限度の電力消費にて機関再始動時の始動性、始動直後の運転性或は排気エミッションについて最大限の改善を達成することができる。
【0018】
また、機関再始動時に吸気系内に燃料蒸気が存在することにより始動性、始動直後の運転性或は排気エミッションが悪影響を受けるのは、燃料蒸気濃度がある程度以上高いときであるので、過給機の電動駆動が開始された後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第二のしきい値以下に下がったとき、或いは下がったと推定される所定時間をおいて過給機の電動駆動を停止するようになっていれば、電力消費を最小限に抑えて吸気系よりで燃料ガスを排出させる効果を達成することができる。
【0019】
多気筒内燃機関では、機関停止時に何れかの気筒にて吸気弁と排気弁とが同時に開いている状態が得られる確度は高いが、特に吸気弁および排気弁が可変タイミング式の弁であるときには、過給機による吸気系の掃気に当たって吸気弁および排気弁を開く制御を行うことにより、吸気系と排気系の連通をより確実に達成することができる。
【0020】
また、特に内燃機関がクランクケース掃気弁を備えたクランクケース掃気系を有しているときには、過給掃気手段が電動手段を作動させるときクランクケース掃気弁を開く制御を行うようになっていれば、過給機の電動駆動による吸気系の掃気をより速やかにかつ効率よく行い、掃気された燃料蒸気をクランクケース内に収容することができる。またこうして収容された燃料蒸気は次に機関が運転されるとき、クランクケース掃気弁を適宜に制御することにより吸気中へ戻される。
【0021】
同様に、内燃機関が排気ガス再循環制御弁を備えた排気ガス再循環系と排気系に設けられたHC吸着浄化触媒とを有しており、過給掃気手段が電動手段を作動させるとき排気ガス再循環制御弁を開く制御を行うようになっていれば、過給機の電動駆動による吸気系の掃気をより速やかにかつ効率よく行い、掃気された燃料蒸気をHC吸着浄化触媒にて捕捉することができる。
【0022】
同様に、内燃機関が吸気系に設けられた活性炭フィルタを有しており、過給掃気手段が電動手段を作動させるとき過給機ロータを逆転方向に駆動するようになっていれば、過給機の電動駆動による吸気系の掃気をより速やかにかつ効率よく行い、掃気された燃料蒸気を活性炭フィルタにて捕捉することができる。またこうして捕捉された燃料蒸気は次に機関が運転されるとき有効に使用される。
【0023】
【発明の実施の形態】
添付の図1は本発明による過給掃気手段を有する内燃機関の一つの実施例を発明に関連する要部に於いてのみ解図的に示す概略図である。図に於いて10はシリンダ、12はピストン、14はピストンロッド、16はクランクシャフト、18はクランクケース、20は吸気ポート、22は排気ポートである。吸気ポート20は吸気弁24により開閉制御され、排気ポート22は排気弁26により開閉制御されるようになっている。吸気弁および排気弁は図示の実施例ではそれぞれ電磁駆動式の可変タイミングバルブとして構成されている。28は点火栓であり、30は燃料噴射弁である。
【0024】
32は過給機であり、排気ポート22より排出されてくる排気流により付勢されるタービンロータ34、一端にてこれを回転式に支持する軸36、その他端に担持されてタービンロータにより駆動される圧縮機インペラ38よりなる過給機ロータを備えている。そしてこの過給機ロータは電動手段40によっても駆動されるようになっている。圧縮機インペラ38は、タービンロータ34または電動手段40により駆動されると、エアフィルタ42を経て吸入された空気を加圧して吸気通路44へ送り込む。吸気通路44は吸気ポート20へ通じ、途中に吸気絞り弁46を備えている。図示の実施例では、吸気絞り弁は電磁作動式のものであり、機関の停止に伴ってその電源が切られると自動的に開状態になるよう構成されているか、または機関の停止に伴って図には示されていないがこの分野に於いては周知のマイクロコンピュータによる車輌運転制御装置の制御により開状態にもたらされるようになっていてよい。或はまた、図に併記的に示す如く、更に吸気通路44の一部に吸気絞り弁46をパイパスするパイパス通路48が設けられ、パイパス制御弁50によりその連通および遮断が制御されるようになっていてもよい。このパイパス通路は、過給機による吸気系の掃気が行われるとき、連通状態とされるものである。但し、以上に記載の吸気絞り弁が機関の停止に伴って自動的に開状態となる構造とされるか、機関の停止に伴って吸気絞り弁を開く制御が行なわれるか、吸気絞り弁に対しバイパス通路設けるかは、その内の少なくとも一つが用いられればよいものである。
【0025】
排気ポート22を出た排気は排気管52を経てタービンロータ34の周りに導かれ、タービンロータの回転を付勢した後、三元触媒コンバータ54およびHC吸着浄化触媒装置56を経て大気へ排出される。58は排気ガス再循環通路であり、60は排気ガス再循環制御弁である。図示の実施例に於いては更に吸気通路44より通路62がシリンダヘッド上部空間64へ向けて導かれており、途中にその開閉を制御するクランクケース掃気弁66が設けられている。シリンダヘッド上部空間64はクランクケースに通じている。68は特に機関停止中に吸気ポート20よりその上流側の吸気絞り弁46のあたりまでの吸気系中に於ける燃料蒸気の濃度を検出する燃料蒸気濃度センサである。
【0026】
内燃機関が停止されると、燃料噴射弁30からは時間の経過とともに概略図2のグラフに示すような漏洩量の変化を呈する燃料の漏洩が生ずる。漏洩量の大きさおよびその時間的経過は各燃料噴射弁によってかなり大きく異なるが、それがピーク値に達するのは一般に機関停止から数十分後である。かかる燃料の漏洩により吸気系内には概略図示の如き濃度経過をたどる燃料蒸気が発生する。尚、燃料蒸気濃度の経過を示す曲線のうち破線の部分は本発明による吸気系掃気が行われない場合である。
【0027】
上述の通り機関停止後の燃料噴射弁からの燃料漏洩により次回の機関始動性、始動直後の運転性或いは排気エミッションが実質的に悪い影響を受けるのは、吸気系にたまる燃料蒸気の量がある値以上に達したときである。従って、今その下限濃度がDv1であるとすると、燃料蒸気濃度センサ64により吸気系中の燃料蒸気濃度を検出し、過給機による吸気系掃気は燃料蒸気濃度がDv1まで上昇したところで開始されればよい。過給機による吸気系掃気が開始されると燃料蒸気濃度は図中実線にて示す如く低下する。吸気系に存在する燃料蒸気は、次回の機関始動時に無駄に消費されるわけではなく、またその分未燃のまま大気へ放出されるわけでもないので、過給機による吸気系の掃気は、燃料蒸気濃度がDv1より適当に低いDv2の如き値まで下がったところで中止されてよく、そうすることにより過給機の駆動に要する電力消費を最も効率の良い範囲に抑えることができる。
【0028】
上記の如き燃料蒸気濃度Dv1およびDv2による過給機の電動駆動の制御は、燃料噴射弁の特性、機関運転が停止される直前の機関の負荷状態、気候その他の条件に基づいて図には示されていないマイクロコンピュータを備えた車輌運転制御装置によりそれに対応すると推定される時間T1およびT2を計算することにより、そのような時間の経過に基づく制御に置き換えられてもよい。
【0029】
上記の燃料蒸気濃度Dv1およびDv2に基づく吸気系の掃気は図3のフローチャートに示す如き要領により行われてよい。即ち、この場合、上記の車輌運転制御装置による車輌運転制御の一環として吸気系掃気制御が開始されると、ステップを1にて機関が停止されたか否かがチェックされる。答がノーである間、制御はこのチェック状態に留まる。そして機関が停止され、答がイエスに転ずると、制御はステップ2へ進み、燃料蒸気濃度センサ64により検出される燃料蒸気濃度DvがDv1を越えたか否かが判断される。ここでも答がノーである間、制御はここに留まる。そして燃料噴射弁からの燃料の漏洩が進行し、またその蒸発が進行してDvがDv1を越えると、答がイエスに転ずることにより制御はステップ3へ進み、ここで過給機32を電動手段40により作動させる過給機電動駆動が開始される。こうして過給機の電動駆動による吸気系の掃気が開始されると、ステップ4に於いてこのフローチャートに於ける制御サイクル毎にDvがDv2以下に下がったか否かがチェックされる。答がノーである間、制御はここで留まり、過給機の電動駆動が続けられる。そして過給機による掃気によってやがてDvがDv2以下に下がると、答がイエスに転ずることにより制御はステップ5へ進み、過給機の電動駆動は終了とされる。
【0030】
図4は過給機による吸気系掃気の開始時期と終了時期を図2のT1およびT2により判断する場合の吸気系掃気制御の実施例を示す図3と同様のフローチャートである。この場合にも、制御が開始されると、ステップを101にて機関が停止されたか否かがチェックされる。答がノーである間、制御はこのチェック状態に留まる。そして機関が停止され、答がイエスに転ずると、制御はステップ102へ進み、燃料噴射弁の特性、機関停止直前の負荷状態、気候その他の条件に基づいて過給機の電動駆動を開始する時期T1とそれを終了する時期T2の計算が行われる。そして制御はステップ103へ進む。
【0031】
ステップ103に於いては機関停止後の経過時間TがT1を越えたか否かが判断される。答がノーである間、制御はここに留まる。機関停止からT1が経過し、答がイエスに転ずると、制御はステップ104へ進み、過給機を電動駆動することが開始される。こうして過給機の電動駆動が開始されると、ステップ105に於いてこのフローチャートに於ける制御サイクル毎にTがT2を越えたか否かがチェックされる。答がノーである間、制御はここで留まり、過給機の電動駆動が続けられる。そして機関停止から時間T2が経過し、答がイエスに転ずると制御はステップ106へ進み、過給機の電動駆動が終了とされる。
【0032】
図5は機関が停止されたとき、多気筒内燃機関であれば何れかの気筒に於いて吸気弁24と排気弁26とが共に開いた状態が生じていることを前提として、或いは吸気弁および排気弁が可変タイミング式の弁であるときには、タイミング制御により弁の開閉タイミングを臨時に修正することにより何れかの気筒に於いて吸気弁と排気弁とが共に開いた状態が作り出されるとして、図1に示した内燃機関に於いて、過給機の電動駆動により吸気系の掃気を行う場合の掃気の流れを示す概略図である。図中、掃気の流れは矢印にて示されている。この場合、掃気は吸気ポート20より排気ポート22へ流れ、排気通路52を通り、三元触媒コンバータ54およびHC吸着浄化触媒装置56にて捕捉される。
【0033】
図6は過給機が電動駆動されると同時にクランクケース制御弁66が開かれる場合の掃気の流れを示す同様の図である。同じく掃気の流れは矢印にて示されている。この場合、掃気は通路62を通ってシリンダ室上部空間64へ流れ、これより更にクランクケース18内に形成されたクランク室内へ流入し、そこに貯容される。
【0034】
図7は過給機が電動駆動されると同時に排気ガス再循環制御弁66が開かれる場合の掃気の流れを示す同様の図である。同じく掃気の流れは矢印にて示されている。この場合、掃気は排気ガス再循環通路58を通って排気通路52へ流れ、三元触媒コンバータ54およびHC吸着浄化触媒装置56にて捕捉される。
【0035】
図8は過給機ロータを逆転方向に電動駆動するよう過給機が電動駆動される場合を示す同様の図である。同じく掃気の流れは矢印にて示されている。この場合、吸気系内の燃料蒸気を含む空気は吸気系を逆方向に流れ、燃料蒸気は吸気通路に設けられた活性炭フィルタ42により捕捉される。尚、図には示されていないが、燃料タンクにて蒸発した燃料蒸気を捕捉して適宜吸気通路へ放出する活性炭キャニスタが設けられている場合には、かかる逆流掃気による燃料蒸気はそのようなキャニスタによって捕捉されてもよい。
【0036】
以上に於いては本発明をいくつかの実施例について詳細に説明したが、これらの実施例について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による過給掃気手段を有する内燃機関の一つの実施例を発明に関連する要部に於いてのみ解図的に示す概略図。
【図2】内燃機関が停止されたときの燃料噴射弁からの燃料の漏洩と燃料蒸気発生の時間的経過を示すグラフ。
【図3】本発明の実施に於ける制御態様の一つの実施例を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施に於ける制御態様の他の一つの実施例を示すフローチャート。
【図5】過給機の電動駆動により吸気弁と排気弁を経て吸気系の掃気を行なう場合の掃気の流れを示す内燃機関の概略図。
【図6】過給機が電動駆動されると共にクランクケース制御弁が開かれる場合の掃気の流れを示す内燃機関の概略図。
【図7】過給機が電動駆動されると共に排気ガス再循環制御弁が開かれる場合の掃気の流れを示す内燃機関の概略図。
【図8】過給機の逆転駆動により吸気系の掃気を行なう場合の掃気の流れを示す内燃機関の概略図。
【符号の説明】
10…シリンダ、12…ピストン、14…ピストンロッド、16…クランクシャフト、18…クランクケース、20…吸気ポート、22…排気ポート、24…吸気弁、26…排気弁、28…点火栓、30…燃料噴射弁、32…過給機、34…タービンロータ、36…軸、38…圧縮機インペラ、40…電動手段、42…エアフィルタ、44…吸気通路、46…吸気絞り弁、48…パイパス通路、50…パイパス制御弁、52…排気管、54…三元触媒コンバータ、56…HC吸着浄化触媒装置、58…排気ガス再循環通路、60…排気ガス再循環制御弁、62…通路、64…シリンダヘッド上部空間、66…クランクケース掃気弁、68…燃料蒸気濃度センサ
Claims (11)
- 過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている電動手段付き過給機を備えた内燃機関にして、機関が停止された後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第一のしきい値を越えてから前記過給機ロータを前記電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有することを特徴とする内燃機関。
- 過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている電動手段付き過給機を備えた内燃機関にして、機関が停止された後、吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第一のしきい値を越えたと推定される所定時間をおいて前記過給機ロータを前記電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有することを特徴とする内燃機関。
- 前記過給掃気手段は前記過給機の電動駆動を開始した後吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第二のしきい値以下に下がったとき前記過給機の電動駆動を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
- 前記過給掃気手段は前記過給機の電動駆動を開始した後吸気系内の燃料蒸気濃度が所定の第二のしきい値以下に下がったと推定される所定時間をおいて前記過給機の電動駆動を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
- 前記過給掃気手段は機関停止中には開状態となる吸気絞り弁を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
- 前記過給掃気手段は前記過給機ロータを前記電動手段にて駆動する間吸気絞り弁を開く手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
- 前記過給掃気手段は前記過給機ロータを前記電動手段にて駆動する間吸気絞り弁をバイパスする通路を形成するバイパス手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
- 内燃機関は可変タイミング式の吸気弁および排気弁と排気系に設けられたHC吸着浄化触媒とを有しており、前記過給掃気手段は前記電動手段を作動させるとき前記吸気弁および排気弁を開く制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
- 内燃機関はクランクケース掃気弁を備えたクランクケース掃気系を有しており、前記過給掃気手段は前記電動手段を作動させるとき前記クランクケース掃気弁を開く制御を行って燃料蒸気をクランクケース内に収容することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
- 過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている電動手段付き過給機と、排気ガス再循環制御弁が設けられた排気ガス再循環系と、触媒が設けられた排気系を備えた内燃機関にして、機関が停止された後、前記過給機ロータを前記電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有し、前記過給掃気手段は前記電動手段を作動させるとき前記排気ガス再循環制御弁を開く制御を行うことを特徴とする内燃機関。
- 過給機ロータが電動手段によっても駆動されるようになっている電動手段付き過給機と、排気ガス再循環制御弁が設けられた排気ガス再循環系と、活性炭フィルタが設けられた吸気系とを備えた内燃機関にして、機関が停止された後、前記過給機ロータを前記電動手段により駆動して吸気系を掃気する過給掃気手段を有し、前記過給掃気手段は前記電動手段を作動させるとき前記過給機ロータを逆転方向に電動駆動する制御を行うことを特徴とする内燃機関。
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