JP3996371B2 - 構内交換機における着信呼選択制御方法及びこの方法を採用する構内交換システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、局線と接続される構内交換機に関し、特に着信時に局線から通知される発信者電話番号により着信の許容可否を決定する着信呼選択制御方法、およびこの機能を有する構内交換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この着信呼選択制御に関する技術には、上記のように局線から通知される発信者番号の有無に基づき着信を規制するものと、発信者番号が通知された着信につき以後の着信を拒否したい場合に電話機あるいは収容される構内交換機のメモリに登録し同じ発信者番号を有する着信を規制するものが挙げられる。
【0003】
前者の発信者番号の通知は、公衆網が提供するサービスと契約している場合が多く、例えば代表的なものとして「ナンバーディスプレイ」サービスが知られている。これは、かけてきた相手の電話番号が、電話にでる前に電話機等のディスプレイに表示されるものである。この場合、電話をかけるとき、相手の電話番号の前に「184」をダイヤルするとその通話に限り電話番号は通知されず、一方相手の電話番号の前に「186」をダイヤルすると、その通話に限り、電話番号を通知するサービスがある。
【0004】
このサービスに関連する技術として、特開平6−125387号公報(以下、従来技術1という。)、特開平5−292178号公報(以下、従来技術2という。)、及び特開2000−324229号公報(以下、従来技術3という。)が知られている。
【0005】
従来技術1では、発信者番号を着信端末に通知可能な通信網に接続されている通信端末において、着信時に発信者番号が通知されない場合の着信を拒否し、また発信者番号の通知をうけた着信であっても着信時刻が予め登録した規制時間帯の範囲内の場合には着信を拒否するものである。
【0006】
また、従来技術2では、着信時に発信者番号が通知されない場合に着信を拒否し、更に発信者番号が通知された着信について、該発信者番号が悪意呼等の場合に該発信者番号を着信拒否番号として通話端末内に登録することにより次回からの着信を拒否している。
【0007】
その他、悪意呼の発信者番号を登録管理し次回からの着信を規制する他の技術として、特開平4−330841号公報(以下、従来技術3という。)と、実開昭60−155252号公報(以下、従来技術4という。)が知られている。
【0008】
従来技術3では、被呼者が通話中に悪意呼であると認識した場合、被呼者が電話機の悪意呼登録用のボタンを押下することにより、終話後、構内交換機は外部のコンピュータのデータベースに当該呼の発信者番号を登録し、以降の着信を規制するというものである。
【0009】
また、従来技術4では、悪意呼に対して被呼者を収容する交換機が発信者番号を受信蓄積することにより、悪意呼検索を簡素化・短縮・高確率にするというものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発信者電話番号の通知如何により着信を規制しようとすると、番号非通知の着信を一律に悪意ある着信として規制することになり、本来悪意のない着信に対しても規制することになる。このようなシステムでは、例えば緊急時の大切な着信に対応する場合など、発信者のみならず被呼者も要件を受けることができないこととなってしまう。
【0011】
また、迷惑電話の種々のケースに対して効率的かつ有効に迷惑電話発信者番号を登録できないことである。例えば、迷惑電話発信者番号システム共通の迷惑電話発信者番号として交換機が共通に管理しているシステム(交換機外部に共通データベースを具備するシステムも含む)では、個人に対する迷惑電話がシステム全体の迷惑電話として登録されてしまうことになる。また、迷惑電話発信者番号を端末に登録する装置では、公衆網からの着信呼に対して複数のオペレータが任意に応答している場合に、迷惑電話発信者番号の登録を各々のオペレータがそれぞれ行わなければならない。その理由は、迷惑電話発信者番号として登録された発信者番号は、システムにより、システム毎または装置個別毎に静的にしか登録できないからである。
【0012】
さらに、迷惑電話であると認識しても、登録前に相手に電話を切られてしまうと、被呼者が迷惑電話発信者番号の登録が行えない問題がある。その理由は、迷惑電話発信者番号を被呼者が登録できるのは迷惑電話の通話中に限られ、呼が復旧してしまった後では登録できないからである。
【0013】
さらに、自営網内での迷惑電話に対しても、迷惑電話対策が着信局での対応に限っており、発信局での対策をとることが困難であった。その理由は、迷惑電話発信者番号情報を蓄積するのが自局内に限り、発信局に通知されないからである。
【0014】
本発明は、以上従来技術が抱える問題点に鑑み、発信者番号が通知されない着信の場合であっても、一律に着信を規制することなく発信者番号が非通知である理由も含めて悪意か否かを識別し、迷惑電話以外の呼も規制されてしまうことを低減できる着信呼選択制御方法およびこの方法を適用した構内交換システムの提供を目的とする。
【0015】
また、本発明の他の目的は、迷惑電話発信者番号の登録を有効かつ効率的に行い、着信呼選択制御において有効なデータベースの提供にある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、迷惑電話を単に規制するだけでなく、専任の対応者に着信転送したり、予め設置されたアナウンスメント装置で自動応答できる迷惑電話対策システムを提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、迷惑電話が復旧してしまった後でも、着信者が迷惑電話発信者番号登録できる構内交換システムを提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、自営網内の迷惑電話に対し、迷惑電話の発信局でも対策をとることができる迷惑電話対策システムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、局線と接続され複数の内線を収容し、前記内線からの設定に基づき着信を規制制御する構内交換機を備えた構内交換システムにおいて、前記構内交換機は、着信時に前記局線から通知される発信者番号を受信する発信者番号受信手段と、前記内線端末毎に着信を規制する発信者番号を格納する端末毎エリアと任意の内線端末で構成されるグループに共通して着信を規制する発信者番号を格納するグループエリアと前記構内交換機に収容される全ての内線に着信を規制する発信者番号を格納するシステムエリアとからなる迷惑電話番号蓄積手段と、着信時に内線からの指定に基づき任意のエリアに当該着信に含まれる発信者番号を格納制御する書き込み制御手段と、着信時に受信した発信者番号と前記迷惑電話番号蓄積手段とを比較照合し、当該着信先内線の端末毎エリア、当該内線が属するグループエリア、或いはシステムエリアのいずれかに前記受信した発信者番号と同一の発信者番号が検出された場合には、当該着信を迷惑電話と判定する迷惑電話識別手段と、着信を拒否する場合に、迷惑電話の処理方法を決定する迷惑電話処理手段と、前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の接続を規制すると決定した場合に、着信接続を規制する迷惑電話規制手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
また、前記発信者番号受信手段により発信者番号が受信された場合に当該発信者番号を保持する電話番号保持手段を備え、着信復旧後であっても、すなわち、通話中の状態だけではなく、着信呼の途中放棄または通話後の終話で既に呼が復旧してしまっている状態であっても、当該着信先の内線から当該着信時に通知された発信者番号の登録要求があった場合において、前記電話番号保持手段に記憶される発信者番号の履歴から登録要求のあった発信者番号を検索し、前記迷惑電話番号蓄積手段の任意のエリアに当該発信者番号を格納することを特徴とする。
【0021】
さらに、前記電話番号保持手段により発信者番号が受信された場合に当該発信者番号を保持する時間を管理する迷惑電話登録有効時間識別手段を具備し、発信者番号が受信されてから迷惑電話登録手段により迷惑電話として登録することが可能な時間を管理することを特徴とする請求項2記載の構内交換システム。
【0022】
さらに、前記構内交換機は、着信呼選択制御方法において、着信時に局線から受信した発信者番号が非通知の着信であった場合、局線から通知された非通知理由を参照し、発信者により発信者番号の非通知が指定されている場合には当該着信を拒否し、発信者の指定によらないで発信者番号が非通知の場合には着信を許可することを特徴とする。
【0023】
さらに、前記構内交換機は、共通線を介して他の構内交換機と接続され、前記他の構内交換機から局間中継される着信があった場合において、当該着信の発信者番号が非通知のとき、前記局線、専用線ないし発信局内線から通知された非通知理由を中継元の前記他の構内交換機から中継先の前記構内交換機へ前記共通線を介して通知する非通知理由局間通知手段を前記他の構内交換機(送信側)および前記構内交換機(受信側)に具備することによって、前記構内交換機は、受信した非通知の理由に応じて中継された呼の着信の規制制御を行うことを特徴とする。
【0024】
さらに、前記構内交換機及び前記他の構内交換機は、自局に対する着信を規制する発信者番号を格納する迷惑電話番号蓄積手段をそれぞれが有し、互いに有する前記発信者番号を前記共通線を介して交換し共有する迷惑電話局間通知手段を具備することを特徴とする。
【0025】
さらに、前記構内交換機は、着信を拒否する場合において、所定の電話回線に音声記録再生手段を接続し、前記電話回線に音声信号を再生して出力する迷惑電話自動応答手段を具備することにより前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の処理として自動応答を選択できるようにすることを特徴とする。
【0026】
さらに、前記構内交換機は、着信を拒否する場合において、所定の転送先に着信接続する迷惑電話転送手段を具備することにより前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の処理として自動転送を選択できるようにすることを特徴とする。
【0027】
さらに、前記共通線をDpチャネル共通線により構成したことを特徴とし、前記非通知理由局間通知手段は、Dpチャネル共通線を介した非通知理由の通知をTTC.Q−941に規定する固定シフト手順又は一次シフト手順により行うことを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のブロック図である。構内交換機1(以下、PBXという。)は、アナログ電話機7、デジタル多機能電話機8、及び中継台9が接続収容され、局線トランク回路4(以下、COTという。)を介してアナログ局線を、またISDN基本インタフェース用トランク回路5(以下、BRTという。)を介してデジタル局線(INS64)を、ISDN一次群インタフェース用トランク回路6(以下、PRTという。)を介してデジタル局線(INS1500)により公衆網10と接続されている。
【0029】
これらの局線からは、着信時に局線側の仕様に基づく種々の情報が通知され、発信者番号又は発信者番号の非通知理由等が含まれる。NTTの場合、デジタル網の発信者番号通知機能の仕様はWeb上(http://www.ntt−west.co.jp/ISDN/tech/spec/inx4.html)に掲載されており、またアナログの仕様はhttp://www.ntt−east.co.jp/gisanshi/analog/edit5j.pdfに示されるとおりである。
【0030】
また、PBX1は、各種交換接続等を司る制御部2(以下、CPUという。)及び各種交換プログラム及びデータを格納する記憶部3(以下、MEMという。)を備える。以下に示すPBX1への着信の接続制御及び迷惑電話に対する制御プログラムはMEM3に格納されており、CPU2は、必要に応じてMEMからプログラムを読み出し実行する。
【0031】
図2は、プログラム制御により動作するPBX1のソフトウェアを読み替えたブロック図であり、発信者番号受信手段B110と、迷惑電話登録有効時間識別手段B210と、迷惑電話登録手段B220と、迷惑電話番号蓄積手段B410と、迷惑電話識別手段B320と、迷惑電話処理手段B330と、迷惑電話規制手段B340と、迷惑電話自動転送手段B350と、迷惑電話自動応答手段B360とから構成されている。
【0032】
また、自営網内を複数のPBXにて相互に接続の場合に使用する非通知理由局間通知手段B310と、迷惑電話局間通知手段B510とを備えている。
【0033】
これらの手段はそれぞれ概略つぎのように動作する。発信者番号通知手段B110は、着信呼に発信者番号情報が含まれている場合に、MEM3に発信者番号情報を一次的に保存する。迷惑電話登録有効時間識別手段B210は、着信呼が復旧してから一定時間が経過することを監視し、一定時間が経過した時点で発信者番号通知手段B110にてMEM3に一次的に保存している発信者番号情報を消去する。また、有効時間の監視に基づく発信者番号の一時的な記憶とする他、着信先の内線に対応して着信呼の発信者番号を履歴として記憶するように構成しても良い。
【0034】
迷惑電話登録手段B220は、被呼者の指示により、一次的に保存している発信者番号情報を迷惑電話発信者番号として登録する。その際の指示に、端末毎ないしグループ毎ないしシステム毎の指定を行うことができる。
【0035】
迷惑電話番号蓄積手段B410は、迷惑電話登録手段B220の登録指示に従い、迷惑電話発信者番号情報を、端末毎ないしグループ毎ないしシステム毎に蓄積する。
【0036】
迷惑電話識別手段B320は、MEM3にて一次的に保存している着信呼の発信者番号情報と、迷惑電話番号蓄積手段B410が蓄積している迷惑電話発信者番号情報を比較し、着信呼が迷惑電話であるかどうかを識別する。着信呼に発信者番号情報が含まれていない場合は、発信者番号非通知理由を解析し、迷惑電話に準じるものがあるかどうかを識別する。
【0037】
迷惑電話処理手段B330は、迷惑電話識別手段B320の識別結果により迷惑電話であると認識された場合に、迷惑電話の扱いを決定する。
【0038】
迷惑電話規制手段B340は、迷惑電話と識別された着信呼を接続規制する。迷惑電話自動転送手段B350は、迷惑電話と識別された着信呼を自動転送する。迷惑電話規制手段B360は、迷惑電話と識別された着信呼に自動応答する。
【0039】
非通知理由局間通知手段B310は、局間接続の場合に起動されるプログラムであって、自局が発局の場合に発信者番号の非通知理由を対向局に送信する送信制御と、自局が着局の場合に発信者番号の非通知理由を受信する受信制御を行い、局間で迷惑電話の発信者番号の非通知理由を通知する。同様に、迷惑電話局間通知手段B510においても、局間接続時に起動されるプログラムであって、着局にての迷惑電話発信者番号情報送信制御と、発局にての迷惑電話発信者番号情報受信制御を行い、局間で迷惑電話発信者番号情報を通知する。
【0040】
次に、本発明の実施の形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図3及び図4のフローチャートに示されるプログラムが、図1のシステム構成図に示されるPBX1のCPU2にて実行される。
【0041】
まず、図3のフローチャートに従って、着信呼選択制御の動作について説明する。公衆網10よりPBX1に着信があると、発信者番号受信手段(B110)により着信時のメッセージに含まれる発信者番号を抽出し、MEM3に発信者番号を保存する。
【0042】
続いて、迷惑電話識別手段(B320)は、被呼者の内線又は中継台等からの設定状態に基づき迷惑電話の識別が必要かどうかを判断する(S321)。番号識別モードの設定状態は、MEM3に記憶更新することで保持される。設定状態の検出の結果、被呼者が迷惑電話の識別を必要としていない場合などは通常の着信接続が行われる。これに対して番号識別が必要な場合は、以下に示す通り発信者番号の通知又は発信者番号の非通知理由に基づく着信の規制制御を実行する。
【0043】
CPU1は、番号識別モードの検出により発信者番号受信手段(B110)により抽出された発信者番号の読み出し(S322)、発信者番号の通知/被通知に応じて下記の手順を実行する。
【0044】
<発信者番号が非通知の場合> MEM3から発信者番号が読み出されなかった場合、着信時に局線から通知された発信者番号非通知理由の解析を行い(S325)、非通知理由が発呼者の意図によるものかどうか推測する(S326)。
【0045】
この発信者番号非通知理由は、NTTのアナログ局線であればMODEM信号の発IDに含まれ、発信者番号を通知できない種々のケースについて規定している。例えば、「発信者が自分の番号を通知することを許可しない手続をしたため通知できない」、「発信者番号が通知されない詳細理由が提供されない網との接続が生じたため通知不可」、「公衆電話からの発信のため通知不可」等が含まれる。
【0046】
また、NTTのISDN(デジタル局線)であればSETUP信号の発信者番号情報要素に含まれる。例えば、「サービス提供不可のため通知不可」、「ユーザ拒否のため通知不可」、「サービス競合のため通知不可」、「公衆電話発信のため通知不可」等が含まれる。
【0047】
上記の発信者番号非通知理由は、NTT以外の場合には含まれる理由及び種類もNTTのそれとは異なり、また通知理由の変更によっても変わりうる。本実施の形態では、発信者の操作により非通知が設定された着信を、発信者の故意によるものと推認し、当該着信の規制あるいはアナウンスメント装置等に接続することで再度発信者番号の通知を伴う再発呼を促している。一方、発信者の操作によらない非通知着信を善意と推認し、通常通りの着信接続を実行する。
【0048】
<発信者番号が通知されている場合> MEM3から発信者番号の読み出しに成功すると、MEM3の迷惑電話番号蓄積手段(B410)に当該発信者番号が登録されていないか検索する(S323,S324)。この時の検索対象は、システム毎、グループ毎、若しくは被呼者の端末毎のいずれか一つ又は全てを対象としてもよく、設定変更可能とする。検索の結果、着信呼の発信者番号情報が迷惑電話番号格納部32に登録がなかった場合は、通常の着接続が行われる。
【0049】
一方、着信呼の発信者番号情報が迷惑電話番号格納部32に登録があった場合は、迷惑電話の処理方法を識別する(S331)。識別結果が自動転送の場合は、転送先を決定し、転送先に着信接続する(S351)。転送先は予め登録しておくこともできるし、迷惑電話登録手段(B220)にて迷惑電話発信者番号情報を登録する際に登録することもできる。転送先には、迷惑電話受付専用のオペレータの電話などを指定してもよい。また識別結果が自動応答の場合は、自動応答先を決定(S361)し、自動応答先に接続する。自動応答先はアナウンスメント装置や録音装置を指定する。
【0050】
これにより、迷惑電話を単に規制するだけでなく、専任の迷惑電話対応者に着信転送したり、予め設置されたアナウンスメント装置で自動応答するなど、迷惑電話に対して比較的柔軟な対応が行える。また、迷惑電話を専任の迷惑電話対応者に転送できるようにしておけば、被呼者が迷惑電話発信者番号を誤設定していたとしても気付くことができる。その理由は、迷惑電話自動転送着信手段ないし迷惑電話自動応答手段を具備しているためである。
【0051】
次に、図4のフローチャートに従って、着信者が迷惑電話と判断した着信の発信者番号の登録制御について説明する。公衆網10からPBX1に着信があると、発信者番号受信手段(B110)は、発信者番号情報を抽出しMEM3に格納する(S111)。MEM3にて保持される発信者番号は、以下の場合では、一定時間保持するものとし、通話切断による回線復旧後の一定時間経過した後にMEM3に保持する当該発信者番号をクリアする(B210,S211,S212)。
【0052】
続いて、CPU1は、上述の着信呼選択制御の実行後、又は番号識別モードの設定が解除されていることにより、発信者と被呼者との着信接続を行う。被呼者が着信呼に応答した結果、迷惑電話又は悪意呼であると認識した場合、アナログ電話機7の特番ダイヤル操作、デジタル多機能電話機8の釦押下操作、中継台9の釦押下操作などにより、迷惑電話の発信者番号登録の指示を行う。
【0053】
発信者番号の登録に関するプログラムは、通話切断による回線復旧後であっても起動され、迷惑電話登録手段(B220)によりMEM3から発信者番号の読み出しが実行される。迷惑電話登録有効時間識別手段(B210)が迷惑電話登録有効時間を監視し(S211)、迷惑電話登録有効時間内であれば発信者番号情報は保存されたままであるので(S212)、迷惑電話登録有効時間内であれば、被呼者が迷惑電話の発信者番号登録の指示を行うことが可能である。
【0054】
迷惑電話登録手段(B220)は、発信者番号の読み出しに成功した場合(S222)、MEM3の迷惑電話番号格納部32に当該発信者番号を格納する(S224)。迷惑電話番号格納部32の構成は図5に示すように、端末毎、グループ毎ないしシステム毎のエリアに分かれている。被呼者のダイヤル特番や押下釦によりどのエリアに格納されるか指示できるようになっている(S223)。
【0055】
以上の登録制御により、迷惑電話発信者番号の登録を効果的に行うことができる。例えば、中継台のように着信呼を任意のオペレータが扱っているような場合、迷惑電話発信者番号を端末個別でしか登録できないシステムでは、全てのオペレータ(中継台)が個々に登録しなければいけないのに比べて、本発明では複数の中継台をグループとして登録しておき、どのオペレータが受付けた場合でもグループ共通の迷惑電話発信番号として登録することができ優位である。その理由は、登録先の迷惑電話発信者番号蓄積手段を動的に選択可能なことを特徴とする迷惑電話発信者番号登録手段と、登録先を端末個別毎ないしグループ毎ないしシステム毎に有することを特徴とする迷惑電話発信者番号蓄積手段とを具備しているためである。
【0056】
次に、共通線を介して相互に接続された複数の構内交換機にて自営網が構成された構内交換システムにおける着信呼選択制御方法について説明する。図6にて示すシステム構成図を用いて詳細に説明する。
【0057】
PBX1Aは、公衆網10が提供するアナログ局線及び2種類のデジタル局線との接続をそれぞれCOT4A、BRT5A、PRT6Aを介して行う。また、他局との接続において、PBX1CとはTRC14Aを介しての個別線及びデジタルインタフェース用トランク(以下、DTIという。)17Aを介してのDチャネル共通線により接続され、PBX1BとはDTIを介したDチャネル共通線により接続されている。一方、PBX1Aと共通線により接続されるPBX1Bは、アナログ電話機7B、デジタル多機能電話機8B、及び中継台9Bを収容している。
【0058】
かかるシステム構成において、PBX1Cの個別線またはDpチャネル共通線からPBX1Aを中継し、Dpチャネル共通線を介してPBX1Bのアナログ電話機7B、デジタル多機能電話機8Bまたは中継台9Bに着信する場合を考える。ここで、個別線を介した接続では一般に発信者番号情報を対局に伝える手段をもたない。対してDpチャネル共通線を介した接続では、発信者番号情報を対局に伝えるのが一般的である。他局との接続がDpチャネル共通線を介した場合に発信者番号情報がB局に伝えられない場合は、発信者が意図的に発信者番号情報を公開していないのに対して、他局との接続が個別線を介した場合は、発信者の意図とは無関係に発信者番号情報をB局に伝えることができない。このため、従来技術では、Dpチャネル共通線からB局への着信において、発信者番号非通知の場合に、迷惑電話の対策を講ずることが困難であった。この問題を解決するために、本発明では非通知理由局間通知手段(B310)を具備している。
【0059】
すなわち、PBX1Aは、PBX1Cから通知される種々の発信者番号非通知理由を受信すると、着信の中継時において非通知理由局間通知手段(B310)を用い、Dpチャネル共通線を介してPBX1Cに非通知理由を通知する。Dpチャネル共通線のSETUP(呼設定)信号に、発信者番号非通知理由情報要素を定義する。発信者番号非通知理由情報要素の定義例を図7に示す。この発信者番号非通知理由情報要素のコーディングには、TTC Q−931で規定される固定シフト手順や一次シフト手順を利用して送ることにより、本発明を具備していない構内交換機において発信者番号非通知理由情報要素が未定義の情報要素として認識されエラーとして通常の呼接続が行われなくなる危険を回避することができる。PBX1Cでは、受信した発信者番号非通知理由を用いた上記着信呼選択制御方法により有効に着信を規制することができる。
【0060】
同様に、公衆網10からPBX1Aを中継し、Dpチャネル共通線を介しB局のPBX1Bのアナログ電話機7Bまたはデジタル多機能電話機8Bまたは中継台9Bに着信する場合を考える。この場合も、公衆網10から発信者番号情報が通知されない場合に公衆網10から通知される発信者番号非通知理由などを元に発信者番号非通知理由情報要素をコーディングしてB局に通知する。発信者番号非通知理由情報要素では、「公衆電話からの発信のため」や「発信者番号通知契約外の局線からの着信のため」などの発信者番号非通知理由をA局からB局に通知する。
【0061】
非通知理由局間通知手段(B310)は、A局における発信者番号非通知理由情報要素のSETUP信号へのコーディングと、B局における受信発信者番号非通知理由情報要素を解析し迷惑電話識別手段(B320)に発信者番号非通知理由を認識させるように動作する。
【0062】
続いて、A局の悪意ある発信者が発信し、Dpチャネル共通線を介し、B局のPBX1Bのアナログ電話機7Bまたはデジタル多機能電話機8Bまたは中継台9Bに着信する場合を考える。B局の着信端末にて、迷惑電話発信者番号登録操作を行った場合、第1の実施の形態の具体例で説明したのと同様の手順にて、B局のMEM3Bに迷惑電話発信者番号情報が蓄積される。
【0063】
ここで、従来技術では、B局の保守者はMEM3Bの内容を読み出すことによってB局の迷惑電話発信者情報を読み出すことができるが、A局の保守者は従来技術では自局の悪意ある発信者の情報を知ること困難であった。この問題を解決するために、迷惑電話局間通知手段B510を具備している。
【0064】
B局の着信端末が迷惑電話の発信者番号の登録操作を行うと、B局のMEM3Bに迷惑電話発信者番号情報が蓄積されるとともに、A局に対して送出される信号に迷惑電話発信者番号情報要素を定義する。迷惑電話発信者番号情報要素の定義例を図8に示す。迷惑電話発信者番号情報要素を含む信号は、例えば通話が切れる前であれば、既存のDISC(切断)信号や、REL(開放)信号に含めることができる。通話が切れた後であれば、新規の信号に含めて発信局に通知する。迷惑電話発信者番号情報要素では、登録要求のあった迷惑電話発信者番号情報を発信局に伝える。その際に着信者の番号を設定した発信者番号情報要素も含めことによって、誰が誰にかけた迷惑電話であるかの情報を発信局に通知することができる。発信局であるA局では受信した迷惑電話発信者番号情報をMEM3Aに蓄積することができる。
【0065】
A局の保守者はMEM3Aに蓄積された迷惑電話発信者番号情報を読み出すことにより、自局から発信された迷惑電話の発信者番号を知ることができる。これにより、例えば、迷惑電話が発信された迷惑電話が人目につかない通路の電話であった場合、電話機をもっと人目のつく場所に移設するなどの対策をとることができる。
【0066】
迷惑電話局間通知手段(B510)は、B局における迷惑電話発信者番号情報要素のコーディングと、A局における受信迷惑電話発信者番号情報要素や発信者番号情報要素を解析し記憶装置に迷惑電話発信者番号情報を蓄積するように動作する。
【0067】
【発明の効果】
本発明の第一の効果は、本発明の着信呼選択制御により、発信者番号が非通知の着信であっても、不必要な着信規制を抑制できることである。その理由は、発信者番号非通知理由も含めて悪意呼を識別しているからである。
【0068】
第二の効果は、本発明の登録制御により、迷惑電話発信者番号を効果的に登録することができ、端末間において悪意呼の発信者番号を共通して使用できることである。その理由は、PBX上の記憶手段に端末毎、グループ毎、システム毎の領域を設けているからである。
【0069】
第三の効果は、着信時に抽出した発信者番号を保持することで、迷惑電話が復旧してしまった後でも、着信者の操作により迷惑電話の発信者番号を登録することができ、以降の迷惑電話対策を確実に講じることができることである。
【0070】
第四の効果は、非通知理由局間通知手段を有することでネットワークないしシステム内に発信者番号を通知できない構成要素があった場合、迷惑電話として誤認されることを低減できることにある。
【0071】
第五の効果は、自営網内での迷惑電話に対して、迷惑電話発信局に迷惑電話発信者番号情報を通知することにより、迷惑電話発信局にて迷惑電話を発信させないように対策を取ることができることである。その理由は、発信者番号非通知理由局間通知手段を具備しているためである。
【0072】
第七の効果は、公衆網の迷惑電話お断りサービスを利用する場合に比して、迷惑電話として識別した場合には相手に公衆網の課金が行われるという点で、より効果的な迷惑電話対策が期待できる。また、迷惑電話の被害者側は公衆網の迷惑電話お断りサービスの契約料が不要であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すソフトウェアブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における着信呼規制制御動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における発信者番号登録動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における迷惑電話発信者番号メモリ構成図である。
【図6】本発明の実施の形態における複数の交換機を共通線にて接続構成した自営網のシステム構成図である。
【図7】本発明の実施の形態における発信者番号非通知理由情報要素の定義例である。
【図8】本発明の実施の形態における迷惑電話発信者番号情報要素の定義例である。
【符号の説明】
1,1A,1B 構内電子交換機(PBX)
2,2A,2B 中央演算処理装置(CPU)
3,3A,3B 記憶装置(メモリ)
4,4A 局線トランク回路(COT)
5,5A ISDN基本インターフェース用トランク回路(BRT)
6,6A ISDN一次群インターフェース用トランク回路(PRT)
7,7B アナログ電話機
8,8B デジタル多機能電話機
9,9B 中継台
11A,11B,15A Dチャネル制御装置(DCH)
12A,12B,16A ドロッパー・インサータ回路(D&I)
13A,13B,17A 1.5Mデジタルインターフェース用トランク回路(DTI)
Claims (10)
- 局線と接続され複数の内線を収容し、前記内線からの設定に基づき着信を規制制御する構内交換機を備えた構内交換システムにおいて、
前記構内交換機は、
着信時に前記局線から通知される発信者番号を受信する発信者番号受信手段と、
前記内線端末毎に着信を規制する発信者番号を格納する端末毎エリアと任意の内線端末で構成されるグループに共通して着信を規制する発信者番号を格納するグループエリアと前記構内交換機に収容される全ての内線に着信を規制する発信者番号を格納するシステムエリアとからなる迷惑電話番号蓄積手段と、
着信時に内線からの指定に基づき任意のエリアに当該着信に含まれる発信者番号を格納制御する書き込み制御手段と、
着信時に受信した発信者番号と前記迷惑電話番号蓄積手段とを比較照合し、当該着信先内線の端末毎エリア、当該内線が属するグループエリア、或いはシステムエリアのいずれかに前記受信した発信者番号と同一の発信者番号が検出された場合には、当該着信を迷惑電話と判定する迷惑電話識別手段と、
着信を拒否する場合に、迷惑電話の処理方法を決定する迷惑電話処理手段と、
前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の接続を規制すると決定した場合に、着信接続を規制する迷惑電話規制手段とを備えることを特徴とする構内交換システム。 - 前記発信者番号受信手段により発信者番号が受信された場合に当該発信者番号を保持する電話番号保持手段を備え、着信復旧後であっても、すなわち、通話中の状態だけではなく、着信呼の途中放棄または通話後の終話で既に呼が復旧してしまっている状態であっても、当該着信先の内線から当該着信時に通知された発信者番号の登録要求があった場合において、前記電話番号保持手段に記憶される発信者番号の履歴から登録要求のあった発信者番号を検索し、前記迷惑電話番号蓄積手段の任意のエリアに当該発信者番号を格納することを特徴とする請求項1記載の構内交換システム。
- 前記電話番号保持手段により発信者番号が受信された場合に当該発信者番号を保持する時間を管理する迷惑電話登録有効時間識別手段を具備し、発信者番号が受信されてから迷惑電話登録手段により迷惑電話として登録することが可能な時間を管理することを特徴とする請求項2記載の構内交換システム。
- 前記構内交換機は、
前記迷惑電話識別手段において、着信時に局線から受信した発信者番号が非通知の着信であった場合、局線から通知された非通知理由を参照し、発信者により発信者番号の非通知が指定されている場合には当該着信を拒否し、発信者の指定によらないで発信者番号が非通知の場合には着信を許可することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の構内交換システム。 - 前記構内交換機は、
共通線を介して他の構内交換機と接続され、
前記他の構内交換機から局間中継される着信があった場合において、当該着信の発信者番号が非通知のとき、前記局線、専用線ないし発信局内線から通知された非通知理由を中継元の前記他の構内交換機から中継先の前記構内交換機へ前記共通線を介して通知する非通知理由局間通知手段を前記他の構内交換機(送信側)および前記構内交換機(受信側)に具備することによって、前記構内交換機は、受信した非通知の理由に応じて中継された呼の着信の規制制御を行うことを特徴とする請求項4記載の構内交換システム。 - 前記構内交換機及び前記他の構内交換機は、
共通線を介して他の構内交換機と接続され、
自局に対する着信を規制する発信者番号を格納する前記迷惑電話番号蓄積手段をそれぞれが有し、互いに有する前記発信者番号を前記共通線を介して交換し共有する迷惑電話局間通知手段を具備することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の構内交換システム。 - 前記構内交換機は、
着信を拒否する場合において、所定の電話回線に音声記録再生手段を接続し、前記電話回線に音声信号を再生して出力する迷惑電話自動応答手段を具備することにより前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の処理として自動応答を選択できるようにすることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の構内交換システム。 - 前記構内交換機は、
着信を拒否する場合において、所定の転送先に着信接続する迷惑電話転送手段を具備することにより前記迷惑電話処理手段が迷惑電話の処理として自動転送を選択できるようにすることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の構内交換システム。 - 前記共通線をDpチャネル共通線により構成したことを特徴とする請求項5乃至8いずれか記載の構内交換システム。
- 前記非通知理由局間通知手段は、Dpチャネル共通線を介した非通知理由の通知をTTC.Q−941に規定する固定シフト手順又は一次シフト手順により行うことを特徴とする請求項9記載の構内交換システム。
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