JP3995970B2 - 記録再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の情報層を含む記録媒体のための記録再生装置、記録再生方法および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的に情報の記録または再生が可能な光記録媒体としては、光ディスク、光カード等が知られている。光記録媒体は、半導体レーザ等のレーザ光を光源として用い、レンズを介して微小に集光した光ビームを照射することで、情報の記録あるいは再生を行う。
【0003】
これら光記録媒体においては、さらに記録容量を高めるための技術開発が盛んに行われている。この中で、情報層を積層した多層記録媒体は、情報層の数に応じて記録容量を倍増することが可能であり、さらに他の高密度記録技術と組み合わせることが容易であるという特徴を有する。多層記録媒体としては、すでに再生専用のDVD−ROMディスクが実用化されている。今後は、相変化材料、光磁気材料、色素材料などの記録可能な情報層を積層した記録可能な多層記録媒体の実用化が期待されている。
【0004】
一方、光記録媒体からの情報を記録再生するための基本技術に、対物レンズを用いて光記録媒体上に光ビームを集光させるフォーカスサーボ、記録する情報トラックを追従させるトラッキングサーボがある。これらのサーボ動作は、光記録媒体からの反射光を光検出器により受光して得られた信号に基づいて行う。情報層に相変化材料、色素材料を用いた記録媒体は、情報層薄膜に照射した光の反射光の光量変化を利用して信号の記録・再生を行う。また情報の記録時には、再生時の約10倍の高いパワーの光を照射することにより行う。従って、サーボのため制御信号を得る光検出器には、再生トラックの状態が未記録または記録、動作が再生または記録であるかの条件で、対物レンズが情報層薄膜の位置に追従する動作が同一であっても、反射光量が変化するために、サーボ信号の振幅が変化する。このサーボ信号の振幅変化を補償するため、フォーカス動作時には、フォーカスのゲインをフォーカス信号の和信号の値に反比例させ、同様にトラッキング動作時には、トラッキングのゲインをトラッキングの和信号の値で反比例させている。
【0005】
なお、複数の情報層からなる再生専用の多層記録媒体の再生においては、目的の情報層だけでなく隣接する情報層からの光が、再生用の光検出器に入射し、それらがサーボ信号のオフセットとなる。このため、再生の際は予め他の情報層からのクロストークを予測し、単層の情報層の場合よりも相対的にサーボゲインを高める方向にサーボ信号を補正している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、記録可能な情報層を備えた多層記録媒体においては、目的の情報層に記録再生を行う際に、隣接する情報層の記録状態に依存して、最適なサーボ条件が変化するという課題がある。
【0007】
例えば情報層が2層の光記録媒体の場合には、それぞれの情報層の未記録/記録状態の組み合わせに応じて大きく4つの状態が存在する。ここで各情報層が、未記録状態から記録状態することにより反射率の低下する形態であり、光源側を第1の情報層、光源から奥側の情報層を第2の情報層とする。ここで奥の第2の情報層へのサーボ動作の例で説明する。この場合のフォーカスゲインは、未記録状態と記録状態の間では、前述のようにフォーカス用の光検出器に入射した情報層からの反射光の和に反比例させる。記録媒体からの反射光には、第2の情報層の反射光と、光源側の第1の情報層の反射光が加わり、これらの合成した結果を元にフォーカスゲインが決定される。このため、目的の第2の情報層の状態が同じであっても、光源側の第1の情報層が未記録状態か、あるいは記録状態かにより、反射光量は変化する。このため、予め第1、第2の情報層が共に未記録状態の領域で、第2の情報層のサーボゲインを学習し決定する。次に第1の情報層に記録を行い、再び第1、第2の情報層が共に未記録状態でサーボゲインを学習した領域を再生すると第1の情報層からの反射光量が小さくなっているために、反射光の中で第2の情報層からの反射光の割合が相対的に増大する。この結果、フォーカスの和信号でサーボゲインの補正が不十分となり、その動作が不安定となる。
【0008】
以上の現象は、トラッキングサーボにおいても同様であり、目的の情報層以外の情報層の記録状態に依存して、フォーカスゲインまたはトラッキングゲインが変化し、サーボ動作が不安定となるという課題があった。
【0009】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、記録媒体に含まれる複数の情報層のうち目的の情報層以外の情報層の記録状態に依存することなく目的の情報層に対して安定にサーボ動作を行うことが可能な記録再生装置、記録再生方法および記録媒体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録再生装置は、複数の情報層を含む記録媒体のための記録再生装置であって、前記記録媒体によって反射された光ビームからフォーカス誤差信号を生成し、前記フォーカス誤差信号に応じて、前記記録媒体に照射された光ビームが前記複数の情報層のうち目的の情報層の上を追従するようにフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、前記記録媒体によって反射された光ビームからトラッキング誤差信号を生成し、前記トラッキング誤差信号に応じて、前記記録媒体に照射された光ビームが前記複数の情報層のうち目的の情報層の上に形成された複数のトラックの1つに追従するようにトラッキング制御を行うトラッキング制御部とを備え、前記複数のトラックは、トラック方向に沿って所定の周期で蛇行するウォブルトラックを含み、前記トラッキング制御が閉ループの状態において前記トラッキング誤差信号に含まれるウォブル信号のウォブル振幅値を検出するウォブル振幅検出回路と、前記ウォブル振幅値と基準の振幅値とを比較し、その比較結果に応じて前記フォーカス制御のゲインを設定するゲイン設定部とをさらに含むことを特徴とし、これにより上記目的が達成される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態の記録再生装置1000の構成を示す。
【0037】
記録再生装置1000は、複数の情報層を含む記録媒体1を回転させるモータ2と、光ビームを記録媒体1に照射する光ピックアップ3と、モータ2および光ピックアップ3を制御する制御部とを含む。
【0038】
記録媒体1は、例えば、光ディスクである。モータ2は、例えば、スピンドルモータである。
【0039】
光ピックアップ3は、光ビームを出射する光源11と、光源11から出射された光ビームを収束させる対物レンズ12と、記録媒体1によって反射された光ビームを検出する光検出器13と、ボイスコイル15とを含む。ボイスコイル15に電流を流すことにより、光ビックアップ3は、記録媒体1に垂直な方向に、または、記録媒体1の半径方向に移動可能なように構成されている。
【0040】
制御部は、光ピックアップ3の光源11を駆動する光変調系4と、光ピックアップ3から出射された光ビームの焦点が記録媒体1の複数の情報層のうち目的の情報層の上に位置するように光ピックアップ3を制御し、かつ、光ピックアップ3から出射された光ビームが目的の情報層に形成されたトラックを追従するように光ピックアップ3を制御する制御系5と、記録媒体1に記録された信号を再生する信号再生系6と、光変調系4、制御系5および信号再生系6の動作を管理するとともに、外部機器との入出力を管理するシステム制御系8とを含む。
【0041】
なお、システム制御系8は、光変調系4、制御系5および信号再生系6の動作のタイミングなどを制御するが、図1ではそのようなタイミングを制御するための信号は省略し、主要な信号のみを示している。
【0042】
以下、記録媒体1に記録された信号を再生する場合における記録再生装置1000の動作を説明する。
【0043】
システム制御系8は、回転制御部9にモータ2を駆動するように指示する。回転制御部9は、システム制御系8からの指示に従って記録媒体1が一定の速度で回転するようにモータ2を駆動する。
【0044】
システム制御系8は、記録再生装置1000の動作モードが再生モードであることを示す制御信号を光変調系4に出力する。この制御信号は、エンコーダ23を介してレーザ駆動部10に供給される。レーザ駆動部10は、光ピックアップ3から出射される光ビームの強度が再生パワーとなるように光源11に流れる電流を制御する。
【0045】
光源11から出射された光ビームは、光ピックアップ3の光学系(図示せず)と対物レンズ12とによって収束される。収束された光ビームは記録媒体1に照射され、記録媒体1に含まれる複数の情報層のうちの1つに光スポットを形成する。記録媒体1によって反射された光ビームは、対物レンズ12と光ピックアップ3の光学系とを経由して光検出器13に入射する。
【0046】
光検出器13は、複数の受光面(例えば、4つの受光面)を有している。光検出器13は、光電変換を行う。その結果、複数の受光面のそれぞれは、入射した光の量に対応する電圧値を有する信号を出力する。複数の受光面のそれぞれから出力される信号は、プリアンプ14によって増幅される。
【0047】
プリアンプ14は、フォーカスサーボ用の信号F+、F−、トラッキングサーボ用の信号T+、T−、信号再生用の高周波信号RFの5種類の信号を少なくとも出力する。
【0048】
ここで、フォーカスサーボ用の信号F+(フォーカス信号F+)は、光ビームの焦点と目的の情報層との正方向の位置ずれを示す。フォーカス信号F+は、例えば、光ビームの焦点位置が目的の情報層に対して対物レンズ側に位置ずれした場合に光量が増大する領域に配置された受光面からの出力信号である。フォーカスサーボ用の信号F−(フォーカス信号F−)は、光ビームの焦点と目的の情報層との負方向の位置ずれを示す。フォーカス信号F−は、例えば、光ビームの焦点位置が目的の情報層に対して対物レンズの反対側に位置ずれした場合に光量が増大する領域に配置された受光面からの出力信号である。
【0049】
また、トラッキングサーボ用の信号T+(トラッキング信号T+)は、光スポットと目的のトラックとの正方向の位置ずれを示す。トラッキング信号T+は、例えば、記録媒体がディスク形状の場合には、光スポットが目的のトラックに対し外周側に位置ずれした場合に光量が増大する領域に配置された受光面からの出力信号である。トラッキングサーボ用の信号T−(トラッキング信号T−)は、光スポットと目的のトラックとの負方向の位置ずれを示す。トラッキング信号T−は、例えば、記録媒体がディスク形状の場合には、光スポットが目的のトラックに対し内周側に位置ずれした場合に光量が増大する領域に配置された受光面からの出力信号である。
【0050】
プリアンプ14は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−とを生成するフォーカス信号生成部として機能する。また、プリアンプ14は、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−とを生成するトラッキング信号生成部として機能する。
【0051】
フォーカス制御部16は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じてフォーカス誤差信号を生成し、そのフォーカス誤差信号に応じて、記録媒体1に照射された光ビームの焦点と記録媒体1の複数の情報層のうち目的の情報層との距離を所定の誤差範囲内に保つフォーカス制御を実行する。このようなフォーカス制御は、例えば、フォーカス誤差信号に応じて対物レンズ12を記録媒体1に垂直な方向に移動させることにより達成される。
【0052】
ゲイン設定部7は、フォーカス誤差信号に応じて、記録媒体1の複数の情報層のうち目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームの影響を補償するようにフォーカス制御のゲイン(フォーカスサーボゲイン)を設定する。
【0053】
このように、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームの影響を補償するようにフォーカス制御のゲイン(フォーカスサーボゲイン)を設定することにより、目的の情報層以外の情報層の記録状態に依存することなく、目的の情報層に対して安定したサーボ動作を行うことが可能になる。その結果、記録媒体1に対して記録再生を行う際にエラーが発生することを低減することができる。
【0054】
トラッキング制御部17は、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との差分に応じてトラッキング誤差信号を生成し、そのトラッキング誤差信号に応じて、記録媒体1に照射された光ビームの光スポットを目的の情報層に形成された複数のトラック(ガイド溝)のうち目的のトラック(ガイド溝)に追従させるトラッキング制御を実行する。このようなトラッキング制御は、例えば、トラッキング誤差信号に応じて対物レンズ12を記録媒体1の半径方向に移動させることにより達成される。
【0055】
ゲイン設定部7は、トラッキング誤差信号に応じて、記録媒体1の複数の情報層のうち目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームの影響を補償するようにトラッキング制御のゲイン(トラッキングサーボゲイン)を設定する。
【0056】
このように、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームの影響を補償するようにトラッキング制御のゲイン(トラッキングサーボゲイン)を設定することにより、目的の情報層以外の情報層の記録状態に依存することなく、目的の情報層に対して安定したサーボ動作を行うことが可能になる。その結果、記録媒体1に対して記録再生を行う際にエラーが発生することを低減することができる。
【0057】
2値化部20は、プリアンプ14から出力される高周波信号RFを2値化信号に変換する。デコーダ21は、2値化部20から出力される2値化信号を復調することにより復調信号を生成する。システム制御系8は、デコーダ21から出力される復調信号を復調信号S02として外部機器に出力する。
【0058】
層識別部22は、2値化部20から出力される2値化信号に基づいて、再生中の情報層が記録媒体1に含まれる複数の情報層のうちのいずれであるかを識別する。再生中の情報層が目的の情報層でなかった場合には、層識別部22は、ジャンプ回路19に光ビームの焦点の位置を目的の情報層に移動させるように指示する。層識別部22は、また、層識別部22は、複数の情報層のそれぞれに記録された情報を管理し、複数の情報層のそれぞれの形態、記録再生条件などを復調する。
【0059】
図2Aは、記録媒体1の構成の一例と、記録媒体1用の光学系の構成の一例とを示す。
【0060】
記録媒体1は、3つの情報層226、227、228と、2つの分離層230、231と、2つの基板225、229を含んでいる。情報層226と情報層227とは、分離層230によって一定の距離だけ離されており、情報層227と情報層228とは、分離層231によって一定の距離だけ離されている。
【0061】
記録媒体1は、光ビームが入射する側から、基板225、情報層226、分離層230、情報層227、分離層231、情報層228、基板229をこの順に積層することによって形成される。
【0062】
情報層226、227、228のそれぞれは、再生専用型の情報層であってもよいし、記録可能型の情報層であってもよい。再生専用型の情報層は、情報を表す凹凸ピットが形成された面と、その面の上に形成された反射膜とを含む。記録可能型の情報層に信号を記録する方式としてさまざまな方式を適用することができる。例えば、光ビームの熱によって薄膜の形状が変化することを利用する変形記録方式、薄膜の相状態が変化することを利用する相変化記録方式、磁化方向が変化することを利用する光磁気記録方式、フォトクロミック材料などのように光エネルギーにより状態が変化することを利用する記録方式などが適用可能である。
【0063】
さらに、光ビームが入射する側から最も離れた場所に位置する情報層228に対する記録再生を可能とするためには、情報層226、227は、光ビームの波長に対して、光ビームを透過する性質(透過性)を有していることが必要である。
【0064】
なお、本発明は、複数の情報層のうちの少なくとも1つが、記録可能型の情報層である場合に特に有効である。
【0065】
図2Aにおいて、実線によって示される光路41は、光ビームの焦点が情報層227の上にある場合における、情報層227に入射した光および情報層227によって反射された光ビームの光路を示す。図2に示される例では、ほぼ光の回折限界まで絞られた状態で、光ビームが情報層227に収束されている。
【0066】
図2Aにおいて、一点鎖線42によって示される光路42は、情報層226によって反射された光ビームの光路を示し、破線43によって示される光路43は、情報層228によって反射された光ビームの光路を示す。
【0067】
図2Aに示されるように、情報層227によって反射された光ビームは、対物レンス12、検出レンズ39およびシリンドリカルレンズ40を経由して、光検出器13の上に再び焦点を結ぶ。
【0068】
これに対し、情報層226によって反射された光ビームは、対物レンズ12を通過した後に発散光となるため、光検出器13の複数の受光面の全体を覆うように光検出器13に入射される。その結果、情報層226によって反射された光ビームは、光検出器13の複数の受光面にほぼ均等に入射されることになる。また、情報層228によって反射された光ビームは、対物レンズ12を通過した後に収束光となり、検出レンズ39と光検出器13との間で焦点を結ぶため、光検出器13の複数の受光面の全体を覆うように光検出器13に入射される。その結果、情報層228によって反射された光ビームは、光検出器13の複数の受光面にほぼ均等に入射されることになる。
【0069】
図2Bは、光検出器13の構成の一例と、プリアンプ14の構成の一例とを示す。
【0070】
光検出器13は、4つに分割された受光面13a、13b、13c、13dを含む。
【0071】
情報層227によって反射された光ビームは、光路41に沿って光検出器13に入射する。その結果、光検出器13の受光面13a〜13dの上に光スポットが形成される。図2Bにおいて、参照番号41aは、情報層227によって反射された光ビームの焦点が光検出器13の受光面13a〜13dの上にある場合の光スポットの形状を示す。光スポット41aは、受光面13a〜13dのそれぞれにほぼ均等にかかる円形である。
【0072】
図2Bにおいて、参照番号41bは、光ビームの焦点の位置が情報層227に対して対物レンズ12の側にわずかにずれた場合の光スポットの形状を示す。光スポット41bは、受光面13bと受光面13cとを結ぶ方向に延びる楕円形である。参照番号41cは、光ビームの焦点の位置が情報層227に対して対物レンズ12と反対側にわずかにずれた場合の光スポットの形状を示す。光スポット41cは、受光面13aと受光面13dとを結ぶ方向に延びる楕円形である。
【0073】
図2において、参照番号42aは、情報層226によって反射された光ビームが光路42に沿って光検出器13に入射した場合の光スポットの形状を示す。光スポット42aは、受光面13a〜13dのすべてを覆う円形である。参照番号43aは、情報層228によって反射された光ビームが光路43に沿って光検出器13に入射した場合の光スポットの形状を示す。光スポット43aは、受光面13a〜13dのすべてを覆う円形である。
【0074】
光スポット42aおよび光スポット43aの形状は、光ビームの焦点と情報層227との位置ずれに対してはほとんど変化しない。情報層226、228によって反射された光ビームは、光ビームの焦点と情報層227との位置ずれによらず、光検出器13の受光面13a〜13dにほぼ均等に照射される。
【0075】
光検出器13の受光面13a〜13dのそれぞれは、入射した光の量に対応する電圧を有する信号を出力する。
【0076】
光検出器13の対角線上に配置された受光面13a、13dから出力された信号は、プリアンプ14内の加算アンプ44に供給される。加算アンプ44は、受光面13aから出力された信号と受光面13dから出力された信号とを加算し、その加算結果を増幅することにより、フォーカス信号F+を生成する。
【0077】
光検出器13の対角線上に配置された受光面13b、13cから出力された信号は、プリアンプ14内の加算アンプ45に供給される。加算アンプ45は、受光面13bから出力された信号と受光面13cから出力された信号とを加算し、その加算結果を増幅することにより、フォーカス信号F−を生成する。
【0078】
フォーカス制御部16(図1)は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じてフォーカス誤差信号を生成し、フォーカス誤差信号がほぼゼロとなるように(すなわち、フォーカス信号F+の値とフォーカス信号F−の値とがほぼ等しくなるように)目的の情報層227に対する光ビームの焦点の位置を制御する。このような制御は、例えば、フォーカス誤差信号に応じて対物レンズ12の位置を制御することによって達成される。
【0079】
上述したように、目的の情報層227に対するフォーカス制御を行っている間、目的の情報層227以外の情報層226、228によって反射された光ビームは光検出器13の受光面13a〜13dにほぼ均等に照射されるため、情報層226、228によって反射された光ビームに基づいて生成されるフォーカス信号F+の成分とフォーカス信号F−の成分とはほぼ等しくなる。フォーカス制御は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じて行われる。これにより、目的の情報層227以外の情報層226、228によって反射された光ビームがフォーカス制御に与える影響をほぼなくすことが可能になる。
【0080】
なお、図2Aおよび図2Bでは、フォーカス方法が非点収差法である場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。目的の情報層に対するフォーカス制御をフォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じて行い、かつ、その目的の情報層に対するフォーカス制御を行っている間、その目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームに対してフォーカス信号F+の成分とフォーカス信号F−の成分とがほぼ等しくなるようにフォーカス信号F+とフォーカス信号F−とが生成される限り、本発明を任意のフォーカス方法に適用することができる。
【0081】
また、図2Aおよび図2Bでは、記録媒体1が3つの情報層を含む場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は2以上の任意の数の情報層を含む記録媒体に適用することができる。また、3つの情報層のうち2番目の情報層に対してフォーカス制御を行う場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は複数の情報層のうち任意の情報層に対してフォーカス制御を行う場合に適用することができることはいうまでもない。
【0082】
さらに、フォーカス制御と同様のことがトラッキング制御にもあてはまる。すなわち、トラック方向に沿って少なくとも2つに分割された受光面を有する光検出器を用いて、トラック方向に沿って一方の側に配置された受光面から出力された信号を加算しその加算結果を増幅することによりトラッキング信号T+を生成し、トラック方向に沿って他方の側に配置された受光面から出力された信号を加算しその加算結果を増幅することによりトラッキング信号T−を生成し、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との差分に応じてトラッキング制御を行うことにより、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームがトラッキング制御に与える影響をほぼなくすことが可能になる。
【0083】
図3は、フォーカス制御部16(図1)の構成の一例と、ゲイン設定部7(図1)の構成の一例とを示す。
【0084】
フォーカス制御部16は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−とを受け取り、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じたフォーカス誤差信号31sを生成する差動増幅回路31と、差動増幅回路31から出力されるフォーカス誤差信号とゲイン設定部7によって設定されるフォーカスサーボゲインとに応じて光ピックアップ3のボイスコイル15を駆動するフォーカス駆動回路33と、フォーカス駆動回路33に所定の電流を提供するオフセット回路34を含む。
【0085】
ゲイン設定部7は、S字振幅検出回路35と、ゲイン設定回路32と、S字基準値回路36とを含む。
【0086】
以下、図3を参照して、フォーカス制御部16およびゲイン設定部7の動作を説明する。
【0087】
フォーカス駆動回路33は、フォーカス制御を開ループとし、オフセット回路34から提供される所定の電流をボイスコイル15に流すことにより、対物レンズ12を記録媒体1に対して垂直な方向に移動させる。
【0088】
S字振幅検出回路35は、目的の情報層に対応するフォーカス誤差信号31sの振幅値を検出する。S字基準値回路36は、実験により予め求められた基準の振幅値を出力する。ゲイン設定回路32は、検出された振幅値とS字基準値回路36から出力される基準の振幅値とを比較することにより、基準フォーカスサーボゲインを決定する。ゲイン設定回路32は、基準フォーカスサーボゲインを示すフォーカスサーボゲイン設定信号7sをフォーカス駆動回路33に出力する。
【0089】
フォーカス駆動回路33は、フォーカスサーボゲイン設定信号7sに従って、フォーカス制御のゲイン(フォーカスサーボゲイン)を設定し、フォーカス制御を閉ループとする。その結果、フォーカスサーボゲイン設定信号7sに従って設定されたフォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御が開始される。
【0090】
なお、フォーカス制御を閉ループ/開ループとする制御は、例えば、フォーカス制御のフィードバックループの途中にスイッチを設け、そのスイッチのON/OFFをフォーカス駆動回路33が切り換えることによって達成される。
【0091】
なお、ゲイン設定部7は、加算増幅回路37をさらに含んでいることが好ましい。加算増幅回路37は、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−とを受け取り、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との和に応じたフォーカス和信号を生成する。この場合、ゲイン設定回路32は、フォーカス制御が閉ループの状態において、基準フォーカスサーボゲインに加えて、加算増幅回路37から出力されるフォーカス和信号に基づいてフォーカスサーボゲインを微調整する。これにより、記録再生中における光ビームのパワーの変化や外乱による影響を抑制することが可能となる。
【0092】
図4は、フォーカス制御が開ループの状態において、フォーカス駆動回路33の制御により、差動増幅回路31から出力されるフォーカス誤差信号(FE信号)31sが変化する様子を示す。図4に示される例では、記録媒体1は図2Aに示されるように3つの情報層226、227、228を含むものとする。
【0093】
図4に示されるように、3つの情報層226、227、228にそれぞれ対応して3つのS字型のフォーカス誤差信号が得られる。
【0094】
目的の情報層が1番目の情報層226である場合には、S字振幅検出回路35は、目的の情報層に対応するフォーカス誤差信号の振幅値として図4に示される振幅値F1を検出する。目的の情報層が2番目の情報層227である場合には、S字振幅検出回路35は、目的の情報層に対応するフォーカス誤差信号の振幅値として図4に示される振幅値F2を検出する。目的の情報層が3番目の情報層228である場合には、S字振幅検出回路35は、目的の情報層に対応するフォーカス誤差信号の振幅値として図4に示される振幅値F3を検出する。
【0095】
なお、フォーカス誤差信号は、理想的な条件下では図4に示されるようにS字形状の信号となるが、実際には記録媒体1の面ぶれや再生ノイズなどの原因により、S字が歪んだ形状の信号となる。このため、目的の情報層を確実に検出するためには、フォーカスオフセット、記録媒体1の面ぶれによる変動成分から想定される振幅および波形の時間幅を限定することが好ましい。
【0096】
上述したように、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームに基づいて生成される信号成分は、フォーカス信号F+、F−の双方にほぼ均等に現れる。このため、フォーカス信号F+とフォーカス信号F−との差分に応じてフォーカス制御を行うことにより、その信号成分をほぼ相殺することが可能になる。これは、目的の情報層以外の情報層が記録状態にあるか未記録状態であるかにかかわらず成立する。従って、目的の情報層に対してフォーカス制御を行う場合に、目的の情報層以外の情報層が記録状態にあるか未記録状態にあるかにかかわらず、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームがそのフォーカス制御に与える影響をほぼキャンセルすることが可能になる。その結果、目的の情報層に対して適切なゲインでフォーカス制御を行うことが可能になる。
【0097】
図5は、トラッキング制御部17(図1)の構成の一例と、ゲイン設定部7(図1)の構成の一例とを示す。
【0098】
トラッキング制御部17は、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−とを受け取り、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との差分に応じたトラッキング誤差信号51sを生成する差動増幅回路51と、差動増幅回路51から出力されるトラッキング誤差信号とゲイン設定部7によって設定されるトラッキングサーボゲインとに応じて光ピックアップ3のボイスコイル15を駆動するトラッキング駆動回路53とを含む。
【0099】
ゲイン設定部7は、TE振幅検出回路54と、ゲイン設定回路52と、TE基準値回路55とを含む。
【0100】
以下、図5を参照して、トラッキング制御部17およびゲイン設定部7の動作を説明する。なお、フォーカス制御部16によるフォーカス制御を実行した結果、光ビームの焦点が目的の情報層上に位置していると仮定する。
【0101】
トラッキング駆動回路53は、トラッキング制御を開ループとし、対物レンズ12を記録媒体1の半径方向に移動させる。この対物レンズ12の移動に伴って、差動増幅回路51から出力されるトラッキング誤差信号(TE信号)51sが変化する。
【0102】
図6は、このようにして得られたトラッキング誤差信号51sの波形を示す。
【0103】
TE振幅検出回路54は、トラッキング誤差信号51sの振幅値(図6の例ではT2)を検出する。TE基準値回路55は、実験により予め求められた基準の振幅値を出力する。ゲイン設定回路52は、検出された振幅値(図6の例ではT2)とTE基準値回路55から出力される基準の振幅値とを比較することにより、基準トラッキングサーボゲインを決定する。ゲイン設定回路52は、基準トラッキングサーボゲインを示すトラッキングサーボゲイン設定信号70sをトラッキング駆動回路53に出力する。
【0104】
トラッキング駆動回路53は、トラッキングサーボゲイン設定信号70sに従って、トラッキング制御のゲイン(トラッキングサーボゲイン)を設定し、トラッキング制御を閉ループとする。その結果、トラッキングサーボゲイン設定信号70sに従って設定されたトラッキングサーボゲインに基づくトラッキング制御が開始される。
【0105】
なお、トラッキング制御を閉ループ/開ループとする制御は、例えば、トラッキング制御のフィードバックループの途中にスイッチを設け、そのスイッチのON/OFFをトラッキング駆動回路53が切り換えることによって達成される。
【0106】
なお、ゲイン設定部7は、加算増幅回路56をさらに含んでいることが好ましい。加算増幅回路56は、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−とを受け取り、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との和に応じたトラッキング和信号を生成する。この場合、ゲイン設定回路52は、トラッキング制御が閉ループの状態において、基準トラッキングサーボゲインに加えて、加算増幅回路56から出力されるトラッキング和信号に基づいてトラッキングサーボゲインを補正する。これにより、記録再生中における光ビームのパワーの変化や外乱による影響を補償することが可能になる。例えば、ゲイン設定回路52は、トラッキング和信号のレベルに反比例するようにトラッキングサーボゲインを補正することが好ましい。
【0107】
上述したように、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームに基づいて生成される信号成分は、トラッキング信号T+、T−の双方にほぼ均等に現れる。このため、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との差分に応じてトラッキング制御を行うことにより、その信号成分をほぼ相殺することが可能になる。これは、目的の情報層以外の情報層が記録状態にあるか未記録状態であるかにかかわらず成立する。従って、目的の情報層に対してトラッキング制御を行う場合に、目的の情報層以外の情報層が記録状態にあるか未記録状態にあるかにかかわらず、目的の情報層以外の情報層によって反射された光ビームがそのトラッキング制御に与える影響をほぼキャンセルすることが可能になる。その結果、目的の情報層に対して適切なゲインでトラッキング制御を行うことが可能になる。
【0108】
各情報層に対して、他層が未記録状態または記録状態のいずれの状態であるかに応じて、その組み合わせを場合分けすると、情報層が3つの場合は各情報層に対して4種類、合計12種類のサーボゲインを設定する。同様に、2層の場合は、各情報層に対して2種類、合計4種類のサーボゲインを設定する。
【0109】
また、基準フォーカスサーボゲイン、基準トラッキングサーボゲインを設定する領域、記録再生を行うトラックの記録領域は、未記録領域と記録領域とが分離している方が望ましい。即ち、各トラックごとに未記録状態と記録状態の領域が混在した場合は、他層に与える影響が段階的に変化する。即ち、情報層が2層の場合であっても前述の4種類だけでなく、他層の記録パターンに依存してさらに多くのゲインを設定する必要が生じる。この場合は、前述の基準フォーカスサーボゲイン、基準トラッキングサーボゲインを求める工程を誤差要因が発生した都度、再度実行することで、良好な記録再生が可能となる。他の方法としては、予め情報層の各領域においてこれらの値を求めておき、各領域ごとにサーボゲインを切り換える方法が有効である。
【0110】
(第2の実施の形態)
ここでは、複数の情報層を含む記録媒体1に対するサーボゲインを決定する方法として、トラック方向に沿って一定の周期で蛇行するウォブル溝を利用する方法を説明する。
【0111】
図7は、複数の情報層の1つ(目的の情報層)に形成された複数のガイドトラック71を示す。ガイドトラック71の上には情報信号が記録されたことを示す記録マーク72が形成されている。
【0112】
ガイドトラック71は、トラック方向と垂直な方向に一定の周期でわずかに蛇行するように形成されている。この蛇行の周期は、トラッキングサーボ動作の追従周波数よりも高くなるように設定されている。
【0113】
図8は、図7に示されるウォブル溝を有する記録媒体1のための記録再生装置に使用される、トラッキング制御部17(図1)の構成の一例と、ゲイン設定部7(図1)の構成の一例とを示す。
【0114】
図8に示される構成は、基本的には、図5に示される構成と同じである。ただし、図8に示される構成は、フォーカス制御が閉ループの状態であり、かつ、トラッキング制御が閉ループの状態である(すなわち、特定のトラックに記録された信号を再生している状態である)場合において、フォーカスサーボゲインとトラッキングサーボゲインとを設定することができる点で、図5に示される構成とは異なっている。
【0115】
以下、図8を参照して、トラッキング制御部17およびゲイン設定部7の動作を説明する。
【0116】
差動増幅回路51は、トラッキング信号T+とトラッキング信号T−との差分に応じたトラッキング誤差信号を出力する。トラッキング制御が閉ループの状態では、差動増幅回路51から出力されるトラッキング誤差信号は、トラッキング制御の残留成分としてガイド溝のウォブルに対応する信号(ウォブル信号)を含む。
【0117】
ウォブル振幅検出回路81は、トラッキング誤差信号に含まれるウォブル信号の振幅値を検出する。ウォブル振幅基準値回路85は、実験により予め求められた基準の振幅値を出力する。ゲイン設定回路82は、検出された振幅値とウォブル振幅基準値回路85から出力される基準の振幅値とを比較することにより、基準トラッキングサーボゲインを決定する。ゲイン設定回路82は、基準トラッキイングサーボゲインを示すトラッキングサーボゲイン設定信号70sをトラッキング駆動回路83に出力する。
【0118】
トラッキング駆動回路83は、トラッキングサーボゲイン設定信号70sに従って、トラッキング制御のゲイン(トラッキングサーボゲイン)を再設定する。その結果、トラッキングサーボゲイン設定信号70sに従って再設定されたトラッキングサーボゲインに基づくトラッキング制御が開始される。
【0119】
なお、ゲイン設定回路82は、検出された振幅値とウォブル振幅基準値回路85から出力される基準の振幅値とを比較することにより、基準フォーカスサーボゲインを決定し、その基準フォーカスサーボゲインを示すフォーカスサーボゲイン設定信号7sをフォーカス駆動回路33(図3)に出力するようにしてもよい。この場合、フォーカス駆動回路33は、フォーカスサーボゲイン設定信号7sに従って、フォーカス制御のゲイン(フォーカスサーボゲイン)を再設定する。その結果、フォーカスサーボゲイン設定信号7sに従って再設定されたフォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御が開始される。
【0120】
なお、ウォブル振幅検出回路81によって検出されたウォブル信号の振幅値に基づくゲイン補正は、急激な外乱の変化に対しては制御誤差が大きくなる場合がある。このため、ゲイン設定回路82は、基準トラッキングサーボゲインに加えて、加算増幅回路86から出力されるトラッキング和信号に基づいてトラッキングサーボゲインを微調整し、記録再生中における光ビームのパワーの変化や外乱による影響を補償することが好ましい。
【0121】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態において得られた効果が得られるのに加えて、トラッキング制御が閉ループの状態でトラッキングサーボゲインを設定することができるという効果をさらに得ることができる。これにより、記録再生動作中であっても常に最適なゲインを設定することが可能になる。
【0122】
なお、ここではウォブル溝の位相については詳述しなかったが、ディスク状の記録媒体で記録容量を高めるには、記録の線速度を一定としたCLVフォーマットが有利である。この場合のウォブル溝は、隣接するトラック間で異なる位相となる。これにより得られるウォブル振幅は、円周方向で振幅変調を受けた波形となる。
【0123】
なお、記録媒体のウォブル溝を形成する際のフォーマットとしては、隣接するトラック間では、ウォブルの位相が同じであることが望ましい。記録媒体が本実施例に示したディスク形態の場合は、ゾーンCLVのフォーマットを適用する。即ちディスクの半径方向を複数のゾーンに分割し、そのゾーン内では、隣接するトラック間で同じ位相とする。ゾーンが切り替わる領域では、ウォブルの数を外周に向かって、段階的に増やす構成とする。以上の構成のウォブル溝を採用することにより、ウォブル振幅は、いずれの領域でもほぼ一定の振幅が得られ、高速のサーボゲイン設定が可能となる。
【0124】
一方、記録容量を高める方法として、CLVフォーマットがある。この場合のウォブル溝は、隣接するトラック間で異なる位相となる。これにより得られるウォブル振幅は、半径方向で異なる振幅となる。
(第3の実施の形態)
ここまでは、記録再生するトラックの近傍で、サーボゲインを補正する方法を説明してきたが、ここでは、情報信号の記録再生の前に、記録媒体上の特定の領域で予め予備記録再生を行い、それぞれのサーボゲインの補正値を決定するサーボゲインの学習方法を説明する。
【0125】
図9は、サーボゲインを学習するための記録媒体1の構成を示す。記録媒体1は、情報領域91と、情報層間の層間クロストークが発生しうる基本パターンを示すテスト信号を記録したテスト領域92と、サーボ動作条件などを記載するための管理情報領域93とを含む。
【0126】
テスト領域92は、情報領域91に近接した領域に設けられている。
【0127】
図10は、記録媒体1のテスト領域92の断面の一例を示す。図10は、3つの情報層226、227、228のそれぞれに対し、未記録状態と記録状態の2つ状態がランダムに存在することを想定し、(a)〜(h)の8つの基本パターンをテルト領域92の半径方向の異なる位置に記録した例である。
【0128】
例えば、図10の(b)は、情報層226が未記録状態であり、情報層227が未記録状態であり、情報層228が記録状態であるという組み合わせを示す基本パターンがテスト領域92に記録されていることを示す。
【0129】
図11は、サーボゲインを学習する方法の手順を示す。この方法は、記録再生装置1000によって実行され得る。
【0130】
以下の説明では、第2の情報層(例えば、図10に示される情報層227)についてサーボゲインを学習する方法を代表例として説明する。第2の情報層以外の情報層(例えば、図10に示される情報層226、228)についても、同様の方法に従ってサーボゲインを学習することができることはいうまでもない。
【0131】
システム制御系8から出力されるサーボゲインの学習を開始することを示す信号に応答してサーボゲインの学習が開始される。
【0132】
予備サーボ設定工程101では、ゲイン設定回路32(図3)がフォーカスサーボゲインの初期値を設定し、ゲイン設定回路52(図5)がトラッキングサーボゲインの初期値を設定する。これらの初期値は、予め設定された記録媒体1に最適なサーボゲインよりやや低い値に設定される。
【0133】
テスト領域シーク工程102では、図9に示されるテスト領域92に光ビームが照射されるように光ピックアップ3を移動させる。例えば、図10に示される(a)の基本パターンが記録されたテスト領域92に光ビームが照射されるように光ピックアップ3が移動したと仮定する。
【0134】
Fオフセット印加工程103では、フォーカス駆動回路33(図3)がフォーカス制御を開ループの状態にし、オフセット回路34(図3)によって提供される所定の電流をボイスコイル15(図1)に流すことにより、対物レンス12を記録媒体1に垂直な方向に移動させる。
【0135】
S字振幅検出工程104では、S字振幅検出回路35(図3)が第2の情報層に対応するフォーカス誤差信号の振幅値を検出する。
【0136】
S字振幅比較工程105では、ゲイン設定回路32(図3)が、S字振幅検出回路35によって検出された振幅値と基準の振幅値とを比較する。
【0137】
フォーカスサーボゲイン設定工程106では、ゲイン設定回路32(図3)が、検出された振幅値と基準の振幅値との比較結果に基づいてフォーカスサーボゲインを設定する。
【0138】
フォーカス制御ON工程107では、フォーカス駆動回路33(図3)がフォーカス制御を閉ループの状態にする。その結果、フォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御が開始される。
【0139】
TE振幅検出工程108では、TE振幅検出回路54(図5)がトラッキング誤差信号の振幅値を検出する。
【0140】
TE振幅比較工程109では、ゲイン設定回路52(図5)が、TE振幅検出回路54によって検出された振幅値と基準の振幅値とを比較する。
【0141】
トラッキングサーボゲイン設定工程110では、ゲイン設定回路52(図5)が、検出された振幅値と基準の振幅値との比較結果に基づいてトラッキングサーボゲインを設定する。
【0142】
このように、上述した工程102〜工程110を行うことにより、1つの基本パターン(例えば、図10に示される(a)の基本パターン)について、最適なフォーカスサーボゲインと最適なトラッキングサーボゲインとを求めることができる。
【0143】
記録パターン確認工程111では、第2の情報層について他に学習すべき基本パターンがあるか否かが確認される。工程111において「Yes」である場合には、工程102〜工程110が繰り返され、工程111において「No」である場合には、サーボゲインの学習を終了する。
【0144】
例えば、図10に示される(a)〜(h)の8種類の基本パターンについてサーボゲインを学習する場合には、工程102〜工程110が8回繰り返されることになる。
【0145】
このようにして、テスト領域92に記録された基本パターンに対して最適なサーボゲインを予め学習しておき、テスト領域92に隣接する情報領域91に記録されているパターンが基本パターンのいずれであるかを判別することにより、その記録パターンに最適なサーボゲインを用いて安定なサーボ動作を行うことが可能になる。
【0146】
次に、サーボゲインを学習する時間を短縮する方法を説明する。上述した方法では、記録媒体1が3つの情報層を含み、学習すべき基本パターンが8種類ある場合には、3×8=24回、図11に示される工程102〜工程110を繰り返すことにより、サーボゲインを学習する必要がある。
【0147】
ここでは、サーボゲインを学習する時間を短縮するため、光ビームが入射する側から最も近い情報層から最も遠い情報層に向かって(あるいは、光ビームの入射する側から最も遠い情報層から最も近い情報層に向かって)記録媒体1に情報を記録する方式を採用する。例えば、図2Aに示されるように、記録媒体1が3つの情報層226、227、228を含み、光ビームが入射する側から情報層226、227、228の順に積層されている場合には、情報層226の内周側から外周側に向かって情報を記録し、情報層226の情報領域に空領域がなくなると、情報層227への記録を開始する。情報層227の情報領域に空領域がなくなると、情報層228への記録を開始する。
【0148】
また、記録媒体1が書き換え形の場合には、記録媒体1のコントロールトラックなどの特定の領域に、全面記録識別子を設けておくことが好ましい。すべての情報層への記録が完了した時点で、全面記録識別子にすべての情報層への記録が完了したことを示すコードを記録する。記録媒体1に情報を記録する前に、全面記録識別子に記録されたコードを確認することにより、記録媒体1の記録パターンを特定することができる。その結果、学習により予め得られたサーボゲインの中から、記録パターンに最適なサーボゲインを選択することが可能になる。
【0149】
この方法によれば、記録媒体のすべての情報層への記録が完了していない状態では、図10に示される(a)〜(h)の8種類の基本パターンのうち存在し得る基本パターンは、図10に示される(a)、(c)、(g)、(h)の4種類の基本パターンに限られる。この場合、記録媒体1のテスト領域92には4種類の基本パターンのみを記録すれば足り、記録媒体1が3つの情報層を含む場合にはサーボゲインの学習に要する回数は3×4=12回で足りる。このように、情報層への記録順序を制限することにより、サーボゲインの学習に要する回数を半分にすることが可能になる。
【0150】
さらに、情報層227に対して図10に示される(a)の基本パターンに基づく記録再生は重要ではなく、情報層228に対して図10に示される(a)、(c)の基本パターンに基づく記録再生は重要ではない。従って、これらの基本パターンに対するサーボゲインの学習を省略することにすると、サーボゲインの学習に要する回数をさらに3回少なくすることができる。その結果、サーボゲインの学習に要する回数は、9回で足りることになる。
【0151】
また、記録媒体1の各情報層ごとの記録完了を示す識別子を設け、記録媒体1に情報を記録する前に、各情報層ごとの記録完了を示す識別子を確認する方法を採用すると、記録媒体1の情報層226への記録完了を示す識別子が検出されたならば、情報層226の未記録状態は考慮する必要がなく、サーボゲインの学習に要する回数を8回とすることができる。
【0152】
すべての情報層への記録完了を示す識別子を検出した場合には、図10に示される(h)の基本パターンについてサーボゲインを学習すれば足りるから、サーボゲインの学習に要する回数は、3×1=3回となる。
【0153】
なお、光ビームが入射する側から最も遠い情報層228から最も近い情報層226に向かう方向に情報層への記録順序を制限した場合でも、同様にして、学習すべき基本パターンを図10に示される(a)、(b)、(f)、(h)の4種類に制限することができる。その結果、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0154】
以上のように、情報層への記録順序を制限することにより、サーボゲインの学習に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0155】
(第4の実施の形態)
サーボゲインを学習する他の方法を説明する。本実施の形態は、目的の情報層に信号が予め記録されている記録媒体、あるいは再生専用型の媒体に対してサーボゲインを効率的に学習する方法に関している。
【0156】
ここでは、記録媒体1のテスト領域92には、図10に示される(e)〜(h)の4種類の基本パターンのみが記録されていると仮定する。
【0157】
図12は、サーボゲインを学習する方法の手順を示す。この方法は、記録再生装置1000によって実行され得る。
【0158】
以下の説明では、第2の情報層(例えば、図10に示される情報層227)についてサーボゲインを学習する方法を代表例として説明する。第2の情報層以外の情報層(例えば、図10に示される情報層226、228)についても、同様の方法に従ってサーボゲインを学習することができることはいうまでもない。
【0159】
システム制御系8から出力されるサーボゲインの学習を開始することを示す信号に応答してサーボゲインの学習が開始される。
【0160】
予備サーボ設定工程115では、ゲイン設定回路32(図3)がフォーカスサーボゲインの初期値を設定し、ゲイン設定回路52(図5)がトラッキングサーボゲインの初期値を設定する。これらの初期値は、予め設定された記録媒体1に最適なサーボゲインよりやや低い値に設定される。
【0161】
テスト領域シーク工程116では、図9に示されるテスト領域92に光ビームが照射されるように光ピックアップ3を移動させる。例えば、図10に示される(e)の基本パターンが記録されたテスト領域92に光ビームが照射されるように光ピックアップ3が移動したと仮定する。
【0162】
フォーカスサーボゲイン設定工程117では、ゲイン設定回路32(図3)が、予め用意された複数のフォーカスサーボゲインのうち第1のフォーカスサーボゲインを設定する。その結果、フォーカス駆動回路33(図3)は、第1のフォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御を行う。
【0163】
エラーレート測定工程118では、信号再生系6(図1)が、記録媒体1の情報層227に記録された信号を再生し、その再生信号の中の復調エラーを測定する。例えば、デコーダ21(図1)が復調エラーを測定し、その測定結果をゲイン設定回路32(図3)に出力する。
【0164】
再生条件確認工程119では、図10に示される(e)の基本パターンに対して他にテストすべきフォーカスサーボゲインがあるか否かが確認される。工程119において「Yes」である場合には、工程117〜工程118が繰り返され、予め用意された複数のフォーカスサーボゲインのうち次のフォーカスサーボゲインについて再生信号中の復調エラーが測定される。工程119において「No」である場合には、工程120に進む。
【0165】
エラーレート比較工程120では、ゲイン設定回路32(図3)が、予め用意された複数のフォーカスサーボゲインに対して得られた複数の復調エラーを比較する。
【0166】
最適フォーカスサーボゲイン決定工程121では、ゲイン設定回路32(図3)が、最も安定して小さなエラーレートが得られるフォーカスサーボゲインを最適なフォーカスサーボゲインとして決定する。その結果、フォーカス駆動回路33(図3)は、最適なフォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御を開始する。
【0167】
最適なトラッキングサーボゲインも、最適なフォーカスサーボゲインを決定うする方法と同様の方法により決定される。
【0168】
トラッキングサーボゲイン設定工程122では、ゲイン設定回路52(図5)が、予め用意された複数のトラッキングサーボゲインのうち第1のトラッキングサーボゲインを設定する。その結果、トラッキング駆動回路53(図5)は、第1のトラッキングサーボゲインに基づくトラッキング制御を行う。
【0169】
エラーレート測定工程123では、信号再生系6(図1)が、記録媒体1の情報層227に記録された信号を再生し、その再生信号の中の復調エラーを測定する。例えば、デコーダ21(図1)が復調エラーを測定し、その測定結果をゲイン設定回路52(図5)に出力する。
【0170】
再生条件確認工程124では、図10に示される(e)の基本パターンに対して他にテストすべきトラッキングサーボゲインがあるか否かが確認される。工程124において「Yes」である場合には、工程122〜工程123が繰り返され、予め用意された複数のトラッキングサーボゲインのうち次のトラッキングサーボゲインについて再生信号中の復調エラーが測定される。工程124において「No」である場合には、工程125に進む。
【0171】
エラーレート比較工程125では、ゲイン設定回路52(図5)が、予め用意された複数のトラッキングサーボゲインに対して得られた複数の復調エラーを比較する。
【0172】
最適トラッキングサーボゲイン決定工程126では、ゲイン設定回路52(図5)が、最も安定して小さなエラーレートが得られるトラッキングサーボゲインを最適なトラッキングサーボゲインとして決定する。その結果、トラッキング駆動回路53(図5)は、最適なトラッキングサーボゲインに基づくトラッキング制御を開始する。
【0173】
このように、上述した工程116〜工程126を行うことにより、1つの基本パターン(例えば、図10に示される(e)の基本パターン)について、最適なフォーカスサーボゲインと最適なトラッキングサーボゲインとを求めることができる。
【0174】
記録パターン確認工程127では、第2の情報層について他に学習すべき基本パターンがあるか否かが確認される。工程127において「Yes」である場合には、工程116〜工程126が繰り返され、工程127において「No」である場合には、サーボゲインの学習を終了する。
【0175】
このようにして、テスト領域92に記録された基本パターンに対して最適なサーボゲインを予め学習しておき、テスト領域92に隣接する情報領域91に記録されているパターンが基本パターンのいずれであるかを判別することにより、その記録パターンに最適なサーボゲインを用いて安定なサーボ動作を行うことが可能になる。
【0176】
なお、情報層が記録状態にある場合のサーボゲインと情報層が未記録状態にある場合のサーボゲインとの関係を予め求めておき、情報層が未記録状態にある場合のサーボゲインを情報層が記録状態にある場合のサーボゲインから求めるようにしてもよい。
【0177】
なお、ここでは、再生信号のエラーレートを測定し、そのエラーレートに基づいてサーボゲインを学習する方法を説明したが、エラーレート以外の情報(例えば、再生信号のジッター値)に基づいてサーボゲインを学習するようにしてもよい。
【0178】
再生信号のジッター値を測定し、そのジッター値に基づいてサーボゲインを学習する場合には、図12のエラーレート測定工程118、123をジッター値測定工程に置き換え、エラーレート比較工程120、125をジッター値比較工程に置き換え、ジッター値が最小で安定であるサーボゲインを最適なサーボゲインとして決定するようにすればよい。あるいは、一定のフォーカス範囲で良好な値を確保できるサーボゲインを最適なサーボゲインとして決定するようにしてもよい。
【0179】
また、エラーレート測定の代わりに、それぞれのサーボ信号の残留成分を測定する方法も有効である。これには、図12のエラーレート測定工程118をフォーカス誤差信号の残留振幅測定工程とし、S字振幅検出回路35(図3)をフォーカス残留振幅測定回路とし、エラーレート比較工程120をフォーカス残留振幅比較工程とする。フォーカスサーボゲイン設定工程117でフォーカスサーボゲインを段階的に変化させ、フォーカス残留測定回路でそれぞれのレベルでのフォーカス誤差信号の残留成分の振幅を測定し、最も残留成分が小さくなる条件からベストのフォーカスサーボゲインを求める。
【0180】
トラッキング動作についても同様に、図12のエラーレート測定工程123をトラッキング誤差信号の残留振幅測定工程とし、TE振幅検出回路54(図5)をトラッキング残留振幅測定回路とし、エラーレート比較工程125をトラッキング残留振幅比較工程とする。トラッキングサーボゲイン設定工程122でトラッキングサーボゲインを段階的に変化させ、トラッキング残留測定回路でそれぞれのレベルでのトラッキング誤差信号の残留成分の振幅を測定し、最も残留成分が小さくなる条件からベストのトラッキングサーボゲインを求めるようにしてもよい。
【0181】
なお、フォーカスサーボ残留振幅を用いて求めるフォーカスサーボゲインは、記録再生装置の回路規模や精度などに応じて、必ずしも残留振幅が最小の条件でなくてもよい。例えば一定の動作余裕を確保するための補正、例えばフォーカス残留成分が最小ではないが、フォーカスサーボゲインがある程度変動したとしても誤動作を生じないような条件に設定してもよい。同様にトラッキングサーボゲインも、一定の動作余裕を確保するための補正、例えばトラッキング残留成分が最小ではないが、トラッキングサーボゲインがある程度変動したとしても誤動作を生じないような条件に設定してもよい。
【0182】
以上のように、フォーカスサーボあるいはトラッキングサーボ信号の残留成分を検出し、ゲインを決定する方法は、いずれの場合もそれぞれのサーボ動作は閉ループで行われ、かつ、他層からの影響を含めた状態でサーボ動作状態を調整できるという点で有効である。
【0183】
(第5の実施の形態)
サーボゲインを学習する他の方法を説明する。本実施の形態は、2段階でサーボゲインを求める方法に関している。
【0184】
図13は、サーボゲインを学習する方法の手順を示す。この方法は、記録再生装置1000によって実行され得る。ただし、図1に示されるフォーカス制御部16およびゲイン設定部7は、図14に示される構成を有しており、図1に示されるトラッキング制御部17およびゲイン設定部7は、図15に示される構成を有しているものと仮定する。
【0185】
以下の説明では、第2の情報層(例えば、図10に示される情報層227)についてサーボゲインを学習する方法を代表例として説明する。第2の情報層以外の情報層(例えば、図10に示される情報層226、228)についても、同様の方法に従ってサーボゲインを学習することができることはいうまでもない。
【0186】
システム制御系8から出力されるサーボゲインの学習を開始することを示す信号に応答してサーボゲインの学習が開始される。
【0187】
テスト領域シーク工程130では、図9に示されるテスト領域92または情報領域91に光ビームが照射されるように光ピックアップ3を移動させる。
【0188】
Fオフセット印加工程131では、フォーカス駆動回路33(図14)がフォーカス制御を開ループの状態にし、Fオフセット回路152(図14)によって提供されるオフセット電圧をボイスコイル15(図1)に印加することにより、対物レンス12を記録媒体1に垂直な方向に移動させる。
【0189】
FE振幅検出工程132では、FE振幅検出回路35(図14)が、複数の情報層によって反射された光ビームに基づいて生成されるフォーカス誤差信号から、第2の情報層に対応するフォーカス誤差信号の振幅値を検出する。
【0190】
FE振幅比較工程133では、ゲイン設定回路150(図14)が、FE振幅検出回路35によって検出された振幅値と基準の振幅値とを比較する。
【0191】
フォーカスサーボゲイン設定工程134では、ゲイン設定回路150(図14)が、検出された振幅値と基準の振幅値との比較結果に基づいてフォーカスサーボゲインを設定する。
【0192】
フォーカス制御ON工程135では、フォーカス駆動回路33(図14)がフォーカス制御を閉ループの状態にする。その結果、フォーカスサーボゲインに基づくフォーカス制御が開始される。
【0193】
TE振幅測定工程136では、トラッキング駆動回路53(図15)がトラッキング制御を開ループの状態にし、対物レンス12を記録媒体1の半径方向に移動させる。TE振幅検出回路54(図15)がトラッキング誤差信号の振幅値を検出する。
【0194】
TE振幅比較工程137では、ゲイン設定回路151(図15)がTE振幅検出回路54によって検出された振幅値と基準の振幅値とを比較する。
【0195】
トラッキングサーボゲイン設定工程138では、ゲイン設定回路151(図15)が、検出された振幅値と基準の振幅値との比較結果に基づいてトラッキングサーボゲインを設定する。
【0196】
トラッキング制御ON工程139では、トラッキング駆動回路53(図15)がトラッキング制御を閉ループの状態とする。その結果、トラッキングサーボゲインに基づくトラッキング制御が開始される。
【0197】
Fオフセット印加工程140では、フォーカス駆動回路33(図14)がフォーカス制御を閉ループの状態にし、Fオフセット回路152(図14)によって提供されるオフセット電圧をボイスコイル15(図1)に印加することにより、対物レンス12を記録媒体1に垂直な方向に移動させる。ただし、ボイスコイル15に印加されたオフセット電圧は、フォーカス制御動作が閉ループを維持できるようにFオフセット印加工程131においてボイスコイル15に印加されたオフセット電圧よりも小さい。その結果、対物レンズ12は、Fオフセット印加工程131に比べて小さな距離だけ記録媒体1に垂直な方向に移動する。
【0198】
FEオフセット検出工程141では、FEオフセット検出回路153(図14)が、Fオフセット印加工程140においてボイスコイル15に印加されたオフセット電圧に応じて変動するFE信号の変位量(FEオフセット電圧)を検出する。
【0199】
FEオフセット電圧比較工程142では、ゲイン設定回路150(図14)が、FEオフセット検出回路153(図14)によって検出されたFEオフセット電圧と基準のオフセット電圧とを比較する。なお、基準のオフセット電圧は、単一の情報層を含む記録媒体を用いた場合において、ボイスコイル15に印加されたオフセット電圧に応じて変動するFE信号の変位量として予め求めておく。
【0200】
フォーカスサーボゲイン設定工程143では、ゲイン設定回路150(図14)が、検出されたFEオフセット電圧と基準のオフセット電圧との比較結果に基づいてフォーカスサーボゲインを設定する。
【0201】
Tオフセット印加工程144では、Tオフセット回路153(図15)が、トラッキング駆動回路53の出力に一定のオフセット電圧をパルス的に印加することにより、対物レンズ12をトラッキング方向に微小に移動させる。
【0202】
TEオフセット検出工程145では、TEオフセット検出回路142(図15)が、Tオフセット印加工程144においてボイスコイル15に印加されたオフセット電圧に応じて変動するTE信号の変位量(TEオフセット電圧)を検出する。
【0203】
TEオフセット電圧比較工程146では、ゲイン設定回路151(図15)が、TEオフセット検出回路154(図15)によって検出されたTEオフセット電圧と基準のオフセット電圧とを比較する。なお、基準のオフセット電圧は、単一の情報層を含む記録媒体を用いた場合において、ボイスコイル15に印加されたオフセット電圧に応じて変動するTE信号の変位量として予め求めておく。
【0204】
トラッキングサーボゲイン設定工程147では、ゲイン設定回路151(図15)が、TEオフセット電圧と基準のオフセット電圧との比較結果に基づいてトラッキングサーボゲインを設定する。
【0205】
以上のように、フォーカスサーボゲインを2段階で求める(すなわち、フォーカス制御が開ループの状態でフォーカスサーボゲインを求め、さらに、フォーカス制御が閉ループの状態でフォーカスサーボゲインを求める)ことにより、フォーカスサーボゲインをより厳密に求めることができる。同様に、トラッキングサーボゲインを2段階で求める(すなわち、トラッキング制御が開ループの状態でトラッキングサーボゲインを求め、さらに、トラッキング制御が閉ループの状態でトラッキングサーボゲインを求める)ことにより、トラッキングサーボゲインをより厳密に求めることができる。
【0206】
図13に示される工程130〜147を図10に示される(a)〜(h)の8種類の基本パターンに対して行うことにより、これらの基本パターンに対応するサーボゲインを厳密に求めることができる。また、第3の実施の形態で説明したように、情報層への記録順序を限定することにより、サーボゲインの学習に要する時間を短縮することが可能である。
【0207】
なお、ここでは本発明の目的とするフォーカスサーボゲイン、トラッキングサーボゲインについて説明してきたが、各パターンの領域では、フォーカスサーボゲインとトラッキングサーボゲインのベスト条件を求めると共に、フォーカスオフセット量、トラッキングオフセット量についても同様の手法でに行うことにより、さらに最適な記録再生条件を求めても良い。
【0208】
なお、ここで求めた各記録パターンに対応したサーボ条件を、システムコントローラに記憶し、情報領域の記録状態に対応させて、サーボ条件を制御する。また、記録状態が複雑に混じり合った領域では、前述の記録パターンの中間的な条件を選択することが有効である。
【0209】
(第6の実施の形態)
ここでは、記録媒体上に予め各情報層の記録状態に対応して求めたサーボゲイン情報を再生することにより、安定なサーボ動作を保証する方法である。第3、第4、第5の実施の形態の方法で求めたサーボゲインを記録媒体の特定の領域、例えば、図9の管理情報領域93に記録する。すなわち、記録媒体と、記録再生装置の組み合わせで求めたサーボ条件は、記録媒体あるいは記録再生装置が劣化した場合を除いて、ほぼ同じパラメータが適用できる。従って、記録媒体上の管理情報領域に、記録再生装置の識別子とサーボ条件とを並記しておくことが有効である。この方法によると、記録媒体を記録再生装置に装着した段階で、この管理情報領域を再生し、記録再生装置と記録の履歴があった場合は、まず記載されたサーボ条件で基準信号の再生を行い、得られたサーボ状態が、管理情報の内容と一致した場合は、そのサーボ条件で、記録再生を行う。逆に前記サーボ条件での測定結果が記載内容と異なった場合は、サーボ条件を段階的に変化させた学習工程を実施することで、最適なサーボ条件を求める。以上の方法を用いると、頻繁に用いる記録媒体については、サーボ条件の学習の時間を短縮することが可能となる。
【0210】
一方、情報層間の層間干渉の影響は、記録媒体個々で差はあるが、記録媒体の構成が等しく、かつ、同じ製造工程で作られたものは、ほぼ同じ傾向となる。このため、記録媒体の製造工程の中で、実施の形態3、4、5の方法で求めたサーボゲインの学習を行い、その学習結果を管理情報領域93に記録しておくことが有効である。学習結果を管理情報領域93に記録しておく方法としては、第1の方法と第2の方法が考えられる。第1の方法は、再生専用の記録媒体で用いられている凹凸ピット情報として学習結果を基板に形成しておく方法である。第1の方法は、一旦特定の記録媒体でサーボ条件の値を求めると、以後の製造時プロセスを増やす必要がなく、より簡便な方法といえる。第2の方法は、製造時に各記録媒体毎に、サーボ条件を測定し、その結果を管理情報領域93に記録する方法である。この場合の管理情報領域93は、情報領域91と同様に記録再生可能な形態とする。この結果、各記録媒体ごとの特性差を含め、より高い精度のサーボ条件を予め設定することが可能となる。以上のように、各情報層の未記録状態、記録状態に対応したサーボゲインとトラッキングゲインからなるサーボゲイン情報を製造工程で求め、記録媒体1上に第1の方法、第2の方法の形態で管理情報領域93に記録する。これにより、ユーザが記録媒体に情報信号を記録・再生する際は、記録媒体1を記録再生装置1000に装着し、直ちに管理情報領域93のサーボゲイン情報を読み出し、動作させることが可能となり、記録再生装置のサーボ学習に要する時間が短縮できる。
【0211】
なお、ここまで示した6つの実施の形態は、3つの情報層の中の第2の情報層のサーボ条件を求める方法について説明したが、本発明は、他の情報層にも同様に適応でき、かつ、情報層が複数の場合すべてに適応できる。
【0212】
【発明の効果】
以上のように本発明は、目的とする情報層以外の情報層の記録状態/未記録状態に依存して発生するサーボゲインの変動に対し、目的の情報層に対応するフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボゲインを補償し、トラッキング誤差信号を用いてトラッキングサーボゲインを補償することできる。これにより、多層記録媒体の安定なサーボ動作を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の記録再生装置1000の構成を示すブロック図
【図2A】記録媒体1の構成の一例と、記録媒体1用の光学系の構成の一例とを示すブロック図
【図2B】光検出器13の構成の一例と、プリアンプ14の構成の一例とを示すブロック図
【図3】フォーカス制御部16の構成の一例と、ゲイン設定部7の構成の一例とを示すブロック図
【図4】フォーカス誤差信号(FE信号)31sが変化する様子を示す図
【図5】トラッキング制御部17の構成の一例と、ゲイン設定部7の構成の一例とを示すブロック図
【図6】トラッキング誤差信号51sの波形を示す図
【図7】複数の情報層の1つ(目的の情報層)に形成された複数のガイドトラック71を示す図
【図8】トラッキング制御部17の構成の一例と、ゲイン設定部7の構成の一例とを示すブロック図
【図9】サーボゲインを学習するための記録媒体1の構成を示す図
【図10】記録媒体1のテスト領域92の断面の一例を示す図
【図11】サーボゲインを学習する方法の手順を示すフローチャート
【図12】サーボゲインを学習する方法の手順を示すフローチャート
【図13】サーボゲインを学習する方法の手順を示すフローチャート
【図14】フォーカス制御部16の構成の一例と、ゲイン設定部7の構成の一例とを示すブロック図
【図15】トラッキング制御部17の構成の一例と、ゲイン設定部7の構成の一例とを示すブロック図
【符号の説明】
1 記録媒体
7 ゲイン設定部
12 対物レンズ
16 フォーカス制御部
17 トラッキング制御部
31 差動増幅回路
32 ゲイン設定回路
34 フォーカスオフセット回路
51 差動増幅回路
52 ゲイン設定回路

Claims (1)

  1. 複数の情報層を含む記録媒体のための記録再生装置であって、
    前記記録媒体によって反射された光ビームからフォーカス誤差信号を生成し、前記フォーカス誤差信号に応じて、前記記録媒体に照射された光ビームが前記複数の情報層のうち目的の情報層の上を追従するようにフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、
    前記記録媒体によって反射された光ビームからトラッキング誤差信号を生成し、前記トラッキング誤差信号に応じて、前記記録媒体に照射された光ビームが前記複数の情報層のうち目的の情報層の上に形成された複数のトラックの1つに追従するようにトラッキング制御を行うトラッキング制御部とを備え、
    前記複数のトラックは、トラック方向に沿って所定の周期で蛇行するウォブルトラックを含み、
    前記トラッキング制御が閉ループの状態において前記トラッキング誤差信号に含まれるウォブル信号のウォブル振幅値を検出するウォブル振幅検出回路と、
    前記ウォブル振幅値と基準の振幅値とを比較し、その比較結果に応じて前記フォーカス制御のゲインを設定するゲイン設定部とをさらに含むことを特徴とする記録再生装置。
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