JP3995914B2 - 回転陽極x線管及びそれを用いたx線ct装置 - Google Patents

回転陽極x線管及びそれを用いたx線ct装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用、産業用のX線CT装置に係り、特にX線CT装置の画像の画質を改善するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、X線CT装置の性能向上は著しく、画像処理技術が進歩しているばかりでなく、画像信号を読み取るX線検出器も改良が図られ、X線CT装置の画質向上に大きな寄与をしている。すなわち、X線検出器としては、X線による気体の電離作用を応用した電離箱方式の検出器に代り、受光感度の高い半導体を用いた固体方式の検出器を用いることにより、X線CT装置の画質は著しく向上している。このような画像の技術の進歩に対し、X線発生源であるX線管装置に関しては、以下の問題をかかえている。
【0003】
X線CT装置では、X線管装置から放射された厚さ1〜10mm程度の扇状のX線が被検体を透過し、被検体によって濃度分布の付けられたX線を、X線検出器で受光して電気信号に変換し、その信号を処理して断層像として画像化する。ここで問題となるのは、従来のX線CT装置用の回転陽極X線管装置ではほぼ全てのもので、X線源となる焦点の位置の移動(以下、焦点移動という)が生じ、断層像の画質の向上に対し妨げとなっていることである。最近では、固体検出器がX線検出器の主流となり、この高感度特性を十分に発揮させ、更に最高の画質を提供するためには、X線管装置の焦点移動の問題を解決することが必要である。
【0004】
上記のX線管装置の焦点移動の原因は、内挿されている回転陽極X線管の回転陽極が熱的に伸長することにある。X線CT装置では断層像の画像処理を行う際に、予め被検体を置かずに画像データを取り込み、補正係数を決定するキャリブレーション作業を行う。実際に被検体の断層像の撮影を開始すると、X線管装置ではX線曝射が繰り返し行われ、回転陽極のターゲットに熱が発生する。このX線曝射の繰り返しにより、回転陽極のターゲットに熱が蓄積され、その温度は最高950℃から1.000℃に上昇し、回転陽極自体が全体として熱膨張して陰極方向へ伸長するため、ターゲットの焦点面が陰極方向へ移動する。現用のX線管装置では、この焦点移動量は200〜500μm程度である。これに対し、キャリブレーションによる補正係数によって補正可能な焦点移動の許容範囲は、キャリブレーション位置を基準にして大略±35μm以内である。この範囲内から焦点位置が外れた場合には、アーチファクト等の画像劣化が生じる。
【0005】
ここで、従来の回転陽極X線管装置の代表例の構造とその焦点移動の挙動例について図13及び図14を用いて説明しておくことにする。図13は従来の回転陽極X線管装置の代表例の構造を示したもの、図14は従来のX線管装置での焦点移動を説明するための図である。先ず、従来の回転陽極X線管装置の代表例の構造について説明する。
【0006】
図13において、回転陽極X線管装置40は、X線を発生する回転陽極X線管(以下、X線管と略称する場合もある)1と、X線管1を内包するX線管容器41と、X線管1の陰極側の外囲器12を絶縁支持する陰極側支持体46と、X線管1の陽極端を絶縁支持する陽極側支持体42と、X線管1の回転陽極2のロータ5の外周に配設され、ロータ5に回転力を付与するステータ47と、X線管1の絶縁及び冷却をするためにX線管容器41内に充填される絶縁油50と、X線管1で発生したX線を外部に取り出すためにX線管容器41に取り付けられたX線放射窓49と、X線管1の陰極及び陽極に高電圧を供給するためのケーブルレセプタクル(図示せず)などから構成される。ここで、ステータ47は、陽極側支持体42の内周側に支持されている。
【0007】
次に、X線管1の構造について説明する。X線管1は、電子線を放出する陰極11と、陰極11からの電子線が衝突してX線を発生するターゲット3を備えた回転陽極2と、陰極11と回転陽極2とを絶縁支持し、両電極を真空気密に内包する外囲器12などから構成される。外囲器12の側面にはX線を外部に取り出すためのX線放射窓15が取付けられている。
【0008】
X線管1の構成要素のうち、上記の焦点移動に関係する部分は回転陽極2である。以下に、回転陽極2の構造の詳細について説明する。回転陽極2は、回転盤から成るターゲット3と、ターゲット3を支持するロータ5と、ロータ5を支持する回転軸8と、回転軸8を回転自在に支持する1組(本例では2個)の軸受9と、軸受9を支持する固定部10などから構成される。ターゲット3は、陰極11からの電子線が衝突してX線を発生する焦点面13と、焦点面13を保持しこれに入力する熱を蓄熱する第1の蓄熱部3aと、第1の蓄熱部3aの裏面に貼り付けられてターゲット3の蓄熱容量を大きくするための第2の蓄熱部3bとから成る。ここで、焦点面13にはタングステンやタングステン合金などの高原子番号でかつ高融点の金属が用いられ、第1の蓄熱部3aにはモリブデンやモリブデン合金などの高融点で高強度で加工性の良い金属が用いられ、第2の蓄熱部3bにはグラファイトなどの高融点で比熱の大きい軽い材料が用いられている。
【0009】
ロータ5は、ターゲット3の第1の蓄熱部3aに結合してこれを支持するターゲット支持軸4と、ターゲット支持軸4を支持するロータ肩部6と、ロータ肩部6に結合され、ステータ47から回転磁界を受けて回転するロータ円筒部5aとから構成される。ターゲット支持軸4にはモリブデンやモリブデン合金などの高融点で高強度の材料が用いられ、ロータ肩部6にはステンレス鋼などの高強度の材料が用いられ、ロータ円筒部5aには銅などの導電性の良い材料が用いられる。ロータ5の各部材は鋳造またはろう付けにより結合されている。
【0010】
ロータ5のロータ肩部6と回転軸8との間には、熱抵抗を高めるために断熱支持体7が配設され、この断熱支持体7と回転軸8との結合体にてロータ5を支持している。断熱支持体7は熱抵抗を大きくするため、薄肉に加工され、ロータ肩部6と回転軸8との間の熱的経路を長くしている。断熱支持体7にはステンレス鋼などの高強度の材料が用いられる。
【0011】
回転軸8は、フランジのついた棒状体で、フランジの部分にて断熱支持体7とねじなどで結合され、棒状体の部分には2個の軸受9の内輪が形成されている。この回転軸8の場合、その一部が軸受の内輪の役割を分担しているが、内輪を具備する軸受を用いる場合には、回転軸8の棒状体の部分に取り付ければよい。回転軸8には高速度工具鋼などの高硬度かつ高強度の材料が用いられている。回転軸8は軸受9に回転自在に支持されている。軸受9には、回転軸8と同様に高速度工具鋼などの高硬度かつ高強度の材料が用いられ、軸受9のボール及びレース面には潤滑処理が施されている。
【0012】
2個の軸受9の外輪は固定部10の軸箱部分である開口部の内周に固定されている。固定部10は底付きの円筒状体で、一端は開口部(軸箱部分)の入口となり、他端は陽極端となる。陽極端においては、X線管1の外囲器12に結合されると共に、X線管装置40の陽極側支持体42に支持される。固定部10には、銅などの熱伝導率の高い材料が用いられている。
【0013】
回転陽極2を構成する部材のうち、焦点移動量に大きく寄与している部材は、熱的伸長量の大きい固定部10とロータ肩部6であり、これらの2つの部材にて焦点移動量の大部分を占めている。この原因としては、第1に高温となるロータ肩部6の材料として熱膨張率の大きいステンレス鋼を使用していること、第2に全長の最も長い固定部10に熱膨張率の大きい銅を使用していることに起因する。
【0014】
このため、上記の熱的伸長量の大きいロータ肩部6と固定部10について、熱膨張率の小さい材料に変更することによって熱的伸長量を小さくして、焦点移動量を低減することが考えられる。そこで、ロータ肩部6と固定部10について、熱膨張率の低いモリブデン又はモリブデン合金などの材料を適用することを考えた。先ず、固定部10の場合、材料の銅を例えばモリブデンに変更すると、熱膨張率は銅の17×10-6(1/℃)からモリブデンの4×10-6(1/℃)へと約1/4の減少、熱的伸長量も約275μmだけ減少する。しかし、モリブデンの熱伝導率は33×10-6(kcal/s.mm.℃)であり、銅の約1/3に低下するため、固定部10における熱伝導が悪くなるという問題が生じる。その結果、ターゲット3で発生した熱が回転軸8に伝導した場合、固定部10を経由しての放熱が悪くなるため、回転軸8の温度が上昇し、回転軸8に設けられた軸受9の内輪に施されている固体潤滑剤の蒸発が促進され、回転不良の原因となってしまう。
【0015】
また、ロータ肩部6の場合、材料のステンレス鋼を例えばモリブデンに変更すると、熱膨張率がステンレス鋼の13.6×10-6(1/℃)からモリブデンの4.0×10-6(1/℃)へと約1/3に減少し、熱的伸長量も約115μmだけ減少する。しかし、構造上ロータ肩部6は断熱支持体7と複数本のねじ7aを用いて固定されており、断熱支持体7の材料にステンレス鋼が使用されているため、両部材の間には熱膨張率に大きな差があるため、回転陽極2が高温になったときにねじ7aの緩みが発生し、断熱支持体7の位置ずれを生ずるという問題がある。
【0016】
次に、回転陽極X線管装置(以下、X線管装置と略称する場合もある)の焦点移動の挙動について説明する。図14において、従来のX線管装置(本説明ではX線管で代表する)をX線CT装置に搭載して使用する場合、X線管1の回転陽極2と陰極11との間に高電圧を印加することによって、陰極11で生成された電子線が加速されてターゲット3の焦点面13に衝突し、電子線が衝突した部分(焦点)14でX線16が発生する。焦点14で発生したX線16は外囲器12のX線放射窓15から外部に放射される。外部に放射されたX線16は、X線CT装置に取り付けられたコリメータ17のスリット18によって必要な厚さを持つ扇状X線ビーム16に絞られる。
【0017】
X線曝射回数の少ない初期の段階では、X線ビーム16は直進し、その中心はX線検出器20の位置Aに入射する。しかし、X線曝射回数が増えてくると、ターゲット3への負荷入力により回転陽極2の温度が上昇し、回転陽極2の構成部材が熱膨張する。その結果、陽極端を支持しているX線管1では、ターゲット3の焦点面は実線の焦点面13の位置から破線の焦点面13aの位置まで移動する。同時に、X線管1の焦点は焦点14の位置から焦点14aの位置まで移動する。このときの焦点14の移動した距離ΔLが焦点移動量19である。この焦点14の移動により、コリメータ17のスリット18を通過するX線ビームはX線ビーム16aで示した方向に直進し、X線ビーム16aの中心はX線検出器20の位置Bに入射する。X線CT装置では、焦点14とコリメータ17との間の距離S1に対し、コリメータ17とX線検出器20との間の距離S2が大きく設定されることになるので、X線管1上の焦点移動量ΔL19に対し、X線検出器20上でのX線ビーム16の移動量ΔK(AB間の距離。以下、X線検出器上の焦点移動量と呼ぶことにする)21が大きくなる。実際のX線CT装置の例では、上記の距離S1と距離S2の比率は約1:4であるため、X線検出器上の焦点移動量ΔK21はX線管上の焦点移動量ΔL19の約4倍(4ΔL)となっている。このように、X線検出器20上ではX線管1の焦点移動量ΔL19が大幅に拡大されて検出されるため、画像処理に悪影響を及ぼす問題が生じる。
【0018】
現用のX線管装置では、回転陽極への負荷(X線管電圧×X線管電流×撮影時間)を一定時間間隔で入力することは殆どなく、撮影条件によって負荷入力のパターンは様々である。このため、回転陽極が予定の温度範囲に対し加熱されすぎたり、冷却されすぎたりして、焦点位置が補正可能範囲から外れるという問題がある。
【0019】
上記の問題を解決するための方法の第1の従来例としては、X線CT装置のX線管装置を支持する台として、モータ駆動にてX線管装置の位置をX線管軸方向に移動させることが可能なものを用意し、その台にX線管装置を搭載することによって、焦点位置が上記の補正可能範囲から外れそうになった際にはX線管装置を焦点移動量が減少する方向に移動させて、焦点位置を補正可能範囲に戻す方法がある。また、同様な方法(以下、第2の従来例という)として、X線管装置の代りに、X線検出器を移動させる方法も実用化されている。
【0020】
また、第3の従来例として特開平11-292308号公報に開示されたものがある。この第3の従来例はX線検出器側で問題点を解決しょうとするものである。X線検出器では通常X線管装置から放射される扇状X線ビームに対しX線検出素子の長手方向が垂直になるように配列されているが、固体検出器ではシンチレータとダイオードとの組合せから成るX線検出素子の長手方向における感度分布が一様でない。このため焦点移動が生じると、固体検出器の各X線検出素子が受光するX線ビームの厚さ方向のX線強度分布がわずかに変化し、その結果断層像にアーチファクトが生じることになる。これらに対し第3の従来例では、X線検出器の両端に複数個のレファレンスチャンネル用素子を設け、レファレンスチャンネル用素子の長手方向が扇状X線ビームの幅方向に、各素子の幅方向が扇状X線ビームの厚さ方向に、それぞれ平行になるように配列している。このようなレファレンスチャンネル用素子を設けることにより、焦点位置の移動により扇状X線ビームの照射位置がX線ビームの厚さ方向に移動しても、レファレンスチャンネル用素子の受光面の全長にわたってX線が均一に照射されるため、X線ビームの厚さ方向の照射位置の変化によって影響されないレファレンス信号を得ることができる。このレファレンス信号を用いることにより適正なX線強度補正を行うことができるので、焦点移動が生じた場合でもアーチファクトのない断層画像を得ることができる。
【0021】
また、第4の従来例として特開平11-295430号公報に開示されたものがある。この第4の従来例は、スライス方向に焦点移動が生じてもX線検出器の出力変動がなく、また特別な装置を付加しなくても常に出力が一定に保たれる固体検出器に関するものである。例えば2スライス撮影可能なマルチスライスCT用固体検出器において、従来品では1列目と2列目のX線検出素子間に散乱X線遮蔽板が設けられており、焦点位置が移動するとX線ビームは散乱X線遮蔽板に一部遮られ、焦点位置移動前(初期)に比べ1列目と2列目のX線検出素子が検出するX線ビームの幅が異なり、受光するX線強度に差が生じてしまうため、アーチファクトが生じる問題がある。これに対して、第4の従来例では、上記の散乱X線遮蔽板の高さを低くして、1列目と2列目のX線検出素子の間にスペーサを挿入して距離を持たせることによって、焦点移動後においても、各列のX線検出素子に入射するX線ビームの幅が初期の値に比べ変化しないようにして、アーチファクトの発生を防止している。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したX線CT装置における焦点移動問題の対策方法の中で、第1の従来例であるX線管装置を外部機構によってX線管軸方向に移動する補正方法では、焦点位置を常時モニタ−しながらμmオーダーの精度で位置制御を行う必要があるため、その機構が複雑で大きくなるため、コストがかかると共に、X線CT装置の小型化に支障をきたしている。また、第2の従来例であるX線検出器を移動する補正方法についても、第1の従来例と同様の問題をかかえている。
【0023】
また、固体検出器側での焦点移動対策である第3、第4の従来例に関しては、構造が複雑である上に、組立に高い精度が要求されるために、その生産には高い技術力が必要となる。更に、それぞれの補正方法は独特であるため、適用範囲が限定され、汎用性が低いという問題がある。
【0024】
上記ではX線管装置以外での焦点移動対策について述べたが、以下にはX線管装置側での焦点移動対策例について述べる。特開平9‐63522号公報に第5の従来例が開示されている。この第5の従来例では、X線管装置内の回転陽極X線管の陽極を支持する陽極支持部材に加熱用ヒータを取り付け、陽極支持部材を加熱することにより焦点移動方向とは逆の方向に熱膨張させて、焦点移動量をキャンセルする方法をとっている。しかし、加熱用ヒータによる加熱操作では焦点移動量変化に対する追従が難しいこと、更に外部にコントローラ等を設ける必要があるため、コストがかかるという問題がある。
【0025】
また、特開平12‐40480号公報には第6の従来例が開示されている。この第6の従来例では、X線管装置内の回転陽極X線管の回転陽極を構成する部材の中で、焦点移動方向とは逆の方向に伸びる部分の長さを増やし、かつ軸受を固定する固定部を2層構造として逆方向に伸びる内層部を付加することにより、焦点移動方向への伸び量をキャンセルする構造にしている。しかし、この方法では、焦点移動量のキャンセル量が未だ不十分であること、キャンセル量を十分にとろうとするとX線管の構造と長さの制約を受けることなどの問題がある。
【0026】
また、最近のX線CT装置では、短時間で多くの断層像を得るために蓄熱容量が500万ヒートユニット(HU:熱量の単位で、約0.71ジュール)以上の大熱容量のターゲットを持つX線管装置を搭載し、1スキャンを1秒以下で行う高速スキャン技術が行われている。この高速スキャン技術では、X線管装置を搭載するスキャナが高速度で回転するため、X線管装置にかかる遠心力はスキャン速度の2乗に比例して増加する。また、ターゲットの蓄熱容量の増加によりターゲットが大型化しこれを支える部分に大きな荷重がかかることから、X線管の回転陽極の強度自体が問題となり、会わせて回転陽極のたわみによる焦点移動も問題となり、回転陽極の機械的強度の向上が必要となっている。
【0027】
以上説明した如く、X線CT装置においては、画像処理技術やX線検出器の技術が向上しているにもかかわらず、焦点移動による断層像の画質劣化の問題に対するX線管装置自体での対応は遅れており、不十分である。また、X線管の回転陽極の機械的強度の向上も必要である。このため、本発明では、X線CT装置での焦点移動による画像劣化を防止し、装置システムの簡便化のために、X線管装置自体にてX線管の回転陽極の機械的強度の向上と、X線管装置全体としての焦点移動量の大幅な低減を図るとともに、X線CT装置システムとしてX線管の回転陽極の熱的コントロールを行うことにより、焦点移動の画質への影響を抑制することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のX線管は、電子線を発生する陰極と、該陰極からの電子線が衝突してX線を放出する円盤状のターゲット、該ターゲットを支持し高導電性の円筒状部を備えたロータ、該ロータと同軸に結合するフランジ部と細径軸とから成る回転軸、該回転軸の細径軸に結合され該回転軸を回転自在に支持する軸受、及び該軸受の外輪をその内周に支持する開口部と該開口部の入口と反対側の端部に陽極端とを備える底付き円筒状の固定部を有する回転陽極と、前記陰極と前記回転陽極とを対向して絶縁支持し、真空気密に内包する外囲器とを具備する回転陽極X線管において、前記ロータが、一端に前記ターゲットを支持するターゲット支持部を有し他端に開口部を有し、低熱膨張率で高強度の金属材料から成るターゲット支持軸と、該ターゲット支持軸の他端と結合するフランジ部、薄肉の円筒部及び前記回転軸のフランジ部に結合される底面部を有し、該円筒部と底面部が前記ターゲット支持軸の開口部内に収容され、比較的高い熱膨張率で低熱伝導率の金属材料から成る断熱支持体と、該断熱支持体のフランジ部の前記ターゲット支持軸との結合部とは反対側の面に結合され、高導電性の金属材料から成る円筒状のロータ円筒部とを備え、各部材間がろう付けによって結合されている。(請求項 1
【0029】
この構成では、X線管の回転陽極を構成するロータについて、従来のターゲット支持軸とロータ肩部を一体化し、断熱支持体とろう付けする構造としたことにより、ターゲット温度上昇時の熱的伸長量の低減及び機械的強度の向上を図っているので、X線管自体での焦点移動量が低減され、断層画像の画質改善に寄与するとともに、X線CT装置での高速スキャン時にも安定して高機能を発揮
することができる。
【0030】
本発明のX線管は、前記構成に加え、前記固定部は前記開口部と前記陽極端とを含む内筒部と、少なくとも該内筒部の開口部の長さ方向全体を覆う外筒部とからなり、該外筒部は低熱膨張率で高強度の金属材料で、前記内筒部は高熱伝導率の金属材料で構成されている(請求項 2 )。また、前記固定部の内筒部と外筒部との接合面に凸凹状の溝を設ける(請求項 3 )。更に、前記ロータ肩部は低熱膨張率で高強度の金属材料で構成されている。
【0031】
この構成では、X線管の回転陽極を構成する固定部について、その材料、構造を変え、ターゲット温度上昇時の熱的伸長量の低減を図っているので、X線管自体での焦点移動量が低減され、断層画像の画質改善に寄与する。また、固定部の内筒部には高熱伝導率の金属材料を使用しているので、軸受の温度上昇は抑制され、軸受の回転寿命も長く保持される。また、固定部の内筒部と外筒部との接合面に凹凸状の溝を設けることによって、内筒部と外筒部とを接合すめために該外筒部に銅を鋳込んだ場合、銅は前記溝内に入り込み、全体として接合面積が増加し、径方向や長さ方向に生じる応力に耐えることが可能となる。すなわち、内筒部と外筒部との接合部の接合強度の向上を図ることができる。また、ロータ肩部の材料、構造変更によっても、ターゲット温度上昇時の熱的伸長量の低減が図られ、焦点移動量が低減され、断層画像の画質改善に寄与する。
【0032】
本発明のX線管では更に、前記固定部の外筒部又は/及び前記ロータ肩部の材料をモリブデン又はモリブデン合金とし、前記固定部の内筒部の材料を銅とする。この構成では、固定部の外筒部又は/及びロータ肩部にモリブデン又はモリブデン合金を使用しているので、熱膨張率はステンレス鋼や銅の約 1/3 1/4 となり、両部分における熱的伸長量は約 1/3 1/4 に低減され、X線管自体での焦点移動量が低減される。又、固定部の内筒部に銅を使用しているので、従来品と同等の熱伝導率が保持され、軸受の温度上昇を抑制することができる。
【0033】
本発明のX線管では、更に、前記ロータの前記ターゲット支持軸をモリブデン又はモリブデン合金で構成し、前記断熱支持体をステンレス鋼で構成し、両者を銅ろうでろう付けしたものである。この構成では、ターゲット支持軸が従来のロータ肩部を含めて一体化されてモリブデン又はモリブデン合金から成り、断熱支持体がステンレス鋼から成ることにより、焦点移動量は約167μm低減され、また両者をろう付けしたことにより、機械的強度が向上し、X線CT装置に搭載時の遠心力などに耐えられる構造となっている。
【0034】
本発明のX線管では更に、前記ロータを構成する前記ターゲット支持軸と前記断熱支持体とのろう付け結合部では、前記断熱支持体のフランジ部の外周部の一部が前記ターゲット支持体の開口部の外周部を覆う形状にて両部材が嵌合され、前記ターゲット支持軸の開口部の内周面及び前記断熱支持体の円筒部の外周面のうちの少なくとも一方の周面に凸状部が設けられ、該凸状部においてろう材の融点付近の温度にて前記内周面と前記外周面のそれぞれの一部がほぼ接触するように構成したものである(請求項4)。
【0035】
この構成では、ロータのターゲット支持軸と断熱支持体との結合部に回転陽極の中心軸と平行な嵌合部を設け、更にターゲット支持軸の開口部の内周面と断熱支持体の円筒部の外周面との間にろう付け時の軸心出し構造を設けているので、ロータの機械的強度の向上と、回転陽極の軸心のずれ防止が図られ、大熱容量のターゲットを安定して支持し、X線CT装置の高速スキャンにも耐えることが可能となる。
【0036】
本発明では更に、前記ロータの前記ターゲット支持軸と前記断熱支持体との結合部の回転陽極の中心軸と平行な嵌合部をねじ締結嵌合構造としたものである。この構成では、ロータのターゲット支持軸と断熱支持体との嵌合部をねじ締結嵌合としたことにより、機械的強度が増加し、更にろう付け面積も増加し、結合強度が増加するため、ろう付け部材の熱膨張率差と温度の上昇、降下によって発生する種々の方向の熱応力に対しより安全性が増加する。
【0037】
本発明のX線管では更に、前記ロータの前記ターゲット支持軸と前記断熱支持体とのろう付け後に、使用したろう材に適した所定の温度、所定の時間での焼き鈍し処理を1回以上行うものである。この構成では、ろう付け後の焼き鈍し処理によって、ろう付けとそれ以降の加熱工程によって生じた各部材の残留歪みが均一化されるために、回転陽極の軸心のずれによる回転アンバランスの発生を防止することができ、安定した回転陽極構造を得ることができる。
【0038】
本発明のX線管では更に、前記固定部は、前記開口部と前記陽極端とを含む内筒部と、少なくとも該内筒部の開口部の長さ方向全体を覆う外筒部とから構成され、該外筒部は低熱膨張率で高強度の金属材料から成り、前記内筒部は高熱伝導率の金属材料から成る(請求項5)。この構成では、回転陽極のロータの構造の改良に加えて、固定部の構造の改良も行っているので、回転陽極での焦点移動量は従来品に比べ、約401μmの低減を図ることができる。
【0039】
本発明のX線管装置は、回転陽極X線管(以下、X線管と略称する)と、該X線管を内包する防X線、防電撃構造のX線管容器と、前記X線管の外囲器の陰極側を前記X線管容器の陰極側の内周壁に絶縁支持する陰極側支持体と、前記X線管の陽極端を前記X線管容器の陽極側の内周壁に絶縁支持する陽極側支持体と、該陽極側支持体に支持されて前記X線管のロータの外周に配設され、該ロータに回転力を付与するステータと、前記X線管の陰極及び陽極に高電圧を導くためのケーブルレセプタクルと、前記X線管の焦点から放射されるX線を外部に取り出すためのX線放射窓と、前記X線管を絶縁、冷却するために前記X線管容器に充填される絶縁油を具備するX線管装置において、前記X線管が請求項1乃至5記載のX線管であり、前記陽極側支持体は椀状体で、前記X線管の回転陽極の固定部を覆うように前記ターゲットの裏側の周辺部から前記陽極端にかけて延在し、その大部分が高熱膨張率の耐熱性絶縁材料にて構成されている(請求項6)。
【0040】
この構成では、焦点移動量を低減させたX線管を用いたX線管装置にて、X線管の陽極端を支持する陽極側支持体の材料として高熱膨張率の絶縁材料を用いているので、X線管装置の温度上昇によりX線管の陽極端が従来品よりも陽極側に移動することになるため、X線管装置としての焦点移動量は更に低減される。
【0041】
本発明のX線管装置では更に、前記陽極側支持体の材料を耐熱性エポキシ樹脂とするものである。この構成では、陽極側支持体に耐熱性エポキシ樹脂を使用しているため、従来品の如くステータ支持部に金属材料を使用したものと比べて、陽極側支持体全体としての熱的伸長量が大きくなるため、X線管装置全体での焦点移動量の低減量はX線管単体での値よりも大きくなり、より大きな低減効果が得られる。
【0042】
本発明のX線CT装置は、X線管装置とX線検出器とを被検体が挿入される開口部を挟んで対向配置して搭載した走査ガントリと、前記X線管装置に高電圧負荷を印加するX線コントローラと、寝載した被検体を前記開口部に挿入する撮影テーブルと、前記走査ガントリ、前記X線コントローラ及び前記撮影テーブルを制御し、前記X線検出器にて収集したX線計測データに基づいて被検体の断層画像を再構成する操作コンソールとを具備するX線CT装置において、前記X線管装置が請求項1〜6記載のX線管装置であり、撮影開始前及び撮影間に長時間の大休止をとった後には前記X線管装置に予熱のための負荷印加を行うウォームアップ操作とキャリブレーション操作を行い、その後に撮影を行う(請求項7)。また、前記長時間の大休止は2時間以上の休止である。
【0043】
この構成では、本発明に係るX線管装置をX線CT装置に搭載しているので、焦点移動量は低減されている。更に、X線CT装置での撮影を、X線管装置に予熱のためのウォームアップ操作とキャリブレーション操作を実施した後に行っているため、撮影中の焦点移動量の変動はキャリブレーション有効範囲内に納まり、キャリブレーションで求めた補正係数がその後の一連の撮影で得られた計測データの補正に適用できるので、計測データの収集及び断層画像の再構成処理を効率よく実施することができる。また、撮影間に長時間の、例えば、2時間以上の大休止が挿入された場合には、焦点移動量がキャリブレーション有効範囲の下限値をはずれることになるが、再度のウォームアップ操作及びキャリブレーション操作を実施した後に、撮影を再開することにより、画質の良い断層画像が得られる。
【0044】
本発明のX線CT装置では更に、前記X線管装置の焦点移動量についてのキャリブレーション有効範囲を設定して、その上限値をX線管装置に内挿したX線管のターゲットに最大陽極蓄積熱量に相当する熱量が蓄積された時の焦点移動量の値とし、その幅をキャリブレーションによって得た補正データの適用可能範囲とし、前記ウォームアップ操作と前記キャリブレーション操作後の焦点移動量が前記キャリブレーション有効範囲に入った後に撮影を開始するものである。この構成では、撮影時の焦点移動量がキャリブレーション有効範囲に入っているので、撮影時の計測データに対し、キャリブレーションで得た補正データを有効に適用できるため、補正された計測データに基づき画像再構成することにより、画質の良い断層画像が得られる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図面に沿って詳細に説明する。
図1に、本発明に係る回転陽極X線管の第1の実施例の構造図を示す。本実施例の回転陽極X線管では、回転陽極の構造を改良し、焦点移動量を低減するものである。図1は、本実施例の回転陽極X線管の構造を示している。本実施例の回転陽極X線管30の構造は回転陽極31を除いて、図13に示した従来例の回転陽極X線管1とほぼ同じである。図1において、回転陽極31はターゲット3と、ロータ35と、断熱支持体37と、回転軸8と、軸受9と、固定部32などから構成される。回転陽極31の構成部材のうち、ターゲット3と、回転軸8と、軸受9は従来のX線管1の回転陽極2のものとほぼ同様な構造、材料で作られている。
【0046】
図1において、先ず本実施例の回転陽極31の固定部32は、内側の軸受9と接する内筒部33とこれを覆う外筒部34とから成り、両者が異なる材料で作られている。内筒部33は2個の軸受9の外輪を支持する軸箱部分となる開口部(穴部)33aと陽極端33bを備え、熱伝導性の良い銅などの金属材料から成る。外筒部34は、ほぼ円筒形状をしており、内筒部33の陽極端33bを除いた長さ方向領域の大部分を覆っており熱膨張率の小さいモリブデン又はモリブデン合金などの金属材料から成る。このように、固定部32を二重構造にしたことにより、熱伝導については内筒部33の高熱伝導性の効果が、熱膨張については外筒部34の低熱膨張率の効果が発揮される。先ず、ターゲット3から回転軸8に伝達された熱は、内筒部33の銅の部分を陽極端33bまで熱伝導して、効率よくX線管30の外部(絶縁油など)へ熱放散されるため、固定部32の温度上昇は抑制され、軸受9の温度上昇が抑制される。次に、内筒部33の熱膨張については、外筒部34が延在する部分の熱的伸長量は外筒部34のモリブデン又はモリブデン合金の部分の低い熱膨張により抑制されるため大幅に低減される。
【0047】
本実施例の構造の固定部32と従来の銅製の固定部10との熱的伸長量を比較した場合、固定部の全長を約150mm、外筒部34の長さを約120mmとしたとき、平均温度は大略150℃、銅とモリブデンの熱膨張率はそれぞれ17×10-6(1/℃)、4×10-6(1/℃)となり、それぞれの熱的伸長量は、本実施例では約149μm、従来例では約383μmであり、本実施例の場合著しく(約1/3に)減少し、上記の差から約234μmの焦点移動量の低減が達成される。
【0048】
次に、本実施例の回転陽極31のロータ肩部36及び断熱支持体37については、構造及び材料の変更を行い、熱的伸長量の低減を図っている。ロータ肩部36の材料としては耐熱性があり熱膨張率の小さいモリブデン又はモリブデン合金などの金属材料を用いている。ロータ肩部36とステンレス鋼製の断熱支持体37との結合部については銅などのろう材を用いてろう付けする構造とし、更に結合強度を向上させるために、ろう付け結合部をねじで締結する構造とした。このような構造にしたことにより、回転陽極31が高温になった場合でも、ロータ肩部36と断熱支持体37との間の位置ずれの発生を防止することができる。
【0049】
本実施例のロータ肩部36と従来のステンレス鋼製のロータ肩部6との熱的伸長量を比較した場合、ロータ肩部6、36の全長を約20mmとしたとき、平均温度は約600℃、ステンレス鋼とモリブデンの熱膨張率はそれぞれ13.6×10-6(1/℃)、4×10-6(1/℃)であるので、それぞれの熱的伸長量は本実施例では約48μm、従来例では約163μmであり、本実施例の場合著しく(約1/4に)減少し、上記の差から約115μmの焦点移動量の低減が達成される。
【0050】
以上説明した如く、本実施例のX線管30では、回転陽極31の固定部32の構造と材料構成及びロータ肩部36と断熱支持体37の結合部の構造と材料構成を変更したことにより、前者では約234μm、後者では約115μm、全体で約349μmの焦点移動量の低減が可能となる。この結果、従来品での最大焦点移動量は約500μmであるので、本実施例では、X線管全体としての焦点移動量を151μm以下にすることが期待できる。
【0051】
図2に本発明に係るX線管装置の第1の実施例の構造図を示す。本実施例のX線管装置では、本発明に係る回転陽極X線管の第1の実施例を内挿し、更にX線管の陽極の支持構造の改良を実施している。図2において、X線管装置40は、本発明に係る回転陽極X線管の第1の実施例(以下、X線管と略称する)30と、これを内包する防X線、防電撃構造のX線管容器41と、X線管30の陽極端33bを絶縁支持する陽極側支持体42と、X線管30の陰極側を外囲器12の部分にて絶縁支持する陰極側支持体46と、X線管30のロータ35の外周に配置され、回転陽極31に回転力を付与するステータ47と、X線管30の回転陽極31及び陰極11に高電圧を導くためのケーブルレセプタクル(図示せず)と、X線管30を絶縁し、冷却するための絶縁油50と、X線管30で発生したX線を外部に取り出すためのX線放射窓49などから構成される。
【0052】
図2において、陽極側支持体42はX線管容器41の中心部に近い内周壁に固定される円板状の陽極支持リング45と、ステータ47を支持する円筒状のステータ支持部44と、X線管30の陽極端33bを支持する椀状の陽極端支持部43とから成り、全体としても椀状形をしている。陽極側支持体42はX線管容器41の中央部に固定され、陽極側に延在して、X線管30の陽極端33bを支持しているため、この陽極側支持体42がX線管装置40の温度上昇により熱膨張すると、X線管30の陽極端33bがX線管装置の中心部(X線放射窓49の中心)を基準にして陽極側に移動することになり、上記の焦点移動量を低減する効果がある。
【0053】
従来例では、陽極側支持体42を構成する部材の材料として、陽極端支持部43と陽極支持リング45には耐熱性絶縁物である耐熱性エポキシ樹脂が用いられ、ステータ支持部44には熱伝導性の良いアルミニウムなどの金属材料が用いられており、隣接する部材はそれぞれねじ又は接着剤などで締結されていたが、本実施例では、全部材の材料を耐熱性エポキシ樹脂として構造を簡略化している。
【0054】
陽極側支持体42の温度は通常急激な変化をすることなく上昇し、その温度上昇は約50℃で飽和するように制限されている。ここで、ステータ支持部44の長さを約70mm、陽極端支持部43の長さを約50mmとすると、アルミニウムの熱膨張率が23×10-6(1/℃)、耐熱性エポキシ樹脂の熱膨張率が41×10-6(1/℃)であるので、温度上昇を50℃とした場合、陽極側支持体42の熱的伸長量は従来品では約183μm、実施例では約246μmとなり、実施例では約63μmだけ大きくなる。この結果、実施例の陽極側支持構造では従来品と比べ約63μmの焦点移動量の低減効果が期待できる。
【0055】
本実施例のX線管装置40では、X線管30の回転陽極31の構造の改良及び陽極側支持構造の改良を実施しているので、焦点移動量の低減は両者の合算したものとなり、約412μmの焦点移動量の低減が期待できる。これに対し、従来のX線CT装置での最大焦点移動量は約500μm程度であるので、本実施例のX線管装置を適用したX線CT装置では、焦点移動量を約90μm以下とすることが可能となる。
【0056】
次に、図6及び図7を用いて、本発明に係る回転陽極X線管の第2の実施例について説明する。本実施例は、従来例及び第1の実施例の回転陽極X線管と比べ、回転陽極の構造が相違するので、主として回転陽極の構造について説明する。図6は、本発明に係る回転陽極X線管の第2の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図、図7は本実施例の回転陽極のロータの構造図を示す。以下、図6を用いて本実施例の回転陽極の構造を、図7を用いて本実施例の要部となるロータの構造と作り方について説明する。図6において、本実施例の回転陽極110は、ターゲット3と、ロータ111と、回転軸8と、軸受9と、固定部10とから構成される。回転陽極110の構成部材のうち、ターゲット3と、回転軸8と、軸受9と、固定部10は従来のX線管1の回転陽極2のものとほぼ同様な構造、材料で作られている。
【0057】
図6において、本実施例の回転陽極110のロータ111は、ターゲット支持軸112と、断熱支持体113と、ロータ円筒部5aとから構成されている。本実施例では、ターゲット支持軸112は従来のターゲット支持軸(4)(以下、支持軸115という)とロータ肩部(6)(以下、ロータ肩部120という)とを一体化したもので、一端の支持軸115にてターゲット3を支持し、他端のロータ肩部120で断熱支持体113とろう付けによって結合されている。更に、断熱支持体113がロータ円筒部5aとろう付けによって結合されている。ターゲット3とロータ111のターゲット支持軸112との結合は、ターゲット支持軸112の支持軸115の先端にフランジ115a、嵌合部115b、ねじ115cが設けられており、ターゲット3の中心穴3cと嵌合部115bとを嵌合し、ターゲット3の背面がフランジ115aに接するようにして、固定ナット116をねじ115cに締めつけることによって固定する。
【0058】
ロータ111と回転軸8との結合は、ロータ111の断熱支持体113にて行われている。断熱支持体113はターゲット支持軸112のロータ肩部120の端部と結合されるフランジ部113aと、フランジ部113aに接続され、高熱抵抗性を示す薄肉の円筒部113bと、円筒部113bの底となる底面部113cとから構成され、この底面部113cと回転軸8のフランジ部とが複数個のねじ118で締結されている。
【0059】
ターゲット支持軸112のロータ肩部120の外径はロータ円筒部5a及び断熱支持体113のフランジ部113aの外径とほぼ同じで、ロータ肩部120の陽極側には開口部121が設けられ、その開口部121に断熱支持体113の円筒部113bと底面部113cが収容されている。断熱支持体113は円筒部113bがフランジ部113aを基点として陰極側に延在しているため、焦点移動量を低減する働きがある。
【0060】
また、ターゲット支持軸112のロータ肩部120の陰極側には、回転軸8と断熱支持体113を結合するねじ118を挿入するための穴122が複数個設けられており、この穴122は開口部121まで貫通している。また、断熱支持体113の底面部113cにはねじ118用の複数固の座ぐり穴113dが設けられている。
【0061】
ロータ肩部120と断熱支持体113との結合はろう付けで行われるが、ロータ肩部120の端部と断熱支持体113のフランジ部113aとの間で、回転陽極110の中心軸に平行な嵌合面(周面)124を設け、この嵌合面で両者を嵌合させてろう付けを行う。また、断熱支持体113とロータ円筒部5aとのろう付けは、断熱支持体113のフランジ部113aの端面126で、両部材の端面を突き合わせて行う。
【0062】
次に、図7を用いて、回転陽極110のロータ111の構造の詳細及び作り方について説明する。図7(a)は本実施例の回転陽極のロータの構造を示す断面図、図7(b)は図7(a)の丸A部の拡大図である。図7(a)において、ロータ111はターゲット支持軸112と、断熱支持体113と、ロータ円筒部5aとから構成され、ターゲット支持軸112はモリブデンやモリブデン合金などの高融点、高強度で、熱膨張率の小さい金属材料から成る。断熱支持体113はステンレス鋼(例えばSS304)などの高強度で、熱膨張率の比較的大きい金属材料から成る。ロータ円筒部5aは銅などの電気抵抗の小さい金属材料から成る。また、ターゲット支持軸112と断熱支持体113との結合は、融点の比較的高い銅などをろう材としてろう付けされ、断熱支持体113とロータ円筒部5aとの結合は、融点が銅よりも低い金銅ろう又は銀ろうなどをろう材としてろう付けされる。
【0063】
図7(a)のターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付け部(丸Aで示した部分)を拡大した図が図7(b)である。図7(b)において、ターゲット支持軸112のろう付け面128aは外側から第1の平坦面130aと、嵌合面124の外周面124aと、第2の平坦面132aとから成る。一方、断熱支持体113のろう付け面128bは、外側から第1の平坦面130bと、嵌合面124の内周面124bと、第2の平坦面131bとから成る。更に、ターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付け時の軸心出し手段として、ターゲット支持軸112の開口部121の内周面134には、凸状の軸心出し部136が第2の平坦面131bから適当な距離Hだけ離れた位置に設けられている。この凸状の軸心出し部は断熱支持体113の円筒部113bの外周面138に設けてもよく、或いは両方の周面に設けてもよい。距離Hとしては、ターゲット支持軸112と断熱支持体113のろう付け時にろう材がターゲット支持軸112の開口部121の内周面134と断熱支持体113の円筒部113bの外周面138との間にたまるので、このろう材で埋まらないような位置までの距離として設定する必要がある。
【0064】
ターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付け時の軸心出し手段の動作と効果について説明する。先ず、ターゲット支持軸112の開口部121の内周面138に設けた凸状の軸心出し部136の位置では、この軸心出し部136と断熱支持体113の円筒部113bの外周面138との隙間が、両部材の温度がろう付け温度の約1.100℃に上昇したときにほぼ0となり、接触するように寸法設定されている。この結果、ターゲット支持軸112と断熱支持体113とを組み立てて、ろう付けのために、温度上昇して行くと、ろう付け温度にて、ターゲット支持軸112の凸状の軸心出し部136と断熱支持体113の円筒部113bの外周面138が接触するため、断熱支持体113とターゲット支持軸112とは、ろう付け時に両者の軸心が一致する。ろう付け後、室温に戻ると、断熱支持体113の方が大きく熱収縮するため、上記の接触面は離れ、両者の間には全周均一な隙間が得られる。X線管の使用時には、断熱支持体113とターゲット支持軸112の開口部121は約550℃程度まで温度上昇するが、ろう付け温度よりも十分低いために、使用中に断熱支持体113の円筒部113bの外周面138と、ターゲット支持軸112の軸心出し部136とは接触することなく、断熱支持体113による断熱効果は維持される。
【0065】
ターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付けは、断熱支持体113の第1の平坦面130b及び第2の平坦面132bにろう材(銅)を載せ、その上にターゲット支持軸112の第1の平坦面130a及び第2の平坦面132aが密着するように載せて、両部材の嵌合面124を嵌合させ、真空中又は還元性ガス雰囲気中で約1.100℃にて行われる。また、断熱支持体113とロータ円筒部5Aとのろう付けは、両者を突き合わせて金銅ろう又は銀ろうを用いて、真空中又は還元ガス性雰囲気中で約900℃又は約800℃にて行われる。
【0066】
本実施例のロータ111の構造では、回転陽極110の中心軸に対し平行な嵌合面124及び垂直な第1、第2の平坦面130、132で、ターゲット支持軸112と断熱支持体113を嵌合させて結合させているため、ろう付け時や使用時に発生するあらゆる方向の引張応力や圧縮応力に耐えられる構造になっている。また、ろう付け後室温まで冷却すると、断熱支持体113の熱膨張率がターゲット支持軸112より大きいことから、図9(b)において、断熱支持体113のフランジ部113aの外周部140がターゲット支持軸112のロータ肩部120の内周部142を締め付ける構造となっているため、断熱支持体113の周上の不均一な変形を防止することができる。さらに、断熱支持体113の円筒部113bの外周面138と、ターゲット支持軸112の開口部120の内周面134との間には、断熱と接触防止のために適当な間隔の隙間144が設けられている。
【0067】
上記の如き構造にしたことにより、X線管の使用時にロータ111が約550℃程度に加熱された場合でも、断熱支持体113の薄肉の円筒部113bはターゲット支持軸112のロータ肩部120によって締め付けられることがないため、その周上に不均一な変形は生じることはない。また、ターゲット支持軸112と断熱支持体113とは、回転陽極110の中心軸と平行な嵌合面124をろう付け面として共有することにより、X線CT装置への搭載時に加わる遠心力によって生じる回転陽極110のたわみを低減する効果も得られる。
【0068】
また、断熱支持体113の円筒部113bの外周面138とターゲット支持軸112の開口部121の内周面134との間には、上述の如きろう付け時の軸心出し手段を設けているので、ロータ111全体の熱的伸びが不均一となっても、軸の曲りが発生しにくく、また断熱支持体113とターゲット支持軸112の回転軸心のずれ量も非常に小さく押さえられる。
【0069】
また、本実施例のロータ111の構造では、ターゲット支持軸112のロータ肩部120の部分の長さを長くすることによって、この開口部121に収容される断熱支持体113の円筒部113の長さを長くすることができる。ロータ肩部120と円筒部113bの熱的伸長方向は逆となるが、円筒部113bの方が熱膨張率が大きいため、ロータ肩部120の部分を長くすることは、ロータ111全体として焦点移動量を低減するのに効果がある。この場合、断熱支持体113の比較的薄肉の円筒部113bの長さが長くなると、この部分の剛性が低下するが、円筒部113の肉厚を断熱効果が低下しない程度に厚くすることで剛性の問題は回避される。断熱支持体113の断熱効果については、円筒部113bの長さが長くなったことによって向上しているので、若干肉厚を厚くしても、従来品とほぼ同等の断熱効果を維持することは可能である。
【0070】
本実施例のロータ111では、ろう付け後使用する前に予め熱処理を加えておく必要がある。ターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付け部128のろう材の肉厚は、上記の軸心出し手段によって、全周ほぼ均一となるが、ろう付け時の加熱が終了した後、ろう材が凝固し始めるのは全周同時ではない。このようなろう材の凝固開始の不均一やろう付けされる部材の熱収縮の不均一により、ろう付け部128には全周不均一な残留歪みが生じる。この残留歪みはロータ111の使用時にロータ111の等方的な熱膨張を防げ、ロータ111の非等方的な熱変形を起こす場合があり、ロータ111の軸心ずれを生じさせる原因となっている。
【0071】
このため、本実施例のロータ111では、ターゲット支持軸112と断熱支持体113とのろう付け後、必要な加工を施して完成したロータ111に対し、上記の残留歪みを全周ほぼ均一に低減するために、焼き鈍し処理を行う。焼き鈍し温度としては、銅ろうの場合、通常500℃から600℃が最適で、処理時間は1時間程度である。焼き鈍し処理後は、徐冷する。また、処理回数は、1回以上であればよく、実桟にて効果が確認されている。この熱処理をロータ111に施すことによって軸心のずれによる回転陽極110の回転アンバランスの発生を防止することができ、安定した回転陽極構造を得ることができる。
【0072】
本実施例の回転陽極構造では、ロータの構造を上記の如く改良したことにより、上記の如き機械的強度の向上とともに、焦点移動量も従来のX線管と比べて大幅に低減されている。焦点移動量の低減に寄与した部分は、ロータ肩部120をターゲット支持軸112と一体化して低熱膨張率の金属材料(モリブデン又はモリブデン合金など)を使用したことと、断熱支持体113の円筒部113bの長さを長くしたことである。本実施例のロータ111と従来例のロータ5との熱的伸長量を比較した場合(ロータ肩部と断熱支持体の部分のみ比較する)、ロータ肩部の全長は両者とも25mm、断熱支持体の全長はそれぞれ約16.5mmと13mmとしたとき、ロータ肩部の平均温度は約600℃、断熱支持体の平均温度は約450℃、ステンレス鋼とモリブデンの熱膨張率は13.6×10-6(1/℃)、4×10-6(1/℃)であるので、それぞれの熱的伸長量は本実施例では、約−52μm、従来例では約115μmである。この結果、本実施例の場合焦点移動量は著しく減少し、上記の差から約167μmの焦点移動量の低減が達成される。
【0073】
図8は、本発明に係る回転陽極X線管の第3の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図である。本実施例のX線管では、回転陽極の構造を除いて第1及び第2の実施例のX線管とほぼ同じであるので、以下本実施例の要部である回転陽極の構造について図8により説明する。図8において、図8(a)は本実施例の回転陽極の構造を示す断面図、図8(b)は図8の丸A部の拡大図である。図8において、本実施例の回転陽極150では、ロータ151のろう付け部の構造が第2の実施例と異なる。すなわち、ロータ151は、ターゲット支持軸152と断熱支持体153とロータ円筒部5aとから構成されるが、銅ろう付けされるターゲット支持軸152と断熱支持体153とのろう付け面156のうち、回転陽極150の中心軸と平行なろう付け面(この面はターゲット支持軸152と断熱支持体153との嵌合面となっているので、以下では嵌合面とも呼ぶことにする)158に、ねじ嵌合構造160を設けたものである。このように、ロータ151のろう付け面156の嵌合面158に、ねじ嵌合構造160を設けたことにより、ロータ151の機械的強度が増加し、更にろう付け面積が増加して、ろう付け強度が増加するため信頼性が向上する。
【0074】
また、本実施例においても、第2の実施例と同様に、ターゲット支持軸152の開口部121の内周面134と、断熱支持体153の円筒部153bの外周面138との間にろう付け時における軸心出し手段を採用しており、ターゲット支持軸152の内周面134には凸状の軸心出し部136を設けている。また、ターゲット支持軸152と断熱支持体153のろう付け後には、残留歪みを低減するために焼き鈍し処理が行われる。
【0075】
本実施例における焦点移動量の低減効果については、ロータ151の構造がねじ嵌合構造160の部分を除いて第2の実施例とほぼ同じであるので、第2の実施例とほぼ同じ効果が得られる。回転陽極150の機械的強度については、ねじ嵌合構造160を設けたことにより、第2の実施例よりも、遠心力などに対する機械的強度の向上及び温度の上昇、降下によって発生する熱応力に対する安全性の増加が図られる。
【0076】
図9は、本発明に係る回転陽極X線管の第4の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図である。本実施例では、回転陽極の固定部の構造を第1の実施例と同様に二層管構造とし、ロータの構造を第2又は第3の実施例と同様にターゲット支持軸とターゲット肩部とを一体化し、断熱支持体とろう付けする構造とし、焦点移動量の低減効果を大きくし、機械的強度を向上したものである。図9において、本実施例の回転陽極170はターゲット3と、ロータ111と、回転軸8と、軸受9と、固定部32とから構成される。ロータ111は第2の実施例の回転陽極110のロータと同じ構造をしており、固定部32は第1の実施例の回転陽極31の固定部と同じ構造をしており、ターゲット3と、回転軸8と、軸受9は従来品のターゲット、回転軸、軸受と同じ構造をしている。
【0077】
本実施例では、回転陽極170の構造を上記の如くしたことにより、第1の実施例の効果と第2の実施例の効果が得られる。すなわち、焦点移動量の低減効果としては、ロータ111の構造変更の分と固定部32の構造変更の分が加算され、機械的強度の向上の効果としてはロータ111の構造変更の寄与分が得られる。このため、焦点移動量はロータ111にて約167μm、固定部32にて約234μm、合計約401μm低減される。また、回転陽極170の機械的強度に関しては、ロータ111のろう付け部の結合強度の向上、軸心のずれの低減が達成され、X線CT装置実装時の遠心力などに対し安定した強度を発揮することができる。
【0078】
また、第2〜第4の実施例の回転陽極X線管は、第1の実施例と同様に図2に示したX線管容器41に内挿されてX線管装置として組立てられる。このため、本発明のX線管装置でのX線管の陽極側支持構造に基づく焦点移動量の低減効果も付加される。このX線管の陽極側支持構造に基づく焦点移動量の低減効果は上記の如く約63μmであり、これを第4の実施例の回転陽極X線管の場合の焦点移動量の低減効果である約401μmに加算すると、全体としての低減量は約464μmとなり、焦点移動量としては約36μm(=500−464)程度となり、100μm以下にすることができる。
【0079】
図10に、本発明に係る回転陽極X線管の第5の実施例の構造図を示す。本実施例は、図1に示す第1の実施例の固定部32の内筒部33と外筒部34との接合部の接合強度を向上させるものである。図10において、二重構造の固定部32の内筒部33と外筒部34との接合面に溝加工を施して三角形状の凹凸の溝180を設けたものである。
前記内筒部33と外筒部34の接合は、例えば図11に示す鋳造法を用いる。図11において、外筒部34の素材182中に溶融した内筒部33の材料184を鋳込み、鋳込んだ後に所望の形状186に仕上げ加工を行う。このように加工することによって、三角形状の溝加工面180の接合が容易に行える。なお、前記三角形状の溝加工は螺旋状に施しても良く、その加工は比較的容易できる。
図12は、内筒部33と外筒部34の接合面の溝188を四角形状とした例である。この形状の溝では、接合面積を広く取ることが可能となり接合強度をさらに向上させることができる。また、この形状を形成するための溝加工は螺旋状に施しても良い。
なお、前記の溝180あるいは溝188は、図9に示した第4の実施例に用いても良い。
【0080】
次に、本発明に係るX線管装置を搭載したX線CT装置の構成とX線CT装置の運転手順について、図3と図4を用いて説明する。図3は本発明に係るX線CT装置のシステム構成例を示したもの、図4は本発明に係るX線CT装置の動作フローチャート例を示したものである。先ず、図3によりX線CT装置のシステム構成について説明する。図3において、本発明に係るX線CT装置60は主に走査ガントリ61と、操作コンソール62と、撮影テーブル63とから成る。走査ガントリ61は本発明に係るX線管装置40と、X線検出器20と、データ収集部66と、X線ビームの厚さを変えるコリメータ17と、コリメータ17を制御するコリメータコントローラ68と、X線管装置40のX線発生を制御するX線コントローラ69と、X線管装置40及びX線検出器20を開口部70aを挟んで対向して搭載して被検体の周りを回転させる回転部70と、回転部70の回転を制御する回転コントローラ71などから構成される。この走査ガントリ61では、回転部70の開口部70aに、撮影テーブル63に載置した被検体を挿入し、回転部70を回転させることにより、対向配置されたX線管装置40とX線検出器20とで被検体の周りを走査し、複数回転角度方向における被検体のX線減弱データを計測し、計測データの収集を行い、計測データを操作コンソール62に送る。
【0081】
操作コンソール62は、データ収集部66からの計測データを集めるデータ収集バッファ72と、計測データを用いて被検体の断層面の画像の再構成などを行う中央処理装置73と、再構成された画像を表示する表示装置74と、画像データを蓄積する記憶装置75と、中央処理装置73を経由して装置全体を制御・操作する操作装置76と、中央処理装置73と走査ガントリ61及び撮影テーブル63をつなぐ制御インターフェース77などから構成される。この操作コンソール62では、操作装置76からX線CT装置60全体の制御を行うとともに、走査ガントリ61にて収集した被検体の計測データに基づいて被検体の断層面の画像の再構成を行い、画像の表示と画像データの蓄積などを行う。
【0082】
撮影テーブル63は被検体を寝載するテーブルで、載置された被検体を走査ガントリ61の回転部70の開口部70aに挿入する。被検体の開口部70a内での挿入位置(床面からの高さ、挿入深さなど)は、操作コンソール62の操作装置76によって制御される。
【0083】
次に、図4によりX線CT装置の運転手順について説明する。X線CT装置の運転にあたっては、撮影を始める前に、先ず第1の工程としてウォームアップ101を行う。このウォームアップ101では、X線管装置40に高電圧負荷を複数回印加してX線管装置40の予熱を行い、耐電圧を安定させる。次に、第2の工程としてキャリブレーション102を行う。このキャリブレーション102では、走査ガントリ61の回転部70の開口部70aに被検体を挿入せずに、複数回のX線曝射を行い、X線検出器20の感度特性を読み込み、断層画像を再構成する際に計測データを補正するための補正データを得る。
【0084】
次に、第3の工程として撮影103を行う。この撮影103では被検体を回転部70の開口部70aに挿入し、X線曝射を行って計測データを収集し、断層画像の再構成を行う。このとき、計測データの補正を行うために、上記のキャリブレーション102で得られた補正データを利用する。次に、第4の工程として休止104を入れる。この休止104では、撮影103の完了した被検体の入れ替えを行う。これらの撮影103と休止104は、撮影を行う被検体の数に応じて必要な回数だけ繰り返す。本発明に係るX線管装置40では構造上焦点移動量の低減が図られているので、後に詳しく説明するように、前の撮影から次の撮影までの休止時間が2時間未満であれば、焦点位置の移動量が小さく、再度のキャリブレーションをしないで、撮影103、すなわち計測データの収集を続行してもよい範囲(以下、キャリブレーション有効範囲と呼ぶ)内に収まっているため、再度のキャリブレーション102を行うことなく継続して撮影103が可能である。
【0085】
次に、第5の工程として2時間以上の大休止105が入った場合には、X線管装置40の焦点位置が初期のキャリブレーション有効範囲内に戻るように第6の工程のウォームアップ106と第7の工程のキャリブレーション107を行った後に、第3の工程の撮影103を再開する。第6の工程のウォームアップ106と第7の工程のキャリブレーション107は第1の工程のウォームアップ101と第2の工程のキャリブレーション102とほぼ同じ操作を行う。以上の如き運転手順でX線CT装置を動作させることにより、X線管装置40の焦点位置はキャリブレーション有効範囲内に収まり、キャリブレーション102で得られた補正データによる計測データの補正が有効に行われ、アーチファクトの生じない断層画像が得られる。
【0086】
次に、本発明に係るX線CT装置の運転とX線管装置の焦点移動との関係について図5を用いて(図4を参照しながら)説明する。図5は本発明に係るX線管装置(第1の実施例)での動作時の焦点移動量の変化例を示したものである。図5に示したものは、本発明に係るX線CT装置において、最大焦点移動量が90μmであるX線管装置を搭載して撮影を行う場合の動作例である。図5において、横軸に時間経過、縦軸にX線管装置の焦点移動量を示している。先ず、撮影前にウォームアップ101とキャリブレーション102のX線曝射81を行うことで、焦点位置は初期焦点位置80から約60μmだけ移動する。この移動後の焦点位置をキャリブレーション基準位置82とする。キャリブレーション102で得られた補正データで画像補正可能な焦点移動量範囲(上記のキャリブレーション有効範囲に相当する)83は60μm±33μmである。
【0087】
次に、撮影84と、被検体の入れ替えなどで必要とする10分程度の撮影休止時間85とを複数回繰り返すと、焦点移動量は最大の85μmの飽和位置86にて飽和する。撮影84の開始から焦点移動量が飽和位置86に到達するまでの間は、焦点位置はキャリブレーション許容範囲83内にあり、良好な断層画像が得られる。
【0088】
その後、休止時間が長くなり、次の撮影までに2時間以上の大休止時間88がとられ、X線管装置の回転陽極が冷却されると、焦点位置はキャリブレーション有効範囲83の下限位置87を越えてしまうことになる。このため、X線CT装置で2時間以上の大休止時間88をとった場合には、撮影91を再開する前に初期と同様にウォームアップ101とキャリブレーション102のX線曝射89を行うことにより焦点位置90は再びキャリブレーション基準位置82に戻り、通常の撮影91を再開することができる。
【0089】
次に、上記のキャリブレーション有効範囲83とX線管装置及びX線CT装置との関係について説明する。このキャリブレーション有効範囲83は上記の如くキャリブレーションで得られた補正データで画像補正可能な焦点移動量範囲で、図5の例では60μm±33μmとなっている。このキャリブレーション有効範囲の上限値は、X線管装置に内挿されるX線管のターゲットに最大陽極蓄積熱量に相当する熱量が蓄積された時の焦点移動量に対応し、上記の場合93μmとなっている。キャリブレーション有効範囲の幅はキャリブレーションによって得られた補正データが計測データの補正のために適用できる焦点移動量の変動可能な範囲で、上記の場合には66μmとなっている。前者はX線管装置の性能によって決まり、後者はX線CT装置とX線管装置との組合せによって決まる。
【0090】
上記の如く、キャリブレーション有効範囲の上限値と幅が決まると、両者に基づいてキャリブレーション有効範囲の中央値、すなわちキャリブレーション基準位置(60μm)とキャリブレーション下限値(27μm)が決まる。キャリブレーションはキャリブレーション有効範囲内で行えばよいが、よりよくはキャリブレーション基準位置の近くで行うのがよい。また、後続の撮影を考慮すると、キャリブレーション下限値とキャリブレーション基準位置との間で行うのが実用的である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る回転陽極X線管では、回転陽極を構成するロータ、固定部について構造の改良及び熱膨張率の小さい材料への変更を行うことにより、回転陽極の温度上昇時の熱的伸長量を小さくして、焦点移動量を約345μm以上低減することができた。
【0092】
また、本発明に係る回転陽極X線管では、回転陽極のロータ構造に関し、ターゲット支持軸とロータ肩部とを一体化し、低熱膨張率の材料で構成し、断熱支持体とろう付けする構造とし、ロータ肩部と断熱支持体との間に軸心出し構造を採用したことにより、回転陽極全体としての機械的強度を向上し、回転陽極の自重やX線CT装置搭載使用時のスキャナ回転による遠心力に耐え得る強度を付与することができた。この結果、X線CT装置の画像処理において画質低下の要因となっている回転陽極のたわみに起因する焦点移動量も低減することができ、X線CT装置の高速スキャンに対応することができる。
【0093】
また、本発明に係るX線管装置では、上記回転陽極X線管を使用し、このX線管の陽極端を支持する陽極側支持体の構造の改良及び一部の材料についての熱膨張の大きい材料への変更を行うことにより、X線管装置の温度上昇時の陽極側支持体の熱的伸長量を大きくして、X線管装置としての焦点移動量を約60μm以上低減し、全体としては約405μm以上低減することができた。
【0094】
また、本発明に係るX線CT装置では、上記X線管装置を搭載し、予めウォームアップとキャリブレーションによりX線管装置の構成部材を加熱して焦点位置をキャリブレーション基準位置に移動させた後に撮影を行うことにより、撮影中の焦点移動量をキャリブレーション有効範囲内に収めることができ、焦点移動による断層画像の画質劣化を防ぎアーチファクトのない良好な断層画像を得ることができる。
【0095】
また、本発明に係るX線CT装置では、焦点移動量を補償するために、従来品のようにX線管装置又はX線検出器を移動させる機構及びその機構を制御する機器などが不要となることによって、コストを削減することができるとともに、システムを単純化し、かつ小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転陽極X線管の第1の実施例の構造図。
【図2】本発明に係るX線管装置の第1の実施例の構造図。
【図3】本発明に係るX線CT装置のシステム構成例。
【図4】本発明に係るX線CT装置の動作フローチャート例。
【図5】本発明に係るX線管装置での動作時の焦点移動量の変化例。
【図6】本発明に係る回転陽極X線管の第2の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図。
【図7】第2の実施例の回転陽極のロータの構造を示す断面図。
【図8】本発明に係る回転陽極X線管の第3の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図。
【図9】本発明に係る回転陽極X線管の第4の実施例の回転陽極の全体構造を示す断面図。
【図10】本発明に係る回転陽極X線管の第5の実施例の構造図。
【図11】本発明に係る回転陽極X線管の第5の実施例の内筒部33と外筒部34を鋳造で接合する説明図。
【図12】本発明に係る回転陽極X線管の第5の実施例の別の構造図。
【図13】従来の回転陽極X線管の代表例の構造。
【図14】従来のX線管装置での焦点移動を説明するための図。
【符号の説明】
1、30…回転陽極X線管(X線管)
2、31、110、150、170…回転陽極
3…ターゲット
4、112、152…ターゲット支持軸
5、35、111、151…ロータ
6、36、120…ロータ肩部
7、37、113、153…断熱支持体
8…回転軸
9…軸受
10、32…固定部
11…陰極
12…外囲器
13、13a…焦点面
14、14a…焦点
15…X線放射窓
16、16a…X線(X線ビーム)
17…コリメータ
19…焦点移動量
20…X線検出器
21…拡大焦点移動量
33…内筒部
33a…開口部(穴部)
33b…陽極端
34…外筒部
40…回転陽極X線管装置(X線管装置)
41…X線管容器
42…陽極側支持体
43…陽極端支持部
44…ステータ支持部
45…陽極支持リング
47…ステータ
49…X線放射窓
50…絶縁油
60…X線CT装置
61…走査ガントリ
62…操作コンソール
63…撮影テーブル
66…データ収集部
69…X線コントローラ
70…回転部
70a…開口部
73…中央処理装置
76…操作装置
82…キャリブレーション基準位置
83…キャリブレーション有効範囲
84,103…撮影
101,106…ウォームアップ
102,107…キャリブレーション
85,104…休止
88,105…大休止
113a…フランジ部
113b…円筒部
113c…底面部
115…支持軸
118…ねじ
121…開口部
122…穴
124,158…嵌合面(ろう付け面)
126…端面
128,128a,128b,156…ろう付け面
134…内周面
136…軸心出し部
138…外周面
160…ねじ嵌合構造
180…三角形状の溝
182…外筒部の素材
184…内筒部の素材
186…二重構造の固定部の仕上げ形状
188…四角形状の溝

Claims (5)

  1. 電子線を発生する陰極と、該陰極からの電子線が衝突してX線を放出する円盤状のターゲット、該ターゲットを支持し高導電性の円筒状部を備えたロータ、該ロータと同軸に結合するフランジ部と細径軸とから成る回転軸、該回転軸の細径軸に結合され該回転軸を回転自在に支持する軸受、及び該軸受の外輪をその内周に支持する開口部と該開口部の入口と反対側の端部に陽極端とを備える底付き円筒状の固定部を有する回転陽極と、前記陰極と前記回転陽極とを対向して絶縁支持し、真空気密に内包する外囲器とを具備し、
    前記ロータが、一端に前記ターゲットを支持するターゲット支持部を有し他端に開口部を有し、低熱膨張率で高強度の金属材料から成るターゲット支持軸と、該ターゲット支持軸の他端と結合するフランジ部、薄肉の円筒部及び前記回転軸のフランジ部に結合される底面部を有し、該円筒部と底面部が前記ターゲット支持軸の開口部内に収容され、比較的高い熱膨張率で低熱伝導率の金属材料から成る断熱支持体と、該断熱支持体のフランジ部の前記ターゲット支持軸との結合部とは反対側の面に結合され、高導電性の金属材料から成る円筒状のロータ円筒部とを備え、各部材間がろう付けによって結合されている回転陽極X線管において、
    前記ロータを構成する前記ターゲット支持軸と前記断熱支持体とのろう付け結合部では、前記断熱支持体のフランジ部の外周部の一部が前記ターゲット支持体の開口部の外周部を覆う形状にて両部材が嵌合され、前記ターゲット支持軸の開口部の内周面及び前記断熱支持体の円筒部の外周面のうちの少なくとも一方の周面に凸状部が設けられ、該凸状部においてろう材の融点付近の温度にて前記内周面と前記外周面のそれぞれの一部がほぼ接触するように構成されていることを特徴とする回転陽極X線管。
  2. 請求項1記載の回転陽極X線管において、
    前記固定部は前記開口部と前記陽極端とを含む内筒部と、少なくとも該内筒部の開口部の長さ方向全体を覆う外筒部とからなり、該外筒部は低熱膨張率で高強度の金属材料で、前記内筒部は高熱伝導率の金属材料で構成されていることを特徴とする回転陽極X線管。
  3. 請求項1記載の回転陽極X線管において、
    前記内筒部と外筒部との接合面に溝を設けたことを特徴とする回転陽極X線管。
  4. 回転陽極X線管と、該回転陽極X線管を内包する防X線、防電撃構造のX線管容器と、前記回転陽極X線管の外囲器の陰極側を前記X線管容器の陰極側の内周壁に絶縁支持する陰極側支持体と、前記回転陽極X線管の陽極端を前記X線管容器の陽極側の内周壁に絶縁支持する陽極側支持体と、該陽極側支持体に支持されて前記回転陽極X線管のロータの外周に配設され、該ロータに回転力を付与するステータと、前記回転陽極X線管の陰極及び陽極に高電圧を導くためのケーブルレセプタクルと、前記回転陽極X線管の焦点から放射されるX線を外部に取り出すためのX線放射窓と、前記回転陽極X線管を絶縁、冷却するために前記X線管容器に充填される絶縁油を具備するX線管装置において、
    前記回転陽極X線管が請求項1乃至記載の回転陽極X線管であり、前記陽極側支持体は椀状体で、前記回転陽極X線管の回転陽極の固定部を覆うように前記ターゲットの裏側の周辺部から前記陽極端にかけて延在し、その大部分が高熱膨張率の耐熱性絶縁材料にて構成されていることを特徴とするX線管装置
  5. X線管装置とX線検出器とを被検体が挿入される開口部を挟んで対向配置して搭載した走査ガントリと、前記X線管装置に高電圧負荷を印加するX線コントローラと、寝載した被検体を前記開口部に挿入する撮影テーブルと、前記走査ガントリ、前記X線コントローラ及び前記撮影テーブルを制御し、前記X線検出器にて収集したX線計測データに基づいて被検体の断層画像を再構成する操作コンソールとを具備するX線CT装置において、
    前記X線管装置が請求項記載のX線管装置であり、撮影開始前及び撮影間に長時間の大休止をとった後には前記X線管装置に予熱のための負荷印加を行うウォームアップ操作とキャリブレーション操作を行い、その後に撮影を行うことを特徴とするX線CT装置。
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