JP3994225B2 - 濾過材および濾過方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、不織布よりなるフィルターであって、濾過精度とライフのバランスのよい濾過材および濾過方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、軽量で襞折加工性のよい濾過材であり、さらには濾材に含まれる細い繊維により濾過精度がよく、また濾過によって生じる被濾過物のケーキ層の剥離性がよいために濾過ライフが長い濾過材および濾過方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、繊維を均一に分散した不織布がフィルターとして用いられてきた。このフィルターの濾過ライフを長くするために、繊維径の異なる不織布を上流側ほど繊維径が細くなる様に積層し、且つ空隙率を一定にした方法が特開昭60−216818や上流側の平均流量孔径を下流より大にした方法が特開平4−193316により知られている。しかしながら、これらの濾過材は同一不織布を積層した構成の濾過材よりライフを改善できたが、被濾過物の分散濃度が高い場合や粒子径の大きい場合には、フィルターの表面にできる被濾過物のケーキ層が比較的粗い濾過材側の内部にまで被濾過物が入り込んでしまいアンカー効果を持つためか、ケーキの剥離が起こりにくく濾過ライフがあまり長くないという欠点があった。また、極細繊維を用いた無機質粒子分散廃液を処理する方法が特開昭63−7812に開示されているが、不織布の充填密度が0.35g/cm2と高いためか濾過材の目詰まりが速くライフが短かった。また、カートリッジ化して使用する際に襞折加工が良くないという問題があった。さらには、特開平3−278810には緻密層間に拡散層を有するカートリッジフィルターも提案されているが、濾過材の使用量が多くコスト的に問題があり、かつ濾過材表面にケーキ層ができる濾過操作においては、上流側より2層目以降の緻密層はほとんど濾過精度やライフの向上に寄与しないことがわかっている。また、現状使われている放電加工やワイヤーカット加工などの産業資材関連用途のフィルターは、エンボス加工スパンボンド不織布や樹脂加工紙が主流であるが、前者は精度確保のため目付が250g/m2以上の不織布を用いているため加工時のハンドリングに問題があったり、充填率を上げるために強くエンボス加工されているため熱融着により目が詰まって閉塞した部分が多く濾過抵抗が大きいという問題を生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、濾過精度が高く、かつケーキの剥離性を良くしてフィルターライフの長い軽量の濾過材および濾過方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために次の手段をとる。すなわち、本発明は、平均繊維径が10μm〜30μmの間にあり、目付が80g/m2〜200g/m2 、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.4mm〜0.77mmの間にあり、平均流量孔径が20μm〜200μmの間にある不織布Aと、平均繊維径が1.0μm〜6.0μmの間にあり、目付が10g/m2〜60g/m2 、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.05mm〜0.6mmの間にあり、該不織布Aの平均流量孔径より小さく平均流量孔径が5μm〜50μmの間にある不織布Bとが積層され、前記不織布Aと前記不織布Bの少なくとも一部がパウダー状の樹脂で接着接合されてなる濾過材であって、該濾過材の目付が90g/m2〜210g/m2、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.5mm〜1.27mmの間にあることを特徴とする濾過材である。
【0006】
また、本発明においては、該不織布Aの主たる構成材料がポリエステル素材のスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0007】
さらには、本発明においては、該不織布Bの主たる構成材がポリオレフィンのメルトブロー不織布であることが好ましい。
【0008】
より好ましくは、本発明においては、該不織布Aが樹脂加工されたスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0010】
さらに好ましい形態として、本発明においては該不織布Bの表面がカレンダー加工などにより平滑化されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記の濾過材を少なくとも1層を含んだ濾過材で、本発明の濾過材の不織布B側を濾過の上流側に配置させて濾過する事を特徴とする濾過方法である。
【0012】
また、本発明の濾過材の最も好適な利用法として、放電加工またはワイヤーカット加工によって生じた金属の加工屑を本発明の濾過材を少なくとも1層を含む濾過材を用い、本発明の濾過材の不織布B側を濾過の上流側に配置させて濾過する事を特徴とする濾過方法が挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる不織布Aの好適な平均繊維径は10μm〜30μmの間にあり、特に好ましくは10μm〜20μmである。10μmより繊維径が小さくなると不織布の剛性が小さくなり寸法安定性が良くないために、濾過操作時の圧力により濾材が折れ曲がったり、襞織り加工した際の襞の山がくずれ、隣同志の濾材が密着してしまう部分を生じ、その結果、該部分が濾過に使用されなくなり有効濾過面積が低下してしまうために好ましくない。また、襞織り加工性も低下する。
【0014】
他方、繊維径が30μmより大きくなると濾過材としての濾過精度が低下し該不織布の濾過に対する寄与がなくなってしまう。また、繊維径の細い不織布Bと積層した際に接着面に隙間があきやすく、綺麗に積層接着する事ができない。さらには、太い繊維の紡糸は冷却が困難となるため操業性が悪く、また繊維の寸法安定性が悪くなりやすいため濾過材としてあまり好ましくない。
【0015】
また、該不織布Aの目付は80g/m2〜200g/m2の間にあることが好ましい。濾過材の目付が200g/m2より大きくなると襞織り加工性はよくなる が、本発明のように細い繊維径の濾過材と積層した際には濾過性能は殆ど変化しない。また、濾過材をカートリッジ化して用いる際に重量が重すぎて作業性が悪いという問題を生じる。また、濾過材の厚みが厚くなりすぎるため襞織り数を大きく取って有効濾過面積を大きくする事ができない。
【0016】
他方、目付が80g/m2より小さくなると不織布の剛性が小さくなりすぎて 濾過操作時の圧力により濾材が折れ曲がったり、襞織り加工した際の襞の山がくずれ隣同志の濾材が密着してしまい、密着した部分が濾過に使用されなくなり有効濾過面積が低下して好ましくない。また、襞織り加工時にレシプロ加工したときの跡がはっきりつかず折り目が鋭角的でなくなり悪くなるという問題を生じる。
【0017】
不織布Aのポロメータ測定による平均流量孔径は20μm〜200μmであることが必要である。平均流量孔径が20μmより小さいと濾過材全体の通気抵抗または通液抵抗が高すぎてフィルターカートリッジのライフが短くなってしまう。これは濾過材全体の耐圧が濾過材端部の接着強度で決定されてしまうためである。他方、200μmより大きくなると、不織布Bの補強材としてのサポーターの役目が果たしにくく、濾過材が濾過されたケーキ層から受ける力により破れてしまう確率が高くなり問題となる。
【0018】
さらに、該不織布Aの主たる構成材料としてはポリエステルを主成分とするスパンボンド不織布であることが好ましい。その他の不織布としてはサーマルボンドやケミカルボンドの短繊維の不織布が考えられ本発明にも利用可能であるが、スパンボンド不織布は長繊維不織布であるためリントフリー性に優れ、濾過材から繊維が脱落する危険性が殆ど無いために濾過材として最適である。このスパンボンド不織布はニードルパンチや水流交絡などを施し不織布の寸法安定性を改善する事も好ましい形態の一つである。また、不織布の素材としてはポロプロピレン、ポリアミド等でも要求特性を満たす事が可能であるが、繊維間の接着性を上げるために2成分以上のポリマーよりなる複合繊維を使う事も好ましい形態である。特に、濾材の寸法安定性や負荷に対する変形抵抗が高いという観点からポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート単体またはポリエチレンテレフタレートを含む共重合体が好ましい。
【0019】
該不織布Aの厚みは7g/cm2荷重下で0.4mm〜1.5mmであること が好ましい。0.4mmより薄くなると、繊維の充填密度が高すぎるために濾過材の圧力損失が高くなりすぎるという問題を生じる。反対に厚みが1.5mmより厚いと繊維の充填密度が低く濾過精度が悪くなる。また、カートリッジフィルターとして濾過材を襞織りしたり、巻き廻して使用する際にケースに入る襞折数または巻数を増やして濾過材の面積を大きくできないという問題を生じる。
【0020】
また、本発明の不織布Aは、樹脂加工されている事が好ましい。樹脂加工することで不織布の襞折加工性や寸法安定性がより改善され、従って少ない目付の不織布で襞折加工が可能である。また、親水性の樹脂で加工を実施すると、水系の液を濾過する際に濾過液のプライミング性が改善でき、濾過操作時の圧力損失も小さくなる。樹脂加工の方法としては水や溶剤に樹脂を溶かした液に不織布を浸漬したのちに乾燥して液成分を蒸発させるのが一般的である。場合によっては樹脂を更に高温で熱処理して架橋処理などにより安定付着させる等の手段が用いられる。
【0021】
本発明により使用される不織布Bとしてはメルトブロー法により製造される不織布が不織布中に繊維が均一に分散されており好ましい形態のひとつである。また、フラッシュ紡糸繊維を湿式不織布化したものも繊維径や通気性の観点から好ましい。不織布の主たる構成材料としてはポリオレフィンがケーキが剥離しやすく濾過材を再生して使えるため好ましい。また、フッ素を含有するポリマーとポリオレフィンの共重合体が成形加工性やケーキの剥離性の観点から好ましい。特に、フッ素系のポリマーであるクロロトリフルオロエチレンとポリエチレンの共重合体はこの観点から好ましい。また、後加工による撥水処理を実施するのも好ましい形態の一つである。
【0022】
該不織布Bの平均繊維径は1.0μm〜6.0μmの間にあることが必要である。好ましくは、2μm〜6μmである。濾過操作時に濾過材表面にケーキ層の生じる濾過においては、繊維径が1μmより細い場合には濾過材の開孔が小さすぎるため不織布の閉塞が速くライフを長く保つ事ができない。他方、6.0μmより大きくなると濾過対象粒子の濾過材の通り抜けが増え、濾過精度が小さくなってしまう。
【0023】
また、該不織布Bの目付は10g/m2〜60g/m2の間にあることが必要である。より好ましくは、10g/m2〜40g/m2である。不織布の目付が10g/m2より小さいと濾過精度を高くする事が難しい。目付が60g/m2より大きくなると、濾過抵抗が大きくなりすぎて問題となる。また、本発明の目的である、ケーキ層のできる濾過では目付を大きくしても、濾過精度は濾過開始初期に若干の改善がみられるがその効果は大きくなる。また、ライフを改善する観点からは全く効果がない。
【0024】
不織布Bの平均流量孔径は5μm〜50μmであることが必要である。平均流量孔径が5μmより小さくなると濾過材の目詰まりが早くライフが短くなる。逆に50μmより大きくなると、濾過精度が低くなり問題となる。
【0025】
また、不織布Bの厚みは7g/cm2荷重下で0.05mm〜0.6mmであることが好ましく、更に好ましくは0.1mm〜0.45mmである。厚みが0.05mmより薄くなると、繊維の充填密度が高すぎるために濾過材の圧力損失が高くなりすぎるという問題が生じる。反対に厚みが0.6mmより厚いと繊維の充填が低く濾過精度が悪くなる。また、カートリッジフィルターとして濾過材を襞折りしたり、巻き廻して使用する際にケースに入る濾過材の面積を大きくできないという問題が生じる。
【0026】
本発明に使用される不織布Aと不織布Bは少なくとも一部が接着接合されている事が必要である。不織布Bは繊維径が細いため強度が小さく、濾過時に破れる危険性が高いため、補強層である不織布Aと密着させる必要がある。また、襞織り加工時に該不織布間に隙間を乗じると濾過材にシワが入るという問題が生じる
。
【0027】
不織布Aと不織布Bの接合後の厚みは、7g/cm2荷重下で0.5mm〜1 .5mmであることが好ましく、更に好ましくは0.5mm〜1.2mmである。濾過材の厚みが0.5mmより薄くなると、濾過材の圧力損失が高くなりすぎたり襞織り加工性が低下するという問題を生じる。反対に厚みが1.5mmより厚いと繊維の充填が低く濾過精度が悪くなる。また、カートリッジフィルターとして濾過材を襞織りしたり、巻き廻して使用する際にケースに入る濾過材の面積を大きくできないという問題を生じる。
【0028】
不織布Aと不織布Bの接着方法としては、異素材不織布の接着によく用いられる超音波ウェルダー加工や熱接着性繊維を用いた接着などが可能であるが、コストや不織布間の密着性の観点からパウダー状の樹脂を振り落とし加熱融解後に不織布を積層する方法が特に好ましい。積層後の濾過材の総目付は小さいほど好ま
しいが、経験的には上限として210g/m2がカートリッジの組立作業上好ま しいことが分かった。他方、目付が90g/m2より小さくなると濾過精度が低 く、襞折加工性が悪いという問題を生じた。なお、濾過材の平均流量孔径は3〜40μmが好ましい。3μm未満であると濾過材の目詰まりが早くなって好ましくなく、40μmをこえると濾過精度が低くなって好ましくない。
【0029】
また、本発明に用いられる不織布Bの表面がカレンダー加工などにより平滑化された事が好ましい。表面を平滑化することによりケーキ層となる粒子と濾過材の界面の接触面積が低下し、ケーキ層の剥離性が改善される。濾過を途中で停止した際にケーキ層の剥離が生じ易く濾過材表面が再生されて濾過ライフがのびる傾向にある。
【0030】
本発明の最も好適な濾過方法は、該濾過材の不織布B面側を濾過の上流側に配置させる事が重要である。従来の濾過の知見としてはより繊維径の細かい濾材を下流側に用いるのが常識であった。本発明者は、本発明の濾過操作の対象である濾材表面にケーキ層が形成される濾過においては、逆に太い繊維を下流側に配置させる事が濾過ライフをよくすることを明らかにした。原因はまた十分明らかではないがケーキ層の剥離のためには濾材表面での濾過が深層濾過より重要であると推定している。すなわち、太い繊維がケーキ層の形成される面に設置された際には、濾過時にケーキ層の一部が濾材の中に入り込み、いわゆるアンカー効果を発現しケーキ層が剥がれにくくなることと、太い繊維が上流にある際には、その繊維の直下にある細い繊維の濾過面がデッドとなって濾過に供されないことがその原因であると推定している。本発明の濾過材は単独で用いてもよいが積層体の場合には少なくとも1層含んでいればよい。発明者の経験では濾過対象粒子径の分布が広い系ほどケーキ層ができやすく、ケーキ層の剥離性が濾過ライフ改善のため重要となり、従って本発明の効果が高くなる事がわかった。本発明の濾過材を使用する際、他の濾過材と合わせて使用したり、活性炭などの吸着材などと合わせて使用するのも好ましい。
【0031】
さらに、本発明の濾過材の最も好適な利用分野のひとつとしては、放電加工またはワイヤーカット加工によって生じた金属の加工屑を処理する系があることがわかった。この系では濾過対象粒子の粒径分布が広く濾材表面にケーキ層が出来やすいこと、また濾過粒子の密度が大きいため、濾材面を地面に対し鉛直方向になるように濾過材を設置した際に重力でケーキ層が落下しやすいことがその好適性の原因であると考えている。本発明の濾過材を襞折加工して用いる際には、濾過材の優れた剥離性を活かすためには襞の山間隔が従来に比べて大きい事が好ましく、具体的には山間隔が3mm〜50mmが好ましく、更に好ましくは5mm〜40mm、最も好ましくは7mm〜20mmであることが分かった。
【0032】
【実施例】
以下に本発明をより明確にするため実施例をあげて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例における各物性は、次の方法により測定した。
▲1▼ 平均繊維径
1000倍(走査型電子顕微鏡)の拡大写真より、500本以上の繊維径を読み取り、その算術平均値とした。
【0033】
▲2▼ 厚み
JIS L1076に従い、7g/cm2荷重下での厚みを不織布シートの巾 方向に10cm毎に測定し算術平均値を厚みとした。
【0034】
▲3▼ 液体フィルター特性
純水8LにJIS8種標準粒子を0.8g超音波分散させ、その液を200ml/分で有効φ42mmの円形の濾材で濾過テストを実施した。粒子分散液の入り口濃度と濾過開始後の1分後の出口濃度(この時濾過精度が最低になった)から以下の式で濾過精度を百分率で求めた。
濾過精度(%)=〔1−出口濃度/入口濃度〕×100
また、濾過ライフは濾過テスト時の濾過材前後の差圧が1kg/cm2になる までの時間とした。
【0035】
▲4▼ 平均(流量)孔径
コールター社製ポロメーターIIを用い直径φ25mmのサンプルホルダーを用い測定を実施した。
【0036】
実施例1および実施例2
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2と55g/m2の2種類のポリプロピレン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が16μmで樹脂加工を施したポリエステルスパンボンド不織布A(160g/m2と10 0g/m2)に、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bを夫々不織布Aに重ねて加熱して積層一体化し濾過材を作成した。パウダー接着を実施する前の不織布A及びBの厚みの合計と積層後複合シートの厚みは変化しない事が分かった。作成したサンプルは、濾過材特性および液体フィルター性能を評価し、表1に結果を示した。なお、表1でPPはポリプロピレン、PETはポリエチレンテレフタレート、PEパウダーはポリエチレンパウダー振り落し加熱融着、エンボスはエンボス加工を示す。表中の襞折加工性はレシプロ襞折り加工装置で折り目がまっすぐつくかどうかと、折り目が鋭角的にはっきりとつくかどうかで判断した。ケーキ剥離性は、逆洗を実施した際に表面のケーキ層が面積で10%以上剥離したものを良好とし、20%以上を極めて良好とし、10%未満を不良として記載した。濾過テストの結果については、経験から好ましい範囲としては濾過精度30%以上かつライフ5分以上が合格であるとした。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例3
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成した。つぎに平均繊維径が16μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を 振り落とし、前記不織布Bを重ねて加熱して積層一体化し濾過材を作成した。作成したサンプルをローラー温度60℃、線圧15kg/cmでカレンダー加工し、濾過材特性および液体フィルター性能を評価し、表1に結果を示した。
【0039】
実施例4
実施例1で濾過試験に用いた不織布を上流側と下流側が逆になるようにセットし、400ml/分の流量で15分間逆洗を実施し、元の状態にセットしなおし濾過材の再生を行って濾過性能を評価した。濾過材表面のケーキ層はかなり剥離しており、実施例1との差があまりなかった。
【0040】
実施例5
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2のポリエチレン テレフタレート製不織布Bを作成した。次に、平均繊維径が16μmの樹脂加工を施したポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポ リエチレン製のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ねて加熱して積層一体化し濾過材を作成した。作成したサンプルは、濾過材特性および液体フィルター性能を評価し、表1に結果を示したが濾過性能は良好であった。
【0041】
実施例6
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が約28μmで、目付が160g/m2のポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。評価結果を表1に示したが濾過性能は良好であった。
【0042】
実施例7
メルトブロー法により平均繊維径4μmで目付が50g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が約12μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒 子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。評価結果を表1に示したが濾過性能は良好であった。
【0043】
実施例8
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が20g/m2のポリエチレン テレフタレート製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が約16μmの樹脂加工を施したポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合 でポリエチレン製のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。作成したサンプルは、濾過材特性および液体フィルター性能を評価し、表1に結果を示したが濾過性能は良好であった。
【0044】
実施例9
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が約12μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aを、樹脂加工したのちカレンダー加工により濾材厚みを調整した。該不織布Aに5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を 振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。評価結果を表1に示したが濾過性能は良好であった。
【0045】
比較例1
メルトブロー法により平均繊維径8μmで目付が60g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が約16μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒 子を振り落とし、ついで前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。その結果を表2に示した。濾過精度が悪く問題である事が分かった。
【0046】
【表2】
【0047】
比較例2
メルトブロー法により平均繊維径4μmで目付が40g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成し、平均繊維径が40μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を振り落と し、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。その性能結果を表2に示した。本濾過材の襞折加工時に、濾過材の折り目がつき難く濾過材が安定して工程を通過しないという問題を生じた。繊維径の太いものほどその傾向が顕著であることがわかった。
【0048】
比較例3
メルトブロー法により平均繊維径0.5μmで目付が40g/m2のポリプロ ピレン製不織布Bを作成した。つぎに、平均繊維径が16μmのポリエステル製スパンボンド不織布Aに、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー 粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。濾過材の目詰まりが速く濾過精度の測定ができなかった。濾過ライフが短すぎて問題であった。
【0049】
比較例4
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が40g/m2のポリプロピレ ン製不織布を作成し、平均繊維径が8μmのポリプロピレン製スパンボンド不織布上に、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製のパウダー粒子を振り落とし 、加熱して積層一体化し濾材を作成した。その性能結果を表2に示した。
【0050】
比較例5
市販の放電加工用フィルターとして広く用いられているエンボス加工されたポリエステルスパンボンド不織布G226を用い液体フィルター性能を評価した。その結果を表2に示した。驚くべき事に、実施例1よりかなり大きい平均流量孔径を持つ素材であるにかかわらず、初期の濾過精度が低く、かつライフも短い事が判明した。
【0051】
比較例6
また、比較例5で濾過テストに用いた濾過材を、実施例4と同じ方法で逆洗を実施してもエンボス加工されていない部分の繊維中に粒子が入り込み粒子を取り除く事ができなかった。また、表2に示すように濾過性能も良くなかった。
【0052】
比較例7
メルトブロー法により平均繊維径2μmで目付が20g/m2のポリプロピレ ン製不織布Bを作成し、平均繊維径が約16μm、目付60g/m2の樹脂加工 したポリエステル製スパンボンド不織布A上に、5〜10g/m2の割合でポリ エチレン製のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。その結果を表2に示した。濾過精度が悪く問題である事が分かった。
【0053】
比較例8
メルトブロー法により平均繊維径3μmで目付が8g/m2のポリプロピレン 製不織布Bを作成し、平均繊維径が約16μm、目付が160g/m2のポリエ ステル製スパンボンド不織布A上に、5〜10g/m2の割合でポリエチレン製 のパウダー粒子を振り落とし、前記不織布Bと重ね加熱して積層一体化し濾過材を作成した。その結果を表2に示した。濾過精度が悪く問題である事が分かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の濾過材は、濾過材表面にケーキ層のできる濾過操作において濾過精度とライフのバランスに優れたものである。また、本発明の濾過方法は、本発明で提供される濾過材の好ましい使用方法を提供する。
Claims (7)
- 平均繊維径が10μm〜30μmの間にあり、目付が80g/m2〜200g/m2 、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.4mm〜0.77mmの間にあり、平均流量孔径が20μm〜200μmの間にある不織布Aと、平均繊維径が1.0μm〜6.0μmの間にあり、目付が10g/m2〜60g/m2 、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.05mm〜0.6mmの間にあり、該不織布Aの平均流量孔径より小さく平均流量孔径が5μm〜50μmの間にある不織布Bとが積層され、前記不織布Aと前記不織布Bの少なくとも一部がパウダー状の樹脂で接着接合されてなる濾過材であって、該濾過材の目付が90g/m2〜210g/m2、かつ7g/cm 2 荷重下での厚みが0.5mm〜1.27mmの間にあることを特徴とする濾過材。
- 請求項1において不織布Aの主たる構成材料がポリエステル素材のスパンボンド不織布である濾過材。
- 不織布Bの主たる構成材料がポリオレフィン素材のメルトブロー不織布である請求項1または請求項2に記載の濾過材。
- 不織布Aが樹脂加工されたスパンボンド不織布である請求項1または請求項2または請求項3に記載の濾過材。
- 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の濾過材において、不織布Bの表面がカレンダー加工などにより平滑化された濾過材。
- 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の濾過材の少なくとも1層を含み、該濾過材の不織布B側の面を濾過の上流側に配置させて濾過する事を特徴とする濾過方法。
- 放電加工またはワイヤーカット加工によって生じた金属の加工屑を請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の濾過材の少なくとも1層を含み、該濾過材の不織布B側の面を濾過の上流側に配置させて濾過する事を特徴とする濾過方法。
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