JP3986628B2 - 排煙脱硝方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化に係り、発電プラント用ボイラ、ガスタービンおよびゴミ焼却炉などの各種燃焼炉から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)を、アンモニア(NH3)水および尿素水を用いて低温度から効率良く接触還元することが可能な脱硝装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス中にNH3を注入後、触媒と接触させることにより窒素酸化物(NOx)を無害な窒素(N2)に還元除去する接触NH3還元脱硝法において、排ガス中に酸化剤(オゾン、過酸化水素、硝酸、硝安など)を注入してNOの一部をNO2に酸化する等により排ガス中のNO/NO2比を調整することが還元剤であるNH3とのNOxの反応性を向上させ、より低温から排ガスの脱硝ができるようにする試みは数多く知られている(例えば特願平7−85635号、特願平7−254799号)。
【0003】
上記方法は、100〜300℃の低温度で、より高い活性向上効果が得られるため、ガスタービン始動時やゴミ焼却炉排ガス処理におけるバグフィルタ脱硝など、より低温での脱硝が求められる排ガス処理技術分野への応用が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術は、酸化剤および還元剤の注入量の制御に対する配慮が足りないため脱硝率の制御が難しいという問題点を有していた。
図4はNOを含み、NO2を含まない排ガス、NO2を含み、NOを含まない排ガス及びNOとNO2とを等モル比で含む排ガスをそれぞれTi−W−V系触媒を用いて脱硝する場合の温度特性を示したものであるが、NOとNO2が等モル比で共存する場合には効率良くNOxが除去されるが、NOが単独あるいはNO2が単独で含まれる排ガス中のNOxは除去性能が著しく低下する。
【0005】
これに対して、ゴミ焼却炉など、燃料中の窒素含有量が一定しないために燃焼排ガス中のNOx濃度が秒単位で激しく変動するような排ガス処理の場合には、排出されるNOx量を予測して還元剤や酸化剤を注入する先行制御が困難なため、NH3等の還元剤および酸化剤の両方を過不足無く注入することができない。このため、酸化剤および還元剤を個別に注入する従来の方式では上述したようなNOxの変動に対して還元剤および酸化剤の過不足を生じ、次のような多くの問題が発生する。
(A)酸化剤が不足すると排ガス中のNO2の含有割合が減少するため、脱硝率が低下するだけでなく多量の未反応アンモニアが流出する。
(B)逆にNH3が不足する場合には脱硝率が低下するだけでなく未反応のNO2の流出、N2Oの副生が生じる。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑み、排ガス中のNOx濃度の変動があっても、容易でかつ精度の高い制御が可能な排煙脱硝方法と装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の問題点は、予め一定モル比率に混合された還元剤および酸化剤水溶液を排ガス中の触媒層前段に注入し、排ガス流量および排ガス中のNOx濃度から得られる情報から算出された必要還元剤量をもとに当該混合水溶液注入量を制御することにより解決される。
【0008】
本発明は次の排煙脱硝方法からなる。すなわち、窒素酸化物含有排ガス中に還元剤と酸化剤を注入して一酸化窒素の一部を二酸化窒素に転化した後、脱硝触媒と接触させて窒素酸化物を還元除去する排煙脱硝方法において、一定モル比率で予め混合された(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤と(2)硝安又は硝酸の酸化剤との混合溶液を用意し、排ガス流量および排ガス中のNOx濃度に基づき算出された必要な還元剤量により前記混合溶液の排ガスへの注入量を調整して排ガスに注入する排煙脱硝方法である。
【0009】
本発明によれば、還元剤と酸化剤とが一定のモル比率に予め調整された混合溶液を使用するため、またその排ガスへの注入量も排ガス中のNOx量に応じて酸化剤は還元剤に見合った量しか供給されないので排ガス中のNOx濃度の激しい変動があっても、酸化剤の供給量の過不足により生じる問題がなくなり、混合溶液の注入量のみを調整することで排ガスの脱硝率を制御できる。
【0010】
また、本発明の課題は次の構成によっても解決される。すなわち、窒素酸化物含有排ガス中に還元剤と酸化剤を注入して一酸化窒素の一部を二酸化窒素に転化した後、脱硝触媒と接触させて窒素酸化物を還元除去する排煙脱硝方法において、排ガス流量および排ガス中のNOx濃度に基づき算出される必要還元剤量により(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤を含む還元剤水溶液と(2)(a)硝安水溶液、(b)硝酸とアンモニア水の混合水溶液、(c)硝安と硝酸とアンモニア水の混合水溶液の中の各グループから選ばれるいずれか一つの酸化剤水溶液を排ガスに注入する前段で一定モル比率に混合した後に、得られた混合溶液を排ガスに注入する排煙脱硝方法である。この方法は、還元剤と酸化剤とを事前に混合する必要がなく、還元剤と酸化剤の比率を排ガス条件によって変動させて運転する場合に有効である。
【0011】
また、本発明は次の構成から成る排煙脱硝装置が含まれる。
窒素酸化物含有排ガス流路に還元剤と酸化剤の注入手段を備え、該還元剤と酸化剤の注入手段の後流側の排ガス流路に脱硝触媒を内蔵した脱硝触媒反応器を備えた排煙脱硝装置において、一定モル比率で予め混合された(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤と(2)硝安又は硝酸の酸化剤との混合溶液を入れた混合溶液タンクと、排ガス流路中の排ガス流量検出手段と、排ガス流路中のNOx濃度検出手段と、前記2つの検出手段の検出値に基づき排ガスの脱硝処理に必要な還元剤量を算出する注入量算出手段と、該注入量算出手段の算出結果により前記混合溶液の排ガスへの注入量を調整する混合溶液注入量調整手段とを備えた排煙脱硝装置。
窒素酸化物含有排ガス流路に還元剤と酸化剤の注入手段を備え、該還元剤と酸化剤の注入手段の後流側の排ガス流路に脱硝触媒を内蔵した脱硝触媒反応器を備えた排煙脱硝装置において、(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤を含む還元剤水溶液用のタンクと(2)(a)硝安水溶液、(b)硝酸とアンモニア水の混合水溶液、(c)硝安と硝酸とアンモニア水の混合水溶液の中の各グループから選ばれるいずれか一つの酸化剤水溶液用のタンクと、前記それぞれのタンクからの注入量を調整する還元剤注入量調整手段と酸化剤注入量調整手段と、排ガス流路中の排ガス流量検出手段と、排ガス流路中のNOx濃度検出手段と、前記2つの検出手段の検出値に基づき排ガスの脱硝処理に必要な還元剤量を算出する注入量算出手段と、該注入量算出手段の算出結果により還元剤注入量調整手段と酸化剤注入量調整手段より還元剤と酸化剤の混合比率を調整しながら混合する還元剤水溶液と酸化剤水溶液の混合装置と、還元剤水溶液と酸化剤水溶液の混合装置で得られた混合溶液を排ガス流路に注入する混合溶液注入装置を備えた排煙脱硝装置。
【0012】
これらの排煙脱硝装置は、その脱硝触媒反応器が脱硝触媒成分を担持したフィルタを備え、脱硝触媒反応器の直前の排ガス流路には酸性ガス吸収剤注入手段を備えた構成とすることができる。上記排煙脱硝装置はゴミ焼却炉等の各種焼却炉からの排ガス処理に好適であり、その場合は、これらの焼却炉からは煤塵、フッ化水素、塩化水素、硫黄酸化物など、煤塵と酸性有害ガスが多く含まれているが、脱硝反応器に排ガスを導入する前に、アルカリ粉末などの酸性ガス吸収剤注入手段によりこれらの酸性有害ガスを無害化し、さらに煤塵と酸性ガスを吸収した吸収剤を脱硝時に除去することができる。
【0013】
前記触媒反応器のフィルタは、ガラス繊維織布、化学合成繊維の織布またはフェルト状織布等から成るバクフィルタに脱硝触媒粉のスラリを含浸担持させたもの、脱硝触媒成分含有溶液を含浸担持させたもの、または触媒粉スラリを塗布して担持させたものの他、繊維織布の中に触媒粉を織り込んだもの、又は複数枚のフィルタ織布の間に触媒粉を挟んでキルティング加工したもの等を用いる。
【0014】
図1に本発明の一実施の形態の基本系統図を示す。脱硝装置はNOx測定装置8、還元剤および酸化剤の混合溶液注入装置9、還元剤および酸化剤の混合溶液タンク10、触媒反応器2とからなり、酸化剤および還元剤の混合溶液注入装置9はNOx測定装置8からの信号によりその注入量が制御されるように構成されている。
【0015】
還元剤および酸化剤は図1のように予め混合された水溶液を用いる場合のほか、図2に示すように酸化剤水溶液と還元剤水溶液とを混合装置13の前段で混合した後に注入しても良い。
【0016】
ここでいう還元剤はNH3、尿素、ヒドラジン又はシアヌル酸などであり、単独またはこれらの混合物を用いる。本発明の還元剤水溶液はこれらの還元剤単独の水溶液またはこれらの混合物の水溶液、例えばアンモニア水溶液、NH3と尿素との混合水溶液も含む。
【0017】
また、酸化剤は硝酸、硝安(NH4NO3)などの排ガス中のNOと反応してNO2を生成するものである。酸化剤水溶液とはNH4 +とNO3 -とが共存する溶液を意味する。具体的には、硝安水溶液、硝酸とアンモニア水の混合水溶液、硝安、硝酸、NH3水の混合水溶液などであり、酸化剤のNH4 +とNO3 -の比率は1モル/モルの場合に最も高い効果を得ることができる。また還元剤との混合溶液で酸化剤を用いる場合はこれらにNH3および/または尿素を加えたものが用いられる。
【0018】
また、還元剤と酸化剤のモル比率は、還元剤がNH3の場合は酸化剤/NH3モル比が0.7モル/モル以下、好ましくは0.3〜0.6モル/モルの範囲内、また還元剤が尿素の場合は酸化剤/尿素モル比が1.4モル/モル以下、好ましくは0.6〜1.2モル/モルの範囲内であれば高い効果が得られ、実用上問題も生じない。
【0019】
上記範囲の酸化剤/還元剤のモル比率よりも小さいモル比の場合には、排ガスの脱硝率が低下し、未反応のNH3が後流に流出するため好ましくない。また上記モル比よりも大きい場合には、未反応NO2の流出や脱硝率の低下を生じ、過剰の酸化剤の分解によりN2Oが副生すると行った問題を招くため好ましくない
。
【0020】
また触媒には、公知のチタン化合物、タングステン化合物、バナジウム化合物及び/又はモリブデン化合物の混合物系触媒、ゼオライト系触媒など通常の脱硝触媒が用いられる。前記ゼオライト系触媒などをハニカム状や板状に成型した脱硝用触媒の他、ゴミ焼却炉排ガス処理で用いられるような上記触媒粉末を担持したバグフィルタ等が用いられる。
【0021】
【作用】
酸化剤とNOの一部は触媒上で(1)式に従って反応してNO2を生成し、さらにNO、NO2および還元剤とが(2)あるいは(3)式に従って反応する。
NH4NO3+NO → NO2+N2+2H2O (1)
NO+NO2+2NH3 → N2+3H2O (2)
NO+NO2+(NH2)2CO → 2N2+2H2O+CO2 (3)
【0022】
(1)〜(3)の反応は極めて早いため、総括反応は(4)、(5)式で表される。
2NO+NH4NO3+2NH3 → 3N2+5H2O (4)
2NO+NH4NO3+(NH2)2CO → 3N2+4H2O+CO2(5)
【0023】
表1にはNH3と酸化剤とが0.5モル/モルで供給された場合の脱硝特性を、酸化剤が還元剤(NH3)よりも大過剰に供給された場合および酸化剤が還元剤(NH3)よりも少なく供給された場合の両者と比較した結果を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
NH3と酸化剤とが上記0.5モル/モルのモル比率で供給された場合には(4)式の反応が進行してNH3/NOモル比に見合った脱硝率が得られるが、NH3が大過剰に供給されて酸化剤が不足する場合には、NH3/NOモル比が高くなるにつれてモル比に見合った脱硝率が得られないだけでなく、NO2およびNH3の流出とN2Oが副生する。さらに酸化剤が上記モル比よりも大過剰に供給された場合にはいずれのNH3/NOモル比でも脱硝率が低下し、NO2、NH3およびN2Oの流出が見られる。
【0026】
これは、酸化剤に過不足が生じると低温では反応速度が小さいNO単独の反応((6)式)やNO2単独の反応((7)式)が進行するため脱硝率が低下し、未反応のNO2、NH3の流出や余剰の酸化剤の分解によりN2Oが副生する((8)式)ためである。
NO+NH3+3/4O2 → N2+3/2H2O (6)
3NO2+4NH3 → 7/2N2+6H2O (7)
NH4NO3 → N2O+2H2O (8)
【0027】
このため、NOxの激しい変動に対して還元剤と酸化剤とを別々の系統で注入する従来方法では酸化剤と還元剤の過不足が生じて上記した問題が起こるが、本発明では還元剤と酸化剤とが上記したモル比率に予め調整された混合水溶液を使用するため、酸化剤は還元剤に見合った量しか供給されないので上記した酸化剤の供給量の過不足により生じる問題がなくなる。従って脱硝装置の運転に当たっては、(1)式の酸化反応を意識することなく混合溶液の注入量を変化させるのみで脱硝率を制御できる。
【0028】
さらに本発明の優れた点は、還元剤と酸化剤とを同一注入装置を用いて一つのラインから注入できることにある。従来方法では、還元剤用と酸化剤用の2つの注入装置および制御系統が必要となる。そのため、上記比率を常に維持するには両者の注入を制御するための信号系統など装置が複雑化する。これに対し、本発明は還元剤と酸化剤とが予め一定比率に調整された溶液を用いるため、簡単な装置で精度のよい脱硝率の制御が可能になり、現在広く普及している脱硝装置とほぼ同等の装置および制御で高い脱硝率を得ることのできる優れた方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、その基本的装置構成を図1に示す。
排ガス源(燃焼炉)1からの排ガスは排気流路4から脱硝装置に導入されるが、本発明の脱硝装置は触媒3を内蔵した触媒反応器2、NOx測定装置8、還元剤及び酸化剤混合溶液注入装置9及び還元剤及び酸化剤混合溶液タンク10から構成されている。
【0030】
ここで排気流路4からNOxサンプリング管6を経由してNOx測定装置8にNOxの排ガスの一部が供給される。NOx測定装置8は赤外線式あるいは化学発光式などの通常のNOx濃度測定装置が用いられ、排ガス中のNOx濃度に比例した信号11を発生する。一方、排ガス流量信号12は、排ガス源1で測定した値でも良いが、図示しないピートー管又はオリフィスなどを排気流路4に設けて独自に計測したものであってもよい。
【0031】
NOx濃度比例信号11と排ガス流量信号12は還元剤及び酸化剤混合溶液注入装置9に送られ、注入量制御信号に変換されて両者の注入量がガス量、NOx量の変化に追従するように制御するために用いられる。
【0032】
還元剤および酸化剤混合溶液注入装置9は、タンク10から混合溶液を定量供給する装置と流量制御弁などの制御手段とからなり、前記NOx濃度比例信号11と排ガス流量信号12信号に比例した量の還元剤および酸化剤を還元剤及び酸化剤混合溶液注入ライン7から供給する。還元剤および酸化剤混合溶液には前述のように、硝安、硝酸、NH3および/または尿素の混合溶液が用いられ、その注入量は還元剤の種類により上述したように、還元剤がNH3の場合は酸化剤/NH3モル比が0.7モル/モル以下、好ましくは0.3〜0.6モル/モルの範囲内、また還元剤が尿素の場合は酸化剤/尿素モル比が1.4モル/モル以下、好ましくは0.6〜1.2モル/モルの範囲内になるように制御される。
【0033】
排ガス中に注入された混合溶液は触媒反応器2に導かれ、触媒上で酸化剤の作用によりNOの一部は(1)式のようにNO2酸化される。還元剤とNO、NO2とは反応速度の非常に大きい(2)式および(3)式の反応が選択的に進行し、還元剤と酸化剤が過不足なく消費される。
【0034】
このように、非常に早い反応のみを選択的に行わせることができるため、排ガスの脱硝処理運転温度を著しく低下させることが可能になり、100℃〜300℃、通常150℃〜250℃で触媒量の大幅な低減が図れる。また、NO2の流出や、酸化剤により生成したN2Oの発生がほとんどなく、従来技術で問題となった種々の問題を生じないことは前述した通りである。
【0035】
ここで、酸化剤と還元剤のモル比率は、還元剤がNH3の場合は酸化剤/NH3モル比が0.4〜0.6、または還元剤が尿素の場合は酸化剤/尿素モル比が0.8〜1.2の場合が最も好結果を得られる。上記モル比よりも大きくはずれたモル比の場合には、脱硝率の低下やNO2、N2Oの副生、未反応NH3の流出などの問題を生じるため好ましくない。また、排ガス中のNOに対する還元剤注入モル比はNH3では1以下、尿素では0.5以下に制御することが好ましく、これ以上に設定すると未反応のNH3の流出量が増加するため好ましくない。
【0036】
図2には本発明の他の実施の形態の例として、酸化剤と還元剤とを排気流路4へ注入する前段で混合する場合の基本的装置構成を示す。還元剤水溶液タンク14および酸化剤水溶液タンク15内の溶液は混合装置13に送られ、混合装置13で一定比率に調整された後、排ガス中に注入される。
この図2に示す実施の形態は還元剤と酸化剤とを事前に混合する必要が無いほか還元剤と酸化剤の比率を条件によって変動させて運転する場合に有効である。
【0037】
また本発明を都市ゴミ焼却炉からの排ガス処理に応用した場合の例を図3に示す。都市ゴミ焼却炉1’の排ガスの排気流路4には酸化剤および還元剤の混合溶液タンク10から所定モル比の酸化剤と還元剤の混合水溶液が供給され、さらに排気流路4には酸性ガス吸収剤注入装置16から酸性ガス吸着用アルカリ粉末が吹き込まれる。ついで排ガスは脱硝触媒3を担持したバグフィルタからなる除じん装置(脱硝装置)2’に導かれ、ここで排ガス中の媒塵、酸性ガスを吸着したアルカリ粉末が濾過され、除去される。
【0038】
一方、排ガス中のNOはその一部が酸化剤により触媒上でNO2に酸化され、さらに還元剤によりN2に還元されて無害化される。ここで還元剤としてNH3および尿素のどちらを用いても、同じ様に高いNO除去性能が得られるが、尿素を還元剤とした場合は、従来法で問題となっている排ガス中の酸性ガスと還元剤との反応生成物の生成が起こらないので、混合溶液と酸性ガス吸着用アルカリ粉末の吹き込み順序はどちらが先でも良い。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、N2O副生、NO2残存による排ガスの着色、および未反応NH3のリークといった実用上妨げとなる問題を生じることなく低温で効率的に脱硝を行うことができる。さらにNH3/NOモル比の大きな変化に対しても問題なく対応できるため、負荷変動やNOx濃度の変化にも容易に追従できる。
【0038】
これにより近年需要の増大しているゴミ焼却炉排ガスをはじめとする各種低温排ガスを予熱することなく効率良く脱硝することができるようになるので、産業的、社会的価値も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく排ガス浄化システムの基本系統図である。
【図2】 本発明に基づく排ガス浄化システムの基本系統図である。
【図3】 本発明に基づく排ガス浄化システムの基本系統図である。
【図4】 従来技術の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 排ガス源(燃焼炉) 1’ 都市ゴミ焼却炉
2 触媒反応器
3 脱硝触媒 3’ 除じん装置(脱硝装置)
4 排気流路 6 NOxサンプリング管
7 還元剤及び酸化剤混合溶液注入ライン
8 NOx測定装置
9 還元剤及び酸化剤混合溶液注入装置
10 還元剤及び酸化剤混合溶液タンク
11 NOx濃度信号 12 排ガス流量信号
14 還元剤水溶液タンク 15 酸化剤水溶液タンク
13 溶液混合装置 16 酸性ガス吸収剤注入装置
Claims (6)
- 窒素酸化物含有排ガス中に還元剤と酸化剤を注入して一酸化窒素の一部を二酸化窒素に転化した後、脱硝触媒と接触させて窒素酸化物を還元除去する排煙脱硝方法において、
一定モル比率で予め混合された
(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤と(2)硝安又は硝酸の酸化剤
との混合溶液を用意し、排ガス流量および排ガス中のNOx濃度に基づき算出された必要な還元剤量により前記混合溶液の排ガスへの注入量を調整して排ガスに注入することを特徴とする排煙脱硝方法。 - 窒素酸化物含有排ガス中に還元剤と酸化剤を注入して一酸化窒素の一部を二酸化窒素に転化した後、脱硝触媒と接触させて窒素酸化物を還元除去する排煙脱硝方法において、
排ガス流量および排ガス中のNOx濃度に基づき算出される必要還元剤量により(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤を含む還元剤水溶液と
(2)(a)硝安水溶液、(b)硝酸とアンモニア水の混合水溶液、(c)硝安と硝酸とアンモニア水の混合水溶液の中の各グループから選ばれるいずれか一つの酸化剤水溶液
を排ガスに注入する前段で一定モル比率に混合した後に、得られた混合溶液を排ガスに注入することを特徴とする排煙脱硝方法。 - 窒素酸化物含有排ガス流路に還元剤と酸化剤の注入手段を備え、該還元剤と酸化剤の注入手段の後流側の排ガス流路に脱硝触媒を内蔵した脱硝触媒反応器を備えた排煙脱硝装置において、
一定モル比率で予め混合された
(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤と(2)硝安又は硝酸の酸化剤
との混合溶液を入れた混合溶液タンクと、排ガス流路中の排ガス流量検出手段と、排ガス流路中のNOx濃度検出手段と、前記2つの検出手段の検出値に基づき排ガスの脱硝処理に必要な還元剤量を算出する注入量算出手段と、該注入量算出手段の算出結果により前記混合溶液の排ガスへの注入量を調整する混合溶液注入量調整手段とを備えたことを特徴とする排煙脱硝装置。 - 脱硝触媒反応器は脱硝触媒成分を担持したフィルタを備え、脱硝触媒反応器の直前の排ガス流路には酸性ガス吸収剤注入手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の排煙脱硝装置。
- 窒素酸化物含有排ガス流路に還元剤と酸化剤の注入手段を備え、該還元剤と酸化剤の注入手段の後流側の排ガス流路に脱硝触媒を内蔵した脱硝触媒反応器を備えた排煙脱硝装置において、
(1)アンモニア、尿素、ヒドラジン、シアヌル酸から選ばれる一以上の還元剤を含む還元剤水溶液用のタンクと
(2)(a)硝安水溶液、(b)硝酸とアンモニア水の混合水溶液、(c)硝安と硝酸とアンモニア水の混合水溶液の中の各グループから選ばれるいずれか一つの酸化剤水溶液用のタンクと、
前記それぞれのタンクからの注入量を調整する還元剤注入量調整手段と酸化剤注入量調整手段と、
排ガス流路中の排ガス流量検出手段と、
排ガス流路中のNOx濃度検出手段と、
前記2つの検出手段の検出値に基づき排ガスの脱硝処理に必要な還元剤量を算出する注入量算出手段と、
該注入量算出手段の算出結果により還元剤注入量調整手段と酸化剤注入量調整手段より還元剤と酸化剤の混合比率を調整しながら混合する還元剤水溶液と酸化剤水溶液の混合装置と、
還元剤水溶液と酸化剤水溶液の混合装置で得られた混合溶液を排ガス流路に注入する混合溶液注入装置
を備えたことを特徴とする排煙脱硝装置。 - 脱硝触媒反応器は脱硝触媒成分を担持したフィルタを備え、脱硝触媒反応器の直前の排ガス流路には酸性ガス吸収剤注入手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の排煙脱硝装置。
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