JP3986290B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸い込んだ空気を調和して送出する空気調和機に関する。
【0002】
図19は従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。空気調和機の室内機1は、キャビネット2により本体部が保持されており、キャビネット2には上面側と前面側に吸込口4a、4cが設けられたフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。キャビネット2は後方側面に爪部(不図示)が設けられており、室内の壁に取り付けられた取付板に該爪部を嵌合することにより支持される。
【0003】
フロントパネル3の下端部とキャビネット2の下端部との間隙には、室内機1の幅方向に延びる略矩形の吹出口5が形成されている。室内機1の内部には、吸込口4a、4cから吹出口5に連通する送風経路6が形成されている。送風経路6内には空気を送出する送風ファン7が配されている。送風ファン7として、例えばクロスフローファン等を用いることができる。
【0004】
フロントパネル3に対向する位置には、吸込口4a、4cから吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するエアフィルタ8が設けられている。送風経路6中の送風ファン7とエアフィルタ8との間には、室内熱交換器9が配置されている。室内熱交換器9は圧縮機(不図示)に接続されており、圧縮機の駆動により冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの運転によって冷房時には室内熱交換器9が周囲温度よりも低温に冷却される。また、暖房時には、室内熱交換器9が周囲温度よりも高温に加熱される。
【0005】
室内熱交換器9の前後の下部には冷房または除湿時に室内熱交換器9から落下した結露を捕集するドレンパン10が設けられている。送風経路6内の吹出口5の近傍には、外部に臨んで垂直方向の吹出角度を略水平乃至下方向に変更可能な横ルーバ11a、11bが設けられている。横ルーバ11a、11bの奥側には左右方向の吹出角度を変更可能な縦ルーバ12が設けられている。
【0006】
上記構成の空気調和機において、空気調和機の運転を開始すると、送風ファン7が回転駆動され、室外機(不図示)からの冷媒が室内熱交換器9へ流れて冷凍サイクルが運転される。これにより、室内機1内には吸込口4a、4cから空気が吸い込まれ、エアフィルタ8によって空気中に含まれる塵埃が除去される。
【0007】
室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右方向及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から下方に向けて室内に送出される。
【0008】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。そして、室温と設定温度との温度差が小さくなると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。これにより、きめ細かに室内が均一な温度分布に形成されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の空気調和機によると、空気調和機は通常、使用者の身長よりも高い位置に設置され、吹出口5から略水平方向乃至下方向に送風される。このため、設定温度付近に達した状態で送風を継続すると使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることになる。従って、使用者に不快感を与える問題があった。また、除湿運転時や冷房運転時では局所的に使用者の体温を低下させて健康に害を与える問題もあった。
【0010】
これらの問題を解決するために、吹出口から上方に調和空気を送出できる空気調和機が研究開発されている。図20はこの空気調和機の室内機を示す概略側面断面図であり、前述の図19と同一の部分には同一の符号を付している。室内機1の吹出口5は第1開口部5aと第2開口部5bとを有している。第1開口部5aは送風経路6の終端に下方に臨んで配されている。第2開口部5bは送風経路6から上方に傾斜して分岐する分岐通路13により送風経路6と連通している。分岐通路13の両端には、回動軸14a、15aでフロントパネル3に枢支される回動板14、15が設けられている。
【0011】
空気調和機の運転を開始すると、吸込口4a、4cから室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて矢印A1に示すように第1開口部5aから略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0012】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサ(不図示)により検知すると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。
【0013】
そして、図21に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞される。同時に、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。これにより、送風経路6を流通する調整空気が分岐通路13を流通して第2開口部5bから送出され、矢印A2に示すように上方に導かれる。
【0014】
従って、使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることがなく、使用者の不快感を防止して快適性を向上することができる。更に、冷房時には局所的に使用者の体温を低下させることがなく健康上の安全性を向上することができるようになっている。
【0015】
しかしながら、上記の空気調和機によると、第2開口部5bから上方に送出された調和空気が、矢印A3に示すようにフロントパネル3の前面に設けられた吸込口4cから室内機1内に取り込まれ、所謂ショートサーキットが生じる。このため、空気調和機の冷却効率または暖房効率を低下させる問題があった。
【0016】
更に、冷房運転時や除湿運転時には第2開口部5bから送出された冷気が直ちに室内熱交換器9を通過するため、室内熱交換器9内の冷媒は充分な熱を吸収することができない。このため、室内熱交換器9の温度が標準の運転時に比して低下して結露の増加及び結露水の凍結が発生する。
【0017】
そして、冷房運転または除湿運転を継続すると室内熱交換器9の表面に氷が成長し、室内熱交換器9から離れた位置の氷は低温に維持されずに一部が解ける。この解けた水滴は送風ファン7に滴下すると第2開口部5bから室内に放出される。また、室内熱交換器9の温度が低下し、キャビネット2やフロントパネル3の表面が結露して結露水が滴下する。これらにより、室内が浸水する問題があった。更に、室内熱交換器9の表面に成長した氷の押圧力によってキャビネット2やフロントパネル3等に破損や変形が発生する問題もあった。
【0018】
本発明は、快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、冷却効率を向上することのできる空気調和機を提供することを目的とする。また、本発明は、ショートサーキットを防止して結露による室内の浸水及び空気調和機の破損や変形を防止することのできる空気調和機を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、室内の壁面上部に取り付けて、吸込口から取り入れた空気を調和して通路を介して下部に設けた吹出口から下方乃至上方に切り替えて送出する空気調和機において、
室内温度と設定温度との温度差を検知する温度検知手段と、
前記吹出口の上部に設けられ、前記吹出口の上部を開閉する回動板と、
前記吹出口の下部に設けられ、風向を変更する風向板と、
前記吹出口よりも上方の前面側を遮蔽する遮蔽部と、
を備え、
前記吸込口の少なくとも一部は、前記遮蔽部と空気調和機の側面部との間の空隙によって形成され、
前記通路は、前方へ行くにしたがって下方に傾斜した第1上壁および下壁と、第1上壁の前方に連続して前記吹出口近傍で前方へ行くほど上方になるように傾斜した第2上壁とを有し、
空気調和機の冷房運転または除湿運転の開始時には、前記回動板が前記吹出口の上部を閉塞して前記吹出口の下部から下方に空気を送出し、
室内温度と設定温度との温度差が運転開始時よりも小さくなったことを前記温度検知手段が検知すると、空気の送風量を運転開始時よりも低下させて前記回動板によって前記吹出口の上部を開放するとともに前記風向板によって第1上壁と前記下壁との間を流通する気流の進行方向前方を閉塞し、
前記吹出口の上部から調和空気を上方に向けて送出して前記遮蔽部の前面を通過させることを特徴としている。
この構成によると、空気調和機を運転すると、空気調和機の側面部と遮蔽部との間の空隙と例えば上面部とに設けた吸込口から取り込まれた空気が調和されて吹出口から下方に送出され、所定の時期になると吹出口から上方に送出される。空気調和機内には側面部と遮蔽部との間の空隙から空気が取込まれるため上面側からの空気の流入量が制限される。 また、上方に送出された調和空気は、遮蔽部によって前面側から空気調和機内に取込まれることなく室内に流通する。尚、空気調和機の前面側と言う場合には、正面から視認できる傾斜面や曲面が含まれる。
【0021】
また本発明は、上記構成の空気調和機において、前記遮蔽部に前記吸込口を形成する開口部を設け、垂直面に投影して該開口部の開口面積を前記吹出口よりも上方の投影面積の20%以下にしたことを特徴としている。この構成によると、吹出口から上方に送出された調和空気は開口面積の小さい遮蔽部によって前面側から空気調和機内に取込まれる量が制限されて室内に流通する。
【0022】
また本発明は、上記構成の空気調和機において、垂直面に投影して、前記吹出口よりも上方の長さを100%とし、前記遮蔽部は前面側の上から50%よりも下方を遮蔽することを特徴としている。この構成によると、吹出口から上方に送出された調和空気は下方を遮蔽した遮蔽部によって前面側から空気調和機内に取込まれる量が制限されて室内に流通する。
【0023】
また本発明は、上記各構成の空気調和機において、前記遮蔽部に断熱材を設けたことを特徴としている。この構成によると、吹出口から上方に調整空気を送出する際に、空気調和機に取り込まれた空気と、遮蔽部の表面を通る空気との温度差による結露が防止される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、従来例の図20、図21と同様の部分については同一の符号を付している。図1、図2は第1実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図及び斜視図である。空気調和機の室内機1は、キャビネット2により本体部が保持されている。
【0026】
キャビネット2の前面側には、本体部を覆うようにフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。キャビネット2の上面側には吸込口4aが設けられており、前方には前面側が遮蔽されたフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。室内機1の側面側にはキャビネット2の側面部2bとフロントパネル3との間の空隙によって吸込口4eが形成されている。吸込口4eは後述する送風経路6と連通しており、吸込口4eから取り入れられる空気は吸込口4aからの空気とエアフィルタ8の前面側で合流するようになっている。
【0027】
キャビネット2は後方側面に爪部(不図示)が設けられており、室内の壁に取り付けられる取付板に該爪部を嵌合することにより支持される。フロントパネル3の下端部とキャビネット2の下端部との間隙には、室内機1の幅方向に延びる略矩形の第1、第2開口部5a、5bから成る吹出口5が形成されている。
【0028】
室内機1の内部には、吸込口4a、4eから吹出口5に連通する送風経路6が形成されている。送風経路6内のキャビネット2の前方には空気を送出する送風ファン7が配されている。送風ファン7として、例えばクロスフローファン等を用いることができる。
【0029】
フロントパネル3に対向する位置には、吸込口4a、4eから吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するエアフィルタ8が設けられている。送風経路6中の送風ファン7とエアフィルタ8との間には、室内熱交換器9が配置されている。フロントパネル3と室内熱交換器9との間には所定間隔の空間が設けられており、吸込口4a、4eから取り入れられた空気が該空間を通って室内熱交換器9と広い面積で接触するようになっている。
【0030】
室内熱交換器9は圧縮機(不図示)に接続されており、圧縮機の駆動により冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの運転によって、冷房時には室内熱交換器9が周囲温度よりも低温に冷却される。暖房時には、室内熱交換器9が周囲温度よりも高温に加熱される。尚、室内熱交換器9とエアフィルタ8との間には吸い込まれた空気の温度を検知する温度センサ(不図示)が設けられている。
【0031】
室内熱交換器9の前後の下部には、冷房または除湿時に室内熱交換器9から落下した結露を捕集するドレンパン10が設けられている。前方のドレンパン10はフロントパネル3に取り付けられ、後方のドレンパン10はキャビネット2と一体に形成されている。送風経路6内の吹出口5の第1開口部5aの近傍には、外部に臨んで垂直方向の吹出角度を略水平乃至下方向に変更可能な横ルーバ11a、11bが設けられている。横ルーバ11a、11bの奥側には左右方向の吹出角度を変更可能な縦ルーバ12が設けられている。
【0032】
第2開口部5bは送風経路6から上方に傾斜して分岐する分岐通路13により送風経路6と連通している。分岐通路13の両端には回動軸14a、15aでフロントパネル3に枢支される回動板14、15が設けられている。回動板15により分岐通路13を閉じると、回動板15が送風経路6の内壁面を形成して気流を案内する。これにより、送風経路6を流通する空気の流通抵抗の増加を防止するようになっている。
【0033】
上記構成の空気調和機において、空気調和機の運転を開始すると、送風ファン7が回転駆動され、室外機(不図示)からの冷媒が室内熱交換器9へ流れて冷凍サイクルが運転される。これにより、室内機1内には吸込口4a、4eから空気が吸い込まれ、エアフィルタ8によって空気中に含まれる塵埃が除去される。
【0034】
室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0035】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、送風ファン7の制御により徐々に送風量が低下する。
【0036】
そして、図3に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞され、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。これにより、吸込口4a、4eから取り込まれた空気が送風経路6及び分岐通路13を流通して第2開口部5bから送出され、同図及び図4の矢印A2に示すように上方に導かれる。従って、使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることがなく、使用者の不快感を防止して快適性を向上することができる。更に、冷房時には局所的に使用者の体温を低下させることがなく健康上の安全性を向上することができる。
【0037】
また、第2開口部5bから上方に送出される調整空気はフロントパネル3の前面を通過するが、フロントパネル3の前面側が遮蔽されているためショートサーキットの発生を著しく低減することができる。従って、空気調和機の冷却効率または暖房効率の低下を防止することができる。尚、フロントパネル3の前面側に傾斜面や曲面が形成された場合であっても、正面から視認できる傾斜面や曲面であれば遮蔽することによって同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、ショートサーキットが発生しないため、冷房運転時に結露水の凍結及び成長を防止できる。従って、結露水の凍結による氷が解けた水や結露水が室内へ放出されることによる浸水を防止することができるとともに、成長した氷の押圧力による室内機1の変形や破損を防止することができる。
【0039】
更に、吸込口4eが室内機1の側面側に開放されているので、フロントパネル3の前面側を遮蔽しても充分な風量を確保することができる。従って、運転効率の低下を防止できるとともに、充分な風量を確保するために送風ファン7の回転数を増加させる必要がなく、騒音の増大を防止することができる。室内機1と室内の天井との空間が狭く吸込口4aからの吸気量が少ない場合には、風量低下を防止する効果がより大きくなる。
【0040】
また、フロントパネル3の内面は室内機1内に取り込まれた空気と接触し、フロントパネル3の外面は吹出口5から送出された調和空気と接触する。このため、フロントパネル3の両面の温度差により結露が生じやすくなるが、発泡樹脂等から成る断熱材をフロントパネル3に固着すると、結露を防止できるのでより望ましい。フロントパネル3を中空に形成して空気層や真空層から成る断熱材を設けてもよい。
【0041】
尚、空気調和機によって除湿運転を行う際も同様に、室内熱交換器9との熱交換により除湿された低温の空気を上方に送出することにより上記と同様の効果を得ることができる。また、空気調和機は、室内熱交換器内に蒸発部と凝縮部とを備えた再熱ドライ方式の除湿装置であってもよい。即ち、再熱ドライ方式の除湿装置は、蒸発部で熱交換により冷却除湿された空気が凝縮部で熱交換により昇温されて室内に送出される。この時、凝縮器で昇温しても尚、体温よりも低温の空気が常に使用者に当たることを防止することができる。
【0042】
次に、図5は第2実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。前述の図1〜図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、吸込口4eの開口部にキャビネット2の側面部2bと一体に形成される桟2cを設けて吸込口4eをスリット状に形成している点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0043】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、矢印A1に示すように第1開口部5aから水平乃至下方に調整空気を送出することができる。そして、所定の時期になると図6の矢印A2に示すように、第2開口部5bから上方に向けて調整空気を送出することができる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、桟2cにより室内機1内への異物の侵入を防止することができる。
【0044】
次に、図7は第3実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。前述の図1〜図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、キャビネット2の側面部2bに設けた開口部により吸込口4eを形成している点である。吸込口4eは室内熱交換器9の側面断面の形状に応じて、側面部2bにより室内熱交換器9の側面を覆いつつ、室内熱交換器9の上面に沿った形状に形成されている。これにより、吸込口4eから流入する空気が低い流通抵抗で室内熱交換器9と接触することができるようになっている。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0045】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、矢印A1に示すように第1開口部5aから水平乃至下方に調整空気を送出することができる。そして、所定の時期になると図8の矢印A2に示すように、第2開口部5bから上方に向けて調整空気を送出することができる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
次に、図9、図10は第4実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図及び斜視図である。前述の図1〜図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、フロントパネル3の上部に吸込口4cを設けている点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0047】
空気調和機の運転を開始すると、室内機1内に吸込口4a、4c、4eから吸い込まれた空気が室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0048】
室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。そして、図11に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞される。同時に、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。これにより、送風経路6を流通する調整空気は分岐通路13を流通して同図及び図12の矢印A2に示すように、第2開口部5bから上方に送出される。
【0049】
従って、第1実施形態と同様に、使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることがなく、使用者の不快感を防止して快適性を向上するとともに、冷房時には局所的に使用者の体温を低下させることがなく健康上の安全性を向上することができる。
【0050】
また、第2開口部5bから送出された調整空気の一部は矢印A3に示すようにフロントパネル3に設けられた吸込口4cから室内機1内に取り込まれてショートサーキットが生じる。しかしながら、本実施形態は以下の方法によりショートサーキットの発生を抑制している。
【0051】
図13はショートサーキットの風量と吸込口4cの開口率との関係を示している。横軸は開口率(単位:%)を示している。開口率は垂直面に投影した際に、吹出口5よりも上方の投影面積に対する吸込口4cの開口面積の割合により表している。縦軸はショートサーキットの風量を示しており、開口率50%の時のショートサーキットの風量を1としたときの比により表している。また、垂直面に投影して吹出口5よりも上方の長さを100%とし、上から50%の位置を中心にして上下略対称に分散して吸込口を配置した時の実験データを示している。
【0052】
同図によると、開口率の増加に伴ってショートサーキットの風量が増加する。前述の図20、図21に示す従来例の開口率は約50%になっている。開口率を20%以下にするとショートサーキットの風量が従来の1/2以下になる。従って、本実施形態は、吸込口4cの開口率を20%以下に形成することによって、従来よりも著しくショートサーキットの発生を抑制できるようになっている。
【0053】
また、図14はショートサーキットの風量と吸込口4cの位置との関係を示している。縦軸はショートサーキットの風量を示しており、垂直面に投影して吹出口5よりも上方の長さを100%とし、上から50%の位置を中心に上下略対称に分散して開口率50%の吸込口を配置した時のショートサーキットの風量を1としている。
【0054】
横軸は吸込口4cの位置を示している。吸込口4cの位置は、垂直面に投影して、室内機1の上から吸込口4cの下端までの距離を吹出口5よりも上方の室内機1の長さに対する比(単位:%)により表している。また、図13の結果から、開口率が20%の吸込口4cの位置を可変したときの実験データを示している。
【0055】
同図によると、吸込口4cを上方に配置するほどショートサーキットの風量が減少する。そして、吸込口4cの下端が上から60%の位置と50%の位置との間でショートサーキットの風量が急激に減少する。従って、本実施形態は、吸込口4cを室内機1の上から50%以内に設け、下方を遮蔽することによって更にショートサーキットの発生を抑制することができるようになっている。
【0056】
これにより、従来よりも空気調和機の冷却効率を向上させることができる。また、室内機1の上面が室内の天井と接近している場合には上面の吸込口4aから取り込まれる空気量が減少しても、側面側の吸込口4eだけでなく前方に面して設けられる吸込口4cから空気を取り込むことができ、送風効率の低下を防止することができる。また、本実施形態に示すように、上方へ行くほど後方へ傾斜する傾斜面3a(図11参照)に吸込口4cを形成することにより、ショートサーキットを更に抑制することができる。
【0057】
次に、図15、図16は第5実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図及び斜視図である。前述の図9〜図12に示す第4実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第4実施形態と異なる点は、吸込口4cが、フロントパネル3の上端とキャビネット2の上面部2aとの間に設けられた隙間により形成されている点である。その他の部分は第4実施形態と同一である。
【0058】
吸込口4a、4c、4eから室内機1内に取り込まれた空気は吹出口5の第1開口部5aから矢印A1に示すように略水平方向乃至下方に送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、図17に示すように、横ルーバ11a、11bにより第1開口部5aが閉塞される。同時に、回動板14、15の回動により第2開口部5b及び分岐通路13が開放される。これにより、第2開口部5bから同図及び図18の矢印A2に示すように調整空気が上方に送出される。
【0059】
本実施形態は吸込口4cの開口率が20%以下になっている。また、垂直面に投影して吹出口よりも上方の室内機1の長さを100%としたときに上から50%以内に吸込口4cの下端が設けられ、フロントパネル3の下方が遮蔽されている。従って、第4実施形態と同様にショートサーキットの発生を抑制することができる。尚、吹出口5から上方に調整空気を送出する際に吸込口4cを閉じる開閉機構を設けるとより望ましい。
【0060】
第1〜第5実施形態において、フロントパネル3の全面或いは下方を遮蔽しているが、前述の図20、図21に示す従来例においても室内機の側面側に第1〜第5実施形態と同様の吸込口4eを設けた場合は、前面側の吸込口4c(図20参照)から取込まれる空気量を減少させることができる。従って、吹出口5から上方に向けて調整空気を送出した際に従来よりもショートサーキットを低減することができる。
【0061】
本発明によると、冷房運転または除湿運転時に使用者に常に冷たい風が当たることがなく、使用者の不快感防止による快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができる。また、空気調和機の前面側から取込まれる空気量を減少させて従来よりもショートサーキットを低減することができる。
【0062】
また本発明によると、空気調和機の前面側を遮蔽する遮蔽部を設けたので、冷房運転または除湿運転時に使用者の不快感防止による快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、ショートサーキットを防止して冷却効率を向上させることができる。また、ショートサーキットの防止により、冷房運転時や除湿運転時に結露の増加や結露水の凍結及び成長を防止できる。従って、結露水や凍結した氷が解けた水による室内への水の放出を防止することができるとともに、成長した氷の押圧力による空気調和機の変形や破損を防止することができる。更に、側面部の吸込口により充分な風量を確保して、運転効率の低下を防止できるとともに、充分な風量を確保するために送風ファンの回転数を増加させる必要がなく、騒音の増大を防止することができる。
【0063】
また本発明によると、空気調和機の前面側に吸込口の開口率が20%以下の遮蔽部を設けたので、冷房運転または除湿運転時に使用者の不快感防止による快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、ショートサーキットを抑制して冷却効率を向上させることができる。また、結露水や凍結した氷が解けた水が放出されることによる室内の浸水や、成長した氷による空気調和機の変形や破損を防止することができる。更に、前面側及び側面部の吸込口により、下方向に調和空気を送出する際に充分な風量を確保することができる。
【0064】
また本発明によると、垂直面に投影して吹出口よりも上方の長さを100%としたときに、前面側の下方の50%を遮蔽部により遮蔽しているので、冷房運転または除湿運転時に使用者の不快感防止による快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、ショートサーキットを抑制して冷却効率を向上させることができる。また、結露水や凍結した氷が解けた水が放出されることによる室内の浸水や、成長した氷による空気調和機の変形や破損を防止することができる。更に、前面側及び側面部の吸込口により、下方向に調和空気を送出する際に充分な風量を確保することができる。
【0065】
また本発明によると、遮蔽部に断熱材を設けることにより、遮蔽部の両面の温度差による結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。
【図3】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図4】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す斜視図である。
【図5】 本発明の第2実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。
【図6】 本発明の第2実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す斜視図である。
【図7】 本発明の第3実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。
【図8】 本発明の第3実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す斜視図である。
【図9】 本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機の吸込口の開口率とショートサーキット風量との関係を示す図である。
【図14】本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機の吸込口の位置とショートサーキット風量との関係を示す図である。
【図15】本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機を示す斜視図である。
【図17】本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す斜視図である。
【図19】従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図20】他の従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図21】他の従来の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【符号の説明】
1 室内機
2 キャビネット
2b 側面部
3 フロントパネル
4a、4c、4e 吸込口
5 吹出口
5a 第1開口部
5b 第2開口部
6 送風経路
7 送風ファン
8 エアフィルタ
9 室内熱交換器
10 ドレンパン
11a、11b 横ルーバ
12 縦ルーバ
13 分岐通路
14、15 回動板
Claims (4)
- 室内の壁面上部に取り付けて、吸込口から取り入れた空気を調和して通路を介して下部に設けた吹出口から下方乃至上方に切り替えて送出する空気調和機において、
室内温度と設定温度との温度差を検知する温度検知手段と、
前記吹出口の上部に設けられ、前記吹出口の上部を開閉する回動板と、
前記吹出口の下部に設けられ、風向を変更する風向板と、
前記吹出口よりも上方の前面側を遮蔽する遮蔽部と、
を備え、
前記吸込口の少なくとも一部は、前記遮蔽部と空気調和機の側面部との間の空隙によって形成され、
前記通路は、前方へ行くにしたがって下方に傾斜した第1上壁および下壁と、第1上壁の前方に連続して前記吹出口近傍で前方へ行くほど上方になるように傾斜した第2上壁とを有し、
空気調和機の冷房運転または除湿運転の開始時には、前記回動板が前記吹出口の上部を閉塞して前記吹出口の下部から下方に空気を送出し、
室内温度と設定温度との温度差が運転開始時よりも小さくなったことを前記温度検知手段が検知すると、空気の送風量を運転開始時よりも低下させて前記回動板によって前記吹出口の上部を開放するとともに前記風向板によって第1上壁と前記下壁との間を流通する気流の進行方向前方を閉塞し、
前記吹出口の上部から調和空気を上方に向けて送出して前記遮蔽部の前面を通過させることを特徴とする空気調和機。 - 前記遮蔽部に前記吸込口を形成する開口部を設け、垂直面に投影して該開口部の開口面積を前記吹出口よりも上方の投影面積の20%以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 垂直面に投影して、前記吹出口よりも上方の長さを100%とし、前記遮蔽部は前面側の上から50%よりも下方を遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 前記遮蔽部に断熱材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気調和機。
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