JP3986058B2 - ブリスター包装容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブリスターパックとも称されるブリスター包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ブリスターパックは、被収容物を収容するための凹部が形成されたカバー体と、凹部を閉塞すべくカバー体に接着されたシート体とから構成されている。
そして、開封にあたっては、シート体をカバー体から剥して凹部を開口させ、凹部に収容されている被収容物を取り出すことになる。
また、シート体にプラスチックフィルムを使用したものについては特開平9−249255号公報所載の如く公知である。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−249255号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のブリスターパックにおいては、シート体を一旦剥がして開封した後においては、被収容物を全て使い切った場合はよいが、一部が残ったりした場合には、その保管に問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされ、開封後における被収容物の保管性に優れたブリスター包装容器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係るブリスター包装容器は、被収容物を収容するための凹部が一方の面に形成されたカバー体と、前記凹部を閉塞すべくカバー体の一方の面全体を覆うように該一方の面の平坦部に剥離可能に接着されたシート体とを備え、該カバー体は、折曲部と前記凹部を有する本体部と前記折曲部を介して本体部から延設された蓋部とからなり、シート体の剥離後において、カバー体を折曲部に沿って折り畳むことにより、カバー体は被収容物を収容可能なケースとなり、蓋部の上部と本体部の下部とには、折り畳み状態を維持するために互いに係止する係止構造が設けられ、蓋部にはカバー体を折り畳んで本体部と重ね合わせられた際に前記凹部と対向する領域の周囲に前記一方の面に開口した凹溝が周設されていることを特徴とする。
ここで、シート体には、台紙と称される紙製のものの他、プラスチックフィルムも含まれる。また、シート体の剥離には、例えば接着剤と共に台紙が薄膜状に残存するような剥離態様も含まれる。
【0007】
該構成のブリスター包装容器にあっては、開封前においてはカバー体の凹部はシート体によって閉塞されている。そして、シート体を剥離して開封することにより凹部から被収容物を取り出して使用することができるが、被収容物を一度に使用しない場合等においては、カバー体を折り畳んで形成したケースにその被収容物を収容して保管することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のブリスター包装容器の一実施形態について図1乃至図4を参酌しつつ説明する。
本実施形態におけるブリスター包装容器は、被収容物Wを収容するための凹部5が裏面(一方の面)に形成されたカバー体1と、凹部5を閉塞すべくカバー体1の裏面に接着されたシート体2とを備えている。
【0010】
カバー体1は、透明又は半透明のプラスチックシートから構成されて被収容物Wを外部から目視可能に形成されている。該カバー体1は、プラスチックシートをシート成形することによって形成されている。シート成形には、真空成形や圧空成形等があり、これらのシート成形によってシートに凹凸を形成することで、被収容物Wを収容するための凹部5が形成される。
【0011】
該カバー体1は、全体として縦方向に長い長方形に形成され、その長手方向(縦方向)略中央に、カバー体1を二つ折りにするための折曲罫線6(折曲部)がカバー体1を横断するように形成されている。該折曲罫線6としては、ミシン目状のものやハーフカットのものなど種々の公知のものが使用される。また、カバー体1は、この折曲罫線6によって上下に区画され、下側部分は前記凹部5を有する本体部3で、上側部分は後述するように開封後において凹部5を閉塞するための蓋部4である。即ち、カバー体1は、凹部5を有する本体部3と、折曲罫線6を介して本体部3から延設された蓋部4とからなる。
【0012】
また、裏面に開口する凹部5は、被収容物Wの外形に略適合する形状であり、本実施形態においては、矩形の被収容物Wを収容すべく平面視矩形に形成されている。更に、凹部5の側壁には、被収容物Wを係止してその収容状態を維持するために内方に突出した凸部7が設けられている。本実施形態の場合には、図1及び図2の如く、凸部7は側壁のうち上部壁と下部壁に互いに対向して上下一対形成されている。該凸部7も凹部5を形成する際に同時にシート成形により形成される。また、本体部3の一つの角部には、平坦部から段差部8aを介して一段高く形成された開封開始部8が設けられている。図1の場合には開封開始部8は平面視三角状に形成されている。該開封開始部8は一段高く形成されているためその裏面にはシート体2は接着されず、シート体2と開封開始部8との間には所定の隙間が形成される。従って、開封時にシート体2を摘んでカバー体1からの剥離を開始できる。
【0013】
一方、蓋部4には、図3のように開封後においてカバー体1を二つ折りにして本体部3と重ね合わせられた際に凹部5と対向する位置に、表示領域9が設けられている。尚、図3は、蓋部4側から見た状態を示している。該表示領域9は例えば被収容物Wの商品名等を表示するために使用される。本実施形態の場合、表示領域9に対応したシート体2の位置に商品名等が印刷され、透明なカバー体1を介してその商品名等が目視可能になっている。尚、表示領域9を他の領域から区画することにより表示領域9が外観上目立つようにするために、表示領域9の周囲には裏面に開口した凹溝10が形成されている。従って、蓋部4の表面には凹溝10に対応した凸条が形成されている。尚、凹溝10を設けることによって、カバー体1の表示領域9の湾曲や変形を防止することができるという補強効果が得られる。該凹溝10もシート成形により形成される。
【0014】
また、蓋部4の上部には、吊り下げ部となる吊下片11が突設され、該吊下片11によりブリスター包装容器を吊り下げて陳列できる。そして、前記本体部3の下部には、図3及び図4のように、開封後においてカバー体1を二つ折りにした際に、前記吊下片11が係止可能な係止片12が形成されている。具体的には、本体部3の下部に所定の切欠部13を形成することにより、切欠部13の側方に係止片12が形成されている。そして、吊下片11を係止片12に係止させることで二つ折り状態が維持される。即ち、蓋部4の吊下片11と本体部3の係止片12とから、カバー体1の折り畳み状態を維持するための保持手段が構成されている。
【0015】
かかるカバー体1の裏面のうち、シート成形によって凹凸が形成されずに残った平坦部に、前記シート体2が接着されてカバー体1の凹部5を覆っている。詳細には、カバー体1の裏面全体を覆うようにシート体2が接着されている。上述した表示領域9も平坦部であるため、その裏面にもシート体2が接着されている。即ち、シート体2とカバー体1とは互いに外形形状が略一致する。例えば、カバー体1にシート体2を接着した後に、吊下片11等を形成すべく、シート体2と共にカバー体1の外形形状が打ち抜き等される。
但し、吊下片11や係止片12の裏面にはシート体2を接着しないようにしてもよい。即ち、カバー体1よりも小さいシート体2でもよい。また、表示領域9(前記凹溝10の内側)を接着することなく周囲のみ接着してもよい。
【0016】
また、シート体2にはミシン目等の切り取り線14が形成されている。該切り取り線14は、前記折曲罫線6と略同じ位置若しくは折曲罫線6よりも上側の位置に形成され、折曲罫線6と同様にシート体2を横断している。従って、シート体2も切り取り線14によって上下二つの部分に区画されている。これは、開封時において、凹部5を覆っている下側部分2bのみを上側部分2aから切り離して剥離することができるようにするためである。
【0017】
ここで、カバー体1を構成するプラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなり硬質で熱成形可能な透明シートを用いることができ、特に未延伸の非結晶性ポリエステルシート(A−PET)が好ましいが、その他、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなる単層または多層のプラスチックシート等を採用し得る。尚、厚さは、0.1mm乃至1.0mm、好ましくは0.2mm乃至0.5mmである。
【0018】
一方、シート体2は、柔軟性を有する種々の単層、多層のプラスチックフィルムからなるが、好ましくはカバー体1にヒートシールにより接着される。その場合、シーラント層をシート体2に備えることが好ましい。例えば、カバー体1を構成するプラスチックシートがPET(A−PET等)である場合、印刷により表示部が形成された基材としての二軸延伸PETフィルムやポリエステル製合成紙に、ポリエステル系のシーラント層を積層したものが、シート体2として使用できる。また、剥離可能にヒートシールするために、シート体2を構成するプラスチックフィルムとして、二軸延伸PETフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルム等からなるフィルム基材に、イージーピールシーラント層を積層した多層フィルムを採用することができる。該イージーピールシーラント層は、ヒートシール後に剥離可能あるいは破壊可能となるシーラント層であり、ポリプロピレン系樹脂にポリエチレン系樹脂やポリスチレン系樹脂等が含有された単層のものや、1乃至数μmの層間剥離可能な接着層を積層した多層のものである。このイージーピールシーラント層により、ヒートシール後において剥離可能となる。
また、シーラント層としては、エチレン系やビニル系樹脂等のホットメルトをコーティングしたものでもよい。また、剥離性を良くするために格子模様や散点状にヒートシールしてもよい。シート体2に形成する印刷は、合成紙等の不透明のフィルム基材の場合は両面に、透明フィルムの場合は片面に、表側表示と裏側表示を白色等の隠蔽層を介して施すとよい。
【0019】
本実施形態のブリスター包装容器は以上のように構成され、凹部5に被収容物Wが収容された後にカバー体1の裏面にシート体2が接着される。
ここで、被収容物Wとしては種々のものがあるが、一度に全て使い切ることのないものを収容するのに適している。一個ずつ使用するものを複数個収容したり、あるいは、個数としては一個であるが使用に際して中身を少量ずつ使用されるものなどがある。例えば、一回分ずつ分包された薬剤包装体や粒状の菓子等を複数収容することができる。それ以外にも、例えば、使用の都度取り出して使用する工具や雑貨等を収容するのにも適している。特に、表示面積の必要な医薬品等に適している。
【0020】
そして、開封に際しては、開封開始部8の裏側に位置するシート体2の部分を掴んでシート体2を剥離するが、上述したようにシート体2には切り取り線14が設けられているので、切り取り線14でシート体2の下側部分2bのみを切り離して剥離することができる。該シート体2の下側部分2bの剥離により凹部5は開口し、収容された被収容物Wを取り出すことが可能となる。例えば、図2のように被収容物Wが三個収容されている場合、開封後において一個取り出して使用した後は、残りの二個を保管する必要がある。その場合、カバー体1を裏面が内側となるようにして折曲罫線6に沿って二つ折りに折り畳む。即ち、蓋部4を折曲罫線6を回動支点として本体部3側に折り畳むことにより、本体部3と蓋部4とが互いに重なり合い、蓋部4によって凹部5が閉塞される。このようにして開封後のカバー体1それ自体が被収容物Wを収容可能な折り畳み式のケースとなる。
【0021】
従って、開封後のカバー体1によって形成されたケースに残った二個を収容して保管することができ、また、その状態で携帯することもできる。その際、吊下片11を係止片12に係止させることにより二つ折り状態は確実に維持される。また、折り畳み式であるのでコンパクトであり保管や携帯において場所をとらない。
【0022】
更に、開封後もシート体2の上側部分2aはカバー体1に残存するので、上側部分2a(特に表示領域9)に印刷により設けられた商品名等の表示部は、開封後もそのままケースに残り、従って保管に際して便利である。
【0023】
また、カバー体1を二つ折りにする構成であるので、折曲罫線6は一カ所で済み、従って、開封前の状態における容器の剛性を確保しやすいという利点がある。しかも、折曲罫線6を跨ぐようにしてシート体2が接着されているので、開封前におけるカバー体1の折れ曲がりをシート体2によって抑制することができる。尚、折曲罫線6の近傍領域にはシート体2を接着しないようにすることが好ましく、それにより剥離の際に折曲罫線6が切断することを抑制できる。
【0024】
また更に、シート体2の接着により凹部5が閉塞された構成であるので、例えば、着脱自在な蓋体により凹部5が閉塞された構成とは異なり、いわゆるタンパー性が確実に確保される。
【0025】
尚、本実施形態では、吊下片11と係止片12とから保持手段を構成したが、例えば、図5乃至図7のような係止構造を保持手段として採用してもよい。即ち、図5乃至図7に示すように、蓋部4の上部には吊り下げ部となる吊下用貫通孔20が形成され、本体部3の下部には係止用突片21が形成されている。そして、開封後においてカバー体1を二つ折りにした際に、吊下用貫通孔20に係止用突片21を差し込んで係止させることで二つ折り状態が維持される。このように蓋部4の吊下用貫通孔20と本体部3の係止用突片21とから保持手段を構成することもできる。尚、図6は、ケースを本体部3側から見た状態を示している。
【0026】
また、図8のように、保持手段として蓋部4と本体部3のうちの一方に嵌合凹部22を他方には嵌合凸部23を形成し、両者の嵌合により折り畳み状態を維持してもよい。
【0027】
尚、図7に示すように、シート体2全体を剥離して折り畳むようにしてもよい。この場合は切り取り線14はなくてもよい。また、凸部7によって係止された被収容物Wの取り出し易さを考慮して、図5及び図6のように、略矩形の凹部5の四隅5aを外方に僅かに膨出させてもよい。
【0028】
尚、蓋部4にも凹部を形成すれば、本体部3の凹部5と蓋部4の凹部とを合わせることでケースの収容空間を増大できる。
【0029】
更に、上記実施形態では二つ折りの構成であったが、例えば、一対の蓋部4によって本体部3の凹部5を閉塞するような三つ折りタイプとするなど、折り畳みの構成も適宜設計変更可能である。但し、折曲部の数が少ないほど開封前の状態の剛性を確保しやすいため、上述したような二つ折りタイプとすることが好ましい。
【0030】
また、シート体2として紙製のものを使用してもよいが、プラスチックフィルムや合成紙(特にポリエステル系合成紙)を使用すれば、開封後にカバー体1にシート体2の一部が薄膜状に残存することがなく良好な外観体裁が得られる。開封後もカバー体1からケースを形成して保管、携帯する構成であるため、開封後直ちに破棄される従来構成に比して、良好な外観体裁が得られることの利点は大きい。
【0031】
その他、折曲罫線6により折曲部を構成したが、断面視Ω状等のヒンジ形状に形成された折曲部であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明のブリスター包装容器にあっては、開封後はカバー体がそれ自体独立した折り畳み式のケースとなるので、そのケースに被収容物を収容して保管することができ、また、折り畳み式であるためコンパクトにできて携帯性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるブリスター包装容器を示す正面図。
【図2】同容器に被収容物を収容した状態における図1のP−P線断面図。
【図3】開封後にカバー体を折り畳んでケースにした状態を蓋部側から見た図。
【図4】図3のQ−Q線断面図。
【図5】他の実施形態におけるブリスター包装容器を示す正面図。
【図6】開封後にカバー体を折り畳んでケースにした状態を本体部側から見た図。
【図7】図6のR−R線断面図。
【図8】他の実施形態における要部の拡大断面図。
【符号の説明】
1…カバー体、2…シート体、3…本体部、4…蓋部、5…凹部、6…折曲罫線(折曲部)、7…凸部、8…開封開始部、9…表示領域、10…凹溝、11…吊下片、12…係止片、13…切欠部、14…切り取り線、20…吊下用貫通孔、21…係止用突片
Claims (1)
- 被収容物を収容するための凹部が一方の面に形成されたカバー体と、前記凹部を閉塞すべくカバー体の一方の面全体を覆うように該一方の面の平坦部に剥離可能に接着されたシート体とを備え、該カバー体は、折曲部と前記凹部を有する本体部と前記折曲部を介して本体部から延設された蓋部とからなり、シート体の剥離後において、カバー体を折曲部に沿って折り畳むことにより、カバー体は被収容物を収容可能なケースとなり、蓋部の上部と本体部の下部とには、折り畳み状態を維持するために互いに係止する係止構造が設けられ、蓋部にはカバー体を折り畳んで本体部と重ね合わせられた際に前記凹部と対向する領域の周囲に前記一方の面に開口した凹溝が周設されていることを特徴とするブリスター包装容器。
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