JP3985286B2 - 金属基材の塗装保護方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規にして有用なる、金属器剤の塗装保護方法に関する。さらに詳細には、本発明は、特定の組成の、低溶剤含有量のビニル系重合体の水性樹脂分散体から成る水性ディスパージョンをベースとする水性塗料を、いわゆるトップ・コートとして用い、
【0002】
主として、それぞれ、橋梁、タンク、船舶または鉄塔の如き、各種の金属構造物や、付属部材、道路標識、フェンスまたは車両本体や、あるいは部品類などのような種々の、いわゆる金属部材になどの表面に塗装せしめるということにより、有機溶剤含有量が少なく、塗膜の、とりわけ、耐汚染性と光沢とに優れるというものであり、
【0003】
その他の塗膜諸物性にも優れるというものであって、美観の向上化のみならず、耐汚染性の向上化と、腐食などの基材劣化の防止機能とを、長期に亘って維持せしめることが出来るという、極めて実用性の高い、実に価値ある、金属基材の塗装保護方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
これまでにも、諸金属素材類ないしは諸金属製品類の、美装化ならびに保護化のために、各種の塗料の研究が行なわれ、提案されて来てはいる。これらのうちでも、溶剤系のアルキド塗料がトップ・コートとして塗装されて来てはいるが、塗膜の、とりわけ、耐候性や、耐薬品性ならびに耐汚染性などが劣るし、ひいては、頻繁に塗り替えの必要性が生じるという処から、現在、溶剤系のアクリル系塗料が、主として、用いられている。
【0005】
ところで、近年は、環境汚染防止の対策の一環として、塗装時の蒸散有機溶剤量の削減化が求められ始める処となり、各種の水性塗料の研究が為されるようになって来ている。
【0006】
斯かる水性塗料は、乳化重合体をベースとするものと、水溶性の共溶剤の存在下に、樹脂を自己乳化分散(あるいは溶解)せしめるという形の、いわゆるコロイダル・ディスパージョンをベースにするものとに大別される。
【0007】
しかしながら、従来において用いられている部類の、乳化重合体をベースとする水性塗料は、有機溶剤含有量こそは低いものの、樹脂粒子同志が融着して行って皮膜を形成するという過程において、塗膜表面の平滑性などが損なわれ、ひいては、光沢が損なわれるという処となり、その結果として、耐汚染性などが良好なる塗膜を得ることが、頗る、困難となるし、さらには、含有する乳化剤の影響によって、塗料の発泡性が高くなるし、加えて、塗膜の、とりわけ、耐水性や基材付着性などが劣るという欠点を有していた。
【0008】
一方、コロイダル・ディスパージョンをベースとする水性塗料の場合には、塗膜表面の平滑性などこそ、乳化重合体をベースとするものよりは改善され易いということではあるが、溶剤系樹脂をベースとする形のものに比して、一般には、劣っているというものであり、それを、さらに一層、改善しようとすると、どうしても、水溶性溶剤含有量を増加させなければならなくなり、環境汚染防止対策の上で、好ましくない塗料となる。
【0009】
さらに、自己乳化分散性を得るべく導入されたカルボキシル基などの、いわゆる極性基のために、充分なる耐水性、耐食性ならびに耐薬品性などのような塗膜諸物性も亦、充分なるものが得られ難かった。
【0010】
ここにおいて、各種の塗膜諸性能のうちでも、乾燥塗膜の平滑性なる性能は、高光沢であるべしという美装の観点のみにとどまらず、塗装後の塗膜の汚染防止の観点からも亦、重要なる性能であることは、改めて言うまでもない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述した如き従来型技術に従う限りは、およそ、金属基材の保護化ならびに美装化にとって好適なる、低酸価で、かつ、低溶剤含有量であって、しかも、高光沢であって、かつ、耐水性なども良好であるし、溶剤系塗料並みの塗膜諸物性が得られる金属基材用の水系塗料は、到底、得ることが出来ないものである、というのが実状であった。
【0012】
しかるに、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の欠点の存在に鑑みて、上述したような極めて実用性の高い塗膜を与え得るような水性塗料を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0013】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、特定の組成からなる、溶剤系塗料に匹敵する優れた塗膜諸性能を有するものであって、加えて、低汚染性であって、かつ、高光沢であり、しかも、有機溶剤含有量が少ないという、常温乾燥または強制乾燥用の水性塗料を、金属基材用のトップ・コートとして、就中、一定の膜厚で以て塗布せしめることから成る、極めて実用性の高い、金属基材の塗装保護方法を提供しようとするにある。
【0014】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、こうした従来型技術における未解決の種々の問題点を解決するべく、鋭意、検討を重ねた結果、特定の組成のビニル系重合体、就中、アクリル系重合体(アクリル系樹脂)と、特定の種類と其の量の有機溶剤とを、必須の構成成分として、さらには、硬化剤をも必須の構成成分として含有することから成る水性塗料を、一定膜厚で以て、金属基材用のトップ・コートとして塗布せしめることによって始めて、環境汚染防止や、塗装施工時の火災などの、いわゆる虞も少なく、簡便に施工が出来るし、しかも、従来に類例を見ないほどの、優れた基材への保護効果を発現することを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0015】
すなわち、本発明は、基本的には、一つには、それぞれ、炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)と、あるいは此の非官能性該(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)および芳香族ビニル系単量体(a−2)と、末端の水酸基がアルコキシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(b)と、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)とを必須の重合性不飽和単量体成分として、これらの、それぞれ、単量体(a−1)の単独使用の形で以て、あるいは此の単量体(a−1)と、単量体(a−2)との併用の形で〔以下、単量体(a−1)の単独使用のケースと、単量体(a−1)および単量体(a−2)の併用のケースを纏めた形で、単量体(a)ともいう。〕、全重合性不飽和単量体中に、65重量%以上含み、しかも、上記した単量体(b)と上記した単量体(c)との和が3〜6重量%で、かつ、これらの(b)/(c)なる重量部比が1〜5の範囲内にある、自己水分散能を有する水性樹脂分散体(A)と、
【0016】
常圧下の沸点が130〜220℃の範囲内で、かつ、20℃での水の溶解度が100以上の有機溶剤(B)とを、必須の成分として含有することから成り、
【0017】
しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、20重量部以上含有し、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることから成る、併せて、この水性塗料を、金属基材用のトップ・コートとして、20〜150マイクロ・メータないしはミクロン(um)の膜厚となるように塗装せしめることから成る、金属基材の塗装保護方法を提供しようとするものであるし、
【0018】
二つには、上記した、自己水分散能を有する、特定の水性樹脂分散体(A)と、上記した特定の有機溶剤(B)と、硬化剤(C)とを、必須の成分として含有することから成り、しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、20重量部以上含有し、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることから成るし、併せて、この水性塗料を、金属基材用のトップ・コートとして、20〜150umの膜厚となるように塗装せしめることから成る、金属基材の塗装保護方法を提供しようとするものである。
【0019】
本発明は、具体的には、それぞれ、前記した水性樹脂分散体(A)が、特に、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内であり、しかも、固形分換算の酸価が3〜18mgKOH/gなる範囲内のものであることから成る、金属基材の特定なる塗装保護方法をも提供しようとするものであるし、
【0020】
さらに、前記した水性樹脂分散体(A)が、特に、GPCによるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内のものであること、該水性樹脂分散体(A)が、その固形分換算の水酸基価が30〜120mgKOH/gなる範囲内のものであること、しかも、前記した硬化剤(C)としては、ポリイソシアネート化合物を用い、該ポリイソシアネート化合物が、NCO基/OH基なる当量比で以て、0.5〜2の範囲内となるように配合されているものであることから成る、金属基材の特定なる塗装保護方法をも提供しようとするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
このように、本願は、一つには、炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)あるいは此の非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)および芳香族ビニル系単量体(a−2)と、末端の水酸基がアルコキシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(b)と、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)とを必須の単量体成分として、(a−1)あるいは(a−1)および(a−2)を、全重合性不飽和単量体中に、65重量%以上含み、しかも、上記した単量体(b)と上記した単量体(c)との和が3〜6重量%で、かつ、これらの(b)/(c)なる重量部比が1〜5の範囲内にある、自己水分散能を有する水性樹脂分散体(A)と、常圧下の沸点が130〜220℃の範囲内で、かつ、20℃での水の溶解度が100以上の有機溶剤(B)とを必須の成分として含有することから成り、しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対し、20重量部以上含み、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることから成るし、併せて、この水性塗料を、金属基材のトップ・コートとして、20〜200マイクロ・メータないしはミクロン(um)の膜厚となるように塗装せしめることから成る、金属基材の塗装保護方法を請求しているというものであるし、
【0022】
二つには、炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)あるいは此の非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)および芳香族ビニル系単量体(a−2)と、末端の水酸基がアルコキシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(b)と、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)とを必須の単量体成分として、(a−1)あるいは(a−1)および(a−2)を、全重合性不飽和単量体中に、65重量%以上含み、しかも、上記した単量体(b)と上記した単量体(c)との和が3〜6重量%で、かつ、これらの(b)/(c)なる重量部比が1〜5の範囲内にある、自己水分散能を有する水性樹脂分散体(A)と、常圧下の沸点が130〜220℃の範囲内で、かつ、20℃での水の溶解度が100以上の有機溶剤(B)と、硬化剤(C)とを必須の成分として含有することから成り、しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対し、20重量部以上含み、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることから成るし、併せて、この水性塗料を、金属基材のトップ・コートとして、20〜200umの膜厚となるように塗装せしめることから成る、金属基材の塗装保護方法をも請求しているというものであるし、
【0023】
また、本願は、上記した水性樹脂分散体(A)として、特に、GPCによるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内で、しかも、固形分換算の酸価が3〜18mgKOH/gの範囲内のものを用いることから成る、金属基材の特定なる塗装保護方法を請求しているというものであるし、
【0024】
さらに、本願は、上記した水性樹脂分散体(A)として、特に、GPCによるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内で、しかも、固形分換算の水酸基価が3〜120mgKOH/gなる範囲内のものであること、しかも、前記した硬化剤(C)としては、ポリイソシアネート化合物を用い、該ポリイソシアネート化合物が、該水性樹脂分散体(A)に対して、NCO基/OH基なる当量比で以て、0.5〜2の範囲内となるように配合されているものであることから成る、金属基材の特定なる塗装保護方法をも請求しているというものである。
【0025】
以下に、本発明を、就中、本発明の構成ならびに効果を、一層、詳細に説明することにする。
【0026】
すなわち、本発明に係る金属基材の塗装保護方法を実施するに当たって、前記した水性樹脂分散体(A)についての説明であるが、当該水性樹脂分散体(A)としては、特定の重合性不飽和単量体の組成よりなることが必要である。
【0027】
まず、斯かる重合性不飽和単量体としては、炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)が挙げられるが、こうした単量体(a−1)は、それ自体、得られる塗膜の、とりわけ、耐水性、耐薬品性ならびに耐候性などを向上させるためにも、必須の成分である。
【0028】
斯かる非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ノルマル(n−)ブチル(メタ)アクリレート、イソ(i−)ブチル(メタ)アクリレート、ターシャリー(tert−)ブチル(メタ)アクリレートもしくは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどをはじめ、さらには、シクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはベンジル(メタ)アクリレートあるいはラウリル(メタ)アクリレートなどであるが、これらは、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0029】
炭素数が12を超えるような炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の使用は、どうしても、得られる塗膜の、とりわけ、基材付着性などが低下し易くなるので、こうした部類の(メタ)アクリル酸エステル類の多用は、真に、慎むべきである。
【0030】
また、前記した芳香族ビニル系単量体として特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、スチレン、ビニルトルエンまたはp−tert−ブチルスチレンなどであるが、該芳香族ビニル系単量体は、特に、塗膜の耐食性ならびに耐薬品性などを向上させるというために、必要に応じて、使用されるという部類のものである。
【0031】
これらの芳香族ビニル系単量体の使用量としては、得られる塗膜の諸物性のバランス化を考慮して、全重合性不飽和単量体中に、つまり、重合性不飽和単量体類を基準として、40重量%以下にするのが望ましい。
【0032】
上述した非官能性(メタ)アクリル酸エステル類と、この芳香族ビニル系単量体類との合計は、全重合性不飽和単量体中に、つまり、重合性不飽和単量体類の総量を基準として、65重量%以上であることが、是非とも、必要であるし、好ましくは、70重量%以上となるように用いるのが適切である。
【0033】
次いで、前記した、ポリエチレングリコール基を有する単官能性不飽和単量体類(b)について述べることにするが、斯かる重合性不飽和単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレートなどをはじめ、さらには、それらの末端水酸基を、メトキシ基や、エトキシ基などのような種々のアルコキシル基で以て、常法により、封鎖せしめた形のものなどである。
【0034】
さらに、斯かるポリエチレングリコール基含有単官能性不飽和単量体類(b)のうちでも、市販品として具体的なる例示例を示すことにすれば、「ブレンマーPME400、PME4000、AE350もしくはPE350」[以上は、日本油脂(株)製品]または「NKエステルM−90G」、「同M−230G」[以上は、新中村化学(株)製品]などであるとか、あるいは「NFバイソマーS−10W、S−20W、MPEG350MAもしくはPEM6E」[以上は、第一工業製薬(株)製品]などである。
【0035】
これらは、水性樹脂分散体(A)の親水性などを向上させ、その水分散性をも向上せしめるというのみならず、顔料分散性などをも向上させ、さらには、保水性などをも向上せしめるものであるという処からも、得られる塗膜の、とりわけ、表面乾燥性などを遅らせ、ひいては、高い光沢の発現化に寄与するという意味でも、必須の重合性不飽和単量体成分である。
【0036】
そして、該ポリエチレングリコール基含有単官能性不飽和単量体類(b)中の此のポリエチレングリコール基の分子量であるが、エチレンオキサイドの3モル付加物以下のもの、つまり、3モル以下のエチレンオキサイドを付加せしめた形の化合物を使用すると、前述したような、それぞれ、親水性、顔料分散性ならびに保水性などを向上せしめるという効果が低くなり易いし、
【0037】
一方、エチレンオキサイド50モル付加物以上のもの、つまり、50モル以上のエチレンオキサイドを付加せしめた形の化合物を使用すると、得られる塗膜の、とりわけ、基材付着性などが低下することがあるので、いずれの場合も、特に、注意を要する。
【0038】
非架橋系の塗料の場合には、つまり、非架橋系の水性塗料(以下、単に塗料ともいう。)の場合には、末端水酸基含有のものと、末端アルコキシル基封鎖型のものとは、共に、差別なく、使用することが出来るが、イソシアネート架橋系の塗料の場合には、末端水酸基を有する形のものを使用するのが、架橋反応が速く、より一層、好適である。
【0039】
次いで、前記したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)について述べることにするが、斯かる重合性不飽和単量体は、当該水性樹脂分散体(A)に対して、とりわけ、親水性、水分散安定性ならびに顔料分散性などを向上せしめ、加えて、得られる塗膜の、とりわけ、基材付着性などを付与するための必須の重合性不飽和単量体成分であり、
【0040】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸の如き、各種の不飽和モノカルボン酸などをはじめ、さらには、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸またはシトラコン酸の如き、各種の不飽和ジカルボン酸類;あるいは此等の不飽和ジカルボン酸の種々のモノアルコール・エステル類(ハーフ・エステル類)などであるが、これらは、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0041】
前述した、ポリエチレングリコール基を有する単官能性不飽和単量体(b)と、上述したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)との使用量の和は、得られる塗膜の、とりわけ、光沢、耐水性ならびに基材付着性などのような、種々の塗膜諸物性の兼ね合いより決定されるべきものであり、
【0042】
全単量体中に占める、これらの単量体類(b)と単量体類(c)との使用量の和が、3〜6重量%の範囲内であり、しかも、これらの単量体類(b)/単量体類(c)なる重量部比で以て、1〜5の範囲内にあるのが適切である。
【0043】
成分(b)と成分(c)との使用量の和が重量%を超えて余りにも多くなると、どうしても、得られる塗膜の、とりわけ、親水性などが高くなり、ひいては、耐食性ならびに耐水性などが劣るようになり易いし、一方、この和が重量%未満では、樹脂それ自体の水分散性が劣るようになるので、いずれの場合も好ましくない。
【0044】
これらの両成分における、上記した(b)/(c)なる重量部比が1未満の場合には、得られる塗料の保水性が不足し、平滑性のある塗膜や、高光沢の塗膜などが得られ難くなり易いし、一方、重量部比がを超えて余りにも多くなると、どうしても、樹脂それ自体の顔料分散性や、得られる塗料の基材付着性などが劣るようになり易いので、いずれの場合も好ましくない。
【0045】
得られる塗膜の、とりわけ、耐水性、耐アルカリ性ならびに基材付着性などの観点からも、当該水性樹脂分散体(A)それ自体の、固形分の酸価が3〜18mgKOH/gの範囲内であるのが適切であるし、好ましくは、6〜15mgKOH/gの範囲内であるのが適切である。
【0046】
そのほかにも、共重合可能なる其の他の重合性不飽和単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレートもしくはi−プロピル(メタ)アクリレートの如き、炭素数が3以下の、各種のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
【0047】
酢酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(オランダ国シェル社製の、バーサチック酸ビニルエステルの商品名)の如き、各種のビニルエステル類;パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートの如き、各種のパーフルオロアルキル基含有単量体;または(メタ)アクリロニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体;
【0048】
エチレンもしくはプロピレン、塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンまたはフッ化ビニルの如き、各種の(ハロゲン化)オレフィン類などをはじめ、さらには、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイロキシアルキルアッシドフォスフェートまたはN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
【0049】
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アルコキシ化ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートまたはジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、
【0050】
分子量が250未満のポリエチレングリコール基を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールモノ(メタ)アクリレートまたは「プラクセルFMもしくはFEモノマー」[ダイセル化学(株)製の、ε−カプロラクトン付加モノマーの商品名]などで代表されるような、種々の官能基含有単量体などであるが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。
【0051】
特に、上記した(メタ)アクリル酸エステル類については、炭素数が12を超える炭化水素基を有するような重合性不飽和単量体を併用することを、何ら、妨げるものではない。このような、共重合可能なる其の他の重合性不飽和単量体類は、得られる塗膜の、とりわけ、硬さや顔料分散性ならびに基材付着性などの向上化などを目的として、全単量体中に、つまり、重合性不飽和単量体類の総量を基準として、32重量%以内の量で、適宜、選択して使用される。
【0052】
当該水性樹脂分散体(A)の分子量は、得られる塗膜の、とりわけ、耐久性と造膜性とのバランス化や、当該水性樹脂分散体(A)それ自体の粘度や、塗料の粘度などとの兼ね合いから、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量で以て、それぞれ、数平均分子量が8,000〜20,000の範囲内であり、しかも、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内であることが適切である。
【0053】
当該分散体(A)の調製方法、重合方法は特に制限はないものの、後述するような、いわゆる水溶性の有機溶剤(B)の一部または全部の存在下において溶液重合せしめ、さらに、水中に分散せしめるか、水溶性の有機溶剤(B)と水との共存下において分散重合せしめるというのが、工程上、望ましい処である。
【0054】
当該水性樹脂分散体(A)のガラス転移温度(Tg)については特に制限はなく、たとえば、基材、用途、乾燥方法ならびに塗料配合などを考慮して決定されるというものであり、得られる塗膜の、とりわけ、耐汚染性、耐水性ならびに靱性などの兼ね合いより、まず、非架橋系塗料の場合には、理論Tgが40〜80℃の範囲内であるというのが望ましいし、他方、ポリイソシアネート併用型の架橋系塗料の場合には、理論Tgが10〜60℃の範囲内であるというのが望ましい。
【0055】
当該水性樹脂分散体(A)中のカルボキシル基は、塗料の、とりわけ、安定性ならびに顔料分散性などの観点からも、揮発性の塩基性物質で以て中和されるのが望ましく、そのような塩基性物質として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アンモニア、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどであるが、
【0056】
本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。ただし、ポリイソシアネート硬化剤型で以て架橋せしめるというような場合には、アンモニアなどのような、分子中に反応活性なる水素原子を有する形の塩基の使用は避ける方がよい。
【0057】
また、これらの塩基性物質というものは、鉄系の基材に対して、直接、塗装する際に、一次防錆剤としても有用な化合物であるが、その一方では、揮発有機溶剤分ともなり得るし、悪臭の原因ともなり得るので、過度の使用こそは、真に、控えるべきである。
【0058】
次いで、本発明に係る、金属基材の塗装保護方法を実施するに当たって、他の必須構成成分の一つである、前記した有機溶剤(B)についての説明をすることにする。
【0059】
当該有機溶剤(B)は、主として、本発明方法を実施するに当たって用いられる水性塗料において、前述した水性樹脂分散体(A)の粒子内と水相とに分配され、この水性樹脂分散体(A)の造膜性を向上せしめると共に、塗膜の乾燥時において、塗膜表面の乾燥性を遅らせ、ひいては、塗膜の高い光沢を発現化せしめ、さらに、水と混合して得られる塗料の表面張力を下げ、ひいては、顔料の分散性や、塗料の基材に対する濡れなどを向上せしめ、加えて、塗装作業性ならびに基材付着性などを向上せしめるという必須の構成成分である。
【0060】
こうした観点より、充分なる親水性を有すると同時に、最適なる沸点範囲内のあるという形の溶剤が選択されるべきであり、その際の親水性については、20℃での水の溶解度が100以上であることが必要であるということである。
【0061】
斯かる水の溶解度が100未満の溶剤は、一般には、樹脂粒子の膨潤効果こそは高いものの、高い光沢の塗膜が得られ難くなり易いし、そのために、多量の溶剤を使用しなければならず、環境汚染防止対策の上で望ましくないということである。
【0062】
一方、沸点の方は、常圧において、130〜220℃の範囲内にあることが必要である。沸点が130℃未満の場合には、どういしても、塗膜の乾燥過程で以て、主溶剤である水と共に揮散し易くなり、ひいては、高い平滑性と光沢とを併せ有する塗膜が得られ難くなり易いし、一方、沸点が220℃を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、塗膜を形成したのちにおいても、塗膜中に溶剤が残存し易くなり、ひいては、塗膜の軟化に伴う塗膜汚染性や、初期耐水性の低下などが生じ易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0063】
本発明において使用できる当該有機溶剤(B)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ(n−ないしはi−)プロピルエーテル、エチレングリコールモノ(n−、i−ないしはtert−)ブチルエーテル、
【0064】
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルもしくはプロピレングリコールモノ(n−ないしはi−)プロピルエーテル、
【0065】
またはジメチルホルムアミドなどであるし、あるいはN−メチルピロリドンまたはエチレングリコールメチルエーテルアセテートなどであるが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。
【0066】
これらの溶剤の使用量は、塗装(乾燥)条件や、前述した水性樹脂分散体(A)それ自体の組成や分子量などに基づく溶解度などを勘案して、1種または2種以上の混合物として、適宜、選択して使用される。その使用量としては、この水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、20重量部以上、使用するようにするのが望ましい。この使用量が20重量部未満の場合には、使用効果が充分でなくなるからである。
【0067】
得られる塗料の有機溶剤含有量は、塗料の引火燃焼などの災害防止対策と、環境汚染防止対策との観点からも、上掲したような特定の有機溶剤(B)をも含めた形で、15重量%以下に、好ましくは、12重量%以下にすべきである。
【0068】
15重量%を超えて余りにも多くの量を用いるようにすると、溶剤の種類にもよるが、一般に、塗料が引火し、燃焼し易くなり、ひいては、塗料の保管や、塗装方法ならびに乾燥工程も大きく制約されるようになるし、加えて、環境汚染防止対策の上でも望ましくない。
【0069】
上掲したような特定の有機溶剤(B)以外の有機溶剤類を、たとえば、乾燥性や、レベリング、造膜性ならびに凍結安定性などの改良のために、上述したような添加量の制限内で併用することを、決して、妨げるものではない。ポリイソシアネート架橋を行なう際は、非プロトン性溶剤を多用するのが好ましい。
【0070】
次いで、顔料についても説明をしておくことにする。本発明に係る金属基材の塗装保護方法を実施するに際しては、顔料を含まない形のクリアー塗料としても使用できるが、主として、着色、隠ぺい性、塗膜の硬さ、乾燥性、基材付着性、防錆性、紫外線遮断ならびに意匠性などのような種々の機能性の付与のために、公知慣用の種々の顔料が、必要に応じて、適宜、使用され得る。
【0071】
それらのうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ、タルク、クレー、弁柄、鉄黒、酸化亜鉛、マピコイエロー、カーボンブラック、アルミ粉、メタホウ酸バリウムまたは燐酸カルシウムの如き、各種の無機顔料;
【0072】
あるいはキナクリドンレッドまたはフタロシアニンブルーの如き、各種の有機顔料のほかにも、これらの諸顔料類を水媒体中に分散せしめた形の、市販の水性分散顔料などを使用することが出来る。
【0073】
当該顔料の使用量は、特に制限がないものの、前述した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、120重量部以下の範囲内で使用するのが適切である。
【0074】
特に、120重量部を超えて余りにも多く用いると、どうしても、得られる塗膜の平滑性と光沢とが低下し易くなるし、ひいては、塗膜外観が、特に、目視による鮮映性が劣るようになり易いばかりか、屋外暴露後の耐汚染性などが大きく劣るようにもなって来るので、好ましくない。
【0075】
ただし、特定の目的などのために、これらの顔料などを、適宜、選択して使用し、光沢値を故意に下げるのを、決して、妨げるものではない。
【0076】
本発明において、前述した水性樹脂分散体(A)中に、水酸基を導入せしめるということによって、ポリイソシアネート系架橋剤と組み合わせた形で架橋系塗料とすることは、得られる塗膜の、とりわけ、耐候性、耐水性、耐汚染性ならびに耐溶剤性などを向上せしめるというためにも、望ましい処である。特に、将来において、止むを得ず、溶剤系の塗料を重ね塗りするという可能性がある被塗物の場合には、リフティングを防止するためにも望ましい処である。
【0077】
この水性樹脂分散体(A)中に水酸基を導入化せしめるには、前述した水酸基含有の重合性単量体を共重合せしめるというようにするのが、最も簡便であるので、特に推奨され得よう。
【0078】
ここにおいて、ポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレンジイソシアネートもしくはジフェニルメタンジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサンジイソシアネートの如き、各種の脂環式ジイソシアネート類;
【0079】
またはイソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4(ないしは2,6)−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアネート)もしくは1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン脂環式系イソシアネート類;
【0080】
あるいは此等のジイソシアネートと、エチレングリコール、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオールなど)、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンの如き、各種の多価アルコール類などをはじめ、さらには、イソシアネート基と反応性のある官能基を有する、いわゆる低分子ポリエステル樹脂や、いわゆる低分子アクリル系共重合体や、水などとの付加物;
【0081】
あるいは亦、ビュレット体または多量体などであるが、それらのうちでも特に代表的なる、具体的な形での一例を挙げることにすれば、「バーノックD−750、D−800、DN−950もしくはDN−901S」[以上は、大日本インキ化学工業(株)製品]などである。
【0082】
ここにおいて、これらの各ポリイソシアネート化合物は、それらを乳化分散せしめた形で以て使用してもよいし、あるいは水溶性ないしは水分散性のポリイソシアネート化合物の形で以て、たとえば、「BAYHYDUR LS−2980もしくはLS−2032」(以上は、バイエル社製品)または「アクアネート100、110、200もしくは210」[以上は、日本ポリウレタン工業(株)製品]の如き、各種の水性ポリイソシアネート化合物の形で以て使用してもよいが、勿論、本発明は、これらの例示例のみに限定されるものではない。
【0083】
こうしたポリイソシアネート化合物を、いわゆる硬化剤ないしは架橋剤として用いるという形の、いわゆるポリイソシアネート架橋系の場合には、前述した水性樹脂分散体(A)の固形分当たりの水酸基価(以下、固形分水酸基価ともいう。)としては、得られる塗膜の諸物性の改良化のためには、30〜120の範囲内にあるのが適切であるし、好ましくは、50〜100の範囲内にあるのが適切である。
【0084】
その際における、当該ポリイソシアネート化合物(C)と、前述した水性樹脂分散体(A)との配合割合としては、前者化合物(C)中のNCO基と、後者樹脂分散体(A)中のOH基との比、つまり、NCO基/OH基なる当量比で以て、0.5〜2の範囲内が適切であるし、好ましく、0.8〜1.3の範囲内で以て配合するのが適切である。
【0085】
本発明に係る金属基材の塗装保護方法を実施するに際して、その被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、鉄、鍍金鋼板、鉄系合金、アルミニウムなどのような諸素材ないしは該素材からの諸製品などであるが、具体的には、橋梁や、タンクおよびその配管類;
【0086】
船舶や鉄塔の如き、各種の金属構造物あるいは其れらの付属部材類;自動車外装の補修用などであるとか、シャーシーの如き、各種の自動車部品類;ブルドーザーの如き、各種の産業機械類;さらには、金属フェンスの如き、各種の建設部材類などであるし、その際の乾燥硬化手段としても、常温乾燥あるいは強制乾燥などによるのが適切である。
【0087】
その際の塗装方法としても亦、何らも制限が無く、刷毛塗りなどをはじめ、さらには、スプレー塗装またはローラー塗装などであるとか、あるいはシャワー・コーターまたはカーテン・コーターなどのような、公知慣用の種々の塗装方法ないしは手段を利用し採用することが出来る。
【0088】
また、塗装の目的に応じて、下塗りとして、防錆塗料や、プライマーなどを施すことには、何ら、制限がないということである。その際の塗装膜厚については、本発明において用いられる水性塗料の優れた塗膜諸物性を発現化せしめるためにも、平均乾燥膜厚で以て、20〜150umの範囲内に塗装するのが望ましい。
【0089】
本発明において用いられる此の水性塗料には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、また、本発明の効果を損ねない範囲内で、公知慣用の種々の塗料用添加剤類を使用することが出来る。
【0090】
斯かる添加剤類として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、消泡剤、レベリング剤、チクソ化剤、防錆剤、乾燥調整剤、分散剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、静電防止剤、帯電調整剤、造膜助剤、可塑剤、架橋触媒、凍結安定剤、撥水剤あるいは湿潤剤などである。
【0091】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0092】
参考例1(水性樹脂分散体の調製例1)
【0093】
還流冷却器、攪拌機および窒素導入管を取りつけた反応容器中に、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの330部を仕込んで、110℃にまで昇温しつつ撹拌を開始した。
【0094】
窒素気流中において、同温度で、スチレンの330部、2−エチルヘキシルメタクリレートの395部、メチルメタクリレートの240部、アクリル酸の10部および「NKエステルM230G」[新中村化学(株)製の、メトキシ化ポリエチレングリコール(23モル)メタクリレートの商品名]の25部からなる単量体混合物と、
【0095】
tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの20部およびtert−ブチルパーオキシベンゾエートの10部からなる開始剤混合物と、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの30部とを、3時間かけて、並行添加した。
【0096】
その後も更に、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの5部を添加し、同温度に6時間のあいだ保持するということによって、反応を完結せしめた。80℃にまで冷却してから、トリエチルアミンの13部を加え、さらに、イオン交換水の1,130部をも加えて、ホモジナイザーによって混合分散せしめた。
【0097】
かくして得られた、目的とする水性樹脂分散体は、乳白色の液体であって、その固形分が40%で、25℃における粘度(以下同様)が4,000mPa・sec.で、固形分酸価が8であるし、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が11,000で、かつ、重量平均分子量が25,000であり、しかも、有機溶剤含有量が15%なるものであった。以下、これをDS−1と略称する。
【0098】
参考例2(水性樹脂分散体の調製例2)
【0099】
単量体混合物としては、それぞれ、2−エチルヘキシルメタクリレートの200部、n−ブチルメタクリレートの350部、シクロヘキシルメタクリレートの200部、メチルメタクリレートの200部、メタクリル酸の20部、「NK−エステルM90G」[新中村化学(株)製の、メトキシ化ポリエチレングリコール(9モル)メタクリレートの商品名]の15部および「ブレンマーPME4000」[日本油脂(株)製の、メトキシ化ポリエチレングリコール(90モル)メタクリレート]の15部を用いるというように変更すると共に、
【0100】
トリエチルアミンの添加量を、23部とするというように変更した以外は、参考例1と同様にして、目的とする水性樹脂分散体を得た。ここに得られた水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が5,000mPa・sec.で、固形分酸価が13であるし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が12,000で、かつ、重量平均分子量が27,000であり、しかも、有機溶剤含有量が16%なるものであった。以下、これをDS−2と略称する。
【0101】
参考例3(水性樹脂分散体の調製例3)
【0102】
初期仕込み溶剤としては、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテルの150部と、エチレングリコールメチルエーテルアセテートの180部とを用いるように変更すると共に、単量体混合物としては、それぞれ、スチレンの300部、n−ブチルメタクリレートの400部、メチルメタクリレートの100部、β−ヒドロキシエチルメタクリレートの150部、アクリル酸の10部、「NK−エステルM230G」の10部および「NF−バイソマーPME6E」[第一工業製薬(株)製の、ポリエチレングリコール(6モル)モノメタクリレートの商品名]の30部を用いるというように変更した以外は、参考例1と同様にして、水性樹脂分散体を得た。
【0103】
かくして得られた、目的とする水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が5,000mPa・sec.で、固形分酸価が8で、固形分水酸基価が70であるし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が11,000で、かつ、重量平均分子量が27,000であり、しかも、有機溶剤含有量が15%なるものであった。以下、これをDS−3と略称する。
【0104】
参考例4(水性樹脂分散体の調製例4)
【0105】
還流冷却器、攪拌機および窒素導入管を取りつけた反応容器中に、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテルの200部と、N−メチルピロリドンの70部とを仕込んで、110℃にまで昇温しつつ撹拌を開始した。
【0106】
窒素気流下に、n−ブチルメタクリレートの505部、i−ブチルメタクリレートの200部、メチルメタクリレートの90部、β−ヒドロキシエチルメタクリレートの155部、アクリル酸の20部、「NK−エステルM230G」10部、「NF−バイソマーPME6E」[第一工業製薬(株)製の、ポリエチレングリコール(6モル)モノメタクリレートの商品名]の20部からなる単量体混合物と、
【0107】
tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの25部を30部のN−メチルピロリドンに溶解せしめた形の開始剤混合物との、それぞれ、60%ずつを、同温度に保持しつつ、2時間かけて添加した。
【0108】
その後も、同温度に、1時間のあいだ保持してから、イオン交換水の1,170部と、トリエチルアミンの13部とを添加しつつ、反応容器の内部を95℃にまで降温した。
【0109】
さらに、単量体混合物と開始剤混合物との残りを、同温度で、1時間かけて添加し、さらに亦、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの5部をも添加し、同温度に、2時間のあいだ保持するということによって、重合反応を継続せしめた。
【0110】
80℃にまで冷却してから、ここへ、トリエチルアミンの13部を加えた。次いで、それを、ホモジナイザーで以て処理せしめるということによって、目的とする水性樹脂分散体を得た。
【0111】
ここに得られた水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が2,500mPa・sec.で、固形分酸価が15で、かつ、固形分水酸基価が70であったし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量13,000で、かつ、重量平均分子量が45,000であり、しかも、有機溶剤含有量が13%なるものであった。以下、これをDS−4と略称する。
【0112】
参考例5(水性樹脂分散体の調製例5)
【0113】
単量体混合物としては、2−エチルヘキシルメタクリレートの200部、n−ブチルメタクリレートの350部、シクロヘキシルメタクリレートの200部、メチルメタクリレートの200部およびメタクリル酸の50部を用いるというように変更すると共に、トリエチルアミンの添加量を、59部とするように変更した以外は、参考例1と同様にして、対照用の水性樹脂分散体を得た。
【0114】
かくして得られた水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が5,000mPa・sec.で、固形分酸価が32であったし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が11,000で、かつ、重量平均分子量が24,000であり、しかも、有機溶剤含有量が17%なるものであった。以下、これをDS−5’と略称する。
【0115】
参考例6(水性樹脂分散体の調製例6)
【0116】
エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルの600部を仕込んで、110℃にまで昇温しつつ撹拌を開始した。窒素気流中において、同温度で、スチレンの300部、2−エチルヘキシルメタクリレートの400部、メチルメタクリレートの280部およびアクリル酸の20部からなる単量体混合物と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの15部およびtert−ブチルパーオキシベンゾエートの10部からなる開始剤混合物と、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル30部とを、4時間かけて、並行添加した。
【0117】
その後も更に、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの5部を添加し、同温度に、8時間のあいだ保持するということによって、反応を完結せしめた。80℃にまで冷却してから、トリエチルアミンの26部を加え、さらに、イオン交換水の860部をも加えて、ホモジナイザーによって混合分散せしめた。
【0118】
ここに得られた得られた、対照用の水性樹脂分散体は、半透明の液体であって、その固形分が40%で、粘度が6,000mPa・sec.で、固形分酸価が13であるし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が11,000で、かつ、重量平均分子量が23,000であり、しかも、有機溶剤含有量が27%なるものであった。以下、これをDS−6’と略称する。
【0119】
参考例7(水性樹脂分散体の調製例7)
【0120】
単量体混合物としては、それぞれ、エチルアクリレートの400部、メチルメタクリレートの550部、メタクリル酸の20部、「NK−エステルM90G」の15部および「ブレンマーPME4000」の15部を用いるというように変更すると共に、トリエチルアミンの添加量を、23部とするように変更した以外は、参考例1と同様にして、対照用の水性樹脂分散体を得た。
【0121】
かくして得られた水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が6,000mPa・sec.で、固形分酸価が13であるし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が12,000で、重量平均分子量が26,000であり、しかも、有機溶剤含有量16%なるものであった。以下、これをDS−7’と略称する。
【0122】
参考例8(水性樹脂分散体の調製例8)
【0123】
単量体混合物としては、それぞれ、スチレンの300部、2−エチルヘキシルメタクリレートの350部、メチルメタクリレートの280部、「NKエステルM230G」の50部および「ブレンマーPME4000」20部を用いるというように変更した以外は、参考例1と同様にして、対照用の水性樹脂分散体を得た。
【0124】
ここに得られた水性樹脂分散体は、乳白色のものであって、その固形分が40%で、粘度が3,000mPa・sec.で、固形分酸価が0であるし、GPCによるポリスチレン換算分子量測定で以て、数平均分子量が12,000で、かつ、重量平均分子量が28,000であり、しかも、有機溶剤含有量15%であった。以下、これをDS−8’と略称する。
【0125】
実施例1〜8ならびに参考例1〜10
【0126】
以上において得られた、それぞれの水性樹脂分散体を、下記するような要領によって塗料化せしめた形のものと、さらに、比較対照品として、それぞれ、溶剤系塗料と、アクリル系エマルジョン光沢塗料とを、各別に、各種の基材に塗布せしめ、乾燥硬化せしめた。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定試験を行なった。
【0127】
それらの結果は、まとめて、第1、2および3表に示すが、第1表は、非架橋系塗料の塗装時の物性(常温乾燥)についてのものであり、第2表は、イソシアネート架橋系塗料の塗装時の物性(常温乾燥)についてのものであり、そして、第3表は、架橋系・非架橋系塗料の塗装時の物性(強制乾燥)についてのものである。
【0128】
非架橋系の水性塗料の配合例1
【0129】
Figure 0003985286
【0130】
(レットダウン処方)
【0131】
水性樹脂分散体 125 部
イオン交換水 0〜20 部
【0132】
Figure 0003985286
【0133】
Figure 0003985286
【0134】
非架橋系の溶剤系塗料の配合例2
【0135】
「アクリディックA181X」[大日本インキ化学工業(株)製の、ラッカー用アクリル・スチレン系樹脂の商品名;固形分=45%、キシレン溶剤]を用いて、上記した、非架橋系の水性塗料の配合例1に準じて(ただし、希釈溶剤をキシレンに変更している。)、固形分が40%で、かつ、PWCが45%なる目的塗料を調製した。
【0136】
架橋系の水性塗料の配合例3
【0137】
水性樹脂分散体(固形分=40%) 125 部
「タイペークR930」 100 部
「ノプコ8034」 0.2部
イオン交換水 10 部
───────── サンドミル分散、1時間 ────────────
【0138】
(レットダウン処方)
【0139】
水性樹脂分散体 125 部
イオン交換水 10〜30 部
───────── 硬化剤配合 ────────────
「アクアネート210」/水=1/1 50〜74 部
【0140】
Figure 0003985286
【0141】
使用樹脂 DS3および4
【0142】
「アクアネート210」………日本ポリウレタン工業(株)製の、水分散性ポリイソシアネート化合物の商品名;遊離イソシアネート基含有率(NCO=17%)
【0143】
架橋系の溶剤系塗料の配合例4
【0144】
「アクリディックA801」[大日本インキ化学工業(株)製の、アクリル系ポリオールの商品名;固形分=50%、固形分水酸基価=100、トルエン/酢酸n−ブチル溶剤)と、片や、「バーノックDN−950」(同上社製の、ポリイソシアネート化合物;固形分=75%、酢酸エチル溶剤、NCO=12%)とを用いて、固形分が44%で、PWCが43%で、しかも、NCO/OH当量比が1(希釈溶剤が酢酸n−ブチル)なる目的塗料を調製した。
【0145】
エマルジョン塗料の配合例5
【0146】
「ボンコートEC889」[大日本インキ化学工業(株)製の、光沢塗料用アクリル・スチレン系エマルジョンの商品名;固形分=50%]を用いて、下記するような配合割合によって、目的とする光沢塗料を調製した。
【0147】
Figure 0003985286
【0148】
塗料固形分 48 %
PWC 45 %
塗料粘度 73 KU
【0149】
「テキサノール」…………………………アメリカ国イーストマン・コダック社製の、造膜助剤用溶剤の商品名
【0150】
「セロサイズQP4400H」…………アメリカ国ユニオン・カーバイド社製の、ヒドロキシエチルセルロースの商品名
【0151】
「UH438」……………………………旭電化(株)製の、増粘剤の商品名
【0152】
水系の防錆下塗り塗料の配合例6
【0153】
「ウォーターゾールCD−550LA」[大日本インキ化学工業(株)製の、水性のビニル変性エポキシエステル樹脂の商品名;固形分=40%、固形分酸価=25、溶剤=水/エチレングリコールモノi−プロピルエーテル]を用いて、PWCが40%〔弁柄/炭酸カルシウム=1/1(重量部比)〕なる目的下塗り塗料を調製した。
【0154】
(応用試験条件)
【0155】
・基 材 調 製:
【0156】
○ 磨き軟鋼板[日本テストパネル(株)製の、150×70×0.6mmなるサイズのもの]であるが、以下、これを、基材Iと略称する。
【0157】
○ 下塗り磨き軟鋼板
上記した磨き軟鋼板なる基材上に、上記した、水系の防錆下塗り塗料の配合例6の通りの下塗り塗料を、乾燥膜厚が60μmとなるように塗装せしめてから、1週間のあいだ、室温に放置して、乾燥せしめるということによって調製したものであるが、以下、これを基材IIと略称する。
【0158】
○ アルミ板[日本テストパネル(株)製の、150×70×0.6mmなるサイズのもの]であるが、以下、これを基材IIIと略称する。
【0159】
・塗 装:それぞれの基材上に、乾燥膜厚が60μmとなるように、バーコーターによって塗装せしめてから、所定条件で以て乾燥せしめたのちに、ポリエステル粘着フィルム[日本テストパネル(株)製品]で、塗面以外をシールせしめるというようにしている。
【0160】
・常 温 乾 燥:塗装後において、温度が20℃で、かつ、相対湿度が65%なる条件下に、1週間のあいだ放置して乾燥せしめるというようにした。
【0161】
・強 制 乾 燥:塗装後において、80℃で、10分間のあいだ乾燥せしめてから、さらに、温度が20℃で、かつ、相対湿度が65%なる条件下に、1週間のあいだ放置して乾燥せしめるというようにした。
【0162】
・引火点測定 :クリープランド開放式引火点測定機を用いて測定を行なった。
【0163】
・初 期 光 沢:基材Iの塗板を、所定条件で以て乾燥せしめてから、反射光沢計で、それぞれ、20度鏡面反射率ならびに60度鏡面反射率なる、両の光沢値の測定を行なった。
【0164】
・耐実曝汚染性 :大阪府高石市高砂1−3に所在の、大日本インキ化学工業(株)堺工場内において、6ヶ月間に及ぶ暴露後の、塗板の外観の汚染状態を、目視により判定した。
【0165】
・促進耐候性 :サンシャイン・ウェザーメーターを用いて、それぞれの塗板を、1,000時間に亘ってのテストを行ない、60度鏡面反射率なる光沢値を測定し、テスト後の光沢値と、その初期光沢値との比を以て、グロス・リテンション(GR%)として表示した。
【0166】
・耐 水 性:それぞれの塗板を、20℃の水道水中に、30日間のあいだ浸漬せしめたのちの、塗膜の状態変化を、目視により判定した。
【0167】
・耐アルカリ性 :それぞれの塗板を、20℃の、2%NaOH、飽和Ca(OH)2 水溶液中に、30日間のあいだ浸漬せしめたのちの、塗膜の状態変化を、目視により判定した。
【0168】
・耐 酸 性:それぞれの塗板を、1%硫酸水溶液中に、30日間のあいだ浸漬せしめたのちの、塗膜の状態変化を、目視により判定した。
【0169】
・耐 溶 剤 性:ガラス塗板における塗膜を、キシレンを含ませたガーゼで以て、20回のラビングを行なったのちの、塗膜の状態変化を、目視により判定した。
【0170】
・耐 食 性:それぞれの塗膜を、カッター・ナイフにより、基材に達するまで、クロス・カットせしめてから、ソルト・スプレー試験機(5%食塩水を、温度が35℃なる条件下で以て噴霧せしめるという要領で用いている。)を用いて、所定の時間のあいだ試験を行なったのち、水洗せしめ、2時間のあいだ乾燥せしめ、次いで、セロファン・テープで以て、クロス・カット部に対しての剥離試験を行ない、その際の剥離片幅(mm)の測定を行なった。
【0171】
【表1】
Figure 0003985286
【0172】
《第1表の脚注》
評価判定基準 : ○…良 好 △…やや不良 ×…不 良
【0173】
【表2】
Figure 0003985286
【0174】
【表3】
Figure 0003985286
【0175】
【表4】
Figure 0003985286
【0176】
《第2表の脚注》
評価判定基準 : ○…良 好 △…やや不良 ×…不 良
【0177】
【表5】
Figure 0003985286
【0178】
【表6】
Figure 0003985286
【0179】
《第3表の脚注》
評価判定基準 : ○…良 好 △…やや不良 ×…不 良
【0180】
【表7】
Figure 0003985286
【0181】
【発明の効果】
第1、2および3表からも明らかなように、本発明において用いられる水性塗料は、金属基材に塗装せしめた場合には、溶剤系塗料に匹敵するか、あるいは該溶剤系塗料を凌駕するというほどに優れた、従来においては類例を見ないというほどの、とりわけ、優れた基材の保護効果と、優れた塗膜外観とを併せ有し、
【0182】
しかも、有機溶剤含有量が低く、したがって、引火の危険性も、燃焼の危険性も、共に少ないし、施工も亦、簡便であるし、さらには、環境汚染防止対策ならびに省資源などの観点からも、極めて実用性の高いものであることが、無理なく、知り得よう。
【0183】
このように、本発明は、とりわけ、金属基材への塗装保護方法として、極めて実用性の高いというものであるし、画期的なるものであるということが、無理なく、知り得よう。

Claims (4)

  1. 炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)あるいは此の非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)および芳香族ビニル系単量体(a−2)と、末端の水酸基がアルコキシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(b)と、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)とを必須の単量体成分として、(a−1)あるいは(a−1)および(a−2)を、全重合性不飽和単量体中に、65重量%以上含み、しかも、上記した単量体(b)と上記した単量体(c)との和が3〜6重量%で、かつ、これらの(b)/(c)なる重量部比が1〜5の範囲内にある、自己水分散能を有する水性樹脂分散体(A)と、常圧下の沸点が130〜220℃の範囲内で、かつ、20℃での水の溶解度が100以上の有機溶剤(B)とを必須の成分として含有することから成り、しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、20重量部以上含み、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることを特徴とし、併せて、この水性塗料を、金属基材のトップ・コートとして、20〜200マイクロ・メータないしはミクロン(um)の膜厚となるように塗装せしめることを特徴とする、金属基材の塗装保護方法。
  2. 炭素数が4〜12なる炭化水素基を有する非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)あるいは此の非官能性(メタ)アクリル酸エステル類(a−1)および芳香族ビニル系単量体(a−2)と、末端の水酸基がアルコキシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(b)と、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(c)とを必須の単量体成分として、(a−1)あるいは(a−1)および(a−2)を、全重合性不飽和単量体中に、65重量%以上含み、しかも、上記した単量体(b)と上記した単量体(c)との和が3〜6重量%で、かつ、これらの(b)/(c)なる重量部比が1〜5の範囲内にある、自己水分散能を有する水性樹脂分散体(A)と、常圧下の沸点が130〜220℃の範囲内で、かつ、20℃での水の溶解度が100以上の有機溶剤(B)と、硬化剤(C)とを必須の成分として含有することから成り、しかも、この有機溶剤(B)を、上記した水性樹脂分散体(A)の固形分100重量部に対して、20重量部以上含み、かつ、水性塗料中の全有機溶剤量が15重量%以下であることを特徴とし、併せて、この水性塗料を、金属基材のトップ・コートとして、20〜200マイクロ・メータないしはミクロン(um)の膜厚となるように塗装せしめることを特徴とする、金属基材の塗装保護方法。
  3. 前記した水性樹脂分散体(A)が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内であり、しかも、固形分換算の酸価が3〜18mgKOH/gの範囲内にあるものである、請求項1に記載の金属基材の塗装保護方法。
  4. 前記した水性樹脂分散体(A)が、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量で以て、数平均分子量が8,000〜20,000で、かつ、重量平均分子量が15,000〜50,000の範囲内であること、該水性樹脂分散体(A)が、その固形分換算の水酸基価として、30〜120mgKOH/gの範囲内にあること、しかも、前記した硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物であって、該ポリイソシアネート化合物が、NCO基/OH基なる当量比で以て、0.5〜2の範囲内となるように配合されているものである、請求項2に記載の金属基材の塗装保護方法。
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