JP3982022B2 - 単結晶の製造方法及び単結晶製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、昇華再結晶法を用いて単結晶基板上に単結晶を成長させる単結晶製造方法及び単結晶製造装置に関し、特にバルク状の炭化珪素(SiC)単結晶やGaN単結晶を製造する方法及び単結晶製造装置に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、炭化珪素等の単結晶を製造する方法として、昇華再結晶法が広く用いられている。この昇華再結晶法では、一面が開口したコップ形状を成すルツボ本体と、このルツボ本体の開口面を覆う蓋材とから構成された黒鉛製ルツボを反応容器として用いて単結晶を製造している。
【0003】
具体的には、単結晶の原料を充填したルツボ本体に、種結晶となる単結晶基板を固定した蓋材を取り付けたのち、単結晶の原料を所定温度で加熱昇華させると共に種結晶である単結晶基板を原料よりも低い温度にし、さらに黒鉛製ルツボ内を所定圧力で保持しすることで、単結晶基板上に単結晶を再結晶化させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
黒鉛製ルツボ内で、単結晶を成長させる場合、シリコン(Si)又はシリコンを含む気相種と、黒鉛製ルツボの材料である炭素(C)が反応することから、Si/C比が変動し易い。このため、単結晶の原料や単結晶基板の温度、及び黒鉛製ルツボ内の圧力がそれぞれが所定の条件に達するまでの間は、Si/C比が変動してしまうため、品質のよい単結晶が単結晶基板上に形成されない。
【0005】
また、単結晶の原料や単結晶基板の温度、及び黒鉛製ルツボ内の圧力がそれぞれの所定の条件に達するまでの間においても単結晶基板が露出した状態となっているため、上記Si/C比の変動を起因として種結晶にSi液滴が生成したり、黒鉛微粒子や金属不純物が混入したりすることを避けることが困難である。これら混入物が各種欠陥を誘発する原因となり、欠陥の少ない高品質な単結晶の製造を困難にするという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされ、Si/C変動による影響及びこれを起因とするSi液滴の生成、黒鉛微粒子や金属不純物の単結晶への混入を避けることにより、欠陥の少ない高品質な単結晶が製造できる方法及び単結晶製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1乃至4に記載の発明においては、原料(2)及び種結晶(5)の温度が所定温度に達するまでの間、かつ反応容器(1)内の圧力が所定圧力に達するまでの間は、種結晶(5)を遮蔽板(6)で覆って種結晶(5)から原料(2)の昇華ガスを遮断し、その後遮断板を移動させて種結晶(5)に原料(2)の昇華ガスを供給することを特徴としている。
【0008】
このように、原料(2)及び種結晶(5)が所定温度になり、かつ反応容器(1)内の圧力が所定圧力に達するまでの間、種結晶(5)を遮蔽板(6)で覆って種結晶(5)から原料(2)の昇華ガスを遮断するようにすれば、Si/C比が変動し易い期間中、種結晶(5)を覆うことになるため、この間においては種結晶(5)上に単結晶が形成されない。
【0009】
さらに、Si/C比の変動に起因して、種結晶(5)にSi液滴が生成されたり、黒鉛微粒子や金属不純物が混入したりすることがなくなるため、種結晶(5)を良質なまま維持することができる。
このため、原料(2)及び種結晶(5)が所定温度になり、かつ反応容器(1)内の圧力が所定圧力に達したときに、良質な種結晶(5)上に単結晶を形成することができるため、高品質な単結晶を形成することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、遮蔽板(6)と前記単結晶との間隔が一定距離になるように、単結晶の成長速度に合わせて単結晶表面と対向する方向に遮蔽板(6)を移動させることを特徴としている。このように、単結晶の成長面と遮蔽板(6)の間隔を常に所定間隔にすると、単結晶の成長面と遮蔽板(6)の温度差が一定に保たれる。このため、炭化珪素単結晶の成長面の温度が均一的な一定温度に保たれ、同一多形を有する結晶欠陥の少ない高品質な単結晶を形成することができる。
【0012】
なお、請求項1または2の発明を、請求項3に示すような炭化珪素単結晶を製造する方法に適用すると好適である。請求項4に記載の発明においては、反応容器(1)内に配した原料(2)を加熱昇華させ、反応容器(1)の内壁に固定される種結晶(5)上に単結晶を成長させる単結晶製造装置において、反応容器(1)の内外を連通する開口部(1c)を反応容器(1)に形成し、この開口部(1c)に支軸棒(7)を配置して、反応容器(1)の外部から支軸棒(7)を移動させることにより、遮蔽板(6)を移動させて、種結晶(5)と原料(2)との間を遮断できるようにしていることを特徴としている。
【0013】
このように、反応容器(1)の外部から支軸棒(7)を移動させることにより、遮蔽板(6)を移動させて、種結晶(5)と原料(2)との間を遮断できるようにすることで、Si/C比が変動し易い期間中、さらにSi/C比の変動を起因して、種結晶(5)にSi液滴が生成されたり、黒鉛微粒子や金属不純物が混入したりし易い間は、種結晶(5)と原料(2)との間を遮断することができるため、高品質な単結晶を製造することができる。
【0014】
また、請求項5に示すように、反応容器(1)の上面に種結晶(5)が固定されるような場合には、開口部(1c)を反応容器(1)の底面のうち、種結晶(5)が配される位置と対応する位置に形成すれば、単結晶の成長速度に合わせて種結晶(5)表面と対向する方向に遮蔽板(6)を移動させることができるため、請求項2と同様の効果を得ることができる。
【0015】
なお、請求項6に示すように、遮断板(6)の少なくとも種結晶(5)に面する表面が、反応容器(1)の内壁材料の所定温度における飽和蒸気圧よりも低い材料で構成すれば、遮蔽板(6)自体からガスが出て種結晶(5)に達することがない。
また、請求項7に示すように、遮断板(6)の少なくとも種結晶(5)に面する表面を、炭化珪素で形成してもよい。この場合には、炭化珪素が昇華しても炭素と共にシリコンも昇華するため、Si/C変動が発生せず、Si/C変動による影響が発生しないからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1に、本実施形態において用いる単結晶製造装置の模式図を示す。なお、図1は紙面上下方向が天地方向を示している。
【0017】
単結晶製造装置は、黒鉛製ルツボ1を備えており、この黒鉛製ルツボ1内に充填された炭化珪素原料2を熱処理で昇華させることで、種結晶である炭化珪素単結晶基板5上に炭化珪素単結晶を結晶成長させるものである。
黒鉛製ルツボ1は、上面が開口しているコップ形状をしたルツボ本体1aと、ルツボ本体1aの開口部1cを塞ぐ蓋材1bとから構成されている。そして、この黒鉛製ルツボ1の蓋材1bは、種結晶である炭化珪素単結晶基板5を支持する台座となる。
【0018】
また、ルツボ本体1aの底面のうち、炭化珪素単結晶基板5が配置される位置と対応する位置、つまり炭化珪素単結晶基板5の表面の方線と交叉する位置には、この底面を貫通する開口部1cが形成されている。この開口部1cは、黒鉛製ルツボ1の底面から蓋材1bの方向(底面に対して垂直な方向)へ突出した中空形状で形成されており、黒鉛製ルツボ1内に炭化珪素原料2を配したときに突出した部分が炭化珪素原料2よりも高くなるようになっている。
【0019】
そして、この黒鉛製ルツボ1の開口部1cに、遮蔽板6を支持する支軸棒7が配されており、この支軸棒7を上下方向(図中の矢印方向)に移動させることで遮蔽板6を共に移動させ、遮蔽板6にて種結晶となる炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりできるようになっている。このとき、黒鉛製ルツボ1の開口部1cは支軸棒7によって塞がれるようになっており、黒鉛製ルツボ1が密閉系になるようになっている。
【0020】
遮蔽板6は、黒鉛製ルツボ1の内壁材料の所定温度における飽和蒸気圧よりも低い材料で構成されている。ここで、飽和蒸気圧とは、ある温度におけるその材料の存在できる最大圧力をいう。つまり、遮蔽板6が蒸発してガスを発生し、そのガスが炭化珪素単結晶基板5に達してしまうことを防止するために、上記材料を選択している。具体的には、タンタル、タングステン、モリブデン等の高融点金属、若しくはこれら高融点金属の炭化物(TaC、WC、MoC等)を遮蔽板6の材料として適用することができる。
【0021】
また、黒鉛製ルツボ1は、アルコンガスが導入できる真空容器の中でヒータ8により加熱できるようになっており、このヒータ8のパワーを調節することによって種結晶である炭化珪素単結晶基板5の温度が炭化珪素原料2の温度よりも100℃程度低温に保たれるようになっている。
このように構成されている単結晶製造装置を用いて炭化珪素単結晶を製造する手順を示す。
【0022】
まず、図1に示すように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板5を蓋材1bに接着剤等で接合固定し、炭化珪素単結晶基板5が固定された蓋材1bをルツボ本体1aの開口部1cに配置する。そして、支軸棒7と共に遮蔽板6を上方向に移動させ、遮蔽板6にて炭化珪素単結晶基板5を完全に覆う。
この後、黒鉛製ルツボ1内の圧力、炭化珪素原料2や炭化珪素単結晶基板5の温度をそれぞれ、図2に示すように変化させる。
【0023】
まず、黒鉛製ルツボ1内をアルゴンガス雰囲気にし、その圧力を500Torrにする。さらに、炭化珪素原料2の温度が約2400℃、種結晶である炭化珪素単結晶基板5の温度が約2300℃になるようにヒータ8を加熱する。その後、炭化珪素原料2の温度を約2400℃、炭化珪素単結晶基板5の温度を約2300℃に保ちつつ、黒鉛製ルツボ1内のアルゴンガス雰囲気の圧力が約1Torrになるまで減圧する。
【0024】
ここまでの段階は、図2に示す成長条件が一定になるまでの領域(以下、領域Aという)に属しており、この領域A中は種結晶である炭化珪素単結晶基板5を遮蔽板6で完全に覆うようにしている。上述したように、この領域Aにおいては、Si/C比が変動し易く、またSi液滴の生成、黒鉛微粒子や金属不純物の単結晶への混入が生じ易いが、この領域A中は遮蔽板6で炭化珪素単結晶基板5を覆っているため、炭化珪素単結晶基板5はSi/C比の変動による影響を受けず、またSi液滴が生成したり、炭化珪素単結晶基板5中に黒鉛微粒子等の不必要なものが混入しない。これにより、領域Aにおいても炭化珪素単結晶基板5を良質な種結晶のまま維持することができる。
【0025】
続いて、黒鉛製ルツボ1内のアルゴンガス雰囲気の圧力が1Torrになったら、支軸棒7にて遮蔽板6を下方向に移動させ、遮蔽板6が炭化珪素単結晶基板5から所定間隔離れるようにして炭化珪素単結晶基板5を露出させる。そして、炭化珪素原料2の温度が約2400℃、炭化珪素単結晶基板5の温度が約2300℃で保たれるように、ヒータ8のパワーをフィードバック調整しつつ、アルゴンガス雰囲気の圧力を1Torrのまま維持する。
【0026】
この段階は、図2に示す成長条件が一定になった領域(以下、領域Bという)であり、炭化珪素単結晶を結晶成長させる温度条件及び圧力条件に適合する安定状態となる領域である。このような領域Bにおいては、Si/C比の変動が少なくなるため、上記のような問題はなく、好適に炭化珪素単結晶を結晶成長させることができる。従って、このような領域Bにおいて初めて炭化珪素単結晶基板5を露出させるため、良質な種結晶上に好適に炭化珪素単結晶を結晶成長させることができる。
【0027】
この後、炭化珪素単結晶の結晶成長速度に応じて支軸棒7と共に遮蔽板6を下方向に移動させ、炭化珪素単結晶の成長面と遮蔽板6の間隔が常に所定間隔になるようにする。このように、炭化珪素単結晶の成長面と遮蔽板6の間隔を常に所定間隔にすると、炭化珪素単結晶の成長面と遮蔽板6が対向しているため、炭化珪素単結晶の成長面と遮蔽板6の温度差が一定に保たれる。これにより、炭化珪素単結晶の成長面の温度が均一的な一定温度に保たれ、同一多形を有する結晶欠陥の少ない高品質なバルク状の炭化珪素単結晶(炭化珪素単結晶インゴット)が形成される。
【0028】
さらに、炭化珪素単結晶を黒鉛製ルツボの蓋材1bから取り外し、得られた結晶をスライス、研磨することにより炭化珪素単結晶からなる半導体ウェハが完成する。このように、炭化珪素単結晶基板5や炭化珪素原料2の温度、及び黒鉛製ルツボ1内の圧力が安定状態となるまでの間(領域Aの間)、遮蔽板6にて炭化珪素単結晶基板5を覆うようにすることで、炭化珪素単結晶基板5がSi/C比の変動による影響を受けたり、炭化珪素単結晶基板5中に黒鉛微粒子等の不必要なものが混入したりすることを防止することができ、良質な種結晶である炭化珪素単結晶基板5上に同一多形を有する欠陥の少ない炭化珪素単結晶を形成することができる。
【0029】
なお、このウェハをX線回折およびラマン分光により結晶面方位、結晶構造(多形)を判定した結果、炭化珪素単結晶は6H型の(0001)面方位を有していることが確認された。そして、このように完成したウェハを用いて、大電力用の縦型MOSFET、pnダイオード、ショットキーダイオード等の半導体装置を作製することができる。
【0030】
(第2実施形態)
図3(a)に、本実施形態における単結晶製造装置を示す。また、図3(b)に図3(a)のA−A矢視断面図を示す。本実施形態における単結晶製造装置は、第1実施形態における単結晶製造装置とほぼ同様の構成であるため、第1実施形態における単結晶製造装置と異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
第1実施形態における単結晶製造装置では、ルツボ本体1aの底面に設けられた開口部1cに遮蔽板6を支持する支軸棒7を配し、支軸棒7と共に遮蔽板6を上下方向に移動させることで、遮蔽板6にて炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりできるようにしているが、本実施形態ではルツボ本体1aの側壁面に遮蔽板6を支持する支軸棒7を配し、支軸棒7と共に遮蔽板6を水平方向に移動させることで、遮蔽板6にて炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりできるようにしている。従って、以下の点で本実施形態における単結晶製造装置は、第1実施形態における単結晶製造装置と相違する。
【0032】
本実施形態では、ルツボ本体1aは上面を有しており、この上面のうち蓋材1bを取り付ける部分のみが開口した形状となっている。そして、このルツボ本体1aの側壁面に、部分的に黒鉛製ルツボ1の外側に突出する中空形状の収容部1dが備えられており、この収容部1dに支軸棒7を配すると共に遮蔽板6の収容が行えるようになっている。
【0033】
具体的には、収容部1dには黒鉛製ルツボ1の内外を連通するような連通口が形成されており、この連通口に支軸棒7が配されて、図中の矢印のような水平方向の移動ができるようになっている。そして、支軸棒7を紙面右方向に移動させたときに遮蔽板6が収容部1dに収容されるようになっている。
一方、蓋材1bは、コップ形状を成しており、この蓋材1b内に炭化珪素単結晶基板5が収容されるようになっている。そして、支軸棒7を紙面左方向に移動させると、遮蔽板6にて蓋材1dの全体が覆えるようになっている。なお、ルツボ本体1aの上面と遮蔽板6は接するようになっていて、遮蔽板6によって炭化珪素単結晶基板5が炭化珪素原料粉末の昇華ガスから遮断させれるようになっている。
【0034】
このように、支軸棒7と共に遮蔽板6を水平方向に移動できるようにして、炭化珪素原料2や種結晶である炭化珪素単結晶基板5の温度、及び黒鉛製ルツボ1内の圧力が安定状態に達するまで、蓋材1bに内蔵された炭化珪素単結晶基板5を遮蔽板6で覆うことにより、第1実施形態と同様に、炭化珪素単結晶基板5を良質な種結晶のまま保持することができる。これにより、良質な種結晶である炭化珪素単結晶基板5上に同一多形を有する欠陥の少ない炭化珪素単結晶を形成することができる。
【0035】
(第3実施形態)
図4(a)に、本実施形態における単結晶製造装置を示す。また、図4(b)に図4(a)のB−B矢視断面図を示す。本実施形態における単結晶製造装置は、第1実施形態における単結晶製造装置とほぼ同様の構成であるため、第1実施形態における単結晶製造装置と異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
本実施形態では、支軸棒7を上下方向や水平方向に移動させることなく、回転させることによって遮蔽板6で種結晶である炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりできるようにしている。従って、以下の点で本実施形態における単結晶製造装置は、第1実施形態における単結晶製造装置と相違する。
コップ形状を成すルツボ本体1aの側壁には、黒鉛製ルツボ1の内外を連通する3つの穴が同じ高さに並んで形成されており、この3つの穴のそれぞれに支軸棒7a、7b、7cが配されている。これら3つの支軸棒7a〜7cには、それぞれ遮蔽板6a、6b、6cが備えられており、各遮蔽板6a〜6cの面を水平状態にしたときに、遮蔽板6a〜6cが黒鉛製ルツボ1の水平方向の断面形状と同様の円形状を成して、炭化珪素原料2が備えられた空間と炭化珪素単結晶基板5が備えられた空間が遮断されるようになっている。
【0037】
このように、支軸棒7a〜7cと共に遮蔽板6a〜6cを回転できるようにして、炭化珪素原料2や種結晶である炭化珪素単結晶基板5の温度、及び黒鉛製ルツボ1内の圧力が安定状態に達するまで、蓋材1bの凹部に内蔵された炭化珪素単結晶基板5を遮蔽板6a〜6cで覆うことにより、第1実施形態と同様に、炭化珪素単結晶基板5を良質な種結晶のまま保持することができる。これにより、良質な種結晶である炭化珪素単結晶基板5上に同一多形を有する欠陥の少ない炭化珪素単結晶を形成することができる。
【0038】
なお、本実施形態の場合には、遮蔽板6a〜6cが回転できるように、遮蔽板6a〜6cとルツボ本体1aの側壁面との間を所定間隔空ける必要があるが、炭化珪素原料2が備えられた空間と炭化珪素単結晶基板5が備えられた空間がある程度遮断できれば、十分上記効果をえることができる。
(他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、炭化珪素原料2や種結晶である炭化珪素単結晶基板5の温度、及び黒鉛製ルツボ1内の圧力が安定状態した状態、すなわち温度や圧力を検出することによって上記安定した状態としているが、黒鉛製ルツボ1の内壁に炭化珪素単結晶基板5の組成と同様の組成を成す結晶が付着したときを上記安定状態としてもよい。つまり、黒鉛製ルツボ1の内壁に炭化珪素単結晶基板5と同様の組成を成す結晶が付着するときは、炭化珪素単結晶を成長させる条件に達したということだからである。なお、黒鉛製ルツボ1の内壁に付着する結晶の組成は、質量分析装置等を用いて検出することができる。
【0039】
第3実施形態では、3つの支軸棒7a〜7c及び遮蔽板6a〜6cを備えて、炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりしたが、1つの支軸棒及び遮蔽板のみによって、炭化珪素単結晶基板5を覆ったり、露出させたりしてもよい。この場合、図5に示すように、遮蔽板6以外の部分はルツボ本体1aを黒鉛製ルツボ1の内部に突出させる等することで、炭化珪素原料2が備えられた空間と炭化珪素単結晶基板5が備えられた空間を遮断することができる。
【0040】
なお、遮蔽板6を黒鉛製ルツボ1の内壁材料の所定温度における飽和蒸気圧よりも低い材料で構成したが、遮蔽板6のうち少なくとも炭化珪素単結晶基板5(種結晶)に面する表面を前記材料で構成するようにすれば、遮蔽板6からガスがでないようにすることができる。また、遮蔽板6からガスがでても、最終的に形成したい炭化珪素単結晶と同様のSi/C比を有するものであれば良いため、遮蔽板6のうち少なくとも炭化珪素単結晶基板5に面する表面をSiCで形成してもよい。また、黒鉛製ルツボ1内において、遮蔽板6の方が炭化珪素原料2よりも温度が低くなるので、炭化珪素原料2からの昇華量と比べると遮蔽板6からの昇華量は少なく、遮蔽板6からシリコンや炭素ガスが発生しても炭化珪素単結晶5への影響は少ないといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における単結晶製造装置の模式図である。
【図2】種結晶や炭化珪素原料の温度、及び黒鉛製ルツボ内の圧力を示すタイムチャートである。
【図3】第2実施形態における単結晶製造装置の模式図である。
【図4】第3実施形態における単結晶製造装置の模式図である。
【図5】他の実施形態における単結晶製造装置の模式図である。
【符号の説明】
1…黒鉛製ルツボ、1a…ルツボ本体、1b…蓋部材、1c…開口部、
2…炭化珪素原料、5…炭化珪素単結晶基板(種結晶)、6…遮蔽板、
7…支軸棒。
Claims (7)
- 反応容器(1)内に配した原料(2)を加熱昇華させ、前記反応容器(1)内を所定圧力に保持しながら前記種結晶(5)上に単結晶を成長させる単結晶の製造方法において、前記原料(2)及び前記種結晶(5)の温度が所定温度に達するまでの間、かつ前記反応容器(1)内の圧力が前記所定圧力に達するまでの間は、前記種結晶(5)を遮蔽板(6)で覆って前記種結晶(5)から前記原料(2)の昇華ガスを遮断し、その後前記遮蔽板(6)を移動させて前記種結晶(5)に前記原料(2)の昇華ガスを供給することを特徴とする単結晶の製造方法。
- 前記遮蔽板(6)と前記単結晶との間隔が一定距離になるように、前記単結晶の成長速度に合わせて、前記遮蔽板(6)を前記単結晶の表面と対向する方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
- 前記原料(2)は炭化珪素原料であり、前記単結晶は炭化珪素単結晶であることを特徴とする請求項1または2に記載の単結晶の製造方法。
- 反応容器(1)内に配した原料(2)を加熱昇華させ、前記反応容器(1)の内壁に固定される種結晶(5)上に単結晶を成長させる単結晶製造装置において、前記反応容器(1)に形成され、該反応容器(1)のに内外を連通する開口部(1c)と、前記開口部(1c)に配され、前記開口部(1c)から前記種結晶(5)まで延びる支軸棒(7)と、前記支軸棒(7)の端部に配された遮蔽板(6)とを備え、前記反応容器(1)の外部から前記支軸棒(7)を移動させることにより、前記遮蔽板(6)を移動させて、前記種結晶(5)と前記原料(2)との間を遮断できるようになっていることを特徴とする単結晶製造装置。
- 前記反応容器(1)は筒形状をしていて、この反応容器(1)の上面に前記種結晶(5)が固定されるようになっており、前記開口部(1c)は、前記反応容器(1)の底面のうち、前記種結晶(5)が配される位置と対応する位置に形成されていて、前記支持棒(7)と共に前記遮蔽板(6)が前記種結晶(5)の表面に対向する方向に移動できるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の単結晶製造装置。
- 前記遮断板(6)の少なくとも前記種結晶(5)に面する表面が、前記反応容器(1)の内壁材料の前記所定温度における飽和蒸気圧よりも低い材料で構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の単結晶製造装置。
- 前記遮蔽板(6)のうち、少なくとも前記種結晶(5)に面する表面が、炭化珪素から形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の単結晶製造装置。
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