JP3978622B2 - 体液中の成分の測定法およびその試薬 - Google Patents

体液中の成分の測定法およびその試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は試料中に存在する分析対象物から過酸化水素を生成し、生成した過酸化水素を測定することにより、分析対象物を検出する方法において、分析対象物以外の物質(妨害物質)に由来する過酸化水素をカタラーゼを用いて消去した後、分析対象物を検出する方法および該方法に使用する試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
体液などの試料中の分析対象物を酵素を用いて検出する場合、その検出反応系は脱水素酵素を補酵素であるNAD(P)Hとを共役させる反応系と、酸化酵素とペルオキシダーゼを共役させる過酸化水素測定系が一般的に多い。
後者は分析対象物またはその反応生成物に酸化酵素を作用させ、生成する過酸化水素をペルオキシダーゼと色原体により、例えばキノンイミン色素に変え、該色素を吸光度測定して比色定量する方法である。また、分析対象物を検出する場合、その分析対象物に直接、酸化酵素を作用させる場合もあるが、多くの場合は、酸化酵素およびペルオキシダーゼの他に、更に1種類以上の他の酵素を必要とする。
【0003】
分析対象物に酸化酵素の他に1種類以上の他の酵素を必要とする例として、トリグリセリド、クレアチニン、クレアチン、遊離コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質、無機リン、アミラーゼ、GOT、GTP、シアル酸、グアナーゼなどが挙げられる。
【0004】
上記分析対象物の反応を下記に示す。
Figure 0003978622
【0005】
Figure 0003978622
【0006】
Figure 0003978622
【0007】
Figure 0003978622
【0008】
Figure 0003978622
【0009】
上記式にて、略記した酵素は、以下の通りである。
LPL : リポプロテインリパーゼ
GK : グリセロールキナーゼ
G3O : グリセロール-3- リン酸オキシダーゼ
CNH : クレアチニンアミドヒドロラーゼ(クレアチニナーゼ)
CRH : クレアチンアミジノヒドロラーゼ(クレアチナーゼ)
SAO : ザルコシンオキシダーゼ
COE : コレステロールエステラーゼ
COO : コレステロールオキシダーゼ
PLD : ホスフォリパーゼ D
CHO : コリンオキシダーゼ
PNP : プリンヌクレオチドホスフォリラーゼ
XTO : キサンチンオキシダーゼ
【0010】
これらの分析対象物を含む試料、例えば体液中には上記酵素反応系に関与する内因性の物質が存在し、目的の分析対象物の測定に正の誤差を生じることが問題となる。例えばトリグリセリドを測定する場合、遊離グリセロール、クレアチニンを測定する場合、クレアチンおよびザルコシン、エステル型コレステロールを測定する場合、遊離コレステロール、リン脂質を測定する場合、コリン、無機リンを測定する場合、ヒポキサンチン、アミラーゼ活性を測定する場合、グルコース、GOTまたはGTP活性を測定する場合、ピルビン酸、シアル酸を測定する場合、ピルビン酸、グアナーゼを測定する場合、尿酸などが例示される。
【0011】
例えばクレアチニン測定では、クレアチニン、特に血中クレアチニン濃度は腎機能傷害の指標であり、また、尿中クレアチニン濃度は体重1kg当たりに換算すると食事、運動等に影響を受けず一定であるのでクレアチニン係数として利用されている。ところがクレアチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼが作用して生成するクレアチンも生体内に存在し、特にクレアチン濃度は他の疾患、例えば甲状腺機能傷害に関与するのでクレアチニンを測定する場合、あらかじめクレアチンを消去しておく必要性が生じる。内因性のクレアチンを消去するために、カタラーゼを用いた2試薬系のクレアチニン測定用試薬が知られている(特公平 4-34400号公報) 。
【0012】
クレアチニン測定試薬としては、例えば下記組成を有するものが挙げられる。
Figure 0003978622
【0013】
つまり、試薬R1に用いる第1酵素反応で、試料中のクレアチンをクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼおよびペルオキシダーゼの反応により無色の物質に変換して消去する。
Figure 0003978622
【0014】
次いで第2酵素反応として、試薬R2を試料および試薬R1の系に添加して、添加し、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼ、色原体およびペルオキシダーゼの反応により、試料中のクレアチニンから有色物質を生成し、該物質を比色定量する。
Figure 0003978622
【0015】
第2酵素反応に共存するカタラーゼは、そのカタラーゼ阻害剤を添加することにより該酵素反応をブロックできるが、一般にカタラーゼをペルオキシダーゼの1〜10倍(活性値)で使用することより検出感度を低下させずに目的を達成することができる。
クレアチニンと同様にトリグリセリド、無機リン測定などの検出においても同様に分析対象物以外に由来する過酸化水素の消去が必要とされる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記目的に使用されるカタラーゼとしては、従来から牛肝の酵素が多く使用されている。しかしながら、牛肝由来のカタラーゼは熱安定性が50℃であって、良好な性質を有するが、分析試薬の組成中では急速に失活することが判明している。また、他の動物起源のカタラーゼ、微生物由来のカタラーゼも牛肝由来の酵素と同様に分析試薬中で速やかに失活する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、バチルス属に属する細菌由来のカタラーゼを用いると、分析試薬の組成中でも安定に活性を保持していることが判明した。
【0018】
すなわち、本発明は体液中の測定成分を測定するに当たり、体液中に含まれる妨害物質に、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酸化酵素およびバチルス属のカタラーゼを含む試薬を作用させて、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の測定成分に、該測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む試薬を作用させて、体液中の測定成分から妨害物質を生成させ、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中の測定成分の測定法である。
【0019】
また、本発明は体液中に含まれる妨害物質に作用して過酸化水素を生成する酵素または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酸化酵素およびバチルス属のカタラーゼを含有する第1試薬および体液中の測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含有する第2試薬からなる体液中の測定成分測定試薬である。
【0020】
【発明の実施態様】
本発明の一実施態様は、体液中のトリグリセリドを測定するに当たり、体液中に含まれるグリセリンにグリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、グリセリンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のトリグリセリドにリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、トリグリセリドからグリセリンを生成させ、グリセリンからグリセロール−3−リン酸を生成させ、グリセロール−3−リン酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のトリグリセリド測定法である。
【0021】
上記方法に使用する試薬としては、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のトリグリセリド測定試薬がある。
【0022】
また、本発明の別な実施態様は、体液中のクレアチニンを測定するに当たり、体液中に含まれるクレアチンにクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、クレアチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のクレアチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、クレアチニンからクレアチンを生成させ、クレアチンからザルコシンを生成させ、ザルコシンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のクレアチニンの測定法である。
【0023】
上記方法に使用する試薬としては、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびクレアチニンアミジノヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のクレアチニンの測定試薬がある。
【0024】
さらに、本発明の一実施態様は、体液中のコレステロールエステルを測定するに当たり、体液中に含まれるコレステロールにコレステロールオキシダーゼ、およびバチルス属のカタラーゼを作用させて、コレステロールから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のコレステロールエステルにリパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、コレステロールエステルからコレステロールを生成させ、コレステロールから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のコレステロールエステルの測定法である。
【0025】
上記方法に使用する試薬としては、コレステロールにコレステロールオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびリパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のコレステロールエステルの測定試薬がある。
【0026】
本発明の別な実施態様は、体液中のリン脂質を測定するに当たり、体液中に含まれるコリンにコリンオキシーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、コリンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のリン脂質にホスフォリパーゼ D、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、リン脂質からコリンを生成させ、コリンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のリン脂質の測定法である。
【0027】
上記方法に使用する試薬としては、コリンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびホスフォリパーゼ D、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のリン脂質の測定試薬がある。
【0028】
また、本発明の一実施態様は、体液中の無機リンを測定するに当たり、体液中に含まれるヒポキサンチンにキサンチンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、ヒポキンチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の無機リンにイノシンおよびプリンヌクレオチドフォスフォリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、無機リンからヒポキサンチンを生成させ、ヒポキサンチンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中の無機リンの測定法である。
【0029】
上記方法に使用する試薬としては、キサンチンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびイノシンおよびプリンヌクレオチドフォフォリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中の無機リンの測定試薬がある。
【0030】
本発明の別な実施態様は、体液中のGPTを測定するに当たり、体液中に含まれるピルビン酸にピルビン酸オキシダーゼ、およびバチルス属のカタラーゼを作用させて、ピルビン酸から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のGPTにL−アラニン、α−ケトグルタール酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、GPTからピルビン酸を生成させ、ピルビン酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のGPTの測定法である。
【0031】
上記方法に使用する試薬としては、ピルビン酸オキシダーゼ、およびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびL−アラニン、α−ケトグルタル酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなるGPTの測定試薬がある。
【0032】
本発明の一実施態様は、体液中のα−アミラーゼを測定するに当たり、体液中のグルコースにグルコースオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、グルコースから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のα−アミラーゼにアミラーゼ基質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、α−アミラーゼからグルコースを生成させ、グルコースから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のα−アミラーゼ測定法である。
【0033】
上記方法に使用する試薬としては、グルコースオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびα−アミラーゼ基質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のα−アミラーゼ測定試薬がある。基質としては、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘプタオースなどのオリゴ糖やそれらの非還元末端修飾オリゴ糖などがある。
【0034】
本発明における試料としては、尿、血清、唾液、膵液などの体液がある。
また、分析対象物としては、その試料中に対象物以外の物質に起因して過酸化水素を発生するものを含有するものであれば、何でも適用可能である。例えばクレアチニン、トリグリセリド、無機リンが代表的であるが、他にクレアチン、コレステロールエステル、シアル酸、α−アミラーゼ、GOT、GPT、グアナーゼ、リン脂質などを挙げることができる。
【0035】
本発明に用いる妨害物質に作用して過酸化水素を生成する酵素としては、例えばコレステロールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼなどがある。
【0036】
本発明において妨害物質に由来する物質とは、妨害物質に酵素または基質および他の物質を作用させて生成する物質であって、該物質は該物質に作用する酵素によって過酸化水素を生成するものである。例えばグリセロール−3−リン酸、ザルコシン、キサンチンなどが挙げられる。
【0037】
本発明において妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素としては、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ウリカーゼ、グリセロールオキシダーゼなどがあり、過酸化水素を発生する酸化酵素であれば、いかなる起源のものでも良い。
【0038】
本発明に使用する測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素としては、グリロキナーゼ、リパーゼ、リポプロテインリパーゼ、ホスフォリパーゼD、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、プリンヌクレオチドフォスフォリラーゼなどが挙げられる。
【0039】
本発明に使用するカタラーゼは、その起源としてバチルス属細菌であれば、いかなる起源のものを用いても良い。特に好適なのはバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・カルドテナックス(Bacillus cardotenax)由来のものがある。これらの中でもバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)IFO12550、IFO12983、IFO13737、ATCC12016 、IAM11001由来のものが特に好ましい。
【0040】
本発明に用いるカタラーゼは、例えば好適なバチルス・ステアロサーモフィルスを培養し、該培養物から精製する。このような方法としては、例えば特開昭63-207384 号公報に記載される方法がある。
カタラーゼ生産菌の培養にあたって使用する培地としては、使用菌株が資化しうる炭素源、窒素物、その他必要な栄養素を適量含有するものを、合成培地、天然培地のいずれかであっても使用できる。培養は通常、振とう培養あるいは通気撹拌培養で行い、培養温度は40〜60℃、培養pHは5〜9の範囲で行う。培養期間は1〜5日で生育し、菌体内にカタラーゼが生産蓄積される。
【0041】
本発明に使用するカタラーゼの精製法は、例えば以下の様にして行うことができる。菌体からの抽出法として、超音波破砕、ガラスビーズなどを用いる機械的な破砕、フレンチプレス、界面活性剤処理が挙げられる。さらに抽出液については、硫安やぼう硝などの塩析法、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどの金属凝集法、プロタミンやポリエチレンイミンなどの凝集法、さらにはDEAE(ジエチルアミノメチル)−セファロース、CM(カルボキシメチル)−セファロースなどのイオン交換クロマト法などにより精製することができる。このようにして得られたカタラーゼは通常、比活性100U/mg以上で得ることができる。
【0042】
本発明に使用するペルオキシダーゼとしては、西洋ワサビをはじめとする植物や各種微生物由来のものがある。
【0043】
本発明に使用する色原体としては、過酸化水素により分光学的に吸収の変化を生じさせるものであればいかなるものでもよい。ペルオキシダーゼの存在下、4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体、4−アミノアンチピリンとフェノール誘導体、3−メチル−2−ベンゾチアゾリンとアニリン誘導体または4−アミノアンチピリン単独、アニリン誘導体単独、フェノール誘導体単独が考えられる。アニリン誘導体としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−m−トルジン、N,N−ジメチル−m−アニシジン、N−エチル−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホエチル)−m−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−スルホプロピル−3,5−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジンなどがある。
フェノール誘導体としては、フェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,3,4−トリクロロフェノールなどがある。
【0044】
本発明では、まず、体液中の測定成分を測定するに当たり、体液中に含まれる妨害物質に、該妨害物質に作用して過酸化水素を生成する酵素およびバチルス属のカタラーゼを作用させて、または該妨害物質から他の物質を誘導し、該物質に作用して過酸化水素を生成する酵素および該カタラーゼを作用させて、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から生成した過酸化水素を消去する。
次いで、体液中の測定成分に、該測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む試薬を作用させて、体液中の測定成分から妨害物質を生成させ、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定する。
【0045】
過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定する方法としては、生成したキノン色素の測定に、通常、540〜650nmの波長の吸光度測定で行う。測定法としては、エンド法およびレート法で行う。
【0046】
本発明の測定試薬は通常、2試薬系から成り、色原体が4−アミノアンチピリンまたは3−メチル−2−ベンゾチアゾリルノンヒドラジン等とアニリン誘導体またはフェノール誘導体から構成されている場合、その内の1種、好ましくはアニリン誘導体またはフェノール誘導体は、必ず第2試薬に含まれなければならないが、他の1種は第1試薬または第2試薬のどちらかに含まれていても良い。
【0047】
本発明において2試薬系の場合には、第1試薬および第2試薬には前記成分に加えてペルオキシダーゼ、緩衝液および必要により測定成分に作用して過酸化水素を生成する酸化酵素、ペルオキシダーゼ以外の酵素、これらの酵素の基質、界面活性剤、安定化剤、各種妨害物質等を含んでいても良い。
ペルオキシダーゼは第1、第2試薬どちらに含まれても良いが、好ましくは第1試薬の方が良い。
【0048】
【発明の効果】
本発明によって、長期保存性に優れた過酸化水素消去試薬が得られる。液状化試薬が主流である現在、これらのように液状で安定な試薬は非常に有用である。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。
実施例1
クレアチニン測定試薬として、下記の溶液を作製した。
Figure 0003978622
【0050】
Figure 0003978622
【0051】
カタラーゼはバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)IAM11001より公知の方法により調製した。
クレアチンをそれぞれ2、4、6、8mg/dlを含み、かつクレアチン1mg/dlを含む試料8μlを第1試薬300μlと混和し、37℃、5分間された後、555nmで吸光度を測定した(Abs1)。更に第2試薬100μlを混和し、37℃、5分間反応させ、555nmで吸光度を測定した(Abs2)。それぞれのAbs2−Abs1の値を5mg/dlのクレアチニン標準液の値と比較することによって、試料中のクレアチニン値を算出した(図1)。
該試薬は8mg/dlまでのクレアチンの影響を受けず、試料中のクレアチンはクレアチニン、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼにより消去されていることが確認された。
【0052】
実施例2
実施例1で作製した第1試薬を25℃および40℃で保存して、1、2、3、4、7日目に残存カタラーゼ活性を測定した。なお、カタラーゼは以下の方法により作製した。
16mM 過酸化水素溶液0.25mlを試験管に採り、25℃で5分間予備加温し、酵素液0.25mlを加え、混和した。正確に5分間、25℃で保温した後、チタン試薬2.5mlを加え、反応を停止し、水を対照に410nmの吸光度を求めた(ODtest)。同時に過酸化水素溶液とチタン試薬2.5mlを混和し、25℃で5分間保温した後、酵素液を加えた(ODblannk)。カタラーゼ1単位は1分間に1マイクロモルの過酸化水素を分解する酵素量とした。その結果を図2に示す。
【0053】
比較例1
クレアチニン測定試薬として、実施例1の組成の溶液を作製した。ただし、カタラーゼとして市販の牛肝の酵素を用いた。その結果を図3に示す。
【0054】
比較例2
クレアチニン測定試薬として、実施例1の組成の溶液を作製した。ただし、カタラーゼとして市販のアスペルギルス属由来の酵素を用いた。
本発明の結果を図2、比較例1の結果を図3、比較例2の結果を図4に示す。これらの図から明らかなように、バチルス属のカタラーゼは40℃、7日間の保存で、50%の残存活性を示すのに対して、牛肝由来のカタラーゼでは0%、アスペルギルス属由来のカタラーゼでは20%の残存活性を示すに過ぎず、バチルス属のカタラーゼのクレアチニン測定試薬中での安定性が示された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のクレアチニン測定試薬でのクレアチン消去能を示すグラフである。
【図2】 本発明のクレアチニン測定試薬中でのカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図3】 クレアチニン測定試薬中での牛肝由来のカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図4】 クレアチニン測定試薬中でのアスペルギルス属由来のカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 体液中のクレアチニンを測定するに当たり、体液中に含まれるクレアチンにクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよびバチルス・ステアロサーモフィラス由来のカタラーゼを作用させて、クレアチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のクレアチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、クレアチニンからクレアチンを生成させ、クレアチンからザルコシンを生成させ、ザルコシンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中のクレアチニンの測定法。
  2. クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよびバチルス・ステアロサーモフィラス由来のカタラーゼを含む第1試薬およびクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のクレアチニンの測定試薬。
JP17479596A 1996-07-04 1996-07-04 体液中の成分の測定法およびその試薬 Expired - Fee Related JP3978622B2 (ja)

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