JP3977451B2 - 帯電防止剤とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系などの合成樹脂に添着又は添加して加熱成形した該樹脂成形品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤の改良に関する。
【0002】
【従来技術と解決課題】
本来、合成樹脂は、電気抵抗が高く帯電性があり、表面の帯電によって樹脂成形品の表面に粉塵が付きやすく汚れやすい欠点があり、このため、合成樹脂に帯電防止剤を添加配合して、樹脂の表面電気抵抗を低下させてその帯電を防止する研究がなされている。
【0003】
帯電防止剤の一例として、親水性を有する重合体部分(セグメント)と疎水性を有する重合体部分(セグメント)とからなるブロック共重合体ないしはグラフト共重合体を形成し、これを合成樹脂に添加して表面改質を行うものがあり、親水性を有するセグメントが樹脂表面を濡らして導電性即ち帯電防止機能を示し、親水性を有するセグメントは、樹脂内部に固着された疎水性セグメントによって安定化されているので、樹脂表面の水分の存在や摩擦等によっても、親水性を有するセグメントが剥離・消失することはなく、樹脂成形品は永続性のある帯電防止効果を維持することになる。
【0004】
親水性のセグメントと疎水性のセグメントとからブロック共重合体とする方法は、従来はイオン重合法によったため水分や微量成分の存在のために重合反応が阻害されたり、合成方法が複雑であったり、複雑な操作技術を要するなどの欠点があり、これを改良する方法として、特公平5−41668号公報には、ポリメリックペルオキシド又はポリアゾ化合物をビニル重合開始剤として使用し、ビニル重合開始剤の共存下で、第1の工程で親水性のビニル単量体又は疎水性のビニル単量体のいずれか一方を重合させ、次いで、第2の工程で、他方のビニル単量体を添加して重合させて、親水性のセグメントと疎水性のセグメントを有するブロック重合体とする方法であった。この合成方法では、第1の工程で形成された重合体は、ペルオキシ結合ないしアゾ結合を有する親水性ないしは疎水性のビニル重合体であり、第2の工程では、これらペルオキシ結合ないしアゾ結合を重合開始剤として、さらに当該他方のビニル単量体のビニル重合をさせることができ、これにより、各セグメントの分子量を自由に調節でき、得られた帯電防止剤を高分子量化できる利点があった。
【0005】
このように、親水性のセグメントと疎水性のセグメントとから形成された帯電防止剤は、樹脂中に添加され加熱し樹脂成形品とされ、樹脂表面に永続的な導電性ないし帯電防止性を付与する。
然しながら、樹脂表面に存在する親水性のセグメントは、水との濡れ性が大きく、樹脂表面を湿潤的ないしは粘着性にする性質があり、このため、樹脂成形品は、その表面が塵埃を物理的に吸着して汚れやすくなったり、また、表面を滑り難くしていた。さらに、親水性のセグメントはほぼ略均一に分散するので、多量に添加しないと、帯電機能が不十分となり、帯電防止剤の多量添加は、樹脂の劣化その他変質の原因となり、コスト高となっていた。
さらに、樹脂表面の粘着性が大きい場合には、板材等の樹脂成形品を重積して保管運搬するときは成形品相互が密着してしまい、これを防止するのに剥離紙を板材間に介在させるなど取扱い難くなると言う問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、樹脂成形品に優れた導電性ないし帯電防止性を付与すると共に、樹脂表面を粘着性のない乾質で、耐ブロッキング性にも優れた樹脂表面となす帯電防止剤を提供しようとするものである。
【0007】
【解決手段】
本発明の帯電防止剤は、合成樹脂に添加又は添着した該樹脂成形品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、概して言えば、樹脂との相溶性のある疎水性セグメントと、導電機能を有する親水性セグメントと、凝集エネルギー密度の小さいセグメントと、から成るブロック共重合体の帯電防止剤である。
【0008】
疎水性セグメントは、この帯電防止剤が添加される合成樹脂に対して相溶性を有して樹脂内部に補足される。親水性セグメントは、親水性ないし水溶性を示して合成樹脂に対して難溶性であり、樹脂の加熱成形により樹脂表面に存在して導電性を付与する。
【0009】
本発明は、疎水性セグメントと親水性セグメントと共に、第3のブロック重合により導入された凝集エネルギー密度の小さいセグメントを有しており、凝集エネルギー密度の小さいセグメントと親水性セグメントとは同様に樹脂に対しては非相溶性であり、加熱成形時に樹脂表面に移行するに、これらセグメントに連結された疎水性セグメントも同時に移行して、樹脂内部よりも表面部で帯電防止剤の濃度が高くなる。
この凝集エネルギー密度の小さいセグメントは、樹脂表面で極めて薄い皮膜を形成し、樹脂表面に対して疎水性にし樹脂表面の水に対する濡れ性を悪くし、親水性セグメントによる粘着性を低減させ表面を乾質に調製するものである。この皮膜は非常に薄いので、親水性セグメントによる導電性を殆ど阻害しない。
【0010】
この明細書においては、低凝集エネルギー密度のセグメントの意義は、帯電防止剤中の疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにこの帯電防止剤が添加される樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度(CED)よりも小さい凝集エネルギー密度(CED)のポリマーのセグメントを言うことにする。
【0011】
また、セグメントの凝集エネルギー密度(CED)は、凝集エネルギー密度CEDの1/2乗した溶解度パラメータ(SP)δ[ [cal/cm3]1/2] =(CED)1/2 のデータをもって評価することができる。
【0012】
2種類のポリマーの凝集エネルギー密度(CED)が近似する場合には、両ポリマーは相溶性を示し、凝集エネルギー密度の差が大きくなるほど非相溶性ないし難溶性となる。本発明において、水(CEDが極めて大きい)に親和性のある親水性セグメントよりも疎水性セグメントの方が凝集エネルギー密度が小さい傾向にあり、本発明においては、第3のブロック重合により導入される低凝集エネルギー密度のセグメントは凝集エネルギー密度がさらに小さいものから選ばれる。この帯電防止剤が添加される樹脂に対して疎水性セグメントと相溶性があり、低凝集エネルギー密度のセグメントはこの樹脂に非相溶性であり、帯電防止剤と樹脂とが混合溶融された状態では、低凝集エネルギー密度のセグメントの樹脂表面への移行に伴って、樹脂表面近傍にブロック共重合体である帯電防止剤が濃化し、その低凝集エネルギー密度のセグメントが樹脂表面に皮膜を形成し、疎水性セグメントは樹脂表面下内部に溶解補足され、親水性セグメントが樹脂表面付近に拘束される構造を採るものと考えられる。
【0013】
凝集エネルギー密度(CED)は、Zismanの臨界表面張力γC と対応関係があり、凝集エネルギー密度(CED)の小さい樹脂は臨界表面張力γC も小さい。臨界表面張力γC (dyn/cm)は、接着性ないしは粘着性の指標となるが、臨界表面張力γC の小さいポリマーほど接着性ないしは粘着性が小さいので、低凝集エネルギー密度のセグメントは、樹脂表面を被覆して、その表面に粘着性と水に対する濡れ性とをいずれも低下させる。
【0014】
本発明の帯電防止剤は、より詳しく述べると、ビニル重合開始剤の共存下で、疎水性セグメントを形成するビニル単量体、親水性セグメントを形成するビニル単量体、及び低凝集エネルギー密度のセグメントを形成するビニル基結合単量体(マクロモノマーを含む)をそれぞれブロック重合させた共重合体である。
【0015】
ビニル重合開始剤の共存下では、低凝集エネルギー密度のセグメントを形成するのにビニル基結合単量体ないしマクロモノマーが使用され、これには、末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン又はポリフルオロアルキルが使用される。
ポリ有機シロキサンは、ポリジメチルシロキサン(溶解度パラメーターδ=7.6[ cal/cm3]1/2 (146℃)、臨界表面張力γC =24 [dyn/cm] )に例示されるように、疎水性セグメントを形成するビニル系ポリマーに比較して、溶解度パラメータ(従って凝集エネルギー密度)と臨界表面張力とが小さい。
同様に、ポリフルオロアルキルは、ポリテトラフルオロエチレン(δ=6.2[ cal/cm3]1/2 (168℃)、γC =18.5 [dyn/cm] )で例示されるように、溶解度パラメータ(同様に、凝集エネルギー密度)と臨界表面張力とが小さいので利用される。
【0016】
ビニル系ポリマーの溶解度パラメータδ[[cal/cm3]1/2]と臨界表面張力γC [dyn/cm] のデータのリストを挙げると(リスト中括弧内は、δの測定温度を示す)、
ポリスチレン δ9.15(373K) γC 33
ポリメチルメタクリレート δ9.2 (378K) γC 39
ポリ塩化ビニル δ9.55(354K) γC 39
ポリ塩化ビニリデン δ9.2 (254K) γC 40
ポリメチルアクリレート δ10.2(279K) γC 41
ポリアクリロニトリル δ8.15(378K) γC 44
である。
【0017】
本発明においては、ビニル重合開始剤にポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物が使用され、重合開始剤のポリマーの直鎖上のアゾ結合又はペルオキシ結合を重合開始点として、上記各ビニル単量体のブロック重合反応を順次進行させる。これにより生成した共重合体は、重合開始剤のポリマーの直鎖上に上記各ビニル単量体の重合により上記3種類のセグメントが多数挿入され、各セグメントは重合開始剤のポリマーの分解残基により結合されている。従って、帯電防止剤のこの共重合体が添加された樹脂の表面近くでは、表面に被覆する低凝集エネルギーのセグメントと、樹脂内部に補足された疎水性セグメントとの間で、親水性セグメントが強固に拘束されて表面近傍に存在し、摩擦力や水の作用などによっても、容易に剥離することがなく、樹脂表面の帯電防止性の永続性が保証される。
【0018】
ブロック共重合体は通常は各ビニル単量体ないしビニル基結合マクロモノマーの三段階のビニルブロック重合で行われるが、この重合反応の順序には以下のように任意性がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の帯電防止剤の重合方法について、詳細に述べると、第1の重合方法は、ポリアゾ化合物を重合開始剤として疎水性セグメントを形成するビニル単量体を重合させてアゾ結合含有重合体とする。次いで、親水性セグメントを形成するビニル単量体をこのアゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させてアゾ結合含有重合体とした後、さらに、末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルをアゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させて成るものである。
【0020】
第2の重合方法は、ブロック重合の順序を入れ換えて、ポリアゾ化合物を重合開始剤として、先に、疎水性セグメントを形成するビニル単量体を重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルをブロック重合させてアゾ結合含有重合体とし、その後に親水性セグメントを形成するビニル単量体を残余のアゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させることも同等に可能である。
【0021】
第3の重合方法は、上記ポリアゾ化合物を重合開始剤として末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルをブロック重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、疎水性セグメントを形成するビニル単量体又は親水性セグメントを形成するビニル単量体のいずれか一方を先にブロック重合させ、最後に残り他方をブロック重合させることもできる。
【0022】
第4の重合方法として、特に、あらかじめポリ有機シロキサン又はポリフルオロアルキルを結合したポリアゾ化合物を形成し、このポリアゾ化合物を重合開始剤として疎水性セグメントを形成するビニル単量体又は親水性セグメントを形成するビニル単量体のいずれかを先にブロック重合させアゾ結合含有重合体を形成し、最後に残り他方を該アゾ結合含有重合体を重合開始剤としてブロック重合させることもできる。
【0023】
上記第1から第4の重合方法では、ポリアゾ化合物に代えて、ポリメリックペルオキシド化合物を重合開始剤とし、重合途中のアゾ結合含有重合体に代えてペルオキシ結合重合体を重合開始剤とする方法も採用される。
【0024】
重合開始剤は、ポリアゾ化合物が使用されるが、化1〜5に示すようなアゾ基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリアゾ化合物は、一般的には、アゾビスカルボニルクロリドとジオールとの重縮合により得られ、繰り返し単位のなかに少なくとも1個のアゾ基を有するものが利用される。
【0025】
【化1】
Figure 0003977451
【0026】
【化2】
Figure 0003977451
【0027】
【化3】
Figure 0003977451
【0028】
【化4】
Figure 0003977451
【0029】
【化5】
Figure 0003977451
【0030】
化1〜化5において、mは1〜100、nは3〜50の整数を示す。
【0031】
他の重合開始剤のポリメリックペルオキシド化合物は多種類のものが利用できるが、一般式の例として化6〜化8で表される化合物がある。
【0032】
【化6】
Figure 0003977451
【0033】
【化7】
Figure 0003977451
【0034】
【化8】
Figure 0003977451
【0035】
上記化6〜化8において、R1 は、アルキレン基、置換されたアルキレン基、シクロアルキレン基、置換されたシクロアルキレン基、フェニレン基、置換されたフェニレン基等を表す。R2 はエチレン基またはアセチレン基を表す。nは3〜50の整数である。
【0036】
この発明では、ポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物がビニル重合開始剤として働くので、疎水性セグメントを形成する単量体及び親水性セグメントを形成する単量体は、いずれも下記のようなラジカル重合可能なビニル単量体が使用される。
【0037】
疎水性セグメントを形成するビニル単量体(以下単に、疎水性ビニル単量体と称する)は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどがあり、また、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体がある。
疎水性ビニル単量体は、添加される合成樹脂への相溶性の良いものの中から適宜選ばれ、この合成樹脂への相溶性を阻害しない範囲で他のビニル単量体を添加することもできる。
【0038】
他方の親水性セグメントを形成するビニル単量体(以下、親水性ビニル単量体と称する)には、アクリルアミドとその誘導体、例えば、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどアミド基を有する不飽和単量体、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートやその塩化メチルアンモニウム塩などの(メタ)アクリル酸から誘導されるアミンやアンモニウム塩の単量体、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールエステルなどがある。
【0039】
第3の低凝集エネルギー密度のセグメントを形成するため、末端にビニル基を有するポリ有機シロキサンには、一般式を化9で表すように、末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンが利用できる。その他、ポリジエチルシロキサンや、ポリジフェニルシロキサンの末端をビニル基で置換したものも利用可能である。ポリ有機シロキサンの末端をビニル基に置換するのは、上記ビニル重合開始剤の下でビニル重合によりブロック重合させるためである。
【0040】
【化9】
Figure 0003977451
【0041】
化9において、Rは、アルキレン基、置換されたアルキレン基、シクロアルキレン基、置換されたシクロアルキレン基、フェニレン基、置換されたフェニレン基等を表し、また、R’は、アルキル基、置換されたアルキル基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、フェニル基、置換されたフェニル基等を表す。
【0042】
また、末端にビニル基を有するポリフルオロアルキルには、(メタ)アクリル酸ポリフルオロアルキルが利用できる。(メタ)アクリル酸ポリフルオロアルキルとして、2,2,2−トリフルオロメチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(化10)、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(化11)などがある。
【0043】
【化10】
Figure 0003977451
【0044】
【化11】
Figure 0003977451
【0045】
上記の第4の重合方法に使用するポリ有機シロキサン又はポリフルオロアルキルを結合したポリアゾ化合物には、化12〜化14に示すように、アゾビスシアノペンタノイルクロリドと、ポリジメチルシロキサン基又はポリフルオロアルキレン基を含むジオール又はジアミンと、の重縮合による重合体が使用される。
【0046】
【化12】
Figure 0003977451
【0047】
【化13】
Figure 0003977451
【0048】
【化14】
Figure 0003977451
【0049】
本発明の帯電防止剤の合成においては、ポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物により3段階(第4の方法では2段階)のブロック重合を利用するが、重合法には、従来の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが使用される。各重合段階での重合は、反応温度60〜140℃、反応時間2〜16時間程度とされる。
【0050】
ポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物の配合は、第1段及び第2段の重合終了時点で生成した共重合体に第3段階の重合開始に充分なアゾ結合又はペルオキシ結合を有しているように調節しておくことが、本発明のブロック共重合体を生成するために重要である。
最終生成物の共重合体中の各セグメントの含有量をあらかじめ定め、各セグメントを形成する単量体(及びマクロモノマー)のラジカル活性を考慮して、各単量体の重合化率を、例えば80%程度に設定して、各単量体の配合量を定めた上で、各重合段階で重合化消費と熱分解されるアゾ基又はペルオキシ基を計算して且つ最終生成物に残存するようにポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物の配合が決められる。
【0051】
最終生成物である帯電防止剤中の疎水性セグメント、親水性セグメント及び末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン又はポリフルオロアルキルのセグメントの各含有量は、好ましくは、重量比で、それぞれ、5〜40%、30〜85%、及び5〜40%とする(但し、残部ポリアゾ化合物又はポリメリックペルオキシド化合物の残基を含む不純物はこの含有量の計算から除外してある)。
疎水性セグメントがこの範囲より少ないと添加された樹脂の表面で帯電防止剤が剥離し易くなり、多すぎると樹脂表面の帯電防止効果を減ずることになる。他方、親水性セグメントがこの範囲より少ないと帯電防止効果がなく、多すぎると樹脂の表面で帯電防止剤の永続性がなくなり、さらに、樹脂表面に湿潤性と粘着性が表れる。上記のポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルのセグメントがこの範囲より少ないと、表面に湿潤性と粘着性が表れるようになり、多すぎると表面皮膜に絶縁性となり、帯電防止効果が悪くなる。
【0052】
本発明では、最終生成物をさらに酸処理する方法が利用できる。この方法は、親水性のビニル単量体にアクリルアミド又はその誘導体を使用して上記第1ないし第4の重合方法で共重合体とした最終生成物を、適当な溶剤中で分散させて、塩酸その他の無機酸や有機酸と反応させる方法である。このような酸処理により得られた共重合体を帯電防止剤に利用すると、帯電防止効果を著しく向上させることができる。塩酸を例に採ると、おそらく、塩酸との反応により親水性セグメントはアクリルアミド塩酸塩となり、アンモニウムイオンと結合する水素のイオン伝導により表面導電性が大きくなるものと考えられる。
【0053】
本発明の帯電防止剤が添着又は添加されて利用される樹脂には、帯電防止剤の疎水性セグメントにビニル系重合体を利用するので、疎水性セグメントと相溶性の良い同じくビニル系の樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、AS樹脂、ABS樹脂を主要成分とする樹脂がある。
また、ビニル系の樹脂以外の樹脂であって帯電防止剤と相溶性がない場合であっても、適当な相溶化剤の配合により帯電防止剤を該樹脂中に溶解させることができ、ポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート系の樹脂等に対しても適用可能である。
【0054】
本発明の帯電防止剤を、合成樹脂の帯電防止性付与に利用するには、帯電防止剤を合成樹脂の表面に添着する方法と合成樹脂に添加する方法とがある。
前者の方法は、帯電防止剤を合成樹脂の表面に一体に積層被覆して帯電防止層を形成し、樹脂表面に帯電防止性を付与するものであって、具体的には、帯電防止剤を溶剤に溶解して樹脂表面に吹きつけ乾燥固着させる方法、帯電防止剤を含む塗料を樹脂に塗着乾燥させる方法、帯電防止剤を含む塗料をフィルム上に塗着し該フィルムを樹脂表面にプレス又はラミネートする方法、さらに、帯電防止剤又は帯電防止剤を含む樹脂から形成したフィルムを樹脂表面に接着または熱圧着して成形品とする方法がある。帯電防止剤をフィルムないし皮膜にするので相対的に安価になり、また、帯電防止剤と相溶性のない樹脂に対しても適用できる利点がある。
【0055】
また、後者の方法は、帯電防止剤を合成樹脂中に混練し溶融成形して、樹脂の表面に帯電防止性を付与するものであって、具体的には、帯電防止剤と合成樹脂とを混練溶融して押出成形法、射出成形法、プレス成形法や注型形成法により所望形状の成形品とする方法がある。この方法は、樹脂表面の耐剥離性と帯電防止効果の永続性に優れている。
樹脂中に添加する場合、合成樹脂への帯電防止剤の添加量は、上記帯電防止剤からの親水性セグメントの樹脂中への含有量が2〜15%程度となるように定めるのが好ましい。
【0056】
帯電防止剤を添着又は添加した樹脂成形品は、表面電気抵抗を低下させて表面が帯電せず、しかも、低凝集エネルギー密度のセグメントの存在で成形品表面が湿潤状態にならず、べとつかず、常に乾性の状態を維持でき、粘着性がないので、埃や粉塵が付着しにくく、汚れにくく、さらに、耐ブロッキング性が容易に確保できるので、樹脂同士を重積して保管する場合にも密着することがない。
このような樹脂成形品の用途には、ラジオ、テレビ、オーディオセット、エアコンディショナー、掃除機、洗濯機等の電気製品、シート、フィルム、ボトル等の包装材料・容器、ボールペン、歯ブラシ等の文房具・雑貨類、パイプ、シートや板等の工業製品がある。
【0057】
他の用途には、特に、集積回路など半導体材料部品の製造工程で使用される容器・トレー等や半導体製造工場のクリーンルーム、その製造装置・設備・器具を構成する樹脂製の部材が挙げられる。半導体製造工程では、埃・粉塵を極度に嫌うが、本発明の帯電防止性の樹脂成形品は、帯電性と粘着性がないので埃・粉塵の付着が防止され、金属を何ら含有しないので、工程上腐食液・洗浄液中の処理に利用しても金属の溶出がないので、半導体に対して金属汚染がなく、容器や部材を透明ないし半透明にできるという利益がある。
【0058】
【実施例】
〔実施例1〕 (MAI→PSt→PDMAAm→P3FA)
ポリアゾ化合物のマクロアゾ開始剤(MAI)として化5に示すポリヘキサメチレン−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタネートにより、疎水性ビニル単量体にスチレンを、親水性ビニル単量体にN,N−ジメチルアクリルアミドを、第3の低凝集エネルギー密度のセグメント用の単量体にアクリル酸トリフルオロエチルを用いて、順次溶液重合する例である。
【0059】
第1段階の重合は、還流冷却器つきのフラスコ内で上記ポリアゾ化合物7.3重量部をジメチルホルムアミド500重量部に加えて溶解し、ここにスチレン453重量部を添加し、窒素気流中で80℃に加熱し、1時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、アゾ基を含む生成ポリスチレンポリマー113重量部を得た。
【0060】
第2段階の重合として還流冷却器つきのフラスコ内で上記のアゾ基を含む生成ポリスチレンポリマー11.8重量部をジメチルホルムアミド80重量部に加えて溶解し、ここにN,N−ジメチルアクリルアミド38.7重量部を加えて攪拌し、同様に、窒素気流中で80℃に加熱し、2時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、アゾ基を含む生成ポリスチレン−ポリジメチルアクリルアミドポリマー48.5重量部を得た。
【0061】
第3段階は、還流冷却器つきのフラスコ内で上記アゾ基を含むポリスチレン−ポリジメチルアクリルアミドポリマー21重量部をジメチルホルムアミド106重量部に加えて溶解し、ここにアクリル酸トリフルオロエチル32重量部を加えて溶解し、窒素気流中で80℃に加熱し、3時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、ポリスチレン(PSt)−ポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)−ポリアクリル酸トリフルオロエチル(P3FA)を含む生成コポリマー15.8重量部を得た。分析の結果、この生成コポリマー中にポリスチレン含有量16%、ポリジメチルアクリルアミド含有量52%、ポリアクリル酸トリフルオロエチル含有量32%であった。
【0062】
このようにして生成したコポリマーを帯電防止剤として、疎水性セグメントであるポリスチレンに相溶性のある合成樹脂としてポリスチレン樹脂を選び、これに帯電防止剤の配合量を変えて添加し、加熱して射出成形してシート状成形品にした。
【0063】
比較例としては、上記実施例1の重合工程のうち第3段階の低凝集エネルギー密度のセグメントの形成のための重合を省略したもので、生成コポリマーは、ポリスチレン−ポリジメチルアクリルアミドを含むものであり、従来の帯電防止剤に対応している。分析の結果、生成コポリマー中に、ポリスチレンの含有量36%、ポリジメチルアクリルアミドの含有量64%であった。
【0064】
実施例1と比較例の樹脂成形品について、コロナ放電性と表面対水接触角を測定した。表面対水接触角は、表面の湿潤性又は粘着性を評価するもので、対水接触角が小さいほど水の濡れ性が大きいことになる。
コロナ放電性の測定は、日本スタテック(株)製 スタチックメータS−4104型により、PSt帯電初期の表面の帯電圧に対する60秒経過時点での帯電圧の比をもってコロナ放電性を評価した。
表面対水接触角の測定は、エルマ光学(株)製 接触角測定器によった。
【0065】
図1には、上記実施例1につき帯電防止剤をポリスチレン樹脂成形品中に添加したときの該樹脂中の親水性セグメント(ポリジメチルアクリルアミド)含有量と成形品のコロナ放電性との関係を示している。この図から、帯電防止剤の添加によりコロナ放電性が向上することが判る。
【0066】
図2は、比較例についての同様の親水性セグメント含有量と成形品のコロナ放電性の関係を示すが、帯電防止剤の添加により5〜20%の親水性セグメント含有量の範囲でコロナ放電性が若干向上するが、さらに多量添加しても効果がないことが判る。
【0067】
図3及び図4は、それぞれ上記実施例1及び比較例の帯電防止剤を配合したポリスチレン樹脂成形品の表面対水接触角を示す。帯電防止剤を添加しないスチレン樹脂成形品では対水接触角は83°であるが、比較例の如くポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)10%程度の含有で対水接触角40〜50°に急激に低下し、湿潤性を帯びる(図4)のに対して、実施例1のものは殆ど低下しない(図3)ことが判る。実施例1のものは、本来のポリスチレン樹脂成形品の表面と同様に粘着性がなく乾性を示し、滑りもよい。
【0068】
〔実施例2〕 (MAI→PSt→P3FA→PDMAAm)
上記実施例1に対して、重合の順序を変更した例で、第1段階は、実施例1と同じくポリヘキサメチレン−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタネートにより、疎水性ビニル単量体のスチレンを重合させた後、第2段階はアゾ基を含む生成ポリスチレンポリマー11.7重量部をジメチルホルムアミド86重量部に加えて溶解し、ここにアクリル酸トリフルオロエチル32重量部を加えて溶解し、窒素気流中で80℃に加熱し、2時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、アゾ基を含む生成ポリスチレン−ポリアクリル酸トリフルオロエチルポリマー23.8重量部を得た。
第3段階は、このアゾ基を含む生成コポリマー23.8重量部にジメチルホルムアミド108重量部とを加えて溶解し、ここにN,N−ジメチルアクリルアミド56.8重量部を加えて攪拌し、同様に、窒素気流中で80℃に加熱し、3時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、ポリスチレン(PSt)−ポリアクリル酸トリフルオロエチル(P3FA)−ポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)を含む生成コポリマー70.9重量部を得た。
【0069】
分析の結果、生成コポリマー中にポリスチレン含有量13%、ポリアクリル酸トリフルオロエチル含有量37%、ポリジメチルアクリルアミド含有量50%であった。
この生成コポリマーを帯電防止剤として、実施例1と同様に、ポリスチレン樹脂に添加して、シート状成形品とし、実施例1と同様の試験を行った。
【0070】
図5には、樹脂中親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示し、図6には、親水性セグメント含有量と表面対水接触角との関係を示すが、両図から、本来のポリスチレン樹脂成形品の表面と同様に粘着性がなく乾性を示し、且つコロナ放電性が向上していることが判る。
【0071】
〔実施例3〕 (MAI→PSt→P3FA→PDMAAm→酸処理)
実施例2の生成コポリマーを酸処理して改良した帯電防止剤の例を、以下に示す。
実施例2で得た生成コポリマー27.5重量部をジメチルホルムアミド100重量部に分散させた状態で、ポリジメチルアクリルアミドの1.2倍当量となる塩酸を加え、一昼夜室温で攪拌した後、大過剰のエチルエーテル中に投入して瀘別真空乾燥して、酸処理コポリマー27.8重量部を得た。
分析の結果、酸処理コポリマー中に、ポリスチレン含有量9%、ポリアクリル酸トリフルオロエチル含有量33%及びポリジメチルアクリルアミド塩酸塩含有量58%であった。
【0072】
この酸処理コポリマーを帯電防止剤として、実施例2と同様にして、ポリスチレン樹脂中に添加してシート状成形品とし、試験を行った。
【0073】
図7は、この酸処理コポリマーを利用した場合の樹脂中の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示すが、酸処理をすることにより親水性セグメント5%の程度の含有量で、60秒後の帯電電圧/PSt初期帯電電圧が1%以下になり、優れた帯電防止能を発現することが判る。
【0074】
〔実施例4〕 (MAI(PDMS)→PSt→PDMAAm)
あらかじめ第3の低凝集エネルギー密度のセグメントとしてポリジメチルシロキサンを結合させたポリアゾ化合物をビニル重合開始剤に使用した例を以下に示す。ポリアゾ化合物として、ジメチルシロキサンオリゴマー(DMS)と4、4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸クロリドとの重縮合で得られた重合開始剤(和光純薬(株)製、品名MAI003)22.5重量部を還流冷却器つきのフラスコ内でトルエン50重量部に溶解し、これにスチレン単量体45.3重量部加えて、窒素気流中80℃2時間加熱して重合させ、終了後に過剰のメタノール中に投入し沈澱させた。沈澱物の瀘別と真空乾燥をして、アゾ基含有生成ポリジメチルシロキサン−ポリスチレンポリマー35.5重量部を得た。
第2段階として、この生成ポリマー19.6重量部を還流冷却器つきのフラスコ内でメチルエチルケトン95重量部を加えて溶解し、N,N−ジメチルアクリルアミド52.6重量部を加えて、窒素気流中80℃で4時間加熱し重合させ、終了後に過剰のエチルエーテル中に投入し沈澱させ、沈澱物の瀘別と真空乾燥をして、生成ポリジメチルシロキサン(PDMS)−ポリスチレン(PSt)−ポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)コポリマー59.2重量部を得た。
【0075】
分析の結果、生成コポリマー中に、ポリスチレン含有量10%、ポリジメチルシロキサン含有量11%、及び、ポリジメチルアクリルアミド含有量79%であった。
生成ポリマーを上記実施例1のようにポリスチレン樹脂に配合してシート成形品とした。このシート成形品のコロナ放電性及び対水接触角を測定した結果をそれぞれ図8及び図9に示す。
【0076】
図8及び図9の結果から、樹脂中に親水性セグメントの添加で、優れた帯電防止性能を発揮し、しかも耐水接触角の低下は少なくて表面は湿潤せず乾性を保持することができることが判る。
【0077】
〔実施例5〕 (MAI(PDMS)→PSt→PDMAAm→酸処理)実施例4の生成コポリマーを酸処理して改良した帯電防止剤の例を、以下に示す。
実施例4で得た生成コポリマー29.9重量部をエチルメチルケトン100重量部に分散させた状態で、ポリジメチルアクリルアミドの1.2倍当量となる塩酸を加え、一昼夜室温で攪拌した後、大過剰のエチルエーテル中に投入して瀘別真空乾燥して、酸処理コポリマー24.7重量部を得た。
分析の結果、酸処理コポリマー中に、ポリスチレン含有量9%、ポリジメチルシロキサン含有量7%及びポリジメチルアクリルアミド塩酸塩含有量84%であった。
【0078】
この酸処理コポリマーを帯電防止剤として、実施例4と同様にして、ポリスチレン樹脂中に添加してシート状成形品とし、試験を行った。
【0079】
図10は、この酸処理コポリマーを利用した場合の樹脂中の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示すが、酸処理をすることにより親水性セグメント5%以上の添加で優れた帯電防止能を発現することが判る。
【0080】
〔実施例6〕 (MAI→PMMA→PDMAPAAm→P17FA)
実施例1と同じポリアゾ化合物のマクロアゾ開始剤(MAI)としてポリヘキサメチレン−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタネートにより、疎水性ビニル単量体にメタクリル酸メチルを、親水性ビニル単量体にN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを、第3の低凝集エネルギー密度のセグメント用の単量体にアクリル酸ヘプタデカフルオロデシル(化11)を用いて、順次溶液重合する例である。
【0081】
第1段階の重合は、還流冷却器つきのフラスコ内で上記ポリアゾ化合物7.3重量部をジメチルホルムアミド500重量部に加えて溶解し、ここにメタクリル酸メチル472重量部を添加し、窒素気流中で80℃に加熱し、1時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、アゾ基を含む生成ポリメチルメタクリレートポリマー245重量部を得た。
【0082】
第2段階の重合として還流冷却器つきのフラスコ内で上記のアゾ基を含む生成ポリメチルメタクリレート24.7重量部をジメチルホルムアミド80重量部とを加えて溶解し、ここにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド42.1重量部を加えて攪拌し、同様に、窒素気流中で80℃に加熱し、2時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、アゾ基を含む生成ポリメチルメタクリレート−ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドポリマー60.3重量部を得た。
【0083】
第3段階は、還流冷却器つきのフラスコ内で上記アゾ基を含むポリメチルメタクリレート−ポリジメチルアミノプロピルアミドポリマー24.1重量部をジメチルホルムアミド106重量部に加えて溶解し、ここにアクリル酸ヘプタデカフルオロデシル32.5重量部を加えて溶解し、窒素気流中で80℃に加熱し、3時間重合させて後、過剰のメタノール中に投入し、瀘別真空乾燥して、ポリメチルメタクリレート(PMMA)−ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド(PDMAPAAm)−ポリアクリル酸ヘプタデカフルオロデシル(P17FA)を含む生成コポリマー39.2重量部を得た。分析の結果、この生成コポリマー中にポリメチルメタクリレート含有量26%、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド含有量33%、ポリアクリル酸ヘプタデカフルオロデシル含有量41%であった。
【0084】
この実施例6の生成コポリマーは、疏水性セグメントがポリメチルメタクリレートであるので、アクリル系樹脂、特に、ポリメチルメタクリレート樹脂に添加して使用する帯電防止剤に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。
【図2】比較例の帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の樹脂中親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。
【図3】実施例1の帯電防止剤を添加した樹脂の親水性セグメント含有量と表面対水接触角との関係を示す図。
【図4】比較例の帯電防止剤を添加した樹脂の親水性セグメント含有量と表面対水接触角との関係を示す図。
【図5】本発明実施例2に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。
【図6】実施例2に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量と表面対水接触角との関係を示す図。
【図7】実施例3に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。
【図8】本発明実施例4に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。
【図9】実施例4に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量と表面対水接触角との関係を示す図。
【図10】実施例5に係る帯電防止剤を添加したポリスチレン樹脂の親水性セグメント含有量とコロナ放電性との関係を示す図。

Claims (8)

  1. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂成形品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、ビニル重合開始剤の共存下で、ビニル系合成樹脂に相溶性を有する疎水性セグメントを形成するビニル単量体、導電機能を有する親水性セグメントを形成するビニル単量体、及び低凝集エネルギー密度のセグメントを形成する末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルをそれぞれブロック共重合させてなることを特徴とし、該低凝集エネルギー密度のセグメントが、疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにビニル系合成樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度よりも小さい凝集エネルギー密度を有するポリマーセグメントである帯電防止剤。
  2. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂形成品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、ポリアゾ化合物を重合開始剤としてビニル系合成樹脂に相溶性を有する疎水性セグメントを形成するビニル単量体を重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、導電機能を有する親水性セグメントを形成するビニル単量体を該アゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させてアゾ結合含有重合体とした後、低凝集エネルギー密度のセグメントを形成する末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルを該アゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させてなることを特徴とし、該低凝集エネルギー密度のセグメントが、疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにビニル系合成樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度よりも小さい凝集エネルギー密度を有するポリマーセグメントである帯電防止剤の製造方法。
  3. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂形成品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、ポリアゾ化合物を重合開始剤としてビニル系合成樹脂に相溶性を有する疎水性セグメントを形成するビニル単量体を重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、低凝集エネルギー密度のセグメントを形成する末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルを該アゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させアゾ結合含有重合体とした後、導電機能を有する親水性セグメントを形成するビニル単量体を該アゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させてなることを特徴とし、該低凝集エネルギー密度のセグメントが、疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにビニル系合成樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度よりも小さい凝集エネルギー密度を有するポリマーセグメントである帯電防止剤の製造方法。
  4. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂形成品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、ポリアゾ化合物を重合開始剤とし、低凝集エネルギー密度のセグメントを形成する末端にビニル基を有するポリ有機シロキサン若しくはポリフルオロアルキルをブロック重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、ビニル系合成樹脂に相溶性を有する疎水性セグメントを形成するビニル単量体と導電機能を有する親水性セグメントを形成するビニル単量体とのいずれか一方を先にブロック重合させアゾ結合含有重合体とし、他方を該アゾ結合含有重合体を重合開始剤としブロック重合させることを特徴とし、該低凝集エネルギー密度のセグメントが、疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにビニル系合成樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度よりも小さい凝集エネルギー密度を有するポリマーセグメントである帯電防止剤の製造方法。
  5. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂形成品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、低凝集エネルギー密度のセグメントとしてポリ有機シロキサンもしくはポリフルオロアルキルを結合したポリアゾ化合物を重合開始剤としてビニル系合成樹脂に相溶性を有する疎水性セグメントを形成するビニル単量体と導電機能を有する親水性セグメントを形成するビニル単量体とのいずれか一方を先にブロック重合させてアゾ結合含有重合体とし、次いで、他方を該アゾ結合含有重合体を重合開始剤にしてブロック重合させてなることを特徴とし、該低凝集エネルギー密度のセグメントが、疎水性セグメント及び親水性セグメントをそれぞれ構成するポリマー並びにビニル系合成樹脂のポリマーのいずれの凝集エネルギー密度よりも小さい凝集エネルギー密度を有するポリマーセグメントである帯電防止剤の製造方法。
  6. ビニル系合成樹脂に添加又は添着して該樹脂形成品の表面に帯電防止性を付与するための帯電防止剤であって、重合開始剤が上記ポリアゾ化合物に代えてポリメリックペルオキシド化合物であって、上記アゾ結合含有重合体に代えてペルオキシ結合含有重合体を重合開始剤とした請求項乃至のいずれかに記載の帯電防止剤の製造方法。
  7. 請求項1記載の帯電防止剤を合成樹脂の表面に一体に積層被覆して帯電防止層を形成して成る表面帯電防止性の合成樹脂成形品。
  8. 請求項1記載の帯電防止剤を合成樹脂中に混練し溶融成形して成る表面帯電防止性の合成樹脂成形品。
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