JP3975037B2 - 多層樹脂シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素系重合体、および実質的に非晶質なポリエステル系重合体からなる組成物を基材層とし、実質的に非晶質なポリエステル系重合体からなる表面層を積層してなる多層樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高いビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、透明性、耐衝撃性等の特性を利用して、射出成型用途、シート、フィルム等の押出成形用途等に使用されている。
【0003】
例えば、特開平4−39351号公報には透明性、耐衝撃性および剛性に優れた組成物を得るため、ポリマー構造が一般式A1−B−A2で示されるビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体とスチレン系樹脂との組成物が、特開平7−216186号公報には透明性、剛性、耐衝撃性、低温延伸性および耐自然収縮性に優れる組成物および熱収縮性フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分の構造、ビニル芳香族炭化水素ブロックのブロック率に特徴を持たせたビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素系重合体との組成物、及び該組成物を延伸した熱収縮性フィルムが、記載されている。
【0004】
また、特開平7−309992号公報には、耐面衝撃性と透明性のバランスに優れた組成物を得るため、特定構造と分子量分布を有するビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂との組成物にゴム変性耐衝撃性ポリスチレン及び/又はビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体エラストマーを含有した樹脂組成物が、特開平9−151285号公報には、耐面衝撃性と透明性のバランスに優れ、かつ成形時のリワーク性が良好なシート用樹脂組成物を得るため、特定構造と特定範囲内の分子量分布を有し、ビカット軟化温度が65〜90℃であるビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂との組成物が記載されている。
【0005】
しかしこれらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体とスチレン系樹脂との組成物は、耐油性及び耐薬品性に乏しいため、食用油脂、溶剤、化学薬品等を収納する容器用途としては適さないという問題がある。
【0006】
特開平4−145155号公報には、耐油性、耐薬品性に優れる組成物として、実質的に非晶質なポリエステル系重合体とスチレン系単量体−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体との組成物が、特開平11−77904号公報には、スチレン−ブタジエン共重合体、一般用ポリスチレン及びスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体からなる基材層と、スリップ剤とポリエチレンテレフタレートを外層として一体に積層した多層樹脂シートが記載されている。
【0007】
しかしこれらに示されたスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体は、各ブロックを構成するスチレン系単量体と共役ジエンの比率が明確に示されておらず、機械的強度(剛性、伸び、耐衝撃性)の総合的バランスが不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、剛性、耐衝撃性等の物性バランスに優れるとともに、耐剥離性、耐油性、耐薬品性をも満足する多層樹脂シートの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の構造を有するビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体、ビニル芳香族炭化水素重合体、及び実質的に非晶質なポリエステル系重合体からなる基材層の少なくとも片面に、実質的に非晶質なポリエステル系重合体からなる表面層を積層することによって、前記の要求特性を満足することが可能となることを見出し、完成したものである。
【0010】
即ち本発明は、下記(I)のブロック共重合体、下記(II)のビニル芳香族炭化水素系重合体または重合体混合物、及び少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル系重合体(III)からなり、(I)/(II)の重量比が80/20〜20/80であって、かつ重合体(III)の配合量が成分(I)+成分(II)=100重量部に対して0.1〜20重量部である重合体組成物からなる基材層の少なくとも片面に、少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル系重合体(IV)からなる表面層を積層してなる多層樹脂シート、さらにこの多層樹脂シートを所定形状に成形してなる多層樹脂成形体である。
【0011】
(I)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体、または少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が65〜85重量%、共役ジエン含有量が35〜15重量%で、ブロック共重合体中に組み込まれたビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50〜97重量%であるブロック共重合体。
【0012】
(II)下記(a)、(b)、(c)、(d)から選ばれた1種のビニル芳香族炭化水素系重合体または2種以上の重合体の混合物。
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が35〜10重量%であるブロック共重合体(ただし(I)とは異なる)。
【0013】
(b)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が10重量%以上65重量%未満、共役ジエン含有量が35重量%を超え90重量%以下であるブロック共重合体。
(c)非ゴム変性スチレン系重合体。
(d)ゴム変性スチレン系重合体から選ばれた少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系重合体。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用するブロック共重合体(I)は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより得るものである。
本発明に使用するブロック共重合体(I)のビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等があるが、特に一般的なものしてはスチレンが上げられる。
【0015】
これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等があるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0016】
本発明に使用するブロック共重合体(I)のビニル芳香族炭化水素含有量は65〜85重量%、好ましくは70〜80重量%、共役ジエン含有量は35〜15重量%、好ましくは30〜20重量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%未満、共役ジエン含有量が35重量%を超えると剛性が低下し、ビニル芳香族炭化水素含有量が85重量%を超え、共役ジエンが15重量%未満では、耐衝撃性が低下し好ましくない。またブロック共重合体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は50〜97重量%、好ましくは60〜95重量%である。50重量%未満では剛性が劣り、97重量%を超えると伸びが低下し好ましくない。
【0017】
ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は、ブロック共重合体の製造時に、少なくとも一部のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンが共重合する工程のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。
【0018】
具体的な方法としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は極性化合物あるいはランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する等の方法が採用できる。極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0019】
なお本発明においてブロック共重合体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(ただし平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を定量し、次式から求めた値をいう。
【0020】
ブロック率(重量%)=
(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量%/ブロック共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量%)×100
本発明に使用するブロック共重合体(I)は少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックと共役ジエンとビニル芳香族炭化水素重合体ブロックまたは少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有するブロック共重合体で、例えば下記の一般式のものが挙げられる。
【0021】
(イ)A−(B−A)n (ロ)A−(B−A)n−B
(ハ)B−(A−B)n+1
で表される線状ブロック共重合体、あるいは一般式
(ニ)[(A−B)km+2−X (ホ)[(A−B)k−A]m+2−X
(ヘ)[(B−A)km+2−X (ト)[(B−A)K−B]m+2−X
で表されるラジアルブロック共重合体(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを示す。
【0022】
Bは共役ジエン重合体ブロック、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック、あるいは共役ジエン重合体部分と共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体部分が隣接してなるブロックを示す。Xはカップリング剤の残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である)である。
【0023】
本発明に使用するブロック共重合体(I)の好ましいメルトインデックス(以下MI:G条件で温度200℃、荷重5kg)は成形加工の点から0.1〜50g/10min、より好ましくは1〜20g/10minである。
【0024】
本発明に使用するビニル芳香族炭化水素系重合体(II)は、(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が35〜10重量%であるブロック共重合体(ただし(I)とは異なる)、(b)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が10重量%以上65重量%未満、共役ジエン含有量が35重量%を超え90重量%以下であるブロック共重合体、(c)非ゴム変性スチレン系重合体、(d)ゴム変性スチレン系重合体から選ばれた1種のビニル芳香族炭化水素系重合体または2種以上の重合体の混合物である。
【0025】
本発明で使用するブロック共重合体(a)は、剛性あるいは耐衝撃性の改良効果があり、ビニル芳香族炭化水素含有量は65〜90重量%、共役ジエン含有量は35〜10重量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が90重量%を超えると耐衝撃性改良効果が得られない場合があり、65重量%未満では剛性の改良効果が得られない場合がある。
【0026】
本発明で使用するブロック共重合体(b)は耐衝撃性の改良効果があり、ビニル芳香族炭化水素含有量は10重量%以上65重量%未満、共役ジエン含有量は35重量%を超え90重量以下である。ビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%以上では耐衝撃性の改良効果が得られない場合があり、10重量%未満では剛性が低下し好ましくない。
【0027】
ブロック共重合体(a)及び(b)の好ましいMI(G条件で温度200℃、荷重5kg)は成形加工の点から0.1〜50g/10min、より好ましくは1〜20g/10minである。
【0028】
ブロック共重合体(a)及び(b)は、前述のブロック共重合体(I)と同様、有機リチウム化合物を開始剤として重合することにより得ることができ、その際の有機溶媒、開始剤、ビニル芳香族炭化水素、共役ジエン、極性化合物、ランダム化剤及びカップリング剤には前述のものが用いられる。またブロック共重合体(a)及び(b)は、上記条件が満たされればいかなる構造をとることもできるが、好ましい例として下記構造式▲1▼〜▲3▼で示される線状ブロック共重合体、あるいは▲4▼〜▲7▼で示されるラジアルブロック共重合体が挙げられる。
【0029】
▲1▼ (A−B)n ▲2▼ A−(B−A)n
▲3▼ B−(A−B)n
▲4▼ [(A−B)km+2−X ▲5▼ [(B−A)km+2−X
▲6▼ [(A−B)k−A]m+2−X ▲7▼ [(B−A)k−B]m+2−X
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロック、Bは共役ジエンを主とする重合体ブロックを示す。Xはカップリング剤の残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)
【0030】
本発明で使用する非ゴム変性スチレン系重合体(c)は剛性の改良効果があり、ビニル芳香族炭化水素の単独重合体またはビニル芳香族炭化水素を含む2種以上の共重合体が用いられる。ビニル芳香族炭化水素としては前述のブロック共重合体(I)と同様のものを用いることができ、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0031】
特に好ましい非ゴム変性スチレン系重合体としてはポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等があげられ、これらは1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0032】
本発明で使用するゴム変性スチレン系重合体(d)は剛性及び耐衝撃性の改良効果があり、ビニル芳香族炭化水素もしくはこれと共重合可能な単量体とエラストマーとの混合物を重合することにより得られる。重合方法としては懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等を用いることができる。
【0033】
ビニル芳香族炭化水素としては前述のブロック共重合体(I)と同様のものを用いることができ、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。一方エラストマーとしては天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が使用される。特に好ましいゴム変性スチレン系樹脂としてはゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂(HIPS)があげられる。
【0034】
本発明において実質的に非晶質なポリエステル系重合体とは、ホモ重合体単独、共重合体単独、ホモ重合体と共重合体の組成物、ホモ重合体及び/又は共重合体とそれ以外の第3の重合体との混合物、及びこれらの重合体ならびに混合物の結晶状態に影響を与えるような添加剤等を加えて得られた混合物を、本発明のシートと同じ加工条件で成膜した状態で、広角X線法により測定して得られた結晶化度が、ポリエステル系重合体成分100%に換算した値で10%以下のものであり、好ましくは5%以下、より好ましくは1%未満のものであるものをいう。
【0035】
また簡易的には、DSC法により測定した結晶化度の値で代用してもよい。この場合、昇温速度10℃/分で融解エネルギーを測定し、広角X線により結晶化度の明確なサンプルを標準にして求める。本発明のポリエステル系重合体シートの結晶化度は、前記と同様、ポリエステル重合体成分100%に換算した値で10%以下のものであり、好ましくは5%以下、より好ましくは上記DSC法による融点がほとんど見られないものがよい。このような測定方法で結晶化度が10%を超えると、積層シート中のポリエステル系重合体層が、脆くかつ白化した不透明なものとなり好ましくない。
【0036】
本発明において、実質的に非晶質なポリエステル系重合体(III)及び(IV)を構成する単量体成分としては、酸成分として、テレフタル酸又はその異性体(例えばイソフタル酸、フタル酸等)又はこれらの誘導体、脂肪族ジカルボン酸(例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等)又はその誘導体、ナフタレンジカルボン酸類等より選ばれる少なくとも1種が使用できる。
【0037】
グリコール(アルコール)成分としては、エチレングリコール又はその誘導体(例えばポリエチレングリコール)、アルキレングリコール類(トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等)、シクロアルキルグリコール類(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジアルキオール等)、ビスヒドロキシフェニルアルカン類(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等)またはこれらの水素添加物等より選ばれる少なくとも1種が使用できる。
【0038】
本発明で使用するポリエステル系重合体(III)及び(IV)は、これら両成分を縮重合して得られるポリエステルのうち、前述した実質的に非晶質のもので、ホモ重合体でも、2種以上の酸成分又はグリコール成分を共重合したものでもよい。また必要に応じてオキシ酸を共重合してもよい。これらのうち、酸成分とグリコール成分との好ましい組み合わせとしては、酸成分としてテレフタル酸を選び、場合によっては異性体(イソフタル酸、フタル酸)を20モル%以下のレベルで含んだものと、グリコール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを主体とした混合成分とを共重合したものである。
【0039】
グリコール成分の内の両者の比率は、結晶化度の点からエチレングリコールが60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールが40〜20モル%であり、好ましくは前者が64〜75モル%、後者が36〜25モル%、さらに好ましくは前者が67〜73モル%、後者が33〜27モル%である。
【0040】
本発明で使用するポリエステル系重合体(III)及び(IV)の重合度は、その極限粘度の値で好ましくは0.50〜1.2であり、より好ましくは0.65〜1.0である。0.5未満では強度が低くなり、1.2を超えると成形性が低下するため好ましくない。なお極限粘度は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量%溶液を用いて、30℃で測定した値をいう。
本発明で使用するポリエステル系重合体(III)と(IV)は、同一構造、組成であっても、あるいは異なる構造、組成であってもよい。
【0041】
本発明の多層樹脂シートにおいて、基材層を構成するブロック共重合体(I)とビニル芳香族炭化水素系重合体(II)との重量比(I)/(II)は80/20〜20/80であり、好ましくは30/70〜70/30である。ブロック共重合体(I)が80重量%を超えると成分(II)による改良効果が低く、一方20重量%未満では物性バランスが低下するため好ましくない。
【0042】
また基材層を構成する(I)と(II)の組成物にポリエステル系樹脂(III)を含有することにより、基材層と表面層との剥離強度を高めることができる。
ポリエステル系樹脂(III)の含有量は、(I)+(II)=100重量部に対して0.1〜20重量部である。0.1重量部未満では十分な剥離強度が得られず、一方20重量部を超えると成分(I)との相容性が低下し好ましくない。
【0043】
本発明の多層樹脂シートを構成する各層には、所定の組成物及び重合体の他に、必要に応じてポリスチレン系、石油樹脂系等の低重合物、または他の極性官能基を有したホモ重合体又は共重合体、または添加剤等を配合することができる。添加剤の種類は樹脂の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等がある。
【0044】
本発明の多層樹脂シートの全厚及び各層の厚さは特に制限されず、使用目的や用途に応じて適宜選択することができるが、一般的には0.1〜1.7mm程度であり、基材層の厚さを全厚の2〜98%に設定することが好ましい。
【0045】
本発明の多層樹脂シートは、各構成層に用いる樹脂または樹脂組成物を複数の押出機により成形し、得られたシート状成形体を加熱積層して一体化する方法で製造できる。またさらに好ましい方法として、各構成層に用いる樹脂又は樹脂組成物を、汎用のフィードブロック付きダイまたはマルチマニホールドダイ等を使用して共押出する方法でもよい。この製造方法を用いた場合、特に薄い表面層を得ることが可能であり、量産性が優れる等の利点がある。
【0046】
本発明の多層樹脂シートは成形性が良好で、例えば圧空成形法、真空成形法等一般に知られている方法により、トレー状、ボトル形状、有底円筒形状等の成形体を効率的に製造することが可能である。
本発明の多層樹脂シートは、剛性及び耐衝撃性等の基本的物性に優れるとともに、耐剥離性、耐油性、耐薬品性、2次成形性等の特性をも同時に満足した多層樹脂成形体を得ることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。表−1に実施例、比較例に使用したブロック共重合体(I)を、表−2にビニル芳香族炭化水素系重合体(II)を示した。ブロック共重合体(I)はシクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリチウムを開始剤に用い、表1のポリマー構造欄に記載されている順序、量のモノマーを添加して重合した。
【0048】
重合終了後、メタノールを添加して重合反応を停止した後、安定剤としてブロック共重合体100重量部に対して2−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−t−アミルフェニルアクリレートを0.4重量部と、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.2重量部添加し、溶剤を除去してブロック共重合体を回収した。得られたブロック共重合体のMIはすべて4〜10の範囲内であった。
【0049】
ポリエステル系重合体(III)及び(IV)として、下記に示すPES−1、PES−2を用いた。
PES−1:酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分として、エチレングリコールを70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールを30モル%の割合で用い、極限粘度0.75、ビカット軟化点82℃、融点はDSC法では確認できない共重合ポリエステル。
【0050】
PES−2:酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分として、エチレングリコールを75モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールを25モル%の割合で用い、極限粘度0.75、ビカット軟化点80℃、融点はDSC法で200℃にわずかに認められ、結晶化度2〜3%の共重合ポリエステル。
【0051】
【実施例1〜5及び比較例1〜5】
共押出シート成形機を使用して、基材層及び表面層の2層から構成される多層樹脂シートを溶融押出成形し、下記の方法で引張弾性率、破断伸び、Haze、耐剥離性及び耐油性を評価した。
【0052】
押出成形は、基材層は40mmφ押出機を用いて押出温度200℃で、表面層は20mmφ押出機を用いて押出温度220℃で共押出成形した。さらに得られた多層樹脂シートから、圧空真空成形機を使用して、内面に表面層を有する口径70mm×高さ120mmの有底円筒形状の容器を製造し、下記の方法で割れにくさ及び耐薬品性を評価した。多層樹脂シート及び容器の層構成及び性能を表3に示した。
【0053】
(1)引張弾性率及び破断伸び:引張速度5mm/min.でシート押出方向及びその直角方向について測定し、平均値を算出した。試験片は幅12.7mm、標線間50mmとした。
(2)Haze:シート表面に流動パラフィンを塗布し、ASTM D1003に準拠して測定した。
【0054】
(3)耐剥離性:表面層を少し剥がしてタブをつくり、基材層と表面層をつかんで一定の力を加えて180℃方向に引っ張り剥がした。剥がれなかったもの、または容易に剥がれなかったものを○、容易に剥がれたもの、または接着していなかったものを×とした。
(4)容器の割れにくさ:シート押出方向及びその直角方向のそれぞれに併せて容器を両手で挟み、一定の力を加えて潰し、割れなかったものを○、割れたものを×とした。シート押出方向及びその直角方向の各々について5個の容器を用いて評価した。
【0055】
(5)耐油性:シートの表面層に温度71℃のココナードMCTオイルを接触させ、72時間放置後、シートの溶解発生の有無を評価した。
(6)耐薬品性:容器にエタノールを満たした状態で室温で7日間放置後、容器の白化状態を観察した。全く白化しなかったものは○、少しでも白化したものは×とした。
【0056】
【表1】
Figure 0003975037
【0057】
【表2】
Figure 0003975037
【0058】
【表3】
Figure 0003975037
【0059】
【発明の効果】
本発明の多層樹脂シートは剛性、耐衝撃性等の物性バランスに優れるとともに、耐剥離性、耐油性、耐薬品性及にも優れている。特に耐油性、耐薬品性に優れているという特長を生かし、食用油脂、溶剤、化学薬品を収納する容器用途として好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 下記に示すブロック共重合体(I)、下記に示すビニル芳香族炭化水素系重合体または重合体混合物(II)、及び少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル重合体(III)からなり、(I)/(II)の重量比が80/20〜20/80であって、かつ重合体(III)の配合量が成分(I)+成分(II)=100重量部に対して0.1〜20重量部である重合体組成物からなる基材層の少なくとも片面に、少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル系重合体(IV)からなる表面層を積層してなる多層樹脂シート。
    (I)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体、または少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が65〜85重量%、共役ジエン含有量が35〜15重量%で、ブロック共重合体中に組み込まれたビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50〜97重量%であるブロック共重合体。
    (II)下記(a)、(b)、(c)、(d)から選ばれた1種のビニル芳香族炭化水素系重合体または2種以上の重合体の混合物。
    (a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が35〜10重量%であるブロック共重合体(ただし(I)とは異なる)。
    (b)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が10重量%以上65重量%未満、共役ジエン含有量が35重量%を超え90重量%以下であるブロック共重合体。
    (c)非ゴム変性スチレン系重合体。
    (d)ゴム変性スチレン系重合体。
  2. 請求項1記載の多層樹脂シートを所定形状に成形してなる多層樹脂成形体。
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