JP3972775B2 - 高速穴あけ切削加工ですぐれた耐熱塑性変形性を発揮する表面被覆超硬合金製ドリル - Google Patents

高速穴あけ切削加工ですぐれた耐熱塑性変形性を発揮する表面被覆超硬合金製ドリル Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に超硬合金基体を構成する硬質相が強度の低下なく、すぐれた高温硬さと耐熱性を有し、したがって高熱発生を伴なう鋼や鋳鉄などの高速穴あけ切削加工で、すぐれた耐熱塑性変形性を発揮する表面被覆超硬合金製ドリル(以下、被覆超硬ドリルと云う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に、鋼や鋳鉄などの被削材の穴あけ切削加工などに、例えば図1(a)に概略拡大正面図で、同(b)に溝形成部の概略横断面図で示される形状を有する各種の超硬合金製ドリル(以下、超硬ドリルと云う)が用いられている。
また、切削性能の一段の向上を目的として、超硬ドリルを基体とし、この基体の表面に、
組成式:[Ti1-XAlX]Nで表わした場合、厚さ方向中央部のオージェ分光分析装置による測定で、原子比で、X:0.3〜0.7を満足するTiとAlの複合窒化物[以下、(Ti,Al)Nで示す]層で構成された硬質被覆層を0.5〜6μmの平均層厚で物理蒸着してなる被覆超硬ドリルも知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記の超硬ドリルの少なくとも溝形成部が、実質的に結合相と硬質相で構成され、結合相形成成分として質量%(以下、%は質量%を示す)で、6〜16%の割合で含有するCo中に0.1〜3%の割合で固溶含有したCrおよび/またはV成分による粒成長抑制作用で、硬質相を構成する炭化タングステン(以下、WCで示す)の粒径を、平均粒径で、望ましくは0.7μm以下とした微粒組織の超硬合金からなることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、上記の超硬ドリルが、例えば原料粉末として、いずれも0.1〜3μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、炭化クロム(以下、Cr32で示す)粉末、炭化バナジウム(以下、VCで示す)粉末、およびCo粉末を用い、これら原料粉末を所定の配合組成に配合し、湿式混合し、乾燥した後、押出しプレスにて所定の直径の長尺状成形体とし、この長尺状成形体を、1.3〜13.3Paの真空雰囲気中、1350〜1480℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この昇温温度に1〜2時間保持後、雰囲気を、例えばArを導入して4.9〜14.7MPaの加圧雰囲気とし、前記昇温温度および加圧雰囲気の条件下に15〜60分間保持した後、少なくとも1200℃までを50〜100℃/minの冷却速度で冷却して、Cr(Cr32)および/またはV(VC)がCo中に固溶してなる結合相とWCの硬質相で構成された超硬合金からなる所定の直径の長尺状加圧焼結体を形成し、この加圧焼結体から図1に例示される形状に研削加工することにより製造されることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、さらに上記の被覆超硬ドリルが、超硬ドリルを基体とし、この基体を、例えば図2に概略説明図で示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に装入し、ヒータで装置内を、例えば雰囲気を1.3×10- 3Paの真空として、500℃の温度に加熱した状態で、アノード電極と所定組成を有するTi−Al合金がセットされたカソード電極(蒸発源)との間に、例えば電圧:35V、電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入し、一方前記基体には、例えば−200Vのバイアス電圧を印加した条件で、前記基体の表面に、上記の(Ti,Al)Nからなる硬質被覆層を物理蒸着することにより製造されることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−12847号公報
【特許文献2】
特開平8−20933号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年の切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に対する要求は強く、これに伴い、切削装置の高性能化と相俟って、切削加工は高速で行われる傾向にあるが、上記の従来被覆超硬ドリルにおいては、これを高速穴あけ切削加工に用いると、特に超硬合金基体の高温硬さおよび耐熱性不足が原因で、先端部の切刃面に偏摩耗の原因となる熱塑性変形が発生し易くなり、この結果摩耗進行が促進されるようになることから、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述のような観点から、高速穴あけ切削加工で、すぐれた耐熱塑性変形性を発揮する被覆超硬ドリルを開発すべく、特に上記の従来被覆超硬ドリルに着目し、研究を行った結果、
(a)通常、従来の原料粉末としてのWC粉末は、高純度を意図して製造されているため、焼結後の超硬合金基体の硬質相を構成するWCの不純物である窒素および酸素の含有量は、前記硬質相の中心部をオージェ電子分光分析装置を用いて測定した値で、
酸素(O):0.001〜0.05%、
窒素(N):0.001〜0.03%、
であるのが一般的であること。
【0006】
(b)一般に、上記の従来高純度WC粉末は、原料粉末としてWO3粉末を用い、これに還元粉末として所定量のカーボンブラックを配合し、混合した後、この混合粉末を950〜1050℃に加熱し、窒素気流中で所定時間保持の条件で還元処理を行い、ついで加熱温度を1150〜1250℃とすると共に、前記窒素気流を水素気流に変えて所定時間保持の条件で炭化処理を行うことにより製造されているが、この従来高純度WC粉末の製造において、還元処理の窒素気流中および炭化処理の水素気流中に所定割合、望ましくは5〜15容量%の割合でCOガスを配合すると、製造されたWC粉末中の酸素含有量および窒素含有量が上昇するようになり、前記のCOガスの5〜15容量%の配合で、製造されたWC粉末は、
酸素(O):0.2〜0.6%、
窒素(N):0.1〜0.25%、
を含有するようになること。
【0007】
(c)この結果の高酸素高窒素含有のWC粉末を原料粉末として用いて製造された超硬合金基体においては、これの硬質相は、その中心部をオージェ電子分光分析装置を用いて測定した値で、前記高酸素高窒素含有のWC粉末と同じO:0.2〜0.6%、N:0.1〜0.25%、の含有量を示し、この結果前記含有量のOによってすぐれた高温硬さと耐熱性を具備し、一方前記O含有によって硬質相の強度は低下するようになるが、このO含有による強度低下を前記含有量のNによって抑制することから、高純度硬質相と同等の高強度が保持され、したがってこの超硬合金基体で構成された被覆超硬ドリルは、高熱発生を伴なう高速穴あけ切削加工でもすぐれた耐熱塑性変形性を発揮し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を示すこと。
以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのである。
【0008】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、溝形成部とシャンク部からなり、少なくとも前記溝形成部が、実質的に結合相と硬質相で構成された超硬合金からなる基体の表面に、0.5〜6μmの平均層厚で、
組成式:[Ti1-XAlX]Nで表わした場合、厚さ方向中央部のオージェ分光分析装置による測定で、原子比で、X:0.3〜0.7を満足する(Ti,Al)Nからなる硬質被覆層を物理蒸着してなる被覆超硬ドリルにおいて、
上記超硬合金基体を、いずれも結合相形成成分として、
Co:6〜16%、
Crおよび/またはV:0.1〜3%、
を含有し、残りの硬質相が酸素(O)および窒素(N)を固溶含有するWCからなる組成を有し、かつ前記硬質相のOおよびN含有量が、前記硬質相の中心部をオージェ電子分光分析装置を用いて測定した値で、
O:0.2〜0.6%、
N:0.1〜0.25%、
である超硬合金で構成してなる、高速穴あけ切削加工ですぐれた耐熱塑性変形性を発揮する被覆超硬ドリルに特徴を有するものである。
【0009】
以下に、この発明の被覆超硬ドリルにおいて、これを構成する超硬合金基体の組成、および硬質被覆層の平均層厚を上記の通りに限定した理由を説明する。
(1)超硬合金基体のCo含有量
結合相形成成分としてのCo含有量が6%未満では基体に所望の強度および靭性を確保することができず、一方Co含有量が16%を超えると熱塑性変形を起し易くなり、偏摩耗の進行が促進するようになることから、Co含有量を6〜16%と定めた。
【0010】
(2)超硬合金基体のCrおよび/またはV
これらの成分には、結合相を形成するCo中に固溶した状態で硬質相の成長を著しく抑制して、これの粒径を平均粒径で、望ましくは0.7μm以下とした微粒組織とする作用があるが、この作用はCrおよびV成分の含有量が0.1%未満では不充分となり、一方その含有量が3%を超えると、これらの成分が炭化物として析出し、強度および靭性を低下させるようになることから、その含有量を0.1〜3%と定めた。
【0011】
(3)超硬合金基体の硬質相のO含有量
超硬合金基体の硬質相におけるO含有量が0.2%未満では、所望のすぐれた高温硬さと耐熱性を確保することができないので、前記硬質相を構成するWC粉末の製造時に、還元処理の窒素気流中および炭化処理の水素気流中に配合するCOガスの割合を調整して0.2%以上含有させ、すぐれた高温硬さと耐熱性を確保して、高熱発生の高速穴あけ切削加工でもすぐれた耐熱塑性変形性を発揮するようにするが、一方その含有量が0.6%を超えるとN含有によっても硬質相自体の強度低下を阻止することができず、この結果先端切刃面にチッピング(微小欠け)が発生し易くなり、使用寿命短命化をもたらすことから、その含有量を0.2〜0.6%と定めた。
【0012】
(4)超硬合金基体の硬質相のN含有量
また、N含有量が0.1%未満では、上記のO含有による強度低下を完全に阻止することができないので、原料粉末として用いられるWC粉末の製造に際して、還元処理の窒素気流中および炭化処理の水素気流中に配合するCOガスの割合を調整して0.1%以上含有するようにするが、一方その含有量が0.25%を超えると上記のO含有によってもたらされる高温硬さと耐熱性の向上効果が低下し、所望の高温硬さと耐熱性を確保することができなくなり、摩耗進行が著しく促進され、使用寿命短命化の原因となることから、その含有量を0.1〜0.25%と定めた。
【0013】
(5)硬質被覆層の組成式
硬質被覆層を構成する(Ti,Al)NにおけるAlはTiNに対して高温硬さおよび耐熱性を高め、もって耐摩耗性を向上させるために固溶するものであり、したがって組成式:(Ti1-XAlX)NのX値が原子比(以下同じ)で、0.3未満では所望の耐摩耗性を確保することができず、一方その値が0.7を越えると、先端切刃面に欠けやチッピングが発生し易くなると云う理由によりX値を0.3〜0.7と定めた。
【0014】
(6)硬質被覆層の平均層厚
その平均層厚が0.5μm未満では硬質被覆層によってもたらされるすぐれた耐摩耗性を確保することができず、一方その平均層厚が6μmを超えると硬質被覆層にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を0.5〜6μmと定めた。
【0015】
【発明の実施の態様】
つぎに、この発明の被覆超硬ドリルを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、平均粒径:0.5μmを有するWO3粉末、および同0.2μmのカーボンブラックを用意し、まずこれら原料粉末を、カーボンブラック:17%、WO3粉末:残り、の割合に配合し、湿式ボールミルでアセトンを加えて3時間混合し、減圧乾燥した後、よくほぐした状態でカーボンボートに充填した後、この混合粉末を950〜1050℃に加熱し、COガスを5〜15容量%の範囲内の所定の割合で配合してなる窒素−CO混合気流中で3時間保持の条件で還元処理を行い、ついで加熱温度を1150〜1250℃とすると共に、前記窒素−CO混合気流を同じくCOガスを5〜15容量%の範囲内の所定の割合で配合してなる水素−CO混合気流に変えて3時間保持の条件で炭化処理を行い、最終的に粒度調整を行うことにより、表1に示される窒素および酸素を含有し、かつ平均粒径をもった本発明被覆超硬ドリルの超硬合金基体製造用原料粉末としてのWC粉末(以下、本発明原料WC粉末という)a−1〜a−7をそれぞれ製造した。
【0016】
また、比較の目的で、還元処理の反応雰囲気を窒素気流、炭化処理の反応雰囲気を水素気流とする以外は、同一の条件で、同じく表1に示される窒素および酸素含有量、並びに平均粒径の従来被覆超硬ドリルの超硬合金基体製造用原料粉末としてのWC粉末(以下、従来原料WC粉末という)b−1〜b−7をそれぞれ製造した。
【0017】
ついで、上記の本発明原料WC粉末a−1〜a−7および従来原料WC粉末b−1〜b−7のそれぞれに、平均粒径:1.2μmのCo粉末、同1.8μmのVC粉末、および同2.3μmのCr32粉末を表2に示される割合に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、減圧乾燥し、さらにワックスと溶剤を加えて1時間混和した後、押出しプレスにて4〜26mmの範囲内の所定の直径を有する長尺状成形体を形成し、これらの長尺状成形体を、1.3Paの真空雰囲気中、1380〜1480℃の範囲内の所定の温度に1時間保持して焼結した後、前記昇温温度に保持したまま、Arを導入して雰囲気を圧力:6MPaの加圧雰囲気として1時間保持し、その後冷却のHIP処理を施すことにより、3.3〜21.0mmの範囲内の所定の直径を有する長尺状加圧焼結体とし、さらにこれらの加圧焼結体から研削加工にて、溝形成部の外径をそれぞれ表2に示される寸法とした本発明超硬合金基体A−1〜A−7および従来超硬合金基体B−1〜B−7をそれぞれを製造した。
【0018】
ついで、これら超硬合金基体を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、それぞれ図2に例示される通常のアークイオンプレーティング装置に装入し、一方カソード電極(蒸発源)として、それぞれ種々の成分組成をもったTi−Al合金を装着し、装置内を排気して0.5Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して10PaのAr雰囲気とし、この状態で前記超硬合金基体に−800Vのバイアス電圧を印加して前記超硬合金基体表面をArガスボンバート洗浄し、ついで装置内に反応ガスとして、窒素ガスを導入して6Paの反応雰囲気とすると共に、前記超硬合金基体に印加するバイアス電圧を−200Vに下げて、前記カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって前記超硬合金基体のそれぞれの表面に、表3に示される目標Al含有量および目標層厚の(Ti,Al)Nからなる硬質被覆層を蒸着することにより、本発明被覆超硬ドリル1〜7および従来被覆超硬ドリル1〜7をそれぞれ製造した。
【0019】
この結果得られた本発明被覆超硬ドリル1〜7および従来被覆超硬ドリル1〜7について、オージェ電子分光分析装置を用い、これを構成する超硬合金基体における任意5個の硬質相の中心部のO含有量およびN含有量を測定し、この結果を表2に平均値で示した。
表2には、これらの被覆超硬ドリルを構成する超硬合金基体の任意断面における硬質相の平均粒径を走査型電子顕微鏡を用いて測定した結果も示した。
また、同じく上記超硬合金基体のCo、Cr、およびVの含有量を測定したところ、配合組成と実質的に同じ値を示した。
さらに、上記の本発明被覆超硬ドリル1〜7および従来被覆超硬ドリル1〜7を構成するそれぞれの硬質被覆層について、その厚さ断面中央部の組成をオージェ分光分析装置を用いて測定し、またその層厚を走査型電子顕微鏡を用いて測定したところ、いずれの場合も目標組成および目標層厚と実質的に同じ組成および層厚を示した。
【0020】
つぎに、上記の各種の被覆超硬ドリルについて、被削材として、平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM440の合金鋼板材を用い、表3に示される条件で湿式高速穴あけ切削加工を行い、溝形成部の先端切刃面直上部における外径の縮径量が表3に示される値に達した時点を使用寿命とし、この使用寿命に至るまでの穴あけ加工数を測定した。これらの測定結果を表3にそれぞれ平均値で示した。
【0021】
【表1】
Figure 0003972775
【0022】
【表2】
Figure 0003972775
【0023】
【表3】
Figure 0003972775
【0024】
【発明の効果】
表1〜3に示される結果から、本発明被覆超硬ドリル1〜7は、いずれもこれを構成する超硬合金基体の硬質相のOおよびNの含有量が相対的に高く、前記硬質相によってすぐれた高温硬さと耐熱性が確保されることから、高熱発生を伴なう高速穴あけ切削加工でも、特に先端部の切刃面部に偏摩耗の原因となる熱塑性変形の発生なく、正常摩耗を維持し、すぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、前記硬質相のOおよびNの含有量が相対的に低い従来被覆超硬ドリル1〜7においては、いずれも超硬合金基体の硬質相の高温硬さおよび耐熱性不足が原因で、高速穴あけ切削加工では前記切刃面部に熱塑性変形が起り易くなり、この結果摩耗は偏摩耗形態を採るようになることから、摩耗進行が著しく促進され、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆超硬ドリルは、通常の条件での穴あけ切削加工は勿論のこと、高速穴あけ切削加工でもすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するものであるから、穴あけ切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は被覆超硬ドリルを例示する概略拡大正面図、(b)は溝形成部の長さ方向中央部における中心線に対して直角な方向の概略断面図(概略横断面図)である。
【図2】アークイオンプレーティング装置の概略説明図である。

Claims (1)

  1. 溝形成部とシャンク部からなり、少なくとも前記溝形成部が、実質的に結合相と硬質相で構成された超硬合金からなる基体の表面に、0.5〜6μmの平均層厚で、
    組成式:[Ti1-XAlX]Nで表わした場合、厚さ方向中央部のオージェ分光分析装置による測定で、原子比で、X:0.3〜0.7を満足するTiとAlの複合窒化物からなる硬質被覆層を物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製ドリルにおいて、
    上記超硬合金基体を、いずれも結合相形成成分として、以下いずれも質量%で、
    Co:6〜16%、
    Crおよび/またはV:0.1〜3%、
    を含有し、残りの硬質相が酸素および窒素を固溶含有する炭化タングステンからなる組成を有し、かつ前記硬質相の酸素および窒素含有量が、前記硬質相の中心部をオージェ電子分光分析装置を用いて測定した値で、
    酸素:0.2〜0.6%、
    窒素:0.1〜0.25%、
    である超硬合金で構成したこと、
    を特徴とする高速穴あけ切削加工ですぐれた耐熱塑性変形性を発揮する表面被覆超硬合金製ドリル。
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