JP3972769B2 - 構造物の製造方法、磁性体の製造方法ならびに構造物の製造装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面積層立体製造法を用いて構造物を製造する方法、とくに磁石を製造する場合に好適な方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物の一例として、従来の磁石(磁性体)の製造方法があり、磁性材料の粉体と、バインダーとしての樹脂とを混練したものを粒体化してなる複合粒体を、所定形状の金型内に入れ、前記磁性材料が磁気異方性を有する場合には複合粒体の磁性方向を揃えるために磁場をかけた後、加圧成型および焼成を行って前駆体を得、該前駆体を磁化して磁石を製造する方法がある。
または、磁性材料と、熱可塑性樹脂からなるバインダーとの混合物を射出成型することによって前記前駆体を形成する方法もある。
【0003】
しかしながら、従来の方法では、金型を用いて成型するので、複雑な凹凸を有する形状の磁石は製造が難しいという問題、一般に磁性材料は硬脆性材料であるため、成型後に切削加工や研磨加工で凹凸を形成することも難しいという問題、および磁気異方性を有する磁性材料を用いる場合、成型前に磁場をかけても複合粒体レベルでの磁性方向が揃うに過ぎず、複合粒体を構成している磁性材料の粉体粒子のレベルで磁性方向を揃えることはできないので、十分な磁場指向性が得られないといった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、金型を使用せずに、例えば磁性体等の複雑な形状の構造物を製造することができる構造物の製造方法および製造装置を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、磁気異方性を有する磁性材料を用いて、磁場指向性に優れた磁性体を製造することができる磁性体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁性体の製造方法は、磁気異方性を有する粉体状の磁性材料からなる粉体層を形成する粉体層形成工程と、粉体層に対して磁場をかける励磁工程と、粉体層に対してバインダーを含む液滴を吐出するバインダー吐出工程と、粉体層形成工程、励磁工程およびバインダー吐出工程を複数回繰り返すことにより、粉体層を順次積層して、磁性体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、を備え、複数回行われる励磁工程の少なくとも1回において、他の励磁工程とは異なる向きの磁場をかけることを特徴とする。
【0006】
この方法によれば、複数回行われる励磁工程の少なくとも1回において、他の励磁工程とは異なる向きの磁場をかけるので、積層された粉体層に応じて磁化容易軸方向が異なる立体的な磁性体を、金型を使用せずに製造することができる。
【0007】
本発明の他の磁性体の製造方法は、磁気異方性を有する粉体状の磁性材料からなる粉体層を形成する粉体層形成工程と、粉体層に対して磁場をかける励磁工程と、粉体層に対してバインダーを含む液滴を吐出するバインダー吐出工程と、粉体層形成工程、励磁工程およびバインダー吐出工程を複数回繰り返すことにより、粉体層を順次積層して、磁性体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、を備え、複数回行われる励磁工程の少なくとも1回において、1つの粉体層のバインダーを吐出する領域のうち、異なる部分にそれぞれ異なる向きの磁場をかけることを特徴とする。
【0008】
この方法によれば、複数回行われる励磁工程の少なくとも1回において、1つの粉体層のバインダーを吐出する領域のうち、異なる部分にそれぞれ異なる向きの磁場をかける。したがって、磁化容易軸方向が異なる複数の領域を内部に有する立体的な磁性体を、金型を使用せずに製造することができる。
【0009】
これらの発明の磁性体の製造方法では、複数回行われる粉体層形成工程の少なくとも1回において、他の粉体層形成工程とは異なる厚さとなるように粉体層を形成するとしてもよい。この方法によれば、磁性体の立体形状が複雑な部分では、粉体層の厚さを薄く、また、単純な部分では、前者に比べて厚くする、すなわち、積層される粉体層ごとの厚さを調整することにより、複雑な立体形状の磁性体を、金型を使用せずに製造することができる。なお、この場合、粉体層の厚さは、少なくとも磁性材料の粒径以上であり、且つバインダーと粉体との接触が不均一とならない範囲にあることが望ましい。
【0010】
また、複数回行われる粉体層形成工程の少なくとも1回において、他の粉体層形成工程とは異なる磁性材料を用いて粉体層を形成するとしてもよい。この方法によれば、異なる磁性材料からなる立体的な磁性体を、金型を使用せずに製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、製造される所定形状の構造物の一例として、磁性体の一つである磁石の製造装置およびその方法について示す。
(製造装置)
図1は本発明に係る磁石の製造装置の一実施形態を示したものである。
図中符号1は、粉体を収容可能な凹部(層形成領域)1aを備えた基台1である。基台1の表面1cは水平面となっており、この面に平行で互いに直交する方向をX方向およびY方向、基台1の厚さ方向、すなわち凹部1aの深さ方向をZ方向とする。凹部1aの底面1bは水平な平面であり、該底面1bは垂直方向(Z方向)に進退可能に構成されている。図中符号7は、凹部1aの底面1bを進退させるための駆動手段であり、例えば ボールネジ、リニアモータ、エアシリンダなどで構成される。
基台1の上方には粉体を貯留する粉体貯留槽2が設けられており、この粉体貯留槽2から所定量の粉体が、基台1の凹部1a内に供給されるように構成されている。また、基台1の表面に接触しながらX方向およびY方向に移動可能なブレード3が設けられており、このブレード3を移動させることにより、凹部1a内に供給された粉体層の表面を基台1の表面と面一に均すことができるように構成されている。本実施形態において粉体層形成手段は、粉体貯留槽2とブレード3とからなる。
【0014】
また、基台1の上方には、液滴を吐出する複数のノズルを備えたヘッド(吐出手段)4が、X方向およびY方向に移動可能に設けられている。ヘッド4のノズルは、ヘッド4の下面に設けられており、これらのノズルから、基台1の凹部1a内の粉体層に対して、バインダーを含む液滴が吐出されるように構成されている。ヘッド4の構成は、既知のインクジェット装置における液滴吐出ヘッドの構成を用いることができる。
図中符号8a、8bは、ヘッド4を移動させるための駆動手段であり、例えば
ボールネジ、リニアモータ、エアシリンダなどで構成される。
またヒータ5は、必要に応じて基台1の凹部1a内の粉体層を加熱することによって、該粉体層に付与された液滴に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行うことができるように構成されている。
【0015】
基台1の外側には、基台1の凹部1aを挟んで対向する一対の磁場発生装置(励磁手段)6,6が設けられている。磁場発生装置6,6は、その一方から他方に向かう方向の磁場を発生させることができるもので、例えば電磁コイル等が用いられる。
凹部1の底面1bの進退、粉体貯留槽2から基台1の凹部1a内への粉体の供給、ブレード3の移動、ヘッド4の移動と液滴の吐出、ヒータ5のオン/オフ、および磁場発生装置6,6のオン/オフは制御装置(図示せず)によって制御されるように構成されている。
【0016】
(製造方法)
次に、本発明に係る磁石の製造方法について説明する。
本発明で用いられる磁性材料は、磁場をかけることにより磁化されて磁石となり得る材料であればよく、磁石の構成材料として周知の各種磁性材料を用いることができる。好ましくは、鉄属遷移金属と希土類金属の化合物が好ましく、具体的には、Nd−Fe−B(ネオジム−鉄−ホウ素)化合物、Sm−Co(サマリウム−コバルト)化合物、Sm−Fe−N(サマリウム−鉄−窒素)化合物等が好ましい。
磁性材料は粉体の形態で用いられる。磁性材料の粉体の粒径は特に限定されないが、後述する粉体層形成工程での取り扱い性や流動性が良好で、 かつ、薄い層状に敷き詰めた場合の粉体密度が高い方が好ましいので、平均粒径を数μm〜数十μm程度とするのが好ましい。
磁性材料は磁気異方性を有するものでもよく、磁気等方性を示すものでもよい。本明細書において磁気異方性を有する磁性材料とは、磁化容易軸の方向だけに磁化される性質を持ち、成形時に磁界によって方向を揃えること(配向)で、より強力な磁石を作ることが出来る磁性材料であり、例えばSm−Co(サマリウム−コバルト)化合物 等である。また磁気等方性を有する磁性材料とは、どの方向からも等しく磁化される性質を持っている磁性材料であり、例えばNd−Fe−B(ネオジム−鉄−ホウ素)化合物等である。
【0017】
本発明で用いられるバインダーは、粉体状の磁性材料と結合して、磁石としての使用に耐えうる程度の硬度を有する立体を形成できるもので、かつ磁石製造装置の吐出手段から、液滴として吐出できる液状に調製可能なものであればよく、特に限定されない。例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂、合成ゴム等のエラストマー、ポリイミド系樹脂等の耐熱性樹脂、紫外線硬化型樹脂等を用いることができる。
バインダーは、必要に応じて溶剤と混合して用いられる。溶剤は、特に限定されず、周知の溶剤の中から、使用するバインダーとの相溶性が良好なものを選択して用いることができる。溶剤の具体例としてはエタノール・n−プロピルアルコール・i−プロピルアルコール・n−ブタノール・セルソルブ等のアルコール類、アセトン・メチルエチルケトン・シクロヘキサノン等のケトン類、シクロヘキサン・ヘキサン・ヘプタン・オクタン・ミンネラルスピリッツ・ベンゼン・トルエン・キシレン等の炭化水素化合物等が挙げられる。
【0018】
次に、図1に示す構成の製造装置を用いて磁石を製造する方法の一実施形態について説明する。
図2は、粉体層形成工程および励磁工程を説明する図で、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線に沿う断面を模式的に示した図である。図中符号11は粉体層、11aは磁性材料の粉体(以下、磁性粉末ということもある)を示す。本実施形態では、磁性材料として磁気異方性を有する材料を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0019】
(粉体層形成工程)
予め、コンピュータにより、得ようとする磁石の立体形状を互いに平行な切断面で複数の層に分割したときに得られる各分割体の形状をデータ化しておく。本実施形態では、前記切断面をX−Y平面に設定し、該切断面に対して垂直な方向をZ方向と設定する。また各分割体のZ方向の厚さ(切断面間の距離)をdとする。分割体の厚さdは、粉体層11の一層分の厚さに相当するもので、分割体の厚さdが小さいほど磁石のより複雑な形状に対応できるが、製造時間が増加する。分割体の厚さdは、磁性粉末11aの粒径以上であればよいが、粉体層11の厚さdが大きすぎると粉体層11に対してバインダーを吐出したときに、バインダーと粉体との接触が不均一になって粉体の結合が不十分になるおそれがあるので、このような不都合が生じない範囲で設定することが好ましい。
なお、1個の磁石を構成する複数の分割体は、その厚さdが全部等しくなくてもよく、例えば、磁石の立体形状が単純な部分では、立体形状が複雑な部分よりも、分割体の厚さdを大きく設定することができる。
【0020】
まず、磁石を構成する複数の分割体のうち、Z方向において一番下側となる分割体を形成するための粉体層11を形成する。
すなわち、図2に示すように、粉体貯留槽2に貯留されている磁性粉末11aを基台1の凹部1a内に供給した後、ブレード3で磁性粉体11aの表面を基台1の表面1cと面一に均すことにより粉体層11を形成する。このとき、凹部1aの底面1bを、基台1の表面から底面1bまでの深さが前記分割体の厚さdとなるように位置決めする。これにより、凹部1a内に、その深さに等しい厚さdの粉体層11が形成される。
【0021】
(励磁工程)
次に、本実施形態では、磁性粉末11aが磁気異方性を有するので、粉体層11に対して磁場をかけて磁性粉末11aの向きを揃える。
具体的には、基台1の凹部1aの両側に設けられた一対の磁場発生装置6,6を作動させて、該磁場発生装置6,6の一方から他方に向かう方向の外部磁場を発生させる。これにより、粉体層11を構成している個々の磁性粉末11aは、磁化容易軸方向が外部磁場の方向に平行となるように、その向きを変える。図中、矢印は外部磁場の向きおよび磁性粉末11aにおける磁化容易軸方向を示している。
この励磁工程で粉体層11にかける外部磁場の強さは、弱すぎると粉体を指向させうるに十分なエネルギーを発生できず、強すぎると粉体そのものを磁場方向に飛散させてしまうので、磁性粉末の粒度や磁場発生装置の配置距離などに応じて適度に調節することが望ましい。
【0022】
(バインダー吐出工程)
次に、図3に示すように、粉体層11に対して、ヘッド4のノズルから、バインダーを含む液滴を吐出する。バインダーを含む液滴の吐出は周知のインクジェット方式の手法により行うことができる。
このとき、ヘッド4の移動と液滴の吐出の制御は、磁石の一番下側となる分割体21の形状のデータに基づいて行い、粉体層11のうち、磁石の一番下側となる分割体21に対応する領域(図中斜線で示す)にバインダーを含む液滴を吐出する。
バインダーを含む液滴の粘度や表面張力等の物性は、粉体層11に対して吐出された位置において、磁性粉末11aの表面を濡らすことができるとともに、吐出された粉体層11よりも下層には流動し難いように調整することが好ましい。
さらに、必要であれば粉体層11に対して液滴を吐出した後、ヒータ5により粉体層11を加熱して、粉体層11に吐出された液滴に含まれる溶剤を蒸発させたり、液滴を乾燥させてもよい。
これにより、粉体層11のうち、バインダーを含む液滴が吐出された領域においては、磁性粉末11aとバインダーが結合、一体化され、磁石の一番下側の分割体21が形成される。
【0023】
(前駆体形成工程)
図4は、前駆体形成工程を説明する模式断面図である。この図は下から4層目までの分割体21,22,23,24を形成した状態を示している。
前述のようにして磁石の一番下側の分割体21を形成した後、下から2層目の分割体22を形成する。すなわち、前記一番下側の分割体21を形成した後、基台1の凹部の底面1bをZ方向下方に距離dだけ移動させて、基台1の表面1cから、一番下側の分割体21を含む粉体層11の表面までの深さをdとする。 そして、前記粉体層形成工程と同様に、凹部1a内に磁性粉末11aを供給した後、ブレード3で表面を均して2層目の粉体層22を形成し、この2層目の粉体層22に対して、前記励磁工程と同様にして外部磁場をかけて磁性粉末の向きを揃える。この後、前記バインダー吐出工程と同様にして、下から2層目となる分割体22の形状のデータに基づいて、2層目の粉体層22の所定領域に対して液滴を吐出し、必要に応じて溶媒の除去、乾燥を行うことにより、一番下側の分割体21の上に、下から2層目の分割体22を形成する。
続いて、同様にして、基台1の凹部の底面1bの移動、3層目の粉体層13の形成、該3層目の粉体層に対する励磁工程およびバインダー吐出工程を行って、下から2層目の分割体22上に、下から3層目の分割体23を形成する、という一連の工程を繰り返すことにより、分割体を下層から順に積層形成する。
そして、一番上層の分割体まで形成し終えたら、各分割体中のバインダーを硬化させて全部の分割体を一体化し、基台1の凹部1a内の磁性粉末11aの中から全層の分割体が一体化された立体、すなわち磁石の前駆体を取り出す。
【0024】
(磁化工程)
さらに、得られた前駆体に磁場をかけて該前駆体を磁化することによって、磁石が得られる。
【0025】
本実施形態によれば、金型を使用せずに、また成型後の切削加工や研磨加工を行わずに、凹凸を有する形状の磁石を容易に製造することができる。
また、従来法では、磁性材料の粉体とバインダーとを予め混練した複合粒子を粉体圧縮成型に用いたり、射出成型に用いたりしていたので、バインダーとしては前記複合粒子の状態で取り扱う工程では硬化せず、成型後に硬化できる熱硬化性樹脂などを用いる必要があったが、本実施形態では、予め磁性粉末とバインダーを混合しておく必要が無いので、バインダーは液滴として吐出可能なものであればよく、従来法に比べて、バインダーとして用いる材料の選択範囲が拡大される。
さらに、磁気異方性を有する磁性材料に対して、磁性粉末11aが流動可能な状態で外部磁場をかけた後にバインダーと接触させるので、個々の磁性粉末11aの磁化容易軸方向を揃えた状態で固定することができ、磁場指向性に優れた磁石を得ることができる。
【0026】
なお、上記の実施形態では、磁石を構成する全層の分割体を積層形成し終えてから、バインダーを硬化させて前駆体を得たが、バインダーとして紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、1層分の分割体を形成する毎に紫外線を照射してバインダーを硬化させる必要がある。
この場合には、1層毎に、磁性粉末の磁化容易軸方向が揃った状態で確実に固定されるので、磁石の磁場指向性を向上させるうえで特に有効である。
【0027】
また、上記の実施形態では、磁気異方性を有する磁性材料を用いたが、磁気等方性を有する磁性材料を用いても同様にして磁石を形成することができる。ただし、磁性材料が磁気等方性を有する場合には、前記励磁工程は行う必要がなく、製造装置における磁場発生装置6,6は使用しなくてよい。
【0028】
また、磁石を構成する個々の磁性粉末の磁化容易軸方向が、全部の磁性粉末について一様に揃っていなくてもよい。
例えば、複数回行われる励磁工程のうち、任意の回の励磁工程において粉体層にかける磁場の向きを、その前回の励磁工程とは異なる向きとすれば、磁石を構成する分割体の界面を境界として、該境界の上層と下層とで磁性粉末の磁化容易軸方向が異なる磁石を製造することができる。
または、例えば、複数回行われる励磁工程のうち、任意の回の励磁工程において、粉体層の一部にはX方向の磁場をかけ、その他の部分にはZ方向の磁場をかけるなど、1層分の粉体層の中でも部分毎に磁場の向きを変えることによって、1つの分割体の中の異なる部分で、磁性粉末の磁化容易軸方向が異なっている分割体を含む磁石を製造することができる。
【0029】
また、磁石を構成する複数の分割体が、全部同じ磁性粉末からなっていなくてもよい。
例えば、複数回行われる粉体層形成工程のうち、任意の回の粉体層形成工程において、その前回の粉体層形成工程とは異なる組成の磁性粉末を用いてもよく、これにより、磁石を構成する分割体の界面を境界として、該境界の上層と下層とで磁性粉末の組成が異なる磁石を製造することができる。
なお、本実施例では、粉体磁石を用いて磁石の製造をする例を示したが、本発明はこれに限定されず、励磁の必要がなければ、例えば金属粉体を用いて金属構造物を製造する工程や、あるいは、プラスチック樹脂による構造物を製造する場合にも適用が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、金型を使用せずに、複雑な形状の構造物を製造することができる。また、とくに磁石製造の場合においては、磁気異方性を有する磁性材料を用いて、磁場指向性に優れた磁石を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁石の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の磁石の製造方法の一実施形態における粉体層形成工程および励磁工程を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線に沿う模式断面図である。
【図3】 本発明の磁石の製造方法の一実施形態におけるバインダー吐出工程を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線に沿う模式断面図である。
【図4】 本発明の磁石の製造方法の一実施形態における前駆体形成工程を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 基台
1a 凹部(層形成領域)
1b 底面
4 ヘッド(吐出手段)
6 磁場発生手段(励磁手段)
11,12,13,14 粉体層
11a 磁性粉末(粉体状の磁性材料)
21,22,23,24 分割体

Claims (4)

  1. 磁気異方性を有する粉体状の磁性材料からなる粉体層を形成する粉体層形成工程と、
    前記粉体層に対して磁場をかける励磁工程と、
    前記粉体層に対してバインダーを含む液滴を吐出するバインダー吐出工程と、
    前記粉体層形成工程、前記励磁工程および前記バインダー吐出工程を複数回繰り返すことにより、前記粉体層を順次積層して、磁性体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、を備え、
    複数回行われる前記励磁工程の少なくとも1回において、他の励磁工程とは異なる向きの磁場をかけることを特徴とする磁性体の製造方法。
  2. 磁気異方性を有する粉体状の磁性材料からなる粉体層を形成する粉体層形成工程と、
    前記粉体層に対して磁場をかける励磁工程と、
    前記粉体層に対してバインダーを含む液滴を吐出するバインダー吐出工程と、
    前記粉体層形成工程、前記励磁工程および前記バインダー吐出工程を複数回繰り返すことにより、前記粉体層を順次積層して、磁性体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、を備え、
    複数回行われる前記励磁工程の少なくとも1回において、1つの前記粉体層の前記バインダーを吐出する領域のうち、異なる部分にそれぞれ異なる向きの磁場をかけることを特徴とする磁性体の製造方法。
  3. 複数回行われる前記粉体層形成工程の少なくとも1回において、他の粉体層形成工程とは異なる厚さとなるように前記粉体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の磁性体の製造方法。
  4. 複数回行われる前記粉体層形成工程の少なくとも1回において、他の粉体層形成工程とは異なる磁性材料を用いて前記粉体層を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁性体の製造方法。
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