JP3967960B2 - インクジェット記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用シート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3967960B2
JP3967960B2 JP2002146190A JP2002146190A JP3967960B2 JP 3967960 B2 JP3967960 B2 JP 3967960B2 JP 2002146190 A JP2002146190 A JP 2002146190A JP 2002146190 A JP2002146190 A JP 2002146190A JP 3967960 B2 JP3967960 B2 JP 3967960B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic fine
fine particles
receiving layer
group
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002146190A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003335050A (ja
Inventor
俊作 東
良一 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2002146190A priority Critical patent/JP3967960B2/ja
Publication of JP2003335050A publication Critical patent/JP2003335050A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3967960B2 publication Critical patent/JP3967960B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインクジェット記録に供給される被記録材及びその製造方法に係るものであり、詳しくは、優れたインク受容性能を有し、経時ニジミが改善され生産適性の良好なインクジェット記録用シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報技術(IT)産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および記録装置も開発され、各々実用化されている。これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと)、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが充分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記した諸特性の向上を目的として、近年では色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有する。例えば、特開平10−119423号や同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有する色材受容層を有するインクジェット記録用シートが提案されている。これら記録用シート、特に無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる色材受容層を設けたインクジェット記録用シートは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
【0005】
また、インクジェット記録の場合には、精細な画像を得る上で、液状インクを早く吸収し、インク滲みやインク溜まりの無いこと等が要求される。これらの点を解決するために、従来から様々な提案がなされている。
例えば、特開昭57−14091号公報および特開昭61−19389号公報には、透明支持体と、その上に設けられたコロイダルシリカと水溶性樹脂との透明層からなる記録用シートが提案されている。しかしながら、この透明層は、コロイダルシリカの粒子が大きすぎ、また水溶性樹脂の量が多過ぎるため充分に大きな空隙率が得られず、このため上記記録用シートは充分に大きいインキ吸収速度を示しにくいという問題がある。
【0006】
特開平2−276670号公報および特開昭3−281383号公報には、擬ベーマイト微粒子から形成された細孔を有する色材受容層を有する記録用シートが開示されている。確かに、この記録用シートによるとインキ吸収性は向上するものの、検討の結果より、屈折率が1.65と高いために充分に高い透明度が得られないことが判明した。
【0007】
更に、特開昭61−53598号公報には、支持体と、その上に設けられた合成シリカ、屈折率1.44〜1.55の微粒子及び水溶性樹脂からなる透明層を有する記録用シートが開示されている。合成シリカは、通常10nmを超える一次粒子径を有し、更に二次粒子は数100nmの粒径となる。このような二次粒子は、光を散乱し易く、従ってこのような粒子を含む記録用シートは、充分に高い光線透過率を示さない。更に、透明層が大きな二次粒子のため比較的多きな空孔を有するので、インク滲みやインク溜まりの発生を充分に防止することができない。
【0008】
一方、特開平7−276789号公報では、無機微粒子と水溶性樹脂とから形成された高い空隙率の三次元構造を有する色材受容層が透明支持体上に設けられた記録用シートが提案されている。この構成により、上記インク吸収性とインク滲みの抑制が充分で、解像度が高い画像を得ることができるとされている。また、特開平11−115308号公報には、色材受容層が、無機微粒子と水溶性樹脂とを含む塗布液を支持体上に塗布し、その塗布と同時に、あるいは塗布した層が恒率乾燥速度を示す間(減率乾燥速度を示すようになる前)に、その水溶性樹脂を架橋させることができる架橋剤を含む溶液を塗布等の方法で付与し硬化させてなる記録用シートが提案されている。この方法により、液状インクを早く吸収し、インク滲みやインク溜まりの無い精細な画像を得ることができる旨が記載されている。
ところが、これらはいずれもインクジェット記録におけるインクの吸収性と滲みの抑制にある程度の効果は認められるが、その効果は必ずしも充分でなく更なる改善が望まれていた。
【0009】
他方、インクジェット記録用シートは、無機微粒子を予め水系溶媒に分散した無機微粒子分散液を用いて色材受容層形成用の塗布液を調製した後、この塗布液を支持体上に塗布する等して色材受容層を形成することによって製造することができる。しかしながら、無機微粒子分散液を調製した後の分散安定性が不充分であると、最終的に調製される色材受容層形成用の塗布液の液安定性(分散性、粘度)も低下するだけでなく、形成された色材受容層のインク吸収性等をはじめとするインク受容性能が一様でなかったり、表面光沢や形成画像の解像度、色濃度などを損なう等、製品品質を低下させる一因となる。また、調製した無機微粒子分散液の液安定性が低い場合には、生産性が低下するばかりか、歩留りも悪くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、無機微粒子を分散させた無機微粒子分散液を含む色材受容層用塗布液を支持体上に塗布して色材受容層を設けてなるインクジェット記録用シートにおいて、無機微粒子分散液の液安定性に起因して生ずる性能低下や歩留りの発生を防止して、生産性を向上させ得る技術が確立されるまでに至っていないのが現状であり、形成された色材受容層のインク吸収性や画像形成後の経時ニジミ耐性の点でも更なる改善の余地が残されていた。
【0011】
本発明は、上記諸問題に鑑みて成されたものであり、色材受容層形成用の塗布液の調製にあたって、無機微粒子を分散した無機微粒子分散液の安定性を良化し、歩留りを抑えてインクジェット記録用シートの生産性を向上させることができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供すること、並びに前記インクジェット記録用シートの製造方法により得られ、良好なインク吸収性を持ちながら、経時でのニジミがなく、かつ生産適性に優れたインクジェット記録用シートを提供すること、を目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 無機微粒子を分散させた無機微粒子分散液を含む色材受容層用塗布液を支持体上に塗布して色材受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、前記無機微粒子を、重量平均分子量2000〜15000のカチオン性ポリマー及び重量平均分子量20000〜50000のカチオン性ポリマーを含む少なくとも二種のカチオン性ポリマーと混合して分散することにより無機微粒子分散液を調製し、調製された前記無機微粒子分散液に更に水溶性樹脂および該水溶性樹脂を架橋する架橋剤を加えることを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0013】
> 前記カチオン性ポリマーの少なくとも二種が、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びポリモノメチルジアリルアンモニウムクロライドである前記<1>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
【0014】
> 前記カチオン性ポリマーの各一種の混合量が、混合される全カチオン性ポリマーの全質量に対して10質量%以上である前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
前記少なくとも二種のカチオン性ポリマーの総混合量が、無機微粒子の混合質量に対して3〜8質量%である前記<1>〜<>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法である。
> 前記<1>〜<>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法によって得られることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法は、無機微粒子を重量平均分子量の異なる少なくとも二種の分散剤と混合して分散することを特徴とするものである。以下、本発明のインクジェット記録用シートの製造方法について詳細に説明し、該説明を通じてこの製造方法により得られるインクジェット記録用シートについても詳述する。
【0016】
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法は、無機微粒子を分散させた無機微粒子分散液を含む色材受容層用塗布液を支持体上に塗布することによって、少なくとも一層の色材受容層を形成する。このとき、前記無機微粒子を、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマー(分散剤)と混合して分散を行なうことによって無機微粒子分散液を調製する。
【0017】
本発明では、無機微粒子を分散する過程において、重量平均分子量2000〜15000のカチオン性ポリマー及び重量平均分子量20000〜50000のカチオン性ポリマーを含む、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマーを併用した系で無機微粒子を分散させることにより、無機微粒子の水系溶媒中での分散安定性が高められ、液の不均一や増粘を防止することができる。これにより、最終的に調製される色材受容層形成用の塗布液(以下、色材受容層用塗布液ともいう。)の分散性、均一性、粘度などの液安定性を向上でき、支持体上の色材受容層に形成された画像の経時ニジミをも防止することができる。
【0018】
本発明に係る色材受容層は、例えば、少なくとも無機微粒子と重量平均分子量2000〜15000のカチオン性ポリマー及び重量平均分子量20000〜50000のカチオン性ポリマーを含む少なくとも二種のカチオン性ポリマー(分散剤)とを含んで分散された無機微粒子分散液を調製し、この無機微粒子分散液(好ましくは、これに更に水溶性樹脂や媒染剤、界面活性剤等を加えてなる)を含む塗布液(色材受容層用塗布液)を支持体表面に塗布して塗布層を形成し、さらに前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pHが8以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)によって好適に形成することができる。尚、前記塗布液及び塩基性溶液に含有する各成分の詳細については後述する。
【0019】
このとき、前記架橋剤は水溶性樹脂を架橋し得るものであり、前記塗布液あるいは塩基性溶液の少なくとも一方又は両方に含有させることが好ましい。このようにして架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のひび割れ防止などの観点から好ましい。
【0020】
前記無機微粒子分散液の調製は、無機微粒子の水分散液(例えば気相法シリカ水分散液)を予め調製し、この水分散液をカチオン性ポリマーを含む分散剤水溶液に添加するようにしてもよいし、カチオン性ポリマーを含む分散剤水溶液を前記水分散液に添加するようにしてもよいし、無機微粒子及びカチオン性ポリマーを溶媒と共に同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加することもできる。
【0021】
前記無機微粒子分散液には、分散剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマーを含有する。カチオン性ポリマーは三種以上含有してもよく、そのうちの二種において重量平均分子量が異なる組合せになっていればよい。少なくとも二種において、重量平均分子量が異なるものであれば、調製した無機微粒子分散液や色材受容層用塗布液の液安定性を向上させることができ、歩留りを低減し生産適性が向上すると共に、形成画像の経時ニジミを防止することができる。
【0022】
上記の中でも、複数含まれるカチオン性ポリマーのうちの一種の重量平均分子量が2000〜15000であり、かつ他の一種の重量平均分子量が20000〜50000である組合せが好ましい。上記範囲で組合せることにより、液安定性をより高めることができる。
【0023】
無機微粒子と共にカチオン性ポリマーを混合する場合、一種のカチオン性ポリマーの混合量としては、混合される全カチオン性ポリマーの全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
各一種の混合量が、10質量%未満であると、併用することによる効果、即ち無機微粒子分散液および色材受容層塗布液の液安定性の向上効果が得られないことがある。
【0024】
重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマーの総混合量としては、無機微粒子の混合質量に対して、3〜8質量%が好ましく、4〜6質量%がより好ましい。前記総混合量が、3質量%未満であると、調製した無機微粒子分散液および色材受容層用塗布液の経時での分散性が低下し、増粘等して液安定性が低下することがあり、8質量%を超えると、画質、インクの滲みに対して悪影響を及ぼすことがある。
【0025】
無機微粒子と分散剤とを混合し分散する場合、混合後の混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの無機微粒子分散液として得ることができる。この分散液を得るのに好適な分散機としては、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機など、従来公知の各種の分散機を使用することができる。形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点からは、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0026】
前記無機微粒子分散液および色材受容層用塗布液の調製に用いる溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。下記の他の工程における溶媒としても同様の溶媒を使用することができる。
【0027】
後述するように、本発明では分散剤として、いわゆる媒染剤と称される化合物を好適に用いることができるため、別途媒染剤を加える必要は必ずしもないが、別途媒染剤を付与することによって、媒染剤を、受容層表面からの媒染剤存在部分の厚みが受容層厚みに対し10〜60%であるように存在させた態様も好適である。この場合、例えば、▲1▼無機微粒子、カチオン性ポリマー(分散剤)、水溶性樹脂等を含む塗布層を形成し、媒染剤含有溶液をその上に塗布する方法、▲2▼無機微粒子、カチオン性ポリマー(分散剤)、水溶性樹脂等を含む塗布液と媒染剤含有溶液を重層塗布する方法等任意の方法で形成できる。また、媒染剤含有溶液中に無機微粒子、水溶性樹脂、架橋剤等が含有されていてもよい。
【0028】
前記のようにすると、媒染剤が色材受容層の表層部に多く存在するので、インクジェットの色材が充分に媒染され、色濃度、経時ニジミ、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性を向上させることができる。媒染剤の一部は最初に支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合は、後から付与する媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0029】
本発明において、無機微粒子である気相法シリカと、分散剤A及びBと、水溶性樹脂であるポリビニルアルコールとを少なくとも含有する色材受容層用塗布液(塗布液A)は、例えば、以下のように調製することができる。即ち、
気相法シリカ(微粒子)と分散剤(重量平均分子量2000〜15000)A及びB(重量平均分子量20000〜50000)とを水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させて気相法シリカ分散液とした後、これにポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、前記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。塗布液に安定性を付与する点で、アンモニア水等によってpH=9.2程度に調節することが好ましい。得られた塗布液は均一なゾル状態のまま安定に保持することができ、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、均一に三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
【0030】
色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行うことができる。
【0031】
色材受容層用塗布液(塗布液A)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塩基性溶液(塗布液B)が付与される場合、該塗布液Bは、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液(塗布液A)の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塗布液Bを導入することで好適に製造される。この塗布液Bには、媒染剤を含有させることができる。
【0032】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0033】
上記の通り、塗布液Aの塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0034】
前記塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与する方法としては、▲1▼塗布液Bを塗布層上に更に塗布する方法、▲2▼スプレー等の方法により噴霧する方法、▲3▼塗布液B中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0035】
前記方法▲1▼において、塗布液Bを塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法を利用することができる。特に、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0036】
塗布液Bの付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0037】
また、前記塩基性溶液(塗布液B)を、色材受容層塗布液(塗布液A)を塗布すると同時に付与する場合、塗布液A及び塗布液Bを、塗布液Aが支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0038】
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0039】
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行なった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、塗布液A及び塗布液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0040】
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。ここでの水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
【0041】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
【0042】
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0043】
前記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0044】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
前記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0045】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
前記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株)製)を用いて測定することができる。
【0046】
本発明のインクジェット記録用シートの構成層(例えば、色材受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
【0047】
次に、無機微粒子分散液、並びにこれを含む色材受容層用塗布液に含有する各成分について詳細に説明する。
【0048】
−分散剤−
本発明においては、分散剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマーを、後述の無機微粒子を分散する過程で含有させる。即ち、無機微粒子を分散してなる無機微粒子分散液を用いて色材受容層用塗布液を調製する場合に、無機微粒子分散液の調製段階で重量平均分子量の異なる少なくとも二種のカチオン性ポリマーを併用することで無機微粒子分散液のみならず、これを含んでなる色材受容層用塗布液の液安定性を高めることができる。
【0049】
本発明に係る分散剤(カチオン性ポリマー)は、無機微粒子分散前に予め分散媒である水等の溶媒中に溶解しておくか、あるいは無機微粒子の一次分散後に添加してこれを更に二次分散するなど、無機微粒子の分散処理をする際にその粉砕若しくは凝集解除を促進し、安定化するために添加するものである。これらの分散時には、バインダー成分やその硬膜剤(架橋剤)等を同時に含有してもよい。
【0050】
前記カチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性媒染剤等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤(以下、これらを総じて単に「媒染剤」ともいう。)、並びに水溶性の樹脂成分(水溶性樹脂)が挙げられ、これらの中から適宜重量平均分子量の異なる少なくとも二種を選択して混合することができる。
【0051】
前記有機媒染剤または無機媒染剤を混合した場合には、無機微粒子の分散性、経時での分散安定性を向上させることができると共に、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用して該色材を安定化し、画像形成後の耐水性や耐経時ニジミを良化することができる。
【0052】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0053】
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0054】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0055】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0056】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0057】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0058】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としては、アリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0059】
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0060】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0061】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物等も好ましいものとして挙げることができる。
【0062】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。
【0063】
本発明における有機媒染剤としては、特に経時ニジミの防止の観点から、質量平均分子量が100000以下のポリアリルアミン及びその誘導体が好ましい。
【0064】
<ポリアリルアミン及びその誘導体>
ポリアリルアミン及びその誘導体としては、公知の各種アリルアミン重合体及びその誘導体が使用できる。このような誘導体としては、ポリアリルアミンと酸との塩(酸としては塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸などの有機酸、あるいはこれらの組合せや、アリルアミンの一部分のみを塩にしたもの)、ポリアリルアミンの高分子反応による誘導体(例えば、下式(1)〜(5)で示される繰り返し構造単位を含む重合体等)、ポリアリルアミンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(該モノマーの具体例としては(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、(メタ)アクリルアミド類、アクリロニトリル、ビニルエステル類等)が挙げられる。
【0065】
【化1】
Figure 0003967960
【0066】
上式中、R81〜R84は置換基を有していてもよい有機基を表し、R85及びR86は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい有機基(R81〜R84と同義)又は水素原子を表す。R87は水素原子又はメチル基を表し、R88は−COOR89、−CN、−CONR9091を表す。ここで、R89〜R91は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基を表す。G-は対アニオンを表す。
【0067】
上記の有機基とは、炭化水素部位及び/又はハロゲン化水素部位を含む基であり、これ以外に水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素、ホウ素、ハロゲンなどの原子、及び/又はこれらの組合わせからなる官能基を含んでいてもよい。このような例としては、例えば(置換)アルキル基、(置換)アラルキル基、(置換)アリール基、(置換)アシル基、(置換)スルホニル基、ヘテロ環類などが挙げられる。
【0068】
81〜R84で表される有機基の具体例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、オクタデシル、1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル等);アラルキル基(例えばベンジル、フェニルエチル、ビニルベンジル、1−フェニルビニル、2−フェニルビニル等);アリール基(例えばフェニル、ナフチル、トリル、ビニルフェニル等)が挙げられる。
【0069】
更に、置換基を有する有機基としては、フロロエチル基、トリフロロエチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、ヒドロキシフェニルメチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、フロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられる。
【0070】
また、水酸基を有するものとして、下記に示す基等が挙げられる。
【化2】
Figure 0003967960
【0071】
また、以下に示す有機基等が挙げられる。
−CR101102−COOR103
前記R101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ベンジル基、フェニル基等が挙げられる。
【0072】
−CO−R104−COOH
前記R104は、二価の連結基を表し、例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH=CH−、及び下記連結基等が挙げられる。
【0073】
【化3】
Figure 0003967960
【0074】
−COR105、−COOR106、−CONHR107、−CSNHR108、−SO2109、−P(=O)(OR110)2
前記R105〜R110は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクタデシル基、ベンジル基、フェニル基、−CH=CH−Ph、等が挙げられる。
【0075】
また、R87は、水素原子又はメチル基を表す。R88は−COOR111、−CN、−CONR112113であり、R111〜R113は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基を表す。
111〜R113の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、1,1,1−トリフロロエチル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基等が挙げられる。
【0076】
-の具体例としては、ハロゲンイオン(Cl-、Br-、I-)、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン等が挙げられる。
【0077】
これらのポリアリルアミン誘導体の構造は特に限定されないが、得られた重合体は水溶性、或いは水と混和性のある有機溶媒に可溶である方が好ましいが、水分散性のラテックス粒子の形態でも使用することができる。
【0078】
ポリアリルアミン及びその誘導体の具体例としては、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリモノメチルジアリルアンモニウムクロライド、並びに、特公昭62‐31722号、特公平2‐14364号、特公昭63-43402号、同63-43403号、同63-45721号、同63-29881号、特公平1-26362号、同2-56365号、同2-57084号、同4-41686号、同6-2780号、同6-45649号、同6-15592号、同4-68622号、特許第3199227号、同3008369号、特開平10‐330427号、同11‐21321号、特開2000‐281728号、同2001‐106736号、特開昭62-256801号、特開平7‐173286号、同7‐213897号、同9-235318号、同9-302026号、同11‐21321号、WO99/21901号、WO99/19372号、特開平5-140213号、特表平11‐506488号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
【0079】
前記無機媒染剤としては、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。例えば、マグネシウム、アルミナ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
【0080】
具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミナ、アルミナミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミナ、亜硫酸アルミナ、チオ硫酸アルミナ、ポリ塩化アルミナ、硝酸アルミナ九水和物、塩化アルミナ六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、
【0081】
ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n氷和物、硝酸カリウム、酢酸マンガン、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
【0082】
前記無機媒染剤の中でも、アルミナ含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
【0083】
また、前記媒染剤を混合せずに、あるいは前記媒染剤と共に前記水溶性樹脂を分散剤として混合することができる。水溶性樹脂を混合した場合も、無機微粒子の分散性、経時での分散安定性を向上させることができる。
【0084】
前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0085】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール又はその誘導体が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものも使用できる。
【0086】
水溶性樹脂を分散剤として無機微粒子分散液に混合する場合には、上述した分散剤の混合量の範囲内で使用できる。また、水溶性樹脂は、上記分散剤として用いるほか、色材受容層用塗布液の調製時に更に加えることが可能である。
したがって、水溶性樹脂の総量としては、色材受容層を形成したときの該層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
尚、本発明に係る色材受容層を主に構成する、後述の無機微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
【0087】
尚、透明性を保持する観点からは、微粒子特にシリカ微粒子に組合される水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のPVAがより好ましく、鹸化度80〜99.5%のPVAが特に好ましい。
【0088】
前記ポリビニルアルコール(PVA)は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く充分な強度のある多孔質構造の色材受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インクニジミの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0089】
また、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド、並びに、解離性基としてカルボキシ基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等の他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコールとを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコールの含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0090】
上記のカチオン性ポリマーの中でも、カチオン性媒染剤を分散剤とするのが好ましく、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリモノメチルジアリルアンモニウムクロライドを少なくとも分散剤とするのが特に好ましく、この二種を組合せて混合するのが最も好ましい。
【0091】
上記の水溶性樹脂は、無機微粒子の分散剤として用いるほか、色材受容層用塗布液の調製時において、予め調製した無機微粒子分散液に添加したり、あるいは別途水溶性樹脂を含む水溶液を調製しておき、これを無機微粒子分散液と混合する等して、バインダー成分として色材受容層に含有させることができる。水溶性樹脂は、後述の架橋剤によって架橋されることで強固で耐性に優れた色材受容層とすることができる。
【0092】
塗布形成された色材受容層中における、無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、色材受容層の膜構造及び膜強度に大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明における前記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、かつPB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0093】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には充分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5:1以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0094】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0095】
−無機微粒子−
インクジェット記録用シートの色材受容層は、無機微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該無機微粒子の色材受容層における固形分含有量が60質量%以上、より好ましくは65質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、充分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、無機微粒子の色材受容層における固形分含有量とは、色材受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
【0096】
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも、良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ又は擬ベーマイト、アルミナ微粒子が好ましい。
【0097】
前記無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、あるいは二次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら無機微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。特に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、あるいは平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましい。
【0098】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0099】
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0100】
気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0101】
前記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0102】
また、シリカ微粒子は、前述の他の無機微粒子と併用してもよい。該他の無機微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全無機微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0103】
本発明に用いる無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0104】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0105】
上述の無機微粒子をインクジェット記録用シートに用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0106】
また、上記無機微粒子の分散性を改善する目的で、該無機微粒子表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能基(例えば、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0107】
−架橋剤−
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、微粒子及び水溶性樹脂を含む塗布層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0108】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0109】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0110】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0111】
架橋硬化は、無機微粒子、カチオン性ポリマー、水溶性樹脂等を含有する塗布液(塗布液A)及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液Aを塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液Aを塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。
【0112】
上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。即ち、色材受容層が、無機微粒子及び分散剤等を含有する色材受容層用塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液Aを塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液Aを塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A又は塗布液Bのいずれかに含有すればよく、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいてもよい。
架橋剤の使用量は、層中の水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0113】
−その他の成分−
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、ニジミ防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
上述のカチオン性ポリマー(媒染剤)には、紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの堅牢性向上剤を併用することが好ましい。
【0114】
これら併用してもよい紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0115】
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の内少なくても一種を組合せて用いるのが好ましい。
【0116】
具体的な化合物例は、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特願2001−152237号、特公平4−34512、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書;
【0117】
特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報;
【0118】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号明細書、同第4980275号明細書等に記載のものが挙げられる。
【0119】
その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。その他の成分を添加する場合の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
【0120】
本発明において、色材受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、塗布液A及び塗布液Bにおいて使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
【0123】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0124】
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0125】
本発明で界面活性剤の含有量としては、色材受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、色材受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0126】
本発明において、色材受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。前記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0127】
(支持体)
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0128】
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0129】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0130】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0131】
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0132】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0133】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0134】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0135】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0136】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0137】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0138】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0139】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0140】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0141】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0142】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0143】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0144】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
【0145】
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
【0146】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/ccに調整された基紙を得た。
【0147】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0148】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(オモテ面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
【0149】
[実施例1〜3、比較例1〜4]
(色材受容層用塗布液Aの調製)
下記組成中の▲1▼気相法シリカ微粒子と▲2▼イオン交換水と▲3▼下記表1に示す分散剤を混合し、高速回転式コロイドミル(エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて回転数10000rpmで20分間かけて分散させて、無機微粒子分散液を調製した後、この無機微粒子分散液に、下記▲4▼ポリビニルアルコールと▲5▼ホウ酸と▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテルと▲7▼イオン交換水を含む溶液を加え、更に回転数10000rpmで20分間かけて再度分散を行ない、色材受容層用塗布液Aを調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=▲1▼:▲4▼)は、4.5:1であり、色材受容層用塗布液AのpHは、3.5で酸性を示した。
【0150】
<色材受容層塗布液Aの組成>
▲1▼気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
(レオロシールQS30、平均一次粒子径7nm、(株)トクヤマ製)
▲2▼イオン交換水 …51.7部
▲3▼下記分散剤(下記表1参照)
▲4▼ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)8%水溶液 …27.8部
(PVA124、鹸化度98.5%、重合度2400、(株)クラレ製)
▲5▼ホウ酸(架橋剤) … 0.4部
▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) … 1.2部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製)
▲7▼イオン交換水 …33.0部
【0151】
【表1】
Figure 0003967960
【0152】
(インクジェット記録用シートの作製)
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記から得た色材受容層用塗布液Aを、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この期間は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の媒染剤溶液Bに30秒間浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ(媒染剤溶液を付与する工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚32μmの色材受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用シートを作製した。
【0153】
<媒染剤溶液Bの組成>
▲1▼硼酸(架橋剤) … 0.65部
▲2▼ポリアリルアミン「PAA−10C」10%水溶液 …25部
(媒染剤、日東紡(株)製)
▲3▼イオン交換水 …59.7部
▲4▼塩化アンモニウム(表面pH調製剤) … 0.8部
▲5▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …10部
(エマルゲン109P、2%水溶液、HLB値13.6、花王(株)製)
▲6▼メガファック「F1405」10%水溶液 … 2.0部
(フッ素系界面活性剤、大日本インキ化学工業(株)製)
【0154】
(評価)
(1) 色材受容層用塗布液Aの液安定性
各実施例及び比較例において調製した各々の色材受容層用塗布液Aについて、調製直後、並びに調製後に30℃環境下で7日間保管した後、における液温30℃での粘度をB型粘度計によって測定した。測定結果は下記表2に示す。
【0155】
(2)経時ニジミ
各実施例及び比較例において得た色材受容層用塗布液Aを用いて作製した各インクジェット記録用シートについて、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−900C」)を用いて、マゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画し、X−rite社製の「X−rite310TR」によってビジュアル濃度D1を測定した。引き続き、印画後3時間放置した後、温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿槽に1日間保管した後、再度上記同様にしてビジュアル濃度D2を測定し、その濃度差ΔOD(=D1−D2)によって経時ニジミを評価した。この濃度差(ΔOD)の値が小さい程、経時ニジミの発生は抑制されていることを示す。評価結果は下記表2に示す。
【0156】
【表2】
Figure 0003967960
【0157】
上記表2の結果から、色材受容層用塗布液を調製するにあたって、無機微粒子を重量平均分子量の異なる二種のカチオン性ポリマー(分散剤)を用いて分散し無機微粒子分散液とした実施例1〜3では、調製された色材受容層用塗布液は経時で大きく増粘することなく安定に保持することができ、液安定性が良好であることを示した。また、これらの色材受容層用塗布液を用いて作製したインクジェット記録用シートは、いずれもインク吸収性等のインク受容性が良好であると同時に、画像の経時ニジミも抑制された。
一方、無機微粒子の分散に一種の分散剤しか混合しなかった比較例では、いずれも粘度が高く分散性が必ずしも充分でなく、しかも経時で増粘し分散性は低下してしまった。また、これらを用いて得たインクジェット記録用シートは、特に経時ニジミの点で劣っていた。このように、比較例においては、無機微粒子の分散安定性を向上し、同時に経時ニジミとも良化することはできなかった。
【0158】
【発明の効果】
本発明によれば、色材受容層形成用の塗布液の調製にあたって、無機微粒子を分散した無機微粒子分散液の安定性を良化し、歩留りを抑えてインクジェット記録用シートの生産性を向上させることができるインクジェット記録用シートの製造方法を提供することができる。また、
本発明によれば、上記本発明のインクジェット記録用シートの製造方法により得られ、良好なインク吸収性を持ちながら、経時でのニジミがなく、かつ生産適性に優れたインクジェット記録用シートを提供することができる。

Claims (5)

  1. 無機微粒子を分散させた無機微粒子分散液を含む色材受容層用塗布液を支持体上に塗布して色材受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、
    前記無機微粒子を、重量平均分子量2000〜15000のカチオン性ポリマー及び重量平均分子量20000〜50000のカチオン性ポリマーを含む少なくとも二種のカチオン性ポリマーと混合して分散することにより無機微粒子分散液を調製し、調製された前記無機微粒子分散液に更に水溶性樹脂および該水溶性樹脂を架橋する架橋剤を加えることを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。
  2. 前記カチオン性ポリマーの少なくとも二種が、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びポリモノメチルジアリルアンモニウムクロライドである請求項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
  3. 前記カチオン性ポリマーの各一種の混合量が、混合される全カチオン性ポリマーの全質量に対して10質量%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
  4. 前記少なくとも二種のカチオン性ポリマーの総混合量が、無機微粒子の混合質量に対して3〜8質量%である請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法によって得られることを特徴とするインクジェット記録用シート。
JP2002146190A 2002-05-21 2002-05-21 インクジェット記録用シート及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3967960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002146190A JP3967960B2 (ja) 2002-05-21 2002-05-21 インクジェット記録用シート及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002146190A JP3967960B2 (ja) 2002-05-21 2002-05-21 インクジェット記録用シート及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003335050A JP2003335050A (ja) 2003-11-25
JP3967960B2 true JP3967960B2 (ja) 2007-08-29

Family

ID=29705248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002146190A Expired - Fee Related JP3967960B2 (ja) 2002-05-21 2002-05-21 インクジェット記録用シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3967960B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5249375B2 (ja) * 2011-03-03 2013-07-31 富士フイルム株式会社 積層フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003335050A (ja) 2003-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4041784B2 (ja) インクジェット記録媒体
JP3908718B2 (ja) インクジェット記録媒体のインク受容層用塗布液、インクジェット記録媒体及びインクジェット記録媒体の製造方法
JP3943428B2 (ja) インクジェット記録用シート
JP4090298B2 (ja) 微粒化分散液、インクジェット記録用シート色材受容層塗布液および微粒化分散液の製造方法
JP3967960B2 (ja) インクジェット記録用シート及びその製造方法
JP3949997B2 (ja) インクジェット記録用シート
JP4005461B2 (ja) インクジェット記録用シートの製造方法
JP3948520B2 (ja) インクジェット記録用シート
JP3912793B2 (ja) インクジェット記録用シート
JP2005066845A (ja) インクジェット記録媒体
JP2004058575A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004230769A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004001289A (ja) インクジェット記録用シート
JP2003305944A (ja) インクジェット記録用シート
JP2003305946A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004160982A (ja) インクジェット記録媒体及び画像形成方法
JP2004188852A (ja) インクジェット記録用シート
JP2005066831A (ja) インクジェット記録媒体
JP2004202964A (ja) インクジェット記録用シート
JP2003292794A (ja) 微粒子分散液およびその分散液を使用したインクジェット記録用シート
JP2004330432A (ja) インクジェット記録用媒体
JP2004025485A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004058561A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004174747A (ja) インクジェット記録用シート
JP2004130744A (ja) インクジェット記録用シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070122

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees