JP3967947B2 - 染料含有ネガ型硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタを構成する着色画像の形成に好適な染料含有ネガ型硬化性組成物、並びに該染料含有ネガ型硬化性組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを作製する方法としては、染色法、印刷法、電着法及び顔料分散法が知られている。
前記染色法は、ゼラチン、グリュー、カゼイン等の天然樹脂、あるいはアミン変性ポリビニルアルコール等の合成樹脂からなる染着基材を酸性染料等の染料で染色してカラーフィルタを作製する方法である。該染色法では、染料を用いるため、耐光性や耐熱性及び耐湿性等に問題がある他、大画面では染色及び固着特性を均一にコントロールすることが難しいため色ムラが発生し易く、また、染色に際しては防染層を必要とするために工程が煩雑になる等の問題点を有する。
【0003】
前記電着法は、予め透明電極を所定のパターンで形成しておき、溶媒中に溶解又は分散した顔料を含む樹脂をイオン化させ、電圧を印加して着色画像をパターン状に形成することによってカラーフィルタを作製する方法である。
電着法では、表示用の透明電極以外にカラーフィルタ形成用の透明電極の製膜とエッチング工程を含むフォトリソ工程が必要であるが、その際にショートがあると、線欠陥になり歩留まりの低下を来す。また、原理上ストライプ配列以外、例えばモザイク配列には適用が困難であり、更には透明電極の管理が難しい等の問題点がある。
【0004】
前記印刷法は、熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂に顔料を分散したインクを用いてオフセット印刷等の印刷によってカラーフィルタを作製する簡便な方法である。しかし、使用できるインキが高粘度であるためフィルタリングが難しく、ゴミ、異物及びインキバインダーのゲル化した部分による欠陥が発生し易いこと、印刷精度に伴う位置精度や線幅精度及び平面平滑性の点で問題がある。
【0005】
前記顔料分散法は、顔料を種々の感放射線性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法である。
この方法は、顔料を用いるため光や熱等に安定であると同時に、フォトリソ法によってパターニングするため位置精度にも十分優れており、大画面、高精細カラーディスプレイ用カラーフィルタの作製に好適である。
【0006】
顔料分散法によりカラーフィルタを作製するには、ガラス基板上に着色感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し、乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光し、現像することにより着色画素が得られ、この操作を色数に応じて繰り返すことによりカラーフィルタを得ることができる。
【0007】
顔料分散法としては、特開平1−102469号、特開平1−152499号、特開平2−181704号、特開平2−199403号、特開平4−76062号、特開平5−273411号、特開平6−184482号、特開平7−140654号の各公報に記載され、アルカリ可溶性樹脂としての光重合性モノマーと光重合開始剤とを用いたネガ型感光性組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、近年、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては、更なる高精細化が望まれている。ところが、従来の顔料分散系では本質的に解像度が向上せず、また顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の問題があるため、固体撮像素子のように微細パターンが要求される用途には適さなかった。かかる問題を解決するため、色材として染料を用いる技術が提案されている。
【0009】
染料を使用した感光性組成物には、光酸発生剤や光ラジカル開始剤と架橋剤を併用するネガ型が提案されており、例えば、特開平6−75375号、特開平8−211599号、特開平8−220753号、特開平6−51514号などの公報により開示されている。
【0010】
しかし、染料は本質的に光吸収剤として作用するため、照射光を吸収してしまい、結果として感度が低く、しかも十分な硬化性が得られず、現像後における膜減りが大きいため、これらの改良が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明は、感度が高く、塗布膜としたときの現像後における残膜率の高い染料含有ネガ型硬化性組成物、及び前記染料含有ネガ型硬化性組成物よりなり、透過率が高く、かつ所望の均一厚を有し、パターン形状(解像度)及び色相の良好なカラーフィルタを提供することを目的とする。並びに、
前記カラーフィルタの製造方法であって、硬化度の高いパターンを高感度に形成でき、現像による膜減りを抑制して形状、膜厚の良好な高解像度のカラーフィルタを形成することができるカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、染料含有の組成物を用いたカラーフィルタの良化技術に関し鋭意検討を重ねた結果、有機溶剤可溶性染料を含む硬化性組成物中のアルカリ可溶性樹脂が特定の範囲の分子量分布を有することで前記目的を達成できるとの知見を得、本発明に至った。
【0013】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
(1) (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)有機溶剤可溶性染料、(C)光開始剤、及び(D)架橋剤を少なくとも含むカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物において、前記アルカリ可溶性樹脂は、数平均分子量Mnが4000 〜5×104であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜1.05の範囲にあることを特徴とするカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物である。
アルカリ可溶性樹脂の分子量分布Mw/Mnを上記のような小さい範囲にすることで、組成物自体の感度を向上し得ると共に、現像による塗布膜の膜減りを抑制でき、膜厚が均一で矩形の形状の良好な解像度の高いカラーフィルタを高感度に形成することができる。
前記(1)に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物において、前記(D)架橋剤として、重合性モノマー化合物を用いることができる。
【0014】
(2) 前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、カルボン酸基を有する(メタ)アクリレート系樹脂である前記(1)に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物である。
(3) 前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、フェノール性水酸基を有する樹脂である前記(1)に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物である。
【0015】
(4) 前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物を用いてなることを特徴とするカラーフィルタである。
【0016】
(5) 前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物を基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像してネガ型パターンを形成する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
前記カラーフィルタの製造方法において、所望の色相よりなるカラーフィルタを製造するときには、前記工程が所望の色相数だけ繰り返される。また、必要に応じて、前記ネガ型パターンを加熱硬化する工程を有する態様も好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物、並びにそれを使用したカラーフィルタ及びその製造方法について詳述する。
本発明のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)有機溶剤可溶性染料、(C)光開始剤、及び(D)架橋剤を少なくとも含んで構成され、前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、数平均分子量Mnを4000 〜5×104とし、分子量分布(Mw/Mn)を1.6〜1.05の範囲とする。また、好ましくは(E)溶剤を含み、場合により他の成分を含んで構成される。以下、各成分について説明する。
【0018】
(A)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0019】
上記のほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニールピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニールアルコール、等も有用である。
また、親水性を有するモノマーを共重合してもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級又は3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0020】
その他、前記親水性を有するモノマーとして、テトラヒドロフルフリル基、燐酸、燐酸エステル、4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0021】
また、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。
また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0022】
これら各種樹脂の中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、(メタ)アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0023】
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、等から選ばれるモノマーからなる共重合体が好ましく、カルボン酸基を有するものが特に好ましい。
【0024】
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂も有用である。
前記フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン系樹脂が挙げられる。具体的には、p−ヒドロキシスチレン樹脂、m−ヒドロキシスチレン樹脂、o−ヒドロキシスチレン樹脂及びこれらの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合体、ヒドロキシスチレンとアセトキシスチレンとの共重合体、ヒドロキシスチレンと前記(メタ)アクリル系樹脂(モノマー)との共重合体などが挙げられる。
【0025】
更にまた、例えば、ノボラック樹脂、ビニル重合体等のアルカリ可溶性フェノール樹脂も有用である。
前記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、ビスフェノールA等が挙げられる。これらフェノール類は、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。ノボラック樹脂として具体的には、例えば、メタクレゾール、パラクレゾール若しくはこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
【0026】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物においては、該組成物に含有するアルカリ可溶性樹脂全体における分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)を1.6〜1.05の範囲とすることが必須である。上述のアルカリ可溶性樹脂を2種以上併用する場合、分子量分布が上記範囲にある2種以上を併用してもよいし、上記範囲を満たす限り、分子量分布が上記範囲にあるアルカリ可溶性樹脂の1種若しくは2種以上と上記範囲にない樹脂(モノマー)とを併用してもよい。
【0027】
本発明においては、特にアルカリ可溶性樹脂の分子量分布を上記範囲とすることにより、組成物の高感度化が図れ、該組成物により塗布形成された塗膜の現像後における残膜率を高めることができる。その結果、パターン形状および膜厚を所望の範囲に均一に形成することができ、解像度が高く色相の良好なカラーフィルタを作製することができる。
【0028】
更に、前記分子量分布の中でも、現像後のプロファイルの矩形性をより維持できる点で、1.4〜1.1の範囲にあることが好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、その数平均分子量Mn(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105の重合体が好ましく、2000 〜1×105の重合体がより好ましく、4000 〜5×104の重合体が特に好ましい。
【0029】
上記分子量分布の範囲にあるアルカリ可溶性樹脂を得るためには、公知の重合方法(例えば、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法)を適用し、直接分子量分布の狭い樹脂を合成することが好ましいが、その他にも溶剤分別法(樹脂を良溶剤に溶解した後、貧溶媒に混合し高分子量成分のみ析出させて分子量分布の狭い樹脂を得る方法)やカラムクロマトグラフィーを用いた分子量分画、超臨界流体を用いた分画などの方法を用いることができる。
【0030】
アルカリ可溶性樹脂の染料含有ネガ型硬化性組成物における含有量としては、該組成物の全固形分に対して10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
【0031】
(B)有機溶剤可溶性染料
有機溶剤可溶性染料としては、カラーフィルタとして望ましいスペクトルを有し、且つ後述の溶剤、若しくは前記アルカリ可溶性樹脂含有の溶液に必要な濃度を溶解し得、経時による析出、凝集などを起こさないことが必要である。このような染料としては、カラーインデックスに記載されたC.I.Solvent Colour等から適宜選定できる。油溶性染料、酸性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等からも溶剤溶解性とスペクトルが適合した染料を選定可能である。
【0032】
具体的には、以下に例示される染料が挙げられるが、使用する溶剤やアルカリ可溶性樹脂含有の溶液に可溶であればこの限りでない。
黄系染料では、Valifast Yellow1101,1108,同3108,同3120,同4120,同1151,同3150,Oil Yellow129、赤系染料では、Valifast Red1306,同1308,同1360,同3304,同3311,同2320,同3305,同3320、Valifast Pink2310N,PCRed136P、青系染料では、Valifast Blue2610,同1603,同1605,同2620,同2606(いずれもオリエント化学工業、日本化薬社製)、等が好適に挙げられる。
【0033】
中でも、Valifast Yellow1108,同3120,同1151同1101,同3108,Valifast Red1360,同3304,同3311,Valifast Pink2310N,PCRed136P,Valifast Blue2610,同2620,同2606、等がより好ましく、Valifast Yellow3120,同1151,同1101,Valifast Red1360,同3304,同3311,Valifast Pink2310N,Valifast Blue2610,同2620,同2606、等が特に好ましい。
【0034】
前記有機溶剤可溶性染料は、目的のスペクトルを得るために、2種以上を混合して用いることができる。
また、有機溶剤可溶性染料の含有量としては、目的のスペクトル及び膜厚により異なるが、染料含有ネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましく、8〜30質量%が特に好ましい。
【0035】
(C)光開始剤
光開始剤は、光(放射線を含む)の照射により後述の架橋剤の架橋反応及び重合反応を開始できるものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト、安全性等の観点で選ばれることが好ましい。尚、本明細書中においては「光」の語は放射線を含むものとする。
【0036】
光開始剤には、光酸発生剤、光重合開始剤等が含まれ、適宜選択した1種を、あるいは2種以上を組合せて含有することができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
【0037】
ハロメチルオキサジアゾール化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
【0038】
ハロメチル−s−トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0039】
具体的な例として、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、
【0040】
2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、
【0041】
4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0042】
4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0043】
4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0044】
4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0045】
4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0046】
その他、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123)、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B)、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
【0047】
2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル、等も有用に用いられる。
【0048】
これら光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンジルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0049】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、上述の光重合開始剤のほかに他の公知の開始剤を使用することができる。
具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に開示されているビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に開示されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に開示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に開示されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されているトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。
【0050】
光開始剤(及び公知の開始剤)の総含有量としては、前記アルカリ可溶性樹脂の固形分に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。該総含有量が、0.01質量%より少ないと重合が進み難くなることがあり、50質量%を超えると、重合率は大きくなるが分子量が低くなり膜強度が弱くなることがある。
【0051】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、以上のほか、更に熱重合防止剤を加えておくことが好ましい。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0052】
(D)架橋剤
架橋剤は、光若しくは放射線の照射により光開始剤から発生した酸若しくはラジカルにより活性化され、前記アルカリ可溶性樹脂と反応して架橋を生じたり、架橋剤自身が相互に結合若しくは重合によって架橋を生じさせることで、露光部分のアルカリ現像液への溶解性を低下させて画像を得る目的で用いられる。また、必要に応じて、画像形成後に加熱してパターンを十分硬化させる目的でも架橋剤が有用である。
【0053】
したがって、本発明に係る架橋剤としては、、架橋又は重合反応により膜硬化を行えるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、(d)重合性モノマー化合物、が挙げられる。
【0054】
前記(a)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれであってもよく、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
【0055】
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物を総じて、(b)に係る(メチロール基、アルコキシメチル基又はアシロキシメチル基含有)化合物という。
【0056】
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0057】
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0058】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
【0059】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0060】
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
これら(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0061】
前記(c)の架橋剤、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。以下、これら化合物を総じて、(c)に係る(メチロール基、アルコキシメチル基又はアシロキシメチル基含有)化合物ということがある。
【0062】
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基又はアルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。また、フェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても置換基を有していてもよく、ナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
【0063】
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基の2位又は4位が水素原子であるフェノール性OH基含有化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0064】
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
【0065】
前記架橋剤(c)の具体例としては、フェノール化合物として、例えば、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール、等が挙げられる。
【0066】
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられ、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部又は全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0067】
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0068】
次に、前記(d)重合性モノマー化合物について説明する。重合性モノマー化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましい。
その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート、
【0069】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、
【0070】
特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート、等を挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【0071】
前記架橋剤(a)〜(d)の染料含有ネガ型硬化性組成物における総含有量としては、素材により異なるが、該組成物の固形分に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
【0072】
(E)溶剤
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を調製する際に一般に溶剤が用いられる。溶剤は、各成分の溶解性や染料含有ネガ型硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に染料、バインダー樹脂の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0073】
前記溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
【0074】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、等;
【0075】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、等;
【0076】
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、等が好ましい。
【0077】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
【0078】
(他の成分)
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
【0079】
前記各種添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0080】
また、光若しくは放射線未照射部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行うことができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0081】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、既述の染料含有ネガ型硬化性組成物を、基板上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光(光若しくは放射線を照射)し、現像液で現像することによって、ネガ型の着色パターンを形成する(画像形成工程)。また、必要により、形成された着色パターンを加熱により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。カラーフィルタの作製においては、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことで、所望の色相よりなるカラーフィルタを作製することができる。
この際に使用される光若しくは放射線としては、特にg線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0082】
前記基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(R)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0083】
前記現像液としては、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の未照射部を溶解する一方、照射部は溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
前記有機溶剤としては、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を調製する際に使用される前述の溶剤が挙げられる。
【0084】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。尚、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
【0085】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。本実施例中、有機溶剤可溶性染料を単に「染料」と称する。
【0086】
(実施例1)
1)アルカリ可溶性樹脂P−1の合成
三口フラスコに、ベンジルメタクリレート105.73g、メタクリル酸17.22g、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル26.03g、及び2−メトキシプロパノール600gを仕込み、攪拌装置と還流冷却管、温度計を取り付け、窒素気流下70℃にて重合開始剤V−65(和光純薬工業(株)製)を触媒量添加して8時間攪拌した。得られた樹脂溶液を20Lのイオン交換水に激しく攪拌しながら滴下し、白色粉体を得た。引き続き、この白色粉体を40℃下で24時間真空乾燥し141gの樹脂CP−1を得た。
【0087】
得られたCP−1の組成比を13C−NMRで測定したところ、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル=6/2/2(モル比)であった。また、同CP−1の分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mwは23,000であり、数平均分子量Mnは9,200であり、その分子量分布Mw/Mnは2.5であった。
【0088】
このCP−1(50g)をアセトン500mlに溶解し、ヘキサン2Lに再沈殿させた。沈殿部を再度アセトン200mlに溶解し、ヘキサン1Lに再沈殿させ、この沈殿物を乾燥したところ、分子量分布の狭い樹脂P−1(本発明に係る(A)アルカリ可溶性樹脂)25gを得た。得られたP−1の組成比は、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル=6/2/2(モル比)であった。また、P−1の分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mwは45,000であり、数平均分子量Mn=は37,500であり、その分子量分布Mw/Mnは1.2であった。
【0089】
2)染料含有ネガ型硬化性組成物の調製
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …70部
(PGMEA)
・エチルラクテート …10部
・前記アルカリ可溶性樹脂P−1 … 5部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 8部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.004部
・フッ素系界面活性剤 … 0.4部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(TAZ−107、みどり化学社製) … 1部
・黄色染料 … 4.4部
(Valifast Yellow1101、オリエント化学工業(株)製)を混合して溶解し、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物(1)を調製した。
【0090】
3)下塗り層付ガラス基板の作成
ガラス基板(コーニング1737)を1%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/30分)を行った。
次いで、レジストCT溶液(富士フイルムアーチ(株)製)を、洗浄後のガラス基板上に膜厚2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥し、硬化膜(下塗り層)を形成した。
【0091】
4)染料含有ネガ型硬化性組成物の露光・現像(画像形成工程)
前記2)で得られた染料含有ネガ型硬化性組成物(1)を、前記3)で得られた下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に膜厚が2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、120℃で120秒間プリベークした。
次いで、i線縮小投影露光装置を使用して、塗布膜に365nmの波長でマスクを通して照射し、照射後60%CD−2000(富士フイルムアーチ(株)製)現像液を使用して、26℃で秒間現像した。次いで、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥して、黄色のパターン画像を得た。画像形成は、光学顕微鏡及びSEM写真観察により通常の方法で確認した。
【0092】
5)評価
感度は、塗布膜に対して、2μmの正方形パターンが1:1で再現する最適露光量(mJ/cm2)を求め、これを感度を示す指標とした。値の小さい方が高感度であることを示す。
現像後の残膜率は、パターン形成前の塗布膜の膜厚(T0)に対するパターン形成後(現像後)の膜厚(T1)の比率(T1/T0×100;%)をもって評価した。本実施例ではT0=2μmである。
パターンプロファイルは、2μmの正方形パターンの基板面となす側壁角(鋭角)をSEM写真観察し、85度以上あるものを○、80〜85度を△、80度以下のものを×として評価した。
上記評価の結果は下記表2に示す。
【0093】
(実施例2〜5、比較例1〜2)
実施例1の染料含有ネガ型硬化性組成物(1)の調製において、アルカリ可溶性樹脂P−1に代えて、下記表1に示すアルカリ可溶性樹脂P−2〜P−5、CP−1〜CP−2をそれぞれ用いたこと以外、実施例1と同様にして、染料含有ネガ型硬化性組成物(2)〜(7)を調製し、更にパターン画像を形成した。尚、アルカリ可溶性樹脂P−4,P−5は実施例1のアルカリ可溶性樹脂P−1の合成と類似の方法により得ることができる。また、CP−1は、実施例1のP−1を得る過程で得られた樹脂である。
また、各々の染料含有ネガ型硬化性組成物で形成されたパターン画像を実施例1と同様の方法により評価した。評価の結果を下記表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
(実施例6〜7)
実施例1において、染料含有ネガ型硬化性組成物(1)に代えて、下記組成を混合し溶解して得た染料含有ネガ型硬化性組成物(8)又は(9)をそれぞれ用いたこと以外、実施例1と同様にパターン画像を形成した。更に、各々形成されたパターン画像を実施例1と同様の方法により評価を行った。評価の結果を下記表2に示す。
【0096】
〔染料含有ネガ型硬化性組成物(8)の組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …70部
(PGMEA)
・エチルラクテート …10部
・前記アルカリ可溶性樹脂P−1 … 5部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 8部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.004部
・フッ素系界面活性剤 … 0.4部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(TAZ−107、みどり化学社製) … 1部
・青色染料 … 5.2部
(Valifast Blue2620、オリエント化学工業(株)製)
・黄色染料 … 0.2部
(Valifast Yellow1101、オリエント化学工業(株)製)
【0097】
〔染料含有ネガ型硬化性組成物(9)の組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …70部
(PGMEA)
・エチルラクテート …10部
・前記アルカリ可溶性樹脂P−2(前記表1参照) … 6部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート …10部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.004部
・フッ素系界面活性剤 … 0.4部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(TAZ−107、みどり化学社製) … 1部
・赤色染料 … 2.2部
(Valifast Red1360、オリエント化学工業(株)製)
【0098】
(比較例3〜4)
実施例1において、染料含有ネガ型硬化性組成物(1)に代えて、下記組成を混合し溶解して得た染料含有ネガ型硬化性組成物(10)又は(11)をそれぞれ用いたこと以外、実施例1と同様にパターン画像を形成した。更に、各々形成されたパターン画像を実施例1と同様の方法により評価を行った。評価の結果を下記表2に示す。
【0099】
〔染料含有ネガ型硬化性組成物(10)の組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …70部
(PGMEA)
・エチルラクテート …10部
・前記アルカリ可溶性樹脂CP−1(実施例1参照) … 5部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 8部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.004部
・フッ素系界面活性剤 … 0.4部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(TAZ−107、みどり化学社製) … 1部
・青色染料 … 5.2部
(Valifast Blue2620、オリエント化学工業(株)製)
・黄色染料 … 0.2部
(Valifast Yellow1101、オリエント化学工業(株)製)
【0100】
〔染料含有ネガ型硬化性組成物(11)の組成〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …70部
(PGMEA)
・エチルラクテート …10部
・比較例2で用いたアルカリ可溶性樹脂CP−2 … 6部
(前記表1参照)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート …10部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.004部
・フッ素系界面活性剤 … 0.4部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(TAZ−107、みどり化学社製) … 1部
・赤色染料 … 2.2部
(Valifast Red1360、オリエント化学工業(株)製)
【0101】
【表2】
【0102】
(実施例8)
実施例1で作成した下塗り層付ガラス基板の下塗り層上に、実施例1で得た染料含有ネガ型硬化性組成物(1)を塗布し、該塗布膜に2μmの正方形パターンを露光して現像し、200℃で5分間加熱処理を施した。その後、このパターン上に実施例6で得た染料含有ネガ型硬化性組成物(8)を再度2μmの厚さに塗布し、120℃で120秒間プリベークした。この塗布膜を再度パターン露光して現像し、黄色のパターンの間にシアンのパターンを形成した。更にまた、200℃で5分間加熱処理を施し、実施例7で得た染料含有ネガ型硬化性組成物(9)を2μmの厚さに塗布し、120℃で120秒間プリベークした後、再びパターン露光して現像し、黄色、シアン色のパターンの間にマゼンタのパターンを形成した。その後、更に200℃で5分間加熱処理を施し、黄色、シアン、マゼンタの3色のカラーフィルタを1枚の基板上に形成した。
異色のパターン間における染料の混色は起こらず、各色とも矩形なプロファイルを示した。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、感度が高く、塗布膜としたときの現像後における残膜率の高い染料含有ネガ型硬化性組成物、並びに前記染料含有ネガ型硬化性組成物よりなり、透過率が高く、かつ所望の均一厚を有し、パターン形状(解像度)及び色相の良好なカラーフィルタを提供することができる。また、
前記カラーフィルタの製造方法であって、硬化度の高いパターンを高感度に形成でき、現像による膜減りを抑制して形状、膜厚の良好な高解像度のカラーフィルタを形成することができるカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
Claims (4)
- (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)有機溶剤可溶性染料、(C)光開始剤、及び(D)架橋剤を少なくとも含むカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物において、
前記アルカリ可溶性樹脂は、数平均分子量Mnが4000 〜5×104であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜1.05の範囲にあることを特徴とするカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物。 - 前記(D)架橋剤が、重合性モノマー化合物であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物。
- 請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物を用いてなることを特徴とするカラーフィルタ。
- 請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用染料含有ネガ型硬化性組成物を基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像してネガ型パターンを形成する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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