JP3967798B2 - インタンク型のフュ−エルフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンクの中に浸漬されて設置され、同じく燃料タンク内に配置された燃料ポンプから燃料を送入し、濾過後した燃料をエンジン側に送出するインタンク型のフューエルフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
このインタンク型のフューエルフィルタは、一般に、容器と蓋体とによって区画した濾過室内に濾過体が収容されて設けられている。
【0003】
このインタンク型のフューエルフィルタとして、先に本件出願人により提案されたものを例に挙げて、図14ないし図18を参照して説明する。
【0004】
このインタンク型のフューエルフィルタ101は、図14に示すように、燃料タンク116内に内蔵される燃料ポンプ117の円筒ケーシングの外周に配設されるものであり、断面U字状に形成されている。
【0005】
このインタンク型のフューエルフィルタ101は、容器102と蓋体103とによって区画した濾過室104内に濾過体105を収容している。蓋体103には、送入管106と送出管107とが設けられている。
【0006】
ここで、濾過体105は、容器102の内外壁のどちらか一方の壁面に沿うように形成されたプレート108と、このプレート108に保持されプリーツ状に折られた濾過部材109とを有している。このプレート108および濾過部材109からなる濾過体105は、上端が上部端板118に、また下端が下部端板110に固定されている。
【0007】
プレート108は、金属薄板からプレスなどにより塑性変形されたものであり、樹脂製の蓋体103に取り付けられている。
【0008】
上部端板118は、図14、図15に示すように、濾過された燃料を送出する濾過燃料送出管119が設けられている。上部端板118は蓋体103に溶着されている。すなわち、上部端板118の濾過燃料送出管119と蓋体103の送出管107とを直接、接続する箇所(溶着部120)で、上部端板118と蓋体103とを溶着している。
【0009】
プレート108は、その下端が真直に形成され、下部端板110に接着により固定されている。
【0010】
金属薄板からなるプレート108は、図16および図17に示すように、周方向の両端部が折り曲げられて、濾過部材109の両端をかしめて保持するようになっている。
【0011】
また、図16に示すように、プレート108の片面側(外側)にのみ濾過部材が設けられている。
【0012】
また、濾過室104内に延びた濾過燃料送出管119は、略筒状のもとして形成されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このフューエルフィルタ101にあっては、次のような課題がある。
【0015】
(1)濾過部材109およびプレート108からなる濾過体105の上端を上部端板118に固定している。これによると、上部端板118を要する分だけ、部品点数が増えて、組付工程が増加し、フューエルフィルタ101の製造コストの上昇を引き起こす要因となる。
【0016】
また、上部端板118の濾過燃料送出管119と蓋体103の送出管107とを直接接続する箇所(溶着部120)で、上部端板118と蓋体103とを溶着している。この溶着部120のシール性が不完全であると、濾過室104内の未濾過燃料が送出管107の中に入り込んで、エンジン側に向けて送られるおそれがある。
【0017】
さらに、この濾過燃料送出管119と送出管107との溶着部120の内周側に生じたバリ121(図15参照)が、脱落して、送出管107を流れる燃料と共にエンジン側に送られるおそれもある。
【0018】
(2)プレート108とは別体の下部端板110がプレート108に取り付けられており、その分、組付工程が増加し、フューエルフィルタ101の製造コストの上昇につながる。
【0019】
(3)濾過部材109の下端を固定するため下部端板110を設けている。下部端板110が必要な分だけ、製造コストを引き上げる。
【0020】
(4)下部端板110は、濾過部材109およびプレート108の下端に接着されている。ところが、その保持力が十分でないときには、車両の振動などの影響により脱落するおそれがある。
【0021】
(5)金属薄板からなるプレート108の周方向の両端部が折り曲げられて濾過部材109の両端をかしめて保持している(図17参照)。ところが、プレート108のかしめ部分から濾過部材が図17のx方向にずれるおそれがある。濾過部材109がずれてプレート108との間に隙間ができると、その隙間から未濾過燃料が入り込み、送出管107を通って、エンジン側に送られるおそれがある。
【0022】
一方、この濾過部材109のずれを防止するため、別の部材を設けるとすると、部品点数の増加、組付工程の増加につながり、フューエルフィルタ101の製造コストを引き上げることになる。
【0023】
(6)プレート108の片面側(外側)にのみ濾過部材109が設けられている。そのため、濾過部材109の面積に制限があり、濾過性能を制約している。
【0024】
(7)濾過燃料送出管119は、濾過室104内に延びた部分が略筒状のもとして形成されている。そのため、図15に示すように、濾過室104における濾過部材109の上部付近に、空気溜り125ができる。符号126は、燃料の自由液面を示している。
【0025】
この空気溜り125があることにより、燃料が濾過室104内に流入するとき、燃料と濾過部材109の表面とが常に擦れて図18のBに示すように静電気の発生量を増加させる。また、燃料の自由液面126が常に上下し不安定であるので、発生する静電気は波のある不安定なものとなる。
【0026】
更に、空気溜り125があると、濾過部材109の上部が濾過作用をなさなくなるので、濾過部材109を全域使用できず、寿命が短くなる。
【0027】
本発明は、フューエルフィルタにおける上記の課題を解決するため創案されたものである。なお、先行技術として断面U字状のフューエルフィルタを例に上に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料タンクの中に設置されるインタンク型のフューエルフィルタ一般に適用可能である。
【0028】
本発明の第一の目的は、上部端板を削減することにより、部品点数を削減すると共に組付工程を低減し、もってフューエルフィルタの製造コストを低減し、また蓋体と上部端板との溶着部から未濾過燃料が送出管の中に入り込むことを防止し、さらに溶着部のバリが送出管を流れる燃料と共にエンジン側に送られることを防止したインタンク型のフューエルフィルタを提供することにある。
【0029】
また、本発明の第二の目的は、プレートに端板を取り付ける工程を削減することにより、製造コストの低減を図ったインタンク型のフューエルフィルタを提供することにある。
【0030】
また、本発明の第三の目的は、濾過部材の下端を固定する端板そのものを削減可能とすることにより、製造コストの低減を図ったインタンク型のフューエルフィルタを提供する。
【0031】
また、本発明の第四の目的は、プレートと端板、プレートと濾過部材の保持力を上げることにより、端板の脱落を防止、プレートと濾過部材との保持力の強化を図ったインタンク型のフューエルフィルタを提供する。
【0032】
また、本発明の第五の目的は、濾過部材のプレートに対するズレを別の部材を用いることなく防止したインタンク型のフューエルフィルタを提供することにある。
【0033】
また、本発明の第六の目的は、濾過部材の面積を増加することにより、濾過性能の向上を図ったインタンク型のフューエルフィルタを提供することにある。
【0034】
また、本発明の第七の目的は、濾過室における濾過部材の上部付近に空気溜りができることを防止することにより、燃料と濾過部材との擦れをできるだけ低減させて発生する静電気量を低減させ、また発生する静電気を波のない安定したものとしたインタンク型のフューエルフィルタを提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成決するため、本発明では、次のように構成されている。
【0036】
(1)第一の目的を達成決するため、本発明では、プレートは蓋体と別体に設けられ上端が蓋体に取り付けられ下端が端板に固定されており、濾過部材は上端が蓋体に固定され下端が端板に固定されて設けられている。また、別の本発明では、プレートは蓋体と一体成形され下端が端板に固定されており、濾過部材は上端が蓋体に固定され下端が端板に固定されて設けられている。
【0037】
(2)また、第二の目的を達成するため、本発明では、端板をプレートに一体成形している。
【0038】
(3)また、第三の目的を達成するため、本発明では、濾過部材の下端が接着剤により固化されている。
【0039】
(4)また、第四の目的を達成するため、本発明では、プレートは下端に濾過部材方向に突起が一体成形されている。
【0040】
(5)また、第五の目的を達成するため、本発明では、プレートは、その周方向の端部に濾過部材側に折り曲げ可能に設けられた折曲片と、折り曲げられた折曲片と共に濾過部材を挾み込む突起とが設けられている。また、別の本発明は、振動溶着によりプレートと濾過部材とが接合されている。
【0041】
(6)また、第六の目的を達成するため、本発明では、濾過部材は濾過室内で一周するように設けられている。
【0042】
(7)また、第七の目的を達成するため、本発明では、送出管は、濾過室内に延びる部分の下端から濾過部材の上端位置と略同じ高さにかけて切欠が形成されている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図13、図18を参照して説明する。
【0044】
図1に本発明のフューエルフィルタの一実施形態が示されている。
【0045】
このフューエルフィルタ1は、断面U字状であり、燃料タンク内に内蔵される燃料ポンプの円筒ケーシングの外周に配設されるようになっている。
【0046】
このフューエルフィルタ1は、断面U字状の容器2と、この容器2と共に濾過室4を区画する蓋体3と、濾過室4内に収容された濾過体5と、燃料の送入通路6および送出管7とを備えている。
【0047】
ここで、濾過体5は、容器2の内外壁(内壁2A、外壁2B)のどちらか一方の壁面(この例では内壁2A)に沿うように形成されたプレート(プロテクタ)8と、該プレート8に保持されプリーツ状に折られた濾過部材(濾紙)9とを有する。
【0048】
また、送出管7は蓋体3に設けられている。送入通路6は、燃料ポンプから吐出された未濾過燃料を濾過室4に供給するように設けられている。送出管7は、濾過した燃料を濾過室4からエンジンに向けて送出するように設けられている。
【0049】
また、濾過体5を構成するプレート8および濾過部材9は、本実施形態では、上端が蓋体3に接着剤により接着して固定され(図1、図2参照)、下端が端板10に接着剤により接着して固定されて設けられている。符号17Aは、濾過部材9と蓋体3とを接着した接着剤層を示している。符号17Bは、濾過部材9と端板10とを接着した接着剤層を示している。
【0050】
すなわち、濾過部材9とプレート8とからなる濾過体5は、共に上端が蓋体3に固定されている。これによると、濾過体の上端を固定した上部端板を蓋体に溶着した先行技術(図14、図15参照)に比べて、上部端板が不要となるので、部品点数が削減されるものとなる。また、先行技術では、上部端板と蓋体との間の溶着部でのシール性が悪いと、未濾過燃料が送出管の中に漏洩するおそれがある。本発明では、このような未濾過燃料の送出管への漏洩という危惧がない。更に、先行技術であると、上部端板を蓋体に溶着する際に発生するバリが脱落して、送出管を通ってエンジン側に送出されることが懸念されるが、本発明によると、そのようなことがない。
【0051】
この樹脂製のプレート8には、図3(A)(B)に例示するような、濾過部材9の保持構造が設けられる。すなわち、樹脂製のプレート8は、その周方向の端部に折り曲げ可能に設けられた折曲片12と、折り曲げられた折曲片12と共に濾過部材9の端部を挾み込み且つ濾過部材9のずれ防止を兼ねた突起13とを有する。符号14は折目を示している。すなわち、折り曲げられた折曲片12と突起13との間に濾過部材9を挾み込む。この図3(A)(B)の例では、二重にした折曲片12と突起13との間に濾過部材9を挾み込んで、折曲片12を突起13に圧着させ、もって濾過部材9の端部を保持するようになっている。
【0052】
このように、プレート8と一体に折曲片12および突起13を成形することにより、プレート8に濾過部材9を保持するために挾着部材(ストラット)を別に用意しなくとも、濾過部材9がずれることなく確実にプレート8に保持される。
【0053】
この図3(A)(B)の例では、二重にした折曲片12と突起13との間に濾過部材9を挾み込んだが、保持構造の具体例はこれに限らない。
【0054】
例えば図4(A)(B)に示すように、プレート8の一重の折曲片12と突起13との間に濾過部材9を挾み込んで、折曲片12の端部を突起13に圧着させ、濾過部材9を保持するようにしてもよい。
【0055】
また、図5(A)(B)に示す例では、プレート8の一重の折曲片12に凸部12Aを設ける一方、プレート8の折曲片12に重ね合う部分に凹部8Aを設けている。凸部12Aは根元がくびれて形成されている一方、凹部8Aは開口部が狭く、中ほどが広く形成されている。これにより、凸部12Aが凹部8Aに嵌合すると、スナップのようになり、容易に抜けないようになる。すなわち、折曲片12を折り曲げ、凸部12Aを濾布部材9を挾んで凹部8Aに嵌合し、折曲片12の端部を突起13に圧着させる。
【0056】
上述した図3(A)(B)、図4(A)(B)、図5(A)(B)に示す例では、濾過部材9がプレート8の片側面(外側面)に沿って設けられる。これに対して、図6に示すように、濾過部材9を濾過室内で一周するように設けてもよい。これによると、濾過面積が広くなる結果、濾過性能が向上される。この図6に示す例では、一枚の濾過部材9でプレート8の全周を一周して取り囲み、プレート8の一端を濾過部材9の両端で挾んだ状態で、挾着部材(ストラット)15により挾着されている。この挾着部材15は、例えば金属薄板製であり、断面略U字状に形成されている。本実施形態では、プレート8の全周を濾過部材9が一周するように設けたが、これに限らず、プレート8を省略し、濾過部材9のみを濾過室内で一周するように設けてもよい。
【0057】
濾過部材9をプレート8の片面側だけに設けるもの、あるいは一周するように設けるもの、いずれの場合についても、超音波振動子(図示省略)を用いる超音波振動により、図7に示すように、樹脂製のプレート8を溶融し濾過部材9を溶着させるようにしてもよい。勿論、超音波振動以外の振動による溶着であってもよい。図7において、符号15Aは振動溶着部を示している。振動溶着であると、簡単且つ低コストにて濾過部材9がプレート8に接合される。
【0058】
また、送出管7は、図1および図2に示すように、蓋体3に設けられており、フィルタの外部に延びる部分と、濾過室4内に延びる部分とを有する。この送出管7は、濾過室4内に延びる部分の下端から濾過部材9の上端位置と略同じ高さにかけて切欠16が形成されている。本実施形態の切欠16は、上下方向に延びるスリット状に形成されている。
【0059】
この切欠16は、濾過室4における濾過部材9の上部付近に空気溜りができることを防止するために設けられている。空気溜りがあると、燃料と濾過部材9との間の摩擦により静電気の発生量が増加するので、好ましくない。
【0060】
上述のように構成されたフューエルフィルタ1にあっては、次のように燃料を濾過し、送り出すものである。
【0061】
燃料ポンプから吐出された燃料は、フューエルフィルタ1の送入通路6を通り濾過室4内に入り、濾過部材9により濾過された後、送出管7を通ってエンジン側に送られる。
【0062】
送出管7に下端から濾過部材9の上端位置まで切欠16が形成されているので、濾過室4における濾過部材9の上部付近に空気溜りができることが防止される。空気溜りができないので、燃料と濾過部材9との間の摩擦が低減される。その結果、図18のAに示すように、先行技術のBに比べて電気の発生量が低減される。また、発生する静電気は、波の成分をあまり含まない安定したものとなる。さらに、空気溜りがないので、濾過部材9が上端部も含めて全域が濾過に用いられることになり、濾過部材9が長寿命となる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が実施可能である。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、蓋体3とは別体のプレート8を蓋体3に取り付けたが、これに限らず、図8に示すように、樹脂製の蓋体3にプレート8を一体成形するようにしてもよい。このものにあっては、部品点数が削減され、組付工程が削減される。
【0065】
また、上述した実施形態では、プレート8に端板10を固定したが、これに限らず、図9に示すように、プレート8に端板10を一体成形するようにしてもよい。これにあっては、プレート8に端板10を取り付ける工程が削減される。
【0066】
また、上述した実施形態では、プレート8の下端が真直に形成されていたが、これに限らず、上記した図8に示すように、プレート8の下端に濾過部材9の方向に突出する突起11を設けるようにしてもよい。これによると、濾過部材9を端板10に接着する接着剤(接着剤層17B)がこの突起11に引掛って、濾過部材9が端板10に強く固定される。したがって、端板10が濾過部材9から脱落することが防止される。突起11は、プレート8の下端の全周にわたって設けてもよく、周方向のうち部分的に設けるようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、プレート8に端板10を固定し、この端板10に濾過部材9の下端を接着剤により接着して固定した。これに対して、図10、図11に示すように、濾過部材9の下端を接着剤(接着剤層17B)により固化して、端板10を省略するようにしてもよい。例えば、端板と同様な形状を有する型板(図示省略)を用意し、接着剤を塗布した型板を濾過部材9の下端に付け、接着剤が固化したら、型板を濾過部材9から外すものとする。すると、濾過部材9の下端が接着剤により固められた状態となる。
【0068】
上記の図11に示す例では、プレート8を蓋体3に一体成形する構成と、濾過部材9の下端を接着剤(接着剤層17B)により固めて端板を省略する構成と、プレート8の下端に濾過部材9側に突出して設けられた突起11とが組み合わされている。このように、濾過部材9の下端が接着剤(接着剤層17B)により固められたものであって端板が省略されたものであっても、プレート8に突起11があると、接着剤(接着剤層17B)が突起11に引掛るので、プレート8と濾過部材9との保持力が強くなる利点がある。
【0069】
また、送出管7に形成した空気溜り防止の構造として、上述した実施形態では、スリット状のものを示したが、これに限らず、例えば図12、図13に示されたように形成してもよい。図12に示された切欠16は、テーパ状に形成されている。図13に示された切欠16は、片側が削除されて形成されている。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインタンク型のフューエルフィルタによると、次のような効果を奏する。
【0071】
(1)請求項1のインタンク型のフューエルフィルタによると、濾過体が蓋体に設けられているので、上部端板が不要となり、部品点数が削減されると共に組付工程を削減でき、もってフューエルフィルタの製造コストを低減できる。
【0072】
また、上部端板を蓋体に溶着した場合のように溶着部から未濾過燃料が送出管側へ漏洩する危惧がない。
【0073】
また、上部端板を蓋体に溶着した場合のようにバリが送出管からエンジン側に送出されるようなことがない。また、濾過部材の下端が接着剤により固化されている。したがって、端板を削減でき、部品点数の削減、組付工程の削減となり、もってフューエルフィルタの製造コストを低減できる。
【0074】
(2)請求項2のインタンク型のフューエルフィルタによると、濾過体が蓋体に設けられているので、上部端板が不要となり、部品点数が削減されると共に組付工程を削減でき、もってフューエルフィルタの製造コストを低減できる。また、上部端板を蓋体に溶着した場合のように溶着部から未濾過燃料が送出管側へ漏洩する危惧がない。また、上部端板を蓋体に溶着した場合のようにバリが送出管からエンジン側に送出されるということがない。
【0075】
更に、プレートが蓋体に一体成形されているので、組立工数を低減でき、もって製造コストを低減できる。また、濾過部材の下端が接着剤により固化されている。したがって、端板を削減でき、部品点数の削減、組付工程の削減となり、もってフューエルフィルタの製造コストを低減できる。
【0080】
(3)請求項3のインタンク型のフューエルフィルタによると、プレートの下端に濾過部材方向に突出する突起がプレートと一体に設けられている。そのため、濾過部材を端板に接着剤により固定するときに、接着剤がこの突起に引掛って、濾過部材が強く固定されるので、端板が濾過部材から脱落することを防止できる。また、端板が省略された場合、プレートによる濾過部材の保持力を強化できる。
【0081】
(4)請求項4のインタンク型のフューエルフィルタによると、樹脂製のプレートの折曲片とプレート上の突起との間に濾過部材を挾んで保持する。すなわち、プレートに濾過部材を挾着する挾着部材を別に用意しなくとも、濾過部材がずれることなく確実に保持できる。したがって、部品点数を削減でき、もってフューエルフィルタの製造コストを低減できる。
【0082】
(5)請求項5のインタンク型のフューエルフィルタによると、プレートと濾過部材とは振動溶着により接合されているので、簡単かつ低コストにて接合できる。
【0085】
(6)請求項6のインタンク型のフューエルフィルタによると、送出管は、下端から濾過部材の上端位置と略同じ高さにかけて切欠が形成されている。そのため、濾過室における濾過部材の上部付近に空気溜りができることを防止できる。
【0086】
空気溜りができないので、燃料と濾過部材との間の摩擦を低減でき、もって電気の発生量を低減できる。また、発生した静電気が波成分をあまり含まない安定したものとできる。さらに、空気溜りがないので、濾過部材が上端部も含めて全域が濾過に用いられることになり、濾過部材の長寿命化を実現できる。
【0087】
(7)請求項7のインタンク型のフューエルフィルタによると、送出管にスリット状の切欠が形成されている。そのため、濾過室における濾過部材の上部付近に空気溜りができることを防止できる。
【0088】
空気溜りができないので、燃料と濾過部材との間の摩擦を低減できれ、もって電気の発生量を低減できる。また、発生した静電気が波成分をあまり含まない安定したものとできる。さらに、空気溜りがないので、濾過部材が上端部も含めて全域が濾過に用いられることになり、濾過部材の長寿命化を実現できる。
【0089】
(8)請求項8のインタンク型のフューエルフィルタによると、送出管にテーパ状の切欠が形成されている。そのため、濾過室における濾過部材の上部付近に空気溜りができることを防止できる。
【0090】
空気溜りができないので、燃料と濾過部材との間の摩擦を低減できれ、もって電気の発生量を低減できる。また、発生した静電気が波成分をあまり含まない安定したものとできる。さらに、空気溜りがないので、濾過部材が上端部も含めて全域が濾過に用いられることになり、濾過部材の長寿命化を実現できる。
【0091】
(9)請求項9のインタンク型のフューエルフィルタによると、送出管に片側を削除した切欠が形成されている。そのため、濾過室における濾過部材の上部付近に空気溜りができることを防止できる。
【0092】
空気溜りができないので、燃料と濾過部材との間の摩擦を低減できれ、もって電気の発生量を低減できる。また、発生した静電気が波成分をあまり含まない安定したものとできる。さらに、空気溜りがないので、濾過部材が上端部も含めて全域が濾過に用いられることになり、濾過部材の長寿命化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインタンク型のフューエルフィルタの一実施形態の全体を示す縦断面図である。
【図2】図1のフューエルフィルタの部分図である。
【図3】図1のフューエルフィルタのプレートによる濾過部材の保持構造の一例を示す斜視図であり、(A)図は保持前の開放状態、(B)図は保持状態を示している。
【図4】プレートによる濾過部材の保持構造の他の例を示す斜視図であり、(A)図は保持前の開放状態、(B)図は保持状態を示している。
【図5】プレートによる濾過部材の保持構造の更に他の例を示す斜視図であり、(A)図は保持前の開放状態、(B)図は保持状態を示している。
【図6】濾過室を一周して設けられた濾過部材の一例を示す概略図である。
【図7】濾過室を一周して設けられた濾過部材の他の例を示す概略図である。
【図8】本発明のインタンク型のフューエルフィルタの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明のインタンク型のフューエルフィルタのまた他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明のインタンク型のフューエルフィルタの更に他の実施形態を示す縦断面図である。
【図11】本発明のインタンク型のフューエルフィルタの更にまた他の実施形態を示す縦断面図である。
【図12】送出管の切欠の他の例を示す部分縦断面図である。
【図13】送出管の切欠の更に他の例を示す部分縦断面図である。
【図14】未公開の先行技術に係るフューエルフィルタの全体を示した縦断面図である。
【図15】図14のフューエルフィルタの一部拡大図である。
【図16】図14のフューエルフィルタの横断面図である。
【図17】図16の一部拡大図である。
【図18】図1の本発明と図14の先行技術とで発生した静電気の電圧を示したグラフである。
【符号の説明】
1 フューエルフィルタ
2 容器
3 蓋体
4 濾過室
5 濾過体
6 送入管
7 送出管
8 プレート
9 濾過部材
10 端板
11 突起
12 折曲片
13 突起
15 挾着部材
16 切欠
Claims (9)
- 容器と蓋体とによって区画した濾過室内に濾過体を収容し、濾過された燃料を濾過室から送出する送出管が蓋体に設けられ、前記濾過体はプリーツ状の濾過部材と該濾過部材を保持するプレートとを有するインタンク型のフューエルフィルタにおいて、
前記プレートは前記蓋体と別体に設けられ上端が前記蓋体に取り付けられ、
前記濾過部材は上端が前記蓋体に固定され下端が接着剤により固化されて設けられていることを特徴とするインタンク型のフューエルフィルタ。 - 容器と蓋体とによって区画した濾過室内に濾過体を収容し、濾過された燃料を濾過室から送出する送出管が蓋体に設けられ、前記濾過体はプリーツ状の濾過部材と該濾過部材を保持するプレートとを有するインタンク型のフューエルフィルタにおいて、
前記プレートは前記蓋体と一体成形され、
前記濾過部材は上端が前記蓋体に固定され下端が接着剤により固化されて設けられていることを特徴とするインタンク型のフューエルフィルタ。 - 前記プレートは、その下端に前記濾過部材の方向への突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記プレートは、その左右端部に前記濾過部材側に折り曲げ可能に設けられた折曲片と、折り曲げられた前記折曲片と共に前記濾過部材を挾み込む突起とが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記プレートと前記濾過部材とは振動溶着により接合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記送出管は、前記濾過室内に延びる部分の下端から前記濾過部材の上端位置と略同じ高さにかけて切欠が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記切欠は、スリット状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記切欠は、テーパ状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
- 前記切欠は、片側が削除されて形成されていることを特徴とする請求項6に記載のインタンク型のフューエルフィルタ。
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