JP3966538B2 - オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は安定性に優れ、低分子量シロキサン含有量の少ない官能基含有オルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オルガノポリシロキサンエマルジョンは合成樹脂、ゴム、紙、鋳型等の離型剤として、合成樹脂フィルム、シート、或いは紙表面のコーティング剤として、天然繊維、合成繊維等の有機繊維、ガラス繊維等の無機繊維等の撥水剤、繊維柔軟剤、平滑剤として、あるいはエマルジョン塗料、消泡剤の成分として有用であるが、このようなオルガノポリシロキサンエマルジョンとしては、安定性や高重合度化等を考慮すると、乳化重合によって製造した小粒径のものを用いることが好ましい。このような乳化重合物の製造方法は例えば、強酸または強アルカリを重合触媒として重合する方法(特公昭34-2041号公報)、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、脂肪族スルホン酸、シリルアルキルスルホン酸、脂肪族置換ジフェニルエーテルスルホン酸、アルキルハイドロジェンサルフェート等を重合触媒としてオルガノポリシロキサンを乳化重合する方法(特公昭41-13995号公報、ベルギー特許第686812号、USP第3360491号)がある。
【0003】
また、塩型界面活性剤水溶液中にジオルガノシロキサンの3〜6量体を乳化分散させ、この分散系にイオン交換樹脂を添加して、前記、塩型界面活性剤のイオン交換を行い、重合する方法(特公昭54―19440号公報)などが挙げられる。
また、アミノ官能性オルガノポリシロキサンエマルジョンを得る方法としては、環状オルガノポリシロキサンと官能基結合オルガノトリアルコキシシランをスルホン酸系または第4級アンモニウム塩系界面活性剤で乳化させ、乳化重合する方法(特公昭56-38609号)がある。
【0004】
他方、揮発性の低分子量シロキサンを低減化したオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造法としては、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと触媒からなるエマルジョンを40℃以下で重合させる方法(特開平4-178429号)、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと両末端アミノ官能性オルガノポリシロキサンを乳化重合する方法(特開平4-198321号)、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと特定のスルホン酸の存在下乳化重合する方法(特開平11-71522号)などがある。しかし、これらは酸またはアルカリ性触媒による平衡化反応であるため揮発性の低分子量シロキサンをシロキサン中に12重量%程度含有するものであった。また、上記の方法は、いずれも重合時間が長く、迅速化が待望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は安定性に優れ、低分子量シロキサン含有量の少ないオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと官能基含有オルガノアルコキシシランを界面活性剤と水を用いて乳化して初期エマルジョンを得、このエマルジョンの平均粒径を250nm以下に小粒径化して無触媒下で縮重合することにより低分子量シロキサン含有量が少なく安定性に優れたオルガノポリシロキサンエマルジョンが得られ、これは繊維処理剤、特に、合成繊維詰め綿用処理剤、ウールや化繊織物の風合い改良剤として有用であることを見出し本発明を完成した。特に官能基含有オルガノアルコキシシランは水系に分散しやすいため、従来の乳化重合法では所定量の官能基をオルガノポリシロキサンに導入することは困難であったが、初期エマルジョンを250nm以下の粒径にして縮重合させることによりこれが可能になり本発明を完成した。
即ち、本発明は(A)下記一般式(1)
H−[O-Si(R)2]n-OH・・・・・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜20の置換あるいは非置換の1価炭化水素基nは10≦n≦200を満足する整数を示す。)で示され、且つ、ケイ素原子数が10以下の環状低分子量シロキサン含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン、(B)官能基含有オルガノアルコキシシラン、(C)界面活性剤、(D)水を含むエマルジョンを平均粒径50〜250nmになるように乳化分散させて初期エマルジョンを得、このエマルジョンを無触媒下で縮重合させ、次いで中和することを特徴とするケイ素原子数が10以下の環状低分子量シロキサン含有量が少なく安定性に優れたオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明における(A)成分は一般式(1)で示され、且つ、ケイ素原子数が10以下の環状低分子量シロキサンの含有量が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンである。
一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換あるいは非置換の1価炭化水素基、nは10≦n≦200を満たす整数を示す。
このRの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基;ビニル、アリル等の不飽和アルケニル基;それらの基に結合する水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。これらの中ではメチル基を90モル%以上含むものが工業的に好ましい。
【0008】
本発明において、オルガノポリシロキサン中の、ケイ素原子数が10以下の環状低分子量シロキサンが5重量%より多い場合には、縮重合後のシロキサンポリマー中の揮発性低分子量シロキサン含有量が5重量%を超えてしまい、エマルジョン塗工後の揮発性シロキサンによる作業環境悪化の問題が発生することがあり好ましくない。従って5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下まで低分子量シロキサンの量を調整したものを使用する必要がある。更に、nは10より小さいとケイ素原子数10以下の環状低分子量シロキサン含有量を5重量%以下に調整することが難しく、200より大きいとエマルジョン化した際の保存安定性が悪くなるからnは10≦n≦200であることが必要である。
【0009】
本発明における(B)成分の官能基含有オルガノアルコキシシランは、例えば、下記式(2)で表されるものである。
RlR2 nSi(OR3)3-n………………(2)
ここでR1はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基などを含有する有機基である。
アミノ基含有有機基としては(CH2)a−(NR4-CH2CH2)bNR5R6が例示され、R4、R5、R6は水素原子及び炭素数1〜10の1価炭化水素基から選択され、少なくとも1つは水素原子であり、aは1〜6、bは0〜3の整数、R2は炭素数1〜20の一価炭化水素基、R3は炭素数1〜6の1価炭化水素基、nは0〜2の整数である。
【0010】
本発明における(B)成分のアミノ基含有オルガノアルコキシシランの具体例は、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランなどが挙げられる。
本発明における(B)成分のエポキシ基含有オルガノアルコキシシランの具体例は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシルエチル)ジメトキシメチルシランなどが挙げられる。
また、(B)成分のメルカプト基含有オルガノポリシロキサンの具体例は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどが挙げられる。本発明では上記の有機官能性基含有オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物、有機官能性基含有のシロキサン単位を有するオルガノシロキサンオリゴマーを、本発明の目的を損わない範囲で添加して重合を行ってもよい。
【0011】
(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分の有機官能性基含有オルガノアルコキシシランの配合量は双方合わせて10〜60重量%であることが好ましく、これは10重量%より少ない場合あるいは、60重量%より多い場合、エマルジョンの安定性が低下するため好ましくない。更に好ましくは30〜55重量%である。また、(B)成分の有機官能性基含有オルガノアルコキシシランの配合量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部あたり、0.1重量部〜20重量部、好ましくは1重量部〜10重量部である。(B)成分が0.1重量部未満では該エマルジョンにおける有機官能基の寄与が低くなり、20重量部を超えても(A)成分との反応に与からずに回収されるので好ましくない。
【0012】
本発明における(C)成分の界面活性剤としては、(A)成分、(B)成分を水中に均一に分散させるためのものであり、特に制限はないが、例えば第4級アンモニウム塩、アルキルアミン酢酸塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤などの単独または2種類以上を併用することができる。
特に、本発明の縮重合においてはカチオン系界面活性剤が好ましい。第4級アンモニウム塩としては例えば、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。(C)成分の配合量は0.1〜10重量%であるが、これは0.1重量%未満であると乳化物が不安定となり、10重量%を超えると得られるシリコーンエマルジョンの離型性や耐熱性が低下するためである。より好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
【0013】
更に、乳化重合によって得られる本発明のシリコーンエマルジョンの安定性を向上させるために、他のノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を本発明の目的を損わない範囲で乳化重合後または中和後に添加してもよい。
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョンは、上述したようなオルガノシロキサンを水性媒体中で、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤から選択される少なくとも1種の存在下で乳化分散させ、反応温度70〜90℃で縮重合させ、次いで、pH4〜9に中和することにより製造できる。縮重合反応温度が70℃未満であると反応が遅くなり、90℃を超えると重縮合反応中にエマルジョンの安定性が低下するので70〜90℃が必要である。
この初期乳化後のエマルジョンの平均粒径は50〜250nmであることが必要であり、好ましくは100〜220nmである。平均粒径が250nmを超えると、エマルジョンの安定性が悪いため縮重合反応中に2層に分離し、50nm未満では乳化に必要な界面活性剤の量が多くなり実用的ではない。
【0014】
カチオン系界面活性剤として、第4級アンモニウム塩系界面活性剤を使用する場合は、得られるオルガノポリシロキサンエマルジョンの、抽出オイルの粘度は10,000mPa・s以下である。更に抽出オイルの粘度が10,000mPa・sを超えるオルガノポリシロキサン系ラテックスを得ようとする場合には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムシリコネートなどの塩基性触媒を微量加える必要がある〔(A)成分100重量部に対して0.01〜0.5重量部〕。
【0015】
この縮重合反応の時間は1〜100時間、好ましくは10〜50時間であり、反応は静置または1〜100rpm程度の緩やかな攪拌下に行うことが好ましい。縮重合反応後に酸性物質を添加することにより、pH値を4〜9に調節して中和する。このpH値は4より小さくても、9より大きくても得られるシリコーンエマルジョンの長期安定性が低下するため、pH4〜9であることが必要であり、好ましくはpH5〜8である。この際添加する酸性物質としては蟻酸、酢酸、乳酸、マロン酸、グリコール酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。
【0016】
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョンを得るためには初期エマルジョンの平均粒径を50〜250nmにする必要があり、この範囲の平均粒径を得るためには、(A)〜(D)成分の混合物を高圧乳化機を用いて50〜300MPaの高せん断圧力下で乳化することが必要である。このせん断圧力が50MPaより低いと、得られるエマルジョンの平均粒径を250nm以下とすることが困難であり、また、300MPaより高くしても、それ以上平均粒径を小さくする効果は期待できない。より好ましいせん断圧力は70〜200MPaである。
この高圧乳化機としては、例えば、超高圧ガウリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー(以上、何れも商品名)等が挙げられる。この高圧乳化の前にホモミキサー、アジホモミキサー(商品名)、コンビミキサー(商品名)、コロイドミルなどを用いて粗乳化することも任意である。
【0017】
【実施例】
以下に本発明の具体的態様を実施例により更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。
【0018】
<実施例1>
下記式(3)で示され、ケイ素原子数10以下の環状低分子量シロキサン含有率が1.1重量%である、末端ジヒドロキシオルガノポリシロキサン472g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン14g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン14gの混合物に、30重量%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液150g及び脱イオン水30gの混合物をホモミキサーで1,000rpmで攪拌しながら徐々に滴下して転相させた。次いで、これを増粘させた後、攪拌速度を5,O00rpmに上げて15分間攪拌した後、脱イオン水320gを加えて希釈した。次いで、これを「ナノマイザーLA-31型」(ナノマイザー株式会社製)で100MPaで1回乳化分散させた。このときの平均粒径を「CoulterN4Plusサブミクロン粒度分布測定装置(コールター株式会社製)」で測定したところ190nmであった。この縮重合前エマルジョンの不揮発分は105℃、3時間で50.4重量%であった。次いで、これを70℃、24時間、縮重合反応させ、次いで、酢酸8gを加えてpH7に調整したところ、平均粒径180nmの乳白色の「エマルジョンA」を得た。このエマルジョンAは105℃、3時間の加熱後の不揮発分が48.8重量%であり、環状低分子量シロキサン含有量は3.1重量%であった。エマルジョンAは室温で1ヶ月放置しても層分離は全く認められず、優れた安定性を示した。このエマルジョンA100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分を抽出し、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ、2、900mPa・s、アミン当量4、330g/molであった。エマルジョンAについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
H−[O-Si(CH3)2]40-OH…………(3)
【0019】
<実施例2>
ケイ素原子数10以下の環状低分子量シロキサン含有率が1.1重量%であり、式(3)で示される末端ジヒドロキシオルガノポリシロキサン472g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン28gの混合物に、30重量%セチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液150g及び脱イオン水30gをホモミキサーで1,000rpmで攪拌しながら徐々に滴下して転相させた。これを増粘させた後、攪拌速度を5,000rpmに上げて15分間攪拌後、脱イオン水320gを加えて希釈した。次いでこれを「ナノマイザーLA-31型」(ナノマイザー株式会社製)で100MPaで1回乳化分散した。この時の平均粒径を「CoulterN4PIusサブミクロン粒度分布測定装置(コールター株式会社製)」で測定したところ、190nmであった。この縮重合前エマルジョンの不揮発分は105℃、3時間で50.0重量%であった。これを70℃、24時間、縮重合反応させ、次いで、酢酸8gを加えてpH7に調整したところ、平均粒径180nmの乳白色の「エマルジョンB」を得た。エマルジョンBは105℃で3時間後の不揮発分が48.7重量%であった。環状低分子量シロキサン含有量は2.4重量%であった。エマルジョンは室温で1ヶ月放置しても層分離は全く認められず、優れた安定性を示した。このエマルジョンB 100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分を抽出し、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ、11,OOOmPa・s、アミン当量4,140g/mo1であった。エマルジョンBについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
【0020】
<参考例1>
ケイ素原子数10以下の環状低分子量シロキサン含有率が1.1重量%であり、式(3)で示される末端ジヒドロキシオルガノポリシロキサン472g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン14g、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン14gの混合物に30重量%セチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液150g及び脱イオン水30gをホモミキサーで1,000rpmで攪拌しながら徐々に滴下して転相させた。これを増粘させた後、攪拌速度を5,000rpmに上げて15分間攪拌した後、脱イオン水300gを加えて希釈した。次いで、これを超高圧ガウリンホモジナイザー「LAB40-10RBFI」(APVゴーリン社製)で100MPaの圧力で2回乳化分散した。この時の平均粒径を「CoulterN4PIusサブミクロン粒度分布測定装置(コールター株式会社製)」で測定したところ、200nmであった。この縮重合前エマルジョンの不揮発分は105℃、3時間で51.0重量%であった。このエマルジョンに10重量%水酸化カリウム水溶液20gを加え、70℃、72時間縮重合反応させ、次いで、酢酸10gを加えてpH8に調整したところ、平均粒径210nmの乳白色の「エマルジョンC」を得た。エマルジョンCは105℃で3時間後の不揮発分が47.1重量%であった。環状低分子量シロキサン含有量は7.7重量%であった。エマルジョンCは室温で1ヶ月放置しても層分離は全く認められず、優れた安定性を示した。このエマルジョン100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ280,000mPa・s、アミン当量4,630g/molであった。エマルジョンCについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
【0021】
<参考例2>
ケイ素原子数10以下の環状低分子量シロキサン含有率が1.1重量%であり、式(3)で示される末端ジヒドロキシオルガノポリシロキサン472g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン28gの混合物に、30重量%セチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液150g及び脱イオン水30gをホモミキサーで1,000rpmで攪拌しながら徐々に滴下して転相させた。増粘させた後、攪拌速度を5,000rpmに上げて15分間攪拌した後、脱イオン水300gを加えて希釈した。次いでこれを超高圧ガウリンホモジナイザー「LAB40-10RBFI」(APVゴーリン社製)で100MPaの圧力で2回乳化分散した。この時の平均粒径を「CoulterN4PIusサブミクロン粒度分布測定装置(コールター株式会社製)」で測定したところ、180nmであった。この重合前エマルジョンの不揮発分は105℃、3時間で51.0重量%であった。このエマルジョンに10%水酸化カリウム水溶液20gを加え、70℃で72時間縮重合反応を行い、次いで酢酸2.5gを加えてpH7に調整したところ、平均粒径190nmの乳白色の「エマルジョンD」を得た。エマルジョンDは105℃で3時間後の不揮発分が47.5重量%であった。環状低分子量シロキサン含有量は6.9重量%であった。エマルジョンDは室温で1ヶ月放置しても層分離は全く認められず、優れた安定性を示した。このエマルジョン100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ850,000mPa・sであった。エマルジョンDについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
【0022】
<比較例1>
<実施例1>において「ナノマイザーLA-31型」をガウリンホモジナイザー「15M-8TA」(APVゴーリン社製)に変更し、圧力100MPaを30MPaに変えた以外は<実施例1>と同様にして乳白色のエマルジョンを得た。この乳化分散時の平均粒径は310nmであり、<実施例1>と同様にして70℃、24時間縮重合反応させたが、中和前に得られたエマルジョンは2層分離が認められた。実施例1と同一の条件で中和し、平均粒径300nmの乳白色の「エマルジョンE」を得た。エマルジョンEは室温で、7日放置で二層分離が認められた。エマルジョンE100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ殆ど重合しておらず、200mPa・sであった。エマルジョンEについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
【0023】
<比較例2> <実施例3>において、式(3)で示される末端ジヒドロキシオルガノポリシロキサンをオクタメチルシクロテトラシロキサンに変更、超高圧ガウリンホモジナイザー「LAB40-10RBFI」(APVゴーリン社製)の100MPaの圧力を30MPaに変更した以外は<実施例3>と同様にして乳白色の「エマルジョンF」を得た。重合前エマルジョンの不揮発分は105℃、3時間で46.6重量%であった。また、重合後のエマルジョンの平均粒径は270nm、105℃で3時間後の不揮発分が41.3重量%であり、環状低分子量シロキサン含有量は10.5重量%であった。エマルジョンF100gにイソプロピルアルコール200gを加えて、オイル成分の抽出を行い、乾燥後のオイルの粘度を測定したところ95,000mPa・sであった。エマルジョンFについての物性測定値及び評価結果を表1に示した。
【0024】
本発明のエマルジョンの有効成分含有量0.7重量%である処理液100gを調製し、6デニール×64mmのポリエステルステープル綿20gに全量スプレー塗布し、ウエットピックアップ率を100%とし、次いで、150℃、20分の熱処理を施した。得られた処理布の滑り性、柔軟性について、下記の基準で手触評価した。
滑り性 ○:非常に良い△:かなり良い×:悪い
柔軟性 ○:非常に良い△:かなり良い×:悪い
なお、環状低分子量シロキサン含有率は下記式(4)によって算出した。
環状低分子量シロキサン含有率=100×(重縮合前エマルジョンの不揮発分量−重縮合後エマルジョンの不揮発分量)/50……………………(4)
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、安定性に優れた官能基含有オルガノポリシロキサンエマルジョンを製造することができる。
Claims (3)
- 下記(A)〜(D)を含有するエマルジョンを平均粒径50〜250nmになるように、乳化分散させて初期エマルジョンを得、このエマルジョンを無触媒下で縮重合させ、次いで中和することを特徴とするオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。
(A)下記一般式(1)
H−[O-Si(R)2]n-OH... ... ... ...(1)
(式中、Rは炭素数1〜20の置換あるいは非置換の1価炭化水素基、nは10≦n≦200を満足する整数を示す。)で示され、且つ、ケイ素原子数が10以下の環状低分子量シロキサン含有率が5重量%以下である末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン、
(B)官能基含有オルガノアルコキシシラン、
(C)カチオン系界面活性剤、
(D)水。 - 初期エマルジョンを得るための乳化分散を50〜300MPaの高せん断圧力下で実施する請求項1に記載のオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。
- (B)成分の官能基がアミノ基、エポキシ基、メルカプト基から選ばれたものである請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法。
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