JP3965279B2 - 高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法 - Google Patents

高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不純物(特に、カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物)の含有量の少ない高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水酸化マグネシウム粉末は、例えば、合成樹脂用の充填材として利用されている。また、最近では、水酸化マグネシウム粉末を電子材料用の酸化マグネシウム原料として利用することが検討されている。例えば、近年開発が進められている酸化マグネシウムを有効成分として含む誘電体セラミック組成物(特開2000−103668号公報参照)の酸化マグネシウム原料として水酸化マグネシウム粉末を利用することが検討されている。
【0003】
誘電体セラミック組成物などの電子材料用の酸化マグネシウム原料として使用する水酸化マグネシウム粉末は不純物含有量が少ない、すなわち高純度であること、及び分散性が高いことが望まれる。特に、薄膜状電子材料(例;積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック組成物層)用の酸化マグネシウム原料として使用する水酸化マグネシウム粉末では、より高度な分散性が要求される。
【0004】
本出願人は、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末を水和させて得た一次粒子の微細な水酸化マグネシウム粉末が高純度、高分散性を示すことを見出し、この知見に基づいて特許出願している(特願2000−117433号)。上記の水酸化マグネシウム粉末は、電子材料(特に薄膜状電子材料)用の酸化マグネシウム原料として好適に使用できる。しかしながら、製造原料である酸化マグネシウム粉末は、その製造に特別な装置を必要とし工業的な生産コストが高いため、上記の水酸化マグネシウム粉末はコスト的に高価である。
【0005】
従来より、一次粒子が均一によく発達した水酸化マグネシウム粉末もまた、高い分散性を示すことが知られている。このような水酸化マグネシウム粉末を得る方法として、酸化マグネシウム焼成物を各種イオン性物質の存在下で水和させる方法が知られている。
【0006】
特開昭56−109820号公報には、1400℃以上の温度で焼成された酸化マグネシウム焼成物を、好ましくは250μm以下、さらに好ましくは100μm以下に粉砕し、酸化マグネシウム原料中の酸化カルシウムの当量数を超える量に相当する酸基の量の酸あるいはそのマグネシウム塩存在下で水和させることにより、水酸化マグネシウム粉末を製造する方法が開示されている。
上記公報に開示された方法によれば、一次粒子が均一によく発達し、平均粒子径が1μm以下であって、粒度分布の比較的狭い、水酸化マグネシウム粉末を得ることができるとされている。このような水酸化マグネシウム粉末は、一次粒子同士が二次凝集を起こさず、分散性に優れているとされている。
【0007】
上記の方法で得られる水酸化マグネシウム粉末の不純物量は、上記公報の実施例によれば、酸化カルシウム(CaO)含有量が0.02質量%(カルシウム原子換算量で0.014質量%に相当)、酸化珪素(Si2O)含有量が0.22質量%(珪素原子換算量で0.10質量%に相当)、酸化鉄(Fe23)含有量が0.04質量%(鉄原子換算量で0.028質量%に相当)、酸化アルミニウム(Al23)含有量が0.04質量%(アルミニウム原子換算量で0.021質量%に相当)である(実施例1を参照)。
【0008】
また、本出願人は、1150〜1350℃の温度で焼成して得られた酸化マグネシウム焼成物を粉砕して、(200)方向の結晶子径が800〜1500オングストローム、BET比表面積が0.7〜2m2/g、平均粒子径が2〜5μmの酸化マグネシウム粉末を得て、これをマグネシウム塩存在下で水和させることにより、生成する水酸化マグネシウム粉末の優れた特性を損なうことなく、酸化マグネシウム焼成物の水和反応に要する時間を短縮できることを見出し、この知見に基づいて特許出願した(特開平1−131022号公報参照)。
この公報に開示された方法によれば、一次粒子が均一によく発達し、二次凝集体を形成していない高分散性水酸化マグネシウム粉末を工業的規模で経済的に効率よく製造することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一次粒子が発達した水酸化マグネシウム粉末は、工業的に比較的安価に製造することができる。しかしながら、本発明者の研究によれば、上記の水酸化マグネシウム粉末には、製造原料の酸化マグネシウム焼成物に含まれている不純物(カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物)や、酸化マグネシウム焼成物を粉砕する際に粉砕装置から侵入する鉄、アルミニウム、又はジルコニウムから生じる不純物(鉄化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物)が混入する傾向にあり、この不純物が電子材料用の酸化マグネシウム原料として用いる場合には問題となるおそれがあることが判明した。
【0010】
また、上記の水酸化マグネシウム粉末を薄膜状電子材料用の酸化マグネシウム原料として使用する場合には、該電子材料中に水酸化マグネシウムの一次粒子が均一に分散するように、水酸化マグネシウム粉末の粒子のほとんど(主要部)が板状の一次粒子であること、すなわち配向性が高いことも要求される。しかしながら、本発明者の研究によれば、上記の水酸化マグネシウム粉末は、薄膜状電子材料用の酸化マグネシウム原料として使用するには配向性がやや低い傾向にあることも判明した。
【0011】
従って、本発明の目的は、電子材料(特に薄膜状電子材料)製造用の酸化マグネシウム原料として好適に使用できる高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を、工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の無機化合物の含有量が調整された酸化マグネシウム焼成物を、水溶性マグネシウム塩の存在下、特定の条件下にて水和させることにより、上記の不純物(カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物)の含有量の少ない高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を得ることができることを見出した。
【0013】
本発明は、カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が、それぞれカルシウム原子換算量で2質量%以下、珪素原子換算量で2質量%以下、鉄原子換算量で0.15質量%以下、アルミニウム原子換算量で0.15質量%以下、及びジルコニウム原子換算量で0.05質量%以下であって、酸化マグネシウム含有量が95質量%以上である酸化マグネシウム焼成物を、水和反応溶液に対して20〜300g/リットルとなる条件で、水溶性マグネシウム塩の存在下、100〜250℃の温度、1〜30気圧の水蒸気圧に調整されたオートクレーブ中にて水和させることを特徴とする高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法にある。
【0014】
本発明の高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法において、前記酸化マグネシウム焼成物は、沸点1150℃以下の無機化合物の含有量がそれぞれ、ナトリウム原子換算量で0.02質量%以下、カリウム原子換算量で0.01質量%以下、フッ素、塩素及び臭素の原子換算量で0.03質量%以下、ホウ素原子換算量で0.1質量%以下、そして硫黄原子換算量で0.02質量%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法を利用することによって、カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が、それぞれカルシウム原子換算量で0.01質量%以下、珪素原子換算量で0.02質量%以下、鉄原子換算量で0.015質量%以下、アルミニウム原子換算量で0.015質量%以下、及びジルコニウム原子換算量で0.005質量%以下であり、水酸化マグネシウム含有量が99.5質量%以上であって、粒子の主要部が板状の一次粒子をなすことを特徴とする高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を得ることができる。
【0016】
上記高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の好ましい態様を、下記に示す。
【0017】
(1)カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が、それぞれカルシウム原子換算量で0.007質量%以下、珪素原子換算量で0.015質量%以下、鉄原子換算量で0.01質量%以下、アルミニウム原子換算量で0.01質量%以下、及びジルコニウム原子換算量で0.001質量%以下である。
【0018】
(2)水酸化マグネシウム含有量が99.7質量%以上、より好ましくは99.8質量%以上である。
【0019】
(3)ナトリウム化合物の含有量がナトリウム原子換算量で0.003質量%以下、より好ましくは0.002質量%以下であり、かつカリウム化合物の含有量がカリウム原子換算量で0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
【0020】
(4)フッ化物、塩化物及び臭化物の含有量がそれぞれフッ素、塩素及び臭素の原子換算量で0.005質量%以下、より好ましくは0.003質量%以下である。
【0021】
(5)ホウ素化合物の含有量がホウ素原子換算量で0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下であり、硫黄化合物の含有量が硫黄原子換算量で0.005質量%以下、より好ましくは0.002質量%以下である。
【0022】
(6)クロム化合物の含有量がクロム原子換算量で0.001質量%以下であり、ニッケル化合物の含有量がニッケル原子換算量で0.005質量%以下であり、マンガン化合物の含有量がマンガン原子換算量で0.002質量%以下であり、銅化合物の含有量が銅原子換算量で0.001質量%以下であり、亜鉛化合物の含有量が亜鉛原子換算量で0.001質量%以下であり、鉛化合物の含有量が鉛原子換算量で0.001質量%以下であり、砒素化合物の含有量が砒素原子換算量で0.0001質量%以下である。
【0023】
(7)配向度が30%以上、より好ましくは60%以上である。この配向度は、水酸化マグネシウム粉末としての配向性を示す指標である。すなわち、配向度が高いほど水酸化マグネシウム粉末中の板状一次粒子の割合が高いことを示す。
【0024】
上記の配向度は、水酸化マグネシウム粉末を一軸成形機によりペレット状に成形し、この平坦面(プレス面)のX線回折パターンから、水酸化マグネシウムの(001)(101)(102)(110)(111)(103)の各面に相当するX線回折ピークの積分強度を求め、下記式(1)により算出した値である。なお、下記式(1)は、特公昭56−35004号に記載されている配向性フェライト焼結体の配向度の計算式に準じた式である。
【0025】
式(1):
配向度(%)={S(I 001 )/S(ΣI hkl )−R(I 001 )/R(ΣI hkl )}/{1−R(I 001 )/R(ΣI hkl )}×100
ここで、S、Rはそれぞれ測定対象の試料及び標準試薬の因子であることを示し、(I 001 )は面指数(001)面のX線回折ピークの積分強度を示し、(ΣI hkl )は面指数(001)(101)(102)(110)(111)(103)の各面のX線回折ピークの積分強度の和を示す。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法は、特定の無機化合物の含有量が調整された酸化マグネシウム焼成物を、水溶性マグネシウム塩の存在下、100〜250℃の温度、1〜30気圧の水蒸気圧に調整されたオートクレーブ中にて水和させることからなる
【0027】
本発明の高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造に使用する酸化マグネシウム焼成物は、カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が、それぞれカルシウム原子換算量で2質量%以下、珪素原子換算量で2質量%以下、鉄原子換算量で0.15質量%以下、アルミニウム原子換算量で0.15質量%以下、及びジルコニウム原子換算量で0.05質量%以下であって、酸化マグネシウム含有量が95質量%以上であることが必要である。
カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が上記数値を超えると、目的とする高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を得るのが困難になる。
【0028】
上記酸化マグネシウム焼成物のカルシウム化合物含有量は、カルシウム原子換算量で1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。上記酸化マグネシウム焼成物の珪素化合物含有量は珪素原子換算量で1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。また、上記酸化マグネシウム焼成物のカルシウム化合物及び珪素化合物の含有量はそれぞれ、カルシウム原子換算量と珪素原子換算量との重量比(珪素原子量/カルシウム原子量)が1以下となる量であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。上記重量比が1よりも大きくなると、水和反応時に難溶性のカルシウム珪酸塩が生成する傾向があり、これが水酸化マグネシウム粉末に混入して不純物含有量が高くなることがある。
【0029】
上記酸化マグネシウム焼成物の鉄化合物含有量は鉄原子換算量で0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
上記酸化マグネシウム焼成物のアルミニウム化合物含有量はアルミニウム原子換算量で0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
上記酸化マグネシウム焼成物のジルコニウム化合物含有量はジルコニウム原子換算量で0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましい。
上記酸化マグネシウム焼成物の酸化マグネシウム含有量は98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
【0030】
上記酸化マグネシウム焼成物はさらに、沸点1150℃以下の無機化合物の含有量がそれぞれ、ナトリウム原子換算量で0.02質量%以下、カリウム原子換算量で0.01質量%以下、フッ素、塩素及び臭素の原子換算量で0.03質量%以下、ホウ素原子換算量で0.1質量%以下、そして硫黄原子換算量で0.02質量%以下であることが好ましく、ナトリウム原子換算量で0.01質量%以下、カリウム原子換算量で0.005質量%以下、フッ素、塩素及び臭素の原子換算量で0.01質量%以下、ホウ素原子換算量で0.05質量%以下、そして硫黄原子換算量で0.01質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
上記酸化マグネシウム焼成物の大きさに特に制限はないが、通常は粒径が20mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.3〜5mmの範囲、特に好ましくは1〜3mmの範囲の粒状物である。この酸化マグネシウム焼成物は、水酸化マグネシウムを1150〜2000℃の温度で焼成して製造された酸化マグネシウムクリンカを粗砕することによって製造されることが好ましい。上記酸化マグネシウムクリンカの代わりに電融マグネシアを用いてもよい。
上記の粗砕には、公知の粗砕装置を使用することができ、例えば、ジョークラッシャを使用することができる。
【0032】
高純度高分散性水酸化マグネシウム粉末は、上記酸化マグネシウム焼成物を水溶性マグネシウム塩の存在下、100〜250℃の温度、1〜30気圧の水蒸気圧に調整されたオートクレーブ中にて水和させることによって製造することができる。
【0033】
上記水和反応において、製造原料である酸化マグネシウム焼成物濃度は、水和反応溶液に対して20〜300g/リットルの範囲にあることが好ましい。
【0034】
上記水溶性マグネシウム塩は、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム及びクエン酸マグネシウムなどの有機マグネシウム塩を挙げることができるが、酢酸マグネシウムであることが特に好ましい。
水和反応液中の上記マグネシウム塩の濃度は、0.02〜0.5モル/リットルの範囲内にあることが好ましく、特に0.1〜0.4モル/リットルの範囲内であることが好ましい。
上記水溶性マグネシウム塩の代わりに、マグネシウムとともに上記マグネシウム塩を形成する酸、例えば、酢酸、ギ酸及びクエン酸などの有機酸を用いてもよい。
【0035】
上記の水和反応を100〜250℃の温度、1〜30気圧の水蒸気圧(好ましくは120〜200℃の温度、2〜15気圧の水蒸気圧)に調整されたオートクレーブ中にて行うことによりに、30〜360分で目的とする水酸化マグネシウムを得ることができる。上記の条件下にて生成する水酸化マグネシウムの一次粒子は板状であり、二次凝集を起こしにくく、配向性及び分散性が高い。
【0036】
こうして得られた水酸化マグネシウムを、公知の手法に従って水洗、ろ過、乾燥することにより、高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を製造することができる。
【0037】
本発明の方法により製造される高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を350℃以上、好ましくは500℃以上の温度で焼成することにより高純度酸化マグネシウム粉末を製造することができる。特に、高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末を350〜1100℃の温度で焼成することにより、水酸化マグネシウム一次粒子の形状を維持した板状結晶の酸化マグネシウム粉末を製造することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、実施例に記載の各元素の含有量及び物性は次のようにして測定した値である。
【0039】
酸化マグネシウム含有量及び水酸化マグネシウム含有量は、試料を塩酸に溶解して、マグネシウムイオンをEDTA溶液で滴定し、このマグネシウムイオン量から算出した。なお、試料は105℃に調整した乾燥機にて恒量になるまで乾燥したものを用いた。
【0040】
ハロゲン元素含有量(F、Cl、Br)は、液体イオンクロマト法により測定した。
【0041】
ハロゲン以外の各元素含有量(Ca、Si、Fe、Al、Zr、Na、K、B、S、Cr、Ni、Mn、Cu、Zn、Pb、As)は、JIS K 0050に準じ、試料を塩酸に溶解し、誘導結合高周波プラズマ発光分析装置及び原子吸光分光光度測定装置を用いて測定した。
【0042】
一次粒子の形状は、電子顕微鏡にて観察した。
【0043】
配向度(%)は、一軸成形機を用いて水酸化マグネシウムの円柱状ペレットを作成し、このペレットの平坦面に平行な面のX線回折パターンを得て、前記の計算式(1)により算出した。水酸化マグネシウムの円柱状ペレットは、重さ0.9±0.1g、直径24mm、高さ3mmの大きさとした。X線回折装置には(株)リガク製X線回折装置RINT2100/PCを使用した。なお、X線回折パターンは回折角2θが5〜70度の範囲で測定した。
【0044】
比表面積は、BET法により測定した。
【0045】
平均粒子径は、レーザ回折法により測定した。
【0046】
[実施例1]
1350℃で焼成したマグネシアクリンカをジョークラッシャにより破砕し、篩で分級して粒子径が1〜3mmの酸化マグネシウム粒状物を得た。得られた酸化マグネシウム粒状物の酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量を表1に示す。
この酸化マグネシウム粒状物1.0kgを0.25モル/リットルの酢酸マグネシウム水溶液10リットル中に投入し、充分な攪拌下に全容20リットルのオートクレーブ中にて170℃(水蒸気圧は8気圧)、3時間反応させた後、45μmの篩で分級した。篩通過率は99%であった。
上記の篩下生成物を水洗、ろ過、乾燥して得た粉末は、水和率が100%であった。この粉末の粉体物性、水酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量の測定結果を表2に示す。
【0047】
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じマグネシアクリンカを、ボールミル(鉄製ボールを使用するもの)にて粉砕し、平均粒子径が3.5μmの酸化マグネシウム粉末を得た。得られた酸化マグネシウム粉末の酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量を表1に示す。
この酸化マグネシウム粉末1.0kgを90℃に加熱保持された0.028モル/リットルの酢酸マグネシウム水溶液10リットル中に投入し、充分な撹拌下に3時間反応させた後、45μmの篩で分級した。篩通過率は96%であった。
篩下生成物を実施例1と同じ後処理をして得た粉末は、水和率が99%であった。この粉末の粉体物性、水酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量の測定結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003965279
【0049】
[比較例2]
市販の高純度試薬の粉体物性、水酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量の測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0003965279
Figure 0003965279
【0051】
[実施例2]
実施例1で製造した水酸化マグネシウム粉末50gを、1リットルの純水に分散させた水酸化マグネシウム分散液を調製した。
この分散液を平滑な石英片に塗布し、1000℃に加熱して固形物を得た。得られた固形物をX線回折法により同定したところ、酸化マグネシウムであることが確認された。さらに、この固形物を電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、板状結晶が配向していることがわかった。固形物の酸化マグネシウム含有量及び不純物の原子換算量の測定結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003965279
【0053】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られる高純度高配向水酸化マグネシウム粉末は、電子材料、特に薄膜状の電子材料用の酸化マグネシウム原料として好適に使用することができる。また、本発明の製造方法により得られる高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末から得られる高純度酸化マグネシウム粉末は、電子材料の添加剤として好適に使用することができる。さらに、本発明の高純度高配向水酸化マグネシウム粉末の製造方法によれば、不純物含有量が少なく、配向性が高い水酸化マグネシウム粉末を、工業的な規模で経済的に効率よく製造することができる。

Claims (2)

  1. カルシウム化合物、珪素化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、そしてジルコニウム化合物の含有量が、それぞれカルシウム原子換算量で2質量%以下、珪素原子換算量で2質量%以下、鉄原子換算量で0.15質量%以下、アルミニウム原子換算量で0.15質量%以下、及びジルコニウム原子換算量で0.05質量%以下であって、酸化マグネシウム含有量が95質量%以上である酸化マグネシウム焼成物を、水和反応溶液に対して20〜300g/リットルとなる条件で、水溶性マグネシウム塩の存在下、100〜250℃の温度、1〜30気圧の水蒸気圧に調整されたオートクレーブ中にて水和させることを特徴とする高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法。
  2. 前記酸化マグネシウム焼成物が、沸点1150℃以下の無機化合物の含有量がそれぞれ、ナトリウム原子換算量で0.02質量%以下、カリウム原子換算量で0.01質量%以下、フッ素、塩素及び臭素の原子換算量で0.03質量%以下、ホウ素原子換算量で0.1質量%以下、そして硫黄原子換算量で0.02質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高純度高配向性水酸化マグネシウム粉末の製造方法。
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